説明

まつ毛カ−ル器

【解決手段】挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19bを通る想定水平面Hに対し直交して両端部16a,16b,19a,19bを互いに結ぶ方向Yへ並ぶ各想定鉛直面VYが挟持面16,19と交差する各交差部20のうち、想定鉛直面VYで想定水平面Hに対しなす鉛直距離LVが最大となる挟持面16,19の最大高さ交差部20Vは、挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19b間の中央位置16c,19cを通る想定鉛直面VYよりも一方の端部16a,19a側に位置している。
【効果】鼻側に片寄ったへの字形状になっている左目や右目のまつ毛の形態に合った挟持面16,19の形態とすることで、両挟持面16,19間でまつ毛を挟持する際にまつ毛の形態に対し挟持面16,19の形態を合わせ易くして使い勝手を良くし、まつ毛のカ−ルを良好に行い得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接近離間する両挟持面間でまつ毛を挟持することができるまつ毛カ−ル器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されたまつ毛カ−ル器では、上下方向へ互いに接近離間する上下両挟持面における延設方向の両端部を通る想定水平面に対し直交してその両端部を互いに結ぶ左右方向へ並ぶ各想定鉛直面が挟持面と交差する各交差部のうち、この想定鉛直面上でこの想定水平面に対しなす鉛直距離が最大となる挟持面上の最大高さ交差部は、挟持面の両端部間の中央位置を通る想定鉛直面上に位置している。また、下記特許文献1に開示されたまつ毛カ−ル器では、挟持面における延設方向の両端部を通る第二の想定鉛直面に対し直交してその両端部を互いに結ぶ方向へ並ぶ第一の各想定鉛直面が挟持面と交差する各交差部のうち、この第一の想定鉛直面上でこの第二の想定鉛直面に対しなす水平距離が最大となる挟持面上の最大幅交差部は、挟持面の両端部間の中央位置を通る第一の想定鉛直面上に位置している。すなわち、挟持面は左右方向で線対称形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001―204535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたまつ毛カ−ル器では、鼻側に片寄ったへの字形状に湾曲しているばかりでなく顔面から前方へ膨らむように湾曲している左目のまつ毛の形態や右目のまつ毛の形態に対し、前述したように線対称形状に形成された挟持面の形態を合わせにくいので、両挟持面間でまつ毛を挟持しにくくなって使い勝手が悪くなっていた。
【0005】
この発明は、まつ毛カ−ル器において、まつ毛の形態に合った挟持面の形態とすることにより、まつ毛のカ−ルを良好に行い得るように挟持面の形態を改良することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜7)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかるまつ毛カ−ル器は、下記のように構成されている。
このまつ毛カ−ル器は、互いに接近離間する両挟持面16,19間でまつ毛を挟持することができる。この挟持面16,19における延設方向の両端部16a,16b,19a,19bを通る想定水平面Hに対し直交してその両端部16a,16b,19a,19bを互いに結ぶ方向Yへ並ぶ各想定鉛直面VYが挟持面16,19と交差する各交差部20のうち、この想定鉛直面VY上でこの想定水平面Hに対しなす鉛直距離LVが最大となる挟持面16,19上の最大高さ交差部20Vは、挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19b間の中央位置16c,19cを通る想定鉛直面VYよりも一方の端部16a,19a側に位置している。
【0007】
請求項1の発明では、両挟持面16,19間でまつ毛を挟持する際に、鼻側に片寄ったへの字形状になっている左目のまつ毛の形態や右目のまつ毛の形態に対しその挟持面16,19の形態を合わせ易くして、両挟持面16,19間でまつ毛を挟持し易くし、使い勝手を良くすることができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記挟持面16,19の延設線全体は、前記最大高さ交差部20Vと前記挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19bとを通る両想定傾斜面Sと前記想定水平面Hとによりなす領域Tの外側に位置するように設定されている。請求項2の発明では、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0009】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記挟持面16,19の延設線全体は、前記領域Tの外側に膨らむ凸状に設定されている。請求項3の発明では、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0010】
