説明

キッチンキャビネット用引き出し

【課題】外面部と内面部とを有する中空とされ、その内面部の下部が内側方向に寄せられることにより下部の幅が上部に比べて広くされた側板を有するキッチンキャビネット用引き出しにおいて、この引き出しの収納空間の有効幅を広くする。
【解決手段】一方の側板22の内面部22bに隣接して箱型容器40が配設されており、箱型容器40は、物品を収納する本体部41と、引き出し20の側板22の上方に架設されたバー部材25に係合するフック部42とを有している。本体部41のフック部42が設けられた側の側面の下方部分には、側板22の内側方向に寄せられる内面部22bの外形に沿って内側に向けて後退する上方の第1傾斜部41aと下方の第2傾斜部41bが形成されており、第1傾斜部41aは側板22の内面部22bの外形にほぼ沿い、第2傾斜部41bは側板22の内面部22bの下部に干渉しないように内側に向けて大きく後退している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンキャビネット用引き出しに関し、台所用家具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
キッチンキャビネットの本体に、前後方向にスライド自在に支持された引き出しでは、例えば、この引き出しを構成する左右一対の側板を、外面部と内面部とを有する中空とし、この中空部の下部に、キャビネット本体側のレール部材に係合する引き出し側のレール部材を内蔵した構成のものがある。その場合、前記レール部材を内蔵するためのスペースを中空部の下部に確保する必要があり、前記特許文献1に記載の引き出しでは、側板の内面部の下部が内側方向に寄せられることにより下部の幅が上部に比べて広くされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−296759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1に記載の構成において、引き出し内に側板に近接して物品を収納しようとすると、側板の内面部の下部が内側方向に寄せられているため、物品の下部と側板の内面部の下部とが干渉する。したがって、側板の内面部の下部との干渉を避けて物品を収納することになり、引き出しの収納空間の有効幅が狭くなるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、外面部と内面部とを有する中空とされ、その内面部の下部が内側方向に寄せられることにより下部の幅が上部に比べて広くされた側板を有するキッチンキャビネット用引き出しにおいて、この引き出しの収納空間の有効幅を広くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、底板と、前記底板の左右両端部に立設された左右の側板と、前記底板の前端部に立設された前板と、左右の前記側板の上方にそれぞれ架設された前後方向に伸びるバー部材とを有し、キャビネット本体に前後方向にスライド自在に支持されたキッチンキャビネット用引き出しであって、前記側板は、外面部と内面部とを有する中空とされ、その内面部の下部が内側方向に寄せられることにより下部の幅が上部に比べて広くされて、その下部内に前記キャビネット本体側のレール部材に係合する引き出し側のレール部材が内蔵されており、一方の前記側板の内面部に隣接して配設される箱型容器を備え、前記箱型容器は、物品を収納する本体部と、この本体部の上部に連設された、前記バー部材に係合するフック部とを有し、前記本体部は、前記フック部が設けられた側の側面の下方部分に、前記側板の内側方向に寄せられる内面部の外形に沿って内側に向けて後退する上方の第1傾斜部と下方の第2傾斜部とを有し、前記第1傾斜部は、前記側板の内面部の外形にほぼ沿い、前記第2傾斜部は、前記側板の内面部の下部に干渉しないように内側に向けて大きく後退していることを特徴とするキッチンキャビネット用引き出しを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、請求項1に係る発明のキッチンキャビネット用引き出しは、本体部におけるフック部が設けられた側の側面の下方部分に、側板の内側方向に寄せられる内面部の外形に沿って内側に向けて後退する上方の第1傾斜部と下方の第2傾斜部とを有し、第1傾斜部は、側板の内面部の外形にほぼ沿い、第2傾斜部は、側板の内面部の下部に干渉しないように内側に向けて大きく後退しているので、その下部と側板の内面部の下部との干渉を避けることができ、側板に近接して安定して設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係るシステムキッチンの斜視図である。
【図2】ワークトップの記載を省略したシンク用キャビネットの斜視図である。
【図3】幕板単体の斜視図である。
【図4】引き出しをキャビネット本体に押し込んだ状態における要部正面図である。
【図5】引き出しの側板に近接して設置された箱型容器を示す正面図である。
【図6】箱型容器の斜視図である。
