説明

アルカリ可溶型感光性着色組成物、及びカラーフィルター

【課題】微細な顔料を用いた場合や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れるとともに、カラーフィルター用基板上にダイコート法により塗布しカラーフィルターの着色層を形成する際に、ダイリップ先端における乾燥凝集塊が発生することを少なくすることができるアルカリ可溶型感光性着色組成物、及び該アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いたカラーフィルターを提供する。
【解決手段】少なくとも顔料、顔料分散剤、硬化性バインダー系、溶剤及び特定の構造を有する化合物を含有することを特徴とするアルカリ可溶型感光性着色組成物、及び該アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いたカラーフィルター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散安定性に優れ、顔料濃度が高い場合であっても、ダイリップ先端における乾燥凝集塊の発生が少ないアルカリ可溶型感光性着色組成物、及び該アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成した着色層を有するカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。顔料分散法では、例えば、顔料を含有する着色層用硬化性樹脂組成物を透明基板上に設け、所望のパターン形状に露光した後現像して、各色の着色層をパターン状に形成する。
【0003】
また近年、更なるカラーフィルターの高精細化、高輝度化、及び高コントラスト化が求められており、これに対してより微細な顔料の使用が検討されている。しかしながら、より微細な顔料は不安定であるため、分散安定性が得られ難いという問題が生じている。この問題を解決するために、極性を高くした顔料分散剤(高極性分散剤)の使用(例えば、特許文献1)が提案されている。しかしながらこの場合、該顔料分散剤の極性が高いことにより使用可能な溶剤の制約を受け、該溶剤の使用範囲が限定される。
【0004】
また、顔料分散法のパターニング方式としては、フォトリソグラフィー法が挙げられる。該フォトリソグラフィー法に用いられる着色層用硬化性樹脂組成物のカラーフィルター用基板への塗布方法としては、着色層用硬化性樹脂組成物が均一な膜厚となるように塗布することが容易であるといった利点から、従来、スピンコート法が用いられてきたが、近年のカラーフィルターの大型化に伴い、カラーフィルター用基板を安定的に回転させること等が困難となるといった問題が生じてきた。
【0005】
そこで、着色層用硬化性樹脂組成物のカラーフィルター用基板への塗布方法として、ダイコート法による塗布が検討されている。
しかしながら、カラーフィルター用基板は、各カラーフィルター用基板が塗布可能な単位面積で分割されたシート状であるため、ダイコート法により着色層用硬化性樹脂組成物を塗布する場合には、各カラーフィルター用基板の入れ替えの際に、ダイからの着色層用硬化性樹脂組成物の吐出が停止することになる。すなわち、ダイリップの先端は、着色層用硬化性樹脂組成物の吐出時には湿潤し、着色層用硬化性樹脂組成物の吐出停止時には乾燥することを繰り返すことになる。特に、顔料が高濃度化された着色層用硬化性樹脂組成物を用いた場合、該着色層用硬化性樹脂組成物がダイリップ先端で乾燥すると、顔料濃度が急激に増加するため、顔料の凝集塊が発生することがある。これらの凝集塊は、ダイリップ先端に付着し、再度、着色層用硬化性樹脂組成物を吐出した際に、リップ先端から剥離してカラーフィルター用基板上に移動し、異物欠陥となるといった問題があった。また、このような異物欠陥が頻発するとカラーフィルターの歩留まりが低下するという問題があった。
【0006】
また、ダイコート法によって上述した高極性分散剤を含む着色層用硬化性樹脂組成物を塗布する場合、溶剤に対する溶解性が低下するため、ダイリップ先端において顔料の凝集塊が発生しやすくなるという課題があった。
ダイリップ先端における凝集塊の発生を抑制する方法として、着色層用硬化性樹脂組成物に高沸点溶剤を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3)。しかしながら、カラーフィルターの高精細化、高輝度化、及び高コントラスト化に対応するために、顔料の微細化、及び高濃度化を図ると、上記高沸点溶剤の添加では十分な効果が得られない。また、高沸点溶剤の添加により、塗布後の乾燥工程時間が長くなるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−182787号公報
【特許文献2】特開2004−346218号公報
【特許文献3】特開2005−234045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、微細な顔料を用いた場合や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れるとともに、カラーフィルター用基板上にダイコート法により塗布しカラーフィルターの着色層を形成する際に、ダイリップ先端に乾燥凝集塊が発生しにくいアルカリ可溶型感光性着色組成物、及び該アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いたカラーフィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構造を有する化合物を用いることにより、上記課題が解決されるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物は、少なくとも顔料、顔料分散剤、硬化性バインダー系、溶剤及び下記化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する化合物を含有することを特徴とする。
【0010】
【化1】

【0011】
(化学式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。また、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、及びアントラセン基は置換基を有していてもよい。)
【0012】
本発明によれば、アルカリ可溶型感光性着色組成物中に上記特定の構造を有する化合物を含有させることにより、微細な顔料を用いた場合や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れ、カラーフィルター用基板上にダイコート法により塗布しカラーフィルターの着色層を形成する際に、ダイリップ先端に乾燥凝集塊が発生しにくいアルカリ可溶型感光性着色組成物を提供することができる。
【0013】
本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物においては、前記化合物が、下記化学式(2)で表わされる化合物であることが、顔料分散安定性を向上させる点から好ましい。
また、本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物は、前記化学式(2)の構造を有する化合物を含むことにより、顔料分散安定性に優れるとともに、カラーフィルター用基板上にダイコート法により塗布しカラーフィルターの着色層を形成する際に、ダイリップ先端における乾燥凝集塊の発生を少なくすることができる。
【0014】
【化2】

【0015】
(化学式(2)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。R及びRにおいて、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びアントラセン基は置換基を有していてもよい。)
【0016】
本発明に係るカラーフィルターは、前記本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする。
本発明によれば、着色層が上記アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成されたものであるため、該アルカリ可溶型感光性着色組成物がダイコート法によって塗布されたものである場合であっても、乾燥凝集塊による異物欠陥の少ないカラーフィルターが得られる。
また、前記アルカリ可溶型感光性着色組成物は顔料濃度を高くしたり、微細顔料を用いることができるため、このようなアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成された着色層を有することにより、色再現性の高いものや、高精細、高輝度、高コントラストなカラーフィルターとすることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物は、特定の構造を有する化合物を含有することにより、微細な顔料を用いた場合や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性を優れたものとすることができる。
また、本発明のアルカリ可溶型感光性着色組成物は、上記特定の構造を有する化合物を含有することにより、顔料分散安定性に優れるとともに、カラーフィルター用基板上にダイコート法により塗布しカラーフィルターの着色層を形成する際に、ダイリップ先端における乾燥凝集塊の発生を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のカラーフィルターの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のアルカリ可溶型感光性着色組成物、及び、カラーフィルターについて順に説明する。
なお、溶剤再溶解性とは、一旦乾燥物となった後の溶剤への溶解性のことであり、例えば、溶剤再溶解性が低いとは、一旦乾燥物となると、再度、溶剤へ溶解しにくい状態のことをいう。
【0020】
I.アルカリ可溶型感光性着色組成物
本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物は、少なくとも顔料、顔料分散剤、硬化性バインダー系、溶剤及び下記化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する化合物を含有することを特徴とし、更に必要に応じて他の成分を含有していてもよい。
【0021】
【化3】

【0022】
(化学式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。また、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、及びアントラセン基は置換基を有していてもよい。)
【0023】
本発明によれば、アルカリ可溶型感光性着色組成物中に上記特定の構造を有する化合物を含有させることにより、微細な顔料を用いた場合や顔料濃度が高い場合においても顔料分散安定性に優れ、カラーフィルター用基板上にダイコート法により塗布しカラーフィルターの着色層を形成する際に、ダイリップ先端における乾燥凝集塊の発生を少なくすることができる。
【0024】
以下、このような本発明のアルカリ可溶型感光性着色組成物に用いられる各成分を説明する。
<化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する化合物>
本発明のアルカリ可溶型感光性着色組成物は、下記化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する化合物(以下、特定の構造を有する化合物ともいう。)を含有する。
【0025】
【化4】

