説明

アンカーテンドンの挿入方法、アンカーテンドン支持ユニット、及びアンカーテンドン基台

【課題】先端部分(アンカー体長部)がプレグラウトされているアンカーテンドンをアンカー孔に挿入する場合において、アンカー体長部と自由長部との境界部分の損傷を防止する。
【解決手段】アンカー体長部30は、クレーンで吊り上げた際にグラウトで固められたアンカー体長部に影響が生じない十分な剛性部材である先端部支持体40で支持し、自由長部31は可撓性部材である中間部支持体41で支持した状態で搬送する。これらの先端部支持体40と中間部支持体41とは連結されており、しかも、該中間部支持体41は、撓みが所定の曲率半径以下にならないような構造となっている。これらの支持体40,41によってアンカー体長部と自由長部との境界部分が保護され、その損傷を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被補強体に穿設されたアンカー孔にアンカーテンドンを挿入するアンカーテンドンの挿入方法、該アンカーテンドンを支持するアンカーテンドン支持ユニット、及び該アンカーテンドン支持ユニットを着脱可能に保持するアンカーテンドン基台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダムや防波堤や防潮堤などのコンクリート構造物等の被補強体を補強する方法として、アンカーテンドンを使った補強方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、被補強体に穿設されたアンカー孔にアンカーテンドンを挿入する方法についても幾つかの方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図10は、アンカーテンドンをアンカー孔に挿入する従来方法の一例を示す模式図であって、符号100は、被補強体であるコンクリートダムを示し、符号100aは、該コンクリートダム100に穿設されている多数のアンカー孔を示し、符号103は、該アンカー孔100aに挿入されるアンカーテンドンを示し、符号104は、該アンカーテンドン103を案内するためにクレーン105で吊り下げられた滑車を示す。この図示の例では、アンカーテンドン103は、前記滑車104に案内されて前記アンカー孔100aに挿入されるようになっている。
【0005】
なお、このようなアンカーテンドンにはボンドタイプのものとアンボンドタイプのものとがあり、アンボンドタイプのものは、設置後も必要に応じて再緊張できるという特徴を有している。また、アンボンドタイプのアンカーテンドンの場合、作業性等の種々の理由から、その先端部分(つまり、アンカー孔の底部領域に固定されるアンカー体長部)へのグラウト材の注入を、該アンカーテンドンをアンカー孔に挿入する前に行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−163818号公報
【特許文献2】特開2010−163819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のようにアンカー孔に挿入する前の時点で先端部分(アンカー体長部)にグラウト材を注入する場合、該先端部分(アンカー体長部)では複数の緊張材がグラウト材で固められた状態であり、中間部分(自由長部)では複数の緊張材がグラウト材で固められずに可撓性が維持された状態であるため、図10に示すようにクレーン105で吊り上げた滑車104で該アンカーテンドンを前記アンカー孔100aに挿入しようとすると、前記アンカー体長部と前記自由長部との境界部分が許容半径以下に折り曲げられてしまって、該境界部分(例えば、シース管のパッキンの部分)が破損してしまうというおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述の問題を解消することのできるアンカーテンドンの挿入方法、アンカーテンドン支持ユニット、及びアンカーテンドン基台を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、図1(a) (b) に例示するものであって、並設された複数の緊張材(A,…)を有すると共に先端部分(以下、「アンカー体長部」とする)(30)では前記複数の緊張材(A,…)がグラウト材(B)で固められた状態であり中間部分(以下、「自由長部」とする)(31)では該複数の緊張材(A,…)がグラウト材(B)で固められずに該緊張材(A,…)の可撓性が保持された状態であるアンカーテンドン(3)であって、前記自由長部(31)が巻き取りリール(図2(a)
