めっき装置
【課題】めっき装置を提供する。
【解決手段】めっき装置は、基板の被めっき面にめっきを施すためのめっき装置であって、前記めっき装置は、めっき液が保持される複数のめっき槽133と、前記複数のめっき槽のそれぞれに対応して配置され、前記複数のめっき槽内のめっき液を循環させる複数のポンプ112と、前記複数のポンプの吸込側をそれぞれ対応する前記複数のめっき槽に連結する複数の吸込配管202、203、204と、前記複数のポンプの吐出側をそれぞれの前記吸込側に連結される前記めっき槽とは異なる他のめっき槽にそれぞれ連結する複数の吐出配管と、を備え、前記複数のめっき槽と前記複数のポンプは直列に連結される。
【解決手段】めっき装置は、基板の被めっき面にめっきを施すためのめっき装置であって、前記めっき装置は、めっき液が保持される複数のめっき槽133と、前記複数のめっき槽のそれぞれに対応して配置され、前記複数のめっき槽内のめっき液を循環させる複数のポンプ112と、前記複数のポンプの吸込側をそれぞれ対応する前記複数のめっき槽に連結する複数の吸込配管202、203、204と、前記複数のポンプの吐出側をそれぞれの前記吸込側に連結される前記めっき槽とは異なる他のめっき槽にそれぞれ連結する複数の吐出配管と、を備え、前記複数のめっき槽と前記複数のポンプは直列に連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の被めっき体(基板)の表面にめっきを行うめっき装置に関し、特にウェハの表面に設けられた微細な配線用溝やホール、レジスト開口部にめっき膜を形成したり、半導体ウェハの表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりするのに好適なめっき装置に関する。半導体チップ等のいわゆる3次元実装を行うためには、半導体ウェハやインターポーザまたはスペーサといった基板に対して、内部を貫通する多数のビアプラグを形成する必要があるが、本発明のめっき装置はそのような貫通ビアプラグを形成するためのビアホールの埋め込みにも使用される。より詳細には、基板を基板ホルダに設置し、そのホルダをめっき槽に浸漬させてめっきするめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置は、めっき槽のめっき液に基板ホルダで保持された基板を垂直に差し入れてめっきを行うものである。基板ホルダは、装置の運転前には基板ホルダを収納するためのストッカに収納され、運転を開始すると基板ホルダがストッカから取り出される。さらに処理すべきウェハが、ストッカから取り出した基板ホルダに保持される。基板を保持した基板ホルダは基板ホルダ搬送機によりめっき槽およびめっき処理に伴う各処理槽に搬送され、順次必要な処理が行われる。
【0003】
従来のめっき装置には、複数のめっき槽とめっき液循環タンクを用いて、めっき槽内のめっき液を循環させてめっきさせるものがある(例えば、特許文献1参照。)。従来のめっき装置は、複数のめっき槽群と複数のめっき液循環タンクとをそれぞれ連結し、対応するめっき液循環タンクから各めっき槽にポンプを介してめっき液を供給し、めっき槽群からの戻りのめっき液を、対応するめっき液循環タンク以外の他のめっき液循環タンクに戻すことにより、めっき液全体の成分の均一化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−339794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1により提案されためっき装置は、各めっき槽にめっき液を供給するポンプの吐出量を均一に保つために、複数のめっき液循環タンクを連通管で連結する構成を有しており、めっき装置の構造が複雑となるものであった。
【0006】
また、めっき槽からの戻りのめっき液をめっき液循環タンクに戻す配管は曲がりが多く、複雑な配管構造を有することから、配管抵抗が増すのでキャビテーションが発生しないように配管サイズを大きくする必要があった。
【0007】
さらに装置全体として1種類のめっき液を用いるものであり、成分の異なる複数のめっき液を用いることはできないものであった。
【0008】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、簡易な構造で成分の異なる複数のめっき液を用いることのできるめっき装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係るめっき装置は、基板の被めっき面にめっきを施すためのめっき装置であって、前記めっき装置は、めっき液が保持される複数のめっき槽と、前記複数のめっき槽のそれぞれに対応して配置され、前記複数のめっき槽内のめっき液を循環させる複数のポンプと、前記複数のポンプの吸込側をそれぞれ対応する前記複数のめっき槽に連結する複数の吸込配管と、前記複数のポンプの吐出側をそれぞれの前記吸込側に連結される前記めっき槽とは異なる他のめっき槽にそれぞれ連結する複数の吐出配管と、を備え、前記複数のめっき槽と前記複数のポンプは直列に連結されることを特徴とする。
【0010】
前記複数のめっき槽は、前記めっき液に前記基板を浸漬させてめっきを行う複数の内槽と、前記複数の内槽からオーバーフローしためっき液を収容する複数の外槽とを備えてもよい。
【0011】
前記複数の吐出配管は、前記複数の内槽にそれぞれ連結され、前記複数の吸込配管は、前記複数の外槽にそれぞれ連結されてもよい。
【0012】
前記基板を保持する基板ホルダと、前記複数のめっき槽に浸漬させて配置されるアノードと、前記基板の被めっき面と前記アノードとの間に電圧を印加するめっき電源と、を備えてもよい。
【0013】
前記複数のめっき槽の内部に、前記アノードと前記基板との間に配置され前記めっき液を攪拌するパドルを備えてもよい。
【0014】
前記複数のめっき槽の内部に、前記基板と略同一の中央孔を有し、前記めっき液を前記アノード側と前記基板側とに仕切るように配置された調整板を備えてもよい。
【0015】
前記吐出配管を繋ぎ替えることにより、前記複数のポンプの前記吐出側と、前記複数のめっき槽との連結された組み合わせが変更されてもよい。
【0016】
前記複数のめっき槽ごとに、前記めっき液に添加剤が投入されてもよい。
【0017】
前記複数のポンプと前記複数のめっき槽を直列に連結して構成しためっきモジュールを、前記めっき液の異なる種類に応じて複数備えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、成分の異なる複数のめっき液を用いることのできるめっき装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るめっき装置の概要を示す側面図である。
【図2】図1に示すめっき装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るめっき装置のめっき槽の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図7】図4に示すめっき槽の混合変化を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽に対する比較例のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図9】図8に示すめっき槽の混合変化を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管の第1例の構成を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管の第2例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施することができる。
【0021】
<めっき装置の構造>
まず、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るめっき装置の全体構造について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき装置の概要を示す側面図であり、図2は図1に示すめっき装置の平面図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係るめっき装置は、めっき装置フレーム100に、基板ホルダ(図示せず)と、基板を収納したFOUP(Front Opening Unified Pod)等(図示せず)の搬送容器を置くことができるロードポート170と、基板搬送ロボット180と、スピン・リンス・ドライヤ(SRD)190と、テーブル120と、ポンプユニット110を備えるめっき処理部130と、基板ホルダ搬送部140と、ストッカ150と、ストッカ設置部160と、アライナ195とを備える。ストッカ150は、装置内に固定されていて基板ホルダを収容するものでも良いが、別の形態として、車輪を有し装置外に引き出して分離することのできるワゴン型のストッカであっても良い。
【0024】
基板搬送ロボット180は、搬送容器(図示せず)から基板を取り出し、テーブル120へ搬送することができる。基板搬送ロボット180は、テーブル120から基板を搬送し搬送容器に収納することもできる。基板搬送ロボット180は、好ましくは回転方向に動くことができ、ロードポート170とテーブル120とスピン・リンス・ドライヤ190とアライナ195との間で基板を搬送することができる。スピン・リンス・ドライヤ190は、めっき処理された基板をリンスしながら回転させ、最後に高速回転させて乾燥することができる。
【0025】
アライナ195は、基板の円周方向の位置合わせを行う。すなわち、アライナ195は、基板に設けられたノッチ(切り欠き)位置を検出し、指定された角度にノッチ位置を向けることにより、基板を指定の位置に回転させる。また、アライナ195は基板を回転させながら、基板の中心の位置合わせを行う。
【0026】
なお、図1及び図2において、101は基板ホルダ搬送部140を搬送するための走行軸であり、102は基板ホルダ開閉機構、103は制御部(基板ホルダ搬送部制御部を含む)である。
【0027】
基板ホルダは、基板のめっき処理の際に、基板の端部及び裏面をめっき液からシールし被めっき面を露出させて保持する。また、基板ホルダは、基板の被めっき面の周縁部と接触し、外部電源から給電を与えるための接点を備えても良い。基板ホルダは、めっき処理前にストッカ150に収納され、めっき処理時には基板ホルダ搬送部140によりテーブル120、めっき処理部130の間を移動し、めっき処理後にストッカ150へと再び収納される。
【0028】
テーブル120には、基板ホルダを水平に載置することができる。テーブル120において、基板搬送ロボット180は、水平に載置された基板ホルダに対して、基板の着脱を行う。
【0029】
図1及び図2に係るめっき装置においては、基板ホルダに保持された基板をめっき槽のめっき液に垂直に浸漬し、めっき液をめっき槽の下から注入しオーバーフローさせつつめっきが行われる。めっき槽は、複数の区画を有することが好ましく、各々の区画では、1枚または複数の基板を保持した1つの基板ホルダがめっき液に垂直に浸漬され、めっきされる。電解めっき装置の場合は、各々の区画には、基板ホルダへの通電部、アノード、パドル攪拌装置、調整板を備えていることが好ましい。アノードはアノードホルダに取り付けて使用し、基板と対向するアノードの露出面は基板と同心円状となっている。基板ホルダに保持された基板は、めっき処理部130の各処理槽内の処理流体で処理が行われる。基板ホルダに保持された基板の被めっき面と、アノードホルダに保持されたアノードとの間にめっき電源から電圧が印加され、基板の被めっき面にめっき処理が行われる。
【0030】
パドル攪拌装置は、アノードと基板との間でパドルが往復移動自在であるように配置され、めっき液を攪拌する。また、調整板は、基板と略同一の中央孔を有し、アノードと基板との間にめっき液をアノード側と基板側とに仕切るように配置される。これにより、中央孔の以外から漏れるめっき液や電流を遮断し、基板ホルダで保持した基板の被めっき面の周辺部の電位を調整板で下げて、めっき膜の膜厚の均一化を図る。
【0031】
めっき処理部130の各処理槽の配置は、例えば、図1に示すめっき液を2液使用するタイプのめっき装置とする場合には、工程順に、前水洗槽、前処理槽、リンス槽、第1めっき槽、リンス槽、第2めっき槽、リンス槽、ブロー槽、といった配置としてもよいし、別の構成としてもよい。各処理槽の配置は工程順(X→X’方向)に配置することが、余分な搬送経路をなくす上で好ましい。
【0032】
基板ホルダ搬送部140は、走行軸に沿って、テーブル120、めっき処理部130、ストッカ150の間をリニアモーターなどの搬送機構(図示せず)により移動可能である。基板ホルダ搬送部140は、基板ホルダを垂直姿勢で保持し搬送する。
【0033】
なお、本発明の実施形態に係るめっき処理部130のめっき槽の構成については、図3乃至図6を参照しながら後述することとする。
【0034】
以下、本発明の一実施形態に係るめっき装置の動作の一例を説明する。
【0035】
(a)まず、基板ホルダ搬送部140が、ストッカ150上へと移動し、ストッカ150に収納された基板ホルダを取り出し保持する。
【0036】
(b)次に、基板ホルダ搬送部140は、基板ホルダを保持したままテーブル120まで移動し、基板ホルダがテーブル120の上に水平に設置される。
【0037】
(c)基板ホルダに、基板をセットする。
【0038】
(d)基板ホルダ搬送部140が、基板ホルダを垂直に保持してめっき処理部130の前水洗槽へと移動する。基板ホルダに保持された基板に対して、めっき処理部130の各処理槽において、めっきの各工程を行う。めっき処理は図1に示したXからX’方向へと順次行われる。
【0039】
(e)基板ホルダ搬送部140は、めっき処理部130における各工程完了後、基板ホルダを垂直に保持したままテーブル120まで移動し、基板ホルダがテーブル120の上に水平に設置される。
【0040】
(f)基板ホルダから、基板が取り外される。
【0041】
(g)連続処理を行う場合には、次の未処理の基板をセットし、(d)から工程を繰り返す。
【0042】
(h)処理が完了した後、基板ホルダ搬送部140は、基板が取り外された基板ホルダを垂直に保持してストッカ150へと移動し、ストッカ150へと基板ホルダを垂直に収納する。
【0043】
