説明

ゴルフシューズ

【課題】防滑性能に優れたゴルフシューズの提供。
【解決手段】ゴルフシューズのアウトソール10は、ベース18と多数のスパイク20と、多数の小突起22とを有している。スパイク20の数は、7である。スパイク20は、ベース18に対して着脱自在である。アウトソール10の底面16における、インサイドの端34からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンZに、3個のスパイク20が存在している。このゾーンZに存在するスパイク20の数の、スパイク20の総数に対する比率は、43%である。このゾーンZには、スパイク20が集中的に配置されている。スパイク20は、合成樹脂又は架橋ゴムからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフシューズに関する。詳細には、本発明は、ゴルフシューズのアウトソールの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルファーがゴルフボールを打撃するとき、左右の爪先を結ぶ線が目標方向とほぼ平行となるようにアドレスする。右利きのゴルファーのアドレスでは、左足が目標方向前側に位置し、右足が目標方向後側に位置する。アドレスでは、ゴルフクラブのヘッドはゴルフボールの近くに位置する。この状態からゴルファーはテイクバックを開始し、ヘッドを後へ、次いで上方へと振り上げる。最もヘッドが振り上げられた位置がトップ位置である。トップ位置からダウンスイングが開始される。ダウンスイングの開始は、「切り返し」と称されている。切り返しの後、ヘッドが振り下ろされてヘッドがゴルフボールとインパクトする。インパクト後、ゴルファーはゴルフクラブを前方へ、次いで上方へと振り抜き、フィニッシュを迎える。
【0003】
右利きのゴルファーは、トップ位置からフィニッシュにかけて、左足を軸としてボディターンを行う。同時にゴルファーは、右足で地面を蹴ってその力をゴルフボールに伝える。右利きのゴルファーは、左足を軸足として使い、右足を蹴足として使う。左利きゴルファーの場合は、右足を軸足として使い、左足を蹴足として使う。軸足と蹴足との役割の相違が考慮されたゴルフシューズが、特開2001−299406公報に開示されている。
【0004】
軸足には、切り返しの前後において、大きな力がかかる。この力によって、軸足の靴が地面とスリップを起こすことがある。スリップが起こると、スイングフォームが乱れてミスショットが発生する。
【0005】
蹴足には、インパクトの前後において、大きな力がかかる。この力によって、蹴足の靴が地面とスリップを起こすことがある。スリップが起こると、スイングフォームが乱れてミスショットが発生する。スリップはさらに、飛距離の低下を招く。
【0006】
底面に金属又はセラミクスからなるスパイクピンを備えたゴルフシューズが存在する。スパイクピンは、スリップを防止する。しかし、このゴルフシューズでは、スパイクピンがグリーン上の芝生、クラブハウスの床、ゴルフコース中に設けられた歩行用通路の路面等を傷める。スパイクピンを備えたゴルフシューズの使用を禁止しているゴルフ場が、多い。スパイクピンを備えたゴルフシューズでは下からの突き上げ感があり、ゴルファーにとって履き心地のよいものではない。スパイクピンを備えたゴルフシューズは、近年ではあまり用いられていない。
【0007】
スパイクピンに代えて合成樹脂又はゴムからなるスパイクが底面に設けられたゴルフシューズが、普及している。このゴルフシューズでは、芝生等が傷つけられることが少ない。このゴルフシューズは、履き心地に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−299406公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
合成樹脂又はゴムからなるスパイクを有するゴルフシューズの防滑性能は、スパイクピンを備えたゴルフシューズの防滑性能に比べると、劣る。特に、切り返しの前後及びインパクトの前後における防滑性能の向上が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、防滑性能に優れたゴルフシューズの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るゴルフシューズは、左足用靴及び右足用靴からなる。この左足用靴及び右足用靴のそれぞれは、ベースとこのベースの底面から下方に突出する多数のスパイクとを有するアウトソールを備える。このアウトソールのトウサイドであってかつインサイドに、スパイクが集中的に配置されている。
【0012】
好ましくは、アウトソールの底面における、インサイドの端からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンに存在するスパイクの数の、スパイクの総数に対する比率は、35%以上である。
【0013】
好ましくは、スパイクは、合成樹脂又は架橋ゴムからなる。好ましくは、スパイクは、円盤と、この円盤の周縁から下方に垂下する複数の垂下部とを備える。
【0014】
