説明

α‐オレフィン重合体の製造

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、α‐オレフィン重合体の製造に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、特定の遷移金属化合物と特定の新規なメチルイソブチルアルモキサンからなるα‐オレフィン重合用触媒並びに該重合用触媒を用いたポリα‐オレフィンの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルモキサン及び遷移金属化合物を組み合わせてポリα‐オレフィンを製造する方法は良く知られている(特開昭58−45205号、同58−19309号、同60−35007号、同61−130314号、同62−230802号、同63−142004号、同63−234009号、同64−51408号、同64−66214号各公報)。しかし、これらの技術では、アルミニウム原子あたりの活性が低いため製造コストが高く、また多量のアルミニウムがオレフィン重合体中に残存してしまうために、工業上の問題があると思われる。
【0003】これらの問題を解決する目的で、種々の提案がなされている(特開昭61−211307号、同63−130601号、同64−16803号、特開平2−22308号、同2−167307号各公報)。これらの提案により、アルミニウムあたりの活性は多少改善されているが、このようなアルモキサンは溶解性が悪く、取り扱いにくい上にアルミニウムの除去が難しいため、オレフィン重合体の品質の低下や色相の悪化等の原因となっており、さらに改良が必要であると思われる。
【0004】別の提案として、メチルアルモキサンにその他の有機アルミニウム化合物等を共存させる方法が開示されている(特開昭60−260602号、同60−130604号、同63−89506号、同63−178108号、同63−218707号、同64−9206号、特開平1−315407号、同2−22306号、同2−167310号各公報)。これらの提案によりメチルアルモキサンの使用量は低下しているが、アルミニウムあたりの活性は不充分であり、さらに改善が望まれる。一方、新たな試みとして2種以上のアルキル基を保有するアルモキサン化合物からなるオレフィン重合用触媒成分が提案されている(特開平2−247201号公報)。しかし活性の改良は不充分であり、より一層の活性改良が望まれる。
【0005】〔発明の概要〕
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、上記の従来の技術に見られた数々の問題点を解決することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するために検討を行なった結果なされたものである。
【0008】即ち、本発明によるα‐オレフィン重合用触媒は、下記の成分(A)および成分(B)らなること、を特徴とするものである。
成分(A)
一般式 Q(C4-m )(C4-n )MeXY であらわされる遷移金属化合物、但し、(C4-m )及び(C4-n )は、各々Meに配位する共役五員環配位子(R及びRは各々炭素数1〜20の炭化水素残基、ハロゲン基、アルコキシ基、ケイ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基あるいはホウ素含有炭化水素基(R及びRは同一でも異なってもよく、また複数のRあるいはRはそれぞれ結合していてもよい))を、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を、MeはTi、ZrおよびHfから選ばれる遷移金属を、X及びYは各々水素、ハロゲン基、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基(XとYとは同一でも異なってもよい)を、mは0≦m≦4の整数を、nは0≦n≦4の整数を、示す。
成分(B)
下記の(イ)及び(ロ)の条件を充足するメチルイソブチルアルモキサン。
(イ) メチル基とイソブチル基が4対1〜1対4のモル比で存在すること、(ロ) 27Al−NMRのケミカルシフトが160ppm ないし250ppm に存在し、半値巾が3000Hz以上のピークを有すること。
【0009】また、本発明によるα‐オレフィン重合体の製造法は、下記の成分(A)及び成分(B)からなるα‐オレフィン重合用触媒にα‐オレフィンを接触させて重合させること、を特徴とするものである。
【0010】成分(A)
一般式 Q(C4-m )(C4-n )MeXY であらわされる遷移金属化合物、但し、(C4-m )及び(C4-n )は、各々Meに配位する共役五員環配位子(R及びRは各々炭素数1〜20の炭化水素残基、ハロゲン基、アルコキシ基、ケイ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基あるいはホウ素含有炭化水素基(R及びRは同一でも異なってもよく、また複数のRあるいはRはそれぞれ結合していてもよい))を、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を、MeはTi、ZrおよびHfから選ばれる遷移金属を、X及びYは各々水素、ハロゲン基、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基(XとYとは同一でも異なってもよい)を、mは0≦m≦4の整数を、nは0≦n≦4の整数を、示す。
【0011】成分(B)
下記の(イ)及び(ロ)の条件を充足するメチルイソブチルアルモキサン。
(イ) メチル基とイソブチル基が4対1〜1対4のモル比で存在すること、(ロ) 27Al−NMRのケミカルシフトが160ppm ないし250ppm に存在し、半値巾が3000Hz以上のピークを有すること。
【0012】〔発明の具体的説明〕
<α‐オレフィン重合用触媒>本発明のα‐オレフィン重合用触媒は、成分(A)および成分(B)からなるものである。ここで、「からなる」とは成分(A)および成分(B)を使用する場合にその効果を悪化させない限りにおいては任意の第三成分が共存することを除外するものではない。
【0013】<成分(A)>成分(A)は、一般式Q(C4-m )(C4-n )MeXYであらわされる遷移金属化合物である。すなわち、この化合物は、架橋基Qで架橋させた二つの共役五員環基C4-m およびC4-n 、すなわちQ(C4-m )(C4-n )、が周期律表IVB族の遷移金属化合物MeXYに配位した構造を有するものである。
【0014】ここで共役五員環基C4-m およびC4-n は、それぞれ別個に定義されているけれども、mおよびnならびにRおよびRの定義そのものは同じであるから(詳細後記)、この二つの共役五員環基は同一でも異なってもよいことはいうまでもない。この共役五員環基の一つの具体例は、m=0(あるいはn=0)のシクロペンタジエニル基(架橋基Q以外の置換基のない)である。この共役五員環基がm≠0(あるいはn≠0)であって置換基を有するものである場合は、R(あるいはR)の一つの具体例は、炭化水素基(C〜C20、好ましくはC〜C12)であるが、この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、二価の基としてシクロペンタジエニル基と結合して環を形成していてもよい。後者の代表例は、R(あるいはR)が当該シクロペンタジエニル基の二重結合を共有して縮合六員環を形成しているもの、すなわちこの共役五員環基がインデニル基またはフルオレニル基であるもの、である。すなわち、この共役五員環基の代表例は、置換または非置換の、シクロペンタジエニル基、インデニル基およびフルオレニル基、である。
【0015】RおよびRは、それぞれ、上記のC〜C20、好ましくはC〜C12、の炭化水素基の外に、ハロゲン基(たとえば、塩素、フッ素、臭素)、アルコキシ基(たとえば、C〜C12のもの)、ケイ素含有炭化水素基(たとえば、ケイ素原子を−Si(Ra )(Rb )(Rc )の形で含む炭素数1〜24程度の基)、リン含有炭化水素基(たとえは、リン原子を−P(Ra )(Rb )の形で含む炭素数1〜18程度の基)、窒素含有炭化水素基(たとえば、窒素原子を−N(Ra )(Rb )の形で含む炭素数1〜18程度の基)あるいはホウ素含有炭化水素基(たとえば、ホウ素原子を−B(Ra )(Rb )の形で含む炭素数1〜18程度の基)である。m(あるいはn)が2以上であってR(あるいはR)が複数個存在するときは、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0016】Qは、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基である。詳しくは、(イ)メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基、等の炭素数1〜15の、アルキル基、脂環族基及び/又は芳香族基が置換していてもよい低級アルキレン基ないしシクロアルキレン基、(ロ)シリレン基、ジメチルシリレン基、フェニルメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基等の炭素数1〜12の、アルキル基、脂環族基及び/又は芳香族基が置換していてもよい置換シリレン基、(ハ)ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基(具体的には(CHGe=、(CGe=、(CH−)−P=、(C−)−P=、(C−)−N=、(C−)−N=、(CH−)−B=、(C−)−B=、(C−)−B=、(C−)−Al=、(CHO−)−Al=等)等である。好ましくはアルキレン基および置換シリレン基である。
【0017】Meは周期律表IVB族遷移金属、すなわち、チタン、ジルコニウムおよびハフニウム、である。
【0018】X及びYは、各々水素、ハロゲン基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12、のリン含有炭化水素基(具体的には、たとえばジフェニルホスフィン基)、あるいは炭素数1〜20、好ましくは1〜12、のケイ素含有炭化水素基(具体的には、たとえばトリメチルシリル)である。XとYとは同一でも異なってもよい。mは0≦m≦4を、nは0≦n≦4を、満足する整数をあらわす。
【0019】Meがジルコニウムである場合のこの遷移金属化合物の具体例は、下記の通りである。
【0020】(イ)アルキレン基で架橋した五員環配位子を有する遷移金属化合物、例えば(1)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(2)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(3)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムモノハイドライドモノクロリド、(4)エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、(5)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムモノメトキシモノクロリド、(6)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジエトキシド、(7)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、(8)エチレンビス(4,5,6,7‐テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(9)エチレンビス(2‐メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(10)エチレン(2,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(11)エチレン(2‐メチル‐4‐tert‐ブチルシクロペンタジエニル)(3′‐tert‐ブチル‐5′‐メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(12)エチレン(2,3,5‐トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′‐トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(13)イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(14)イソプロピリデンビス(2,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(15)イソプロピリデンビス(2‐メチル‐4‐tert‐ブチルシクロペンタジエニル)(3′‐tert‐ブチル‐5′‐メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(16)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(17)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドヒドリド、(18)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、(19)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、(20)メチレン(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(21)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(22)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(23)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,3,4,5‐テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(24)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3‐メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(25)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(26)イソプロピリデン(2‐メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(27)イソプロピリデン(2,5‐ジメチルシクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(28)イソプロピリデン(2,5‐ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(29)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(30)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(31)エチレン(2,5‐ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(32)エチレン(2,5‐ジエチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(33)ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(34)ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(35)シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(36)シクロヘキシリデン(2,5‐ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,4′‐ジメチルジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等。
【0021】(ロ)シリレン基架橋五員環配位子を有する遷移金属化合物、例えば(1)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルシリレン(4,5,6,7‐テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(3)ジメチルシリレン(2,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(4)フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(5)フェニルメチルシリレンビス(4,5,6,7‐テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(6)フェニルメチルシリレン(2,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(7)フェニルメチルシリレン(2,3,5‐トリメチルシクロペンタジエニル)(2,4,5‐トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(8)フェニルメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル(ジルコニウムジクロリド、(9)ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(10)テトラメチルジシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(11)テトラメチルジシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(12)テトラメチルジシリレン(3‐メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(14)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