説明

アレスタおよびアレスタの漏れ電流の測定方法

【課題】機器の小型化・簡素化および軽量化・低コスト化を図り、また、漏れ電流の測定を簡単に行なうことができるようにする。
【解決手段】本発明におけるアレスタは、機器ケ−ス1の開口部1aに気密に配設されたブッシング2を備えており、このブッシング2にはアレスタ素子積層体61を含むアレスタモールド体6が着脱自在に装着されている。
ブッシング2は、硬質の絶縁体から成るブッシング本体3と、ブッシング本体3の先端部にブッシング本体3と同心状に埋設された高圧シールド体4とを備えている。
このような構成のブッシング2の後端部を機器ケース1の外部に気密に導出することで、ブッシング2の後端部端面から機器ケース1の外壁に至る部分に縁切り部Zを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレスタおよびアレスタの漏れ電流の測定方法に係り、特に、酸化亜鉛を主成分とする複数個の非直線抵抗素子(以下「アレスタ素子」という。)の積層体(以下「アレスタ素子積層体」という。)の漏れ電流を測定する場合に有用なアレスタおよびアレスタの漏れ電流の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電所や変電所等に設置されるガス絶縁開閉装置には、落雷時等に線路から侵入する異常電圧から開閉装置等の電気機器を保護するためにアレスタが配設されている。
【0003】
従来、このようなアレスタとしては、図6に示すように、アレスタ素子積層体100を絶縁ガスが封入されたタンク(機器ケース)110の底部110aに絶縁支持筒120を介して立設して成るものが知られている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
ところで、このような構成のアレスタ素子積層体100には常時系統電圧が印加されているため、長期的な使用によりアレスタ素子が劣化する虞があり、かかるアレスタ素子が劣化すると、アレスタ素子の非直線特性が低下し、ひいてはアレスタの漏れ電流が増加することになる。
【0005】
このため、このような構成のアレスタ素子積層体100においては、漏れ電流の測定によってアレスタ素子の劣化の有無や度合を検出することで、アレスタ素子の寿命の予測を行なうことができる。
【0006】
しかしながら、タンク110内に立設されたアレスタ素子積層体100の支持構造において、その漏れ電流を測定するためには、接地体としてのタンク(機器ケース)110とアレスタ素子積層体100の低圧側とを電気的に分離(縁切り)し、当該縁切り部分に取り付けた接地線(不図示)に流れる電流を測定する必要がある。
【0007】
一方、タンク(機器ケース)110とアレスタ素子積層体100の低圧側とを縁切りする方法としては、タンク(機器ケース)110の底部110aに縁切り部材としての碍子(不図示)を介してアレスタ素子積層体100を支持する方法が案出されているが、タンク(機器ケース)110内に碍子を配設すると、機器が大型化・複雑化し、また、機器の重量も重くなり、コスト的にも割高になるという難点がある。また、タンク(機器ケース)110の内壁とアレスタ素子積層体100の低圧側間に接地線を取り付ける際に、タンク(機器ケース)110内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業が必要になることから、漏れ電流の測定を簡単に行なうことができないという難点がある。
【0008】
【非特許文献1】電気学会技術報告 第851号 7(図2.10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、機器の小型化・簡素化を図り、また、漏れ電流の測定を簡単に行うことができるアレスタおよびアレスタの漏れ電流の測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様であるアレスタは、電気機器を収容する機器ケースの開口部に、開口部を気密に覆う如く配設されたブッシングと、ブッシング内に機器ケースの外部から着脱自在に装着されるアレスタ素子積層体とを備え、ブッシングの後端部は、機器ケースの開口部を通り、機器ケースの外部に導出され、ブッシングの後端部には、ブッシングの後端部端面から機器ケースの外壁に至る部分に縁切り部が設けられているものである。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様であるアレスタにおいて、ブッシングの後端部は、絶縁性の円筒状部材で形成されているものである。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様であるアレスタにおいて、ブッシングは硬質のプラスチック樹脂で形成されているものである。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様であるアレスタにおいて、アレスタ素子積層体は、アレスタ素子積層体の外周に設けられたゴムモールド体により一体化されているものである。