他の観点によれば、本発明に係るゴルフシューズは、左足用靴及び右足用靴からなる。この左足用靴は、ベースとこのベースの底面から下方に突出する多数のスパイクとを有するアウトソールを備える。このアウトソールの底面における、インサイドの端からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンに存在するスパイクの数の、スパイクの総数に対する比率は、35%以上である。
【0015】
さらに他の観点によれば、本発明に係るゴルフシューズは、左足用靴及び右足用靴からなる。この右足用靴は、ベースとこのベースの底面から下方に突出する多数のスパイクとを有するアウトソールを備える。このアウトソールの底面における、インサイドの端からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンに、35%以上のスパイクが存在する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るゴルフシューズでは、スパイクによってスリップが抑制される。このゴルフシューズは、防滑性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフシューズの左足用靴が示された側面図である。
【図2】図2は、図1の左足用靴のアウトソールが示された底面図である。
【図3】図3(a)は図2のアウトソールのスパイクが示された拡大底面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿った断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の一実施形態に係るゴルフシューズの左足用靴のアウトソールが示された底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0019】
本発明に係るゴルフシューズは、左足用靴及び右足用靴からなる。図1及び2には、左足用靴2が示されている。この左足用靴2は、右利きゴルファーの軸足に着用される。この左足用靴2は、左利きゴルファーの蹴足にも着用される。右足用靴は、左足用靴2の形状がミラー反転した形状を有する。この右足用靴は、右利きゴルファーの蹴足又は左利きゴルファーの軸足に着用される。以下、右利きゴルファーに着用される場合が例とされ、本発明が詳説される。
【0020】
この左足用靴2は、アッパー4とソール6とを備えている。ソール6は、インソール(図示されず)、ミッドソール8及びアウトソール10からなる。図2において、符号Xで示されているのは幅方向であり、符号Yで示されているのは長さ方向である。図2において符号L1で示されているのは、長さ線である。長さ線L1は、底面視において、アウトソール10の輪郭内に画かれうる最長の線である。長さ線L1は、トウサイドの端12からヒールサイドの端14にまで至っている。長さ線L1の長さは、符号Lで示されている。Y方向(長さ方向)は、長さ線L1の方向と一致している。X方向(幅方向)は、長さ線L1の方向と直交している。
【0021】
アッパー4には、既知の材料が用いられる。天然皮革、合成皮革、人工皮革、織布等が、アッパー4に用いられうる。アッパー4の内面に、内材が貼り付けられてもよい。典型的な内材は、織布である。内材として、透湿防水材料が用いられてもよい。典型的な透湿防水材料は、ゴアテックス(登録商標)からなるブーティである。
【0022】
ミッドソール8は、発泡体からなる。好ましくは、、ミッドソール8は、多数の独立気泡を含む。着地時に、ミッドソール8は圧縮変形を起こす。この圧縮変形により、衝撃が吸収される。ミッドソール8における好ましい基材ポリマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)である。衝撃吸収性の観点から、ミッドソール8の硬度は70以下が好ましく、65以下が特に好ましい。強度の観点から、硬度は40以上が好ましい。硬度は、「JIS K 6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメーターにて測定される。
【0023】
アウトソール10は、ミッドソール8の下側に位置している。アウトソール10は、ミッドソール8と接合されている。接合は、接着剤によって達成されうる。
【0024】
図2には、アウトソール10の底面が示されている。図2において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドであり、上側がトウサイドであり、下型がヒールサイドである。このアウトソール10は、ベース18と多数のスパイク20と、多数の小突起22とを有する。この実施形態では、スパイク20の数は7である。スパイク20の数は、6以上10以下が好ましい。図1に示されるように、それぞれのスパイク20は、ベース18の底面16から下方に突出している。小突起22は、ベース18の底面16から下方に突出している。小突起22は、ベース18と一体的に成形されている。
【0025】
