説明

まな板スタンド付き収納具

【課題】まな板スタンドを備える収納具において、スタンド不使用時の清掃困難性及び見栄えの悪さを改善する。
【解決手段】まな板スタンド付き収納具1は、線材を用いて製作した収納部2及びスタンド3から成る。スタンド3は、まな板保持部3a,3aを有し、基端部が軸受4,4によって回動可能に支持される。スタンド3の使用時にはスタンド3を上方へ回動させて引き上げた状態とし、まな板保持部3a,3aの間でまな板を起立状態に保持する。スタンド不使用時には、スタンド3を軸受4を中心に下方へ回動させて引き下げ、まな板保持部3aを収納部2の収納空間2a内へ収容せしめる。収納空間2aがまな板保持部3aによって3つに仕切られる。物品を見栄え良く且つ出し入れ容易に整理できる。収納具1周囲から障害物を無くせるので、清掃が容易になると共に美観性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所に設置される流し台のシンク内面又はその周囲に設置される収納具であって、まな板スタンドを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、台所の流し台で使用される各種物品例えば洗剤容器・たわし・スポンジ・ブラシ等を収容するための収納具に、まな板スタンドを設けたものが記載されている。この収納具は、収納部分がシンク内に臨み、スタンド部分がシンク周囲の平面部上面に位置するよう設置される。
【特許文献1】特開2003−3543公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の収納具は、収納部分にスタンド部分が固定されているため、シンク周囲を清掃する際にこのスタンド部分が障害となることがあり、スタンド部分の下方を清掃するには収納具全体を取り外さなくてはならなかった。また、まな板をスタンドに起立させていないときには、不使用のスタンド部分が目障りになり、シンク周りの美観性が損なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記従来の課題を解決するために本発明が創案したまな板スタンド付き収納具の特徴とするところは、請求項1に記載する如く、物品の収納部と、当該収納部へ回動可能に取り付けられたまな板用のスタンドとから成り、前記スタンドはまな板の一端部を挟んで起立状態に保持するまな板保持部を有し、前記まな板保持部は、上方へ回動させた引き上げ状態においてまな板を保持可能となり、下方へ回動させた引き下げ状態では前記収納部内に収容されると共に、前記まな板保持部が前記収納部の収納空間を複数に仕切る仕切り部材として機能することにある。
【0005】
あるいは請求項2に記載する如く、物品の収納部と、当該収納部へ回動可能に取り付けられたまな板用のスタンドとから成り、前記スタンドは、上方へ回動させた引き上げ状態においてまな板の一端部を挟んで起立状態に保持するまな板保持部と、下方へ回動させた引き下げ状態において前記収納部の開口部を閉止する蓋部材とを備えているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載した本発明に係るまな板スタンド付き収納具は、まな板を起立状態に保持するスタンドの不使用時には、スタンドを下方へ回動させて、まな板保持部を収納部内に収容することができる。従って、収納具周囲の清掃が容易になると同時に、見栄えが改善される。しかも、収納部に収容したまな板保持部が、収納空間を複数に仕切る仕切り部材として機能するから、仕切られた収納空間に各種物品を整理して収納することができ、収納部の使い勝手が向上する。
【0007】
請求項2に記載した本発明に係るまな板スタンド付き収納具は、スタンドの不使用時には、スタンドを下方に回動させて、スタンドに備えられる蓋部材で収納部の開口部を閉止するようにしたから、スタンド不使用時の美観性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1及び図2に。本発明に係るまな板スタンド付き収納具(以下「収納具」と言う)の一実施形態を示す。収納具1の材質は、耐水性と強度とを兼ね備えていることが必要であり、ステンレス鋼が代表的であるが、プラスチック、セラミック、木材、樹脂被覆した鉄材、銅・真鍮・アルミ等の非鉄金属なども使用可能である。本例では、収納部2及びスタンド3をいずれもステンレス鋼の線材又は棒材を用いて製作し、収納部2は、図示するように、上面を開口させたカゴ状に形成した。他方、スタンド3は、まな板の端部を挟んで起立状態に保持できる程度の間隔を空けて固定した線材又は棒材より成る一対のまな板保持部3a,3aを、連結材3bで一体に連結して成り、各まな板保持部3a,3aの基端部は、収納部2の上縁部に設けた軸受4,4によって、回動可能だが容易には脱落しないように支持されている。
【0009】
前記収納具1は、まな板を起立状態に保持するときには、図1(A)に示す如く、スタンド3を上方へ回動させて引き上げた状態とし、まな板保持部3a,3aの間へまな板の一端部を差し挟めばよい。スタンド不使用時には、図3に示す如く、スタンド3を軸受4を中心に下方へ回動させて引き下げ、まな板保持部3aを収納部2の収納空間2a内へ収容せしめた状態(図1(B)参照)とする。これにより、収納空間2aが、まな板保持部3aによって中央の広い部分と左右の狭い部分の3つに仕切られる(図2(B)参照)。従って使用者は、物品を大きさに応じ分別して収納部2へ収納できるから、物品を見栄え良く且つ出し入れ容易に整理することができる。
【0010】
図4は、本発明収納具1の設置状況を例示するものである。本例では、台所に設置される流し台NにおけるシンクSの周囲、例えば同図(A)に示すように、水栓器具Tの側方に凹部10を形成し、この凹部10内へ、同図(B)に示す如く、収納具1を嵌装する構成とした。スタンド3の不使用時には、まな板保持部3aを収納部2内へ収納せしめることにより、凹部10周囲の平面部から障害物を無くせるので、清掃が非常に容易になると共に、美観性が向上する。また収納部2の収納空間2aが、まな板保持部3aで複数に仕切られる。従って、シンクS回りで使用する洗剤容器・石けん・スポンジ・たわし・ブラシその他の各種物品を、大きさに応じ分別・整理して収納部2へ収納できるから、使い勝手が向上する。スタンド3の使用時には、同図(B)に示すように、スタンド3を上方へ回動させて凹部10周囲の平面部上面に載置した引き上げ状態とし、まな板保持部3aにまな板Mの端部を差し挟めば、安定した起立状態を得ることができる。
【0011】
なお、本発明収納具1の取付態様は、図5に示すように、収納部2の適所に装着した吸盤11の吸着力を用いて、シンクSの内周面に装着する方式も考えられる。さらには、図示は省略するが、シンクSの内面又は周囲へ磁石やネジを用いて収納部2を取り付ける態様も可能である。
【0012】
(第2の実施形態)
図6に示すように、収納部2を、パンチングメタル等の板材で製作することも可能である。その他、収納部2は、排水の容易な構成であればよいので、メッシュ・金網等で製作することも考えられる。
【0013】
(第3の実施形態)
図7は、スタンド3の異なる態様を示すものである。本例ではスタンド3を、基端部を軸受4,4で回動可能に支持されたコ字形枠体状の基部3cと、この基部3cの両側部に固定したU字状のまな板保持部3aと、基部3cを補強する連結部3bとで構成したものである。本例のスタンド3は、使用時には、同図(A)に示すように、基部3cが収納部2の開口部外側でほぼ水平な姿勢となる位置へ回動させて、まな板保持部3aでまな板の起立保持が可能な状態とする。スタンド3の不使用時には、同図(B)のように、基部3が収納部2の開口部上に架け渡され水平な姿勢となる位置へ回動させることにより、まな板保持部3aを収納部2の収納空間2a内へ収容する。
【0014】
(第4の実施形態)
図8(収納部2は仮想線で描く)に示すように、スタンド3のまな板保持部3aに仕切り板5を付設してもよい。これにより、同図(B)に示す如く、まな板保持部3aを収納部2の収納空間2a内へ収容したときに、収納空間2aの区画が非常に明確になる。
【0015】
(第5の実施形態)
図9(収納部2は仮想線で描く)は、本発明収納具1を構成するスタンド3に、収納部2の開口部を閉止する蓋部材6を設けた実施形態である。蓋部材6の材質は、金属・ブラスチック・セラミック等の板材のほか、メッシュや格子状のものでもよい。本例では、同図(A)に示すように、スタンド3の使用時には、蓋部材6がまな板保持部3aと協働してまな板を起立状態に保持するから、まな板の姿勢安定化に寄与する。スタンド3の不使用時には、同図(B)に示す如く、蓋部材6で、収納部2の開口部を覆って閉止する。従って、内容物を視覚的に隠すので、見栄えを向上させることができる。
【0016】
(第6の実施形態)
スタンド3が、使用時には図10(A)に示すように収納部2の開口部外側でほぼ水平な姿勢となり、不使用時には同図(B)に示すように収納部2の開口部上で水平な姿勢となるよう180度回動可能に構成されている場合において、当該スタンド3におけるまな板保持部3aとは反対側の部位に、収納部2の蓋部材6を設けることも可能である。本実施形態では、スタンド3の不使用時には、まな板保持部3aが収納部2の収納空間2a内へ収容されると共に、蓋部材6が収納部2の開口部を覆って閉止するから、見栄えが非常によい。また、蓋部材6の部分を載置面として利用可能である。
【0017】
なお図示は省略したが、前記蓋部材6が収納部2の開口部の一部分のみを覆う形態としたり、蓋部材6に開口を形成したりして、蓋部材6の閉止時にも、収納部2を部分的に使用可能とすることも妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第1の実施形態に関するものであって、図(A)はスタンド使用時の状態を示す斜視図、図(B)はスタンド不使用時の状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第1の実施形態に関するものであって、図(A)は正面図、図(B)は平面図、図(C)は右側面図である。
【図3】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第1の実施形態に関するものであって、スタンドの動作を説明する右側面図である。
【図4】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の設置状況を示すものであって、図(A)は収納具を流し台から分離した状態の斜視図、図(B)は収納具を流し台のシンク周囲に装着した状態の斜視図である。
【図5】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の異なる設置状況を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第2の実施形態に関するものであって、図(A)はスタンド使用時の状態を示す斜視図、図(B)はスタンド不使用時の状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第3の実施形態に関するものであって、図(A)はスタンド使用時の状態を示す斜視図、図(B)はスタンド不使用時の状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第4の実施形態に関するものであって、図(A)はスタンド使用時の状態を示す斜視図、図(B)はスタンド不使用時の状態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第5の実施形態に関するものであって、図(A)はスタンド使用時の状態を示す斜視図、図(B)はスタンド不使用時の状態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係るまな板スタンド付き収納具の第6の実施形態に関するものであって、図(A)はスタンド使用時の状態を示す斜視図、図(B)はスタンド不使用時の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1…まな板スタンド付き収納具 2…収納部 2a…収納空間 3…スタンド 3a…まな板保持部 4…軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の収納部と、当該収納部へ回動可能に取り付けられたまな板用のスタンドとから成り、前記スタンドはまな板の一端部を挟んで起立状態に保持するまな板保持部を有し、前記まな板保持部は、上方へ回動させた引き上げ状態においてまな板を保持可能となり、下方へ回動させた引き下げ状態では前記収納部内に収容されると共に、前記まな板保持部が前記収納部の収納空間を複数に仕切る仕切り部材として機能することを特徴とするまな板スタンド付き収納具。
【請求項2】
物品の収納部と、当該収納部へ回動可能に取り付けられたまな板用のスタンドとから成り、前記スタンドは、上方へ回動させた引き上げ状態においてまな板の一端部を挟んで起立状態に保持するまな板保持部と、下方へ回動させた引き下げ状態において前記収納部の開口部を閉止する蓋部材とを備えていることを特徴とするまな板スタンド付き収納具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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