説明

アスファルト原料供給装置

【課題】車に載置されたアスファルト再生装置をトラック等に連結したままの状態でも、例えば、そのトラックの荷台等に積載されたアスファルト原料をアスファルト再生装置に容易かつ安全に供給できるアスファルト原料供給装置を提供する。
【解決手段】アスファルト再生装置12の後方車載位置に設置される支持枠装置14と、支持枠装置14に支持されて前方側となる排出端40側を再生装置12の原料供給口42近傍に配置させる原料搬送コンベア16と、を有し、原料搬送コンベア16の排出端40側を首振り移動可能に支持する首振り支持機構18と、支持枠装置14に対して相対的に前後動可能に支持固定する前後動支持固定装置20と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトレーラ等の車に搭載されてアスファルトの再生を行う車載アスファルト再生装置に、例えば使用済みのアスファルトを粉砕した原料を供給する原料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道管やガス管の修繕等に伴う舗装道路の工事では、掘り起こされたアスファルト廃材は産業廃棄物として捨てられ、道路補修のための新たなアスファルト原料は、プラントにおいて生成されトラック等で作業現場まで運ばれて来るのが一般的であった。しかしながら、産業廃棄物の再利用の観点や、掘り起こされたアスファルト廃材を産業廃棄物として廃棄する際の費用削減の観点から、掘り起こされたアスファルト廃材を再生し、そのまま舗装道路の修復に再利用できることが望ましい。このような、課題を達成するために特許文献1に示すものが開示されている。特許文献1によれば、添付図面1(特許文献1)に示すように、アスファルト廃材等の原料をホッパ17からドラム6内に投入し、その中で該廃材を加熱溶融して新たなアスファルト合材を生成し、排出口10からドラム外へ排出するアスファルト再生装置を基台フレーム3に載置したものである。
【特許文献1】特開平11−269812
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1によれば、アスファルト再生装置は水平軸を回転軸として回転するドラム6に原料を投入しつつ、その中で該廃材を加熱溶融して新たなアスファルト合材を生成し、排出口10から下方に向けて該再生したアスファルト合材を排出する機構であるので、原料の投入口であるホッパ17はある程度高い位置とならざるを得ず、さらに、例えばトレーラ等の車に載置した場合にはなおさらホッパ位置が高くなり、人力でスコップ等により該ホッパから原料供給する作業は困難を伴うという問題があった。また、特許文献1によれば、例えばトラック等の後部にアスファルト再生車を連結させ、牽引して別の場所に移動させることができるが、その際、原料供給や移動を迅速に行わせるために、トラック等の後部にアスファルト再生車を連結させたままで原料供給できる原料供給装置が望まれる。また、道路補修工事では、例えばショベルカー等の重機で道路のアスファルトを破砕して原料とし、その原料をトラック等の荷台にいったん積載して、その荷台から該再生装置に投入することが多い。したがって、供給元をトラック等の荷台に突っ込み状に配置でき、トラックの荷台に積載された原料をホッパの高さまで容易に上昇させることが可能で、また牽引走行時にはトラック等の牽引車の邪魔にならないように収納できる原料供給装置が望まれる。
【0004】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アスファルト再生車をトラック等に連結したままの状態でも、例えば、そのトラックの荷台等に積載されたアスファルト原料をアスファルト再生装置に容易かつ安全に供給できるアスファルト原料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、車載されたアスファルト再生装置12に原料を供給するアスファルト原料供給装置10であり、アスファルト再生装置12の後方車載位置に設置される支持枠装置14と、支持枠装置14に支持されて横長状に設けられ、前方側となる排出端40側を再生装置12の原料供給口42近傍に配置させた原料搬送コンベア16と、を有し、原料搬送コンベア16の排出端40側を首振り移動可能に支持する首振り支持機構18と、支持枠装置14に対して原料搬送コンベアを相対的に前後動可能に支持固定する前後動支持固定装置20と、を備えた構成としている。
【0006】
その際に、首振り支持機構18は、原料搬送コンベア16を上面に載置させ、支持枠装置14の支持枠本体44に前部側を横軸回り回転自在に支持され後部側を揺動自在として任意の揺動高さ位置を調整可能に設定して固定させる揺動受枠22を含んでいてもよい。また、揺動受枠22の後部側の揺動高さ位置を段階的に設定して手動切り替え可能としたピン・孔係止手段24が設けられていてもよいし、揺動受枠22上に載置される原料搬送コンベア16全体が常時略水平状態を保持するように気体圧縮力を介した緩やかな付勢力で揺動受枠22の後部側を付勢する気体圧縮付勢装置26が設けられていてもよい。
【0007】
また、前後動支持固定機構20は、揺動受枠22に設けられた直線横移動ガイド部材28と、コンベアの機枠30に取り付けられガイド部材28に直線横移動案内されて摺動自在に係合する転動部材32と、コンベア機枠30と揺動受枠22との係合位置で連結固定させる固定手段34と、を備えていてもよいし、コンベア機枠30には、該コンベア機枠30の揺動受枠22に対する後退位置を規定するストッパ部材38が取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアスファルト原料供給装置は、車載されたアスファルト再生装置に原料を供給するアスファルト原料供給装置であり、アスファルト再生装置の後方車載位置に設置される支持枠装置と、支持枠装置に支持されて横長状に設けられ、前方側となる排出端側を再生装置の原料供給口近傍に配置させた原料搬送コンベアと、を有し、原料搬送コンベアの排出端側を首振り移動可能に支持する首振り支持機構と、支持枠装置に対して原料搬送コンベアを相対的に前後動可能に支持固定する前後動支持固定装置と、を備えた構成であるから、人力による原料供給作業を伴うことなく原料搬送コンベアを介して容易に原料を供給できるとともに、例えばトレーラ等の車上にアスファルト再生装置を設置し、そのトレーラ上であってアスファルト再生装置の後部にアスファルト原料供給装置を設置した状態で、該トレーラを例えばトラック等の後部に連結したままで原料供給を可能とできる。さらに、首振り支持機構や前後動支持固定装置を介して、例えば、原料搬送コンベアの一端(原料供給側)をトラックの荷台に乗せ掛けるように該コンベアの傾斜角度や前後位置を容易に調整して迅速な原料供給を可能としつつ、牽引走行時にはトラック等の牽引車の邪魔にならないように該コンベアを収納できる。
【0009】
また、首振り支持機構は、原料搬送コンベアを上面に載置させ、支持枠装置の支持枠本体に前部側を横軸回り回転自在に支持され後部側を揺動自在として任意の揺動高さ位置を調整可能に設定して固定させる揺動受枠を含む構成であるから、原料搬送コンベアの排出端側を揺動受枠の前方に向けて揺動受枠上面に載置すれば、原料搬送コンベアの排出端側を首振り移動可能に支持しつつ、排出側と反対端側である供給元の高さ位置を自在に調整できる機構を実現できる。したがって、原料搬送コンベアの排出端側を首振り状に上下方向(肯き方向)に動かしつつ、アスファルトの原料が積載されている例えばトラックの荷台から、アスファルト再生装置の原料投入口へと該原料が搬送されるように該コンベアの傾斜を容易に調整することができる。
【0010】
また、揺動受枠の後部側の揺動高さ位置を段階的に設定して手動切り替え可能としたピン・孔係止手段が設けられている構成であるから、原料搬送コンベアを揺動受枠上に載置すれば、該コンベアの傾斜を所要の傾斜とする揺動高さ位置になったところでピン・孔係止手段を介して簡単な操作で揺動受枠を係止し、作業者による原料投入作業に適した高さを自在に設定できる。
【0011】
また、揺動受枠上に載置される原料搬送コンベア全体が常時略水平状態を保持するように気体圧縮力を介した緩やかな付勢力で揺動受枠の後部側を付勢する気体圧縮付勢装置が設けられている構成であるから、原料搬送コンベアを揺動受枠上に載置すれば、揺動受枠の後部側を人が支持していなくても該コンベア全体が常時略水平状態を保持できるとともに、必要に応じて揺動受枠の後部側を下方に押し下げるという簡単な操作で所要の揺動高さ位置になるように調整できる。したがって、例えば、一人作業であっても該コンベアを所要の傾斜となるように調整できるので、アスファルト原料供給作業の工数低減を実効化できる。
【0012】
また、前後動支持固定機構は、揺動受枠に設けられた直線横移動ガイド部材と、コンベアの機枠に取り付けられガイド部材に直線横移動案内されて摺動自在に係合する転動部材と、コンベア機枠と揺動受枠との係合位置で連結固定させる固定手段と、を備えている構成であるから、コンベアの機枠に取り付けられた転動部材がガイド部材に沿って自在に摺動するので、該コンベア自体も該ガイド部材に沿って自在にその前後位置を変えることができるとともに、該コンベアが所要の前後位置になったところで固定手段を介して該コンベアと揺動受枠とを連結固定できる。したがって、例えば、原料搬送コンベアの一端(原料供給側)をトラックの荷台に乗せ掛けるように該コンベアの前後位置を容易に調整して迅速な原料供給を可能としつつ、牽引走行時にはトラック等の牽引車の邪魔にならないように該コンベアを収納可能な機構を実効化できる。
【0013】
また、コンベア機枠には、該コンベア機枠の揺動受枠に対する後退位置を規定するストッパ部材が取り付けられている構成であるから、例えば、原料の供給作業中やアスファルト原料供給装置の移送中等に上述した固定手段が破損しても該ストッパ部材が揺動受枠の上端側部に当接してその下降ないしは後方への移動を規制するので、コンベアが直線横移動ガイド部材から飛び出ることはなく作業中や移送中の安全性を高めることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明のアスファルト原料供給装置は、支持枠装置と、原料搬送コンベアを備え、原料搬送コンベアの傾斜角度や支持枠装置に対する前後位置を容易に調整させつつ、アスファルト再生装置に迅速な原料供給を可能ならしめるアスファルト原料供給装置である。
【0015】
以下本発明のアスファルト原料供給装置の実施形態について、図1ないし図7に基づいて具体的に説明する。図1、2において、車106は、アスファルト再生装置12並びにアスファルト原料供給装置10を一緒に載置させるとともにこれらを移動させるための台車であり、これらの装置(12、10)を載置させる程度の大きさの長方形状平台108と、その両側に例えばタイヤ等の複数の転動体を備えて形成される。すなわち、車106は公知のトレーラ等で形成することができる。そして、図1、2に示すように、該平台108上の長手方向の一端側にアスファルト再生装置12を載置させ、他端側を例えばアスファルト原料を積載したトラック等の荷台46と連結され、該トラックで牽引方向yに牽引走行される。また、アスファルト原料供給装置10は、図1に示すように、該再生装置12と該トラック(46)の中間位置に配置され、道路補修現場等において例えば該トラックの荷台46上でスコップ等によりアスファルト原料を該コンベア16に移載させる作業が行われる。本実施形態において、アスファルト原料供給装置10は、支持枠装置14と、原料搬送コンベア16と、首振り支持機構18と、前後動支持固定機構20と、を含む。
【0016】
本実施形態において、支持枠装置14は、首振り支持機構18を形成する揺動受枠22(後述)を枢支して接地支持する支持体であり、支持枠本体44と、軸支部50と、揺動規制部52と、を含む。本実施形態において、支持枠本体44は、図2、3、5に示すように、例えば4本の中空柱部材56を用い、全体として四角柱状の枠体で形成される。具体的には、該中空柱部材56は、アスファルト再生装置12の高さと略同じ長さと、両手で把持できる程度の大きさの正四角形で中空断面を有する鋼管部材で形成される。そして、図3、5に示すように、該再生装置12の幅と略同じ辺を有する平面視で四角形の各コーナにおいて、それぞれ地面から垂直上方に立設させて形成される。なお、本実施形態において、支持枠本体44は、図3、7に示すように、中空角柱部材の下端部どうしを横架する横架部材54で連結して支持枠本体44の強度向上を図っている。本実施形態において、中空柱部材は中空角筒部材で形成されるが、例えば、断面L字状のアングル部材で形成されてもよいしし、内密の角柱部材で形成されていてもよい。また、鋼製に限らず、ステンレス製、合成樹脂製で形成されていてもよい。
