説明

アンテナ

【目的】一対の軸部と、該一対の軸部へ線対称に連結されるフラッグ素子と、を実質的に同一平面上に配置してなるアンテナの利得を向上させる。
【構成】当該アンテナにおいての軸部へ連結されるフラッグ素子の数を6〜12とする。フラッグ素子の形状は軸部と平行な第1の辺と軸部に垂直な第2の辺とを有する長方形とし、第2の辺の長さを前記第1の辺の長さの約3倍とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
指向性が広く、小型化に適したアンテナとして特許文献1に開示のものがある。このアンテナ1は、図1に示すように、平行な一対の軸部2、3とこの軸部に連結されるフラッグ素子5−1a〜1d及び5−2a〜2dを平面的な基板7に配置してなる。図中の符号8、9はターミナルであって、アンテナ1を外部回路へ連結する。
【0003】
特許文献1
特許第3323442号 図10
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記タイプのアンテナを改良すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、フラッグ素子の個数やその形状を調整することにより、アンテナの利得が変化することに気付いた。
即ち、この発明は、一対の軸部と、該一対の軸部へ線対称に連結されるフラッグ素子と、を実質的に同一平面上に配置してなるアンテナにおいて利得を向上しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの検討によれば、一方の軸部へ連結されるフラッグ素子の数を6〜12とすると、アンテナの利得に向上がみられた。
また、フラッグ素子の形状は軸部と平行な第1の辺と軸部に垂直な第2の辺とを有する長方形とすることが好ましく。特に、第2の辺の長さを前記第1の辺の長さの約3倍とすることが利得向上の見地から好ましい。
【0006】
【実施例】
以下、この発明を実施例を用いてより詳細に説明する。
図2に実施例のアンテナ10の構造を示す。このアンテナ10は樹脂製のフレキシブル基板11上に図示のパターンの導電性の薄膜部12が形成されてなる。この薄膜部12がアンテナとして機能する。
薄膜部12のパターンは次のように構成されている。図示中央に配設される一対の軸部13、14はその上端で連結されている。各軸部13、14にはそれぞれ8つのフラッグ素子15及び16が連結されている。図中の符号17、18はターミナルである。このパターンは軸部13、14の中央線を中心とした線対称の形状である。
また、軸部13、14の上端(ターミナルから離れた端部)とフラッグ素子15及び16の上端とは面一とするか若しくは軸部13、14の方がフラッグ素子15及び16より少し突出しているようにすることが好ましい。
【0007】
各フラッグ素子15、16は長方形枠形状であり、軸部13、14に垂直な横辺(第2の辺)15b、16bはその縦辺(第1の辺)15a、16aの約3倍の長さを有する。また、横辺15b、16bがそれぞれ延長して各軸部13、14に連結している。かかる構成を採用することにより各フラッグ素子15、16の利得が向上し、結果としてアンテナ全体の利得が向上する。
この実施例では長方形枠形状のフラッグ素子を採用したが、閉じた枠形状であれば他の形状のフラッグ素子を採用することも可能である。
【0008】
かかる構成のアンテナ10は基板11の上に薄膜部12を印刷して形成される。予めパターン形成された薄膜部12を基板11へ張り付けてもよい。なお、大型のアンテナを構成する場合などにおいて、パターンを構成する導電性材料に充分な保形性能が確保できれば基板11を省略することもできる。また、基板11としてフレキシブルな材料を用いた場合、アンテナの特性を保持した状態でこれを変形させることができる。
このアンテナ10はパターンを縮小若しくは拡大することによりパターンの抵抗(ターミナル17−18間の抵抗)を変化させ、もって目的とする送受信電波の周波数に対応させることができる。例えば、テレビ放送を受信する場合にはパターン抵抗をほぼ75オームとし、通信用としてはパターン抵抗をほぼ50オームとする。
【0009】
このアンテナ10によれば、ターミナル17、18に高周波数の交流電圧が印加されたとき、例えば軸部13側のフラッグ素子15に正電荷が誘導され他方軸部14側のフラッグ素子16に負電荷が誘導される。その結果、軸部13、14間に電流がながれて電磁波が放射されると考えられる。
本発明者らの検討によれば、テレビ電波受信において、図1に示した従来例のアンテナでは受信画像が乱れてその画像を認識できない条件においてこの実施例のアンテナを用いた場合、テレビ画像が明確に見えるようになった。また、従来例と同様に広い指向性と広い対応周波数帯域を有することも確認できた。
【0010】
図3には他の実施例のアンテナ20を示す。この実施例のアンテナ20は基板21上に図示パターンの薄膜部22を形成したものである。
薄膜部22のパターンは、図2に示すパターン(アンテナユニット)11A、11Bを線対称に並べてその上端で連結し、下端にターミナル27、28を設けた構成である。図2と実質的に同一要素には同一符号を付してその説明を省略する。
このアンテナ20によれば、ターミナル27、28に高周波数の交流電圧が印加されたとき、例えばアンテナユニット11Aに正電荷が誘導され他方アンテナユニット11Bに負電荷が誘導される。その結果、両者の間に電流がながれ電磁波が放射されると考えられる。
本発明者らの検討によれば、テレビ電波受信において、図1に示した従来例のアンテナでは受信画像が乱れてその画像を認識できない条件においてこの実施例のアンテナを用いた場合、テレビ画像が明確に見えるようになった。また、従来例と同様に広い指向性と広い対応周波数帯域を有することも確認できた。
【0011】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例のアンテナの構造を示す平面図である。
【図2】この発明の実施例のアンテナの構造を示す平面図である。
【図3】この発明の他の実施例のアンテナの構造を示す平面図である。
【符号の説明】
1、10、20 アンテナ
2、3、13、14 軸部
5−1、5−2、15、16 フラッグ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な一対の軸部と、該一対の軸部へ線対称に連結されるフラッグ素子と、を実質的に同一平面上に配置してなるアンテナユニットを含むアンテナであって、
一方の前記軸部へ連結される前記フラッグ素子の数が6〜12である、ことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記フラッグ素子は前記軸部と平行な第1の辺と前記軸部に垂直な第2の辺とを有する長方形である、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第2の辺の長さは前記第1の辺の長さの約3倍である、ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第2の辺が延長して前記フラッグ素子が前記軸部に連結される、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のアンテナ。
【請求項5】
一対の前記アンテナユニットが同一平面上において線対称に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate