説明

すべり止め舗装施工方法

【課題】除雪作業時に使用されるグレーダのブレードによって、削り取られたり、端部が破損するといったことが起こらず、すべり止め舗装を設置している区間と設置していない区間の境界部においてもタイヤによる騒音が発生しない、すべり止め舗装施工方法を提供する。
【解決手段】舗装路面に、除雪用グレーダのブレード幅(20)より小さい幅の、単一もしくは複数の溝(10)を、車両通行方向に形成する第1工程と、前記溝内にすべり止め舗装材料(12)を充填する第2工程とを含むことを特徴とし、すべり止め舗装材料の上面が前記路面とほぼ面一となるように行われるすべり止め舗装施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すべり止め舗装施工方法に関する。より詳細には、積雪寒冷地の除雪作業時に摩耗、破損しにくいすべり止め舗装施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地では、交差点手前、急カーブ部,急勾配部などの区間にすべり止め舗装が設置されており、すべり止め舗装材料として、アスファルトや改質アスファルトを使用せず樹脂系すべり止め舗装材が使用されている。樹脂系すべり止め舗装材は、たとえば特許文献1、特許文献2、特許文献3などに公知である。
【0003】
前記すべり止め舗装の施工方法は、新設または既設の舗装面上に、すべり止め舗装材料を薄層で塗工する方法や、スプレーによる方法などがあり公知である。
また、舗装道路の路面上に設けられる、センターライン、横断歩道、制限速度表示等のような種々の路面表示の施工方法について、特許文献4では、除雪作業時にグレーダ等を用いる寒冷地においても容易に消失し難い路面表示形成方法として、路面に形成された所定幅の溝内に表示材料を充填する方法が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−100862号公報
【特許文献2】特開平8−231888号公報
【特許文献3】特開平11−21385号公報
【特許文献4】特開2006−144225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記すべり止め舗装の施工方法は、新設または既設の舗装面の上にすべり止め舗装材料の厚さ分突出して塗工やスプレーにより施工されているため、除雪作業時にグレーダのブレードによってすべり止め材料が削り取られることや、すべり止め舗装材料の端部がグレーダのブレードにより破損するという課題がある。
【0006】
さらに、舗装面からすべり止め舗装材料の厚さ分が突出していることから、すべり止め舗装を設置している区間と設置していない区間の境界部では段差が生じ、タイヤによる騒音が発生するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためのものであって、舗装路面に溝を形成する第1工程と、前記溝内にすべり止め舗装材料を充填する第2工程とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
前記第1工程が、除雪用グレーダのブレード幅より小さい幅の、単一もしくは複数の溝を、車両通行方向に形成することを特徴とするものである。
【0009】
前記第2工程は、前記すべり止め舗装材料の上面が前記路面とほぼ面一となるように行われることを特徴とするものである。
【0010】
前前記すべり止め舗装材料は、高温で溶融する樹脂製すべり止め舗装材に、硬質骨材を含んでおり、前記硬質骨材の粒径が、前記溝の深さよりも小さくなるように選定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、すべり止め舗装材料は、除雪用グレーダのブレード幅より小さい幅の溝内にすべり止め舗装材料の上面が前記路面とほぼ面一となるように充填されているので、除雪作業時にグレーダで路面を擦っても、削り取られることや破損することが無く、長期にわたってすべり止め効果があるすべり止め舗装が得られる。また、前記すべり止め舗装材料は、高温で溶融する樹脂製すべり止め舗装材に硬質骨材を含んでおり、前記硬質骨材の粒径が、前記溝の深さよりも小さくなるように選定されており、硬質骨材が前記溝内に留まることから、長期にわたってすべり止め効果が保持できる。
【0012】
さらに、前記溝内にすべり止め舗装材料の上面が路面とほぼ面一となるように充填されているので、すべり止め舗装を設置している区間と設置していない区間の境界部に段差は生じないため、タイヤによる騒音が発生しないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係るすべり止め舗装施工方法について詳細に説明する。図1は本発明の好ましい実施の形態に係るすべり止め舗装施工方法の工程を示した一連の図である。
【0014】
本発明のすべり止め舗装施工方法では、まず、すべり止め舗装を施工する路面に、冬期の除雪作業に使用されるグレーダのブレード幅よりも小さい幅の、単一もしくは複数の溝10を、車両進行方向に形成する(図1(a)参照)。
【0015】
次に、溝10の中に、すべり止め舗装材料12を充填する(図1(b)参照)。すべり止め舗装材料12は、高温で溶融する樹脂製すべり止め舗装材と硬質骨材を含んだものであり、いずれも公知のものを使用して良い。硬質骨材はすべり止め効果があることから、溝10の内に留まり除雪時のグレーダのブレードによる摩耗や損傷を少なくするために、硬質骨材の粒径は、溝10の深さよりも小さくなるように選定する。
【0016】
溝10は、除雪雪作業に使用されるグレーダのブレード幅よりもやや小さい幅の、単一の溝としても良いし、通行車両のタイヤ部分のみとして複数の溝としても良いが、いずれも一つの溝の幅はブレード幅よりも小さくする。(図1(c)および(d)参照)
【0017】
使用するすべり止め材料は、高温で溶融し常温で固化する型式のものを使用し、使用に際しては加熱し溶融状態となったものを溝10に充填する。充填に際してはすべり止め舗装材料の上面が路面とほぼ面一となるように行う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係るすべり止め舗装施工方法の工程を示した一連の図である。
【符号の説明】
【0019】
10 溝
12 すべり止め舗装材料
20 除雪用グレーダのブレード幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路面に溝を形成する第1工程と、
前記溝内にすべり止め舗装材料を充填する第2工程と、
を含むことを特徴とするすべり止め舗装施工方法。
【請求項2】
前記第1工程が、除雪用グレーダのブレード幅より小さい幅の、単一もしくは複数の溝を、車両通行方向に形成することを特徴とする請求項1に記載のすべり止め舗装施工方法。
【請求項3】
前記第2工程が、前記すべり止め舗装材料の上面が前記路面とほぼ面一となるように行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のすべり止め舗装施工方法。
【請求項4】
前記すべり止め舗装材料は、高温で溶融する樹脂製すべり止め舗装材に、硬質骨材を含んでおり、
前記硬質骨材の粒径が、前記溝の深さよりも小さくなるように選定されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載のすべり止め舗装施工方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−308972(P2008−308972A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186294(P2007−186294)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(507212344)財団法人北海道道路管理技術センター (1)
【Fターム(参考)】