【0017】
次に、本実施形態において、軸支部50は、揺動受枠22(後述)の前部側を軸支する部位であり、軸支部材58を含む。具体的には、軸支部材58は、図3、5に示すように、上述した支持枠本体44の幅よりやや長く、片手で把持できる程度の大きさの円形断面を有する丸棒鋼部材で形成される。そして、図5、6に示すように、アスファルト原料の搬送方向xと垂直で地面に平行方向に向けて配置され、上述した支持枠本体の前部48に立設して対向する中空柱部材56a、56aの上端部を貫通固定して設けられている。本実施形態において、軸支部材58は、内密の丸棒部材で形成されるが、中空丸棒部材で形成されていてもよいし、鋼製のみならずステンレス製、合成樹脂製で形成されていてもよい。
【0018】
次に、本実施形態において、揺動規制部52は、揺動受枠22に原料搬送コンベア16を載置した状態で該コンベア16の後部側を揺動させた場合に、例えば該コンベア16の後部が大きく揺動してトラックの荷台等に当たって破損すること等を防止するための揺動規制部位である。具体的には、図3、7に示すように、支持枠本体の後部49に立設した対向する中空柱部材56b、56bの高さ位置中央近傍の所要の位置に鋼製の長板材60を水平横架して固定形成される。したがって、揺動受枠22の後部側下端の所要の部位に該長板材60が当接して揺動受枠22の揺動が規制される。なお、長板材に限らず、丸棒部材を横架して形成されていてもよい。
【0019】
本実施形態において、原料搬送コンベア16は、所要の分量のアスファルト原料をアスファルト再生装置の供給口へと搬送させる搬送機構であり、図2、6、7に示すように、例えば、コンベア機枠30と、駆動部36と、原料搬送用のベルト部材104とを含む、公知の横長状のベルトコンベアで形成することができる。したがって、例えばトラックの荷台46のアスファルト原料をスコップ等で該コンベア16のベルト上104に移載させるだけで、図1に示すように、該再生装置の供給口42へと容易に原料を自動的に供給できる。
【0020】
本実施形態において、首振り支持機構18は、図4に示すように、原料搬送コンベアの排出端側64を首振り移動可能に支持する揺動支持手段であり、揺動受枠22と、ピン・孔係止手段24と、気体圧縮付勢装置26と、を含む。本実施形態において、揺動受枠22は、上述した支持枠本体44にその前部側を横軸(50)周り回転自在に支持されつつ、原料搬送コンベア16を上面に載置させる枠体であり、外枠68を含み、長方形状の枠体で形成される。具体的には、外枠68は、図3、5に示すように、例えば、支持枠本体44の前後長の略1.5倍程度の長さで、上述した中空柱部材56の幅と略同じ幅でL字状断面を有する2本の長アングル部材72aを、原料搬送方向xと平行にした状態で、支持枠本体44の横幅よりやや短い間隔を空けて対向させて配置し、同じ断面形状を有する2本の短アングル部材72bで、長アングル部材72aの前後をそれぞれ連結し長方形状に形成される。その際、これらのアングル部材のL字状断面の縦辺が揺動受枠22の側面となり、L字状断面の横辺が揺動受枠22の上面となるように向けて連結される。そして、揺動受枠22の前部側40、具体的には、図5に示すように、該長アングル部材72aの前端部側面近傍を、上述した軸支部材58に貫通されて設けられている。したがって、揺動受枠22は、その前部側40を支持枠本体44に横軸周り回転自在に支持され、図4、5、7に示すように、支持枠本体44の対向する中空柱部材56a、56aの間に挟まれるようにして揺動受枠22の後部側を上下方向に自在に揺動できる。すなわち、原料搬出コンベアの排出端側40を揺動受枠22の前部側40に向けて該揺動受枠22に載置させれば、該コンベアの排出端側64を肯き方向に首振り移動可能に支持できる。なお、本実施形態において、揺動受枠22は、図5に示すように、揺動受枠22の強度の補強のため、ならびに後述するガイド部材28を揺動受枠22に設ける部位として、上述した短アングル鋼材と同じ形状・寸法を有する例えば2本の短アングル部材を、該長アングル部材72aの間に横架して設け、内枠70を形成している。本実施形態において、揺動受枠22はL字状アングル部材で形成されるが、例えば、中空角筒部材で形成されていてもよい。また、アングル部材は鋼製で形成されるが、ステンレス製、アルミ製ないしは合成樹脂製で形成されてもよい。また、揺動受枠の前後長さも、例えば原料搬送コンベアの長さ等の必要に応じた所要の長さとすることもできる。
