アクチュエータデバイス
【課題】大きなスペースを必要とすることなく、多くの屈曲素子を配置でき、これによって小型でも大きな力を発生し、堅牢な動作を行い得るアクチュエータデバイスを提供する。
【解決手段】長手方向に複数の屈曲部をもち電圧を印加したときに前記複数の屈曲部が互いに反対方向に屈曲しうる平板状屈曲素子10を有し、前記複数の平板状屈曲素子10は、その伸長状態における幅方向が所定の中心軸Oから延びる放射状の仮想線kに沿って向かうよう配置されたアクチュエータデバイス。
【解決手段】長手方向に複数の屈曲部をもち電圧を印加したときに前記複数の屈曲部が互いに反対方向に屈曲しうる平板状屈曲素子10を有し、前記複数の平板状屈曲素子10は、その伸長状態における幅方向が所定の中心軸Oから延びる放射状の仮想線kに沿って向かうよう配置されたアクチュエータデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧印加により屈曲動作する屈曲素子を複数枚組み付けたアクチュエータデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のイオン導電性高分子は、電圧を印加した際に、内部のイオンや溶媒が電場に応答して移動し、部分的に体積変動を生じて、相当程度収縮、膨張して変形することが知られている。例えば図12に示すように、高分子電解質膜71に電極72および73を接合し、これらの電極間に電源74を接続し、電圧を印加すると、電解質膜の一方の面側が若干収縮し、他方の面側が膨張して図12(b)の如く凹形状になって曲がる。電極あるいは電解質膜のいずれが体積変動するかは、材料の選定による。そして、上述の高分子膜等を用いて屈曲する素子とすることが提案されている(特許文献1〜5、非特許文献1参照)。
【0003】
このような屈曲変形する素子を柱状に組み付けて端部の屈曲変形を利用するように構成したものとして、特許文献3および特許文献4に記載のものがある。これらの文献には、中心部に配置した柱状のイオン伝導層の外周側に長手方向に沿って、該イオン伝導層を囲むように導電性薄膜層を設けたものが記載されている。また、特許文献5には、屈曲部を有する1枚のイオン導電性高分子膜を構成単位として1つの円筒体に形成し、この円筒体に長手方向に沿って複数本の切り目を形成するとともに中央部位置には周方向の折れ目をつくり、外部からの電圧印加によって前記円筒体を中央部の折れ目位置で拡径運動させながら、円筒体端部で直動運動させるようにした円筒状高分子アクチュエータ集合体が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−235064号公報
【特許文献2】特開2004−314219号公報
【特許文献3】特開2006−288040号公報
【特許文献4】特開2007−126624号公報
【特許文献5】特開2007−118159号公報
【非特許文献1】Boyko L.Stoimenov ら,Proceedings of SPIE,vol. 6524, EDPAD 2007, Yoseph Bar-Cohen,Editor, 65240T, http://www. bmc. riken. jp / stoimenov / research / papers /2007 EAPAD-web- IPMCComplexCurves. pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、低電圧で駆動し、高機能なソフトアクチュエータが望まれている。これにより、例えば人体やその各器官に直接触れる手術デバイスおよび福祉機器をはじめ、パーソナルロボットの人工筋肉とすることが期待されている。こうした要求に応えるためには、十分な強度を維持しつつ、できるだけ大きな屈曲動作や伸縮動作をおこない、できれば生物的に多様に柔らかく動作するものが望まれている。
【0006】
しかし、上述の特許文献5のように屈曲素子を円筒周囲に配置した円筒状アクチュエータデバイスは、配置する素子の数に限界があり、素子数を増加させるには外径の大きい円筒構造としなければならず、全体として大形の構造となる。また、各素子は軸方向の伸縮動作と共に円筒体の直径方向に拡縮するため、作動中大きなスペースが必要である。
【0007】
さらに、円筒構造では全体の大きさに比して素子の数が少ないため、軸方向の発生力が小さい。その他、円筒体の内側には無駄な空間部が生じ、全体として嵩高となってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、大きなスペースを必要とすることなく、多くの屈曲素子を配置でき、これによって小型でも大きな力を発生し、堅牢な動作を行い得るアクチュエータデバイスを提供することを目的とする。また、本発明は、動作時の径方向への拡がりが小さく、コンパクトな構造のアクチュエータデバイスの提供を目的とする。さらにまた本発明は、中心方向に素子の一部を集中して配置できるために、無駄なスペースがなくなるとともに、素子の集中化によって電圧印加のための電源供給の配線が容易となり、また柱状体の中心に芯材等を配置することで動作の安定性を向上させたアクチュエータデバイスの提供を目的とする。また、素子が高密度に配置されているにも関わらず、動作時の素子同士の接触・干渉を回避できる構造となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記の課題は以下の手段により達成される。
(1)長手方向に複数の屈曲部をもち電圧を印加したときに前記複数の屈曲部が互いに反対方向に屈曲しうる平板状屈曲素子を有し、前記複数の平板状屈曲素子は、その伸長状態における幅方向が所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうよう配置されたことを特徴とするアクチュエータデバイス。
(2)前記複数の屈曲部が屈曲して前記平板状屈曲素子はその長手方向に直動運動することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータデバイス。
(3)前記平板状屈曲素子の幅方向が前記放射状の仮想線と重なるように配置されたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のアクチュエータデバイス。
(4)前記平板状屈曲素子は、その内側縁が前記中心軸から離れる方向に、前記放射状の仮想線の上に位置する該素子の外側縁を基点として回転移動され、前記仮想線と前記素子の幅方向線とが所定角度をなすようオフセットされたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のアクチュエータデバイス。
(5)前記平板状屈曲素子のオフセット角度が30°以下であることを特徴とする(4)に記載のアクチュエータデバイス。
(6)横幅の異なる前記平板状屈曲素子が前記放射状の仮想線に沿って周方向に交互に配置されたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(7)前記放射状に配置した複数の平板状屈曲素子の放射方向外側に、さらに平板状屈曲素子を複数枚放射状に配置したことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(8)前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを同方向としたことを特徴とする(7)に記載のアクチュエータデバイス。
(9)前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを逆方向としたことを特徴とする(7)に記載のアクチュエータデバイス。
(10)前記平板状屈曲素子が、中心電極層の両面側に配設された電解質層を介して外側電極層を設けたものであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(11)前記複数の平板状屈曲素子が放射状に配置され、全体として柱状体をなす(1)〜(10)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(12)前記平板状屈曲素子の少なくとも片面側に絶縁層が設けられたことを特徴とする請求項(1)〜(11)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアクチュエータデバイスは、複数の屈曲素子を所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうよう配置したので、小型であっても大きな力を発生し、デバイス全体からみて、動作時に径方向への拡がりが小さく、動作時にもコンパクトさを維持できる。また、各素子の幅方向片側縁を中心方向に集中して配置しうるため、該中心位置を通して給電線を配線でき、そのための端子構造を簡素化して空間を有効に利用することができる。さらに、本発明によれば、中心に心棒など適切な芯部材を配置することにより、動作安定性も向上するなど、種々の効果が発揮される。また、素子が高密度に配置されているにも関わらず、動作時の素子同士の接触・干渉を回避できる構造となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図10、図11を参照して本発明に係るアクチュエータデバイスの一実施形態としてそれを構成する要素となる板状の屈曲素子および電圧印加による該屈曲素子の屈曲動作を説明する。図10に模式的に示すように、屈曲素子10は、中心電極層3を中心にして、その両側に電解質層2(上側電解質層2a、下側電解質層2b)が配置され、さらにその両側に外側電極層1(上側電極層1a、下側電極層1b)が配置されている。
【0012】
外側電極層1は、図示のように、広幅部1sと狭幅部1tとが交互に配されるように形成されている。なお、広幅部1sはその内側層の電解質層2と略同等の幅(Y方向)にされ、狭幅部1tはこれよりも狭い幅となっている。そして、上側電極層1aおよび下側電極層1bは広幅部1sどうし、および狭幅部1tどうしが中心電極層3を挟んで互いに、実質的に、重ならないようにされている。