(b) の符号C参照)に巻き取られていると共に前記アンカー体長部(30)が該巻き取りリール(C)から突出されているアンカーテンドン(3)を、被補強体(1)に穿設されたアンカー孔(1a)に挿入する、アンカーテンドンの挿入方法において、
前記巻き取りリール(C)から突出されている前記アンカー体長部(30)の少なくとも一部に長尺の剛性部材(以下、「先端部支持体」とする)(40)を装着して該アンカー体長部(30)の少なくとも一部を保護する工程(図2(a) 参照)と、
前記アンカー体長部(30)を前記先端部支持体(40)と共に引き出すことにより前記自由長部(31)を前記巻き取りリール(C)から引っ張り出す工程(図2(b) の矢印F参照)と、
該巻き取りリール(C)から引っ張り出された前記自由長部(31)の少なくとも一部に、撓みが所定の曲率半径以下にならないように構成された長尺の可撓性部材(以下、「中間部支持体」とする)(41)を装着して該自由長部(31)の少なくとも一部を保護する工程(図3(a) 参照)と、
該中間部支持体(41)を前記先端部支持体(40)に連結する工程と、
前記アンカー孔(1a)の上方であって略鉛直な状態に前記先端部支持体(40)を着脱可能に保持する先端部支持体受け部(図5(b) の符号50参照)と、前記中間部支持体(41)を着脱可能に保持する中間部支持体受け部(51)と、を有するアンカーテンドン基台(5)を前記アンカー孔(1a)の近傍に配置する工程(図3(b)
参照)と、
前記先端部支持体(40)及び前記中間部支持体(41)を介して前記アンカーテンドン(3)を前記アンカーテンドン基台(5)まで搬送する工程(図3(b) 参照)と、
前記アンカー体長部(30)の先端が前記アンカー孔(1a)に対向するように前記先端部支持体(40)を前記先端部支持体受け部(50)に保持させると共に、前記中間部支持体(41)を前記中間部支持体受け部(51)に保持させる工程(図4(a) 参照)と、
前記アンカー体長部(30)及び前記自由長部(31)を前記先端部支持体(40)及び前記中間部支持体(41)に沿って移動させながら順次前記アンカー孔(1a)に挿入する工程(図4(b) 参照)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、図6(a) に例示するように、前記中間部支持体(41)が、その長手方向に移動可能となるように前記自由長部(31)の少なくとも一部を支持するガイド部(以下、「中間部側ガイド部」とする)(41a)、を上面に有し、
図6(b) に例示するように、前記先端部支持体(40)が、その長手方向に前記アンカー体長部(30)が移動可能となるように、前記自由長部(31)における前記中間部支持体(41)に支持された側の面に連続する前記アンカー体長部(30)の面を支持するガイド部(以下、「先端部側ガイド部」とする)(40a)、を有し、
前記中間部支持体(41)と前記先端部支持体(40)との連結部(図9(a) の符号D参照))が、それらの支持体(40,41)が所定角以上に屈曲しないように構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記先端部支持体(40)が鋼材であり、
前記先端部側ガイド部(40a)が、前記アンカー体長部(30)の少なくとも一部を収容する溝部であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、図7(a) 及び(b) に例示するように、前記中間部支持体(41)が、一対の外リンクプレート(410)の端部をピン(411)で連結した外リンク(41A)と、端部が該ピン(411)により回転可能に支持された一対の内リンクプレート(412)により構成される内リンク(41B)と、が交互に配置されて構成され、
前記外リンクプレート(410)及び前記内リンクプレート(412)の内の一方のリンクプレート(410又は412)の側には、他方のリンクプレート(412又は410)の側に突出される突出部(413)が形成され、
該他方のリンクプレート(412又は410)の側には、前記一方のリンクプレート(410又は412)が前記ピン(411)を中心として正逆両方向(±E)に回転したそれぞれの場合に前記突出部(413)に当接される2つの当接部(414a,414b)が形成され、
