説明

アクセサリシューカバーを有するカメラ

【課題】 アクセサリシューを覆うカバーを有するカメラにおいて、アクセサリシューを利用する際におけるカバーの着脱操作が面倒であり、かつカバーを紛失するおそれがある。
【解決手段】 アクセサリシューASに隣接してカバー収納室12を設け、アクセサリシューを覆うカバー13をカバー収納室12とアクセサリシューASとの間で移動可能に構成し、かつカバーを弾性手段17によりアクセサリシューに向けて付勢する。付属品をアクセサリシューに装着すれば、カバー13は自動的にアクセサリシュー上からカバー収納室12内に退避され、付属品をアクセサリシューから取り外せばカバー13は弾性手段17の弾性力によってアクセサリシュー上に進出させてこれを覆う状態とされる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクセサリシューを備えるカメラに関し、特にアクセサリシューの非使用時に接点部を覆うアクセサリシューカバーを有するカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】カメラの付属品取付座(アクセサリシュー)はストロボやその他のカメラ付属品をカメラ本体に装備する際に利用されており、その形状、寸法等は日本工業規格で決められている。このアクセサリシューは、その内底面にシンクロナイザ接点や、カメラ独自の各種接点が設けられており、装着された付属品とカメラとの間を相互に電気接続する際に利用される。従来、このアクセサリシューは、カメラの上カバー等に設けられており、したがって前記した接点は露呈されているのが一般的である。
【0003】しかしながら、近年におけるカメラでは、コンピュータを内蔵するものが多く、アクセサリシューの接点もこのコンピュータに接続されている場合があり、接点が露呈されていて雨や水滴等が付着して短絡等が生じるとコンピュータにつながる回路が短絡され、コンピュータによるカメラの露出や焦点等の制御に不具合が生じることがある。このため、アクセサリシューの接点部を覆うカバーを付属したカメラが提案されている。また、このカバーは前記した電気短絡を防止するのと同時に、アクセサリシューの非使用時に接点部が露呈されることによる、カメラのデザイン上の見栄え低下を抑える上からも利用されている。
【0004】従来のアクセサリシューは、例えば本出願人が提案している一例の構造を図7に示すように、カメラCAの外形に沿った形状をした樹脂製のカバー100をアクセサリシューにスライド状態で嵌入可能に構成している。このカバー100はアクセサリシューASの内底面に略等しい外形寸法の小片状に形成され、その両側部をアクセサリシューASの両側レール101内に挿入することで、これらレール101間に生じている凹部に充填されてその上面をカメラの表面に略等しい表面状態とし、かつアクセサリシューASの内面に露呈されている正接点端子102を覆い隠し、前記した電気的な短絡の防止やデザイン上の見栄えの改善を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のアクセサリシューカバーでは、付属品をアクセサリシューに装着する度にカバーを取り外す必要があり、その際には手作業によりアクセサリシューからカバーをスライドさせながら取り外しているため、その作業にある程度の力が必要であるが、作業は指先で行うために十分な力で作業を行うことが難しく、しかも面倒である。また、付属品を装着する際には、アクセサリシューから取り外したカバーをカメラとは別に保管しておかなければならず、カバー自体が小片であるために紛失し易いという問題がある。
【0006】本発明は、カバーの着脱操作を行うことなく付属品をアクセサリシューに装着することを可能にし、これによりカバーを着脱することにより生じている前記した課題を解消したアクセサリシューカバーを有するカメラを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のカメラは、アクセサリシューに隣接配置され、カメラ本体に設けたアクセサリシューの少なくとも接点部を覆うカバーを収納でき、かつアクセサリシューとの間でカバーを移動可能なカバー収納室と、カバーをアクセサリシューの接点部を覆う位置に向けて付勢する弾性手段を有しており、アクセサリシューに付属品を装着したときにカバーが弾性手段の付勢力に抗してカバー収納室に収納位置される構成とする。
【0008】前記アクセサリシューには付属品の取付足を案内固定するための一対のレールが設けられ、カバーはこれらレールの延設方向に沿って移動可能とされ、弾性手段により付勢されたときには前記レール間に進出されるように構成する。また、カバー収納室はレールの延設方向の一側部のカメラ飾り板の内部に設けられ、内部に弾性手段としての圧縮コイルバネを内装し、この圧縮コイルバネの伸張によりカバーがカバー収納室からアクセサリシューに向けて突出される構成とする。さらに、カバー収納室から突出されるカバーをアクセサリシュー上の所定の位置に位置決めするためのストッパ手段を有する。また、カバーをカバー収納室内において位置決めする手段を有し、この位置決めされたカバーにより付属品をアクセサリシューに対して位置決めする構成とする。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一例について図面を参照して説明する。図1は本実施形態のカメラの背面図、図2はその要部の外観斜視図、図3はその一部を破断した拡大斜視図、図4(a),(b),(c)はその拡大平面図、正面図、AA線断面図である。カメラCAの上部は、カメラボディ1の上側を上飾り板2で覆う構成とされている。前記上飾り板2は、カメラ後面側の一部を矩形に切り欠いており、この切欠部3を含むカメラボディ1の上面にはカメラ前後方向に沿って図には示されない浅い溝を形成し、この溝内に矩形の絶縁支持台4を内装固定している。この絶縁支持台4のカメラ前側(以下、単に前側と称する)の上面はその高さが低くされて低面部5として構成され、この低面部5によってカメラ後側(以下、後側と称する)の上面の高面部6との境界部に段差部7が形成される。なお、この後側の高面部6の前後方向の長さはアクセサリシューを構成するための所定の長さ寸法に設定されるが、前記低面部5の前後方向の長さはこの後側高面部6の長さよりも幾分長く形成される。