なお、広幅部1sと狭幅部1tとが実質的に重ならないという意味は、屈曲素子の良好な屈曲運動性が維持される範囲で、大部分が重なっていないが、一部に重なっている部分があってもよいことを意味する。つまり、電解質層2を介して中心電極層3を挟むように配置された外側電極層1の対向する電極層1a,1bの広幅部と狭幅部の大部分が重なっていなければ、一部分に重なる箇所があっても、屈曲素子10の屈曲運動が確保されれば良いことになる。
【0013】
上述した外側電極層1の広幅部1sおよび狭幅部1tの各領域ごとに、屈曲素子10内の長さ方向において区分された屈曲部u1、u2、…が構成される。そして、中心電極層3および外側電極層1にそれぞれ反対極性の電圧を所定の周期で印加することにより、各屈曲部が互いに隣接する屈曲部どうし反対方向に屈曲して、屈曲素子10全体としては所定の周期で波打つようにして屈曲運動する(図11)。ここで、屈曲部が互いに反対方向に屈曲するとは、屈曲形状における凹凸が反転することをいう。つまり、長さ方向に隣接する屈曲部どうしで互いに屈曲の曲率が反転していることを指し、その曲率の大きさは屈曲部ごとに同じであっても、あるいは異なるものであってもよい。
【0014】
本実施形態に採用される板状屈曲素子全体の幅(Y方向)は、特に限定されるものではないが、この屈曲素子を後述するように組み付けて小型アクチュエータデバイスとする場合には1〜10mm程度、大型アクチュエータデバイスとする場合には10〜100mm程度が実用的である。また、外側電極層1の広幅部1sと狭幅部1tとの幅(Y方向)の比も特に限定されないが、各屈曲部uにおける良好な屈曲運動を確保するためには、この比を1対2〜1対100程度とするのがよく、さらに好ましくは、1対5〜1対10程度とするのがよい。
【0015】
上述の板状屈曲素子10の屈曲運動について詳しく説明する。図11は図10に示した屈曲素子10について屈曲運動させたときの形態を模式的に示した斜視図である。屈曲素子10は、上述のように、中心電極層3と外側電極層1間に所定の電圧を印加することにより、屈曲部uごとに長手方向(X方向)に波打つようにして屈曲運動する。ここで電極層および電解質層の具体例については、電極層1および中心電極層3をカーボンナノファイバーからなる板状電極層とし、電解質層2を高分子電解質膜(カチオン交換樹脂膜)とする形態が挙げられる。直板状の屈曲素子は正の電圧を印加した際と負の電圧を印加した際とで、反対の方向に屈曲するため、正弦波の電圧を印加した際には、振り子のように運動する。
【0016】
この具体例の構成において、高分子電解質層2は正極(+)に凹になるように曲がろうとする。このとき、中心電極層3に負電圧(−)を印加し、両側の外側電極層1に正電圧(+)を印加すると、電解質層2には一様に両方の外側に向けて凹になろうとする力が生じる。ここで、図10に例示する屈曲素子10においては、外側電極層1に広幅部1sと狭幅部1tとが交互に形成されているため、外側電極層1の広幅部1sに対応する電解質層2の部分、即ち屈曲作用部2sに広い面積で正電圧が供給されることになる。これにより、イオンやイオンに親和した溶媒が移動し、屈曲作用部2sに強い屈曲力が付与される。これに対し、狭幅部1tに対応する電解質層2の屈曲非作用部2tには狭い範囲でしか電圧が印加されず、弱い屈曲力しか付与されない。この結果として、屈曲作用部2s側の屈曲力が屈曲非作用部2tの屈曲力に打ち勝ち、外側電極層1の広幅部1sでは、より優先的に凹形状に変形しようとする力が屈曲素子10内に発生する。このように、互いに逆の外側方向(Z方向)に曲がる屈曲作用部2sないし広幅部1sが、中心電極層3を挟んで、互いに隣接する屈曲部どうしにおいて反対側に配されている。このようにして長手方向に広く波打つような良好な屈曲運動が実現される。
【0017】
図示の屈曲素子10において、電極層1および3の厚さは特に限定されないが、例えば、カーボンナノファイバーからなる板状電極層とする場合は10〜1000μmとすることが好ましく、100〜500μmとするのがより好ましい。電解質層2の厚さも特に限定されず、例えば1〜100μmとするのが好ましく、10〜50μmとするのがより好ましい。
【0018】
広幅部1sと狭幅部1tとの長さは特に限定されず、両者は異なる長さを有していてもよい。求められるデバイスの運動形態に合わせて広幅部1sおよび狭幅部1tの幅および長さを適宜選択することができる。波長の短い小刻みな屈曲運動をさせる場合には、例えば広幅部1sあるいは狭幅部1tの長さを1〜10mmとすることが好ましい。逆に、波長の長い(大きくうねる)屈曲運動の場合は、広幅部1sあるいは狭幅部1tの長さは10〜100mmとするのが好ましい。また例えば、10mmの長さのアクチュエータデバイスの一端を固定して、振り子のように他端の移動量をストロークと規定した場合、大きなストロークを得るためには、左右に(横方向に)6mm以上振れるようにするのが好ましい。
【0019】
電解質層に用いられる材料は特に限定されず、例えばイオン導電性高分子材料、なかでも高分子電解質ゲルが好ましい。高分子電解質ゲルとしては、フッ素系イオン交換樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基・カルボシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。幾つかの例を挙げると、パーフルオロスルホン酸樹脂、パーフルオロカルボン酸その他の樹脂が適用可能である。
また、イオン交換樹脂として陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂のいずれも使用可能であり、それらを組み合わせて用いてもよい。陽イオン交換樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸、スルホン基やカルボキシル基をもつフッ素系イオン交換樹脂などが挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、アンモニウム基を含んだフッ素系イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0020】
中心電極層および外側電極層は導電性の材料であれば特に限定されないが、例えば下記のカーボンナノファイバーを用いたものが好ましい。具体的には、カーボンナノファイバー(CNF)とイオン性液体(IL)を混合し、乳鉢を用いて練り合わせることにより、ゲル化させる。次いで、前記ILが疎水性の場合には疎水性溶媒のみに、あるいは前記ILが親水性の場合には疎水性溶媒および親水性溶媒の混合溶媒に、ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF))とともにCNFを分散させて、電極層形成用分散液を調製することができる。
【0021】
イオン性液体として具体的には、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4)、ブチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMIBF4)、4級アンモニウムカチオン・テトラフルオロボレート塩(広栄化学社製、A−3(商品名))、4級アンモニウムカチオン・(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[(CF3SO2)2N-]塩(広栄化学社製、A−4(商品名))が挙げられる。ここで、A−3、A−4のカチオンの構造は、[N(CH3)(CH3)(C2H5)(C2H4OC2H4OCH3)]+である。
【0022】
上記材料による板状屈曲素子の製作方法として具体的には、カーボンナノファイバー、イオン性液体、ポリマー、および溶媒からなる分散液、並びに、イオン性液体、ポリマーおよび溶媒からなる溶液を、キャスト、塗布、印刷、押出し、または射出し、乾燥して積層することにより、電極層およびイオン伝導層を形成することができる。さらに具体的に、例えば電極層、イオン伝導層、電極層の順にキャスティングを行い、乾燥器で一昼夜溶媒を乾燥させ、次いで、真空乾燥を行い、アクチュエータデバイス用屈曲素子を得ることができる。
【0023】
次に、上述した屈曲素子を用いた本発明に係るアクチュエータデバイスの実施形態を詳しく説明する。
【0024】
図1は本発明のアクチュエータデバイスに用いられる一実施形態としての板状屈曲素子の屈曲状態を示した側面図である。この板状屈曲素子10においては、下部(下縁)10hを固定端、上部(上縁)10iを自由端としている。この屈曲素子10は長さ方向中央部10aの屈曲方向に対してその両端部10b側の屈曲方向が反対の方向になるような長さ単位で形成されている。具体的には、図10、図11のDの範囲の長さ単位の屈曲素子が用いられる。ただし、本実施形態においてはその半分の1/2Dを単位とする素子を用いてもよいし、あるいは屈曲部を増した2D,3D,4D...としたものを素子として用いてもよい。なお、図示したものにおいては1/4Dごとの屈曲の変曲点(線)pが示されている。このことは、以下の図面2,4においても同様である。また、屈曲部内の1/4Dごとに分割した屈曲単位についてみると、本実施形態においては屈曲部10bが1つの屈曲単位からなり、屈曲部10aが2つの屈曲単位10a1及び10a2からなる。
【0025】
図10でも説明したように、板状屈曲素子10は中心電極層の両面側に電解質層が配置され、さらにその外側両面に外側電極層が設けられている(図1においてはこれらの部材を図示せず。)。長さ方向中央部10aと両端部10b側の屈曲方向が逆向きとなる形態としては、例えば図10でも説明したように、一方の外側電極層では中央部位置で広幅部、両端側で狭幅部とし、他方の外側電極層では中央部位置で狭幅部、両端側で広幅部に形成することによってなしうる。両方の外側電極層で広幅部どうし、および狭幅部どうしが実質的に重ならないようにすることは図10で説明したとおりである。また、他の例として、前記広幅部、狭幅部に代えて外側電極層の厚みを厚部、薄部で構成し、あるいは外側電極層に切込部と非切込部を交互に形成した形態でもよい。このような屈曲変形に伴なって屈曲素子10は長さ方向に伸長、収縮動作を行い、全体として屈曲部a及び屈曲部bの曲率が互いに反転して反対に屈曲しながら、運動方向(素子の長手方向)uに沿って直動運動する。