【0014】
本発明の第5の態様であるアレスタの漏れ電流の測定方法は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様であるアレスタの機器ケースと、アレスタ素子積層体の低圧側間に接地線を取り付け、接地線に流れる電流を測定するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の態様乃至第4態様のアレスタおよび第5態様のアレスタの漏れ電流の測定方法によれば、次のような効果がある。
【0016】
第1に、機器ケースの外部に導出されたブッシングの後端部端面から機器ケースの外壁に至る部分に縁切り部が設けられていることから、機器ケースの外壁とアレスタ素子積層体の低圧側間に接地線を取り付けることで、アレスタの漏れ電流を簡単に測定することができる。
【0017】
第2に、機器ケースの外部に設けられた縁切り部に接地線を取り付けることで、アレスタの漏れ電流を測定することができることから、従来のガス絶縁形アレスタのように、漏れ電流を測定する際に機器ケース内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができる。
【0018】
第3に、従来のガス絶縁形アレスタのように、機器ケース内に碍子を配設する必要がないことから、機器の小型化・簡素化および軽量化・低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のアレスタを適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。なおここで、ブッシングの「先端部」とは、ブッシングの高圧側の端部をいい、図中では上方向に相当する。また、ブッシングの「後端部」は、先端部と反対側の端部をいい、図中で下方向に相当する。
[実施例1]
図1は、66/77kV級の本発明のアレスタの一例を示す一部断面図である。
【0020】
同図において、本発明におけるアレスタを有する電気機器は、開閉器や変圧器等の電気機器(不図示)を気密に収容する機器ケ−ス1を備えており、機器ケ−ス1内には例えばSF6ガスなどの絶縁ガスが充填されている。また、機器ケース1の底部には開口部1aが設けられており、この開口部1aにはそれ自身の先端部を機器ケース1内に位置させ、かつそれ自身の後端部で開口部1aを気密に覆う如くブッシング2が配設され、このブッシング2内には後述するアレスタ素子積層体61を含むアレスタモールド体6が着脱自在に装着されている。
【0021】
ブッシング2は、エポキシ樹脂のモールド体等から成る硬質でかつ絶縁性のブッシング本体3と、ブッシング本体3の先端部にブッシング本体3と同心状に埋設された高圧シールド体4とを備えている。
【0022】
ブッシング本体3は、アレスタモールド体6の上半部を受容するための挿入孔(以下「上部挿入孔」という。)51aを有する上端閉鎖の円筒部(以下「上部円筒部」という。)51と、アレスタモールド体6の下半部を受容するための挿入孔(以下「下部挿入孔」という。)52aを有する円筒部(以下「下部円筒部52」という。)52と、アレスタモールド体6の後述する円錐状部67bを受容するための挿入孔(以下「テーパ付挿入孔」という。)53aを有する円筒部(以下「中間円筒部」という。)53とを備えており、下部円筒部52の上部位置の外周には径方向に突出する環状の取付フランジ52bが連設されている。ここで、下部挿入孔52aの口径は、上部挿入孔51aの口径よりも大径とされ、また、テーパ付挿入孔53aは、上部挿入孔51aの下端部からおよび下部挿入孔52aの上端部に向かって円錐状に広がるように形成され、このテーパ付挿入孔53aを介して上部挿入孔51a、下挿入孔52aが連通されている。さらに、下部円筒部52の外径は機器ケース1の開口部1aの口径と略同径若しくはこれより若干小径とされ、取付フランジ52bの外径は機器ケース1の開口部1aの口径より大径とされている。
【0023】
高圧シールド体4は、上部円筒部51にその閉鎖部51bから上部円筒部51の下端部に跨って上部円筒部51と同心状に埋設される釣鐘状のシールド本体41と、シールド本体41の水平部中央に閉鎖部51bの上方に突出させた筒状部(以下「接続導体挿入部」という。)42と、接続導体挿入部42の上部に連設され主回路導体(不図示)に接続される主回路接続子43とを備えている。ここで、シールド本体41の側壁部41aは上端部から下端部に向かって円錐状に広がるように形成され、また、その軸方向の長さは上部円筒部51の閉鎖部51bから中間円筒部53の上端部近傍に至る長さとされている。なお、接続導体挿入部42はアレスタモールド体6の後述する接続導体62の挿入孔としての機能を有し、接続導体挿入部42の上端部に設けられた主回路接続子43はアレスタモールド体6の後述するコイル状のスプリング63のストッパとしての機能も有している。
【0024】
このような構成の高圧シールド体4は、図に示すように、主回路接続子43を上部円筒部51の閉鎖部51bより突出させ、側壁部41aが上部円筒部51の側壁部51b内に位置する如くして上部円筒部51と同心状に埋設されている。
【0025】
このような構成のブッシング2は、ブッシング2の上部円筒部51および中間円筒部53が機器ケース1内に位置し、下部円筒部52が開口部1aを通り機器ケース1の外部に導出されることで、取付フランジ52bの上面が機器ケース1の開口部1aの周縁部の下面に当接される。ここで、機器ケース1の開口部1aの周縁部に設けられた環状の凹溝1bにOリング1cを介在させ、取付フランジ52bに配設したボルト52cを締結することにより、ブッシング2を機器ケース1の開口部1aに気密に取り付けることができる。
【0026】
以上のように、ブッシング2はエポキシ樹脂などの絶縁性の材料で形成されていることから、機器ケース1の外部に導出されたブッシング2の下部円筒部52は、後述するように、ブッシング2の後端部端面から機器ケース1の外壁に至る部分に縁切り部Zが形成されることになる。
【0027】
アレスタモールド体6は、図2に示すように、酸化亜鉛を主成分とする複数個のアレスタ素子61aを積層して成るアレスタ素子積層体61と、アレスタ素子積層体61の先端部側(高圧側)に配設される接続導体62と、接続導体62の上端部側(高圧側)に配設されるコイル状のスプリング(以下「高圧側スプリング」という。)63と、アレスタ素子積層体61の後端部側(低圧側)に配設される押し金具65と、押し金具65の下面側に配設されるコイル状のスプリング(以下「低圧側スプリング」という。)66と、アレスタ素子積層体61の外周に接続導体62および押し金具65に跨って一体的にモールドされるシリコーンゴムなどから成るゴムモールド体67とを備えている。ここで、ゴムモールド体67の外面形状はブッシング2の挿入孔(上部挿入孔51a、下部挿入孔52a、テーパ付挿入孔53a)の内周面形状と対応するように形成されている。具体的には、ゴムモールド体67の先端部側(高圧側)側には上部挿入孔51aの内周面に当接する小径部67aが、中間部にはテーパ付挿入孔53aの内周面に当接する円錐状部67bが、後端部側(低圧側)には下部挿入孔52aの内周面に当接する大径部67cがそれぞれ設けられている。また、アレスタ素子61aは、所定のバリスタ電圧を考慮して系統電圧に対応した個数が決定される。本実施例は、66kVの高圧線路に適用するものである。
【0028】
接続導体62は、アレスタ素子積層体61の高圧側に当接されるアレスタ素子61aと略同形の円板部62aと、この円板部62aの上面中央部に上方に向けて突設された円筒部62bとを備えており、円筒部62bの外周には図示しないテープ状の導体接続子(マルチコンタクト)を嵌着するための環状の凹溝62cが設けられ、また、円筒部62b内には円筒部62bの内径と略同径のコイル状のスプリング(以下「高圧側スプリング」という。)63がその上半部を突出する如くして装着されている。
【0029】
押し金具65は、ゴムモールド体67の後端部側(低圧側)の外径より若干小径とされた環状部材65aを備えており、この環状部材65aの上面中央部にはアレスタ素子61aと略同形の円盤状の押圧部65bが設けられ、下面側外周縁近傍には、例えば12個の凹陥部65cが円周方向に沿って等配する如くして設けられている。なお、図中65dは、環状部材の内周縁側に円周方向に沿って等配する如く設けられた例えば4個のネジ孔、65eは下面側中央部に設けられた大径の凹陥部を示している。
【0030】
このような構成のアレスタ素子積層体61の外周には、その上端部に接続導体62の円板部の下面を当接し、下端部に押し金具65の押圧部65bを当接した状態で、接続導体62の円板部62aの上面部および押し金具65の外周に跨ってシリコーンゴムなどのゴムモールド体67が設けられ、このゴムモールド体67により、アレスタ素子積層体61が接続導体62、スペーサ64および押し金具65と一体化される。
【0031】
次に、アレスタ素子積層体61を有するアレスタモールド体6をブッシング2内に着脱自在に装着する方法について説明する。
【0032】
