説明

ひざ掛け

【課題】引き出しを引いたときや席を外したときにひざ掛け布を折り畳んだ後に広げ直す必要がなく、具合のよい位置にあったひざ掛け布を位置ズレさせることのないひざ掛け吊下具およびひざ掛けが望まれている。
【解決手段】ひざ掛け吊下具1は、机下で左右横向きに配置されるガイド横杆2と、ガイド横杆2の両端にそれぞれ配備されて机の左右内側面で支持される支持部材と、ガイド横杆2に杆芯方向移動自在に取り付けられてひざ掛け布20を着脱自在に把持する少なくとも2つの把持部材4,4とを備えている。また、ガイド横杆2は伸縮自在に構成されており、間隔保持部材5は把持部材4,4間のガイド横杆2に杆芯方向摺動自在に装着されて把持部材4,4間の間隔を保持する。そして、ひざ掛け吊下具1とひざ掛け布20とから、ひざ掛けSが構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机で作業をする際に膝や大腿部を被うひざ掛けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のひざ掛けとしては、円形のひざ掛け布の中央部にヒモ輪や小穴を設けたものが下記の特許文献1に記載されている。このひざ掛けは膝および大腿部などに置いて使用され、円形布であることから使用時にひざ掛け布の端が床などにつきにくく、ヒモ輪や小穴を持ち上げるだけで折り畳めるようになっている。
一方で、机下の天井面に付着させるマグネットや粘着層などの付着具を布に設けたひざ掛けが下記の特許文献2および特許文献3に記載されている。このひざ掛けは付着具によって布が常に机下の天井面に吊下げられているので、使用中にズリ落ちたりすることがなく、席を外すときにもわざわざ折り畳む必要がないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−329407号公報
【特許文献2】特開2002−61010号公報
【特許文献3】登録実用新案第3137131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の従来技術は、利用者が席を外す場合にヒモ輪や小穴を持ち上げるだけで簡単に折り畳めるので便利であるとされているが、簡単とはいえ折り畳まなければならず、再び使用する際にはひざ掛け布を広げて膝および大腿部などに位置合わせしなければならない。特に、頻繁に席を外したり着席したりする人にとっては、このような折り畳む手間や広げて位置合わせする手間が非常に煩わしいものになっていた。
一方で、事務机で仕事をするときにひざ掛けを用いることがままあるが、事務机下の天井部分は引き出しになっている場合が多い。そのため、特許文献2および特許文献3に記載の従来技術のように、マグネットや粘着層などで引き出しの下面に吊り下げるものでは、引き出しを引くとひざ掛け布が共に出てくるため、せっかく程よい位置にあったひざ掛け布も、膝に当っていた部分が大腿部までズリ上がってしまう。その後、引き出しを元に戻しても、ひざ掛け布はズリ上がったままであるからひざ掛け布を程よい位置まで戻さなければならない。他方、利用者が席を外すと、マグネットや粘着層などに吊り下げられているひざ掛け布はしぼんだ状態に吊り下げられる。そのために、再び着席するときは、まず両膝上にひざ掛け布の好ましい部位を置き、次いで残りの部位を大腿部から腰にかけて引き上げるという手間を必要とする。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、席を外したときや引き出しを引いたときに、ひざ掛け布を折り畳んで再び広げ直す必要がなく、程よい位置にあったひざ掛け布を位置ズレさせることのないひざ掛け吊下具およびひざ掛けの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るひざ掛け吊下具は、机下で左右横向きに配置されるガイド横杆と、ガイド横杆の両端にそれぞれ配備されて机の左右内側面で支持される支持部材と、ガイド横杆に杆芯方向摺動自在に取り付けられてひざ掛け布を着脱自在に把持する少なくとも2つの把持部材とを備えた構成にしてある。
【0007】
また、前記構成において、ガイド横杆が、外管と、外管内に出し入れ自在に収容される内管と、から伸縮自在に構成されているものである。
【0008】
そして、前記した各構成において、2つの把持部材間のガイド横杆に杆芯方向摺動自在に装着されて把持部材間の間隔を保持する間隔保持部材を備えるものである。
【0009】
更に、本発明に係るひざ掛けは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のひざ掛け吊下具と、ひざ掛け吊下具の少なくとも2つの把持部材により着脱自在に把持されるひざ掛け布と、から成るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るひざ掛け、および、前記ひざ掛けを構成するひざ掛け吊下具によれば、机の左右内側面にひざ掛け吊下具が支持され、支持されたひざ掛け吊下具にひざ掛け布が把持されるので、机の引き出しが引き出されても、膝などを覆っていたひざ掛け布は影響されない。従って、ひざ掛け布が引き出しと共に出てきて位置ズレするといったことを防ぐことができる。また、ひざ掛け布は、ガイド横杆に取り付けられた少なくとも2つの把持部材で把持されるので、利用者が席を外したときでも、ひざ掛け布は少なくとも2つの把持部材の存在により所定の形態に展張したままであり、且つ、ひざ掛け布は例えば膝や大腿部を覆った程よい位置から位置ズレすることもない。従って、席を外すたびにひざ掛け布を折り畳んだり、着席する際に再びひざ掛け布を広げたりする手間を回避することができる。
【0011】
また、伸縮自在のガイド横杆を備えるひざ掛け吊下具では、外管から内管を出し入れすることができる。従って、種々の机の左右内側面間の間隔に応じて、ガイド横杆の長さを調整することができる。
【0012】
そして、間隔保持部材を備えるひざ掛け吊下具では、ガイド横杆に摺動自在に装着された間隔保持部材が把持部材間の間隔を一定以上に保持するので、ひざ掛け布を展張した状態に保持することができる。また、少なくとも2つの把持部材および間隔保持部材は摺動自在であるので、利用者が机下で膝を左右に動かした場合でもその動作に追従してガイド横杆上を自由に移動することができる。従って、膝を左右に動かしたためにひざ掛け布が位置ズレするということがなく、様々な利用者の満足が得られるひざ掛けを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るひざ掛け吊下具を示す正面部品図である。
【図2】前記ひざ掛け吊下具の側面部品図である。
【図3】前記ひざ掛け吊下具のガイド横杆を示す一部省略した正断面図である。
【図4】前記ひざ掛けのひざ掛け布の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るひざ掛けを示す一部省略した側断面図である。
【図6】図5におけるA−A線矢視断面図である。
【図7】前記ひざ掛けを机下に取り付けた状態を示す背面図である。
【図8】前記ひざ掛けを取り付けた机下に椅子を納めた状態を側面から見た説明図である。
【図9】前記ひざ掛けを使用する態様を側面から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明の一実施形態に係るひざ掛け吊下具を示す正面部品図、図2は前記ひざ掛け吊下具の側面部品図、図3は前記ひざ掛け吊下具のガイド横杆を示す一部省略した正断面図である。
各図において、この実施形態に係るひざ掛け吊下具1は、例えばアルミニウムやプラスチックなどを用いて構成されるガイド横杆2と、ガイド横杆2の下方位置で前後方向を向いて配置される左右2つの芯棒3,3と、ガイド横杆2に杆芯C方向に離間して取り付けられる2つの把持部材4,4と、2つの把持部材4,4間のガイド横杆2に杆芯C方向摺動自在に装着されて把持部材4,4間の間隔を一定以上に保持する間隔保持部材5とを備えている。
【0015】
上記したガイド横杆2は、図3に示すように、例えば円筒状の外管11と、外管11よりも小径で外管11内に出し入れ自在に収容される内管12と、外管11の先端開口に嵌着される栓体18と、内管12の先端開口に嵌着される栓体19とから構成されている。そして、栓体18先端面の凹陥部と栓体19先端面の凹陥部には、マグネットである支持部材6がそれぞれ収容され接着剤などで固定されている。
【0016】
上記した把持部材4は、ガイド横杆2の外管11が摺動自在に装入される円孔10を有するリング部9と、開口部を有する断面円弧形の切欠き筒状に形成されたつかみ部7と、リング部9とつかみ部7を連結する脚部8とから一体に形成されている。
【0017】
上記した芯棒3は例えばプラスチックなどの材料で円柱状ないし円筒状に形成されていて、その上面に載せたひざ掛け布20と共につかみ部7の開口部から装入され、つかみ部7の内周面で把持されるようになっている。
上記した間隔保持部材5は可撓性を有する例えばプラスチックなどの材料で構成され、開口部を有する断面円弧形の切欠き筒状に形成されている。この間隔保持部材5は、内径がガイド横杆2の外管11の外径より大きく形成されていて、外管11の外周面を杆心C方向に自由にスライドできるようになっている。
【0018】
上記のひざ掛け布20は、図4に示すように、前辺eと、左右の側辺g,gと、前辺eよりも長い後辺hと、前辺eと側辺gとをつなぐ左右の斜辺f,fとを有する、平面視六角形状の布として形成されている。このひざ掛け布20は前辺e寄りの部分が先細に形成されていることにより、膝や下肢部の両側方に位置する部分が床などに届くことがなく、汚れを生じにくく不衛生をもたらし難い。そうして、この実施形態のひざ掛けSは、前述したひざ掛け吊下具1と、利用者の膝、大腿部、腰にかけて使用されるひざ掛け布20とから構成される。
【0019】
上記のように構成されたひざ掛けSの作用を次に説明する。
まず、2つの把持部材4,4を外管11に装着し、間隔保持部材5を用意しておく。次に、ガイド横杆2を机下TUで左右横向きに配置し、外管11から内管12を引き出してガイド横杆2の長さを伸ばす。そして、外管11の支持部材6を机Tの右内側面TRに磁着して支持させ、内管12の支持部材6を左内側面TLに磁着して支持させる。続いて、杆芯C方向移動自在の把持部材4,4を外管11上の所望位置に配置させる。その後、把持部材4,4間の外管11に間隔保持部材5を装着することにより、把持部材4,4の間隔を一定に保持する。次に、ひざ掛け布20において把持部材4,4でつかむべき部位を2ヶ所決め、これらの部位の下方位置に芯棒3,3をあてがう。そして、ひざ掛け布20と共に各芯棒3を各把持部材4のつかみ部7内に押し込んで着脱可能に把持させる。すると、図5および図6に示した状態となる。すなわち、ひざ掛け布20は、左右の把持部材4,4により展張した状態に保持される。このときのひざ掛けSおよび机Tの状態を背方から見ると、図7のようになる。
【0020】
そして、図7に示した状態で机下TUに椅子Hを納めると、図8に示すようになる。すなわち、ひざ掛け布20は、前側部分が把持部材4,4により所定の形態に展張したままであり、後側部分が椅子Hの前端部に押されて座席上に載った状態となる。
そこで、利用者が着座する際に、図8に示した椅子Hを引き出して、ひざ掛け布20の後側部分を手で引き上げてそのまま保持し、椅子Hを進めて膝および大腿部をひざ掛け布20の下方に進入させ、展張しているひざ掛け布20の前側部分に膝を当てる。このように、座ったまま椅子Hを進めるだけで、いとも容易く、ひざ掛け布20の程よい部位に膝および大腿部を当てることができる。その後、手で引き上げていたひざ掛け布20の後側部分を下ろすだけで、図9に示すように、この後側部分によって腰部を覆うことができる。この図9の状態で、ガイド横杆2を手で動かしてマグネット製の支持部材6を滑らせることにより、ガイド横杆2の高さと奥行きを程よい位置に簡単に調整することができる。そうして、席を外すときは、ひざ掛け布20の後側部分を持ち上げて、そのまま椅子Hを後退させるだけで、図7のようにひざ掛け布20前部の展張形態を崩すことなく、席から離れることができる。
【0021】
上記したように、本実施形態のひざ掛けSによれば、席を外したときでも、ひざ掛け布20の膝や大腿部を覆っている部分が、間隔保持部材5により一定以上の間隔に保持された把持部材4,4の存在によって所定の形態に展張したままであり、且つ、程よい位置にあったひざ掛け布20が位置ズレすることもない。従って、ひざ掛け布20を折り畳んだり、折り畳んだひざ掛け布20全体を再着席の際に広げたりする必要がない。また、ひざ掛け吊下具1は、机Tの引き出しに支持されるのでなく、机Tの左右内側面TL,TRに支持されるので、引き出しを引いたときにひざ掛け布20が引き出しに随伴して程よい位置から位置ズレするという不具合を回避できる。尚、夏季などでひざ掛け布20を使わないときは、間隔保持部材5をガイド横杆2から外し把持部材4,4を外管11上で移動させてひざ掛け布20を左右の一方側に寄せておくとよい。また、2つの把持部材4,4および間隔保持部材5はガイド横杆2の外管11を摺動自在であるので、利用者が机下TUで膝を左右に動かした場合でも、その動作に追従して外管11上を自由に移動することができる。従って、膝を動かしたためにひざ掛け布20の左右辺部の一方が上がり過ぎて隙間を生じたり、他方が下がって床に着いたりするといったことがない。
【0022】
また、本発明の支持部材としては、マグネット製の支持部材6に替えて、机の左右内側面に付着する粘着剤シートまたはマグネットシートを台板部の一面に貼設し、台板部の他面にリング部材またはフック部材を設け、ガイド横杆の両端にフック部材またはリング部材を設け、リング部材とフック部材とを着脱可能に係止させることにより、ガイド横杆を机の左右内側面に支持させる支持部材を採用することも可能である。また、これらのフック部材またはリング部材とガイド横杆または机の左右内側面との間に、チェーン、紐またはゴム紐などを介在させてもよい。
【0023】
そして、上記では、把持部材4のつかみ部7として、下面が開口した断面円弧状のものを例示したが、把持部材のつかみ部としては、下面開口でなく、側面が開口した断面円弧状のものを用いることも可能である。更に、把持部材のつかみ部としては、断面円弧状のものに替えて、例えばバネ力により芯棒3を挟み持つクリップ式のものを採用してもよい。あるいは、把持部材のつかみ部として、芯棒を使用することなくクリップだけでひざ掛け布をつかむものであっても構わない。
また、上記では、芯棒3および把持部材4の組を2組配備した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えばガイド横杆に配備可能な範囲で3組以上の芯棒および把持部材を配備しても構わない。
そして、本発明に用いるひざ掛け布は、図4に示した平面視六角形のひざ掛け布20に限るものでない。例えば、一般汎用の平面視長方形状のひざ掛け布であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ひざ掛け吊下具
2 ガイド横杆
3 芯棒
4 把持部材
5 間隔保持部材
6 支持部材
7 つかみ部
11 外管
12 内管
20 ひざ掛け布
C 杆芯
D 矢印
S ひざ掛け
T 机
TU 机下

【特許請求の範囲】
【請求項1】
机下で左右横向きに配置されるガイド横杆と、
ガイド横杆の両端にそれぞれ配備されて机の左右内側面で支持される支持部材と、
ガイド横杆に杆芯方向摺動自在に取り付けられてひざ掛け布を着脱自在に把持する少なくとも2つの把持部材と、
を備えて成ることを特徴とするひざ掛け吊下具。
【請求項2】
ガイド横杆が、外管と、外管内に出し入れ自在に収容される内管と、から伸縮自在に構成されている請求項1に記載のひざ掛け吊下具。
【請求項3】
2つの把持部材間のガイド横杆に杆芯方向摺動自在に装着されて把持部材間の間隔を保持する間隔保持部材を備える請求項1または請求項2に記載のひざ掛け吊下具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のひざ掛け吊下具と、
ひざ掛け吊下具の少なくとも2つの把持部材により着脱自在に把持されるひざ掛け布と、
から成ることを特徴とするひざ掛け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−5580(P2012−5580A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142562(P2010−142562)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【特許番号】特許第4700132号(P4700132)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(510175517)
【Fターム(参考)】