【0026】
(化学式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。また、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、及びアントラセン基は置換基を有していてもよい。)
【0027】
上記化学式(1)において、Rは炭素数1〜20、好ましくは1〜15のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。
上記炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基等が挙げられる。中でも、メチル基、n−ブチル基が好ましい。
上記炭素数1〜20のアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、水酸基等を挙げることができる。
【0028】
また、上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、上記アルキル基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0029】
また、上記フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びアントラセン基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基等を挙げることができる。
【0030】
本発明において、上記特定の構造を有する化合物としては、通常、低分子化合物を用いる。ここで、低分子化合物とは、重合体ではない化合物のことをいう。
【0031】
上記特定の構造を有する化合物は、上記化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有すれば特に限定されない。例えば、上記化学式(1)で表わされる基を1つ有する下記化学式(2)で表わされる化合物や、上記化学式(1)で表わされる基を2つ有する下記化学式(3)及び化学式(4)で表わされる化合物等が挙げられる。
【0032】
【化5】

【0033】
(化学式(2)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。R及びRにおいて、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びアントラセン基は置換基を有していてもよい。)
【0034】
【化6】

(化学式(3)中、Rは化学式(1)と同じである。また、1分子中に含まれるRは互いに同じでも異なっていてもよい。Rは直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜8のアルキレン基である。)
【0035】
【化7】

【0036】
(化学式(4)中、Rは化学式(1)と同じである。また、1分子中に含まれるRは互いに同じでも異なっていてもよい。)
【0037】
中でも、硬化性の観点から、上記特定の構造を有する化合物は、上記化学式(2)で表わされる化合物であることが好ましい。
上記化学式(2)において、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。
上記炭素数1〜20のアルキル基としては、前記のRで示したとおりである。また、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びアントラセン基が、それぞれ有していてもよい置換基としては、前記のRで示したとおりである。
【0038】
以下に、上記化学式(2)で表わされる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
【化8】