このように、本発明の一実施形態に係るめっき装置におけるめっき処理が行われる。以下、本発明の一実施形態に係るめっき装置のめっき処理部130に含まれるめっき槽の構成について、図3乃至図9を参照し、詳細に説明する。
【0044】
<めっき槽の構成>
本発明の一実施形態に係るめっき装置に備えられためっき処理部130のめっき槽133A、133Bの構成について、図3を参照して説明する。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態に係るめっき槽133A、133Bの構成例を示す図である。図3に示すように、本発明の一実施形態に係るめっき槽133A、133Bは、それぞれ内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4及び外槽132A、132Bを含み、めっきユニット137A、137Bを構成する。図示したように、複数の内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4を取り囲むように外槽132A、132Bが配置される。ここで、めっき槽133A、133Bに含まれる内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4は、それぞれ基板ホルダ500に保持された基板の被めっき面にめっきを行うためのめっき槽であり、外槽132A、132Bは、内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4からオーバーフローしためっき液を収容するためのオーバーフロー槽である。なお、本実施形態においては、2つのめっき槽133A、133Bがそれぞれ4つの内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4及び1つの外槽132A、132Bを含む構成を図3に図示しているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、めっき槽133A、133Bはそれぞれ少なくとも1つの内槽131A、131Bと、外槽132A、132Bを有する。
【0046】
また、めっきユニット137A、137Bは、図3に図示したように、それぞれめっき槽133A、133Bとリンス槽135A、135Bとを含んで構成されてもよい。リンス槽135A、135Bは、それぞれ複数のリンス槽に区画されたものであってもよく、リンス槽135A、135Bがめっき槽133A、133Bに隣接して配置されてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態に係るめっき槽133A、133Bにおいて、内槽131A、131Bには、めっき液を内槽131A、131Bに送りこむために内槽131A、131Bの底部に噴流口(図示せず)が設けられている。外槽132A、132Bには、内槽131A、131Bからオーバーフローしためっき液を循環ユニット111A〜111D(図4参照)に送液するために、めっき液排液口(図示せず)が設けられている。めっき液が複数の内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4内に充填されると、基板ホルダ500に保持された基板が垂直にめっき液に浸漬され、めっき液を内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4の下から注入しオーバーフローさせつつ、めっき処理が行われる。このように基板を配置し、めっき液を内槽131A、131Bの底部から上向流で流すことで、めっき液中に気泡が発生した場合においても気泡を容易に除去でき、欠陥が生じないようにすることができる。
【0048】
このようなめっき処理が行われるめっき槽133A、133Bに保持されるめっき液は、めっき槽133A、133Bごとに異なるめっき液を用いてもよい。また、複数のめっき槽133A、133Bを配管で連結し、連結された複数のめっき槽133A、133B内で1種類のめっき液を循環させてもよい。
【0049】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの構成について、図4を参照して説明する。
【0050】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの概略構成を示す図である。図4に示すように、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dは、それぞれ内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dを含む。内槽131A〜131Dはそれぞれ1つの内槽であっても良いし、図3で示したように複数の内槽からなっても良い。図示したように、複数のめっき槽133A〜133Dは、複数の循環ユニット111A〜111Dの複数のポンプ112A〜112Dと、複数の配管201A〜201D、202A〜202Dを介してそれぞれ連結される。めっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dとは、1対1にそれぞれ対応するように配置される。従って、ポンプ112A〜112Dを備える循環ユニット111A〜111Dも、めっき槽133A〜133Dに対して1対1にそれぞれ対応するように配置される。
【0051】
図4に図示したように、一つのめっき槽133A〜133Dと、各々に対応する一つの循環ユニット111A〜111Dとで、一つのめっきユニット210A〜210Dが構成される。なお、めっきユニット210A〜210Dは、図3に図示しためっきユニット137A、137Bのようにリンス槽を含んでもよい。
【0052】
また、循環ユニット111A〜111Dは、ポンプ112A〜112Dの他にも、フィルタ、圧力スイッチ、流量調整弁、流量計、必要に応じて熱交換器、サンプリングラインなどを備えてもよい。
【0053】
外槽132A〜132Dにはめっき液排液口(図示せず)が形成されている。外槽132A〜132Dに形成されためっき液排液口は、それぞれ、各外槽132A〜132Dを備えるめっき槽133A〜133Dにそれぞれ対応して配置されたポンプ112A〜112Dの吸込側と、吸込配管202A〜202Dを介して連結される。
【0054】
一方、内槽131A〜131Dには噴流口(図示せず)が形成されている。内槽131A〜131Dに形成された噴流口は、それぞれ、各内槽131A〜131Dを備えるめっき槽133A〜133Dに対応して配置されたポンプ112A〜112D以外の他のポンプ112A〜112Dの吐出側と、吐出配管201A〜201Dを介して連結される。つまり、吐出配管201A〜201Dは、各ポンプ112A〜112Dの吸込側に連結されるめっき槽133A〜133Dとは異なる他のめっき槽133A〜133Dにそれぞれ連結される。
【0055】
このとき、図4に図示したように、複数のめっき槽133A〜133Dと、複数のポンプ112A〜112Dとは、複数の吐出配管201A〜201D及び吸込配管202A〜202Dを介して、直列に連結される。これにより、複数のめっき槽133A〜133D間で、めっき液を循環させることが可能となる。このように、複数のめっき槽133A〜133Dと、複数のポンプ112A〜112Dとを直列に連結し、共通のめっき液が混合循環されるめっきモジュール200Aが構成される。
【0056】
図4に図示したように、めっきモジュール200Aは、例えば、めっき槽133A〜133D及びポンプ112A〜112Dをそれぞれ4つ備える場合は、ポンプ112Aの吸込側がめっき槽133Aの外槽132Aと連結され、ポンプ112Aの吐出側がめっき槽133Bの内槽131Bと連結され、ポンプ112Bの吸込側がめっき槽133Bの外槽132Bと連結され、ポンプ112Bの吐出側がめっき槽133Cの内槽131Cと連結され、ポンプ112Cの吸込側がめっき槽133Cの外槽132Cと連結され、ポンプ112Cの吐出側がめっき槽133Dの内槽131Dと連結され、ポンプ112Dの吸込側がめっき槽133Dの外槽132Dと連結され、ポンプ112Dの吐出側がめっき槽133Aの内槽131Aと連結されるように配置されて構成されてもよい。
【0057】
このような構成を有するめっきモジュール200Aにおいて、吸込配管202A〜202Dは、各々のポンプ112A〜112Dが含まれるめっきユニット210A〜210Dの対応するめっき槽133A〜133Dにそれぞれ連結される。吸込配管202A〜202Dは、めっき液の流速を下げるために吐出配管よりも太い配管を用いることが多く、配管構造はシンプルな構造である方がよい。一方、吐出配管201A〜201Dは、各々のポンプ112A〜112Dが含まれるめっきユニット210A〜210Dとは異なるめっきユニット210A〜210Dのめっき槽133A〜133Dにそれぞれ連結される。吐出配管201A〜201Dは、めっき液の循環量が10L/min程度であればフッ素樹脂(PFA)チューブを用いてもよく、吸込配管202A〜202Dと比べて細い配管を用いることができる。従って、吐出配管201A〜201Dの配管変更作業を比較的容易に行うことができる。
【0058】
このような構成によれば、それぞれ対応して配置される外槽132A〜132Dのめっき液排液口と、ポンプ112A〜112Dの吸込側とを、吸込配管202A〜202Dを介して、単純な構造で連結することができる。これにより、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管抵抗を抑えることができ、ポンプ112A〜112Dの吸込側で生じるキャビテーションを防止するために吸込配管202A〜202Dのサイズを大きくする必要がない。
【0059】
また、ポンプ112A〜112Dの吐出側は、各々のポンプ112A〜112Dが含まれるめっきユニット210A〜210Dとは異なるめっきユニット210A〜210Dのめっき槽133A〜133Dの内槽131A〜131Dの噴流口に、吐出配管201A〜201Dを介してそれぞれ連結される。このように、ポンプ112A〜112Dの吐出側では吐出配管201A〜201Dの配管構造が多少複雑なものとなり配管抵抗が上がる可能性があるがポンプの吐出圧力をわずかに高めればよく、吐出し側はポンプによる圧送なので負圧になることはないため、キャビテーションを起こすことがない。すなわち、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管構造を複雑なものとした場合のように、キャビテーションを防止するために配管を太くするといった必要性がない。配管を太くする必要性がないため、使用するめっき液の種類、すなわちめっき装置の運転パターンが変わった場合に、吐出配管201A〜201Dを異なる槽連結パターンに差し替えることが容易になる。
【0060】
従って、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置によれば、ポンプ112A〜112Dの吐出側に連結される吐出配管201A〜201Dを、それぞれ対応するめっき槽133A〜133D以外のめっき槽133A〜133Dに連結させることにより、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133A〜133D間で共通のめっき液を混合循環させることができる。すなわち図4に示した槽連結パターンでは、1種類のめっき液を4つの槽で共通に使用する場合を示したものである。
【0061】
なお、図4に図示したように、めっき液の成分を調整するための添加剤203A〜203Dが、めっき槽133A〜133Dごとに供給されてもよい。すなわち、めっき槽133A〜133Dは添加剤供給口を有し、添加剤供給口はそれぞれ添加剤供給ユニット(図示せず)につながっている。図示したように、例えば、外槽132A〜132Dからそれぞれ添加剤203A〜203Dを投入してもよく、これにより、外槽132A〜132Dからポンプ112A〜112Dを経由して添加剤203A〜203Dが混合されためっき液を、内槽131A〜131D内に供給することができる。
【0062】
このように、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽133A〜133Dは、複数のめっき槽133A〜133Dが直列に連結されていることから、めっき液の成分分析を一回で行うことも可能である。
【0063】
めっき液の成分分析は、例えば、吐出配管201A〜201Dのうち一つの吐出配管201A〜201Dを分岐させバルブ開閉操作でめっき液を取り出すことにより行うことができる。また、外槽132A〜132Dのいずれかにドレン口を設け、ドレンコックを開閉してめっき液を取り出してもよい。このように、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき槽133A〜133Dごとに滴定を行う必要がないため、連結されためっき槽133A〜133Dについて、滴定が一回で済むという効果を奏することもできる。
【0064】
従って、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置によれば、同じめっきユニット210A〜210D内のめっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dとを、単純な配管構造を有する吸込配管202A〜202Dで連結し、互いに異なるめっきユニット210A〜210Dのめっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dとを吐出配管201A〜201Dで連結し、複数のめっき槽133A〜133Dを直列に連結しためっきモジュール200Aを構成することにより、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなくめっき液を混合循環させることができ、且つ、滴定の回数を減らすという効果を奏することができる。
【0065】
以下、第2の実施形態に係るめっき装置として、複数の異なる種類のめっき液を用いる場合のめっき槽133A〜133Dの構成を、図5を参照して説明する。