【0026】
本発明において「板状屈曲素子」は長尺板状でありアクチュエータデバイスにおいて素子要素として機能すればよい。その形状として例えば、上記実施形態において示したもののような伸長状態において平板形状のものであっても、それ以外の、例えばこれが湾曲したものであってもよい。また、一部において膨出ないし没入していてもよく、やや屈曲した状態であってもよい。また、板状屈曲素子は、平面視において本実施形態のように矩形のものであっても、それ以外の、丸みを帯びたり、台形ないし平行四辺形基調のものであったりしてもよい。なお、アクチュエータデバイス内で各板状屈曲素子の形状や大きさは本実施形態のように同じくそろっていても、各々が適宜異なるようにしてもよい。
【0027】
図2は本発明の実施形態1に係るアクチュエータデバイス11を示したものであり、同図(a)は非動作時、すなわち各屈曲素子が伸長したときの斜視図、同図(b)はアクチュエータデバイス11の長さ方向端面側からみた拡大平面図である。また、図2(c)は図2(a)におけるアクチュエータデバイス11を動作させ屈曲素子の屈曲部を屈曲させたときの斜視図、同図(d)は図2(c)の長さ方向端面側からみた平面図である。この実施形態1では図2(b)に示すように、デバイス中心軸Oから延びる放射状の仮想線kに沿って、各々の板状屈曲素子10の幅方向が向かうよう配置されている。このような放射状の配置で各素子10の幅方向内側縁10nはデバイス中心軸Oから延びる仮想線k上に位置し、各素子10の外側縁10gもまた同様に仮想線k上に位置している。具体的には、16本の放射状仮想線kがあり、それらに重なるよう16枚の板状屈曲素子10がその幅方向を向けて配置され、全体として柱状体となっている。該アクチュエータデバイス11は、とくに正円柱状の外形をなしており、その外径dは5mmであり、デバイス長さ(高さ)Lは50mmである。
【0028】
本発明において「板状屈曲素子の幅方向を所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうように配置する」とは、該仮想線k上に板状屈曲素子の幅方向線ないし面が重なる状態で配置されていることのほか、詳細を後述するように板状屈曲素子の外側縁10gを基点として素子の幅方向線(面)と上記仮想線kとが所定の角度をなしオフセットされた状態を含む。このときのオフセット角度は0°を超え45°以下であることが好ましく、15°〜30°であることがより好ましい。
【0029】
また、本発明において「柱状体」とは、所定形状の上面と下面(底面)とをもち、これらを上下に配した柱状の構造体であればよい。本実施形態において示した正円柱状のもののほか、楕円柱や斜円柱でもよく、また必要により角柱や樽形のものとしてもよい。そして、本発明において「複数の板状屈曲素子が全体として柱状体をなす」とは、板状屈曲素子が放射状に配置され、各素子の外側縁10gが柱状体の母線となり、これらをつないでみたときに全体として柱状体の側面jが想定できる状態になっていることをいう。そして、このとき、各素子の上縁10i及び下縁10hをつないでみたときになす面が、それぞれ柱状体の上面及び下面として想定できる。
【0030】
ここで、柱状体の全体を板状屈曲素子が埋めるよう密接配列されていても、いなくてもよく、本実施形態のように所定の数の素子が所定の間隔(角度)eをあけて間欠的に配設されていてもよい。1つのデバイスに含まれる板状屈曲素子の配設される数は特に限定されないが、4〜32枚であることが好ましい。本発明においては、このように板状屈曲素子の放射状の配置を、全体として柱状体をなすようにすることを特に「放射状に柱状配置する」という。なお、板状屈曲素子を間欠的に配設するときの間隔ないし角度eは一定であっても、なくてもよい。この間隔(角度)eは適宜デバイスに求められる機能に応じて定めればよいが、全体として均一な運動及び発生力を得る点では、各間隔(角度)eを一定とすることが好ましい。
【0031】
このように複数の板状屈曲素子10を放射状に柱状配置したアクチュエータデバイス11は同じ外径で円周上に沿って屈曲素子を配置したアクチュエータデバイスに比べて多数の素子を配置することができ、それだけコンパクト化、高密度化を実現できる。
板状屈曲素子10の中心電極層と外側電極層との間に電圧を印加することにより、各素子10は図2(c)に示すように素子面に垂直な方向に、かつ、中央部10aと両端部10b側で逆方向に屈曲動作し、これに伴なって長さ方向に直動運動する。この場合、屈曲素子10を円周上に配置したアクチュエータデバイスと比べ、デバイス全体として径方向への拡がりが小さく、非動作状態(図2(a))のコンパクトさが動作時にも維持される。
【0032】
また、このコンパクトな構成にかかわらず、屈曲素子10の個数を多くすることができるため、伸び方向の発生力が大となり、素子幅2mmで16本配置のものでは、発生力1.43Nが達成されることが確められた。要望されるコンパクトさの範囲内で素子の幅、個数を増やすことにより、発生力5Nを実現することも可能である。
【0033】
さらに、この放射状配置の板状屈曲素子10によるアクチュエータデバイス11は、デバイス中心軸Oに小さな空間部12(図2参照)を形成することにより、この空間部12に給電線を通すことができ、前記空間部に集中する屈曲素子10に電圧を印加するのが容易となり、この点でもコンパクトさが確保される。
【0034】
図3は屈曲素子に対する電源供給構造を概略的に示した側面断面図、図4は実施形態1に係るアクチュエータデバイスへの電源供給形態を模式的に示した図である。また、図5(a)は実施形態1におけるアクチュエータデバイスの電極構造を模式的に示した上面図、同図(b)はその底面図である。図3を参照すれば、屈曲素子10の一方の外側電極層13および電解質層2の下端部を切除するとともに、該外側電極層13の上端部13aを若干上方へ伸ばし、下端部に露出した中心電極層14と他方の外側電極層15とを下端側で導電性のクリップ端子16で挟み付け、前記一方の外側電極層13の突出した上端部13aにシングル端子17を接続して正電圧を印加し、前記導電性クリップ16を介して外側電極層15に正電圧を、中心電極層14に負電圧を印加することにより、板状屈曲素子10が付勢される。
【0035】
図4および図5を参照すれば、アクチュエータデバイス11の上下端面に該デバイスを支持する基材18,19が配置され、この基材上に前述した導電性クリップ(図4、図5には図示省略)が設けられ、このクリップによって下側基材19上の任意の1つの屈曲素子が図3で示すように挟み込まれる。そして、下端側の、図3で説明した前記他方の外側電極層15の内側部どうしが下側基材19上で導電性の内側円環部材20によって連結され、かつ、デバイス中心に配置された導電性心棒21と内側円環部材20とが電気的に接続される。また、図5(b)の如く、中心電極層14の下端の外側部は導電性の外側円環部材22によって連結される。
一方、上端部においては、前記外側電極層13の上端部の内側部13bは、図5(a)の如く、上側位置で導電性内側円環部材20によって連結され、かつ、デバイス中心の導電性心棒21と前記導電性内側円環部材20とが電気的に接続される。
【0036】
図4および図5(a),(b)に示すように、電源74によって導電性心棒21に正電圧を印加し、かつ、下端部の外側円環部材22に負電圧を印加することにより、これらの導電性心棒21、内側円環部材20および下端部の外側円環部材22を介して外側電極層13,15と中心電極層14との間に電圧が印加される。
このように本発明においては、各屈曲素子10がその内側部でデバイス11の中心に集中しているので、各々の素子に個別に電源を接続する必要がなく、電源供給のための給電構造がきわめて簡単となり、電源接続部によってコンパクトさを阻害することはない。また、導電性心棒は給電手段の他に、芯部材として屈曲素子10の保持を兼用させることにより、動作安定性を向上させることが可能となる。
【0037】
図6は本発明の実施形態2によるアクチュエータデバイスの平面図である。前述の実施形態1では各屈曲素子10はその内側縁10nが中心軸Oから離れるように、放射状仮想線k上に位置する外側縁10gを基点とし、回転移動して配置されている。すなわち、本実施形態2では各屈曲素子10の内側縁10nの延長線はデバイスの中心軸Oを通らず、各素子10とも同じ方向に中心軸Oからずれて配置されている。
本発明では、このようにずれて配置された形態をオフセット配置と称し、そのずれ量、つまり図6の平面視で板状屈曲素子10の内側縁10nと外側縁10gとを結んで延びる素子の幅方向線と中心軸Oから放射状に延びる仮想線kとがなす角θ(オフセット角θ)を有し、前述のようにこの角度を15°〜30°に設定することが好ましい。なお、このオフセット角度は1つのデバイス内で各板状屈曲素子において同じであっても、異なっていてもよいが、本実施形態2のように同じであることが好ましい。また、本実施形態において上記素子外側縁1gがなす基点は柱状体の仮想側面j上に位置している。
【0038】
ここで、アクチュエータデバイス11の1枚の屈曲素子10における稼働域Sについてみれば、屈曲素子10は前記平面視において屈曲素子10の素子面に対して垂直に屈曲し、その屈曲方向は実施形態1では、屈曲素子は矢印A(図2(b))で示す方向であり、実施形態2のオフセットした屈曲素子10では、矢印B(図6)の方向つまり前記矢印Aよりも若干内側へ偏倚した方向となり、デバイス11全体からみて動作時の外側への拡がりが抑えられる。外側への拡がりが小さいと、それだけ少ないスペースで実装することができ、高密度化が実現できる。また、デバイス外側への拡がりを無くすことができるので、アクチュエータデバイス11の単位面積当りの発生力増大が図られる。例えばオフセット角15°以上にすれば、オフセットしない場合に比べてデバイス上端面における単位面積当りの発生力は1.2〜1.3倍とすることができる。
【0039】
図7は本発明の実施形態3によるアクチュエータデバイス11の平面図である。この実施形態3においても、各屈曲素子10は実施形態2の場合と同様にデバイス中心軸Oから延びる放射状の仮想線kに対してオフセットして配置されているが、この実施形態3の場合は幅長さの異なる2種類の屈曲素子10,23が交互に配置されている。幅の狭い屈曲素子23もデバイス中心に対してオフセットしている。隣接した幅の広い屈曲素子10の間は中心側より外周側の方が広く、したがってこの外周側の広い空隙部分に幅の狭い屈曲素子23が配置されている。なお、各々の屈曲素子10,23の外側部位置はデバイス中心Oから等しい位置に定められている。
【0040】
実施形態3の構成により、アクチュエータデバイス11の外周側の素子間スペースを無駄なく多くの屈曲素子10,23で埋めることができ、一層の高密度化が実現できる。一例を挙げると、幅の大きい屈曲素子10に対し幅長さが1/2の屈曲素子23を同数詰め込むことにより、同じ外径dのデバイス11の発生力を約1.5倍にすることができる。
【0041】
図8は本発明の実施例4によるアクチュエータデバイスの平面図である。この実施形態4では、図2に示す実施形態1の板状屈曲素子を放射状に配置した構成を内側アクチュエータ部Gとし、この構成に加えてさらに、その外側に、同様に放射状に第2の板状屈曲素子24を配列した外側アクチュエータ部Hが設けられている。内側アクチュエータ部Gの放射状配置の第1の屈曲素子10と外側アクチュエータ部Hの第2の屈曲素子24は、図示のように、周方向の位置が若干ずれているが、屈曲素子10,24の個数は内側、外側のアクチュエータ部G,Hとも同数(16枚)となっている。ただし、本発明においては必ずしも内側、外側アクチュエータ部について屈曲素子は同じ数でなくてもよい。また、内側、外側とも各屈曲素子10,24は、実施形態2のようにデバイス中心に対して素子内側部をオフセットするように配置してもよい。その他、内側、外側のいずれか一方の屈曲素子(第1の屈曲素子10か又は第2の屈曲素子24のいずれか)のみをオフセット配置としてもよい。
【0042】
実施形態4のアクチュエータデバイス11は、内側アクチュエータ部Gと外側アクチュエータ部Hで動作時の屈曲方向が逆向き、すなわち波打つように変形する周期が逆位相となるように電圧制御される。例えば図示の場合、内側アクチュエータ部Gの第1の屈曲素子10の中腹部、つまり図1に示した屈曲部10aの部分が突き出る屈曲方向が矢印Aの方向となる。一方、外側アクチュエータ部Hの第2の板状屈曲素子24の中腹部は矢印Bで示す方向に突き出るように屈曲する。このようにすることにより、デバイス全体として内側と外側で周方向の偏倚力が相殺され、安定性が向上する。
【0043】
図9は本発明の実施形態5によるアクチュエータデバイスの平面図であり、放射状に配置した板状屈曲素子10の各々の片面の電極層上に絶縁層25が設けられている。このようにして、板状屈曲素子10を均等間隔にした放射状の配置によって、各素子の変形量を同じくし、隣接する素子間で接触は生じさせないようにすることができる。他方、素子数が多く、かつ動作中の何らかの原因で変形量にばらつき等があった場合、万一、隣接した素子10どうしが接触すると、外側電極層が短絡するおそれがある。このような場合にも、本実実施形態5によれば各素子10の電極層上に絶縁層25を設けることにより、一層効果的に素子間の短絡が防止される。絶縁被覆する形態としては、例えば浸漬塗装(ディッピング)、熱融着、絶縁テープ貼着などが挙げられる。なお、図示の例では屈曲素子10の片面にのみ絶縁層25を設けたが、両側に設けてもよい。
【0044】
以上説明したように本発明によれば、複数の屈曲素子が円筒の周面に沿って配置されず、中心軸から径方向外側へ延びるように放射状に柱状配置されるので、屈曲素子の数を増やしても全体としてコンパクトに構成できる。その結果、小型であっても大きな伸び方向の発生力が得られる。また中心軸のまわりに屈曲素子の内側縁を集中させることができるため、屈曲素子への電源供給の配線構造が簡素化され、また、デバイスの中心に芯材などを挿入することで動作安定性が向上する。なお、本発明のアクチュエータデバイスは複数個組み合わせて直動方向に垂直な板面上に横方向に離隔配置したり、直動方向に複数個連結してこの連結部を屈曲可能に支持するなど、種々の変形、応用構成とすることができる。このようにすることで直動のみならず屈曲、旋回あるいはこれらを合体させた動作、その他、多方向屈曲、多方向直動など多種、多様な動作を行うように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のアクチュエータデバイスに用いられる一実施形態としての屈曲素子の屈曲状態を示した側面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るアクチュエータデバイスを模式的に示した図である。
【図3】屈曲素子に対する電源供給構造を概略的に示した側面断面図である。
【図4】実施形態1に係るアクチュエータデバイスへの電源供給形態を模式的に示した分解斜視図である。
【図5】実施形態1におけるアクチュエータデバイスの電極構造を模式的に示す上面図(a)および底面図(b)である。
【図6】本発明の実施形態2によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態3によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態4によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態5によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図10】本発明に係るアクチュエータデバイスを構成する要素となる板状の屈曲素子の一実施態様を模式的に示す分解斜視図である。
【図11】図10に示す板状の屈曲素子を屈曲運動させたときの形態を模式的に示す斜視図である。
【図12】一般的なイオン導電性高分子アクチュエータの電圧印加に対する変形性を模式的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1,13,15 外側電極層
1s 広幅部、1t 狭幅部
1a 上側電極層、1b 下側電極層
2 電解質層
2a 上側電解質層、2b下側電解質層
3,14 中心電極層
10,23,24 屈曲素子
11 アクチュエータデバイス
16,17 端子
18,19 基材
20 内側円環部材
21 導電性心棒
22 外側円環部材
25 絶縁層
71 高分子電解質膜
72,73 電極
74 電源
G 内側アクチュエータ部
H 外側アクチュエータ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧印加により屈曲動作する屈曲素子を複数枚組み付けたアクチュエータデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のイオン導電性高分子は、電圧を印加した際に、内部のイオンや溶媒が電場に応答して移動し、部分的に体積変動を生じて、相当程度収縮、膨張して変形することが知られている。例えば図12に示すように、高分子電解質膜71に電極72および73を接合し、これらの電極間に電源74を接続し、電圧を印加すると、電解質膜の一方の面側が若干収縮し、他方の面側が膨張して図12(b)の如く凹形状になって曲がる。電極あるいは電解質膜のいずれが体積変動するかは、材料の選定による。そして、上述の高分子膜等を用いて屈曲する素子とすることが提案されている(特許文献1〜5、非特許文献1参照)。
【0003】
このような屈曲変形する素子を柱状に組み付けて端部の屈曲変形を利用するように構成したものとして、特許文献3および特許文献4に記載のものがある。これらの文献には、中心部に配置した柱状のイオン伝導層の外周側に長手方向に沿って、該イオン伝導層を囲むように導電性薄膜層を設けたものが記載されている。また、特許文献5には、屈曲部を有する1枚のイオン導電性高分子膜を構成単位として1つの円筒体に形成し、この円筒体に長手方向に沿って複数本の切り目を形成するとともに中央部位置には周方向の折れ目をつくり、外部からの電圧印加によって前記円筒体を中央部の折れ目位置で拡径運動させながら、円筒体端部で直動運動させるようにした円筒状高分子アクチュエータ集合体が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−235064号公報
【特許文献2】特開2004−314219号公報
【特許文献3】特開2006−288040号公報
【特許文献4】特開2007−126624号公報
【特許文献5】特開2007−118159号公報
【非特許文献1】Boyko L.Stoimenov ら,Proceedings of SPIE,vol. 6524, EDPAD 2007, Yoseph Bar-Cohen,Editor, 65240T, http://www. bmc. riken. jp / stoimenov / research / papers /2007 EAPAD-web- IPMCComplexCurves. pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、低電圧で駆動し、高機能なソフトアクチュエータが望まれている。これにより、例えば人体やその各器官に直接触れる手術デバイスおよび福祉機器をはじめ、パーソナルロボットの人工筋肉とすることが期待されている。こうした要求に応えるためには、十分な強度を維持しつつ、できるだけ大きな屈曲動作や伸縮動作をおこない、できれば生物的に多様に柔らかく動作するものが望まれている。
【0006】
しかし、上述の特許文献5のように屈曲素子を円筒周囲に配置した円筒状アクチュエータデバイスは、配置する素子の数に限界があり、素子数を増加させるには外径の大きい円筒構造としなければならず、全体として大形の構造となる。また、各素子は軸方向の伸縮動作と共に円筒体の直径方向に拡縮するため、作動中大きなスペースが必要である。
【0007】
さらに、円筒構造では全体の大きさに比して素子の数が少ないため、軸方向の発生力が小さい。その他、円筒体の内側には無駄な空間部が生じ、全体として嵩高となってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、大きなスペースを必要とすることなく、多くの屈曲素子を配置でき、これによって小型でも大きな力を発生し、堅牢な動作を行い得るアクチュエータデバイスを提供することを目的とする。また、本発明は、動作時の径方向への拡がりが小さく、コンパクトな構造のアクチュエータデバイスの提供を目的とする。さらにまた本発明は、中心方向に素子の一部を集中して配置できるために、無駄なスペースがなくなるとともに、素子の集中化によって電圧印加のための電源供給の配線が容易となり、また柱状体の中心に芯材等を配置することで動作の安定性を向上させたアクチュエータデバイスの提供を目的とする。また、素子が高密度に配置されているにも関わらず、動作時の素子同士の接触・干渉を回避できる構造となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記の課題は以下の手段により達成される。
(1)長手方向に複数の屈曲部をもち電圧を印加したときに前記複数の屈曲部が互いに反対方向に屈曲しうる平板状屈曲素子を有し、前記複数の平板状屈曲素子は、その伸長状態における幅方向が所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうよう配置されたことを特徴とするアクチュエータデバイス。
(2)前記複数の屈曲部が屈曲して前記平板状屈曲素子はその長手方向に直動運動することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータデバイス。
(3)前記平板状屈曲素子の幅方向が前記放射状の仮想線と重なるように配置されたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のアクチュエータデバイス。
(4)前記平板状屈曲素子は、その内側縁が前記中心軸から離れる方向に、前記放射状の仮想線の上に位置する該素子の外側縁を基点として回転移動され、前記仮想線と前記素子の幅方向線とが所定角度をなすようオフセットされたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のアクチュエータデバイス。
(5)前記平板状屈曲素子のオフセット角度が30°以下であることを特徴とする(4)に記載のアクチュエータデバイス。
(6)横幅の異なる前記平板状屈曲素子が前記放射状の仮想線に沿って周方向に交互に配置されたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(7)前記放射状に配置した複数の平板状屈曲素子の放射方向外側に、さらに平板状屈曲素子を複数枚放射状に配置したことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(8)前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを同方向としたことを特徴とする(7)に記載のアクチュエータデバイス。
(9)前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを逆方向としたことを特徴とする(7)に記載のアクチュエータデバイス。
(10)前記平板状屈曲素子が、中心電極層の両面側に配設された電解質層を介して外側電極層を設けたものであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(11)前記複数の平板状屈曲素子が放射状に配置され、全体として柱状体をなす(1)〜(10)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
(12)前記平板状屈曲素子の少なくとも片面側に絶縁層が設けられたことを特徴とする請求項(1)〜(11)のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアクチュエータデバイスは、複数の屈曲素子を所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうよう配置したので、小型であっても大きな力を発生し、デバイス全体からみて、動作時に径方向への拡がりが小さく、動作時にもコンパクトさを維持できる。また、各素子の幅方向片側縁を中心方向に集中して配置しうるため、該中心位置を通して給電線を配線でき、そのための端子構造を簡素化して空間を有効に利用することができる。さらに、本発明によれば、中心に心棒など適切な芯部材を配置することにより、動作安定性も向上するなど、種々の効果が発揮される。また、素子が高密度に配置されているにも関わらず、動作時の素子同士の接触・干渉を回避できる構造となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図10、図11を参照して本発明に係るアクチュエータデバイスの一実施形態としてそれを構成する要素となる板状の屈曲素子および電圧印加による該屈曲素子の屈曲動作を説明する。図10に模式的に示すように、屈曲素子10は、中心電極層3を中心にして、その両側に電解質層2(上側電解質層2a、下側電解質層2b)が配置され、さらにその両側に外側電極層1(上側電極層1a、下側電極層1b)が配置されている。
【0012】
外側電極層1は、図示のように、広幅部1sと狭幅部1tとが交互に配されるように形成されている。なお、広幅部1sはその内側層の電解質層2と略同等の幅(Y方向)にされ、狭幅部1tはこれよりも狭い幅となっている。そして、上側電極層1aおよび下側電極層1bは広幅部1sどうし、および狭幅部1tどうしが中心電極層3を挟んで互いに、実質的に、重ならないようにされている。
なお、広幅部1sと狭幅部1tとが実質的に重ならないという意味は、屈曲素子の良好な屈曲運動性が維持される範囲で、大部分が重なっていないが、一部に重なっている部分があってもよいことを意味する。つまり、電解質層2を介して中心電極層3を挟むように配置された外側電極層1の対向する電極層1a,1bの広幅部と狭幅部の大部分が重なっていなければ、一部分に重なる箇所があっても、屈曲素子10の屈曲運動が確保されれば良いことになる。
【0013】
上述した外側電極層1の広幅部1sおよび狭幅部1tの各領域ごとに、屈曲素子10内の長さ方向において区分された屈曲部u1、u2、…が構成される。そして、中心電極層3および外側電極層1にそれぞれ反対極性の電圧を所定の周期で印加することにより、各屈曲部が互いに隣接する屈曲部どうし反対方向に屈曲して、屈曲素子10全体としては所定の周期で波打つようにして屈曲運動する(図11)。ここで、屈曲部が互いに反対方向に屈曲するとは、屈曲形状における凹凸が反転することをいう。つまり、長さ方向に隣接する屈曲部どうしで互いに屈曲の曲率が反転していることを指し、その曲率の大きさは屈曲部ごとに同じであっても、あるいは異なるものであってもよい。
【0014】
本実施形態に採用される板状屈曲素子全体の幅(Y方向)は、特に限定されるものではないが、この屈曲素子を後述するように組み付けて小型アクチュエータデバイスとする場合には1〜10mm程度、大型アクチュエータデバイスとする場合には10〜100mm程度が実用的である。また、外側電極層1の広幅部1sと狭幅部1tとの幅(Y方向)の比も特に限定されないが、各屈曲部uにおける良好な屈曲運動を確保するためには、この比を1対2〜1対100程度とするのがよく、さらに好ましくは、1対5〜1対10程度とするのがよい。
【0015】
上述の板状屈曲素子10の屈曲運動について詳しく説明する。図11は図10に示した屈曲素子10について屈曲運動させたときの形態を模式的に示した斜視図である。屈曲素子10は、上述のように、中心電極層3と外側電極層1間に所定の電圧を印加することにより、屈曲部uごとに長手方向(X方向)に波打つようにして屈曲運動する。ここで電極層および電解質層の具体例については、電極層1および中心電極層3をカーボンナノファイバーからなる板状電極層とし、電解質層2を高分子電解質膜(カチオン交換樹脂膜)とする形態が挙げられる。直板状の屈曲素子は正の電圧を印加した際と負の電圧を印加した際とで、反対の方向に屈曲するため、正弦波の電圧を印加した際には、振り子のように運動する。
【0016】
この具体例の構成において、高分子電解質層2は正極(+)に凹になるように曲がろうとする。このとき、中心電極層3に負電圧(−)を印加し、両側の外側電極層1に正電圧(+)を印加すると、電解質層2には一様に両方の外側に向けて凹になろうとする力が生じる。ここで、図10に例示する屈曲素子10においては、外側電極層1に広幅部1sと狭幅部1tとが交互に形成されているため、外側電極層1の広幅部1sに対応する電解質層2の部分、即ち屈曲作用部2sに広い面積で正電圧が供給されることになる。これにより、イオンやイオンに親和した溶媒が移動し、屈曲作用部2sに強い屈曲力が付与される。これに対し、狭幅部1tに対応する電解質層2の屈曲非作用部2tには狭い範囲でしか電圧が印加されず、弱い屈曲力しか付与されない。この結果として、屈曲作用部2s側の屈曲力が屈曲非作用部2tの屈曲力に打ち勝ち、外側電極層1の広幅部1sでは、より優先的に凹形状に変形しようとする力が屈曲素子10内に発生する。このように、互いに逆の外側方向(Z方向)に曲がる屈曲作用部2sないし広幅部1sが、中心電極層3を挟んで、互いに隣接する屈曲部どうしにおいて反対側に配されている。このようにして長手方向に広く波打つような良好な屈曲運動が実現される。
【0017】