前記突出部(413)及び前記2つの当接部(414a,414b)によって、前記外リンクプレート(410)及び前記内リンクプレート(412)の所定角以上の相対回転が制限されることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、図1(a) (b) に例示するものであって、並設された複数の緊張材(A,…)を有すると共にアンカー体長部(30)では前記複数の緊張材(A,…)がグラウト材(B)で固められた状態であり自由長部(31)では該複数の緊張材(A,…)がグラウト材(B)で固められずに該緊張材(A,…)の可撓性が保持された状態であるアンカーテンドン(3)を支持するアンカーテンドン支持ユニット(図2(b)
の符号4参照)において、
撓みが所定の曲率半径以下にならないように構成された長尺の可撓性部材であって、その長手方向に移動可能となるように前記自由長部(31)の少なくとも一部を支持する中間部側ガイド部(図6(a) の符号41a参照)を上面に有する中間部支持体(41)と、
前記中間部支持体(41)に連結された長尺の剛性部材であって、前記自由長部(31)における前記中間部支持体(41)に支持された側の面に連続する前記アンカー体長部(30)の面を支持する先端部側ガイド部(図6(b) の符号40a参照)を有する先端部支持体(40)と、
を備え、
前記中間部支持体(41)と前記先端部支持体(40)との連結部(図9(a) の符号D参照)が、それらの支持体(40,41)が所定角以上に屈曲しないように構成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記先端部支持体(40)が鋼材であり、
前記先端部側ガイド部(40a)が、前記アンカー体長部(30)の少なくとも一部を収容する溝部であることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に記載の発明において、図7(a) 及び(b) に例示するように、前記中間部支持体(41)が、一対の外リンクプレート(410)の端部をピン(411)で連結した外リンク(41A)と、端部が該ピン(411)により回転可能に支持された一対の内リンクプレート(412)により構成される内リンク(41B)と、が交互に配置されて構成され、
前記外リンクプレート(410)及び前記内リンクプレート(412)の内の一方のリンクプレート(410又は412)の側には、他方のリンクプレート(412又は410)の側に突出される突出部(413)が形成され、
該他方のリンクプレート(412又は410)の側には、前記一方のリンクプレート(410又は412)が前記ピン(411)を中心として正逆両方向(±E)に回転したそれぞれの場合に前記突出部(413)に当接される2つの当接部(414a,414b)が形成され、
前記突出部(413)及び前記2つの当接部(414a,414b)によって、前記外リンクプレート(410)及び前記内リンクプレート(412)の所定角以上の相対回転が制限されることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の発明において、図6(a) 及び図7(b) に例示するように、前記中間部支持体(41)のピン(411)が、前記一対の外リンクプレート(410)の両外側に突出するように配置され、該突出した部分(411a)を介して該中間部支持体(41)が支持されるように構成されたことを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明において、図6(a) に例示するように、前記中間部支持体(41)のピン(411)であって前記一対の外リンクプレート(410)の両外側に突出した部分(411a)の周方向に沿って窪み部(411b)が形成され、該窪み部(411b)を支持することによって前記中間部支持体(41)の位置が規定されるように構成されたことを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項8又は9に係る発明において、図6(b) に例示するように、前記先端部支持体(40)が、前記中間部支持体(41)のピン(411)が突出される方向と略平行な方向に突出された突起部(401)をその両側面にそれぞれ有し、該突起部(401)を介して前記先端部支持体(40)が支持されるように構成されたことを特徴とする。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項5乃至10のいずれか1項に記載の発明において、前記中間部支持体(41)と前記先端部支持体(40)との連結部(D)が、それらの支持体(40,41)の相対回転を許容するピン部材(不図示)と、それらの支持体(40,41)の所定角以上の相対回転を制限するストッパ機構(不図示)と、からなることを特徴とする。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項10に記載のアンカーテンドン支持ユニット(4)を着脱可能に保持するアンカーテンドン基台(5)において、