【0066】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置のめっき槽133A〜133Dの概略構成を示す図である。図5に示すように、本発明の第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dは、図4に示す第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様に、それぞれ内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dを含む。また、めっき槽133A〜133Dと、ポンプ112A〜112Dを備える循環ユニット111A〜111Dとは、1対1にそれぞれ対応するように配置される。図4に示す第1の実施形態と同様に、図5には図示していないが、一つのめっきユニット210A〜210Dが、一つのめっき槽133A〜133Dと、各々に対応する一つの循環ユニット111A〜111Dとで構成されるものとする。なお、第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの構成について、第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様の構成については、以下、同じ符号を用いて示し、詳細な説明については省略する。
【0067】
図5に図示したように、めっき槽133Aは、吐出配管301A及び吸込配管302Aを介して循環ユニット111Aのポンプ112Aに連結される。また、めっき槽133B〜133Dは、吐出配管301B〜301D及び吸込配管302B〜302Dを介して循環ユニット111B〜111Dのポンプ112B〜112Dにそれぞれ連結される。このとき、めっき槽133Aとポンプ112Aとが連結された構成をめっきモジュール300Aとし、めっき槽133B〜133Dとポンプ112B〜112Dとがそれぞれ連結された構成をめっきモジュール300Bとする。めっきモジュール300Aとめっきモジュール300Bとは、配管により接続されていないため、それぞれ異なる成分のめっき液を循環させて、それぞれ異なるめっきプロセスを行うことができるものである。
【0068】
めっきモジュール300Aは、めっきユニット210A内のめっき槽133Aとポンプ112Aとが直列に連結された構成を有する。めっき槽133Aの外槽132Aに形成されためっき液排液口(図示せず)が、ポンプ112Aの吸込側に連結され、内槽131Aに形成された噴流口(図示せず)が、ポンプ112Aの吐出側に連結される。
【0069】
一方、めっきモジュール300Bは、複数のめっき槽133B〜133Dと複数のポンプ112B〜112Dとが直列に連結された構成を有し、上述した本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133D及びポンプ112A〜112Dの構成と同様の構成を有するものである。めっきモジュール300Bにおいて、吸込配管202B〜202Dは、同じめっきユニット210B〜210D(図4参照)内のめっき槽133B〜133Bとポンプ112B〜112Dとを連結し、吐出配管201B〜201Dは、互いに異なるめっきユニット210B〜210D(図4参照)のめっき槽133B〜133Dとポンプ112B〜112Dとを連結する。
【0070】
このように、めっきモジュール300Bによれば、第1の実施形態と同様に、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく複数のめっき槽133B〜133D間でめっき液を混合循環させることができる。また、滴定をめっき槽133B〜133Dごとに行わずに、めっきモジュール300A、300Bごとに行うことが可能となるため、滴定の回数を減らすことができる。
【0071】
さらに、めっきモジュール300Aとめっきモジュール300Bとはそれぞれ独立した構成を有することから、めっきモジュール300Aのめっき槽133Aには、めっきモジュール300Bのめっき槽133B〜133Dに供給される添加剤203B〜203Dとは異なる種類の添加剤303Aを供給することができる。従って、同一のめっき装置内においても、めっきモジュール300Aとめっきモジュール300Bとで、それぞれ異なる種類のめっき液を用いてめっき処理を行うことが可能となる。
【0072】
このとき、図4に図示した第1の実施形態に係るめっき装置を用いて、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替えることにより、図5に図示した第2の実施形態に係るめっき装置の構成を形成することが可能である。吐出配管301A、201B〜201Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、吸込配管302A、202B〜202Dと比べて細い配管を用いることができるため、配管変更作業を比較的容易に行うことができる。例えば、図4に図示したポンプ112Aの吐出側から内槽131Bに連結される吐出配管201Aを、図5に図示したように、内槽131Aに連結される吐出配管301Aに繋ぎ替え、図4に図示したポンプ112Dの吐出側から内槽131Aに連結される吐出配管201Dを、図5に図示したように、内槽131Bに連結される吐出配管301Dに繋ぎ替えることにより、図5に示した構成を形成することができる。
【0073】
また、吸込配管302A、202B〜202Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、同じめっきユニット210B〜210D(図4参照)内のポンプ112A〜112Dの吸込側と外槽132A〜132Dのめっき液排液口とを単純な構造で連結することができることから、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管抵抗を抑えることができる。従って、吸込配管302A、202B〜202Dのサイズを大きくすることなく、ポンプ112A〜112Dの吸込側で生じるキャビテーションを防止することができる。
【0074】
なお、このとき、図4に示した構成を有する既に使用されためっき装置を用いて配管を繋ぎ替える場合には、図5に示しためっきモジュール300Aのめっき槽133Aに、図4に示しためっき槽133Aのめっき液とは異なるめっき液が注入されることから、めっき槽133Aの内部を既存の方法で洗浄し、また、外槽132Aに連結される図4に示した吸込配管202Aの内部を洗浄するか、図5に示した吸込配管302Aのように配管を繋ぎ替えることにより、複数の種類の異なるめっき液を用いることが可能となる。
【0075】
このように、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替え、めっき装置として想定される最大のめっき液の種類に応じた複数のめっきモジュール300A、300Bを形成することにより、一つのめっき装置においてめっきモジュール300A、300Bごとに異なるめっき処理を行うことが可能となる。また、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置によれば、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133B〜133D間でめっき液を混合循環させることができ、滴定をめっき槽133A〜133Dごとに行わずにめっきモジュール300A、300Bごとに行うことができるため、滴定の回数を減らすことのできる構成を含むことができる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置の構成について、図6を参照して説明する。本発明の第3の実施形態に係るめっき装置についても、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置と同様に、複数の異なる種類のめっき液を用いることが可能な構成である。
【0077】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置のめっき槽133A〜133Dの概略構成を示す図である。図6に示すように、本発明の第3の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dは、第1及び第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様に、それぞれ内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dを含む。また、めっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dを備える循環ユニット111A〜111Dとは、それぞれ1対1に対応するように配置される。図4に示す第1の実施形態と同様に、図6には図示していないが、一つのめっきユニット210A〜210Dが、一つのめっき槽133A〜133Dと、各々に対応する一つの循環ユニット111A〜111Dとで構成されるものとする。なお、第3の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの構成について、第1及び第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様の構成については、以下、同じ符号を用いて示し、詳細な説明については省略する。
【0078】
図6に図示したように、めっき槽133A、133Bは、吐出配管401A、401B及び吸込配管402A、402Bにより、それぞれ循環ユニット111A、111Bのポンプ112A、112Bに連結される。また、めっき槽133C、133Dは、吐出配管201C、401D及び吸込配管202C、202Dにより、それぞれ循環ユニット111A、111Bのポンプ112A、112Bに連結される。このとき、めっき槽133A、133Bとポンプ112A、112Bとが連結された構成を、めっきモジュール400Aとし、めっき槽133C、133Dとポンプ112C、112Dとがそれぞれ連結された構成を、めっきモジュール400Bとする。めっきモジュール400Aとめっきモジュール400Bとは、配管により接続されていないため、それぞれ異なる成分のめっき液を循環させることができる。
【0079】
めっきモジュール400Aにおいて、吸込配管402A、402Bは、同じめっきユニット210A、210B(図4参照)内のめっき槽133A、133Bとポンプ112A、112Bとを連結し、吐出配管401A、401Bは、互いに異なるめっきユニット210A、210B(図4参照)のめっき槽133A、133Bとポンプ112A、112Bとを連結するように構成される。また、めっきモジュール400Bにおいて、吸込配管202C、202Dは、同じめっきユニット210C、210C(図4参照)内のめっき槽133C、133Dとポンプ112C、112Dとを連結し、吐出配管201C、401Dは、互いに異なるめっきユニット210C、210D(図4参照)のめっき槽133C、133Dとポンプ112C、112Dとを連結するように構成される。このように、めっきモジュール400Aが複数のめっき槽133A、133Bと複数のポンプ112A、112Bとが直列に連結された構成を有し、めっきモジュール400Bが複数のめっき槽133C、133Dと複数のポンプ112C、112Dとが直列に連結された構成を有することから、めっきモジュール400A、400Bは、第1の実施形態に係るめっきモジュール200A及び第2の実施形態に係るめっきモジュール300Bと同様の構成を有するものである。
【0080】
従って、めっきモジュール400A及びめっきモジュール400Bによれば、第1の実施形態と同様に、簡易な構造で、キャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133A、133Bまたはめっき槽133C、133D間でそれぞれめっき液を混合循環させることができる。また、滴定をめっき槽133A〜133Dごとに行わずに、めっきモジュール400A、400Bごとに行うことが可能となるため、滴定の回数を減らすことができる。
【0081】
さらに、めっきモジュール400Aとめっきモジュール400Bとはそれぞれ独立した構成を有することから、めっきモジュール400Aのめっき槽133A、133Bには、めっきモジュール400Bのめっき槽133C、133Dに供給される添加剤203C、203Dとは異なる種類の添加剤403A、403Bを供給することができる。従って、同一のめっき装置内においても、めっきモジュール400Aとめっきモジュール400Bとで、それぞれ異なる種類のめっき液を用いてめっき処理を行うことが可能となる。
【0082】
このとき、図4に図示した第1の実施形態に係るめっき装置を用いて、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替えることにより、図6に図示した第3の実施形態に係るめっき装置の構成を形成することが可能である。吐出配管401A、401B、201C、401Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、吸込配管402A、402B、202C、202Dと比べて細い配管を用いることができるため、配管変更作業を比較的容易に行うことができる。例えば、図4に図示したポンプ112Bの吐出側から内槽131Cに連結される吐出配管201Bを、図6に図示したように、内槽131Aに連結される吐出配管401Aに繋ぎ替え、図4に図示したポンプ112Dの吐出側から内槽131Aに連結される吐出配管201Dを、図6に図示したように、内槽131Cに連結される吐出配管401Dに繋ぎ替えることにより、図6に示した構成を形成することができる。
【0083】
また、吸込配管402A、402B、202C、202Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、ポンプ112A〜112Dの吸込側と外槽132A〜132Dのめっき液排液口とを単純な構造で連結することができることから、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管抵抗を抑えることができる。従って、吸込配管402A、402B、202C、202Dのサイズを大きくすることなく、ポンプ112A〜112Dの吸込側で生じるキャビテーションを防止することができる。
【0084】
なお、このとき、図4に示した構成を有する既に使用されためっき装置を用いて配管を繋ぎ替える場合には、図6に示しためっきモジュール400Aのめっき槽133A、133Bに、図4に示しためっき槽133A、133Bのめっき液とは異なるめっき液が注入されることから、めっき槽133A、133Bの内部を既存の方法で洗浄し、また、外槽132A、132Bに連結される図4に示した吸込配管202A、202Bの内部を洗浄するか、図6に示した吸込配管402A、402Bのように配管を繋ぎ替えることにより、複数の種類の異なるめっき液を用いることが可能となる。
【0085】
このように、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替え、めっき装置として想定される最大のめっき液の種類に応じた複数のめっきモジュール400A、400Bを形成することにより、一つのめっき装置においてめっきモジュール400A、400Bごとに異なるめっき処理を行うことが可能となる。また、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置によれば、第1及び第2の実施形態に係るめっき装置と同様に、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133A、133Bまたはめっき槽133C、133D間でめっき液を混合循環させることができ、滴定の回数を減らすことが可能な構成を含むことができる。
【0086】
(めっき液の混合変化の比較)
以下、図7乃至図9を参照し、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置と、本発明の第1の実施形態に対する比較例のめっき装置との、めっき液の混合変化の比較について、図7及び図9に示したシミュレーション結果に基づき説明する。
【0087】
図7は、図4に示す本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の混合変化を示す図である。図8は、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽に対する比較例のめっき槽の概略構成を示す図である。図9は、図8に示すめっき槽の混合変化を示す図である。
【0088】
図7は、本発明の第1の実施形態のように、連結された4つのめっき槽133A〜133Dのそれぞれに添加剤203A〜203Dを供給した場合の時間に伴うめっき液の混合変化を、シミュレーションを用いて示したグラフであり、図9は、図8に図示したように、4つのめっき槽133A〜133Dのうち一つのめっき槽133Aのみに添加剤203Aを供給した場合の時間に伴うめっき液の混合変化を、シミュレーションを用いて示したグラフである。
【0089】
ここで、図7及び図9に示したグラフのシミュレーション条件として、内槽131A〜131Dは外槽132A〜132Dの2倍の容量とし、例えば外槽132A〜132Dの容量を10L、内槽131A〜131Dの容量を20Lとするとき、各内槽131A〜131Dへの循環量が2L/minであるものとした。図7に示すグラフは、各内槽131A〜131Dに20Lの溶媒が入れられており、各外槽132A〜132Dには7.5Lの溶媒が入れられているとき、各外槽132A〜132Dに添加剤203A〜203Dを2.5Lずつ入れた場合の時間に伴う添加剤203A〜203Dの成分量の変化を示すグラフである。また、図9に示すグラフは、各内槽131A〜131Dに20Lの溶媒が入れられており、外槽132A以外の各外槽132B〜132Dには10Lの溶媒が入れられているとき、外槽132Aのみに添加剤203Aを10L入れた場合の時間に伴う添加剤203Aの成分量の変化を示すグラフである。
【0090】
図7を参照すると、本発明の第1の実施形態によれば、外槽132A〜132Dに、それぞれ添加剤203A〜203Dを2.5Lずつ投入すると、15分程度で内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dにおいて均等にめっき液が混合されることがわかる。
【0091】
また、図9を参照すると、連結された4つのめっき槽133A〜133Dのうち、外槽132Aのみに添加剤203Aを10L投入すると、15分程度では内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dにおいて均等にめっき液が混合されず、めっき液が均等に混合されるまでに130分程度かかることがわかる。
【0092】
従って、図7乃至図9を参照すると、連結されためっき槽133A〜133Dにおいて添加剤を速やかに混合するためには、めっき槽133A〜133Dごとに添加剤203A〜203Dを供給する必要があることがわかる。めっき槽133A〜133Dごとに添加剤203A〜203Dを供給することにより、短時間でめっき槽133A〜133D全体のめっき液を混ぜ合わせることができる。
【0093】
以上より、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、一つのめっき装置において、めっき槽133A〜133Dごとに添加剤203A〜203Dを供給することにより、連結された複数のめっき槽133A〜133D内でめっき液を均等に短時間で混合循環させることができることがわかる。
【0094】
また、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置は、図10及び図11に図示したように、複数のめっき槽133A〜133Dを連結するバランス配管205、206をさらに備えていてもよい。図10は、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管205の第1例の構成を示し、図11は、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管206の第2例の構成を示した図である。以下、図10及び図11を参照し、本発明の一実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管205、206の概略構成について説明する。
【0095】
複数のめっき槽133A〜133Dが連結された構成を有するめっき装置において、各ポンプ112A〜112Dの吐出量がそれぞれ同一でない場合、各めっき槽133A〜133Dの液量のバランスが崩れる虞がある。例えば、内層131A〜131Dからオーバーフローした液を収容する外槽132A〜132Dの液面の高さがそれぞれ一致せず、流入量が多いめっき槽133A〜133Dでは外槽132A〜132Dからめっき液があふれる虞もある。
【0096】
このような液量のアンバランスを解消するために、外槽132A〜132Dの液面レベルを監視し、一定範囲を超えた場合にポンプ112A〜112Dの吐出量を調整する制御装置を備えてもよい。しかし、液面をコントロールすべきめっき槽133A〜133Dと、吐出量を制御すべき循環ユニット111A〜111Dとの組み合わせは、複数の配管201A〜201D、202A〜202Dによる連結形態に応じて変化するため、制御が複雑なものとなる。また、ポンプ112A〜112Dの吐出量をインバータなどにより制御する場合、小さな流量ばらつきを調整することとなり、複雑な制御が必要となり、コストが高くなる虞がある。
【0097】
そこで、本発明の一実施形態にかかるめっき装置は、上述した本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置において、外槽132A〜132Dをそれぞれ連結するバランス配管205、206を備えることにより、各めっき槽133A〜133Dの液量を均等なものに制御するものである。なお、図10及び図11に図示したバランス配管205、206は、それぞれ図4に図示した第1の実施形態に係るめっき装置に備えられた構成を例示しているが、直列に連結された複数のめっき槽を連結する構成であれば、図5及び図6に図示した第2及び第3の実施形態に係るめっき装置に適用することも可能であり、図示した構成に限定されない。
【0098】
図10に図示したように、バランス配管205は、直列に連結された複数のめっき槽133A〜133Dの外槽132A〜132Dを連結する構成を有する。また、図11に図示したように、バランス配管206は、外槽132A〜132Dからポンプ112A〜112Dに戻る吸込配管202A〜202Dの途中を連結する構成を有する。バランス配管205、206を備えることにより、各ポンプ112A〜112Dの吐出し流量が同一でない場合にも、流入量の多い外槽132A〜132Dから流入量の少ない外槽132A〜132Dに液が流れるため、各めっき槽133A〜133Dの液量バランスが崩れることを防止することができる。
【0099】
なお、図10に示した外槽132A〜132D、または図11に示した吸込配管202A〜202Dのバランス配管205、206を連結する箇所には、それぞれ予めバランス配管205、206を取り付けるための継ぎ手を設けておき、バランス配管205、206を取り付けない場合には閉止栓をしておいてもよい。また、全ての外槽132A〜132D、または全ての吸込配管202A〜202Dに予めバランス配管205、206を連結しておき、バランス配管205、206の途中にバルブを設けて、連通させない箇所のバルブを閉じるようにしてもよい。しかし、予めバランス配管205、206を連結しておく場合には、めっき槽133A〜133Dおよび配管201A〜201D、202A〜202Dを洗浄する際に、バランス配管205、206内を洗浄することが難しくなるため、バランス配管205、206を取り付けるための継ぎ手を設け、連通させる箇所にのみ必要に応じてバランス配管205、206を取り付けることが望ましい。このような構成を有することにより、めっき装置の運転パターンに応じて、ポンプ112の吐出配管201A〜201Dの連結パターンおよびバランス配管205、206の取り付けパターンを変えることが容易に可能となる。
【0100】
以上のような構成を有するバランス配管205、206を備えることにより、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、簡易な構成によりコストを抑えて、各めっき槽133A〜133Dの液量バランスを調整することが可能となる。
【0101】
以上、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、一つのめっき装置において、めっき液の種類に応じた複数のめっきモジュールを形成することにより、めっきモジュールごとにそれぞれ異なるめっきプロセスを行うことができる。また、使用するめっき液の種類が少ない場合には、共通のめっき液を使用する複数のめっき槽を直列に連結することで、めっき液を混合循環させることができ、滴定の回数を減らすことが可能となる。このように、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき液の種類の増減に応じて配管を繋ぎ替えてめっきモジュールを構成することにより、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、めっきモジュールごとに異なる種類のめっき液を混合循環することが可能となる。
【0102】
なお、本発明の実施形態においては、外槽132A〜132Dからの戻り配管(吸込配管)がポンプ112A〜112Dの吸込側に接続された例を示したが、外槽132A〜132Dとポンプ112A〜112Dの間にバッファタンクが接続されている場合であっても、本願の思想の範囲から除外されるものではない。また、本発明の実施形態においては外槽132A〜132Dを有しているが、必ずしも外槽132A〜132Dは必要でなく、めっき槽133A〜133Dからの戻り配管(吸込配管)がポンプ112A〜112Dの吸込側に接続され、ポンプ112A〜112Dの吐出配管が別のめっき槽に接続されることにより複数のめっき槽133A〜133Dが直列に連結される構成になっていれば、本発明の効果は有効に発揮されるものである。
【符号の説明】
【0103】
100 めっき装置フレーム
133A〜133D めっき槽
111A〜111D 循環ユニット
112A〜112D ポンプ
201A〜201D、301A、301D、401A、401B、401D 吐出配管
202A〜202D、302A、402A、402B 吸込配管
200A、300A、300B、400A、400B めっきモジュール
205、206 バランス配管
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の被めっき体(基板)の表面にめっきを行うめっき装置に関し、特にウェハの表面に設けられた微細な配線用溝やホール、レジスト開口部にめっき膜を形成したり、半導体ウェハの表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりするのに好適なめっき装置に関する。半導体チップ等のいわゆる3次元実装を行うためには、半導体ウェハやインターポーザまたはスペーサといった基板に対して、内部を貫通する多数のビアプラグを形成する必要があるが、本発明のめっき装置はそのような貫通ビアプラグを形成するためのビアホールの埋め込みにも使用される。より詳細には、基板を基板ホルダに設置し、そのホルダをめっき槽に浸漬させてめっきするめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置は、めっき槽のめっき液に基板ホルダで保持された基板を垂直に差し入れてめっきを行うものである。基板ホルダは、装置の運転前には基板ホルダを収納するためのストッカに収納され、運転を開始すると基板ホルダがストッカから取り出される。さらに処理すべきウェハが、ストッカから取り出した基板ホルダに保持される。基板を保持した基板ホルダは基板ホルダ搬送機によりめっき槽およびめっき処理に伴う各処理槽に搬送され、順次必要な処理が行われる。
【0003】
従来のめっき装置には、複数のめっき槽とめっき液循環タンクを用いて、めっき槽内のめっき液を循環させてめっきさせるものがある(例えば、特許文献1参照。)。従来のめっき装置は、複数のめっき槽群と複数のめっき液循環タンクとをそれぞれ連結し、対応するめっき液循環タンクから各めっき槽にポンプを介してめっき液を供給し、めっき槽群からの戻りのめっき液を、対応するめっき液循環タンク以外の他のめっき液循環タンクに戻すことにより、めっき液全体の成分の均一化を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−339794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1により提案されためっき装置は、各めっき槽にめっき液を供給するポンプの吐出量を均一に保つために、複数のめっき液循環タンクを連通管で連結する構成を有しており、めっき装置の構造が複雑となるものであった。