請求項1または請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記挟持面16,19の延設線全体は鉛直方向Zへ湾曲しているとともに水平方向Xへ湾曲し、前記想定水平面Hに対し直交してその両端部16a,16b,19a,19bを互いに結ぶ方向Yへ並ぶ各想定鉛直面VYが挟持面16,19と交差する各交差部20のうち、前記挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19bを通る想定鉛直面VXに対しなす水平距離LHが最大となる挟持面16,19上の最大幅交差部20Hは、前記最大高さ交差部20Vと異なる位置に設定されている。請求項4の発明では、実際のまつ毛が鼻側に片寄ったへの字形状に湾曲しているばかりでなく顔面から前方へ膨らむように湾曲していることに鑑み、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0011】
請求項5の発明にかかるまつ毛カ−ル器は、下記のように構成されている。
このまつ毛カ−ル器は、互いに接近離間する両挟持面16,19間でまつ毛を挟持することができる。この挟持面16,19の延設線全体は鉛直方向Zへ湾曲しているとともに水平方向Xへ湾曲している。この挟持面16,19における延設方向の両端部16a,16b,19a,19bを通る想定水平面Hに対し直交してその両端部16a,16b,19a,19bを互いに結ぶ方向Yへ並ぶ第一の各想定鉛直面VYが挟持面16,19と交差する各交差部20のうち、この第一の想定鉛直面VY上でこの想定水平面Hに対しなす鉛直距離LVが最大となる挟持面16,19上の最大高さ交差部20Vと、前記挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19bを通る第二の想定鉛直面VXに対しなす水平距離LHが最大となる挟持面16,19上の最大幅交差部20Hとは、互いに異なる位置に設定されている。
【0012】
請求項5の発明では、実際のまつ毛が鼻側に片寄ったへの字形状に湾曲しているばかりでなく顔面から前方へ膨らむように湾曲していることに鑑み、左目のまつ毛の形態や右目のまつ毛の形態に挟持面16,19の形態を合わせ易くして、両挟持面16,19間でまつ毛を挟持し易くし、使い勝手を良くすることができる。
【0013】
請求項6の発明にかかるまつ毛カ−ル器は、特に図7に示すように、下記のように構成されている。
このまつ毛カ−ル器は、互いに接近離間する両挟持面16,19間でまつ毛を挟持することができる。この挟持面16,19における延設方向の両端部16a,16b,19a,19bを通る第二の想定鉛直面VXに対し直交してその両端部16a,16b,19a,19bを互いに結ぶ方向Yへ並ぶ第一の各想定鉛直面VYが挟持面16,19と交差する各交差部20のうち、この第一の想定鉛直面VY上でこの第二の想定鉛直面VXに対しなす水平距離LHが最大となる挟持面16,19上の最大幅交差部20Hは、挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19b間の中央位置16c,19cを通る想定鉛直面VYよりも一方の端部16a,19a側に位置している。
【0014】
請求項6の発明では、両挟持面16,19間でまつ毛を挟持する際に、顔面から前方へ膨らむように湾曲している左目のまつ毛の形態や右目のまつ毛の形態に対しその挟持面16,19の形態を合わせ易くして、両挟持面16,19間でまつ毛を挟持し易くし、使い勝手を良くすることができる。
【0015】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする第7の発明において、前記挟持面16,19上の各交差部20がなす前記鉛直距離LVを、前記挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19bから前記最大高さ交差部20Vに向うに従い次第に大きくするように、挟持面16,19の延設線を設定した。第7の発明では、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0016】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明、または第7の発明を前提とする第8の発明において、前記挟持面16,19の延設線に対する接線を含む面Fが想定水平面Hに対しなす傾き角θを、前記挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19bから前記最大高さ交差部20Vに向うに従い次第に小さくするように、挟持面16,19の延設線を設定した。第8の発明では、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0017】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第7〜8の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第9の発明において、前記挟持面16,19の延設線全体は、互いに曲率半径の異なる単数の曲線を複数連続させた曲線からなる。第9の発明では、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0018】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第7〜9の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第10の発明において、前記両挟持面16,19のうち少なくとも一方の挟持面19は弾性体18に設けられ、他方の挟持面16に対し相対向する弾性体18の挟持面19には挟持面19の延設線に沿って延びる溝18aを設けた。第10の発明では、両挟持面16,19間でまつ毛を確実に挟持して使い勝手を良くすることができる。
【0019】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第7〜10の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第11の発明において、前記各想定鉛直面VYが両挟持面16,19と交差する両交差部20間の鉛直距離MVは、両挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19b間全体にわたり等しく設定されている。第11の発明では、両挟持面16,19間でまつ毛を同時に挟持して位置決めし、使い勝手を良くすることができる。
【0020】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第7〜11の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第12の発明において、前記挟持面16,19の最大高さ交差部20Vは、挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19b間の中央位置16c,19cを通る想定鉛直面VYよりも一方の端部16a,19a側にのみ位置している。第12の発明では、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0021】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第7〜12の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第13の発明において、前記挟持面16,19の最大高さ交差部20Vは一つのみ設けられている。第13の発明では、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0022】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第7〜13の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第14の発明(特に図6参照)において、前記両挟持面16,19のうち少なくとも一方の挟持面19は弾性体18に形成され、一方の挟持面19の最大高さ交差部20Vと他方の挟持面16の最大高さ交差部20Vとが互いに当接した後、それらの最大高さ交差部20V側から両端部16a,16b,19a,19b側へ至る両挟持面16,19も次第に当接した状態では、最大高さ交差部20V側で最大の挟持力が生じ、両端部16a,16b,19a,19b側に至るに従い挟持力が小さくなるように、挟持面16,19の延設線が設定されている。第14の発明では、両挟持面16,19を次第に接近させて両挟持面16,19間でまつ毛を挟持する際、まつ毛の挟持当初にまつ毛を確実に挟持して位置決めした後、最大高さ交差部20V側と両端部16a,16b,19a,19b側とで挟持力に変化を持たせて、まつ毛に対する挟持感覚を良くし、使い勝手を良くすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、まつ毛カ−ル器において、まつ毛の形態に合った挟持面16,19の形態とすることにより、使い勝手を良くしてまつ毛のカ−ルを良好に行うことができる。従って、左目のまつ毛または右目のまつ毛に適したまつ毛カ−ル器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本実施形態にかかる左目用まつ毛カ−ル器の不使用状態においてその正面側を示す斜視図であり、(b)は同じくその背面側を示す斜視図であり、(c)は同じく縦断面図である。
【図2】(a)は本実施形態にかかる左目用まつ毛カ−ル器の不使用状態においてその正面図であり、(b)は本実施形態にかかる右目用まつ毛カ−ル器の不使用状態においてその正面図である。
【図3】(a)は図2(a)のA−A線拡大断面図であり、(b)は図2(a)のB−B線拡大断面図である。
【図4】(a)は本実施形態にかかる左目用まつ毛カ−ル器の使用状態において操作レバーに対する操作前状態を示す縦断面図であり、(b)は同じく操作レバーに対する操作後状態を示す縦断面図であり、(c)は同じく操作レバーに対する操作後状態を示す正面図である。
【図5】(a)は図2(a)に示す両挟持面を示す模式図であり、(b)は図4(c)に示す両挟持面の非圧接状態を示す模式図であり、(c)は図4(c)に示す両挟持面の圧接状態を示す模式図である。
【図6】(a)は本実施形態の別例1にかかる左目用まつ毛カ−ル器の不使用状態において操作レバーに対する操作前状態にある両挟持面を示す模式図であり、(b)は同じく操作レバーに対する操作後状態にある両挟持面の非圧接状態を示す模式図であり、(c)は同じく操作レバーに対する操作後状態にある両挟持面の圧接状態を示す模式図である。
【図7】(a)は本実施形態の別例2にかかる左目用まつ毛カ−ル器の不使用状態において図3(a)に相当する拡大断面図であり、(b)は図3(b)に相当する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態にかかるまつ毛カ−ル器について図1〜7を参照して説明する。
図1、図2(a)及び図3に示す左目用まつ毛カ−ル器において、プラスチックにより成形された固定部材1は、前後方向Xに配設されて互いに一体的に取着された前側壁部材2と後側壁部材3とからなる。この後側壁部材3における左右方向Yの両側から縦枠部4が上方へ延設され、この左右両縦枠部4の上端部間には横枠部5が左右方向Yへ架設されてこの前側壁部材2の上端部に対し上下方向Zで対向している。この前側壁部材2と後側壁部材3との間に形成された空洞部6でその左右方向Yの中央に形成されたばね孔(図示せず)に圧縮コイルばね7が支持されている。
【0026】
図1、図2(a)及び図3に示す左目用まつ毛カ−ル器において、プラスチックにより成形された可動体8は、この空洞部6に対し上下方向Zへ移動可能に挿嵌され、前記ばね孔(図示せず)の左右方向Yの両側で空洞部6に挿嵌された縦枠部9と、この左右両縦枠部9の上端部間で左右方向Yへ架設された横枠部10とを有している。この左右両縦枠部9の下端部間がこの圧縮コイルばね7により付勢されてこの可動体8が下方へ移動して待機位置Pで停止している。この後側壁部材3の左右両縦枠部4間に左右方向Yへ架設された支軸11において、その左右両縦枠部4間の中央には操作レバー12が上下方向Zへ回動可能に支持されているとともに、その左右両縦枠部4とこの操作レバー12との間で押圧レバー13が上下方向Zへ回動可能に支持されている。この可動体8の左右両縦枠部9に形成された切欠部14には前後両壁部材2,3間の空洞部6内でこの左右両押圧レバー13が係入されている。
【0027】
前記後側壁部材3の横枠部5には左右方向Yへ延びる尖端縁15が前後方向Xの厚みを下側に向かうほど狭くするように形成され、その尖端縁15には上側挟持面16が下向きに形成されている。前記可動体8の横枠部10には左右方向Yへ延びる押圧縁部17が形成されているとともに、その押圧縁部17にはゴム等からなる弾性体18がその押圧縁部17に沿って着脱可能に嵌着され、その弾性体18には前記上側挟持面16に面する下側挟持面19が形成されている。この弾性体18の下側挟持面19には左右方向Yに沿って延びる溝18aが形成されている。
【0028】
図2(a)の模式図である図5(a)と、図4(c)の模式図である図5(b)(c)とに示すように、前記上側挟持面16及び下側挟持面19は、それぞれ、下記のように構成されている。
【0029】
前記挟持面16,19の延設線全体は、それぞれ、図5(a)に示すように上下方向Zである鉛直方向のうち上方へ湾曲して互いに曲率半径の異なる単数の円弧曲線を複数連続させた曲線からなっているとともに、図3(a)(b)に示すように前後方向Xである水平方向のうち後方へ湾曲して単数の円弧曲線または互いに曲率半径の異なる単数の円弧曲線を複数連続させた曲線からなっている。この挟持面16または19における延設線の延設方向の両端部16a,16bまたは19a,19bを同時に通る一つの想定水平面をHとし、その特定想定水平面Hに対し直交してその両端部16a,16bまたは19a,19bを互いに結ぶ左右方向Yへ並ぶ多数の想定鉛直面をVYとした場合、その各想定鉛直面VYが挟持面16または19と交差する多数の交差部20のうち、この各想定鉛直面VY上でこの想定水平面Hに対しなす鉛直距離LVが最大となる挟持面16または19上の最大高さ交差部20(20V)は、挟持面16または19の両端部16a,16bまたは19a,19b間の中央位置16cまたは19cを通る想定鉛直面VYよりも一方の端部16aまたは19a側で一つのみ形成され、この最大高さ交差部20(20V)を通る想定鉛直面VYに対し一方の端部16a,19aがなす水平距離N1と他方の端部16b,19bがなす水平距離N2との比(N1:N2)は、(2:3)に設定され、(1:4)〜(4:5)に設定することが好ましい。前記最大高さ交差部20(20V)と挟持面16または19の両端部16a,16bまたは19a,19bのうちいずれかとを同時に通る両想定傾斜面をSとした場合、前記挟持面16または19の延設線全体は、その両想定傾斜面Sと前記想定水平面Hとによりなす領域Tの外側に位置してその領域Tの外側に膨らむ凸状に設定されている。前記挟持面16または19の延設線に対する接線を含む面Fが想定水平面Hに対しなす傾き角をθとした場合、前記挟持面16または19の両端部16a,16bまたは19a,19bから前記最大高さ交差部20(20V)に向うに従い、その傾き角θが次第に小さくなるように、且つ、前記鉛直距離LVが次第に大きくなるように、挟持面16または19の延設線が設定されている。前記各想定鉛直面VYが上下両挟持面16または19と交差する上下両交差部20間の鉛直距離MVは、上下両挟持面16または19の両端部16a,16bまたは19a,19b間全体にわたり等しく設定され、約7mmに設定されているが、3〜15mmに設定することが好ましい。
【0030】
また、図3(a)(b)に示すように、前記挟持面16または19の両端部16a,16bまたは19a,19bを同時に通る一つの想定鉛直面をVXとした場合、前記各想定鉛直面VYが挟持面16または19と交差する各交差部20のうち、その想定鉛直面VXに対しなす水平距離LHは、約1.0mmに設定されているが、0.5〜3.0mmに設定することが好ましく、その水平距離LHが最大となる挟持面16または19上の最大幅交差部20(20H)は、前記最大高さ交差部20(20V)と異なる位置で、挟持面16または19の両端部16a,16bまたは19a,19b間の中央位置16cまたは19cを通る想定鉛直面VYに設定されている。これらの挟持面16または19は単数の円弧曲線であってその曲率半径は5〜100mmに設定されている。
【0031】
なお、図2(b)に示す右目用まつ毛カ−ル器においては、前述した左目用まつ毛カ−ル器と比較して、上側挟持面16の形態等と下側挟持面19の形態等とが左右方向Yで互いに逆になっている点で異なるだけである。
【0032】
図1〜3及び図5(a)に示すように、操作レバー12を起こして後側壁部材3の左右両縦枠部4間に収容した不使用状態から、図4(a)に示すように操作レバー12を倒した使用状態において、図4(b)(c)に示すように操作レバー12を押し下げると、その操作レバー12により押圧レバー13が上方へ回動して可動体8を圧縮コイルばね7の付勢力に抗して持ち上げ、この可動体8はその下側挟持面19で前記上側挟持面16に当接した挟持位置Qで停止する。その挟持位置Qでは、下側挟持面19の溝18aに上側挟持面16が入り込んだ状態で下側挟持面19が尖端縁15の前後両面に圧接されて弾性体18が図5(b)(c)に示すように圧縮されながら、その上下両挟持面16,19間により挟持されたまつ毛が上側挟持面16により押し下げられて下側挟持面19の溝18aに沿って屈曲される。その際、上下両挟持面16,19により略同一の挟持力でまつ毛を挟持する。図4(b)(c)に示す使用状態において、操作レバー12を離すと、圧縮コイルばね7の付勢力により可動体8が下方へ移動するとともに押圧レバー13が下方へ回動して図4(a)に示す使用状態に戻る。