【0040】
また、上記特定の構造を有する化合物の市販品としては、例えば、オルソアミド、トップサイザー1号S、(以上、富士アミドケミカル(株)製)、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、(東京化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0041】
本発明のアルカリ可溶型着色組成物における上記特定の構造を有する化合物の含有量としては、上記アルカリ可溶型着色組成物の固形分全量に対して、0.5〜15重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも1〜10重量%の範囲内であることが顔料の分散安定性及び溶剤再溶解性の点から好ましい。また、本発明において固形分とは、溶剤を除く全ての成分が含まれ、液状の化合物等も固形分に含まれる。
【0042】
<顔料>
本発明に用いられる顔料としては、公知の顔料を用いることができる。本発明において使用可能な有機顔料の具体例を下記表1および表2に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
また、用いることができる無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、ベンガラ、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
なお、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
また、本発明に用いられる顔料の分散平均粒径としては、アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いてカラーフィルターの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、通常、0.01μm〜0.30μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.01μm〜0.10μmの範囲内であることが好ましい。本発明の顔料分散剤を用いたアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いてカラーフィルターの着色層を形成した場合に、輝度、コントラストに優れた着色層とすることができるからである。なお、上記顔料の分散平均粒径は、光散乱方式の粒度分布測定装置により測定することができる。
【0047】
また、顔料の含有量としては、上記アルカリ可溶型着色組成物を用いてカラーフィルターの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、用いる顔料の種類によっても異なるが、上記アルカリ可溶型着色組成物の固形分全量に対して、1〜70重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも10〜60重量%の範囲内であることが好ましい。上記顔料の含有量が、上記範囲より多いと、本発明のアルカリ可溶型着色組成物を用いてカラーフィルターの着色層を形成した場合に、現像性が低下する可能性がある。また、上記範囲より少ないと、本発明のアルカリ可溶型着色組成物を用いてカラーフィルターの着色層を形成した場合に、着色層を発色が十分なものとすることができない可能性がある。
【0048】
<顔料分散剤>
本発明に用いられる顔料分散剤としては、上記顔料を均一に分散することができるものであれば良く、公知の顔料分散剤を使用することができる。具体的には、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤、リン酸エステル、アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤や顔料誘導体を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、高分子分散剤が好ましく、具体的な商品名としては、Ciba EFKA−100、Ciba EFKA−400、Ciba EFKA−401、Ciba EFKA−4300、Ciba EFKA−4330、Ciba EFKA−4340、Ciba EFKA−4046、Ciba EFKA−4047(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Disperbyk111、Disperbyk161、Disperbyk165、Disperbyk167、Disperbyk182、Disperbyk2000、Disperbyk2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、SOLSPERSE24000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000(以上、ルーブリゾール社製)、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB827、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ(株)製)等を挙げることができる。
中でも、硬化性バインダーとの相溶性に優れる点から、(メタ)アクリル系高分子分散剤が好適に用いることができるが、本発明は特に顔料分散剤について限定されるものではない。
【0049】
顔料分散剤の含有量は、アルカリ可溶型着色組成物の固形分全量に対して、0.1〜30重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも1〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、アルカリ可溶型着色組成物の固形分全量に対して、0.1重量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがある。一方、上記含有量が、アルカリ可溶型着色組成物の固形分全量に対して、30重量%を超える場合には、現像性の低下を招く恐れがある。
【0050】
<硬化性バインダー系>
本発明においては、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又は転写などによりパターンを形成後、該塗膜を重合反応により硬化させることができる、硬化性バインダー系を用いる。このような硬化性バインダー系としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させたり、溶解性を変化させることができる感光性のバインダー系が挙げられる。
【0051】
(感光性バインダー系)
感光性バインダー系には、紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含み、露光部を硬化させて未露光部を溶解除去することにより露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるネガ型の感光性バインダー系が挙げられる。
本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物においては、前記硬化性バインダー系が、ネガ型感光性バインダー系であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
【0052】
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むネガ型感光性バインダー系は、(i)アルカリ可溶性樹脂、(ii)多官能性モノマー、(iii)光重合開始剤、及び増感剤等を配合して構成される。
【0053】
(i)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂はカルボキシル基等の酸性官能基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、例えば、カルボキシル基等の酸性官能基を有するアルカリ可溶性アクリル系樹脂を挙げることができる。カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の共重合体が好ましく、さらに分子内にエポキシ基とエチレン性不飽和基とを併せ持つ化合物、例えばグリシジル(メタ)アクリレートなどを付加させ、側鎖にエチレン性不飽和基を導入したものが好ましい。
【0054】
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。なお、カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
【0055】
エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)エチルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等、および、これらのマクロモノマー類;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド等のN置換マレイミド類等を挙げることができる。なお、エチレン性不飽和単量体は、単独もしくは数種類を組み合わせることができる。