【図7】引き出しの側板に近接して設置された台座、及び台座に載置されたペーパーホルダーの正面図である。
【図8】台座の平面図である。
【図9】図8のI−I線による断面図である。
【図10】台座に載置されたペーパーホルダーの平面図である。
【図11】図7のII−II線による拡大断面図であり、引き出しの記載を省略している。
【図12】図10のIII−III線による断面図であり、台座の記載を省略している。
【図13】ペーパーホルダーの支柱がロック解除状態にあることを示す平面図である。
【図14】台座を用いたことによる作用を説明するための要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係るキッチンキャビネット用引き出しを備えたシステムキッチンについて説明する。
【0010】
図1に示すように、このシステムキッチン1は、シンク用キャビネット2と調理台用キャビネット3とガスコンロ用キャビネット4とが並設された構成とされており、上方にワークトップ5が載置されている。このワークトップ5は、シンク用キャビネット2に対応してシンク5aが設けられており、また、ガスコンロ用キャビネット4に対応してガスコンロ5bが設けられている。
【0011】
図2に示すように、シンク用キャビネット2は、上方及び前方に開口する箱状のキャビネット本体10と、このキャビネット本体10に前後方向にスライド自在に支持された上下2段の引き出し20とを備えている(図2には上段のみ図示、図1には2段とも図示)。
【0012】
本体キャビネット10は、左右の側板11,11と、側板11,11間の後部に架設された背板12と、側板11,11間の下部に架設された底板13とを有している。
【0013】
図示する引き出し20は、底板21と、底板21の左右両端部に立設された左右の側板22,22と、底板21の前後両端部にそれぞれ立設された前板23及び背板24と、両側板22,22の上方で前板23と背板24との間に架設された左右のバー部材25,25とを備えている。
【0014】
また、キャビネット本体10の左右の側板11,11間の上部前面に、引き出し20を押し込んだときに前板23の後面に当接する戸当たり桟14が架設されている。
【0015】
また、キャビネット本体10上に載置されたワークトップ5のシンク5aの左側の側部とこの側部に対向する左側の側板11との間に、所定幅の空間Sが設けられている。この空間Sは、幅が狭く、上下方向に細長い空間であり、上部にワークトップ5の下面を支持する前後方向に延びる補強桟5cが位置している。さらに、左右の側板11,11間の上部前面つまりシンク5aの前方かつ戸当たり桟14の概ね下方に、正面視でシンク5aを隠す幕板30が架設されている。
【0016】
そして、引き出し20の底板21上の左側端部近傍には、左側の側板22に近接して、2つの箱状容器40,40と台座50に載置されたペーパーホルダー60とが前後方向に一列に収納されている。ここでは詳述しないが、箱状容器40,40はバー部材25に支持され、台座50は側板22に支持されている。なお、ペーパーホルダー60は、ロール状のキッチンペーパーPを保持するためのもので、高さが高く、前記空間Sに収納される。
【0017】
次に、幕板30について説明すると、この幕板30は、例えば鋼板のような金属製の板材を折曲加工することにより一体に形成されたものであり、図2〜4に示すように、この幕板30は、シンク5aの前方で左右に延びる面状の垂直部31と、この垂直部31の左側の端部からシンク5aの左側の側部に沿うように後方に延びる垂直面状の後方延設部32と、この後方延設部32の後部上端から前記空間Sの上部を横断し、キャビネット本体10の左側の側板11方向に延びる水平面状の横方向延設部33とを有している。
【0018】
また、垂直部31の右側の端部に若干後方に延びる取付部34が設けられており、この取付部34の上下の端部にそれぞれ形成された切り欠き34a,34a(図3参照)を介してビスでキャビネット本体10の右側の側板11に取り付けられる。一方、横方向延設部33の先端に下方に延びる取付部35が設けられており、この取付部35に形成された一対の丸穴35a,35a(図3に一方のみ図示)を介してビスB,Bでキャビネット本体10の左側の側板11に取り付けられる。
【0019】
また、垂直部31の上端に前方に延びる結合部36が設けられており、この結合部36に形成された複数の長穴36a…36a(図3参照)を介してビスB…Bでキャビネット本体10の戸当たり桟14に下方から結合される。一方、横方向延設部33に複数の丸穴33a…33a(図3参照)が形成されており、横方向延設部33は、これらの丸穴33a…33aを介してビスB…Bでワークトップ5の下面の補強桟5cに結合される。
【0020】
また、垂直部31の下端に後方に延びる補強部37が設けられており、垂直部31の剛性維持が図られる。さらに、後方延設部32の後端に右方に延びる補強部38が設けられており、後方延設部32の剛性維持が図られる。
【0021】