【0006】
また、めっき槽からの戻りのめっき液をめっき液循環タンクに戻す配管は曲がりが多く、複雑な配管構造を有することから、配管抵抗が増すのでキャビテーションが発生しないように配管サイズを大きくする必要があった。
【0007】
さらに装置全体として1種類のめっき液を用いるものであり、成分の異なる複数のめっき液を用いることはできないものであった。
【0008】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、簡易な構造で成分の異なる複数のめっき液を用いることのできるめっき装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係るめっき装置は、基板の被めっき面にめっきを施すためのめっき装置であって、前記めっき装置は、めっき液が保持される複数のめっき槽と、前記複数のめっき槽のそれぞれに対応して配置され、前記複数のめっき槽内のめっき液を循環させる複数のポンプと、前記複数のポンプの吸込側をそれぞれ対応する前記複数のめっき槽に連結する複数の吸込配管と、前記複数のポンプの吐出側をそれぞれの前記吸込側に連結される前記めっき槽とは異なる他のめっき槽にそれぞれ連結する複数の吐出配管と、を備え、前記複数のめっき槽と前記複数のポンプは直列に連結されることを特徴とする。
【0010】
前記複数のめっき槽は、前記めっき液に前記基板を浸漬させてめっきを行う複数の内槽と、前記複数の内槽からオーバーフローしためっき液を収容する複数の外槽とを備えてもよい。
【0011】
前記複数の吐出配管は、前記複数の内槽にそれぞれ連結され、前記複数の吸込配管は、前記複数の外槽にそれぞれ連結されてもよい。
【0012】
前記基板を保持する基板ホルダと、前記複数のめっき槽に浸漬させて配置されるアノードと、前記基板の被めっき面と前記アノードとの間に電圧を印加するめっき電源と、を備えてもよい。
【0013】
前記複数のめっき槽の内部に、前記アノードと前記基板との間に配置され前記めっき液を攪拌するパドルを備えてもよい。
【0014】
前記複数のめっき槽の内部に、前記基板と略同一の中央孔を有し、前記めっき液を前記アノード側と前記基板側とに仕切るように配置された調整板を備えてもよい。
【0015】
前記吐出配管を繋ぎ替えることにより、前記複数のポンプの前記吐出側と、前記複数のめっき槽との連結された組み合わせが変更されてもよい。
【0016】
前記複数のめっき槽ごとに、前記めっき液に添加剤が投入されてもよい。
【0017】
前記複数のポンプと前記複数のめっき槽を直列に連結して構成しためっきモジュールを、前記めっき液の異なる種類に応じて複数備えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、成分の異なる複数のめっき液を用いることのできるめっき装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るめっき装置の概要を示す側面図である。
【図2】図1に示すめっき装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るめっき装置のめっき槽の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図7】図4に示すめっき槽の混合変化を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽に対する比較例のめっき槽の概略構成を示す図である。
【図9】図8に示すめっき槽の混合変化を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管の第1例の構成を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管の第2例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施することができる。
【0021】
<めっき装置の構造>
まず、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るめっき装置の全体構造について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき装置の概要を示す側面図であり、図2は図1に示すめっき装置の平面図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係るめっき装置は、めっき装置フレーム100に、基板ホルダ(図示せず)と、基板を収納したFOUP(Front Opening Unified Pod)等(図示せず)の搬送容器を置くことができるロードポート170と、基板搬送ロボット180と、スピン・リンス・ドライヤ(SRD)190と、テーブル120と、ポンプユニット110を備えるめっき処理部130と、基板ホルダ搬送部140と、ストッカ150と、ストッカ設置部160と、アライナ195とを備える。ストッカ150は、装置内に固定されていて基板ホルダを収容するものでも良いが、別の形態として、車輪を有し装置外に引き出して分離することのできるワゴン型のストッカであっても良い。
【0024】
基板搬送ロボット180は、搬送容器(図示せず)から基板を取り出し、テーブル120へ搬送することができる。基板搬送ロボット180は、テーブル120から基板を搬送し搬送容器に収納することもできる。基板搬送ロボット180は、好ましくは回転方向に動くことができ、ロードポート170とテーブル120とスピン・リンス・ドライヤ190とアライナ195との間で基板を搬送することができる。スピン・リンス・ドライヤ190は、めっき処理された基板をリンスしながら回転させ、最後に高速回転させて乾燥することができる。
【0025】
アライナ195は、基板の円周方向の位置合わせを行う。すなわち、アライナ195は、基板に設けられたノッチ(切り欠き)位置を検出し、指定された角度にノッチ位置を向けることにより、基板を指定の位置に回転させる。また、アライナ195は基板を回転させながら、基板の中心の位置合わせを行う。
【0026】
なお、図1及び図2において、101は基板ホルダ搬送部140を搬送するための走行軸であり、102は基板ホルダ開閉機構、103は制御部(基板ホルダ搬送部制御部を含む)である。
【0027】
基板ホルダは、基板のめっき処理の際に、基板の端部及び裏面をめっき液からシールし被めっき面を露出させて保持する。また、基板ホルダは、基板の被めっき面の周縁部と接触し、外部電源から給電を与えるための接点を備えても良い。基板ホルダは、めっき処理前にストッカ150に収納され、めっき処理時には基板ホルダ搬送部140によりテーブル120、めっき処理部130の間を移動し、めっき処理後にストッカ150へと再び収納される。
【0028】
テーブル120には、基板ホルダを水平に載置することができる。テーブル120において、基板搬送ロボット180は、水平に載置された基板ホルダに対して、基板の着脱を行う。
【0029】
図1及び図2に係るめっき装置においては、基板ホルダに保持された基板をめっき槽のめっき液に垂直に浸漬し、めっき液をめっき槽の下から注入しオーバーフローさせつつめっきが行われる。めっき槽は、複数の区画を有することが好ましく、各々の区画では、1枚または複数の基板を保持した1つの基板ホルダがめっき液に垂直に浸漬され、めっきされる。電解めっき装置の場合は、各々の区画には、基板ホルダへの通電部、アノード、パドル攪拌装置、調整板を備えていることが好ましい。アノードはアノードホルダに取り付けて使用し、基板と対向するアノードの露出面は基板と同心円状となっている。基板ホルダに保持された基板は、めっき処理部130の各処理槽内の処理流体で処理が行われる。基板ホルダに保持された基板の被めっき面と、アノードホルダに保持されたアノードとの間にめっき電源から電圧が印加され、基板の被めっき面にめっき処理が行われる。
【0030】
パドル攪拌装置は、アノードと基板との間でパドルが往復移動自在であるように配置され、めっき液を攪拌する。また、調整板は、基板と略同一の中央孔を有し、アノードと基板との間にめっき液をアノード側と基板側とに仕切るように配置される。これにより、中央孔の以外から漏れるめっき液や電流を遮断し、基板ホルダで保持した基板の被めっき面の周辺部の電位を調整板で下げて、めっき膜の膜厚の均一化を図る。
【0031】
めっき処理部130の各処理槽の配置は、例えば、図1に示すめっき液を2液使用するタイプのめっき装置とする場合には、工程順に、前水洗槽、前処理槽、リンス槽、第1めっき槽、リンス槽、第2めっき槽、リンス槽、ブロー槽、といった配置としてもよいし、別の構成としてもよい。各処理槽の配置は工程順(X→X’方向)に配置することが、余分な搬送経路をなくす上で好ましい。
【0032】
基板ホルダ搬送部140は、走行軸に沿って、テーブル120、めっき処理部130、ストッカ150の間をリニアモーターなどの搬送機構(図示せず)により移動可能である。基板ホルダ搬送部140は、基板ホルダを垂直姿勢で保持し搬送する。
【0033】
なお、本発明の実施形態に係るめっき処理部130のめっき槽の構成については、図3乃至図6を参照しながら後述することとする。
【0034】
以下、本発明の一実施形態に係るめっき装置の動作の一例を説明する。
【0035】
(a)まず、基板ホルダ搬送部140が、ストッカ150上へと移動し、ストッカ150に収納された基板ホルダを取り出し保持する。
【0036】
(b)次に、基板ホルダ搬送部140は、基板ホルダを保持したままテーブル120まで移動し、基板ホルダがテーブル120の上に水平に設置される。
【0037】
(c)基板ホルダに、基板をセットする。
【0038】
(d)基板ホルダ搬送部140が、基板ホルダを垂直に保持してめっき処理部130の前水洗槽へと移動する。基板ホルダに保持された基板に対して、めっき処理部130の各処理槽において、めっきの各工程を行う。めっき処理は図1に示したXからX’方向へと順次行われる。
【0039】
(e)基板ホルダ搬送部140は、めっき処理部130における各工程完了後、基板ホルダを垂直に保持したままテーブル120まで移動し、基板ホルダがテーブル120の上に水平に設置される。
【0040】
(f)基板ホルダから、基板が取り外される。
【0041】
(g)連続処理を行う場合には、次の未処理の基板をセットし、(d)から工程を繰り返す。
【0042】
(h)処理が完了した後、基板ホルダ搬送部140は、基板が取り外された基板ホルダを垂直に保持してストッカ150へと移動し、ストッカ150へと基板ホルダを垂直に収納する。
【0043】
このように、本発明の一実施形態に係るめっき装置におけるめっき処理が行われる。以下、本発明の一実施形態に係るめっき装置のめっき処理部130に含まれるめっき槽の構成について、図3乃至図9を参照し、詳細に説明する。
【0044】
<めっき槽の構成>
本発明の一実施形態に係るめっき装置に備えられためっき処理部130のめっき槽133A、133Bの構成について、図3を参照して説明する。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態に係るめっき槽133A、133Bの構成例を示す図である。図3に示すように、本発明の一実施形態に係るめっき槽133A、133Bは、それぞれ内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4及び外槽132A、132Bを含み、めっきユニット137A、137Bを構成する。図示したように、複数の内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4を取り囲むように外槽132A、132Bが配置される。ここで、めっき槽133A、133Bに含まれる内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4は、それぞれ基板ホルダ500に保持された基板の被めっき面にめっきを行うためのめっき槽であり、外槽132A、132Bは、内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4からオーバーフローしためっき液を収容するためのオーバーフロー槽である。なお、本実施形態においては、2つのめっき槽133A、133Bがそれぞれ4つの内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4及び1つの外槽132A、132Bを含む構成を図3に図示しているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、めっき槽133A、133Bはそれぞれ少なくとも1つの内槽131A、131Bと、外槽132A、132Bを有する。
【0046】
また、めっきユニット137A、137Bは、図3に図示したように、それぞれめっき槽133A、133Bとリンス槽135A、135Bとを含んで構成されてもよい。リンス槽135A、135Bは、それぞれ複数のリンス槽に区画されたものであってもよく、リンス槽135A、135Bがめっき槽133A、133Bに隣接して配置されてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態に係るめっき槽133A、133Bにおいて、内槽131A、131Bには、めっき液を内槽131A、131Bに送りこむために内槽131A、131Bの底部に噴流口(図示せず)が設けられている。外槽132A、132Bには、内槽131A、131Bからオーバーフローしためっき液を循環ユニット111A〜111D(図4参照)に送液するために、めっき液排液口(図示せず)が設けられている。めっき液が複数の内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4内に充填されると、基板ホルダ500に保持された基板が垂直にめっき液に浸漬され、めっき液を内槽131A−1〜131A−4、131B−1〜131B−4の下から注入しオーバーフローさせつつ、めっき処理が行われる。このように基板を配置し、めっき液を内槽131A、131Bの底部から上向流で流すことで、めっき液中に気泡が発生した場合においても気泡を容易に除去でき、欠陥が生じないようにすることができる。