図示の屈曲素子10において、電極層1および3の厚さは特に限定されないが、例えば、カーボンナノファイバーからなる板状電極層とする場合は10〜1000μmとすることが好ましく、100〜500μmとするのがより好ましい。電解質層2の厚さも特に限定されず、例えば1〜100μmとするのが好ましく、10〜50μmとするのがより好ましい。
【0018】
広幅部1sと狭幅部1tとの長さは特に限定されず、両者は異なる長さを有していてもよい。求められるデバイスの運動形態に合わせて広幅部1sおよび狭幅部1tの幅および長さを適宜選択することができる。波長の短い小刻みな屈曲運動をさせる場合には、例えば広幅部1sあるいは狭幅部1tの長さを1〜10mmとすることが好ましい。逆に、波長の長い(大きくうねる)屈曲運動の場合は、広幅部1sあるいは狭幅部1tの長さは10〜100mmとするのが好ましい。また例えば、10mmの長さのアクチュエータデバイスの一端を固定して、振り子のように他端の移動量をストロークと規定した場合、大きなストロークを得るためには、左右に(横方向に)6mm以上振れるようにするのが好ましい。
【0019】
電解質層に用いられる材料は特に限定されず、例えばイオン導電性高分子材料、なかでも高分子電解質ゲルが好ましい。高分子電解質ゲルとしては、フッ素系イオン交換樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基・カルボシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。幾つかの例を挙げると、パーフルオロスルホン酸樹脂、パーフルオロカルボン酸その他の樹脂が適用可能である。
また、イオン交換樹脂として陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂のいずれも使用可能であり、それらを組み合わせて用いてもよい。陽イオン交換樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸、スルホン基やカルボキシル基をもつフッ素系イオン交換樹脂などが挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、アンモニウム基を含んだフッ素系イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0020】
中心電極層および外側電極層は導電性の材料であれば特に限定されないが、例えば下記のカーボンナノファイバーを用いたものが好ましい。具体的には、カーボンナノファイバー(CNF)とイオン性液体(IL)を混合し、乳鉢を用いて練り合わせることにより、ゲル化させる。次いで、前記ILが疎水性の場合には疎水性溶媒のみに、あるいは前記ILが親水性の場合には疎水性溶媒および親水性溶媒の混合溶媒に、ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF))とともにCNFを分散させて、電極層形成用分散液を調製することができる。
【0021】
イオン性液体として具体的には、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4)、ブチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMIBF4)、4級アンモニウムカチオン・テトラフルオロボレート塩(広栄化学社製、A−3(商品名))、4級アンモニウムカチオン・(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[(CF3SO2)2N-]塩(広栄化学社製、A−4(商品名))が挙げられる。ここで、A−3、A−4のカチオンの構造は、[N(CH3)(CH3)(C2H5)(C2H4OC2H4OCH3)]+である。
【0022】
上記材料による板状屈曲素子の製作方法として具体的には、カーボンナノファイバー、イオン性液体、ポリマー、および溶媒からなる分散液、並びに、イオン性液体、ポリマーおよび溶媒からなる溶液を、キャスト、塗布、印刷、押出し、または射出し、乾燥して積層することにより、電極層およびイオン伝導層を形成することができる。さらに具体的に、例えば電極層、イオン伝導層、電極層の順にキャスティングを行い、乾燥器で一昼夜溶媒を乾燥させ、次いで、真空乾燥を行い、アクチュエータデバイス用屈曲素子を得ることができる。
【0023】
次に、上述した屈曲素子を用いた本発明に係るアクチュエータデバイスの実施形態を詳しく説明する。
【0024】
図1は本発明のアクチュエータデバイスに用いられる一実施形態としての板状屈曲素子の屈曲状態を示した側面図である。この板状屈曲素子10においては、下部(下縁)10hを固定端、上部(上縁)10iを自由端としている。この屈曲素子10は長さ方向中央部10aの屈曲方向に対してその両端部10b側の屈曲方向が反対の方向になるような長さ単位で形成されている。具体的には、図10、図11のDの範囲の長さ単位の屈曲素子が用いられる。ただし、本実施形態においてはその半分の1/2Dを単位とする素子を用いてもよいし、あるいは屈曲部を増した2D,3D,4D...としたものを素子として用いてもよい。なお、図示したものにおいては1/4Dごとの屈曲の変曲点(線)pが示されている。このことは、以下の図面2,4においても同様である。また、屈曲部内の1/4Dごとに分割した屈曲単位についてみると、本実施形態においては屈曲部10bが1つの屈曲単位からなり、屈曲部10aが2つの屈曲単位10a1及び10a2からなる。
【0025】
図10でも説明したように、板状屈曲素子10は中心電極層の両面側に電解質層が配置され、さらにその外側両面に外側電極層が設けられている(図1においてはこれらの部材を図示せず。)。長さ方向中央部10aと両端部10b側の屈曲方向が逆向きとなる形態としては、例えば図10でも説明したように、一方の外側電極層では中央部位置で広幅部、両端側で狭幅部とし、他方の外側電極層では中央部位置で狭幅部、両端側で広幅部に形成することによってなしうる。両方の外側電極層で広幅部どうし、および狭幅部どうしが実質的に重ならないようにすることは図10で説明したとおりである。また、他の例として、前記広幅部、狭幅部に代えて外側電極層の厚みを厚部、薄部で構成し、あるいは外側電極層に切込部と非切込部を交互に形成した形態でもよい。このような屈曲変形に伴なって屈曲素子10は長さ方向に伸長、収縮動作を行い、全体として屈曲部a及び屈曲部bの曲率が互いに反転して反対に屈曲しながら、運動方向(素子の長手方向)uに沿って直動運動する。
【0026】
本発明において「板状屈曲素子」は長尺板状でありアクチュエータデバイスにおいて素子要素として機能すればよい。その形状として例えば、上記実施形態において示したもののような伸長状態において平板形状のものであっても、それ以外の、例えばこれが湾曲したものであってもよい。また、一部において膨出ないし没入していてもよく、やや屈曲した状態であってもよい。また、板状屈曲素子は、平面視において本実施形態のように矩形のものであっても、それ以外の、丸みを帯びたり、台形ないし平行四辺形基調のものであったりしてもよい。なお、アクチュエータデバイス内で各板状屈曲素子の形状や大きさは本実施形態のように同じくそろっていても、各々が適宜異なるようにしてもよい。
【0027】
図2は本発明の実施形態1に係るアクチュエータデバイス11を示したものであり、同図(a)は非動作時、すなわち各屈曲素子が伸長したときの斜視図、同図(b)はアクチュエータデバイス11の長さ方向端面側からみた拡大平面図である。また、図2(c)は図2(a)におけるアクチュエータデバイス11を動作させ屈曲素子の屈曲部を屈曲させたときの斜視図、同図(d)は図2(c)の長さ方向端面側からみた平面図である。この実施形態1では図2(b)に示すように、デバイス中心軸Oから延びる放射状の仮想線kに沿って、各々の板状屈曲素子10の幅方向が向かうよう配置されている。このような放射状の配置で各素子10の幅方向内側縁10nはデバイス中心軸Oから延びる仮想線k上に位置し、各素子10の外側縁10gもまた同様に仮想線k上に位置している。具体的には、16本の放射状仮想線kがあり、それらに重なるよう16枚の板状屈曲素子10がその幅方向を向けて配置され、全体として柱状体となっている。該アクチュエータデバイス11は、とくに正円柱状の外形をなしており、その外径dは5mmであり、デバイス長さ(高さ)Lは50mmである。
【0028】
本発明において「板状屈曲素子の幅方向を所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうように配置する」とは、該仮想線k上に板状屈曲素子の幅方向線ないし面が重なる状態で配置されていることのほか、詳細を後述するように板状屈曲素子の外側縁10gを基点として素子の幅方向線(面)と上記仮想線kとが所定の角度をなしオフセットされた状態を含む。このときのオフセット角度は0°を超え45°以下であることが好ましく、15°〜30°であることがより好ましい。
【0029】
また、本発明において「柱状体」とは、所定形状の上面と下面(底面)とをもち、これらを上下に配した柱状の構造体であればよい。本実施形態において示した正円柱状のもののほか、楕円柱や斜円柱でもよく、また必要により角柱や樽形のものとしてもよい。そして、本発明において「複数の板状屈曲素子が全体として柱状体をなす」とは、板状屈曲素子が放射状に配置され、各素子の外側縁10gが柱状体の母線となり、これらをつないでみたときに全体として柱状体の側面jが想定できる状態になっていることをいう。そして、このとき、各素子の上縁10i及び下縁10hをつないでみたときになす面が、それぞれ柱状体の上面及び下面として想定できる。
【0030】
ここで、柱状体の全体を板状屈曲素子が埋めるよう密接配列されていても、いなくてもよく、本実施形態のように所定の数の素子が所定の間隔(角度)eをあけて間欠的に配設されていてもよい。1つのデバイスに含まれる板状屈曲素子の配設される数は特に限定されないが、4〜32枚であることが好ましい。本発明においては、このように板状屈曲素子の放射状の配置を、全体として柱状体をなすようにすることを特に「放射状に柱状配置する」という。なお、板状屈曲素子を間欠的に配設するときの間隔ないし角度eは一定であっても、なくてもよい。この間隔(角度)eは適宜デバイスに求められる機能に応じて定めればよいが、全体として均一な運動及び発生力を得る点では、各間隔(角度)eを一定とすることが好ましい。
【0031】
このように複数の板状屈曲素子10を放射状に柱状配置したアクチュエータデバイス11は同じ外径で円周上に沿って屈曲素子を配置したアクチュエータデバイスに比べて多数の素子を配置することができ、それだけコンパクト化、高密度化を実現できる。
板状屈曲素子10の中心電極層と外側電極層との間に電圧を印加することにより、各素子10は図2(c)に示すように素子面に垂直な方向に、かつ、中央部10aと両端部10b側で逆方向に屈曲動作し、これに伴なって長さ方向に直動運動する。この場合、屈曲素子10を円周上に配置したアクチュエータデバイスと比べ、デバイス全体として径方向への拡がりが小さく、非動作状態(図2(a))のコンパクトさが動作時にも維持される。
【0032】
また、このコンパクトな構成にかかわらず、屈曲素子10の個数を多くすることができるため、伸び方向の発生力が大となり、素子幅2mmで16本配置のものでは、発生力1.43Nが達成されることが確められた。要望されるコンパクトさの範囲内で素子の幅、個数を増やすことにより、発生力5Nを実現することも可能である。
【0033】
さらに、この放射状配置の板状屈曲素子10によるアクチュエータデバイス11は、デバイス中心軸Oに小さな空間部12(図2参照)を形成することにより、この空間部12に給電線を通すことができ、前記空間部に集中する屈曲素子10に電圧を印加するのが容易となり、この点でもコンパクトさが確保される。
【0034】
図3は屈曲素子に対する電源供給構造を概略的に示した側面断面図、図4は実施形態1に係るアクチュエータデバイスへの電源供給形態を模式的に示した図である。また、図5(a)は実施形態1におけるアクチュエータデバイスの電極構造を模式的に示した上面図、同図(b)はその底面図である。図3を参照すれば、屈曲素子10の一方の外側電極層13および電解質層2の下端部を切除するとともに、該外側電極層13の上端部13aを若干上方へ伸ばし、下端部に露出した中心電極層14と他方の外側電極層15とを下端側で導電性のクリップ端子16で挟み付け、前記一方の外側電極層13の突出した上端部13aにシングル端子17を接続して正電圧を印加し、前記導電性クリップ16を介して外側電極層15に正電圧を、中心電極層14に負電圧を印加することにより、板状屈曲素子10が付勢される。
【0035】
図4および図5を参照すれば、アクチュエータデバイス11の上下端面に該デバイスを支持する基材18,19が配置され、この基材上に前述した導電性クリップ(図4、図5には図示省略)が設けられ、このクリップによって下側基材19上の任意の1つの屈曲素子が図3で示すように挟み込まれる。そして、下端側の、図3で説明した前記他方の外側電極層15の内側部どうしが下側基材19上で導電性の内側円環部材20によって連結され、かつ、デバイス中心に配置された導電性心棒21と内側円環部材20とが電気的に接続される。また、図5(b)の如く、中心電極層14の下端の外側部は導電性の外側円環部材22によって連結される。
一方、上端部においては、前記外側電極層13の上端部の内側部13bは、図5(a)の如く、上側位置で導電性内側円環部材20によって連結され、かつ、デバイス中心の導電性心棒21と前記導電性内側円環部材20とが電気的に接続される。
【0036】
図4および図5(a),(b)に示すように、電源74によって導電性心棒21に正電圧を印加し、かつ、下端部の外側円環部材22に負電圧を印加することにより、これらの導電性心棒21、内側円環部材20および下端部の外側円環部材22を介して外側電極層13,15と中心電極層14との間に電圧が印加される。
このように本発明においては、各屈曲素子10がその内側部でデバイス11の中心に集中しているので、各々の素子に個別に電源を接続する必要がなく、電源供給のための給電構造がきわめて簡単となり、電源接続部によってコンパクトさを阻害することはない。また、導電性心棒は給電手段の他に、芯部材として屈曲素子10の保持を兼用させることにより、動作安定性を向上させることが可能となる。
【0037】
図6は本発明の実施形態2によるアクチュエータデバイスの平面図である。前述の実施形態1では各屈曲素子10はその内側縁10nが中心軸Oから離れるように、放射状仮想線k上に位置する外側縁10gを基点とし、回転移動して配置されている。すなわち、本実施形態2では各屈曲素子10の内側縁10nの延長線はデバイスの中心軸Oを通らず、各素子10とも同じ方向に中心軸Oからずれて配置されている。
本発明では、このようにずれて配置された形態をオフセット配置と称し、そのずれ量、つまり図6の平面視で板状屈曲素子10の内側縁10nと外側縁10gとを結んで延びる素子の幅方向線と中心軸Oから放射状に延びる仮想線kとがなす角θ(オフセット角θ)を有し、前述のようにこの角度を15°〜30°に設定することが好ましい。なお、このオフセット角度は1つのデバイス内で各板状屈曲素子において同じであっても、異なっていてもよいが、本実施形態2のように同じであることが好ましい。また、本実施形態において上記素子外側縁1gがなす基点は柱状体の仮想側面j上に位置している。
【0038】
ここで、アクチュエータデバイス11の1枚の屈曲素子10における稼働域Sについてみれば、屈曲素子10は前記平面視において屈曲素子10の素子面に対して垂直に屈曲し、その屈曲方向は実施形態1では、屈曲素子は矢印A(図2(b))で示す方向であり、実施形態2のオフセットした屈曲素子10では、矢印B(図6)の方向つまり前記矢印Aよりも若干内側へ偏倚した方向となり、デバイス11全体からみて動作時の外側への拡がりが抑えられる。外側への拡がりが小さいと、それだけ少ないスペースで実装することができ、高密度化が実現できる。また、デバイス外側への拡がりを無くすことができるので、アクチュエータデバイス11の単位面積当りの発生力増大が図られる。例えばオフセット角15°以上にすれば、オフセットしない場合に比べてデバイス上端面における単位面積当りの発生力は1.2〜1.3倍とすることができる。
【0039】
図7は本発明の実施形態3によるアクチュエータデバイス11の平面図である。この実施形態3においても、各屈曲素子10は実施形態2の場合と同様にデバイス中心軸Oから延びる放射状の仮想線kに対してオフセットして配置されているが、この実施形態3の場合は幅長さの異なる2種類の屈曲素子10,23が交互に配置されている。幅の狭い屈曲素子23もデバイス中心に対してオフセットしている。隣接した幅の広い屈曲素子10の間は中心側より外周側の方が広く、したがってこの外周側の広い空隙部分に幅の狭い屈曲素子23が配置されている。なお、各々の屈曲素子10,23の外側部位置はデバイス中心Oから等しい位置に定められている。
【0040】
実施形態3の構成により、アクチュエータデバイス11の外周側の素子間スペースを無駄なく多くの屈曲素子10,23で埋めることができ、一層の高密度化が実現できる。一例を挙げると、幅の大きい屈曲素子10に対し幅長さが1/2の屈曲素子23を同数詰め込むことにより、同じ外径dのデバイス11の発生力を約1.5倍にすることができる。
【0041】
図8は本発明の実施例4によるアクチュエータデバイスの平面図である。この実施形態4では、図2に示す実施形態1の板状屈曲素子を放射状に配置した構成を内側アクチュエータ部Gとし、この構成に加えてさらに、その外側に、同様に放射状に第2の板状屈曲素子24を配列した外側アクチュエータ部Hが設けられている。内側アクチュエータ部Gの放射状配置の第1の屈曲素子10と外側アクチュエータ部Hの第2の屈曲素子24は、図示のように、周方向の位置が若干ずれているが、屈曲素子10,24の個数は内側、外側のアクチュエータ部G,Hとも同数(16枚)となっている。ただし、本発明においては必ずしも内側、外側アクチュエータ部について屈曲素子は同じ数でなくてもよい。また、内側、外側とも各屈曲素子10,24は、実施形態2のようにデバイス中心に対して素子内側部をオフセットするように配置してもよい。その他、内側、外側のいずれか一方の屈曲素子(第1の屈曲素子10か又は第2の屈曲素子24のいずれか)のみをオフセット配置としてもよい。
【0042】
実施形態4のアクチュエータデバイス11は、内側アクチュエータ部Gと外側アクチュエータ部Hで動作時の屈曲方向が逆向き、すなわち波打つように変形する周期が逆位相となるように電圧制御される。例えば図示の場合、内側アクチュエータ部Gの第1の屈曲素子10の中腹部、つまり図1に示した屈曲部10aの部分が突き出る屈曲方向が矢印Aの方向となる。一方、外側アクチュエータ部Hの第2の板状屈曲素子24の中腹部は矢印Bで示す方向に突き出るように屈曲する。このようにすることにより、デバイス全体として内側と外側で周方向の偏倚力が相殺され、安定性が向上する。
【0043】
図9は本発明の実施形態5によるアクチュエータデバイスの平面図であり、放射状に配置した板状屈曲素子10の各々の片面の電極層上に絶縁層25が設けられている。このようにして、板状屈曲素子10を均等間隔にした放射状の配置によって、各素子の変形量を同じくし、隣接する素子間で接触は生じさせないようにすることができる。他方、素子数が多く、かつ動作中の何らかの原因で変形量にばらつき等があった場合、万一、隣接した素子10どうしが接触すると、外側電極層が短絡するおそれがある。このような場合にも、本実実施形態5によれば各素子10の電極層上に絶縁層25を設けることにより、一層効果的に素子間の短絡が防止される。絶縁被覆する形態としては、例えば浸漬塗装(ディッピング)、熱融着、絶縁テープ貼着などが挙げられる。なお、図示の例では屈曲素子10の片面にのみ絶縁層25を設けたが、両側に設けてもよい。
【0044】