先ず、図2に示すように、接続導体62の円筒部62bに高圧側スプリング63を、押し金具65の凹陥部65cに低圧側スプリング66をそれぞれ配設した上で、図1に示すように、アレスタモールド体6の先端部(高圧側)をブッシング2内に挿入し、高圧側スプリング63の先端部が主回路接続子43の内壁面に当接するまで押し込む。これにより、円筒部62bに配設した導体接続子(マルチコンタクト)を構成する舌片(不図示)が接続導体挿入部42の内周面に接触すると共に、ゴムモールド体67の小径部67aがブッシング2の上部挿入孔51aの内周面に、ゴムモールド体67の円錐状部67bがテーパ付挿入孔53cの内周面に、ゴムモールド体67の大径部67cが下部挿入孔52aの内周面と当接することになる。
【0033】
次に、ブッシング2の下部円筒部52の下面に円盤状の金具から成るシール蓋Fを当接し、これをシール蓋Fの外周縁近傍に円周方向に沿って配設した複数本のボルトBで下部円筒部52の下面に締結する。これにより、高圧側スプリング63および低圧側スプリング66に所定のバネ力が付与される。具体的には、高圧側スプリング63によりアレスタ素子61aと接続導体62間、アレスタ素子61a間、アレスタ素子61aとスペーサ64間に所定の面圧が付与され、これらの部材間を確実に接触させることができる。また、低圧側スプリング66により、アレスタモールド体6が先端部に向かって押圧され、ゴムモールド体67の円錐状部67bがテーパ付挿入孔53aの内周面に圧接され、これにより、ゴムモールド体67の円錐状部67bとテーパ付挿入孔53a間に所定の面圧が付与される。
【0034】
このように、アレスタ素子積層体61を含むアレスタモールド体6をブッシング2内に装着することで、アレスタ素子積層体61の先端部側(高圧側)の周りが上部円筒部51に埋設されたシールド本体41により覆われることになり、ひいては、アレスタ素子61aの電圧分担の均一化を図ることができる。
【0035】
次に、このように構成されたアレスタ素子積層体61の漏れ電流は、機器ケース1の外部において、ブッシング2の後端部に設けられた縁切り部Zに、すなわち、機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に接地線Eを取り付けることで、簡単に測定することができる。具体的には、接地線Eの一端側を機器ケース1と導電位のボルト52cに、他端側をアレスタ素子積層体61の低圧側とスペーサ64、押し金具65およびシール蓋Fを介して導電位とされたボルトBに取り付け、当該接地線Eに流れる電流を変流器Hで検出することにより測定することができる。
【0036】
以上のように、本発明のアレスタによれば、機器ケース1の外部に導出されたブッシング2の後端部(下部円筒部52)がエポキシ樹脂等の絶縁部材で形成され、かつブッシング2内にアレスタ素子積層体61を含むアレスタモールド体6が装着されていることから、機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に縁切り部Zを設けることができ、また、機器ケース1の外部において、縁切りされた機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に接地線Eを取り付けることで簡単にアレスタ素子積層体61の漏れ電流を測定することができ、このため、漏れ電流を測定する際に機器ケース1内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができる。さらに、機器ケース1内に碍子を配設する必要がないことから、機器の小型化・簡素化および軽量化・低コスト化を図ることができる。
[実施例2]
図3は、本発明の第2の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
この実施例においては、ブッシング7の先端部の外周面に点線で示すように導電性の塗布層75が設けられている。
【0038】
先ず、第2の実施例におけるブッシング7は、それ自身の上面の外周縁近傍に環状の凹陥部71aが設けられた中間円筒部71と、中間円筒部71の上端部に中間円筒部71と同心状に連接され中間円筒部71の外径より小径でかつ先細り状の円錐状部72aを有し先端部が閉鎖された上部円筒部72と、中間円筒部71の下面の外周縁近傍に中間円筒部71と同心状に連接され中間円筒部71の外径よりも小径の下部円筒部73と、上部円筒部72の閉鎖部72bの中央部にそれ自身の上部を閉鎖部72bから突設するように埋設した主回路接続子74とを備えている。なお、この実施例におけるブッシング7は下部円筒部73の外径が機器ケース1の開口部1aより大径とされ、下部円筒部73の外周縁の下面が機器ケース1の上面に気密に載置・固定されている。
【0039】
符号75は、高圧シールド体としての導電性の塗布層(例えば、銀ペイントから成る塗布層)を示しており、この導電性の塗布層75は、上部円筒部72の閉鎖部72bの外表面から円錐状部72aの外周面および中間円筒部71の凹陥部71aを構成する半円状部分71bの外周面に跨って設けられている。
