説明

アスファルト再生装置

【課題】アスファルト廃材のドラム内への供給を妨げることなく、ドラム内の加熱処理室の熱効率の低下を防止すると同時に作業者等の安全性や作業性を確保できるアスファルト再生装置を提供する。
【解決手段】内部にアスファルト廃材を加熱溶融する加熱処理室Sを有し略水平軸回りに回転駆動されるドラム12と、ドラム12の一端側に横向きに開口された供給口14と、ドラム12の他端側に設けられた排出口16と、供給口14に接続されアスファルト廃材が外部投入されるホッパ部18と、を備えたアスファルト再生装置において、供給口14に設置され、加熱処理室S内の熱気がホッパ部18側へ逃げないようにするとともに、ホッパ部18からのアスファルト廃材をいつでも供給可能として自在に通過させる廃材通過型熱気遮断手段20を有するアスファルト再生装置10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、道路改修工事等でアスファルト廃材を原材料として新たなアスファルト合材を生成することが可能なアスファルト再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の補修、水道管やガス管の修繕等に伴う舗装道路の工事では、掘り起こされたアスファルト廃材は産業廃棄物として捨てられ、補修のための新たなアスファルト原料はプラントにおいて生成されトラック等で作業現場まで運ばれて来るのが一般的であった。しかしながら、近時の資源再利用や、掘削後のアスファルト廃材を産業廃棄物として廃棄する際の費用削減の観点から、掘り起こされたアスファルト廃材を再生し、そのまま舗装道路の修復に再利用できることが望ましい。このような点から、従来、本出願人が先に出願した特許文献1、2や特許文献3等に開示されているアスファルト再生装置を利用する点が開示されている。特許文献1〜3に開示されているようなアスファルト再生装置では、例えば図1に示すように、内部に加熱処理室Sを有し略水平軸回りに回転駆動するドラム12と、ドラム12の一端側に設けられた供給口14と、ドラムの他端側に設けられた排出口16と、ドラムの供給口に接続されたホッパ部18と、を備えている。そして、アスファルト廃材をホッパ部18から投入し、ドラム内の供給口14より加熱処理室Sに供給しつつ、該処理室内でバーナ等を介して該アスファルト廃材を加熱溶融して新たなアスファルト合材を生成し、再生したアスファルト合材を排出口16から排出するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−113183号公報
【特許文献2】特願2007−137335
【特許文献3】特開平11−269812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアスファルト再生装置では、図8、図9に示すように、アスファルト廃材Rを加熱処理室S内に供給できるように常に供給口14が開口されるとともに、該供給口に接続されるホッパ部18を介して加熱処理室Sと外部Eとが連通されている構成であるから、ドラムの加熱処理室S内の熱気Hが供給口14からホッパ部18を介して外部に漏れてしまっていた。したがって、ドラムの加熱処理室S内の温度が低下しやすく、アスファルト廃材の加熱処理効率が低下し、その結果アスファルト廃材の再生効率が低下して、道路修復工事の作業性の低下、長時間化、燃費の低化及び燃料コストアップ等の問題を招いていた。さらに、ホッパ部の投入口18aから高温の熱気Hが出てくるので、アスファルト廃材のホッパ部への投入作業やその他ホッパ周辺で作業を行う作業者が火傷してしまう危険があったり、熱気により作業を円滑に行えない問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、アスファルト廃材のドラム内への供給を妨げることなく、ドラム内の加熱処理室の熱効率の低下を防止すると同時に作業者等の安全性や作業性を確保できるアスファルト再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、内部にアスファルト廃材を加熱溶融する加熱処理室Sを有し略水平軸回りに回転駆動されるドラム12と、ドラム12の一端側に横向きに開口された供給口14と、ドラム12の他端側に設けられた排出口16と、供給口14に接続されアスファルト廃材が外部投入されるホッパ部18と、を備えたアスファルト再生装置において、供給口14に設置され、加熱処理室S内の熱気がホッパ部18側へ逃げないようにするとともに、ホッパ部18からのアスファルト廃材をいつでも供給可能として自在に通過させる廃材通過型熱気遮断手段20を有するアスファルト再生装置10から構成される。例えば、公知のアスファルト再生装置に廃材通過型熱気遮断手段20を取り付けて構成してもよい。また廃材通過型熱気遮断手段20は着脱自在に取り付けることができる構成でもよい。また、アスファルト再生装置は、ホッパ部に直接にアスファルト廃材を投入するタイプでもよいし、搬送コンベア等を有する原料供給装置を備えたタイプでもよい。
【0007】
また、廃材通過型熱気遮断手段20は、それぞれの上端を支持されつつ下端を自由端とし、供給口14を覆うように暖簾状に垂下された複数の垂下部材40を有することとしてもよい。垂下部材40は、例えば比較的細幅のものを多数配置して暖簾状に構成してもよい。また、垂下部材40は、可撓性又は可撓構造に設けられるとよい。
【0008】
また、垂下部材40は、耐熱性の重量素材からなる複数の遮蔽小片42を互いに可動自在に直列して、該遮蔽小片42の自重で垂下するように構成されたこととしてもよい。
【0009】
また、垂下部材40は、金属製の鎖体44からなることとしてもよい。鎖体44のリングの大きさや形状等は任意でよく、供給口の大きさ等に応じて設定するとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアスファルト再生装置によれば、内部にアスファルト廃材を加熱溶融する加熱処理室を有し略水平軸回りに回転駆動されるドラムと、ドラムの一端側に横向きに開口された供給口と、ドラムの他端側に設けられた排出口と、供給口に接続されアスファルト廃材が外部投入されるホッパ部と、を備えたアスファルト再生装置において、供給口に設置され、加熱処理室内の熱気がホッパ部側へ逃げないようにするとともに、ホッパ部からのアスファルト廃材をいつでも供給可能として自在に通過させる廃材通過型熱気遮断手段を有する構成であるから、廃材通過型熱気遮断手段により、ドラムの加熱処理室内の熱気が供給口から外部に逃げるのをある程度防止することができるので、加熱処理室内での加熱温度を保持できる結果、熱効率を低下させることなくアスファルト廃材の加熱溶融を良好に行え、作業性の維持、作業時間の短縮化、高燃費化、低コスト化を図れるとともに、ホッパ部周辺で作業者が所要の作業を安全にかつ円滑に行うことができる。また、ホッパ部から外部へのアスファルト廃材の粉塵の飛散を防止できる。さらに熱気の逃げや粉塵の飛散を防止する構成でありながら、ホッパ部に投入したアスファルト廃材はいつでも自在に通過されて加熱処理室に供給できるので、手作業で供給口を開閉操作したりするような煩雑な操作は一切なく使い勝手を損なわないとともに、機械的又は電気的な開閉制御等を一切不要とした簡単な構造であり、低コストで製造することができる。
【0011】
また、廃材通過型熱気遮断手段は、それぞれの上端を支持されつつ下端を自由端とし、供給口を覆うように暖簾状に垂下された複数の垂下部材を有する構成とすることにより、加熱処理室内からの熱気の逃げ防止とアスファルト廃材の自在供給とを同時に満たす廃材通過方熱気遮断手段を簡単な構成で具体的に実現できる。
【0012】
また、垂下部材は、耐熱性の重量素材からなる複数の遮蔽小片を互いに可動自在に直列して、該遮蔽小片の自重で垂下するように構成されることから、常時は遮蔽小片の自重により自然に垂下して暖簾状に供給口を覆って熱気の逃げをある程度防止できるとともに、アスファルト廃材が通過する際には、アスファルト廃材により各遮蔽小片の直列に連結構成が撓んで、該アスファルト廃材を自在に通過させることができる。さらに、アスファルト廃材が通過した後には、垂下部材が自重で元の垂下状態に戻り、熱気の逃げを再び防止できるので、使い勝手がよい。
【0013】
また、垂下部材は、金属製の鎖体からなる構成とすることにより、簡単な構造であり、低コストで製造することができる。さらに、部材の点検、交換等を含むメンテナンスも簡単に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るアスファルト再生装置の側面図である。
【図2】図1のアスファルト再生装置のA−A線断面の要部説明図である。
【図3】図2のB−B線断面の要部説明図である。
【図4】図1のアスファルト再生装置の廃材通過型熱気遮断手段の拡大説明図である。
【図5】図1のアスファルト再生装置の平面図である。
【図6】図3におけるアスファルト廃材供給時の作用説明図である。
【図7】他の実施形態での垂下部材を示した説明図である。
【図8】従来のアスファルト再生装置の供給口周辺の断面説明図である。
【図9】図5の供給口周辺のC−C線断面の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照しつつ本発明のアスファルト再生装置の実施形態について説明する。なお、背景技術で説明した従来のアスファルト再生装置と同一部材には同一符号を付して説明する。本実施形態にかかるアスファルト再生装置は、原材料としてのアスファルト廃材をドラム内で加熱溶融して、新しいアスファルト合材を生成して、再生することができるものである。図1ないし図5は、本発明のアスファルト再生装置の一実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態において、アスファルト再生装置10は、内部に加熱処理室Sを有したドラム12と、ドラム12の一端側に開口された供給口14と、ドラム12の他端側に設けられた排出口16と、供給口14に接続されるホッパ部18と、を備えており、さらに、供給口14に設置される廃材通過型熱気遮断手段20を有している。
【0016】
図1、図5に示すように、本実施形態では、アスファルト再生装置10は、例えば、トラックや重機等の牽引車両Tにより牽引駆動されるトレーラ22上に搭載されており、移動自在に構成される。アスファルト再生装置10の基本構造は、上記のようにドラム12、ドラムの供給口14、排出口16及びホッパ部18等を有し、公知の装置と略同様な構成となっている。
【0017】
本実施形態では、ドラム12は、図1、図5に示すように、内部にアスファルト廃材を加熱溶融する加熱処理室Sを有しており、アスファルト再生処理の本体部分である。ドラム12は、例えば、横倒しにした金属製の中空円筒部12aからなるとともにその円筒部の後端側(図1上、左側)に胴部から径を次第に小さくするように連続するテーパ部12bが一体的に形成されている。ドラム12は、トレーラ22の上方に設けられる前後に離隔配置された支持ローラ24、26を介して略水平軸X回りに回転自在に支持されており、図示しないドラム回転原動機により回転駆動される。ドラム12は中空内部を加熱処理室Sとしており、アスファルト廃材を加熱溶融させる熱源としてのバーナ28が設けられている。図1、図3に示すように、ドラム12の一端側(図1上右側、前方側)には、アスファルト廃材を該加熱処理室Sに供給する供給口14が横向きに開口されている。ドラム12の他端側であるテーパ部側(図1上右側、後方側)には、ドラムの加熱処理室Sで生成されたアスファルト合材Mを排出する排出口16が設けられている。なお、排出口には図示しない開閉蓋装置が取り付けられる。ドラム12の加熱処理室Sは、例えば、複数の孔を有し、ドラムと同心位置に配置される金属円盤体からなるスクリーン30により回転軸方向に向けて前後に区画されている。スクリーン30は、加熱溶融処理で十分に処理されてスクリーンの孔より小さく処理されたアスファルト合材のみを処理室後部側に通して供給させ、不十分な状態の未処理廃材は通過させないようになっている。区画された加熱処理室のうち供給口14側の処理室にはアスファルト廃材を撹拌するように、ドラム内壁から回転中心に向けて突設された複数の突起32や軸方向に沿って長いアングル材33が固定されている。区画された加熱処理室のうち排出口16側の処理室には、スクリーン30を通過したアスファルト合材を撹拌する複数の撹拌羽根34が設けられている。さらに、ドラムのテーパ部12bの内側には、生成されたアスファルト合材を排出口16へ押し出すためのスクリュー羽根36が設けられている。
【0018】
ホッパ部18は、図1、図2、図3に示すように、ドラムの一端側に設けられる供給口14に接続されており、掘削により得られるアスファルト廃材を外部から投入させて該供給口14に案内する。図5にも示すようにホッパ部18は、例えば、逆矩形台錘状枠部35により形成される投入口18aを上方に開口しつつ、ドラムの一端側に接続される縦壁37と傾斜底壁38と側壁39とにより周囲を囲まれた内部空間を形成している。ホッパ部18の縦壁37にはドラムの供給口14に対応して開口が設けられ、ホッパ部内部空間と供給口、加熱処理室とを連通している。図6にも示すように、上面側の投入口18aから投入されたアスファルト廃材Rは傾斜底壁38上を自重ですべり転がって横向き開口の供給口14に導入される。ホッパ部18は、トレーラ22上でドラム12の前方側に該ドラムに近接して積載されるケース体27に本体部分を収容した状態でそのケース体上部側に支持されている。なお、ケース体27の内部でホッパ部18の傾斜底壁の下方側の空間には、ドラムの回転駆動装置やバーナ28を燃焼させるための装置等が設置されている。
【0019】
図2、図3に示すように、本実施形態では、ドラム12の供給口14、すなわち、ホッパ部18とドラムの供給口14との接続部分に廃材通過型熱気遮断手段20が設置されている。廃材通過型熱気遮断手段20は、供給口14から加熱処理室S内の熱気がホッパ部18側、すなわち該ホッパ部18の上方側の投入口を介して外部側へ逃げないように熱気Hをある程度遮断するとともに、ホッパ部18から投入されるアスファルト廃材をいつでも供給可能として自在に通過させるものである。廃材通過型熱気遮断手段20は、供給口位置における加熱処理室からの熱気遮断手段とホッパ部からのアスファルト廃材通過手段とを同時に実現している。