前記中間部支持体(41)のピン(411)であって前記一対の外リンクプレート(410)の両外側に突出した部分(411a)を着脱可能に保持する中間部支持体受け部(図6(a) 及び図8の符号51参照)と、
前記突起部(401)を介して前記先端部支持体(40)を、略鉛直な状態であって着脱可能に保持する先端部支持体受け部(図5(b) 及び図9(a) (b) の符号50参照)と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項13に係る発明は、請求項12に係る発明において、前記中間部支持体受け部(51)が、前記中間部支持体(41)のピン(411)であって前記一対の外リンクプレート(410)の両外側に突出した部分を受けるように構成された凹部であり、
前記先端部支持体受け部(50)が、前記突起部(401)を受けるように構成された凹部であることを特徴とする。
【0022】
請求項14に係る発明は、請求項13に係る発明において、前記突起部(401)を受ける前記先端部支持体受け部(50)の凹部の面が、一方が高くて他方が低くなるように傾斜して形成された面であり、前記先端部支持体(40)の前記突起部(401)が該面に沿って摺動するように構成されたことを特徴とする。
【0023】
請求項15に係る発明は、請求項13又は14に係る発明において、図8に例示するように、前記中間部支持体受け部(51)である凹部を設ける間隔(p1)が、前記中間部支持体(41)のピン(411)を設ける間隔(p2)の整数分の1であることを特徴とする。
【0024】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0025】
請求項1、3及び4に係る発明によれば、前記アンカー体長部は前記先端部支持体により保護され、前記自由長部は前記中間部支持体により保護されているので、該アンカー体長部及び該自由長部の損傷を防止できる。また、これらの先端部支持体及び中間部支持体は連結されているので、前記アンカー体長部と前記自由長部との境界部分の損傷も防止することができる。
【0026】
請求項2に係る発明によれば、前記自由長部は前記中間部側ガイド部に沿って移動し前記アンカー体長部は前記先端部側ガイド部に沿って移動するのでアンカーテンドンを円滑にアンカー孔に挿入することができる。また、前記先端部支持体と前記中間部支持体との連結部が所定角以上に屈曲しないように構成されているので、前記アンカー体長部と前記自由長部との境界部分の損傷も防止することができる。
【0027】
請求項5乃至8,10及び11に係る発明によれば、前記アンカー体長部は前記先端部支持体により保護され、前記自由長部は前記中間部支持体により保護されているので、該アンカー体長部及び該自由長部の損傷を防止できる。また、前記先端部支持体と前記中間部支持体との連結部が所定角以上に屈曲しないように構成されているので、前記アンカー体長部と前記自由長部との境界部分の損傷も防止することができる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、前記中間部支持体の位置(つまり、ピンの突出方向の位置)が規定されて横ずれを防止できる。
【0029】
請求項12乃至15に係る発明によれば、前記アンカーテンドンに損傷を与えないで前記アンカーテンドン支持ユニットを簡単に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a) は、アンカーテンドンをアンカー孔に挿入した状態の一例及びアンカーテンドンの構造の一例を示す縦断面図であり、同図(b) は、アンカー体長部の構造の一例を示す横断面図である。
【図2】図2(a) (b) は、アンカーテンドンを挿入する工程の一例を示す模式図である。
【図3】図3(a) (b) は、アンカーテンドンを挿入する工程の一例を示す模式図である。
【図4】図4(a) (b) は、アンカーテンドンを挿入する工程の一例を示す模式図である。
【図5】図5(a) は、アンカーテンドン基台に保持されたアンカーテンドン等を示す正面図であり、同図(b) は、その側面図である。
【図6】図6(a) は、自由長部の支持の状態の一例を示す断面図であり、同図(b) は、アンカー体長部の支持の状態の一例を示す断面図である。
【図7】図7(a) は、中間部支持体の構造の一例を示す側面図であり、同図(b) は、その平面図である。