【0056】
(ii)多官能性モノマー
本発明における多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
【0057】
これらの多官能性モノマーのうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのこはく酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。前記多官能性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
本発明に用いられる多官能性モノマーの含有量としては、所望の硬度の着色層とすることができるものであればよく、アルカリ可溶型感光性着色組成物の固形分中に、5重量%以上であることが好ましく、中でも9重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があるからである。また、上記範囲より多いと、未露光部分でも現像できなくなる可能性があるからである。
【0059】
(iii)光重合開始剤、及び増感剤
ネガ型感光性バインダー系には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合等)や、各材料の種類を考慮して適宜選択され、特に限定されない。
【0060】
光重合開始剤としては、例えば、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物などが挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0061】
また、本発明においては、必要に応じて、前記光重合開始剤と共に、増感剤および硬化促進剤の群から選ばれる1種以上をさらに併用することもできる。前記増感剤の具体例としては、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。また、前記硬化促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール等の連鎖移動剤を挙げることができる。
【0062】
また、硬化性バインダー系は、これらの合計が、上記アルカリ可溶型感光性着色組成物の固形分全量に対して、20〜70重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも30〜60重量%の範囲内であることが硬化性及び現像性の点から好ましい。
【0063】
<溶剤>
本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物には、顔料を分散させるために溶剤が含まれる。
本発明に用いられる溶剤としては、本発明に用いられる各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは均一に分散可能な溶剤であればよい。具体的には、シクロヘキシルアセテート;メトキシブチルアセテート(MBA);エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等の他のエーテル類;シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;γ−ブチロラクトン、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等を挙げることができる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0064】
溶剤の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶剤を含む上記アルカリ可溶型感光性着色組成物の全量に対して、通常、60〜95重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも70〜90重量%の範囲内であることが好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0065】
<その他の成分>
本発明のアルカリ可溶型感光性着色組成物には、必要に応じて、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、重合停止剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、シランカップリング剤等の添加剤を挙げることができる。
【0066】
<アルカリ可溶型感光性着色組成物の製造方法>
本発明におけるアルカリ可溶型感光性着色組成物の製造方法は、少なくとも顔料、顔料分散剤、硬化性バインダー系、溶剤及び特定の構造を有する化合物を公知の分散機を用いて分散させることによって調製することができるが、特に限定されない。予め、顔料濃度の高い顔料組成物である顔料分散液を予備調製し、該顔料分散液に、硬化性バインダー系、及びその他の成分を添加して、均一に混合乃至分散させてもよい。或いは、硬化性バインダー系、及びその他の成分を溶剤と混合、分散又は溶解した硬化性成分溶液を調製して、準備した顔料分散液と硬化性成分溶液とを混合し、必要に応じて分散処理を行うことによって、アルカリ可溶型感光性着色組成物を製造してもよい。
上記顔料分散液は、顔料、顔料分散剤、溶剤及び必要に応じて上記特定の構造を有する化合物を溶剤に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製できる。分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜3.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜2.0mmである。
【0067】
II.カラーフィルター
次に、本発明のカラーフィルターについて説明する。本発明のカラーフィルターは、上記アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成された着色層を有するものである。
【0068】
このような本発明のカラーフィルターについて、図を参照して説明する。図1は、本発明のカラーフィルターの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、カラーフィルター10は、透明基板1と、上記透明基板1上にパターン状に形成され、開口部を有する遮光部2と、上記遮光部2の開口部上に形成された着色層3とを有するものである。
ここで、上記着色層は、上記「I.アルカリ可溶型感光性着色組成物」の項に記載のアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成されたものである。
【0069】
本発明によれば、着色層が上記本発明に係るアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成されたものであるため、該アルカリ可溶型感光性着色組成物がダイコート法によって塗布されたものである場合であっても、異物欠陥の少ないカラーフィルターが得られる。
また、前記アルカリ可溶型感光性着色組成物は顔料濃度を高くしたり、微細顔料を用いることができるため、このようなアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成された着色層を有することにより、色再現性の高いものや、高精細、高輝度、高コントラストなカラーフィルターとすることが可能になる。
以下、本発明のカラーフィルターの各構成について説明する。
【0070】
<着色層>
本発明に用いられる着色層は、上記アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成されたものである。
このような本発明に用いられる着色層の配列としては、一般的なカラーフィルターの着色層が有するものとすることができ、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
上記着色層の厚みとしては、通常、1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0071】
本発明に用いられる着色層の形成方法は、透明基板上に、精度よく形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、通常、フォトリソグラフィー法が用いられる。本発明においては、なかでも上記アルカリ可溶型感光性着色組成物を、透明基板上に、ダイコート法によって塗布する塗布工程と、塗布された該アルカリ可溶型感光性着色組成物を乾燥させた後、フォトリソグラフィー法により露光および現像を行う露光・現像工程とにより形成する方法が好ましい。