ベース18は、架橋ゴムからなる。好ましい基材ゴムとして、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びウレタンゴムが例示される。ベース18が、合成樹脂又はエラストマーからなってもよい。耐摩耗性の観点から、ベース18の硬度は70以上が好ましく、72以上が特に好ましい。足の変形への追従性の観点から、硬度は95以下が好ましく、92以下が特に好ましい。硬度は、「JIS K 6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメーターにて測定される。
【0026】
図3(a)はスパイク20が示された拡大底面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿った断面図である。図3(b)には、スパイク20と共に、プレート24及びスクリュー26が示されている。スパイク20は、円盤28と垂下部30とを備えている。円盤28と垂下部30とは、一体的に成形されている。プレート24とスクリュー26とは、一体的に成形されている。プレート24及びスクリュー26は、硬質合成樹脂からなる。プレート24は、スパイク20と接合されている。スクリュー26には、雄ネジが螺刻されている。このスクリュー26がベース18に穿設された穴32に螺入されることにより、スパイク20がベース18に取り付けられる。このスパイク20は、ベース18に対して着脱自在である。
【0027】
この実施形態では、垂下部30の数は6である。垂下部30の数は、4以上10以下が好ましい。それぞれの垂下部30は、円盤28の周縁から下方に垂下している。この垂下部30は、芝生に突き刺さる。この突き刺さりにより、芝生に対するゴルフシューズのスリップが防止される。垂下部30の下端は、小突起22の下端よりも下方に位置している。このゴルフシューズでは、垂下部30が、小突起22よりも深く、芝生に突き刺さる。
【0028】
垂下部30の高さHは、1mm以上6mm以下が好ましい。高さHが1mm以上である垂下部30により、スリップが十分に抑制される。この観点から、高さHは2mm以上が特に好ましい。高さHが6mm以下である垂下部30は、芝生を傷つけにくい。この観点から、高さHは4mm以下が特に好ましい。スパイク20の直径Diは、15mm以上が好ましく、20mm以上が特に好ましい。直径Diは、30mm以下が好ましい。
【0029】
スパイク20は、樹脂組成物からなる。スパイク20に適した基材樹脂として、ポリウレタンが例示される。スパイク20が、ゴム組成物が架橋されることによって成形されてもよい。
【0030】
垂下部30の硬度は、75以上98以下が好ましい。この硬度が75以上である垂下部30により、ゴルフシューズのスリップが防止される。この観点から、この硬度は80以上が特に好ましい。この硬度が98以下である垂下部30は、芝生を傷つけにくい。この観点から、この硬度は95以下が特に好ましい。硬度は、「JIS K 6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメーターにて測定される。
【0031】
小突起22の高さは2mm以上が好ましく、4mm以上が特に好ましい。小突起22の高さは、15mm以下が好ましく、10mm以下が特に好ましい。
【0032】
図2において符号L2で示されているのは、底面16のインサイドの端34を通過し、長さ線L1に平行な線である。符号L3で示されているのは、底面16のアウトサイドの端36を通過し、長さ線L1に平行な線である。線L2と線L3との距離Wは、底面16の幅である。図2において符号L4で示されているのは、長さ線L1と平行であり、かつインサイドの端34からの幅方向距離が幅Wの50%である線である。
【0033】
図2において符号L5で示されているのは、長さ線L1と直交し、かつトウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの10%である線である。符号L6で示されているのは、長さ線L1と直交し、かつトウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの45%である線である。
【0034】
アウトソール10の底面のうち、線L2、L4、L5及びL6に囲まれたゾーンZには、切り返しにおいて大きな荷重がかかる。以下、このゾーンZは、「高荷重ゾーン」と称される。
【0035】
図2から明らかなように、高荷重ゾーンZには、3個のスパイク20が存在している。スパイク20の総数は7なので、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の比率PLは43%である。このゴルフシューズでは、スパイク20が高荷重ゾーンZに集中的に配置されている。このゴルフシューズでは、切り返し時のスリップが抑制される。この比率PLは35%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、43%以上が特に好ましい。この比率PLは、50%以下が好ましい。
【0036】
スパイク20の総数が6であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は3が好ましい。スパイク20の総数が7であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は3が好ましい。スパイク20の総数が8であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は3又は4が好ましい。スパイク20の総数が9であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は4が好ましい。スパイク20の総数が10であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は4又は5が好ましい。
【0037】
線L4、L5又はL6にまたがって存在するスパイク20であって、その中心が高荷重ゾーンZに含まれるスパイク20は、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20である。線L4、L5又はL6にまたがって存在するスパイク20であって、その中心が高荷重ゾーンZに含まれないスパイク20は、高荷重ゾーンZに存在しないスパイク20である。
【0038】
インサイドの端34からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの12%以上43%以下であるゾーンに、集中的にスパイク20が存在することが、より好ましい。インサイドの端34からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの15%以上40%以下であるゾーンに、集中的にスパイク20が存在することが、特に好ましい。
【0039】
前述の通り、右足用靴のアウトソールは、図2に示された左足用靴2のアウトソール10の形状がミラー反転した形状を有する。この右足用靴のアウトソールの底面における、インサイドの端34からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンZも、高荷重ゾーンと称される。この高荷重ゾーンZには、インパクトの前後において、大きな荷重がかかる。この高荷重ゾーンZにスパイク20が集中的に配置されることにより、インパクトの前後における右足用靴のスリップが防止される。この高荷重ゾーンZにスパイク20が集中的に配置されることにより、足で地面を蹴る力がゴルフボールに十分に伝達される。このゴルフボールは、大きな飛距離を伴って飛行する。
【0040】
右足用靴においても、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の比率PRは35%が以上好ましく、40%以上がより好ましく、43%以上が特に好ましい。この比率PRは、50%以下が好ましい。
【0041】
右足用靴においても、スパイク20の総数が6であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は3が好ましい。スパイク20の総数が7であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は3が好ましい。スパイク20の総数が8であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は3又は4が好ましい。スパイク20の総数が9であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は4が好ましい。スパイク20の総数が10であるとき、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20の数は4又は5が好ましい。
【0042】
右足用靴においても、インサイドの端34からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの12%以上43%以下であるゾーンに、集中的にスパイク20が存在することが、より好ましい。インサイドの端34からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端12からの長さ方向距離が長さLの15%以上40%以下であるゾーンに、集中的にスパイク20が存在することが、特に好ましい。
【0043】
ゴルフシューズが、高荷重ゾーンZにスパイク20が集中している左足用靴2と、高荷重ゾーンZにスパイク20が集中していない右足用靴とを備えてもよい。このゴルフシューズでは、切り返し時のスリップが抑制される。
【0044】
ゴルフシューズが、高荷重ゾーンZにスパイク20が集中していない左足用靴2と、高荷重ゾーンZにスパイク20が集中している右足用靴とを備えてもよい。このゴルフシューズでは、インパクト時のスリップが抑制される。このゴルフシューズでは、ゴルフボールに十分な力が伝達されうる。
【0045】
図4は、本発明の他の実施形態に係るゴルフシューズの左足用靴のアウトソール40が示された底面図である。図示されていないが、右足用靴のアウトソールは、図4に示された左足用靴のアウトソール40の形状がミラー反転した形状を有する。このアウトソール40は、ベース18と7個の大きなスパイク20と、4個の小さなスパイク42と、多数の小突起22とを有する。スパイク20、42の総数は、11である。大きなスパイク20の詳細な形状は、図3に示されている。換言すれば、このスパイク20は、円盤28と垂下部30とを備えている。小さなスパイク42は、大きなスパイク20が縮小された形状を有する。換言すれば、このスパイク42も、円盤と垂下部とを備えている。小さなスパイク42が、大きなスパイク20とは異なる形状を備えてもよい。これらのスパイク20、42の材質は、図2に示されたアウトソール10のスパイク20の材質と同等である。