(15)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(16)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4‐ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(17)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(トリエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(18)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(19)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(20)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7‐ジ‐t‐ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(21)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(22)ジメチルシリレン(2‐メチルシクロペンタジエニル‐フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(23)ジメチルシリレン(2,5‐ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(24)ジメチルシリレン(2‐エチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(25)ジメチルシリレン(2,5‐ジエチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(26)ジメチルシリレン(2‐メチルシクロペンタジエニル)(2,7‐ジ‐t‐ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(27)ジメチルシリレン(2,5‐ジメチルシクロペンタジエニル)(2,7‐ジ‐t‐ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(28)ジメチルシリレン(2‐エチルシクロペンタジエニル)(2,7‐ジ‐t‐ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(29)ジメチルシリレン(ジエチルシクロペンタジエニル)(2,7‐ジ‐t‐ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(30)ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(31)ジメチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(32)ジメチルシリレン(エチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(33)ジメチルシリレン(ジエチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、等。
【0022】(ハ)ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素、リンあるいは窒素を含む炭化水素基で架橋された五員環配位子を有する遷移金属化合物、例えば(1)ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルゲルマニウム(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(3)メチルアルミニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(4)フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(5)フェニルホスフィノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(6)エチルホラノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(7)フェニルアミノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(8)フェニルアミノ(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、等が例示される。
【0023】(ニ)また、上記(イ)〜(ハ)の化合物の塩素を臭素、ヨウ素、ヒドリド、メチル、フェニル等に置きかえたものも使用可能である。
【0024】本発明では、成分(A)として上記(イ)〜(ニ)に例示したジルコニウム化合物の中心金属をジルコニウムからチタンまたはハフニウムに換えた化合物も用いることが出来る。特に好ましいのは、アルキレン基あるいはシリレン基で架橋したジルコニウム化合物およびハフニウム化合物である。
【0025】<成分(B)>本発明で使用する成分(B)は、一般式(I)又は一般式(II)であらわされる新規なメチルイソブチルアルモキサンである。
【0026】
【化1】


【0027】
【化2】


ここで、R及びRはメチル基とイソブチル基のいずれかを示す。メチル基及びイソブチル基の配列はブロック的でもよくランダム的でもよい。pおよびqは各々1以上の整数を示し、p+qは一般的には2から100、好ましくは4〜50、さらに好ましくは8〜20、である。pとqとの比は、4対1から1対4の間である。この範囲以外では、成分(B)の化合物の性質がメチルアルモキサンあるいはイソブチルアルモキサンの性質に近づいてしまうため本発明の特異的効果はあらわれない。メチル基及びイソブチル基の定量は、13C−NMRあるいはH−NMRを測定したり、水と反応させて発生する加水分解生成物をガスクロマトグラフを用いて分析する方法等により知ることが出来る。アルモキサン化合物の重合度あるいは分子量は、例えばベンゼンの凝固点降下法により知ることが出来る。本発明のアルモキサンは、27Al−NMRの測定により特徴のあるスペクトルを示すものである。すなわち、通常のアルキルアルミニウムでは、ケミカルシフトは4配位を示す150〜155ppm に存在し、半値巾が2000Hz以下のピークを示すのに対し、本発明のアルモキサンはケミカルシフトが160ppm ないし250ppm に存在し、半値巾が3000Hz以上のピークを持つスペクトルを示すという特徴を有する。本発明ではケミカルシフトが160ppm〜200ppm 、特に165ppm 〜180ppm 、の範囲に存在するものが好ましい。また、半値巾が3000Hz以上、特に3500Hz以上、さらには4000Hz〜10,000Hz、であるものが好ましい。
【0028】尚、NMRスペクトルの測定(13C:67.9MHz 、27Al:70.4MHz )は、アルミニウム原子換算で6〜7重量%のトルエン溶液2.5ミリリットルと重ベンゼン0.5ミリリットルとを混合した後、日本電子(株)製GSX−270型NMR測定装置を用いて27℃で測定したときのものである。27Al−NMRスペクトルの測定条件は、パルス巾90゜、パルス間隔0.06秒、積算回数10000回、非デカップリングモードで測定し、27Alケミカルシフトは硫酸アルミニウム水溶液中の〔Al(HO)3+イオンを外部基準(0ppm)とした。スペクトルの半値幅はピークの最大値の半分の高さにおけるピーク幅をHzで換算した。13C−NMRスペクトルの測定条件はパルス幅45゜、パルス間隔5秒、積算回数1000回、プロトンデカップリングモードで、テトラメチルシランを外部基準(0ppm)として測定した。
【0029】このようなメチル基とイソブチル基が4対1から1対4のモル比で存在し、27Al−NMRのケミカルシフトが160〜250ppm に存在し、半値巾が3000Hz以上有するという条件を充足するメチルイソブチルアルモキサン化合物の製造方法は、このような特徴を有するアルモキサンが得られる限り任意であるが、具体的な製造方法の例を挙げると以下のような方法が例示される。
(イ)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを混合し、トルエン、ベンゼン、エーテル等の適当な有機溶剤を用いて直接水と反応させる方法、(ロ)トリメチルアルミニウムと、トリイソブチルアルミニウムを混合し、結晶水を有する塩水和物、例えば硫酸銅、硫酸アルミニウムの水和物、と加熱反応させる方法、(ハ)シリカゲル等に水分を含浸させ、トリイソブチルアルミニウムで処理した後、トリメチルアルミニウムで追加処理する方法、(ニ)メチルアルモキサン及びイソブチルアルモキサンを公知の方法で合成し、これら二成分を所定量混合し、加熱反応する方法、(ホ)ジメチルアルミニウムクロリドと水とを適当な方法で反応し、次いでイソブチルマグネシウムクロリドと加熱反応する方法等が例示される。
【0030】<触媒の形成>本発明の触媒は、上記の成分(A)及び成分(B)を、重合槽内であるいは重合槽外で、重合させるべきモノマーの存在下あるいは非存在下に接触させることにより得ることができる。本発明で使用する成分(A)および成分(B)の使用量は任意であるが、一般的には成分(B)中のアルミニウム原子と成分(A)の遷移金属の原子比(Al/Me)で0.01〜100,000、好ましくは0.1〜30,000である。接触方法は、任意であって重合時に別々に導入して接触させてもよいし、予め接触させたものを使用してもよい。本発明の触媒は、成分(A)および(B)以外に、他の成分を包みうるものであることは前記した通りであるが、成分(A)および(B)に加えることが可能な第三成分(任意成分)としては、例えばHO、メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水素含有化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供与性化合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミニウム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシ含有化合物を例示することができる。
【0031】<オレフィンの重合>本発明によるオレフィン重合用触媒は、通常のスラリー重合に適用されるのはもちろんであるが、実質的に溶媒を用いない液相無溶媒重合、溶液重合または気相重合法にも適用される。また連続重合、回分式重合または予備重合を行なう方式にも適用される。したがって、この触媒にオレフィンを触媒させて重合させることからなる本発明によるオレフィン重合体の製造法は、上記の各重合法ないし重合様式を採用してなるものである。スラリー重合の場合の重合溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素の単独あるいは混合物が用いられる。重合温度は−78℃から200℃程度、好ましくは0℃〜150℃、であり、そのとき分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。スラリー重合のとき、成分(A)の使用量は、0.0001〜1.0グラム成分(A)/リットル溶剤の範囲内が好ましい。本発明による触媒系で重合するオレフィン類、言い換えれば、本発明による触媒に接触させるオレフィン類は、一般式R−CH=CH(ここでRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素残基であり、分枝基を有してもよい。)で表わされるものである。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン‐1、ペンテン‐1、ヘキセン‐1、4‐メチルペンテン‐1などのオレフィン類がある。好ましくはエチレンおよびプロピレンである。これらの重合の場合に、エチレンに対して50重量パーセントまで、好ましくは20重量パーセントまで、の上記オレフィンとの共重合を行なうことができ、プロピレンに対して30重量パーセントまでの上記オレフィン、特にエチレン、との共重合を行なうことができる。その他の共重合性モノマー(たとえば酢酸ビニル、ジオレフィン等)との共重合を行なうこともできる。
【0032】
【実施例】
<実施例1>成分(A)の製造エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを、J. Orgmet. Chem. (288)63〜67 1985の文献に従って合成した。
【0033】成分(B)の製造充分に窒素置換した撹拌機及び還流コンデンサー付の500ミリリットルフラスコに、東ソーアクゾ社製イソブチルアルモキサン(分子量1525)のヘキサン希釈液を200ミリリットル(アルミニウム原子換算で0.06M)及び東ソーアクゾ社製メチルアルモキサン(分子量1232)のトルエン希釈液を50ミリリットル(アルミニウム原子換算で0.06M)を室温下で混合した。次いで70℃に昇温し、4時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去して18.1グラムの白色固体を得た。この白色固体をトルエンに希釈し、13C−NMRを測定した結果、図1のようなスペクトルが得られ、メチル基とイソブチル基が1.16:1の比率であった。また、27Al−NMRを測定した結果、図2に示すように179ppm にケミカルシフトをもつ半値巾6196Hzのピークをもつスペクトルが得られた。
【0034】プロピレンの重合攪拌および温度制御装置のついた内容積1.0リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分に脱水および脱酸素したトルエン400ミリリットル、本発明の触媒成分をアルミニウム原子換算で4ミリモルおよびエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.418ミリグラム(0.001ミリモル)導入し、プロピレン圧力=7kg/cm2 G、重合温度=30℃で4時間重合させた。重合終了後、重合溶液を3リットルのメタノール中に抜き出し、重合体を槇別し乾燥させたところ、155グラムのポリマーが回収された。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定の結果、このものは数平均分子量(Mn)25.1×103 、分子量分布は重量平均分子量/数平均分子量の比で1.92であった。JEOL.FX−200により13C−NMRを測定した結果、トリアッドの〔mm〕分率は、0.925であった。
【0035】<実施例2>成分(B)の製造充分に窒素置換した撹拌機及び還流コンデンサー付の1000ミリリットルフラスコに、脱水及び脱酸素したトルエン100ミリリットルを導入した。次いで、2本の滴下ロートの一方に、トリメチルアルミニウム0.72グラム(10ミリモル)、トリイソブチルアルミニウム1.96グラム(10ミリモル)をトルエン50ミリリットルに希釈し、他の一方に飽和水含有のトルエンを導入し、30℃の条件下で混合アルミニウム溶液及び飽和水含有トルエンをAl及びHOを等モルずつ3時間かけてフィードした。フィード終了後、50℃に昇温し2時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去して1.9グラムの白色固体を得た。この白色固体をトルエンに希釈し、13C−NMRを測定した結果、メチル基とイソブチル基が1:1.35の比率であった。また27Al−NMRを測定した結果、図3に示されるようにケミカルシフト174ppm 、半値巾5844Hzのピークをもつスペクトルが得られた。
プロピレンの重合上記で製造した触媒成分を用いる以外は全て実施例1と同一条件で重合を行なった。その結果、148グラムのポリマーが回収された。数平均分子量(Mn)23.7×103 、分子量分布は1.95であった。立体規則性はトリアッドの〔mm〕分率で0.930であった。
【0036】<比較例1、2>実施例1の成分(B)のかわりに、東ソーアクゾ社製ポリメチルアルモキサン(分子量1232)あるいはシェリング社製のポリメチルアルモキサン(分子量不明)を用いた。27Al−NMRを測定した結果、図4ならびに図5に示されるように各々152ppm 、1690Hz、154ppm 、1549Hzであった。α‐オレフィンの重合は、実施例1と同様にして行なった。結果を表1に示す。
【0037】<比較例3>実施例1の成分(B)のかわりに、東ソーアクゾ社製ポリイソブチルアルモキサン(分子量1525)の27Al−NMR(図6)を用いた。α‐オレフィンの重合を実施例1と同様にして行なった。重合結果を表1に示す。
【0038】<比較例4>特開平2−247201号公報の製造例1と同様の製法でオレフィン重合体を製造した。すなわち、充分に窒素置換した500ミリリットルフラスコに、東ソーアクゾ社製イソブチルアルモキサン(分子量1525)18.0グラムとトリメチルアルミニウム3.3グラムとトルエン150ミリリットルを入れ、−10℃に冷却後、脱気処理済の水0.83グラムを90分かけて滴下した。次いで−10℃で30分間反応後、2時間かけて室温まで昇温した。得られた反応液の溶媒を留去して白色固体19.1グラムを得た。このアルモキサンの27Al−NMRスペクトルを図7に、重合評価の結果を表1に示す。
【0039】<比較例5>特開平2−247201号公報の製造例2と同様の製法でオレフィン重合体を製造した。すなわち、充分に窒素置換した撹拌機付き500ミリリットルフラスコに、東ソーアクゾ社製イソブチルアルモキサン(分子量1525)26.0グラム、東ソーアクゾ社製メチルアルモキサン(分子量1232)11.4グラム及びトルエン350ミリリットルを入れ、−10℃に冷却後、脱気処理済の水0.53グラムを1時間かけて滴下した。−10℃で30分反応後、2時間かけて室温まで昇温した。この反応液を溶媒留去した結果、30.6グラムのアルモキサンが得られた。このアルモキサンの27Al−NMRスペクトルは図8に、重合評価の結果は表1に示される通りである。
【0040】
【表1】


【0041】<実施例3>触媒成分(A)の製造ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドを、J. Orgmet. Chem. (342) 21 〜29 1988及びJ. Orgmet. Chem. (369) 359〜3701989に従って合成した。具体的には、窒素置換した300ミリリットルフラスコに、ビス(インデニル)ジメチルシラン5.4gをテトラヒドロフラン150ミリリットルに希釈し、−50℃以下に冷却した後、n‐ブチルリチウム(1.6M/L)を23.6ミリリットルを30分かけて滴下した。滴下終了後、1時間かけて室温まで昇温し、室温下で4時間反応させ反応液Aを合成した。窒素置換した500ミリリットルフラスコにテトラヒドロフラン200ミリリットル導入し−50℃以下に冷却した後、四塩化ジルコニウム4.38グラムをゆっくり導入した。次いで反応液Aを全量導入した後、3時間かけてゆっくり室温まで昇温した。室温下で2時間反応させた後、さらに60℃に昇温し2時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した後、トルエン100ミリリットルに溶解し再留去によりジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド粗結晶を3.86グラム得た。次いで、この粗結晶をジクロロメタン150ミリリットルに溶解し、500ミリリットルオートクレーブ導入し、白金−カーボン(0.5重量%白金担持)触媒5グラム導入後、H=50kg/cm2 G、50℃の条件下で5時間水添反応を行なった。反応終了後、触媒を槇別した後、溶媒を減圧留去し、トルエンで抽出した後再結晶することにより、目的のジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド1.26グラムを得た。
【0042】プロピレンの重合上記で得たジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドを0.458ミリグラム(0.001ミリモル)導入する以外は全て実施例1と同一条件でプロピレンを重合させた。結果を表2に示す。
【0043】<比較例6>実施例3の成分(A)0.001グラム及び東ソーアクゾ社製メチルアルモキサンを4ミリモル用いる以外は全て同一条件でプロピレンを重合させた。結果を表2に示す。
【0044】<実施例4、比較例7>成分(A)の製造イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの製造充分に窒素置換した500mlフラスコに、THF200ml、フルオレン16.5gを導入し−50℃以下に冷却した後、メチルリチウムジエチルエーテル希釈溶液(1.4M)を67mlを30分かけて滴下した後、徐々に室温まで昇温し3時間反応させた。次いで再度−50℃以下に冷却した後、6,6‐ジメチルフルベン10グラムを30分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくり室温迄昇温し、2昼夜反応させた。反応終了後、HOを60ml加えて反応を停止し、エーテル層を分離し、無水MgSOを用いて脱水した後、エーテルをエバポレーション乾燥することにより2‐シクロペンタジエニル2‐フルオレニルプロパン粗結晶17.6グラムを得た。次いで、上記粗結晶10グラムをTHF100ミリリットルに希釈し−50℃以下に冷却し、n‐ブチルリチウム46.0ml(0.0736モル)を10分間で滴下した。1時間かけて室温に戻し、室温下で2時間反応させた。次に、窒素気流下で、溶媒を蒸発させて乾燥させた後、ジクロロメタン100ミリリットルを加え、−50℃以下に冷却した。次に、予め低温下で50ミリリットルのジクロロメタンに四塩化ジルコニウム8.16グラム混合した溶液を、一気にフィードした。混合後、3時間かけてゆっくり昇温し、室温下で一昼夜反応させた。反応終了後、固形物を槇過して取り除き、槇液を濃縮して再結晶することにより4.68グラムの赤色のイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。
【0045】プロピレンの重合上記の成分(A)を用いる以外は全て、実施例3及び比較例6と同一条件で重合を実施した。結果は表2に示される通りである。
【0046】<実施例5>エチレンの重合攪拌および温度制御装置付きの内容積1.5リットルのステンレス鋼製オートクレーブをエチレンで充分置換した後、充分に脱水および脱酸素したn‐ヘプタンを500ミリリットル導入し、次いで実施例1で得た成分(B)を5ミリモル、実施例3で得た成分(A)を0.46ミリグラム(0.001ミリモル)および水素を300cc導入した後、エチレン圧力7kg/cm2 G、75℃下2時間重合を行なった。結果は表2に示される通りである。
【0047】<比較例8>成分(B)のかわりに東ソーアクゾ社製メチルアルモキサンを用いる以外は全て実施例5と同一条件で重合を実施した。結果は表2に示される通りである。
【0048】
【表2】


【0049】<実施例6>エチレン/1‐ヘキセンの重合攪拌および温度制御装置付きの内容積1.5リットルのステンレス鋼製オートクレーブをエチレンで充分置換した後、充分に脱水および脱酸素したn‐ヘプタンを415ミリリットル及びヘキセンを85ミリリットル導入した。次いで実施例1で得た成分(B)を3ミリモル、実施例3で得た成分(A)を0.46ミリグラム(0.001ミリモル)を導入した後、エチレン圧力7kg/cm2 G、70℃下で2時間重合操行を行なった。重合終了後、得られたスラリーにエタノールを50ミリリットル、水を500ミリリットル導入した後、有機層をエバポレーションし、乾燥させ結果、52.6グラムのポリマーが得られた。従って重合活性は114,300(gポリマー/g触媒)、数平均分子量は57,000、Mw/Mn=2.62、融点は107.2℃であった。
【0050】<実施例7>プロピレン/1‐ヘキセンの重合攪拌および温度制御装置のついた内容積1.0リットルのステンレス鋼製オートクレーブに充分に脱水および脱酸素したトルエン400ミリリットル、1‐ヘキセン10ミリリットル、実施例1で得た成分(B)をアルミニウム原子換算で4ミリモル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.418ミリグラム(0.001ミリモル)導入し、プロピレン圧力=5kg/cm2 G、重合温度=50℃で2時間重合操作を行なった。重合終了後、重合溶液を3リットルのメタノール中に抜き出し、重合体を槇別し乾燥させたところ、121.3グラムのポリマーが回収された。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定の結果、このものは数平均分子量(Mn)18.7×103 、分子量分布は重量平均分子量/数平均分子量の比で1.78であった。トリアッド〔mm〕分率は0.841、ヘキセン含量は3.4モル%であった。
【0051】
【発明の効果】本発明の重合用触媒を用いてポリα‐オレフィンを製造することにより、高分子量のα‐オレフィン重合体を高収率で得ることが可能である。また、アルミニウム成分の使用量を削減しても十分な活性を維持することが可能であり、また本発明のメチルイソブチルアルモキサンは炭化水素溶媒への溶解性が高いために重合体からの除去が容易であり、重合体中の残存するアルミニウム量を大巾に削減出来るため、品質の改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において製造した成分(B)の13C−NMRスペクトル図。
【図2】実施例1において製造した成分(B)の27Al−NMRスペクトル図。
【図3】実施例2において製造した成分(B)の27Al−NMRスペクトル図。
【図4】市販のポリメチルアルモキサンの27Al−NMRスペクトル図。
【図5】市販のポリメチルアルモキサンの27Al−NMRスペクトル図。
【図6】市販のポリイソブチルアルモキサンの27Al−NMRスペクトル図。
【図7】比較例4のアルモキサンの27Al−NMRスペクトル図。
【図8】比較例5のアルモキサンの27Al−NMRスペクトル図。
【図9】チーグラー触媒に関する本発明の技術内容の理解を助けるためのフローチャート図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】下記の成分(A)及び成分(B)からなることを特徴とする、α‐オレフィン重合用触媒。
成分(A)
一般式 Q(C4-m )(C4-n )MeXY であらわされる遷移金属化合物、但し、(C4-m )及び(C4-n )は、各々Meに配位する共役五員環配位子(R及びRは各々炭素数1〜20の炭化水素残基、ハロゲン基、アルコキシ基、ケイ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基あるいはホウ素含有炭化水素基(R及びRは同一でも異なってもよく、また複数のRあるいはRはそれぞれ結合していてもよい))を、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を、MeはTi、ZrおよびHfから選ばれる遷移金属を、X及びYは各々水素、ハロゲン基、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基(XとYとは同一でも異なってもよい)を、mは0≦m≦4の整数を、nは0≦n≦4の整数を、示す。
成分(B)
下記の(イ)及び(ロ)の条件を充足するメチルイソブチルアルモキサン。
(イ) メチル基とイソブチル基が4対1〜1対4のモル比で存在すること、(ロ) 27Al−NMRのケミカルシフトが160ppm ないし250ppm に存在し、半値巾が3000Hz以上のピークを有すること。
【請求項2】下記の成分(A)及び成分(B)からなるα‐オレフィン重合用触媒にα‐オレフィンを接触させて重合させることを特徴とする、α‐オレフィン重合体の製造法。
成分(A)
一般式 Q(C4-m )(C4-n )MeXY であらわされる遷移金属化合物、但し、(C4-m )及び(C4-n )は、各々Meに配位する共役五員環配位子(R及びRは各々炭素数1〜20の炭化水素残基、ハロゲン基、アルコキシ基、ケイ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基あるいはホウ素含有炭化水素基(R及びRは同一でも異なってもよく、また複数のRあるいはRはそれぞれ結合していてもよい))を、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を、MeはTi、ZrおよびHfから選ばれる遷移金属を、X及びYは各々水素、ハロゲン基、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基あるいはケイ素含有炭化水素基(XとYとは同一でも異なってもよい)を、mは0≦m≦4の整数を、nは0≦n≦4の整数を、示す。
成分(B)
下記の(イ)及び(ロ)の条件を充足するメチルイソブチルアルモキサン。
(イ) メチル基とイソブチル基が4対1〜1対4のモル比で存在すること、(ロ) 27Al−NMRのケミカルシフトが160ppm ないし250ppm に存在し、半値巾が3000Hz以上のピークを有すること。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【特許番号】特許第3048653号(P3048653)
【登録日】平成12年3月24日(2000.3.24)
【発行日】平成12年6月5日(2000.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−16583
【出願日】平成3年2月7日(1991.2.7)
【公開番号】特開平5−17519
【公開日】平成5年1月26日(1993.1.26)
【審査請求日】平成10年1月13日(1998.1.13)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【参考文献】
【文献】特開 平4−264110(JP,A)
【文献】特開 平4−266891(JP,A)
【文献】特開 平4−46906(JP,A)
【文献】特開 平3−103407(JP,A)
【文献】特開 平2−250886(JP,A)
【文献】特開 平2−247201(JP,A)