本発明においては、上述したアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いることにより、該アルカリ可溶型感光性着色組成物をダイコート法により塗布する際に、該アルカリ可溶型感光性着色組成物の乾燥凝集塊をダイリップ先端に発生しにくくすることができる。このため、ダイリップに付着した上記アルカリ可溶型感光性着色組成物の乾燥凝集塊が混入することによる、異物欠陥の発生防止を容易に図ることができる。
なお、上記アルカリ可溶型感光性着色組成物については、上記「I.アルカリ可溶型感光性着色組成物」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0072】
本発明のカラーフィルターは、上記着色層以外に、通常、透明基板と、遮光部とを少なくとも有するものである。このような透明基板および遮光部としては、一般的なカラーフィルターに使用されるものを用いることができる。
【0073】
本発明のカラーフィルターの製造方法としては、上記アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いたフォトリソグラフィー法によって、上記着色層を形成するものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルターの製造方法を用いることができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0076】
(実施例1)
(1)顔料分散液の製造
o−トルエンスルホンアミド(商品名:オルソアミド、富士アミドケミカル(株)製)を3.0重量部、バインダー樹脂(BzMA/MAA/GMA=30/40/30重量%、重量平均分子量12,000、PGMEA溶液、固形分40重量%)を20.0重量部、分散剤(商品名:アジスパーPB822、味の素ファインテクノ(株)製)を5.0重量部、及び溶剤(PGMEA)を154.0重量部についてディゾルバーで攪拌混合して均一溶解させた。この溶液に、顔料(C.I.ピグメントグリーン36)を20.0重量部加え、ビーズミルを用いて分散し、顔料分散液Aを製造した。
ここで、BzMA;ベンジルメタクリレート、MAA;メタクリル酸、GMA;グリシジルメタアクリレート、PGMEA;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0077】
(2)アルカリ可溶型感光性着色組成物の調製
上記で得られた顔料分散液Aを用い、下記に示す組成を、ディゾルバーを使用して均一に混合して、実施例1のアルカリ可溶型感光性着色組成物を調製した。
<アルカリ可溶型感光性着色組成物の組成>
・顔料分散液A:16.0重量部(固形分換算)
・バインダー樹脂(BzMA/MAA/GMA=30/40/30重量%、重量平均分子 12,000、PGMEA溶液、固形分40重量%):7.7重量部
・多官能性モノマー(ジペンタエリストールヘキサアクリレート(DPHA)):3.3重量部
・光重合開始剤(IRGACURE369、チバスペシャリティーケミカルズ社製):1重量部
・光重合開始剤(IRGACURE907、チバスペシャリティーケミカルズ社製):1重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)):60.8重量部
【0078】
(実施例2)
(1)顔料分散液の製造
前記実施例1において、o−トルエンスルホンアミドの代わりにp−トルエンスルホンアミド(商品名:トップサイザー1号S、富士アミドケミカル(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液Bを製造した。
(2)アルカリ可溶型感光性着色組成物の調製
実施例1において、顔料分散液Aの代わりに、顔料分散液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のアルカリ可溶型感光性着色組成物を得た。
【0079】
(実施例3)
(1)顔料分散液の製造
前記実施例1において、o−トルエンスルホンアミドの代わりにN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド(商品名:N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、東京化成工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液Cを製造した。
(2)アルカリ可溶型感光性着色組成物の調製
実施例1において、顔料分散液Aの代わりに、顔料分散液Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3のアルカリ可溶型感光性着色組成物を得た。
【0080】
(実施例4)
(1)顔料分散液の製造
バインダー樹脂(BzMA/MAA/GMA=30/40/30重量%、重量平均分子量12,000、PGMEA溶液、固形分40重量%)を20.0重量部、分散剤(商品名:アジスパーPB822、味の素ファインテクノ(株)製)を5.0重量部、及び溶剤(PGMEA)を154.0重量部についてディゾルバーで攪拌混合して均一溶解させた。この溶液に、顔料(C.I.ピグメントグリーン36)を20.0重量部加え、ビーズミルを用いて分散し、顔料分散液を製造した。該顔料分散液に、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド(商品名:N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、東京化成工業(株)製)を3.0重量部添加し、顔料分散液Dとした。
(2)アルカリ可溶型感光性着色組成物の調製
実施例1において、顔料分散液Aの代わりに、顔料分散液Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4のアルカリ可溶型感光性着色組成物を得た。
【0081】
(比較例1)
(1)顔料分散液の製造
前記実施例1において、o−トルエンスルホンアミドを用いなかった以外は実施例1と同様にして顔料分散液Eを製造した。
(2)アルカリ可溶型感光性着色組成物の調製
実施例1において、顔料分散液Aの代わりに、顔料分散液Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のアルカリ可溶型感光性着色組成物を得た。
【0082】
(比較例2)
(1)顔料分散液の製造
前記実施例1において、o−トルエンスルホンアミドの代わりにp−トルエンスルホン酸メチル(商品名:p−トルエンスルホン酸メチル、東京化成工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして顔料分散液Fを製造した。
(2)アルカリ可溶型感光性着色組成物の調製
実施例1において、顔料分散液Aの代わりに、顔料分散液Fを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2のアルカリ可溶型感光性着色組成物を得た。
【0083】
[評価]
(1)顔料分散液の分散安定性
実施例及び比較例で得られた各顔料分散液について、25℃で7日間保存前後の粘度を測定し、保存前後の粘度の変化率を比較した。粘度については、回転振動型粘度計を用いて、25.0±1.0℃における粘度を測定した。分散安定性について下記基準で評価を行った。結果を表3に示す。
・○:保存前後の粘度の変化率が5%未満。
・△:保存前後の粘度の変化率が5%以上10%未満。
・×:保存前後の粘度の変化率が10%以上。
(2)着色層の形成
アルカリ洗浄済みのガラス基板上に、上記アルカリ可溶型感光性着色組成物をスピンコーティングし、上記アルカリ可溶型感光性着色組成物からなる着色層形成用層を形成した後、室温3分間、80℃のホットプレート上で3分間加熱することによりプリベイクさせ、乾燥させた。
次いで、乾燥後の上記着色層形成用層を、超高圧水銀灯を用いて100mJ/cmでマスク露光し硬化させた。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム(KOH)を現像液として用いてスピン現像し、現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理を行った。その後、パターン形成された基板を230℃のオーブン内で30分間ポストベイクした。ポストベイク後の着色層形成用層からなる着色層の膜厚は、2.0μmであった。
(3)乾燥塗膜の溶剤再溶解性
ダイコート法における異物欠陥発生の有無を評価する代替法として、乾燥塗膜の溶剤再溶解性評価を行った。評価方法としては、ガラス基板上に、上記硬化性樹脂組成物を、塗布し、恒温高湿オーブンを用いて、25℃、湿度55%の条件下で、30分風乾したのち、乾燥塗膜が付着したガラス基板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に10分間浸漬した。このとき、乾燥塗膜の再溶解状態により、下記の3段階で評価した。結果を表3に示す。
・○:浸漬中に乾燥塗膜がすべて溶解する。
・△:10分間浸漬後も、乾燥塗膜の一部が残る。
・×:10分間浸漬後も乾燥塗膜がほとんどもしくは全く溶解しない。
【0084】
【表3】