【0021】
本実施形態において、ピン・孔係止手段24は、揺動受枠22の後部側の揺動高さ位置を段階的に設定するための揺動高さ位置設定機構であり、A係合孔76と、複数のB係合孔78と、Aピン部材74と、を含む。本実施形態において、Aピン部材74は、後述するA係合孔76ならびにB係合孔78に係合して揺動受枠22の揺動を規制する規制部材であり、図3、7に示すように、例えば、上述したL字状アングル部材72の幅の略1/3程度の直径と、上述した中空柱部材56の幅よりある程度長い長さを有する丸棒部材に、取り扱い用の把持部材80を設けて形成される。そして、図7に示すように、支持枠本体44の後部49側に立設した左右の中空柱部材56b、56bの上端側で、後述するA係合孔76ならびにB係合孔78に係合して設けられる。次に、A係合孔76は、揺動受枠22の後部側の側面であって、その後部側を揺動させた際に支持枠本体44の後部側の中空柱部材56bと交差する側面位置に、やや横長の楕円状の貫通孔を設けて形成される。次に、B係合孔78は、支持枠本体44の後部側の中空柱部材56bを、揺動受枠22を軸支する軸支部材58の長手方向に平行に貫通する孔であって、該後部の中空柱部材56bの揺動規制部52より上側に、縦方向に所要の間隔を設けて複数個設けられて形成される。したがって、揺動受枠22の後部側を揺動させ、A係合孔76ならびに該A係合孔76と高さ位置が合うB係合孔78に、Aピン部材74を貫通させることで、その高さ位置を段階的に設定して手動切り替えが可能となる。また、Aピン部材は、本実施形態の形状に限らず例えば角棒部材で形成されていてもよいし、B係合孔の個数や間隔も必要に応じた個数や間隔で形成してもよい。
【0022】
本実施形態において、気体圧縮付勢装置26は、揺動受枠22の後部側を付勢しつつ支持する付勢支持手段であり、揺動受枠22の左右側面それぞれに取り付けられた気体圧縮付勢体82を含む。具体的には、気体圧縮付勢体82は、例えば、車のトランク等に用いられる公知のガスダンパ84を用いることができる。そして、該ガスダンパ84は、図3、4、7に示すように、その上端を揺動受枠22の後部側面であって上述したA係合孔76より後部側の所要の位置に、取り付け部材86aを介して枢支され、その下端を、支持枠本体44の後部側の中空柱部材56bの下端近傍の所要の位置に、取り付け部材86bを介して枢支されて設けられる。したがって、揺動受枠22上に載置される原料搬送コンベア16全体が常時略水平状態を保持するように気体圧縮力を介した緩やかな付勢力でその後部側を付勢支持する。そのため、揺動受枠の後部側を常時人が支持していなくても該コンベア16全体が常時略水平状態を保持できるとともに、必要に応じて揺動受枠の後部側を下方に押し下げるという簡単な操作で所要の揺動高さ位置になるように調整できる。また、本実施形態の気体圧縮による付勢のみならず、例えば、油圧付勢、バネ等の弾性体による付勢であってもよい。
【0023】
本実施形態において、前後動支持固定機構20は、原料搬送コンベア16を支持枠装置14に対して相対的に前後動可能に支持固定する機構であり、直線横移動ガイド部材28と、転動部材32と、固定手段34と、を含む。本実施形態において、転動部材32は、原料搬送コンベア16に取り付けられ、後述する直線横移動ガイド部材28と係合しつつ該ガイド部材28に案内されて該コンベア16をその長手方向に直線横移動させるための部材である。具体的には、転動部材32は、例えば6cmないし8cm程度の直径で、3cmないし5cm程度の厚みを有する公知のベアリング部材92で形成され、図2、3、7に示すように、該コンベア16の両側面下端に所要の個数取り付けられている。より詳しくは、図7に示すように、該コンベアの機枠30の長さ方向と垂直方向に向けて配置され、該コンベアの機枠30の底部に所要の間隔を空けて溶接等で固定して所要の本数取り付けられた、コンベア機枠30の幅よりある程度長い丸棒部材からなる軸部材90の両端に、該転動部材32を嵌合させて取り付けている。したがって、該ベアリング部材92を介して該コンベア16を摺動自在に移動させることができる。転動部材は、本実施形態のベアリング部材に限らず、例えば、丸棒部材の両端に車輪を固定して設け、コンベア機枠に備えられたベアリング部材に該丸棒部材が軸支されて車輪が転動するようにしていてもよい。