【0033】
一方、本実施形態の別例1として示す図6の模式図は、図5の模式図と比較して下記の点で異なる。
図5(a)に示すように、前記各想定鉛直面VYが上下両挟持面16,19と交差する上下両交差部20間の鉛直距離MVは、上下両挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19b間全体にわたり等しく設定されているため、図5(b)(c)に示すように、上下両挟持面16,19はそれらの延設線全体にわたり同時に当接する。
【0034】
図6(a)に示すように、その鉛直距離MVが上下両挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19bから前記最大高さ交差部20Vに向うに従い次第に小さくなるように設定されているため、図6(b)に示すように、上下両挟持面16,19の最大高さ交差部20Vのみが互いに当接した状態で、上下両挟持面16,19間には隙間Gが生じる。その隙間Gは、最大高さ交差部20Vから両端部16a,16b,19a,19bに向うに従い次第に広がり、0.1〜3.0mmに設定することが好ましい。その後、図6(c)に示すように、上下両挟持面16,19はその隙間Gをなくすように弾性体18を圧縮させながら最大高さ交差部20V側から両端部16a,16b,19a,19b側へ次第に当接する。この隙間Gにより、図6(c)の当接状態では、最大高さ交差部20V側で最大の挟持力が生じ、両端部16a,16b,19a,19b側に至るに従い挟持力が小さくなる。
【0035】
図7(a)(b)に示す本実施形態の別例2は、図3(a)(b)と比較して、挟持面16,19上の最大幅交差部20Hが挟持面16,19の両端部16a,16b,19a,19b間の中央位置16c,19cを通る想定鉛直面VYよりも一方の端部16a,19a側に位置している点で異なる。
【0036】
本実施形態は下記の効果を有する。
・ 実際のまつ毛が鼻側に片寄ったへの字形状に湾曲しているばかりでなく顔面から前方へ膨らむように湾曲していることに鑑み、左目のまつ毛の形態や右目のまつ毛の形態に合った挟持面16,19の形態とすることにより、両挟持面16,19間でまつ毛を挟持する際に、まつ毛の形態に対しその挟持面16,19の形態を合わせ易くして、使い勝手を良くし、まつ毛のカ−ルを良好に行い得る左目専用または右目専用のまつ毛カ−ル器を提供することができる。
【0037】
・ 前述したように挟持面16,19の形態をまつ毛の形態にできる限り近付けるように各種改良することにより、まつ毛の形態に挟持面16,19の形態をより一層合わせ易くして使い勝手を良くすることができる。
【0038】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記挟持面16,19の延設線全体については、曲線と直線との組み合わせにより形成してもよい。
【0039】
・ 前記挟持面16,19の延設線全体については、凸状曲線と凹状曲線との組み合わせにより形成してもよい。
・ 前記挟持面16,19の延設線全体については、その延設線の一部または全部を前記想定傾斜面S上や前記領域Tの内側に位置させてもよい。
【0040】
・ 前記挟持面16,19の延設線全体については、複数の最大高さ交差部20(20V)や複数の最大幅交差部20(20H)を設けてもよい。
・ 前記上下両挟持面16,19のうち下側挟持面19は弾性体18に設けられているが、上側挟持面16も弾性体に設けてもよい。また、前記上下両挟持面16,19のうち下側挟持面19も上側挟持面16と同様に弾性体に設けることなく構成してもよい。
【0041】
・ 前記下側挟持面19を形成した弾性体18において溝18aを省略してもよい。
・ 前記下側挟持面19を形成した弾性体18の予備を前記固定部材1に収容し得るようにしてもよい。
【0042】
・ 前記弾性体18において左右方向Yの両端部間の水平距離は約26mmに設定されているため、まつ毛に対する一度の挟持でまつ毛の全体をカールすることができる。この水平距離は5〜35mmに設定することが好ましい。この水平距離を短くした場合には、まつ毛の一部だけを挟持してカールしたり、まつ毛に対する複数度の挟持でまつ毛の全体または一部をカールしたり、まつ毛を複数度挟持する際に挟持力を部分的に変更してカールすることができる。
【0043】
・ 前記上下両挟持面16,19のうち下側挟持面19は可動体8に設けられているが、上側挟持面16も可動体に設けてそれらの可動体を互いに接近離間させてもよい。
・ 前記まつ毛カ−ル器は上まつ毛に使用されるが、まつ毛カ−ル器の全体を上下逆にして下まつ毛に使用したり、上側挟持面16を有する上側挟持部と下側挟持面19を有する下側挟持部において湾曲向きを上下逆にできるようにして下まつ毛に使用したりすることができる。
【0044】
・ 上側挟持面16を有する上側挟持部と下側挟持面19を有する下側挟持部とを本体に対し着脱可能に支持し、その上側挟持面16の形態を互いに相違させた複数の上側挟持部とその下側挟持面19の形態を互いに相違させた複数の下側挟持部とから適宜選択してそれらを互いに組み合わせて一つの本体に支持するようにしてもよい。
【0045】
・ 左目用まつ毛カ−ル器と右目用まつ毛カ−ル器とを一体的に合体させた左右両用まつ毛カ−ル器としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
16…上側挟持面、16a,16b…両端部、16c…中央位置、19…下側挟持面、19a,19b…両端部、19c…中央位置、20…交差部、20V…最大高さ交差部、20H…最大幅交差部、H…想定水平面、VY…想定鉛直面、VX…想定鉛直面、LV…鉛直距離、LH…水平距離、S…想定傾斜面、T…領域、F…接線を含む面、θ…傾き角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接近離間する両挟持面間でまつ毛を挟持することができるまつ毛カ−ル器において、この挟持面における延設方向の両端部を通る想定水平面に対し直交してその両端部を互いに結ぶ方向へ並ぶ各想定鉛直面が挟持面と交差する各交差部のうち、この想定鉛直面上でこの想定水平面に対しなす鉛直距離が最大となる挟持面上の最大高さ交差部は、挟持面の両端部間の中央位置を通る想定鉛直面よりも一方の端部側に位置していることを特徴とするまつ毛カ−ル器。
【請求項2】
前記挟持面の延設線全体は、前記最大高さ交差部と前記挟持面の両端部とを通る両想定傾斜面と前記想定水平面とによりなす領域の外側に位置するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛カ−ル器。
【請求項3】
前記挟持面の延設線全体は、前記領域の外側に膨らむ凸状に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のまつ毛カ−ル器。
【請求項4】
前記挟持面の延設線全体は鉛直方向へ湾曲しているとともに水平方向へ湾曲し、前記想定水平面に対し直交してその両端部を互いに結ぶ方向へ並ぶ各想定鉛直面が挟持面と交差する各交差部のうち、前記挟持面の両端部を通る想定鉛直面に対しなす水平距離が最大となる挟持面上の最大幅交差部は、前記最大高さ交差部と異なる位置に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載のまつ毛カ−ル器。
【請求項5】
互いに接近離間する両挟持面間でまつ毛を挟持することができるまつ毛カ−ル器において、この挟持面の延設線全体は鉛直方向へ湾曲しているとともに水平方向へ湾曲し、この挟持面における延設方向の両端部を通る想定水平面に対し直交してその両端部を互いに結ぶ方向へ並ぶ第一の各想定鉛直面が挟持面と交差する各交差部のうち、この第一の想定鉛直面上でこの想定水平面に対しなす鉛直距離が最大となる挟持面上の最大高さ交差部と、前記挟持面の両端部を通る第二の想定鉛直面に対しなす水平距離が最大となる挟持面上の最大幅交差部とは、互いに異なる位置に設定されている
ことを特徴とするまつ毛カ−ル器。
【請求項6】
互いに接近離間する両挟持面間でまつ毛を挟持することができるまつ毛カ−ル器において、この挟持面における延設方向の両端部を通る第二の想定鉛直面に対し直交してその両端部を互いに結ぶ方向へ並ぶ第一の各想定鉛直面が挟持面と交差する各交差部のうち、この第一の想定鉛直面上でこの第二の想定鉛直面に対しなす水平距離が最大となる挟持面上の最大幅交差部は、挟持面の両端部間の中央位置を通る第一の想定鉛直面よりも一方の端部側に位置していることを特徴とするまつ毛カ−ル器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−162188(P2010−162188A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7449(P2009−7449)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)