【0085】
(結果のまとめ)
表3の結果から、以下のことが明らかになった。
化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する化合物を含む顔料分散液(実施例1〜4)は、いずれも保存前後の粘度の変化率が10%未満であり、顔料の分散安定性は良好であった。また、該顔料分散液を含むアルカリ可溶型感光性着色組成物(実施例1〜4)は、該アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成した乾燥塗膜を溶剤に浸漬すると、いずれも全て溶解し、優れた溶剤再溶解性を示した。また、顔料分散液にN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミドを添加しただけでは、顔料の分散安定性は向上しなかった(実施例3及び4参照)。一方、顔料分散液中にN−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミドを均一に分散させた顔料分散液を含むアルカリ可溶型感光性着色組成物(実施例3)と、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミドを添加しただけの顔料分散液を含むアルカリ可溶型感光性着色組成物(実施例4)は、いずれも優れた溶剤再溶解性を示した。
また、化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する化合物を含まない顔料分散液は、保存前後の粘度の変化率が10%未満であり、顔料の分散安定性は良好であったが、該顔料分散液を含むアルカリ可溶型感光性着色組成物は、該アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成した乾燥塗膜を溶剤に10分間浸漬してもほとんど溶解しなかった(比較例1)。また、p−トルエンスルホン酸メチルを含む顔料分散液は、保存前後の粘度の変化率が5%未満であり、顔料の分散安定性は良好であったが、該顔料分散液を含むアルカリ可溶型感光性着色組成物は、該アルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成した乾燥塗膜を溶剤に10分間浸漬してもほとんど溶解しなかった(比較例2)。
【符号の説明】
【0086】
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料、顔料分散剤、硬化性バインダー系、溶剤及び下記化学式(1)で表わされる基を少なくとも1つ有する化合物を含有することを特徴とする、アルカリ可溶型感光性着色組成物。
【化1】

(化学式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。また、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、及びアントラセン基は置換基を有していてもよい。)
【請求項2】
前記化合物が、下記化学式(2)で表わされる化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のアルカリ可溶型感光性着色組成物。
【化2】

(化学式(2)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントラセン基である。R及びRにおいて、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びアントラセン基は置換基を有していてもよい。)
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のアルカリ可溶型感光性着色組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする、カラーフィルター。

【図1】
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