【0040】
この実施例においても、第1の実施例におけるアレスタと同様に、機器ケース1の外部に導出されたブッシング2の後端部52がエポキシ樹脂等の絶縁部材で形成され、かつブッシング2内にアレスタ素子積層体61を含むアレスタモールド体6が装着されていることから、機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に縁切り部を設けることができ、また、機器ケース1の外部において、縁切りされた機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に接地線を取り付けることで、アレスタの漏れ電流を測定することができることから、漏れ電流を測定する際に機器ケース1内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができ、このため、アレスタの漏れ電流を簡単に測定することができる。さらに、機器ケース1内に碍子を配設する必要がないことから、機器の小型化・簡素化および軽量化・低コスト化を図ることができる。また、この実施例におけるアレスタにおいては、第1の実施例における金具から成る高圧シールド体4に代えて導電性の塗布層75が設けられていることから、第1の実施例におけるアレスタよりも軽量化および低コスト化を図ることができる。なお、この実施例におけるアレスタは、ガス絶縁や空気絶縁タイプの電気機器に好適する。
[実施例3]
図4は、本発明の第3の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
この実施例においては、ブッシング8の先端部に別体の高圧シールド体Sが載置・固定されている。
【0042】
先ず、第3の実施例におけるブッシング8は、先細り状の中間円筒部81と、中間円筒部81の上端部に中間円筒部81と同心状に連接され中間円筒部81の外径より小径の上部円筒部82と、中間円筒部81の下端部に中間円筒部81と同心状に連接され中間円筒部81の下端部外径と略同径の下部円筒部83とを備えており、下部円筒部83の上部位置の外周には環状の取付フランジ83aが連設されている。
【0043】
高圧シールド体Sは、上端閉鎖の円筒状の金具S1と、金具S1の閉鎖部S2中央に閉鎖部S2から上方に向けて立設された主回路接続子S3とを備えている。
【0044】
このような構成の高圧シールド体Sは、図に示すように、主回路接続子S3を上部円筒部82の上方位置に配置し、金具S1の側壁部S4が上部円筒部82の側壁部82aの周りに位置する如くして上部円筒部82の先端部に上部円筒部82と同心状に載置・固定されている。
【0045】
この実施例においても、第1の実施例におけるアレスタと同様に、機器ケース1の外部に導出されたブッシング8の後端部83がエポキシ樹脂等の絶縁部材で形成され、かつブッシング8内にアレスタ素子積層体61を含むアレスタモールド体6が装着されていることから、機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に縁切り部を設けることができ、また、機器ケース1の外部において、縁切りされた機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に接地線を取り付けることで、アレスタの漏れ電流を測定することができることから、漏れ電流を測定する際に機器ケース1内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができ、このため、アレスタの漏れ電流を簡単に測定することができる。さらに、機器ケース1内に碍子を配設する必要がないことから、機器の小型化・簡素化および軽量化・低コスト化を図ることができる。なお、この実施例におけるアレスタは、ガス絶縁や空気絶縁タイプの電気機器に好適する。
なお、この実施例におけるアレスタは、油絶縁、ガス絶縁若しくは空気絶縁タイプの電気機器に好適する。
[実施例4]
図5は、本発明の第4の実施例におけるアレスタの一部断面図を示している。なお、同図において、図1および図4と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
この実施例においては、ブッシング9の先端部に図4に示す高圧シールド体Sが載置・固定され、また、次のようにして、高圧シールド体Sの回りが絶縁性のバリヤ91bで覆われている。
【0047】