【0020】
具体的には、廃材通過型熱気遮断手段20は、図4にも示すように、ドラムの供給口14を覆うように暖簾状に垂下された複数の垂下部材40を含む簡易熱気遮断器41からなる。本実施形態では、垂下部材40は、例えば、多数の金属製リングを遮蔽小片42として互いに直列状に連結した金属製の鎖体44からなる。複数の鎖体44は、互いに近接し比較的密に並列して配置されており、それぞれの上端側を支持基体46に支持されて、下端側を自由端として自重により垂下する。なお、図2、図4上では、説明のために鎖体44の間にある程度大きな隙間を設けて描いているが、実際には複数の鎖体をもっと密にして設けてもよい。複数の鎖体44をまとめて垂下支持する支持基体46は、例えば、供給口14の上縁側形状に沿った略円弧形状の金属板体からなる。支持基体46は、下縁側に例えば鎖体44の最上端のリング体連結される連結孔47が鎖体44の数に応じて複数形成されており、各鎖体44を可動自在に連結している。支持基体46は、例えば、ホッパ部18の縦壁37に密着させつつ下縁側を供給口14の上縁と略位置合わせした状態でボルト48等の固定手段を介して一体的に固定されて、複数の鎖体44を供給口位置に垂下状に設置している。なお、支持基体46は例えば矩形板状や棒状、フレーム枠状等その他任意の形状で形成してもよい。
【0021】
横向き開口の供給口14にのれん状に構成される複数の鎖体44を設けたことにより、図2、図3に示すように、該供給口14のホッパ部18との連通部分では、複数の鎖体44が自重により垂下して、ある程度の隙間はあるものの略閉鎖された状態となる。したがって、加熱処理室内の熱気Hは、それらの鎖体44により邪魔されてホッパ部側へ逃げるのをある程度遮られることから、該加熱処理室内の熱効率の低下を防止することができ、良好にアスファルト廃材の加熱溶融処理を行える。同時に、ホッパ部周辺での作業を安全かつ円滑に行える。また、アスファルト粉塵の飛散を防止できる。さらに、複数の鎖体44は、自在に撓むことができるので、上記のように熱気の外部への逃げを防止できるような熱気遮断構造であっても、図6に示すように、ホッパ部の投入口18aからアスファルト廃材Rが投入されて傾斜底壁38に沿って落下して該複数の鎖体44による垂下閉鎖位置に来た際には、該鎖体44が撓んで該アスファルト廃材の通過を妨げることなく、供給口からの供給を可能とする。さらに、アスファルト廃材が通過した後は、複数の鎖体44は撓んだ状態から自重により、供給口14を閉鎖する垂下状態に自動復元して、再び加熱処理室からの熱気の逃げを防止する。
【0022】
なお、垂下部材40の構成は、上述の鎖体44に限らずその他任意の構成でもよい。図7(a)に示すように、例えば、垂下部材40は、金属板片59を遮蔽小片42としてリング59aやリベット等で可動自在に直列に連結して構成してもよい。また、図7(b)に示すように、例えば、垂下部材40は、金属棒片60を遮蔽小片42として可動ジョイント60aで連結した構成等でもよい。図7(c)に示すように、例えば、垂下部材40は、ある程度可撓するよう金属製帯板62を櫛歯状に配置して構造でもよい。また、図7(d)に示すように、垂下部材40は、例えば、球形体64を遮蔽小片42として可動ジョイント64aで直列した玉鎖(ボールチェーン)等でもよい。その他、垂下部材40は、耐熱性の重量素材からなる複数の遮蔽小片42を互いに可動自在に直列して、該遮蔽小片の自重で垂下するように構成されたものであれば任意でよい。
【0023】
図1、図5において、アスファルト再生装置10を搭載するトレーラ22は、例えば、公知のトレーラからなり、台枠50に大小の車輪52a、52bを取り付けて移動可能としている。台枠50は、例えば、金属製フレームを組み付けた横長四角形状構造からなり、上面を平面状の積載面とし、この積載面にアスファルト再生装置10を搭載している。大径の車輪52aは、台枠の前後中間位置に両側に2輪設けられており、小径の車輪52bは、台枠の前方側に左右両側に2輪設けられ、合計4輪構成となっている。小径の車輪52bは、高さが調整可能に台枠に支持されており、台枠全体の傾斜角度を調整し得る。アスファルト再生装置10は、台枠50に接続された固定枠54により周囲を取り囲まれて固定されている。トレーラ22の前方側には牽引車両T等の後端側に接続させるジョイント部56が設けられている。トレーラ22は、支持しているアスファルト再生装置10のドラムの傾斜角度調整機構によりドラムを排出口16側が下がり勾配となるように傾斜角度を調整できるようになっており、ドラム内で再生されたアスファルト合材Mの排出量が調整される。なお、図上58は、はしごでありドラム12に隣接して設けられている。
【0024】
次に、本実施形態に係るアスファルト再生装置の作用について説明する。例えば、アスファルト再生装置を載せたトレーラ22をトラック等の牽引車両Tに接続して現場まで移動する。現場ではドラムを回転駆動装置により回転駆動させながら、バーナを駆動して、加熱処理室内を加熱させる。パワーショベル等の重機で道路等を掘削し、掘り起こされたアスファルト廃材をホッパ部18の投入口に投入すると、図6に示すように、アスファルト廃材はホッパ部の傾斜底壁によってドラム一端側の供給口に案内される。この供給口14には、のれん状に構成される複数の鎖体44からなる廃材通過型熱気遮断手段20が設置されているが、複数の鎖体44は自在に撓むことができるので、該複数の鎖体44の閉鎖位置に来た際には、該鎖体44が該アスファルト廃材により撓まされて、該アスファルト廃材の通過を妨げることなく、供給口からの供給をいつでも可能としている。さらに、アスファルト廃材が通過した後は、再び図3に示すような複数の鎖体44は撓んだ状態から自重により自然と垂下状態に戻る。供給口14から加熱処理内に供給されたアスファルト廃材は、加熱処理室で加熱溶融されつつ撹拌されながら、新しくアスファルト合材へと再生処理される。この際、横向きに開口した供給口14では、複数の鎖体44が自重により暖簾状に垂下して略閉鎖した状態となっているので、図3に示すように、加熱処理室内の熱気Hは、それらの鎖体44により邪魔されてホッパ部18側へ逃げるのをある程度遮断される。同時に、鎖体44により邪魔されてアスファルト廃材の粉塵がホッパ部18側へ逃げるのをある程度遮断されうる。これにより、加熱処理室の熱気がホッパ部を介して外部に逃げるのをある程度遮断できるので、ドラムの加熱処理室内での加熱温度を保持できる結果、熱効率を低下させることなくアスファルト廃材の加熱溶融ひいてはアスファルト再生処理を良好に効率良く行え、作業性の維持、作業時間の短縮化、燃費効率の向上、燃料費及び工事全体の費用の低コスト化を図れるとともに、ホッパ部周辺で作業者が所要の作業を安全にかつ円滑に行うことができる。さらに、ホッパ部に投入したアスファルト廃材はいつでも自在に通過されて加熱処理室に供給できるので、例えば開閉蓋や扉を設けた構造のように作業者が手作業で供給口を開閉操作したりするような煩雑な操作は一切不要で使い勝手を損なわないとともに、機械的又は電気的な開閉制御等を備えていないシンプルで簡単な構造であるので、低コストで製造することができる。なお、ドラムの加熱処理室で新たに生成されたアスファルト合材は排出口16から排出されて、牽引車両T等で牽引移動しながら工事箇所にアスファルトが敷設され、当該工事箇所を簡便に補修できる。
【0025】
以上説明した本発明のアスファルト再生装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のアスファルト再生装置は、例えば、道路改修工事等でアスファルト廃材を原材料として新たなアスファルト合材を生成することが可能なアスファルト再生装置に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0027】
10 アスファルト再生装置
12 ドラム
14 供給口
16 排出口
18 ホッパ部
20 熱気遮断手段
40 垂下部材
42 遮蔽小片
44 鎖体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にアスファルト廃材を加熱溶融する加熱処理室を有し略水平軸回りに回転駆動されるドラムと、ドラムの一端側に横向きに開口された供給口と、ドラムの他端側に設けられた排出口と、供給口に接続されアスファルト廃材が外部投入されるホッパ部と、を備えたアスファルト再生装置において、
供給口に設置され、加熱処理室内の熱気がホッパ部側へ逃げないようにするとともに、ホッパ部からのアスファルト廃材をいつでも供給可能として自在に通過させる廃材通過型熱気遮断手段を有するアスファルト再生装置。
【請求項2】
廃材通過型熱気遮断手段は、それぞれの上端を支持されつつ下端を自由端とし、供給口を覆うように暖簾状に垂下された複数の垂下部材を有する請求項2記載のアスファルト再生装置。
【請求項3】
垂下部材は、耐熱性の重量素材からなる複数の遮蔽小片を互いに可動自在に直列して、該遮蔽小片の自重で垂下するように構成された請求項2記載のアスファルト再生装置。
【請求項4】
垂下部材は、金属製の鎖体からなる請求項3記載のアスファルト再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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