説明

アルコール飲料

【課題】酔っている時には気分がよく、酔い覚めの時間が短時間であって、酔い覚め後の不快感が少なく、二日酔いになりにくいアルコール飲料を提供する。
【解決手段】アルコールを含有するアルコール飲料であって、ビタミンB群のうち少なくとも一種の成分を含有し、1リットル当たりの前記成分の含有量が、厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上30倍以下とする。これによって、このアルコール飲料を飲酒しても、アルコールによって減少されるビタミンB群がアルコール飲料自体から補われるので、ビタミンB群によるアルコール代謝が衰えることがなく、爽快な酔い心地が得られ、更には、飲酒後2時間程度から起こる酔い覚めの不快感も顕著に少なく、二日酔いになり難いことになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール代謝を促進するアルコール飲料に関し、特に、ビタミンB群が体内におけるアルコールの代謝を速めることを利用するビタミンB群を含有するアルコール飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
適度の飲酒は、血液の循環を良くし、気分を高揚させ、ストレスを解消するなど、健康上有益な側面をもっており、昔から酒類は百薬の長とされている。しかし、酔い覚めは、多少なりとも、不快なものである。特に、適量を超えた飲酒は、二日酔いとなり、頭痛に悩まされることもある。また、度重なる過度のアルコール摂取は肝機能障害をおこし、健康を損なう危険もある。一般に良い酒の条件としては、酔い心地が良いことに加え、酔い覚めがスッキリしていることであり、アルコール(エタノール、以下単にアルコールという)の弊害を軽減し、酔い覚めが良く、二日酔いに成り難い酒を開発することが望まれている。
【0003】
酒を飲んで、気分が良いのは、通常2時間程度で、2時間を越えると、次第に体がだるくなり、活動力が衰え、軽い頭痛も感じるようになる。これは、アルコールの代謝によって生じるアセトアルデヒドの体内濃度が上がることが原因と言われている。また、アセトアルデヒドは、体内アルコール濃度が高い程、高濃度で生成される。従って、アルコールの代謝速度を上げ、早く体内のアセトアルデヒドを消失させることが、酔い覚めの不快感を軽減することになる。
【0004】
そこで、アルコール代謝を促進する素材を酒に添加することにより、上記の目的を達する方法として、例えば、アミノ酸の一種でありアルコール代謝を促進する効果のあるグリシンを酒類に添加することにより、二日酔いになりにくい酒類を製造することがなされている。(特許文献1参照)
【0005】
ところで、微量でアルコールの代謝と何らかの関係のあることが指摘されている栄養素として、ビタミンB群がある。このビタミンB群には、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸が挙げられるが、これらのビタミンB群は、糖、アミノ酸などの代謝系の補酵素の前駆体であり、これらが不足すると様々な障害が現れる必須栄養素であって、一日の摂取必要量も定められている。更には、ビタミンB群は水溶性であり体内に蓄積されることがないので、日々の食事から十分量補給しなければならない。
【0006】
また、激しい運動や、ストレス、疲労、その他の原因によってもビタミンB群が減少することが知られている。そのため、ビタミンB剤やビタミンB入り栄養ドリンク剤を摂取することにより、滋養強壮や疲労回復をはかることが日常的に行われている。これらのビタミンB剤は、一日の所要量の1〜3倍の量を配合されている。また、ビタミンは、近年栄養機能食品としての表示も認められるようになり、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸は所定量食品に添加すると、使用するビタミンB群に応じて炭水化物からのエネルギー産生、たんぱく質からのエネルギー産生、赤血球の形成を助ける、皮膚や粘膜の健康維持を助ける等の文言が表示として使われるようになっている。しかし、ビタミンB群の効果はこれだけではなく、疼痛の軽減、食欲不振、倦怠感、眼精疲労などにも有効であると知られている。
【0007】
ビタミンB群とアルコールの関係で最も知られているのは、アルコール大量摂取者に見られるビタミンB群の不足である。ビタミンB1不足による脚気やウェルニッケ脳症、ナイアシン不足による皮膚炎ペリグラが知られている。これらのビタミンB群不足となる原因としては、アルコールによるビタミンの吸収阻害やビタミン不足の粗末な食事が原因と推定されているが、アルコールの代謝によって消費される可能性も高い。このアルコールの代謝による消費は、ビタミンB群のナイアシンが、補酵素ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(NAD)の前駆体であり、このNADは酵素アルコールデヒドロゲナーゼと酵素アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼの補酵素としてアルコールを酢酸へ分解する助けをしているからである。従って、飲酒する際にナイアシンを補給すると、アルコール代謝が促進されることが期待される。また、ビタミンB1は、アルコールの代謝によって生じる酢酸をTCA回路でエネルギー産生に利用して、消費させる補酵素として働く。また、アルコールの代謝により出来る二日酔いの原因物質といわれるアセトアルデヒドをアセトインに変換する補酵素として知られている。
【0008】
このように、ビタミンB群はアルコールの代謝促進やアルコールによる負担を軽減できることから、アルコール飲料にビタミンその他の多種類の栄養成分を添加して体質改善をはかるものや、清涼飲料にビタミンB群を添加して、アルコール代謝促進をはかり、二日酔いを防止するものも開発されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−116504号公報
【特許文献2】特開2002−330748号公報
【特許文献3】特表2002−530100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2は、アルコール飲料にビタミンA、ビタミンB群等の各種の栄養素を添加して、体質改善を目指すものであり、各種の栄養素を添加した従来の薬用酒の考え方を超えた物でなく、ビタミンB群のアルコール代謝を促進するという効果には言及していない。また、特許文献3は、フルクトース(果糖)とビタミンB群との組み合わせで、アルコールの代謝を促進することに着目した二日酔い防止清涼飲料の組成物であって、アルコール飲料に直接ビタミンB群を添加し、心地良い酔いと、酔い覚めの気分をスッキリさせ、二日酔いになりにくいアルコール飲料をつくるという発想はない。
【0010】
本発明の目的は、酔っている時には気分がよく、酔い覚めの時間が短時間であって、酔い覚め後の不快感が少なく、二日酔いになりにくいアルコール飲料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、アルコール大量摂取者にはビタミンB群が不足していることに着目して、アルコール飲料にビタミンB群を添加することにより、アルコールの摂取で消費されて不足するビタミンB群を飲酒するアルコール飲料自体から補給することで、アルコールの代謝を促進して二日酔いを防止することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0012】
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0013】
(1) アルコールを含有するアルコール飲料であって、ビタミンB群のうち少なくとも一種の成分を含有し、1リットル当たりの前記成分の含有量は、厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上30倍以下であるアルコール飲料。
【0014】
(2) 前記アルコール含有量は、3%以上10%以下である(1)に記載のアルコール飲料。
【0015】
(3) 前記ビタミンB群は、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0016】
(4) 前記ビタミン群は、ビタミンB1を含み、1リットル当たりの前記ビタミンB1の含有量は、0.275mg以上33mg以下である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0017】
(5) 前記ビタミン群は、ビタミンB2を含み、1リットル当たりの前記ビタミンB2の含有量は、0.3mg以上36mg以下である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0018】
(6) 前記ビタミン群は、ビタミンB6を含み、1リットル当たりの前記ビタミンB6の含有量が、0.4mg以上48mg以下である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0019】
(7) 前記ビタミン群は、ビタミンB12を含み、1リットル当たりの前記ビタミンB12の含有量が、0.0006mg以上0.072mg以下である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0020】
(8) 前記ビタミン群は、ナイアシンを含み、1リットル当たりの前記ナイアシンの含有量が、4.25mg以上510mg以下である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0021】
(9) 前記ビタミン群は、葉酸を含み、1リットル当たりの前記葉酸の含有量が、0.05mg以上6mg以下である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0022】
(10) 前記ビタミン群は、パントテン酸を含み、1リットル当たりの前記パントテン酸の含有量が、1.25mg以上150mg以下である(1)または(2)に記載のアルコール飲料。
【0023】
(11) マグネシウムを1リットル当たり10mg以上700mg以下さらに含有する(1)から(10)いずれか記載のアルコール飲料。
【0024】
(12) クエン酸を更に含有する(1)から(11)いずれか記載のアルコール飲料。
【0025】
(13) 前記アルコール飲料は、チューハイである(1)から(12)いずれか記載のアルコール飲料。
【0026】
(14) アルコール飲料1リットル当たりに、ビタミンB群を厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上30倍以下添加することにより、前記アルコール飲料に二日酔い防止効果を付与する方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、一種または複数のビタミンB群が、アルコール飲料1リットル中に厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上含有されているので、アルコールの摂取によるビタミンB群の減少がアルコール飲料自体から補われる。これにより、ビタミンB群によるアルコール代謝が衰えることなく活発に行われて、血液中のアルコールが肺を通じて呼気中に排出する動きが盛んとなり、呼気中のアルコール含量のピークがビタミンB群を添加してない場合よりも高くなり、アルコールが体内からより短い時間で排出されることになる。従って、内にこもらない爽快な酔い心地が得られ、更には、飲酒後2時間程度から起こる酔い覚めの不快感も顕著に少なくなる。
【0028】
また、飲酒とともにビタミンB群を摂取できるので、飲酒してもアルコールの弊害であるビタミンB群の欠乏症になる危険性が低減される。また、体の調子を整えるに必要なビタミンB群を自然に摂ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0030】
本発明のアルコール飲料は、ビタミンB群を有効成分とする。ビタミンB群はアルコールの代謝や糖の代謝を促進し、二日酔いの防止やアルコールによる負担を軽減するものと考えられる。
【0031】
アルコール飲料1リットル中には、一種または複数のビタミンB群が、厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上含有されていることが好ましく、更に好ましくは成人の一日の所要量以上含有されている。また、最大で1リットル当たりビタミンB群を一日の所要量の30倍程度含有されるのが好ましい。これによって、アルコール飲料を1リットル飲酒することで、最低、市販のビタミン剤一粒程度のビタミンを摂れることになる。また、30倍以下の含有量にすることで、アルコール飲料を1リットル飲酒した場合にも、厚生省の食事摂取基準に定められている許容上限摂取量を超えないことになる。
【0032】
アルコール飲料に含有されるビタミンB群は、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。体内では、チアミンとしても知られているビタミンB1は、C−C結合を切断するいくつかの反応の補酵素、チアミン2リン酸の前駆体で、エネルギー生産する糖質の代謝に不可欠なものである。リボフラビンとも呼ばれるビタミンB2は、小腸で再吸収され、FMN(フラビンモノヌクレオチド)に変換され、肝臓でFAD(フラビン−アデニン−ジヌクレオチド)に変換され、いずれも酸化還元反応、特にアルコール脱水素酵素の補酵素で、エネルギー代謝に関与するものである。ピリドキサール、ピリドキシンおよびピリドキサミンとも呼ばれるビタミンB6は、グリコーゲン分解およびアミノ酸代謝の補因子、例えば脱炭酸酵素の補酵素であるピリドキサール−5−リン酸の成分で、タンパク質や脂肪の吸収・代謝を助け、体内でのタンパク質合成に不可欠なものである。シアノコバラミンとも呼ばれるビタミンB12は、メチルコバラミンおよびコバミドと共にコバラミン補酵素の成分であって、葉酸と働きあって、アミノ酸、タンパク質の生成に必要なものであり、赤血球を作り出すものである。ニコチン酸、ニコチン酸アミドとも呼ばれるナイアシンは、補酵素ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(NAD)の前駆体であり、このNADは酵素アルコールデヒドロゲナーゼと酵素アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼの補酵素としてアルコールを酢酸へ分解を助けるものである。プロテイルグルタミン酸とも呼ばれる葉酸は、ホルムアルデヒドから生体に必要なアミノ酸、タンパク質を生成する過程に働く補酵素であって、DNAの生成、修正や赤血球の生成に大きく関与するものである。B5とも呼ばれるパントテン酸は、それぞれ代謝の中心部分と考えられる糖・脂肪代謝の補酵素コエンチームAの前駆体として機能する。このように、ビタミンB群はアルコールの代謝、糖の代謝、タンパク質の代謝等において重要な役割を果たしている。そして、各ビタミンの役割は、糖の代謝、タンパク質の代謝の補酵素などと異なっているが、代謝を速やかにする同じ水溶性ビタミンとして、各ビタミンを同時に取ることにより効果が増幅される。また、アルコールが関与しているビタミン欠乏症の点から、ビタミンB群の中でもビタミンB1とナイアシンがアルコール飲料に添加するビタミンとして重要である。特に、飲酒による減少が著しいビタミンB1は、アルコール飲料に添加するビタミンの中心的役割を担っている。
【0033】
そして、これらビタミンB群の一種または複数が上述のように、厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上30倍以下含有されていることが好ましく、更に好ましくは成人の一日の所要量以上含有されている。具体的には、ビタミンB1としては、アルコール飲料1リットル当たり0.275〜33mg、好ましくは1.1〜10mg、ビタミンB2としては、アルコール飲料1リットル当たり0.3〜36mg、好ましくは1.2〜10mg、ビタミンB6としては、アルコール飲料1リットル当たり0.4〜48mg、好ましくは1.6〜10mg、ビタミンB12としては、アルコール飲料1リットル当たり0.0006〜0.72mg、好ましくは2.4〜20mg、ナイアシンとしては、アルコール飲料1リットル当たり4.25〜510mg、好ましくは17〜60mg、葉酸としては、アルコール飲料1リットル当たり0.05〜6mg、好ましくは0.2〜2mg、パントテン酸としては、アルコール飲料1リットル当たり1.25〜150mg、好ましくは5〜50mgであって、これらのビタミンB群から少なくとも一種が含有されているのが好ましい。
【0034】
このように、アルコール飲料中にビタミンB群を添加することで、つまみ、食事、栄養ドリンクや錠剤等で飲酒とは別に摂取しなくても、アルコール飲料自体からビタミンB群を摂取できる。そして、アルコール飲料に含有されているビタミンB群を飲酒と同時に摂取することにより、アルコールが血中に入るとともに、ビタミンB群も血中に入り、アルコールによって減少したビタミンB群を速やかに補うことになる。
【0035】
また、アルコールの摂取によって、ビタミンB1欠乏症になった場合は、同時にマグネシウムの欠乏症になることが知られている。一方、マグネシウム欠乏状態で、ビタミンB1を大量に投与すると、マグネシウム欠乏が亢進することがある。そこで、ビタミンB1とマグネシウムを同時に投与する方が好ましい。この場合、マグネシウムの量は、好ましくは10〜700mg/L、より好ましくは30〜500mg/L程度が望ましい。尚、マグネシウムを添加したアルコール飲料の処方例として、例えば、水1000ml当たり、95%アルコール85ml、55%果糖ぶどう糖液糖30g、6倍濃縮レモン果汁2g、クエン酸3g、クエン酸NA0.3g、レモン香料1ml、ビタミンB3mg、塩化マグネシウム100mgを添加し、炭酸ガス付けして、350mlの缶詰めした、アルコール8%のチューハイが挙げられる。
【0036】
アルコール飲料は、焼酎を炭酸水、果汁、味見料等で割ったチューハイであってもよいし、カクテルであってもよいし、サワーであってもよい。また、アルコール含量が3〜10%程度のものが好ましい。有効成分のビタミンB群が糖の代謝、タンパク質の代謝を促進して二日酔い防止に役立つからである。ここで、チューハイとは、焼酎を果汁と炭酸で割った飲料であり、カクテルとは、ウイスキー・ブランデー・ジン・ウオツカなどアルコール度の高い蒸留酒をベースとし、リキュール・シロップ・果汁・香料などを混合し氷を加えて作った飲料であり、サワーとは、カクテルの一種で、ウイスキー・ジンなどにレモン・ライムなどのジュースを入れて酸味をもたせた飲料をいう。
【0037】
アルコール飲料には、甘みを調整するために、甘味料が含有していてもよい。甘味料は糖であってもよく、糖としては、砂糖、葡萄糖、果糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられる。あるいは、糖の代わりに、アスパラテーム、サッカリン、等の合成甘味料が添加されていてもよい。
【0038】
アルコール飲料には、クエン酸等の酸味料が含有していてもよい。クエン酸を含有することで、体外より摂取されたクエン酸が、糖質や脂質代謝のクエン酸回路に関与して、アルコールの代謝を促進し、また、エネルギー生産を高める。すなわち、アルコールは飲むとすぐにアセトアルデヒドに変換され、ついでアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸、アセチルCoAへと変換され、最後はクエン酸回路に入ってエネルギーを産生しながら二酸化炭素と水に分解されるが、クエン酸を体外から摂取することで、クエン酸が糖の分解酵素の働きを抑え、細胞内にたまっていた疲労物質乳酸をアセチルCoAへと変化させて、たまっていた乳酸をエネルギー源へと変えるので、乳酸が次々に解消され、疲労が回復することになる。
【0039】
クエン酸の添加量は、アルコール飲料1リットル当たり0.05〜1%、好ましくは0.1〜0.5%である。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
95%醸造用アルコール73ml、果糖ぶどう糖液糖40g、クエン酸3.8g、ビタミンB群ミックス0.03g、レモンフレーバー1mlに水を加えて1000mlに調製した。ついで、この調製した液に炭酸ガス2.3VOL含ませて、アルコール含量7%のチューハイを作成した。尚、ここで使用したビタミンB群ミックスは、ビタミンB群ミックス500mg当たりに、B1が25mg、B2が12mg、B6が10mg、B12が60μg、ナイアシンが15mg、葉酸が0.2mg、パントテン酸が30mg含有されている。
【0042】
<実施例2>
また、実施例2として、ビタミンB群ミックスの添加量を0.25g/Lとして、実施例1の同様にしてチューハイを作成した。すなわち、95%醸造用アルコール73ml、果糖ぶどう糖液糖40g、クエン酸3.8g、ビタミンB群ミックス0.25g、レモンフレーバー1mlに水を加えて1000mlに調製する。ついで、この調製した液に炭酸ガス2.3VOL含ませて、アルコール含量7%のチューハイを作成した。尚、使用したビタミンB群ミックスは、実施例1と同一のものとした。
【0043】
一方、比較例として、ビタミンB群ミックスを添加しない以外は実施例と同様にチューハイを作成した。すなわち、95%醸造用アルコール73ml、果糖ぶどう糖液糖40g、クエン酸3.8g、レモンフレーバー1mlに水を加えて1000mlに調製し、ついで、この調製した液に炭酸ガス2.3VOL含ませて、アルコール含量7%のチューハイを作成した。
【0044】
そして、年齢・性別についてランダムに選んだ被験者6人について、実施例、比較例のそれぞれのチューハイを900ml飲用してもらい、呼気中のアルコール濃度を経時的に測定し、その濃度推移をビタミンB群を含有しない比較例と対比して図1に示した。呼気中のアルコール濃度は、北川式ガス検知器法で測定した。尚、飲酒時にはおつまみ等のお酒以外のものの飲食はしていない。
【0045】
その結果、飲酒開始後1.5時間後における呼気中のアルコール濃度は、実施例1、実施例2及び比較例とも約200ppmと略同程度あったのが、時間が経過するに伴い呼気中のアルコール濃度は低下しているが、その低下の程度はビタミンB群の含有する実施例の方がビタミンB群を含有してない比較例に比べて速く、また、ビタミンB群の含有量が多いほど低下が早いことが確認された。また、酔い心地は、ビタミンB群を含有したものの方が爽快感が感じられた。ここで、呼気中のアルコール濃度は、血中のアルコール濃度と相関することが知られている。すなわちこの試験において呼気中のアルコール濃度が高いと言うことは、血中アルコール濃度が高いと言うことを表しており、ビタミンB群はアルコールの代謝を促進していると考えられる。
【0046】
そして、呼気中のアルコール濃度がゼロになったのは、ビタミンB群含有量が0.03g/Lの実施例1のチューハイが飲酒後約4時間であり、ビタミンB群含有量が0.25g/Lの実施例2のチューハイが飲酒後約3.5時間であり、比較例のビタミンB群を添加していないチューハイは飲酒後約5時間であった。