【0010】そして、前記絶縁支持台4の後側の高面部にアクセサリシューASが構成される。このアクセサリシューASでは、金属板を曲げ加工して両側縁に沿って逆L字型のレール9を一体に形成した負接点板8を小ネジ10により前記高面部6上に固定する。このレール9はその内部にストロボ等の付属品の取付足の両側部が挿入可能とされ、挿入された取付足をレール9の内面で挟持するためのものであることは言うまでもない。なお、ここでレール9の前後端部は前後方向に貫通された構成とされる。また、前記負接点板8の中心領域は開口され、この開口された領域の絶縁支持台4の高面部6の位置には正接点端子11が一体的に配設されている。これら負接点板8と正接点端子11は図示を省略したカメラ内部の回路に接続される。このように、前記アクセサリシューASは前記上飾り板2の切欠部3内に位置されてカメラの上面部に露呈された状態で形成されていることになる。
【0011】一方、前記上飾り板2とカメラボディ1との間隙内に位置された前記絶縁支持台4の低面部5と上飾り板2との間はカバー収納室12として構成されており、このカバー収納室12内には前記レール9の対向寸法に略等しい幅寸法で、レールの長さよりも多少長い長さ寸法をした矩形板状のアクセサリシューカバー13が内装される。このカバー13は、その両側部が前記レール9の内側に案内されながら前記絶縁支持台4上で前後方向にスライド移動可能に構成される。また、このカバー13は、前記上飾り板2と同じ着色が施されており、かつ前側の端部が下方に向けて厚肉に形成されて、下面に段部14が形成される。この段部14はカバー13が後側へ向けて移動されたときに、前記絶縁支持台4の段差部7に当接してカバー13がそれ以上後方に移動されることがないようなストッパとして機能される。
【0012】また、前記カバー収納室12内の前側端部にはその中央部に凹穴16が設けられたリテーナ15が設けられ、このリテーナ15には前後方向に向けられた圧縮コイルバネ17の一端部が収納される。また、この圧縮コイルバネ17の他端部は前記カバー13の前側端部に当接され、カバー13を後側に向けて付勢している。なお、凹穴16は圧縮コイルバネ17が短縮されたときに圧縮コイルバネ17全体を収納可能な前後方向の深さ寸法に形成されており、これにより圧縮コイルバネ17が短縮されたときにカバー13の前側端部がリテーナ15に当接され、このリテーナ15が位置決め手段としてカバー収納室12内におけるカバー13の収納位置を設定する。
【0013】さらに、このカバー収納室12に隣接する上飾り板2とカメラボディ1との間の間隙内にはアクセサリシューASに付属品が装着された状態を検出するための検出スイッチ18が臨設されている。この検出スイッチ18は固定接点19と、弾性を有する可動接点20で構成されており、この可動接点20の先端部がカバー収納室12内に突出位置されている。
【0014】以上の構成のアクセサリシューカバーの動作を説明する。アクセサリシューASに付属品を装備していない状態においては、図1ないし図4に示したように、カバー13は圧縮コイルバネ17のバネ力によって後側に向けて付勢されるため、カバー13はカバー収納室12から後側のアクセサリシューAS上にまで突出され、ストッパ14が絶縁支持台4の段差部7に当接される位置にまで移動されている。この位置では、カバー13は両側部がレール9によって案内され、負接点板4や正接点端子11の上側に位置されることになり、結果としてこれら負接点板4や正接点端子11を覆っている。また、アクセサリシューASの両レール9間に生じる上飾り板2よりも凹んだ領域にカバー13が位置されるため、この領域においては、そのカバー13の上面でカメラ上飾り板2と略等しい平面状態とされ、外観上の見栄えが改善される。なお、実際にはレール9の板厚さ分だけカバー13の平面高さが上飾り板2よりも低くされているが、特に目立つものとはならない。
【0015】そして、付属品として例えばストロボをアクセサリシューASに装着する際には、ストロボに設けた取付足をカメラ後方からアクセサリシューASのレール9間に差し込む。図5はその状態の斜視図、図6(a),(b)はその平面図とBB線断面図である。このように取付足FTをレール9間に挿入して行くことにより、カバー13は取付足FTに押され、圧縮コイルバネ17の弾性力に抗して前側に移動され、取付足FTがアクセサリシューAS上の所定位置にまで挿入されたときには、カバー13はカバー収納室12に収納された状態となる。このとき、カバー13はカバー収納室12のリテーナ15に当接されてその移動が規制されるため、このカバー13を介してストロボの取付足FTがそれ以上前側に挿入されることが防止され、ストロボをアクセサリシューに対して正しい位置に設定することが可能となる。したがって、従来では一般に取付足の挿入位置を規制するために負接点板等と一体に設けられているようなストッパをアクセサリシューに形成する必要がなく、アクセサリシューの構造を簡略化する上でも有利になる。