先ず、第4の実施例におけるブッシング9は、それ自身の上面の外周縁近傍に環状の凹陥部91aが設けられた上部円筒部91と、上部円筒部91の下端部に上部円筒部91と同心状に連接され上部円筒部91の外径より小径の下部円筒部92とを備えている。そして、図7に示すものと同様の構成の高圧シールド体Sは、その側壁部S4が上部円筒部91の凹陥部91a内に位置するように上部円筒部91と同心状に配設されている。なお、この実施例におけるブッシング9は上部円筒部91の外径が機器ケース1の開口部1aより大径とされ、上部円筒部91の外周縁の下面が機器ケース1の上面に気密に載置・固定されている。
【0048】
この実施例においても、第1の実施例におけるアレスタと同様に、 この実施例においても、第1の実施例におけるアレスタと同様に、機器ケース1の外部に導出されたブッシング9の後端部92がエポキシ樹脂等の絶縁部材で形成され、かつブッシング9内にアレスタ素子積層体61を含むアレスタモールド体6が装着されていることから、機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に縁切り部を設けることができ、また、機器ケース1の外部において、縁切りされた機器ケース1の外壁とアレスタ素子積層体61の低圧側間に接地線を取り付けることで、アレスタの漏れ電流を測定することができることから、漏れ電流を測定する際に機器ケース1内の絶縁ガスを回収したり、充填したりする作業を不要とすることができ、このため、アレスタの漏れ電流を簡単に測定することができる。さらに、機器ケース1内に碍子を配設する必要がないことから、機器の小型化・簡素化および軽量化・低コスト化を図ることができる。さらにまた、この実施例におけるアレスタにおいては、高圧シールド体Sの側壁部S4が上部円筒部91の凹陥部91aに配設されることで、円筒状の金具S1の周りに絶縁性のバリヤ部材91bが配置されることになるから、相間の絶縁距離、若しくは機器ケース1との絶縁距離を短くすることができ、ひいては、機器の縮小化を図ることができる。なお、この実施例におけるアレスタは、油絶縁、ガス絶縁若しくは空気絶縁タイプの電気機器に好適する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、特許請求の範囲内で、次のように、変更、修正を加えることができる。
【0050】
第1に、前述の実施例においては、機器ケース1の底部にブッシングを配設した場合について説明しているが、機器ケース1の側壁にブッシングを配設してもよい。
【0051】
第2に、前述の実施例においては、66/77kVの高圧線路に本発明のアレスタを適用する場合について説明しているが、66kV未満の線路若しくは77kVを超える高圧線路に本発明のアレスタを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施例におけるアレスタの一部断面図。
【図2】本発明の第1の実施例におけるアレスタモールド体の一部断面図。
【図3】本発明の第2の実施例におけるアレスタの一部断面図。
【図4】本発明の第3の実施例におけるアレスタの一部断面図。
【図5】本発明の第4の実施例におけるアレスタの一部断面図。
【図6】従来のアレスタの一部断面図。
【符号の説明】
【0053】
1・・・機器ケース
1a・・・開口部
2・・・ブッシング
4・・・高圧シールド体
6・・・アレスタモールド体
61・・・アレスタ素子積層体
67・・・ゴムモールド体
E・・・接地線
Z・・・縁切り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を収容する機器ケースの開口部に、前記開口部を気密に覆う如く配設されたブッシングと、前記ブッシング内に前記機器ケースの外部から着脱自在に装着されるアレスタ素子積層体とを備え、
前記ブッシングの後端部は、前記機器ケースの開口部を通り、前記機器ケースの外部に導出され、
前記ブッシングの後端部には、前記ブッシングの後端部端面から前記機器ケースの外壁に至る部分に縁切り部が設けられていることを特徴とするアレスタ。
【請求項2】
前記ブッシングの後端部は、絶縁性の円筒状部材で形成されていることを特徴とする請求項1記載のアレスタ。
【請求項3】
前記ブッシングは硬質のプラスチック樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のアレスタ。
【請求項4】
前記アレスタ素子積層体は、前記アレスタ素子積層体の外周に設けられたゴムモールド体により一体化されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載のアレスタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4何れか1項記載のアレスタの前記機器ケースと、前記アレスタ素子積層体の低圧側間に接地線を取り付け、前記接地線に流れる電流を測定することを特徴とするアレスタの漏れ電流の測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate