説明

まくらなしウェブ印刷機

刷版(232)を受容するための版胴ギャップ(132)を有するなくらなし版胴(32)と、ブランケット(234)を受容するためのブランケット胴ギャップ(134)を有するまくらなしブランケット胴(34)と、版胴の軸端部に配置された第1の基準リング(72)と、ブランケット胴の軸端部に配置された第2の基準リング(74)とが設けられている、ウェブオフセット印刷機が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年7月19日に出願されかつ引用したことにより本明細書に記載されたこととする米国特許仮出願第60/831822号明細書の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して印刷機、特に、まくらによって支持されていないブランケット胴及び版胴を有する印刷機に関する。
【0003】
米国特許第4643090号明細書は、胴と結合されたまくらが分離されている胴抜き位置と、胴入れ位置若しくは印刷位置との間で印刷胴を移動させるための方法及び装置を含む印刷機を開示している。
【0004】
Handbook of Print MediaにおいてHelmut Kipphanは、振動を最小限にするために胴まくらが使用されることを開示している。高い圧延強度を備えた焼入鋼から形成された胴まくらは、振動の効果を最小限にするために版胴及びブランケット胴の側部に挿入されている。胴まくらの初期張力は、28インチ(71.12cm)×40インチ(101.6cm)印刷フォーマットのための印刷において約15000Nである。胴まくらの基本仕事は、胴と歯車との間に通常生ぜしめられる回転振動を回避することである。
【0005】
発明の概要
本発明は、狭いギャップを有する版胴と狭いギャップを有するブランケット胴とを備えた印刷ユニットを有するウェブ印刷機を提供する。狭いギャップにより、まくらが排除されることができる。
【0006】
本発明は、
刷版を受容するための版胴ギャップを有するまくらなし版胴と、
ブランケットを受容するためのブランケット胴ギャップを有するまくらなしブランケット胴と、
版胴の軸方向端部に配置された第1の基準リングと、
ブランケット胴の軸方向端部に配置された第2の基準リングとが設けられた、ウェブを印刷するためのウェブオフセット印刷機を提供する。
【0007】
本発明は、
刷版を受容するための版胴ギャップを有する版胴と、
ブランケットを受容するためのブランケット胴ギャップを有するブランケット胴とが設けられており、
版胴ギャップ及びブランケット胴ギャップが、版胴又はブランケット胴それぞれの円周の0.714%以下である、ウェブを印刷するためのウェブオフセット印刷機をも提供する。
【0008】
本発明の好適な実施形態が図面を参照にして説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による印刷機を示している。
【図2】図1における印刷機の印刷ユニットを示している。
【図3】図2における印刷ユニットの、回動する胴ボックスを示している。
【図4】印刷ユニットのブランケット胴を駆動するモータを示している。
【図5】印刷ユニットのための基準リング及びゲージを示している。
【図6】印刷ユニットの版胴のための刷版を示している。
【図7】印刷ユニットにおける版胴及びブランケット胴の直径を示している。
【0010】
好適な実施形態の詳細な説明
図1は、本発明によるウェブ印刷機の好適な実施形態を示している。印刷機10は例えば4つの印刷ユニット20を有している。各印刷ユニット20は上部印刷対30と下部印刷対31とを有している。上部印刷対は版胴32とブランケット胴34とを有しているのに対し、下部印刷対31はブランケット胴36と版胴38とを有している。版胴32とブランケット胴34との間にはニップ33が形成されている。ブランケット胴34と36との間にはニップ35が形成されている。ブランケット胴36と版胴38との間にはニップ37が形成されている。ウェブ12は、印刷ユニット20によって印刷され、さらに折り機40によって被印刷製品112へ処理される。
【0011】
図2は、それぞれの刷版232,238(図7)を版胴32,38の表面に締め付けるための狭いギャップ132,138を有する版胴32,38を示している。また、ブランケット胴34,36は、それぞれブランケット234,236(図7)をブランケット胴34,36の表面に締め付けるための狭いギャップ134,136を有している。狭いギャップは好適には0.25インチ(6.35mm)未満である。インキ装置50,52はインキをそれぞれの版胴32,38に供給する。胴32,34,36,38は、図3及び図4に示された回動する胴支持体62,64,66,68を介してフレーム14に結合されている。
【0012】
回動する胴支持体62,64,66,68は、ウェブ12が所定の位置にとどまったまま刷版の交換を可能にする。例えば、回動する胴支持体62,64,66,68は、刷版を交換するために版胴32をブランケット胴34から、版胴38をブランケット胴36から分離するように回動する。さらに、回動する胴支持体62,64,66,68は、例えばブランケットを交換するためにブランケット胴34をブランケット胴36から分離するように回動することもできる。すなわち、ブランケット胴34,36をウェブ12から"胴抜き"させておく。回動する胴支持体62,64,66,68は、版胴32をブランケット胴34から、ブランケット胴34をブランケット胴36から、ブランケット胴36を版胴38から分離させるように回転することができる。
【0013】
狭いギャップ132,134,136,138は、振動を最小限にすることができ、胴32,34,36,38を支持するために通常使用されるまくらの必要性を排除する。まくらの必要性を排除することによって、版胴及びブランケット胴32,38,34,36は、選択的な刷版対ブランケットニップトルクと、ゆがみなし最終印刷長さとを達成するように寸法決めされることができる。
【0014】
モータ80は、歯車を介してブランケット胴34及びその他の胴32,36,38を駆動する。各胴32,34,36,38はそれぞれ歯車82,84,86,88を有している。複数のモータを有するその他の変化態様が使用されることができ、例えばブランケット胴34,36が独立して駆動されるか、択一的に、例えば、各胴32,34,36,38が独立して駆動されることができる。
【0015】
図5は、版胴32及びブランケット胴34のための基準リング72,74を示している。ニップ33において基準リング72,74の間にゲージ90が配置されている。各胴32,34,36,38は基準リング72,74,76,78を有しており、各ニップ33,35,37(図1)はゲージ90を有している。基準リング72,74は互いの間に空間を有している。ゲージ90は基準リング72,74の間に挿入されることができる。好適には、基準リング72,74とゲージ90との間の荷重は最小限であり、例えば好適には100N未満である。ゲージ90は、独立した版胴対ブランケット及びブランケット対ブランケットスクイーズ調節を行うために使用されることができる。基準リング72,74,76,78及びゲージ90は例えば鋼から形成されることができる。
【0016】
好適には、印刷ユニット20(図2)は、円周が好適には少なくとも35インチ(88.9cm)、例えば45.5インチ(115.57cm)の版胴及びブランケット胴32,34,36,38(図2)のうちの少なくとも1つを備えたいわゆる4×4商用印刷ユニットである。刷版及びブランケット締付け機構によって保持された刷版及びブランケット縁部のための狭いギャップ132,134,136,138(図2)を備えたこの二重円周構成は、振動を最小限にするのを助けることができ、まくらの排除を可能にすることができる。ギャップ132,134,136,138(図2及び図7)の寸法はそれぞれ、好適には胴32,34,36,38の円周の0.714%以下である。胴32,34,36,38の円周は、測定されるか、又は胴32,34,36,38(図7)の直径から計算されることができる。
【0017】
図6は、ページP1,P2,P3,P4等を備えた平坦な取り付けられていない刷版232を示している。刷版32は、幅W、例えば40インチ(101.6cm)、及び長さL、例えば45.5インチ(115.57cm)を有している。各ページは、幅w、例えば公称で10インチ(25.4cm)幅(40/10)、及び長さl、例えば公称で11.375インチ(28.8925cm)長さ(45.5/4)を有している。好適な印刷ユニットは一般的に、横方向4ページ、周方向4ページ、縦目フォーマット、ergo 4×4と呼ばれる。版胴及びブランケット胴は周方向で例えば公称で45.5インチ(115.57cm)である。
【0018】
まくらがないことにより、版胴及びブランケット胴32,34,36,38(図7)は、最適な刷版対ブランケットニップトルクと、ゆがみなし最終印刷長さとを達成するように戦略的に寸法決めされることができる。刷版232,238及びブランケット234,236が取り付けられた版胴及びブランケット胴32,34,36,38の直径d32,d34,d36,d38は好適には、版胴の直径d32,d38がブランケット胴直径d34,d36よりも大きい、例えばd32>d34であるようになっており、直径の正確な比は、特別な計算と、ニップトルク及びゆがみなし最終印刷長さを最適化するために、幅、使用されるブランケット材料等の様々な量に基づく実験的な検証とによって、決定されることができる。
【0019】
前記説明において、発明は、発明の特定の典型的な実施形態及び実施例に関して説明された。しかしながら、請求項に示された発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなくそれらに様々な変更が加えられることができることは明らかである。したがって、明細書及び図面は制限的な意味ではなく例示的な形式で見なされるべきである。
【符号の説明】
【0020】
10 印刷機、 20 印刷ユニット、 30 上部印刷対、 31 下部印刷対、 32,38 版胴、 34,36 ブランケット胴、 35,37 ニップ、 132,134,136,138 狭いギャップ、 234,236 ブランケット、 62,64,66,68 胴支持体、 72,74,76,78 基準リング、 82,84,86,88 歯車、 90 ゲージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを印刷するためのウェブオフセット印刷機において、
刷版を受容するための版胴ギャップを有するまくらなし版胴と、
ブランケットを受容するためのブランケット胴ギャップを有するまくらなしブランケット胴と、
版胴の軸端部に配置された第1の基準リングと、
ブランケット胴の軸端部に配置された第2の基準リングとが設けられていることを特徴とする、ウェブオフセット印刷機。
【請求項2】
スクイーズ圧力を記録するために第1の基準リングと第2の基準リングとの間にゲージが設けられている、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項3】
ブランケットがゴムである、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項4】
版胴ギャップが約0.25インチ以下である、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項5】
ブランケット胴ギャップが約0.25インチ以下である、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項6】
版胴ギャップが、版胴の円周の0.714%以下である、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項7】
ブランケット胴ギャップが、ブランケット胴の円周の0.714%以下である、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項8】
版胴が、ブランケット胴の直径よりも大きな直径を有する、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項9】
版胴又はブランケット胴の円周が少なくとも35インチである、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項10】
版胴又はブランケット胴の円周が45.5インチである、請求項9記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項11】
版胴及びブランケット胴を支持するための回動する胴支持体が設けられている、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項12】
版胴及びブランケット胴を駆動するためのモータ及び歯車が設けられている、請求項1記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項13】
ウェブを印刷するためのウェブオフセット印刷機において、
刷版を受容するための版胴ギャップを有する版胴と、
ブランケットを受容するためのブランケット胴ギャップを有するブランケット胴とが設けられており、
版胴ギャップ及びブランケット胴ギャップが、それぞれ版胴又はブランケット胴の円周の0.714%以下であることを特徴とする、ウェブオフセット印刷機。
【請求項14】
版胴ギャップの幅が約0.25インチ以下である、請求項13記載のウェブオフセット印刷機。
【請求項15】
ブランケット胴ギャップの幅が約0.25インチ以下である、請求項13記載のウェブオフセット印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−543720(P2009−543720A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520843(P2009−520843)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/016399
【国際公開番号】WO2008/011118
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508329715)ゴス インターナショナル アメリカス インコーポレイテッド (42)
【氏名又は名称原語表記】Goss International Americas, Inc.
【住所又は居所原語表記】121 Technologz Drive, Durham NH 03820, United States of America
【Fターム(参考)】