以上説明したように本発明によれば、複数の屈曲素子が円筒の周面に沿って配置されず、中心軸から径方向外側へ延びるように放射状に柱状配置されるので、屈曲素子の数を増やしても全体としてコンパクトに構成できる。その結果、小型であっても大きな伸び方向の発生力が得られる。また中心軸のまわりに屈曲素子の内側縁を集中させることができるため、屈曲素子への電源供給の配線構造が簡素化され、また、デバイスの中心に芯材などを挿入することで動作安定性が向上する。なお、本発明のアクチュエータデバイスは複数個組み合わせて直動方向に垂直な板面上に横方向に離隔配置したり、直動方向に複数個連結してこの連結部を屈曲可能に支持するなど、種々の変形、応用構成とすることができる。このようにすることで直動のみならず屈曲、旋回あるいはこれらを合体させた動作、その他、多方向屈曲、多方向直動など多種、多様な動作を行うように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のアクチュエータデバイスに用いられる一実施形態としての屈曲素子の屈曲状態を示した側面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るアクチュエータデバイスを模式的に示した図である。
【図3】屈曲素子に対する電源供給構造を概略的に示した側面断面図である。
【図4】実施形態1に係るアクチュエータデバイスへの電源供給形態を模式的に示した分解斜視図である。
【図5】実施形態1におけるアクチュエータデバイスの電極構造を模式的に示す上面図(a)および底面図(b)である。
【図6】本発明の実施形態2によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態3によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態4によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態5によるアクチュエータデバイスを模式的に示す平面図である。
【図10】本発明に係るアクチュエータデバイスを構成する要素となる板状の屈曲素子の一実施態様を模式的に示す分解斜視図である。
【図11】図10に示す板状の屈曲素子を屈曲運動させたときの形態を模式的に示す斜視図である。
【図12】一般的なイオン導電性高分子アクチュエータの電圧印加に対する変形性を模式的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1,13,15 外側電極層
1s 広幅部、1t 狭幅部
1a 上側電極層、1b 下側電極層
2 電解質層
2a 上側電解質層、2b下側電解質層
3,14 中心電極層
10,23,24 屈曲素子
11 アクチュエータデバイス
16,17 端子
18,19 基材
20 内側円環部材
21 導電性心棒
22 外側円環部材
25 絶縁層
71 高分子電解質膜
72,73 電極
74 電源
G 内側アクチュエータ部
H 外側アクチュエータ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に複数の屈曲部をもち電圧を印加したときに前記複数の屈曲部が互いに反対方向に屈曲しうる平板状屈曲素子を有し、前記複数の平板状屈曲素子は、その伸長状態における幅方向が所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうよう配置されたことを特徴とするアクチュエータデバイス。
【請求項2】
前記複数の屈曲部が屈曲して前記平板状屈曲素子はその長手方向に直動運動することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項3】
前記平板状屈曲素子の幅方向が前記放射状の仮想線と重なるように配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項4】
前記平板状屈曲素子は、その内側縁が前記中心軸から離れる方向に、前記放射状の仮想線の上に位置する該素子の外側縁を基点として回転移動され、前記仮想線と前記素子の幅方向線とが所定角度をなすようオフセットされたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項5】
前記平板状屈曲素子のオフセット角度が30°以下であることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項6】
横幅の異なる前記平板状屈曲素子が前記放射状の仮想線に沿って周方向に交互に配置されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項7】
前記放射状に配置した複数の平板状屈曲素子の放射方向外側に、さらに平板状屈曲素子を複数枚放射状に配置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項8】
前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを同方向としたことを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項9】
前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを逆方向としたことを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項10】
前記平板状屈曲素子が、中心電極層の両面側に配設された電解質層を介して外側電極層を設けたものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項11】
前記複数の平板状屈曲素子が放射状に配置され、全体として柱状体をなす請求項1〜10のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項12】
前記平板状屈曲素子の少なくとも片面側に絶縁層が設けられたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項1】
長手方向に複数の屈曲部をもち電圧を印加したときに前記複数の屈曲部が互いに反対方向に屈曲しうる平板状屈曲素子を有し、前記複数の平板状屈曲素子は、その伸長状態における幅方向が所定の中心軸から延びる放射状の仮想線に沿って向かうよう配置されたことを特徴とするアクチュエータデバイス。
【請求項2】
前記複数の屈曲部が屈曲して前記平板状屈曲素子はその長手方向に直動運動することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項3】
前記平板状屈曲素子の幅方向が前記放射状の仮想線と重なるように配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項4】
前記平板状屈曲素子は、その内側縁が前記中心軸から離れる方向に、前記放射状の仮想線の上に位置する該素子の外側縁を基点として回転移動され、前記仮想線と前記素子の幅方向線とが所定角度をなすようオフセットされたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項5】
前記平板状屈曲素子のオフセット角度が30°以下であることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項6】
横幅の異なる前記平板状屈曲素子が前記放射状の仮想線に沿って周方向に交互に配置されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項7】
前記放射状に配置した複数の平板状屈曲素子の放射方向外側に、さらに平板状屈曲素子を複数枚放射状に配置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項8】
前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを同方向としたことを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項9】
前記内側の平板状屈曲素子と前記外側の平板状屈曲素子の屈曲の向きを逆方向としたことを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項10】
前記平板状屈曲素子が、中心電極層の両面側に配設された電解質層を介して外側電極層を設けたものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項11】
前記複数の平板状屈曲素子が放射状に配置され、全体として柱状体をなす請求項1〜10のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項12】
前記平板状屈曲素子の少なくとも片面側に絶縁層が設けられたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のアクチュエータデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−232518(P2009−232518A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72273(P2008−72273)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構ナノテク・先端部材実用化研究開発「高配向性CNTを用いたナノ構造制御による低電圧駆動高分子アクチュエータの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構ナノテク・先端部材実用化研究開発「高配向性CNTを用いたナノ構造制御による低電圧駆動高分子アクチュエータの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
[ Back to top ]