【0024】
本実施形態において、直線横移動ガイド部材28は、上述した転動部材32と係合して該転動部材32の直線横移動を案内する案内部材である。具体的には、ガイド部材28は、図7に示すように、例えば、該転動部材32を格納できる程度の大きさのC字状の断面形状と、揺動受枠22の前後長と同じ長さを有する2本のチャネル部材88で形成される。そして、図7に示すように、該チャネル部材88は、上述した断面C字の切り欠いた側を対向させた状態で、その長手方向を揺動受枠22の前後方向と同じ方向に向け、上述した軸部材90の長さと略同じ程度の間隔を空けて揺動受枠22の上面に配置される。なお、本実施形態においてチャネル部材88は、別の固定用アングル部材94に格納状に固定されて揺動受枠22の上面に固定されている。具体的には、固定用アングル部材94は、図3、5、7に示すように、該チャネル部材88の略2倍の高さと略4倍程度の横幅を有するユ字状の断面形状で、該チャネル部材88と同じ長さのアングル部材で形成され、図5、7に示すように、揺動受枠22の上面の所要位置に、例えばボルト・ナットを介して固定されている。そして、図7に示すように、該固定用アングル部材94の断面ユ字状の内側下端部に上述したチャネル部材88を、例えば溶接で固定して設けている。したがって、原料搬送コンベア16は、固定用アングル部材94に固定された直線横移動ガイド部材28に案内され、摺動自在に移動する。本実施形態において、直線横移動ガイド部材28は鋼製で形成されるが、ステンレス製あるいはアルミニウム製であってもよいし、C字状断面に限らずコ字状断面であってもよい。また、固定用アングル部材もユ字状断面に限らずH字状の断面であってもよい。
【0025】
本実施形態において、固定手段34は、原料搬送コンベア16の揺動受枠22上での前後動を規制する手段であり、Bピン部材96と、係止片98と、C係合孔100と、を含む。本実施形態において、係止片98は、図6、7に示すように、例えば手の大きさ程度の長方形薄板材に貫通孔を設けて形成される。そして、その板面を地面に平行にした状態で、コンベア機枠30の長さ方向中央近傍の左右両側面であって、上述した固定用アングル部材94の上端よりやや高い高さ位置となる位置に、例えば溶接でそれぞれ固定されて設けられている。次に、C係合孔100は、図5ないし図7に示すように、上述した固定用アングル部材94の断面ユ字状の上側の横板材102を貫通する孔であり、該横板材102の長手方向に所要の間隔を空けて所要の個数設けられている。次に、Bピン部材96は、係止片98ならびに該横板材102を貫通できる程度の長さの丸棒部材で形成される。したがって、上述した転動部材32を介して、原料搬送コンベア16を揺動受枠22上で前後に摺動させつつ、係止片98を該横板材102に設けられた所要の位置のC係合孔100に位置合せし、Bピン部材96を差し込めば、Bピン部材96と係止片98とが当接して該コンベア機枠30と揺動受枠22との係合位置で該コンベア16と揺動受枠22とを連結固定できる。本実施形態において、係止片98は、長方形薄板材に貫通孔を設けて形成されているが、リング部材をコンベア機枠に固定して形成してもよい。
【0026】
本実施形態において、ストッパ部材38は、コンベア機枠30の揺動受枠22に対する後退位置を規定する規制部材である。具体的には、ストッパ部材38は、図1、2に示すように、例えば、上述した固定用アングル部材94の断面高さと略同じ高さの直角三角形状の板材で形成され、その板面を対向させた状態で、コンベア機枠30の排出側64近傍の左右下端にそれぞれ下方向けて突出させて固設されている。したがって、例えば、上述した固定手段34が外れた状態で揺動受枠22の後部側が下方に揺動し、該コンベア16が滑降しても、該ストッパ部材38と揺動受枠22の全端側面とが当接して該コンベア16の滑降が規制される。なお、ストッパ部材は本実施形態における三角形状板材に限らず、所要の長さの棒部材で形成されてもよい。
【0027】
次に、本実施形態によるアスファルト原料供給装置10の作用について図1ないし図7に基づいて説明する。まず、アスファルト再生装置12ならびにアスファルト原料供給装置を、例えばトラック(46)等で牽引して道路等の補修現場まで移動させる。その際、図1、2に示すように、アスファルト原料供給装置10は、該再生装置12と該トラック(46)との中間位置に配置された状態で、該再生装置12と一緒に、例えばトレーラ等の車106上に載置されているので、これらの装置(10、12)を一緒に牽引できるとともに、別途にコンベアを調達して例えばトラックの荷台とアスファルト再生装置12の原料供給口42との間に横架させる等の作業も不要となり、現場に到着すれば直ちにアスファルト原料の供給を開始可能となる。また牽引走行の際、例えば、原料供給コンベア16の後端部に位置する駆動部36がトラックの荷台46に接触して走行の妨げにならないため、図2に示すように、首振り支持機構18を介して容易に該コンベア16を水平状態とし、ピン・孔係止手段で揺動を固定させることができる。さらに、該コンベア16の後部側が支持枠本体14から大きく出っ張って安全上の問題を引き起こさないように、図2に示すように、前後動支持固定機能20を介して該コンベア16をある程度前方に押し込んだ状態で容易に収納固定できる。
【0028】
次に、補修現場においては、図1、4に示すように、原料搬送コンベアの排出端側64を該再生装置12の供給口42程度の高さ位置とし、逆の供給端側66を、アスファルト原料を該コンベア16に載せる作業をしやすくするために、例えば、トラックの荷台46に乗せ掛けるようにして、該コンベア16を配置させる。その際、該コンベア16は、揺動受枠22上で摺動自在に前後動できるので、例えば供給端側66が、トラックの荷台46に乗せ掛けられそうな見込み前後位置まで該コンベア16を収納位置から手動で容易に引き出すことができ、固定手段34で固定させることができる。次に、ピン・孔係止手段24を外す。その際、該コンベア16は、気体圧縮付勢装置26を介して緩やかな付勢力で常時略水平状態を保持されるので、急に該コンベア16の後部側が下降して怪我しりすることもなく、安全に作業できる。次に、その状態で該コンベア16の後部側を手動で下方に押し下げるという簡単な操作で、例えば、該コンベア16の原料供給側66がトラックの荷台46に乗せ掛ける位置に配置されるかを確認できる。そして、該コンベア16が所要の位置に配置されたところで、図4に示すように、ピン・孔係止手段24を介して手動操作で揺動受枠22の後部側を係止して該コンベア16を固定できる。以上のように、原料搬送用コンベア16の傾斜角度や前後位置の調整を容易に行うことができるので、一端該コンベア16を配置した後であっても、例えばトラックの荷台のアスファルト原料の積載状況等の作業途中の必要に応じて、煩雑性を感ずることなく該コンベア16の再調整を行える。また、コンベア機枠30にはストッパ部材38を設けているので、例えば上述した固定手段34が外れた状態で揺動受枠22の後部側が下方に揺動し、該コンベア16が滑降しても、該ストッパ部材38と揺動受枠22の全端側面とが当接して該コンベア16の滑降が規制されるので、安全性が高まる。また、作業終了後は上述した逆の手順で、該コンベア16を容易に収納固定できる。
【0029】
以上のように、本発明のアスファルト原料供給装置によれば、アスファルト再生車をトラック等に連結したままの状態でも、そのトラックの荷台等に積載されたアスファルト原料をアスファルト再生装置に容易かつ安全に供給できるアスファルト原料供給装置を提供できる。
【0030】
以上説明した本発明のアスファルト原料供給装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のアスファルト原料供給装置は、道路の補修現場のみならず一般の道路建設現場に至るまで、広範囲にわたって利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係るアスファルト原料供給装置の原料供給状況を説明する側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るアスファルト原料供給装置の牽引状況を説明する側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るアスファルト原料供給装置の側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るアスファルト原料供給装置の揺動受枠を傾斜させた状態を説明する側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るアスファルト原料供給装置の原料搬送コンベアを外した状態の平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るアスファルト原料供給装置の平面図である。
【図7】図6の一部省略A−A線断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 アスファルト原料供給装置
12 アスファルト再生装置
14 支持枠装置
16 原料搬送コンベア
18 首振り支持機構
20 前後動支持固定装置
22 揺動受枠
24 ピン・孔係止手段
26 気体圧縮付勢装置
28 直線横移動ガイド部材
30 コンベア機枠
32 転動部材
34 固定手段ストッパ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載されたアスファルト再生装置に原料を供給するアスファルト原料供給装置であり、
アスファルト再生装置の後方車載位置に設置される支持枠装置と、
支持枠装置に支持されて横長状に設けられ、前方側となる排出端側を再生装置の原料供給口近傍に配置させた原料搬送コンベアと、を有し、
原料搬送コンベアの排出端側を首振り移動可能に支持する首振り支持機構と、
支持枠装置に対して原料搬送コンベアを相対的に前後動可能に支持固定する前後動支持固定装置と、を備えたことを特徴とするアスファルト原料供給装置。
【請求項2】
首振り支持機構は、原料搬送コンベアを上面に載置させ、支持枠装置の支持枠本体に前部側を横軸回り回転自在に支持され後部側を揺動自在として任意の揺動高さ位置を調整可能に設定して固定させる揺動受枠を含むことを特徴とする請求項1記載のアスファルト原料供給装置。
【請求項3】
揺動受枠の後部側の揺動高さ位置を段階的に設定して手動切り替え可能としたピン・孔係止手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載のアスファルト原料供給装置。
【請求項4】
揺動受枠上に載置される原料搬送コンベア全体が常時略水平状態を保持するように気体圧縮力を介した緩やかな付勢力で揺動受枠の後部側を付勢する気体圧縮付勢装置が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載のアスファルト原料供給装置。
【請求項5】
前後動支持固定機構は、揺動受枠に設けられた直線横移動ガイド部材と、
コンベアの機枠に取り付けられガイド部材に直線横移動案内されて摺動自在に係合する転動部材と、コンベア機枠と揺動受枠との係合位置で連結固定させる固定手段と、を備えていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のアスファルト原料供給装置。
【請求項6】
コンベア機枠には、該コンベア機枠の揺動受枠に対する後退位置を規定するストッパ部材が取り付けられていることを特徴とする請求項5記載のアスファルト原料供給装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−113183(P2007−113183A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302528(P2005−302528)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(301060831)株式会社九建 (3)
【Fターム(参考)】