【0047】
また、被験者のビタミン含有酒類の酔い心地に関する意見として、すっきりとした酔い心地で、頭が重くならない。酔い疲れをほとんど感じない。また、酔っている時の気分の高揚感は、通常の酒類と同じである等であった。
【0048】
これらの結果より、ビタミンB群含有のものの方が、アルコールの代謝が促進され、アルコールの抜けが早く、酔い覚めの不快感もほとんど感じないことが確認された。また、ビタミンB群の含有量により、アルコールの代謝の度合が異なり、ビタミンB群の含有量が多いほどアルコールの抜けが早いことが確認された。
【0049】
以上に説明した実施例は、ビタミンB群を含有するアルコール飲料として、醸造用アルコールを炭酸水、レモン果汁で割ったチューハイについて説明したが、カクテル等のアルコール飲料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】アルコール飲料飲酒後における呼気中のアルコール濃度の推移を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールを含有するアルコール飲料であって、
ビタミンB群のうち少なくとも一種の成分を含有し、
1リットル当たりの前記成分の含有量は、厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上30倍以下であるアルコール飲料。
【請求項2】
前記アルコール含有量は、3%以上10%以下である請求項1に記載のアルコール飲料。
【請求項3】
前記ビタミンB群は、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、及びパントテン酸である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項4】
前記ビタミンB群は、ビタミンB1を含み、
1リットル当たりの前記ビタミンB1の含有量は、0.275mg以上33mg以下である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項5】
前記ビタミンB群は、ビタミンB2を含み、
1リットル当たりの前記ビタミンB2の含有量は、0.3mg以上36mg以下である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項6】
前記ビタミンB群は、ビタミンB6を含み、
1リットル当たりの前記ビタミンB6の含有量は、0.4mg以上48mg以下である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項7】
前記ビタミンB群は、ビタミンB12を含み、
1リットル当たりの前記ビタミンB12の含有量は、0.0006mg以上0.072mg以下である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項8】
前記ビタミンB群は、ナイアシンを含み、
1リットル当たりの前記ナイアシンの含有量は、4.25mg以上510mg以下である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項9】
前記ビタミンB群は、葉酸を含み、
1リットル当たりの前記葉酸の含有量は、0.05mg以上6mg以下である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項10】
前記ビタミンB群は、パントテン酸を含み、
1リットル当たりの前記パントテン酸の含有量は、1.25mg以上150mg以下である請求項1または2に記載のアルコール飲料。
【請求項11】
マグネシウムを1リットル当たり10mg以上700mg以下さらに含有する請求項1から10いずれか記載のアルコール飲料。
【請求項12】
クエン酸をさらに含有する請求項1から11いずれか記載のアルコール飲料。
【請求項13】
前記アルコール飲料は、チューハイである請求項1から12いずれか記載のアルコール飲料。
【請求項14】
アルコール飲料1リットル当たりに、ビタミンB群を厚生省の食事摂取基準における成人の一日の所要量の1/4以上30倍以下添加することにより、前記アルコール飲料に二日酔い防止効果を付与する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−75059(P2006−75059A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261384(P2004−261384)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】