以上説明した構成の幕板30を備えたことにより、横方向延設部33は、垂直部31の下端より高い箇所に位置することになる。その結果、図4に示したように、シンク5aの一方の側部とこの側部に対向する一方の側板11との間の所定幅の空間Sを含む上下方向に細長い空間に対し、引き出し20に収納されたペーパーホルダー60のような高さの高い物品の出し入れが可能となる。
【0022】
そして、垂直部31と後方延設部32と横方向延設部33とで構成される平面視屈曲構造により、例えば、高さの高い物品を収納可能に幕板の一方の側部を切除した構成に比べ、垂直部31の剛性は良好に維持される。したがって、正面からの荷重を受けても垂直部31の変形が回避され、特に側板11,11間が広い場合に効果的である。なお、垂直部31ひいては幕板30の剛性が良好に維持されるため、輸送中においても垂直部31ないし幕板30の形状を良好に維持することができる。
【0023】
次に、引き出し20内に設置される箱型容器40と台座50とこの台座50に載置される高さの高いペーパーホルダー60とについて説明する。なお、これらはいずれも合成樹脂製である。
【0024】
図5に示すように、引き出し20の側板22は、外面部22aと内面部22bとを有する中空とされ、中空部の下部に、キャビネット本体10の側板11に固定されたキャビネット本体側レール部材10aに中間レール部材10bを介して係合する引き出し側レール部材22cを内蔵したものである。その場合、側板22は、引き出し側レール部材22cを内蔵するスペースを中空部の下部に確保するため、内面部22bの下部が内側方向に寄せられることにより下部の幅が上部に比べて広くされている。なお、図面の複雑化を避けるため、これらのレール部材10a,10b,22c間に備えられたローラの記載を省略している。
【0025】
そして、引き出し20の側板22の下部に結合された底板21上には、前記側板22に近接して箱型容器40が設置されている。図5、6に示すように、この箱型容器40は、平面視で略正方形状とされて物品を収納する本体部41と、この本体部41の上部に設けられて、引き出し20の側板22の上方に架設されたバー部材25に上方から係合する下方に開いたフック部42とを有している。
【0026】
また、本体部41のフック部42が設けられた側の側面の下方部分は、側板22の内側方向に寄せられる内面部22bの外形に沿って内側に向けて後退する上方の第1傾斜部41aと下方の第2傾斜部41bとされている。このうち、第1傾斜部41aは、側板22の内面部22bの外形にほぼ沿い、第2傾斜部41bは、側板22の内面部22bの下部に干渉しないように内側に向けて大きく後退している。
【0027】
こうすることによりにより、箱型容器40は、その下部と側板22の内面部22bの下部との干渉を避けることができ、側板22に近接して安定して設置されるようになる。このような箱型容器40は、例えば、食品用ラップフィルムのような立てたときに高さの高い物品を収納するのに用いられる。なお、収納空間を仕切り板により複数の空間に間仕切ってもよい。
【0028】
図7に示すように、引き出し20の側板22の下部に結合された底板21上には、前記側板22に近接してペーパーホルダー60が載置される台座50が設置されている。図7〜9に示すように、台座50は、平面視で略正方形状とされた本体部51と、この本体部51の上部に設けられて、引き出し20の側板22の上端に上方から係合する下方に開いたフック部52とを有している。
【0029】
本体部51のフック部52が設けられた側の側面は、引き出し20の側板22の内面部22bの外形に沿って内側に向けて後退する上方の第1傾斜部51aと、側板22の内面部22bの下部に干渉しないように内側に向けて大きく後退する第2傾斜部51bとされている。
【0030】
また、本体部51は、上面の中央に縦断面視で上方ほど直径が大きい円錐台状の凹陥部51cが設けられており、この凹陥部51cの上部直径は、載置するペーパーホルダー60が凹陥部51cに落ち込まない大きさである(図8、9参照)。これにより、この凹陥部51cの周囲の物品載置部51dに、ペーパーホルダー60を載置することができるようになる。そして、凹陥部51cは、比較的小さな物品の収納空間S″を形成する。
【0031】
また、本体部51の物品載置部51dの周辺部には、フック部52が設けられた辺を除く3辺に、載置されたペーパーホルダー60の転倒を防止する半円状の転倒防止片51e…51eがそれぞれ立設されている。
【0032】
図7に示すように、台座50に載置されるペーパーホルダー60は、ロール状のキッチンペーパーPを保持するもので、下方のベースフレーム61と、上方のトップフレーム62と、ベース及びトップフレーム61,62間に架設された一対のサイドフレーム63,63と、ベース及びトップフレーム61,62間に挿抜される支柱64とを有している。
【0033】
図10〜12に示すように、ベースフレーム61は、平面視で概ね円形状とされて前記台座50の物品載置部51dに載置されるもので、中心を挟んで対向するように、外側に円弧状に突出する一対の突出部61a,61aが設けられている。これらの突出部61a,61aを設けたことにより、これらがない場合に比べ、ベースフレーム61ひいてはペーパーホルダー60の載置状態は安定する。
【0034】