【0016】また、このようにカバー13がカバー収納室12内に収納された状態では、カバー13は検出スイッチ18の可動接点20に接触してこれを弾性変形し、固定接点19に接触させて電気的に導通させるため、アクセサリシューASに付属品が装着された状態を電気的に検出することが可能となる。
【0017】なお、ストロボをアクセサリシューASから取り外せば、カバー13は圧縮コイルバネ17の付勢力によって再び後側に移動され、カバー収納室12からアクセサリシューAS上にまで突出され、付属品を装着していない前記した状態に復帰され、カバー13によりアクセサリシューASを覆う状態とされる。
【0018】このように、このアクセサリシューカバーによれば、付属品をアクセサリシューASに装着すれば、カバー13を自動的にアクセサリシューAS上から退避させてカバー収納室12内に収納させ、一方付属品をアクセサリシューASから取り外せば自動的にカバー13をアクセサリシュー上に進出させてこれを覆うことが可能とされる。したがって、従来のように付属品の着脱に合わせてカバーを着脱する必要がなく、付属品を着脱する際の操作性を改善することができる。また、カバーをカメラ本体から取り外す必要がないため、カバーを紛失するようなこともない。
【0019】なお、前記実施例ではカバーを付勢する弾性手段として圧縮コイルバネを用いているが、板バネや捩じりバネを利用することも可能である。また、アクセサリシュー上でのカバーの位置を規制するためのストッパは、カバーの両側部に段部や突起を設け、これらをアクセサリシューとカバー収納室との境界部に設けた段差部に当接させるように構成してもよい。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、アクセサリシューカバーを、アクセサリシューに隣接配置したカバー収納室とアクセサリシューとの間で移動可能に構成し、かつカバーをアクセサリシューに向けて付勢する弾性手段を有することにより、付属品をアクセサリシューに装着すれば、カバーを自動的にアクセサリシュー上から退避させてカバー収納室内に収納させ、付属品をアクセサリシューから取り外せば自動的にカバーをアクセサリシュー上に進出させてこれをカバーすることができる。したがって、従来のように付属品の着脱に合わせてカバーを着脱する必要がなく、付属品を着脱する際の操作性を改善することができ、また、カバーをカメラ本体から取り外す必要がないため、カバーを紛失することもないという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示すカメラの背面図である。
【図2】図1の要部の拡大斜視図である。
【図3】要部の一部を破断した部分分解斜視図である。
【図4】カバーが突出された状態の平面図、正面図、AA線断面図である。
【図5】付属品を装着する状態の要部の一部を破断した斜視図である。
【図6】カバーが収納された状態の平面図、BB線断面図である。
【図7】従来のアクセサリシューカバーの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 カメラボディ
2 上飾り板
4 絶縁支持台
7 段差部
9 レール
11 正接点端子
12 カバー収納室
13 カバー
14 段部(ストッパ)
15 リテーナ(位置決め手段)
17 圧縮コイルバネ(弾性手段)
18 検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラ本体に設けた付属品取付用のアクセサリシューと、このアクセサリシューに設けられた接点部を覆うカバーを有するカメラにおいて、前記アクセサリシューに隣接配置され、前記カバーを収納できかつ前記アクセサリシューとの間でカバーを移動可能なカバー収納室と、前記カバーを前記カバー収納室から前記接点部を覆う位置に向けて付勢する弾性手段をとを有し、前記アクセサリシューに付属品を装着したときに前記カバーが前記弾性手段の付勢力に抗してカバー収納室に収納位置されるように構成したことを特徴とするアクセサリシューカバーを有するカメラ。
【請求項2】 アクセサリシューには付属品の取付足を案内固定するための一対のレールが設けられ、カバーはこれらレールの延設方向に沿って移動可能とされ、弾性手段により付勢されたときに前記レール間に進出される請求項1のアクセサリシューカバーを有するカメラ。
【請求項3】 カバー収納室はレールの延設方向の一側部のカメラ飾り板の内部に設けられ、内部に弾性手段としての圧縮コイルバネを内装し、この圧縮コイルバネの伸張によりカバーがカバー収納室からアクセサリシューに向けて突出される請求項2のアクセサリシューカバーを有するカメラ。
【請求項4】 カバー収納室から突出されるカバーをアクセサリシュー上の所定の位置に位置決めするためのストッパ手段を有する請求項1ないし3のいずれかのアクセサリシューカバーを有するカメラ。
【請求項5】 カバーをカバー収納室内において位置決めするための手段を有し、この位置決めされたカバーにより付属品をアクセサリシューに対して位置決め可能とする請求項1ないし4のいずれかのアクセサリシューカバーを有するカメラ。

【図1】
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【図7】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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