【0048】
このようなめっき処理が行われるめっき槽133A、133Bに保持されるめっき液は、めっき槽133A、133Bごとに異なるめっき液を用いてもよい。また、複数のめっき槽133A、133Bを配管で連結し、連結された複数のめっき槽133A、133B内で1種類のめっき液を循環させてもよい。
【0049】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの構成について、図4を参照して説明する。
【0050】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの概略構成を示す図である。図4に示すように、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dは、それぞれ内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dを含む。内槽131A〜131Dはそれぞれ1つの内槽であっても良いし、図3で示したように複数の内槽からなっても良い。図示したように、複数のめっき槽133A〜133Dは、複数の循環ユニット111A〜111Dの複数のポンプ112A〜112Dと、複数の配管201A〜201D、202A〜202Dを介してそれぞれ連結される。めっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dとは、1対1にそれぞれ対応するように配置される。従って、ポンプ112A〜112Dを備える循環ユニット111A〜111Dも、めっき槽133A〜133Dに対して1対1にそれぞれ対応するように配置される。
【0051】
図4に図示したように、一つのめっき槽133A〜133Dと、各々に対応する一つの循環ユニット111A〜111Dとで、一つのめっきユニット210A〜210Dが構成される。なお、めっきユニット210A〜210Dは、図3に図示しためっきユニット137A、137Bのようにリンス槽を含んでもよい。
【0052】
また、循環ユニット111A〜111Dは、ポンプ112A〜112Dの他にも、フィルタ、圧力スイッチ、流量調整弁、流量計、必要に応じて熱交換器、サンプリングラインなどを備えてもよい。
【0053】
外槽132A〜132Dにはめっき液排液口(図示せず)が形成されている。外槽132A〜132Dに形成されためっき液排液口は、それぞれ、各外槽132A〜132Dを備えるめっき槽133A〜133Dにそれぞれ対応して配置されたポンプ112A〜112Dの吸込側と、吸込配管202A〜202Dを介して連結される。
【0054】
一方、内槽131A〜131Dには噴流口(図示せず)が形成されている。内槽131A〜131Dに形成された噴流口は、それぞれ、各内槽131A〜131Dを備えるめっき槽133A〜133Dに対応して配置されたポンプ112A〜112D以外の他のポンプ112A〜112Dの吐出側と、吐出配管201A〜201Dを介して連結される。つまり、吐出配管201A〜201Dは、各ポンプ112A〜112Dの吸込側に連結されるめっき槽133A〜133Dとは異なる他のめっき槽133A〜133Dにそれぞれ連結される。
【0055】
このとき、図4に図示したように、複数のめっき槽133A〜133Dと、複数のポンプ112A〜112Dとは、複数の吐出配管201A〜201D及び吸込配管202A〜202Dを介して、直列に連結される。これにより、複数のめっき槽133A〜133D間で、めっき液を循環させることが可能となる。このように、複数のめっき槽133A〜133Dと、複数のポンプ112A〜112Dとを直列に連結し、共通のめっき液が混合循環されるめっきモジュール200Aが構成される。
【0056】
図4に図示したように、めっきモジュール200Aは、例えば、めっき槽133A〜133D及びポンプ112A〜112Dをそれぞれ4つ備える場合は、ポンプ112Aの吸込側がめっき槽133Aの外槽132Aと連結され、ポンプ112Aの吐出側がめっき槽133Bの内槽131Bと連結され、ポンプ112Bの吸込側がめっき槽133Bの外槽132Bと連結され、ポンプ112Bの吐出側がめっき槽133Cの内槽131Cと連結され、ポンプ112Cの吸込側がめっき槽133Cの外槽132Cと連結され、ポンプ112Cの吐出側がめっき槽133Dの内槽131Dと連結され、ポンプ112Dの吸込側がめっき槽133Dの外槽132Dと連結され、ポンプ112Dの吐出側がめっき槽133Aの内槽131Aと連結されるように配置されて構成されてもよい。
【0057】
このような構成を有するめっきモジュール200Aにおいて、吸込配管202A〜202Dは、各々のポンプ112A〜112Dが含まれるめっきユニット210A〜210Dの対応するめっき槽133A〜133Dにそれぞれ連結される。吸込配管202A〜202Dは、めっき液の流速を下げるために吐出配管よりも太い配管を用いることが多く、配管構造はシンプルな構造である方がよい。一方、吐出配管201A〜201Dは、各々のポンプ112A〜112Dが含まれるめっきユニット210A〜210Dとは異なるめっきユニット210A〜210Dのめっき槽133A〜133Dにそれぞれ連結される。吐出配管201A〜201Dは、めっき液の循環量が10L/min程度であればフッ素樹脂(PFA)チューブを用いてもよく、吸込配管202A〜202Dと比べて細い配管を用いることができる。従って、吐出配管201A〜201Dの配管変更作業を比較的容易に行うことができる。
【0058】
このような構成によれば、それぞれ対応して配置される外槽132A〜132Dのめっき液排液口と、ポンプ112A〜112Dの吸込側とを、吸込配管202A〜202Dを介して、単純な構造で連結することができる。これにより、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管抵抗を抑えることができ、ポンプ112A〜112Dの吸込側で生じるキャビテーションを防止するために吸込配管202A〜202Dのサイズを大きくする必要がない。
【0059】
また、ポンプ112A〜112Dの吐出側は、各々のポンプ112A〜112Dが含まれるめっきユニット210A〜210Dとは異なるめっきユニット210A〜210Dのめっき槽133A〜133Dの内槽131A〜131Dの噴流口に、吐出配管201A〜201Dを介してそれぞれ連結される。このように、ポンプ112A〜112Dの吐出側では吐出配管201A〜201Dの配管構造が多少複雑なものとなり配管抵抗が上がる可能性があるがポンプの吐出圧力をわずかに高めればよく、吐出し側はポンプによる圧送なので負圧になることはないため、キャビテーションを起こすことがない。すなわち、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管構造を複雑なものとした場合のように、キャビテーションを防止するために配管を太くするといった必要性がない。配管を太くする必要性がないため、使用するめっき液の種類、すなわちめっき装置の運転パターンが変わった場合に、吐出配管201A〜201Dを異なる槽連結パターンに差し替えることが容易になる。
【0060】
従って、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置によれば、ポンプ112A〜112Dの吐出側に連結される吐出配管201A〜201Dを、それぞれ対応するめっき槽133A〜133D以外のめっき槽133A〜133Dに連結させることにより、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133A〜133D間で共通のめっき液を混合循環させることができる。すなわち図4に示した槽連結パターンでは、1種類のめっき液を4つの槽で共通に使用する場合を示したものである。
【0061】
なお、図4に図示したように、めっき液の成分を調整するための添加剤203A〜203Dが、めっき槽133A〜133Dごとに供給されてもよい。すなわち、めっき槽133A〜133Dは添加剤供給口を有し、添加剤供給口はそれぞれ添加剤供給ユニット(図示せず)につながっている。図示したように、例えば、外槽132A〜132Dからそれぞれ添加剤203A〜203Dを投入してもよく、これにより、外槽132A〜132Dからポンプ112A〜112Dを経由して添加剤203A〜203Dが混合されためっき液を、内槽131A〜131D内に供給することができる。
【0062】
このように、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽133A〜133Dは、複数のめっき槽133A〜133Dが直列に連結されていることから、めっき液の成分分析を一回で行うことも可能である。
【0063】
めっき液の成分分析は、例えば、吐出配管201A〜201Dのうち一つの吐出配管201A〜201Dを分岐させバルブ開閉操作でめっき液を取り出すことにより行うことができる。また、外槽132A〜132Dのいずれかにドレン口を設け、ドレンコックを開閉してめっき液を取り出してもよい。このように、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき槽133A〜133Dごとに滴定を行う必要がないため、連結されためっき槽133A〜133Dについて、滴定が一回で済むという効果を奏することもできる。
【0064】
従って、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置によれば、同じめっきユニット210A〜210D内のめっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dとを、単純な配管構造を有する吸込配管202A〜202Dで連結し、互いに異なるめっきユニット210A〜210Dのめっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dとを吐出配管201A〜201Dで連結し、複数のめっき槽133A〜133Dを直列に連結しためっきモジュール200Aを構成することにより、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなくめっき液を混合循環させることができ、且つ、滴定の回数を減らすという効果を奏することができる。
【0065】
以下、第2の実施形態に係るめっき装置として、複数の異なる種類のめっき液を用いる場合のめっき槽133A〜133Dの構成を、図5を参照して説明する。
【0066】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置のめっき槽133A〜133Dの概略構成を示す図である。図5に示すように、本発明の第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dは、図4に示す第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様に、それぞれ内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dを含む。また、めっき槽133A〜133Dと、ポンプ112A〜112Dを備える循環ユニット111A〜111Dとは、1対1にそれぞれ対応するように配置される。図4に示す第1の実施形態と同様に、図5には図示していないが、一つのめっきユニット210A〜210Dが、一つのめっき槽133A〜133Dと、各々に対応する一つの循環ユニット111A〜111Dとで構成されるものとする。なお、第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの構成について、第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様の構成については、以下、同じ符号を用いて示し、詳細な説明については省略する。
【0067】
図5に図示したように、めっき槽133Aは、吐出配管301A及び吸込配管302Aを介して循環ユニット111Aのポンプ112Aに連結される。また、めっき槽133B〜133Dは、吐出配管301B〜301D及び吸込配管302B〜302Dを介して循環ユニット111B〜111Dのポンプ112B〜112Dにそれぞれ連結される。このとき、めっき槽133Aとポンプ112Aとが連結された構成をめっきモジュール300Aとし、めっき槽133B〜133Dとポンプ112B〜112Dとがそれぞれ連結された構成をめっきモジュール300Bとする。めっきモジュール300Aとめっきモジュール300Bとは、配管により接続されていないため、それぞれ異なる成分のめっき液を循環させて、それぞれ異なるめっきプロセスを行うことができるものである。
【0068】
めっきモジュール300Aは、めっきユニット210A内のめっき槽133Aとポンプ112Aとが直列に連結された構成を有する。めっき槽133Aの外槽132Aに形成されためっき液排液口(図示せず)が、ポンプ112Aの吸込側に連結され、内槽131Aに形成された噴流口(図示せず)が、ポンプ112Aの吐出側に連結される。
【0069】
一方、めっきモジュール300Bは、複数のめっき槽133B〜133Dと複数のポンプ112B〜112Dとが直列に連結された構成を有し、上述した本発明の第1の実施形態に係るめっき槽133A〜133D及びポンプ112A〜112Dの構成と同様の構成を有するものである。めっきモジュール300Bにおいて、吸込配管202B〜202Dは、同じめっきユニット210B〜210D(図4参照)内のめっき槽133B〜133Bとポンプ112B〜112Dとを連結し、吐出配管201B〜201Dは、互いに異なるめっきユニット210B〜210D(図4参照)のめっき槽133B〜133Dとポンプ112B〜112Dとを連結する。
【0070】
このように、めっきモジュール300Bによれば、第1の実施形態と同様に、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく複数のめっき槽133B〜133D間でめっき液を混合循環させることができる。また、滴定をめっき槽133B〜133Dごとに行わずに、めっきモジュール300A、300Bごとに行うことが可能となるため、滴定の回数を減らすことができる。
【0071】
さらに、めっきモジュール300Aとめっきモジュール300Bとはそれぞれ独立した構成を有することから、めっきモジュール300Aのめっき槽133Aには、めっきモジュール300Bのめっき槽133B〜133Dに供給される添加剤203B〜203Dとは異なる種類の添加剤303Aを供給することができる。従って、同一のめっき装置内においても、めっきモジュール300Aとめっきモジュール300Bとで、それぞれ異なる種類のめっき液を用いてめっき処理を行うことが可能となる。
【0072】
このとき、図4に図示した第1の実施形態に係るめっき装置を用いて、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替えることにより、図5に図示した第2の実施形態に係るめっき装置の構成を形成することが可能である。吐出配管301A、201B〜201Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、吸込配管302A、202B〜202Dと比べて細い配管を用いることができるため、配管変更作業を比較的容易に行うことができる。例えば、図4に図示したポンプ112Aの吐出側から内槽131Bに連結される吐出配管201Aを、図5に図示したように、内槽131Aに連結される吐出配管301Aに繋ぎ替え、図4に図示したポンプ112Dの吐出側から内槽131Aに連結される吐出配管201Dを、図5に図示したように、内槽131Bに連結される吐出配管301Dに繋ぎ替えることにより、図5に示した構成を形成することができる。
【0073】
また、吸込配管302A、202B〜202Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、同じめっきユニット210B〜210D(図4参照)内のポンプ112A〜112Dの吸込側と外槽132A〜132Dのめっき液排液口とを単純な構造で連結することができることから、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管抵抗を抑えることができる。従って、吸込配管302A、202B〜202Dのサイズを大きくすることなく、ポンプ112A〜112Dの吸込側で生じるキャビテーションを防止することができる。
【0074】
なお、このとき、図4に示した構成を有する既に使用されためっき装置を用いて配管を繋ぎ替える場合には、図5に示しためっきモジュール300Aのめっき槽133Aに、図4に示しためっき槽133Aのめっき液とは異なるめっき液が注入されることから、めっき槽133Aの内部を既存の方法で洗浄し、また、外槽132Aに連結される図4に示した吸込配管202Aの内部を洗浄するか、図5に示した吸込配管302Aのように配管を繋ぎ替えることにより、複数の種類の異なるめっき液を用いることが可能となる。
【0075】
このように、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替え、めっき装置として想定される最大のめっき液の種類に応じた複数のめっきモジュール300A、300Bを形成することにより、一つのめっき装置においてめっきモジュール300A、300Bごとに異なるめっき処理を行うことが可能となる。また、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置によれば、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133B〜133D間でめっき液を混合循環させることができ、滴定をめっき槽133A〜133Dごとに行わずにめっきモジュール300A、300Bごとに行うことができるため、滴定の回数を減らすことのできる構成を含むことができる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置の構成について、図6を参照して説明する。本発明の第3の実施形態に係るめっき装置についても、本発明の第2の実施形態に係るめっき装置と同様に、複数の異なる種類のめっき液を用いることが可能な構成である。
【0077】
図6は、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置のめっき槽133A〜133Dの概略構成を示す図である。図6に示すように、本発明の第3の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dは、第1及び第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様に、それぞれ内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dを含む。また、めっき槽133A〜133Dとポンプ112A〜112Dを備える循環ユニット111A〜111Dとは、それぞれ1対1に対応するように配置される。図4に示す第1の実施形態と同様に、図6には図示していないが、一つのめっきユニット210A〜210Dが、一つのめっき槽133A〜133Dと、各々に対応する一つの循環ユニット111A〜111Dとで構成されるものとする。なお、第3の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dの構成について、第1及び第2の実施形態に係るめっき槽133A〜133Dと同様の構成については、以下、同じ符号を用いて示し、詳細な説明については省略する。
【0078】
図6に図示したように、めっき槽133A、133Bは、吐出配管401A、401B及び吸込配管402A、402Bにより、それぞれ循環ユニット111A、111Bのポンプ112A、112Bに連結される。また、めっき槽133C、133Dは、吐出配管201C、401D及び吸込配管202C、202Dにより、それぞれ循環ユニット111A、111Bのポンプ112A、112Bに連結される。このとき、めっき槽133A、133Bとポンプ112A、112Bとが連結された構成を、めっきモジュール400Aとし、めっき槽133C、133Dとポンプ112C、112Dとがそれぞれ連結された構成を、めっきモジュール400Bとする。めっきモジュール400Aとめっきモジュール400Bとは、配管により接続されていないため、それぞれ異なる成分のめっき液を循環させることができる。
【0079】
めっきモジュール400Aにおいて、吸込配管402A、402Bは、同じめっきユニット210A、210B(図4参照)内のめっき槽133A、133Bとポンプ112A、112Bとを連結し、吐出配管401A、401Bは、互いに異なるめっきユニット210A、210B(図4参照)のめっき槽133A、133Bとポンプ112A、112Bとを連結するように構成される。また、めっきモジュール400Bにおいて、吸込配管202C、202Dは、同じめっきユニット210C、210C(図4参照)内のめっき槽133C、133Dとポンプ112C、112Dとを連結し、吐出配管201C、401Dは、互いに異なるめっきユニット210C、210D(図4参照)のめっき槽133C、133Dとポンプ112C、112Dとを連結するように構成される。このように、めっきモジュール400Aが複数のめっき槽133A、133Bと複数のポンプ112A、112Bとが直列に連結された構成を有し、めっきモジュール400Bが複数のめっき槽133C、133Dと複数のポンプ112C、112Dとが直列に連結された構成を有することから、めっきモジュール400A、400Bは、第1の実施形態に係るめっきモジュール200A及び第2の実施形態に係るめっきモジュール300Bと同様の構成を有するものである。
【0080】
従って、めっきモジュール400A及びめっきモジュール400Bによれば、第1の実施形態と同様に、簡易な構造で、キャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133A、133Bまたはめっき槽133C、133D間でそれぞれめっき液を混合循環させることができる。また、滴定をめっき槽133A〜133Dごとに行わずに、めっきモジュール400A、400Bごとに行うことが可能となるため、滴定の回数を減らすことができる。
【0081】
さらに、めっきモジュール400Aとめっきモジュール400Bとはそれぞれ独立した構成を有することから、めっきモジュール400Aのめっき槽133A、133Bには、めっきモジュール400Bのめっき槽133C、133Dに供給される添加剤203C、203Dとは異なる種類の添加剤403A、403Bを供給することができる。従って、同一のめっき装置内においても、めっきモジュール400Aとめっきモジュール400Bとで、それぞれ異なる種類のめっき液を用いてめっき処理を行うことが可能となる。
【0082】
このとき、図4に図示した第1の実施形態に係るめっき装置を用いて、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替えることにより、図6に図示した第3の実施形態に係るめっき装置の構成を形成することが可能である。吐出配管401A、401B、201C、401Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、吸込配管402A、402B、202C、202Dと比べて細い配管を用いることができるため、配管変更作業を比較的容易に行うことができる。例えば、図4に図示したポンプ112Bの吐出側から内槽131Cに連結される吐出配管201Bを、図6に図示したように、内槽131Aに連結される吐出配管401Aに繋ぎ替え、図4に図示したポンプ112Dの吐出側から内槽131Aに連結される吐出配管201Dを、図6に図示したように、内槽131Cに連結される吐出配管401Dに繋ぎ替えることにより、図6に示した構成を形成することができる。
【0083】
また、吸込配管402A、402B、202C、202Dは、第1の実施形態に係るめっき装置と同様に、ポンプ112A〜112Dの吸込側と外槽132A〜132Dのめっき液排液口とを単純な構造で連結することができることから、ポンプ112A〜112Dの吸込側の配管抵抗を抑えることができる。従って、吸込配管402A、402B、202C、202Dのサイズを大きくすることなく、ポンプ112A〜112Dの吸込側で生じるキャビテーションを防止することができる。
【0084】
なお、このとき、図4に示した構成を有する既に使用されためっき装置を用いて配管を繋ぎ替える場合には、図6に示しためっきモジュール400Aのめっき槽133A、133Bに、図4に示しためっき槽133A、133Bのめっき液とは異なるめっき液が注入されることから、めっき槽133A、133Bの内部を既存の方法で洗浄し、また、外槽132A、132Bに連結される図4に示した吸込配管202A、202Bの内部を洗浄するか、図6に示した吸込配管402A、402Bのように配管を繋ぎ替えることにより、複数の種類の異なるめっき液を用いることが可能となる。
【0085】
このように、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき槽133A〜133Dに連結される配管を繋ぎ替え、めっき装置として想定される最大のめっき液の種類に応じた複数のめっきモジュール400A、400Bを形成することにより、一つのめっき装置においてめっきモジュール400A、400Bごとに異なるめっき処理を行うことが可能となる。また、本発明の第3の実施形態に係るめっき装置によれば、第1及び第2の実施形態に係るめっき装置と同様に、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、複数のめっき槽133A、133Bまたはめっき槽133C、133D間でめっき液を混合循環させることができ、滴定の回数を減らすことが可能な構成を含むことができる。
【0086】
(めっき液の混合変化の比較)
以下、図7乃至図9を参照し、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置と、本発明の第1の実施形態に対する比較例のめっき装置との、めっき液の混合変化の比較について、図7及び図9に示したシミュレーション結果に基づき説明する。
【0087】
図7は、図4に示す本発明の第1の実施形態に係るめっき装置のめっき槽の混合変化を示す図である。図8は、本発明の第1の実施形態に係るめっき槽に対する比較例のめっき槽の概略構成を示す図である。図9は、図8に示すめっき槽の混合変化を示す図である。
【0088】
図7は、本発明の第1の実施形態のように、連結された4つのめっき槽133A〜133Dのそれぞれに添加剤203A〜203Dを供給した場合の時間に伴うめっき液の混合変化を、シミュレーションを用いて示したグラフであり、図9は、図8に図示したように、4つのめっき槽133A〜133Dのうち一つのめっき槽133Aのみに添加剤203Aを供給した場合の時間に伴うめっき液の混合変化を、シミュレーションを用いて示したグラフである。
【0089】
ここで、図7及び図9に示したグラフのシミュレーション条件として、内槽131A〜131Dは外槽132A〜132Dの2倍の容量とし、例えば外槽132A〜132Dの容量を10L、内槽131A〜131Dの容量を20Lとするとき、各内槽131A〜131Dへの循環量が2L/minであるものとした。図7に示すグラフは、各内槽131A〜131Dに20Lの溶媒が入れられており、各外槽132A〜132Dには7.5Lの溶媒が入れられているとき、各外槽132A〜132Dに添加剤203A〜203Dを2.5Lずつ入れた場合の時間に伴う添加剤203A〜203Dの成分量の変化を示すグラフである。また、図9に示すグラフは、各内槽131A〜131Dに20Lの溶媒が入れられており、外槽132A以外の各外槽132B〜132Dには10Lの溶媒が入れられているとき、外槽132Aのみに添加剤203Aを10L入れた場合の時間に伴う添加剤203Aの成分量の変化を示すグラフである。
【0090】
図7を参照すると、本発明の第1の実施形態によれば、外槽132A〜132Dに、それぞれ添加剤203A〜203Dを2.5Lずつ投入すると、15分程度で内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dにおいて均等にめっき液が混合されることがわかる。
【0091】
また、図9を参照すると、連結された4つのめっき槽133A〜133Dのうち、外槽132Aのみに添加剤203Aを10L投入すると、15分程度では内槽131A〜131D及び外槽132A〜132Dにおいて均等にめっき液が混合されず、めっき液が均等に混合されるまでに130分程度かかることがわかる。
【0092】
従って、図7乃至図9を参照すると、連結されためっき槽133A〜133Dにおいて添加剤を速やかに混合するためには、めっき槽133A〜133Dごとに添加剤203A〜203Dを供給する必要があることがわかる。めっき槽133A〜133Dごとに添加剤203A〜203Dを供給することにより、短時間でめっき槽133A〜133D全体のめっき液を混ぜ合わせることができる。
【0093】
以上より、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、一つのめっき装置において、めっき槽133A〜133Dごとに添加剤203A〜203Dを供給することにより、連結された複数のめっき槽133A〜133D内でめっき液を均等に短時間で混合循環させることができることがわかる。
【0094】
また、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置は、図10及び図11に図示したように、複数のめっき槽133A〜133Dを連結するバランス配管205、206をさらに備えていてもよい。図10は、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管205の第1例の構成を示し、図11は、本発明の第1の実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管206の第2例の構成を示した図である。以下、図10及び図11を参照し、本発明の一実施形態に係るめっき装置に備えられたバランス配管205、206の概略構成について説明する。
【0095】
複数のめっき槽133A〜133Dが連結された構成を有するめっき装置において、各ポンプ112A〜112Dの吐出量がそれぞれ同一でない場合、各めっき槽133A〜133Dの液量のバランスが崩れる虞がある。例えば、内層131A〜131Dからオーバーフローした液を収容する外槽132A〜132Dの液面の高さがそれぞれ一致せず、流入量が多いめっき槽133A〜133Dでは外槽132A〜132Dからめっき液があふれる虞もある。
【0096】
このような液量のアンバランスを解消するために、外槽132A〜132Dの液面レベルを監視し、一定範囲を超えた場合にポンプ112A〜112Dの吐出量を調整する制御装置を備えてもよい。しかし、液面をコントロールすべきめっき槽133A〜133Dと、吐出量を制御すべき循環ユニット111A〜111Dとの組み合わせは、複数の配管201A〜201D、202A〜202Dによる連結形態に応じて変化するため、制御が複雑なものとなる。また、ポンプ112A〜112Dの吐出量をインバータなどにより制御する場合、小さな流量ばらつきを調整することとなり、複雑な制御が必要となり、コストが高くなる虞がある。
【0097】
そこで、本発明の一実施形態にかかるめっき装置は、上述した本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置において、外槽132A〜132Dをそれぞれ連結するバランス配管205、206を備えることにより、各めっき槽133A〜133Dの液量を均等なものに制御するものである。なお、図10及び図11に図示したバランス配管205、206は、それぞれ図4に図示した第1の実施形態に係るめっき装置に備えられた構成を例示しているが、直列に連結された複数のめっき槽を連結する構成であれば、図5及び図6に図示した第2及び第3の実施形態に係るめっき装置に適用することも可能であり、図示した構成に限定されない。
【0098】
図10に図示したように、バランス配管205は、直列に連結された複数のめっき槽133A〜133Dの外槽132A〜132Dを連結する構成を有する。また、図11に図示したように、バランス配管206は、外槽132A〜132Dからポンプ112A〜112Dに戻る吸込配管202A〜202Dの途中を連結する構成を有する。バランス配管205、206を備えることにより、各ポンプ112A〜112Dの吐出し流量が同一でない場合にも、流入量の多い外槽132A〜132Dから流入量の少ない外槽132A〜132Dに液が流れるため、各めっき槽133A〜133Dの液量バランスが崩れることを防止することができる。
【0099】
なお、図10に示した外槽132A〜132D、または図11に示した吸込配管202A〜202Dのバランス配管205、206を連結する箇所には、それぞれ予めバランス配管205、206を取り付けるための継ぎ手を設けておき、バランス配管205、206を取り付けない場合には閉止栓をしておいてもよい。また、全ての外槽132A〜132D、または全ての吸込配管202A〜202Dに予めバランス配管205、206を連結しておき、バランス配管205、206の途中にバルブを設けて、連通させない箇所のバルブを閉じるようにしてもよい。しかし、予めバランス配管205、206を連結しておく場合には、めっき槽133A〜133Dおよび配管201A〜201D、202A〜202Dを洗浄する際に、バランス配管205、206内を洗浄することが難しくなるため、バランス配管205、206を取り付けるための継ぎ手を設け、連通させる箇所にのみ必要に応じてバランス配管205、206を取り付けることが望ましい。このような構成を有することにより、めっき装置の運転パターンに応じて、ポンプ112の吐出配管201A〜201Dの連結パターンおよびバランス配管205、206の取り付けパターンを変えることが容易に可能となる。
【0100】
以上のような構成を有するバランス配管205、206を備えることにより、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、簡易な構成によりコストを抑えて、各めっき槽133A〜133Dの液量バランスを調整することが可能となる。
【0101】
以上、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、一つのめっき装置において、めっき液の種類に応じた複数のめっきモジュールを形成することにより、めっきモジュールごとにそれぞれ異なるめっきプロセスを行うことができる。また、使用するめっき液の種類が少ない場合には、共通のめっき液を使用する複数のめっき槽を直列に連結することで、めっき液を混合循環させることができ、滴定の回数を減らすことが可能となる。このように、本発明の第1乃至第3の実施形態に係るめっき装置によれば、めっき液の種類の増減に応じて配管を繋ぎ替えてめっきモジュールを構成することにより、簡易な構造でキャビテーションを発生させることなく、めっきモジュールごとに異なる種類のめっき液を混合循環することが可能となる。
【0102】
なお、本発明の実施形態においては、外槽132A〜132Dからの戻り配管(吸込配管)がポンプ112A〜112Dの吸込側に接続された例を示したが、外槽132A〜132Dとポンプ112A〜112Dの間にバッファタンクが接続されている場合であっても、本願の思想の範囲から除外されるものではない。また、本発明の実施形態においては外槽132A〜132Dを有しているが、必ずしも外槽132A〜132Dは必要でなく、めっき槽133A〜133Dからの戻り配管(吸込配管)がポンプ112A〜112Dの吸込側に接続され、ポンプ112A〜112Dの吐出配管が別のめっき槽に接続されることにより複数のめっき槽133A〜133Dが直列に連結される構成になっていれば、本発明の効果は有効に発揮されるものである。
【符号の説明】
【0103】
100 めっき装置フレーム
133A〜133D めっき槽
111A〜111D 循環ユニット
112A〜112D ポンプ
201A〜201D、301A、301D、401A、401B、401D 吐出配管
202A〜202D、302A、402A、402B 吸込配管
200A、300A、300B、400A、400B めっきモジュール
205、206 バランス配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の被めっき面にめっきを施すためのめっき装置であって、
前記めっき装置は、めっき液が保持される複数のめっき槽と、
前記複数のめっき槽のそれぞれに対応して配置され、前記複数のめっき槽内のめっき液を循環させる複数のポンプと、
前記複数のポンプの吸込側をそれぞれ対応する前記複数のめっき槽に連結する複数の吸込配管と、前記複数のポンプの吐出側をそれぞれの前記吸込側に連結される前記めっき槽とは異なる他のめっき槽にそれぞれ連結する複数の吐出配管と、を備え、
前記複数のめっき槽と前記複数のポンプは直列に連結されることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
前記複数のめっき槽は、前記めっき液に前記基板を浸漬させてめっきを行う複数の内槽と、前記複数の内槽からオーバーフローしためっき液を収容する複数の外槽とを備えることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記複数の吐出配管は、前記複数の内槽にそれぞれ連結され、
前記複数の吸込配管は、前記複数の外槽にそれぞれ連結されることを特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記基板を保持する基板ホルダと、
前記複数のめっき槽に浸漬させて配置されるアノードと、
前記基板の被めっき面と前記アノードとの間に電圧を印加するめっき電源と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記複数のめっき槽の内部に、前記アノードと前記基板との間に配置され前記めっき液を攪拌するパドルを備えることを特徴とする請求項4に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記複数のめっき槽の内部に、前記基板と略同一の中央孔を有し、前記めっき液を前記アノード側と前記基板側とに仕切るように配置された調整板を備えることを特徴とする請求項5に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記吐出配管を繋ぎ替えることにより、前記複数のポンプの前記吐出側と、前記複数のめっき槽との連結された組み合わせが変更されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項8】
前記複数のめっき槽ごとに、前記めっき液に添加剤が投入されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項9】
前記複数のポンプと前記複数のめっき槽を直列に連結して構成しためっきモジュールを、前記めっき液の異なる種類に応じて複数備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項10】
前記複数のめっき槽を連結するバランス配管をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項1】
基板の被めっき面にめっきを施すためのめっき装置であって、
前記めっき装置は、めっき液が保持される複数のめっき槽と、
前記複数のめっき槽のそれぞれに対応して配置され、前記複数のめっき槽内のめっき液を循環させる複数のポンプと、
前記複数のポンプの吸込側をそれぞれ対応する前記複数のめっき槽に連結する複数の吸込配管と、前記複数のポンプの吐出側をそれぞれの前記吸込側に連結される前記めっき槽とは異なる他のめっき槽にそれぞれ連結する複数の吐出配管と、を備え、
前記複数のめっき槽と前記複数のポンプは直列に連結されることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
前記複数のめっき槽は、前記めっき液に前記基板を浸漬させてめっきを行う複数の内槽と、前記複数の内槽からオーバーフローしためっき液を収容する複数の外槽とを備えることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記複数の吐出配管は、前記複数の内槽にそれぞれ連結され、
前記複数の吸込配管は、前記複数の外槽にそれぞれ連結されることを特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記基板を保持する基板ホルダと、
前記複数のめっき槽に浸漬させて配置されるアノードと、
前記基板の被めっき面と前記アノードとの間に電圧を印加するめっき電源と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記複数のめっき槽の内部に、前記アノードと前記基板との間に配置され前記めっき液を攪拌するパドルを備えることを特徴とする請求項4に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記複数のめっき槽の内部に、前記基板と略同一の中央孔を有し、前記めっき液を前記アノード側と前記基板側とに仕切るように配置された調整板を備えることを特徴とする請求項5に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記吐出配管を繋ぎ替えることにより、前記複数のポンプの前記吐出側と、前記複数のめっき槽との連結された組み合わせが変更されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項8】
前記複数のめっき槽ごとに、前記めっき液に添加剤が投入されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項9】
前記複数のポンプと前記複数のめっき槽を直列に連結して構成しためっきモジュールを、前記めっき液の異なる種類に応じて複数備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のめっき装置。
【請求項10】
前記複数のめっき槽を連結するバランス配管をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のめっき装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−11011(P2013−11011A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16659(P2012−16659)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
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