また、各突出部61aは、台座50に設けられた一対の転倒防止片51e,51eあるいは転倒防止片51eとフック部52とに挟まれるように位置しており、突出部61aと転倒防止片51eあるいはフック部52とが当接することにより、台座50上でのベースフレーム61の回転が規制されるようになっている(図11参照)。したがって、台座50に載置されたペーパーホルダー60からキッチンペーパーPを引き出すときに、このロール状のキッチンペーパーPを下方で支持するベースフレーム61の連れ回りが防止され、円滑にキッチンペーパーPを引き出すことができる。
【0035】
なお、台座50に設けられた転倒防止片51e…51eは、ベースフレーム61の突出部61a,61aとの関係から、ベースフレーム61ひいてはペーパーホルダー60を台座50に対して図11に示す向きあるいは90°回転した向きで位置決めさせるガイドの機能も具備している。
【0036】
また、各突出部61aには、横断面略C字状の前記サイドフレーム63が一体に設けられている。その場合、一対のサイドフレーム63,63同士の対向間隔Lは、側方からのロール状のキッチンペーパーPの取り出しやセットを可能とする間隔である(図11参照)。なお、一対の突出部61a,61aに一対のサイドフレーム63,63を設けたことにより、前記対向間隔Lを広くすることができるメリットがある。
【0037】
そして、ベースフレーム61には、中央に凹部61bが設けられている。この凹部61bの上部は大径のすり鉢状とされており、下部は後述する支柱64の支持部64aの外形に対応して小径の直線状とされている。これは、支柱64の支持部64aの下端をこのベースフレーム61の凹部61bに挿入するとき、上部のすり鉢状部分で案内し、下部の直線状部分で位置決め支持するためである(図11、12参照)。
【0038】
支柱64は、ロール状のキッチンペーパーPの中央の穴に挿入されるもので、下方の細長い支持部64aとこの支持部64aの上端に設けられた平板状の操作部64bとを有している。支持部64aは、ロール状のキッチンペーパーPの穴に挿入されるもので、横断面が略H字状とされ、ベースフレーム61とトップフレーム62との間に挿抜可能及び矢印x,y方向に回動可能(図10参照)に備えられている。
【0039】
ここで、支柱64とトップフレーム62との間に設けられたロック構造について説明する。
【0040】
支柱64の支持部64aの上端に設けられた平面視で概ね円形状の操作部64bの下部には、支持部64aを中心にして対向するように外方に突出する一対の円弧状のロック部64b′,64b′が形成されている。一方、トップフレーム62には、支柱64の操作部64bの上部が回動可能に嵌まり込む凹部62aと、この凹部62aに連設されて操作部64bの一対のロック部64b′,64b′が進入する一対のロック溝部62b,62bとが形成されている。図例では、支柱64のロック部64b′,64b′は、トップフレーム62のロック溝部62b,62bに進入しており、トップフレーム62に対して支柱64はロック状態とされている。なお、トップフレーム62の矢印aで示す長手方向中央は、平面視で幅が狭くされており、指による操作部64bの回動操作を容易にしている(図10参照)。
【0041】
前述したロック状態から、支柱64の操作部64bを矢印x方向に略45°回動させると、図13に示すように、支柱64の操作部64bに形成されたロック部64b′,64b′は、トップフレーム62のロック溝部62b,62bから退避する。その結果、トップフレーム62に対する支柱64のロック状態が解除され、支柱64をベース及びトップフレーム61,62から上方に抜き取ることができるようになる。そうすると、キッチンペーパーPのセットや取り出しが可能となる。そして、支柱64の操作部64bを矢印y方向に略45°回動させると、図10に示したように、支柱64のロック部64b′,64b′はトップフレーム62のロック溝部62b,62bに進入し、トップフレーム62に対して支柱64はロック状態とされる。
【0042】
なお、トップフレーム62に対して支柱64をロック状態とした上で、台座50からペーパーホルダー60を取り出し、ペーパーホルダー60からキッチンペーパーPを引き出してもよい。また、トップフレーム62に対して支柱64をロック状態とすると共に、台座50にペーパーホルダー60を載置した上で、キッチンペーパーPを引き出してもよい。また、ペーパーホルダー60にロール状のキッチンペーパーPをセットする場合は、トップフレーム62に対して支柱64のロック状態を解除して支柱64を抜き取り、一対のサイドフレーム63,63間の隙間からロール状のキッチンペーパーPをベースフレーム61上にセットし、支柱64をロール状のキッチンペーパーPの中央の穴に挿入し、ロック状態とすればよい。
【0043】
以上のように構成したことにより、まず、台座50は、中空の一方の側板22の内面部22bに対向する側面の下部が、この側板22の内面部22bの外形に沿って内側に向けて後退しているので、下部の幅が上部に比べて広くされた側板22の内面部22bの下部との干渉を避けながら、台座50の上部を前記側板22の内面部22bの上部に近接して引き出し20内に設置することができる。したがって、この台座50を用いることにより、引き出し20の収納空間の有効幅を広くすることができる。