【0046】
この実施形態では、高荷重ゾーンZに、3個の大きなスパイク20と2個の小さなスパイク42とが存在している。高荷重ゾーンZに存在するスパイク20、42の数は、5である。前述の通り、スパイク20、42の総数は11なので、高荷重ゾーンZに存在するスパイク20、42の数の、総数に対する比率は、45%である。このゴルフシューズでは、スパイク20、42が高荷重ゾーンZに集中的に配置されている。
【0047】
スパイク20、42が高荷重ゾーンZに集中的に配置されているので、このゴルフシューズでは、切り返し時のスリップが抑制される。右足用靴のアウトソールは、図4に示された左足用靴のアウトソール40の形状がミラー反転した形状を有する。従って、このゴルフシューズでは、インパクトの前後における右足用靴のスリップも防止される。
【実施例】
【0048】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0049】
[実施例1]
モールドにゴム組成物を投入し、加圧しかつ加熱して、ベース及び小突起を成形した。このベースに、図3に示された形状を有する6個のスパイクを取り付けて、左足用靴を得た。高荷重ゾーンにおけるスパイクの数は、3である。モールドにゴム組成物を投入し、加圧しかつ加熱して、ベース及び小突起を成形した。このベースに、図3に示された形状を有する7個のスパイクを取り付けて、右足用靴を得た。高荷重ゾーンにおけるスパイクの数は、2である。
【0050】
[実施例2−15及び比較例1−9]
スパイクの数を下記の表1−5に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−15及び比較例1−9のゴルフシューズを得た。
【0051】
[評価]
ゴルフシューズを右利きのゴルファーに着用させ、水をまいた人工芝生の上で、ドライバーにてゴルフボールを打撃させた。このゴルファーに、切り返し時及びインパクト時の防滑性能について、下記の基準に基づいて格付けさせた。この結果が、下記の表1から5に示されている。
A:滑らない
B:やや滑る
C:滑りやすい
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
表1から5に示されるように、実施例のゴルフシューズは防滑性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係るゴルフシューズは、ゴルフ場でのプレーのときに着用されうる。このゴルフシューズは、ドライビングレンジでのプラクティスのときにも着用されうる。
【符号の説明】
【0059】
2・・・ゴルフシューズ
4・・・アッパー
8・・・ミッドソール
10、40・・・アウトソール
18・・・ベース
20、42・・・スパイク
22・・・小突起
28・・・円盤
30・・・垂下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左足用靴及び右足用靴からなり、
上記左足用靴及び右足用靴のそれぞれが、ベースとこのベースの底面から下方に突出する多数のスパイクとを有するアウトソールを備えており、
上記アウトソールのトウサイドであってかつインサイドに、上記スパイクが集中的に配置されているゴルフシューズ。
【請求項2】
上記アウトソールの底面における、インサイドの端からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンに存在するスパイクの数の、スパイクの総数に対する比率が、35%以上である請求項1に記載のゴルフシューズ。
【請求項3】
上記スパイクが、合成樹脂又は架橋ゴムからなる請求項1又は2に記載のゴルフシューズ。
【請求項4】
上記スパイクが、円盤と、この円盤の周縁から下方に垂下する複数の垂下部とを備えた請求項1から3のいずれかに記載のゴルフシューズ。
【請求項5】
左足用靴及び右足用靴からなり、
上記左足用靴が、ベースとこのベースの底面から下方に突出する多数のスパイクとを有するアウトソールを備えており、
上記アウトソールの底面における、インサイドの端からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンに存在するスパイクの数の、スパイクの総数に対する比率が、35%以上であるゴルフシューズ。
【請求項6】
左足用靴及び右足用靴からなり、
上記右足用靴が、ベースとこのベースの底面から下方に突出する多数のスパイクとを有するアウトソールを備えており、
上記アウトソールの底面における、インサイドの端からの幅方向距離が幅Wの0%以上50%以下であり、トウサイドの端からの長さ方向距離が長さLの10%以上45%以下であるゾーンに存在するスパイクの数の、スパイクの総数に対する比率が、35%以上であるゴルフシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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