【0044】
すなわち、図14に示すように、ペーパーホルダー60を引き出し20の底板21上に直接収納する場合には、仮想線で示すように、側板22の内面部22bの下部との干渉を避けてペーパーホルダー60を収納することになるのに比べ、台座50を使用すれば、引き出し20の収納空間の有効幅を距離bだけ広くすることができるのである。
【0045】
次に、台座50は、一方の側板22の上端に係合するフック部52を有しているので、例えば、引き出し20のスライド時に振動があっても、フック部なしで台座を引き出し20の底板21上に設置する場合に比べ、台座50の設置位置が安定する。
【0046】
また、台座50は、上面の中央に凹陥部51cが設けられていると共に、この凹陥部51cの周囲が物品載置部51dとされているので、物品載置部51dを介してペーパーホルダー60を載置しつつ凹陥部51cに別なる物品を収納することができるようになる。
【0047】
また、台座50における上面の周辺部に立設された転倒防止片51e…51eにより、載置されたペーパーホルダー60の転倒が防止される。特に、細長い物品を載置する場合に効果的である。
【0048】
そして、ロール状のキッチンペーパーPを保持するペーパーホルダー60が、台座50を介して引き出し20の側板22に近接して収納されるようになる。
【0049】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されない。
【0050】
例えば、前記実施の形態では、フック部52を介して台座50を引き出し20の側板22に支持させていたが、引き出し20内に設置したときに安定する台座であればフック部を省略してもよい。
【0051】
また、前記実施の形態では、台座50は中央に凹陥部51cを有していたが、中実体の台座であってもよい。
【0052】
そして、前記実施の形態では、台座50にペーパーホルダー60を載置したが、その他に、例えば、小型消火器のような自立可能な高さの高い物品を載置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明によれば、外面部と内面部とを有する中空とされ、その内面部の下部が内側方向に寄せられることにより下部の幅が上部に比べて広くされた側板を有するキッチンキャビネット用引き出しにおいて、この引き出しの収納空間の有効幅を広くすることができ、本発明は、家具の技術分野に広く利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0054】
2 シンク用キャビネット(キッチンキャビネット)
10 キャビネット本体
10a キャビネット本体側レール部材
20 引き出し
21 底板
22 側板
22a 外面部
22b 内面部
22c 引き出し側レール部材
23 前板
40 箱型容器
41 本体部
41a 第1傾斜部
41b 第2傾斜部
42 フック部
50 台座
51c 凹陥部
51d 物品載置部
51e 転倒防止片
60 ペーパーホルダー
P キッチンペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板の左右両端部に立設された左右の側板と、前記底板の前端部に立設された前板と、左右の前記側板の上方にそれぞれ架設された前後方向に伸びるバー部材とを有し、キャビネット本体に前後方向にスライド自在に支持されたキッチンキャビネット用引き出しであって、
前記側板は、外面部と内面部とを有する中空とされ、その内面部の下部が内側方向に寄せられることにより下部の幅が上部に比べて広くされて、その下部内に前記キャビネット本体側のレール部材に係合する引き出し側のレール部材が内蔵されており、
一方の前記側板の内面部に隣接して配設される箱型容器を備え、
前記箱型容器は、物品を収納する本体部と、この本体部の上部に連設された、前記バー部材に係合するフック部とを有し、
前記本体部は、前記フック部が設けられた側の側面の下方部分に、前記側板の内側方向に寄せられる内面部の外形に沿って内側に向けて後退する上方の第1傾斜部と下方の第2傾斜部とを有し、
前記第1傾斜部は、前記側板の内面部の外形にほぼ沿い、前記第2傾斜部は、前記側板の内面部の下部に干渉しないように内側に向けて大きく後退していることを特徴とするキッチンキャビネット用引き出し。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−52294(P2013−52294A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−277598(P2012−277598)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−335686(P2008−335686)の分割
【原出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】