【図8】図8は、中間部支持体受け部の構造の一例を示す側面図である。
【図9】図9(a) (b) は、先端部支持体を先端部支持体受け部に装着する様子の一例を示す側面図である。
【図10】図10は、アンカーテンドンをアンカー孔に挿入する従来方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図1乃至図9に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
本発明に係るアンカーテンドンの挿入方法は、図1(a) に例示するように、被補強体(例えば、ダムや防波堤などのコンクリート構造物等)1に穿設されたアンカー孔1aにアンカーテンドン3を挿入する方法である。そして、該方法により挿入するアンカーテンドン3は、並設された複数の緊張材(つまり、束を形成するように並べて設けられた複数のストランド)A,…を有しており、その先端部分(本明細書においては「アンカー体長部」とする)30では、図1(b)
に詳示するように、前記複数の緊張材A,…の隙間にグラウト材Bが充填されていて該複数の緊張材A,…が該グラウト材Bで固められた状態であり、中間部分(本明細書においては「自由長部」とする)31では、該複数の緊張材A,…がグラウト材Bで固められずに該緊張材A,…の可撓性が保持された状態となっている。そして、前記自由長部31は巻き取りリール(図2(a)
(b) の符号C参照)に巻き取られた状態となっており、前記アンカー体長部30は、該巻き取りリールCに巻き取られずに該リールCから突出された状態となっている。前記アンカー体長部30のプレグラウトは工場で行っても現場で行っても良いが、前記アンカーテンドン3を搬送する場合には、図2(a)
に符号7で示すコンテナを用いると良い。
【0033】
また、本発明に係るアンカーテンドンの挿入方法は、以下の工程を有している。すなわち、
(1) 図2(a) に示すように、前記巻き取りリールCから突出されている前記アンカー体長部30の少なくとも一部に長尺の剛性部材(クレーンで吊り上げた際にグラウトで固められたアンカー体長部に影響が生じない十分な剛性部材。本明細書においては「先端部支持体」とする)40を装着して該アンカー体長部30の少なくとも一部を保護する工程
(2) 図2(b) に矢印Fで示すように、前記アンカー体長部30を前記先端部支持体40と共に引き出すことにより前記自由長部31を前記巻き取りリールCから引っ張り出す工程
(3) 図2(b) に示すように、該巻き取りリールCから引っ張り出された前記自由長部31の少なくとも一部に、撓みが所定の曲率半径以下にならないように構成された長尺の可撓性部材(本明細書においては「中間部支持体」とする)41を装着して該自由長部31の少なくとも一部を保護する工程
(4) 該中間部支持体41を前記先端部支持体40に連結する工程
(5) 図5(b) に示すように、該先端部支持体40を着脱可能に保持する先端部支持体受け部50と、該中間部支持体41を着脱可能に保持する中間部支持体受け部51と、を有するアンカーテンドン基台5を、図3(b)
に示すように前記アンカー孔1aの近傍に配置する工程
(6) 図3(a) (b) に示すように、前記先端部支持体40及び前記中間部支持体41を介して前記アンカーテンドン3を前記アンカーテンドン基台5まで搬送する工程(つまり、前記先端部支持体40及び前記中間部支持体41をクレーン等で吊り上げて前記アンカーテンドン3を前記アンカーテンドン基台5まで搬送する工程)
(7) 図4(a) 及び図5(a) (b) に示すように、前記アンカー体長部30の先端(下端)が前記アンカー孔1aに対向するように(つまり、前記先端部支持体40が前記アンカー孔1aの上方で略鉛直な状態となるように)前記先端部支持体40を前記先端部支持体受け部50に保持させると共に、前記中間部支持体41を前記中間部支持体受け部51に保持させる工程
(8) 図4(b) に示すように、前記アンカー体長部30及び前記自由長部31を前記先端部支持体40及び前記中間部支持体41に沿って移動させながら順次前記アンカー孔1aに挿入する工程
【0034】
なお、上記(1)(2)(3)の各工程はその順序で実施する必要があり、上記(5)(6)(7)(8)の各工程もその順序で実施する必要があり、上記(1)〜(4)の工程は上記(6)の工程を実施する前に実施しておく必要がある。また、上記(4)の工程は、上記(3)と(5)の間で実施すると良いが、(1)と(2)の間で実施する態様、(1)の前で実施する態様、及び(5)と(6)の間で実施する態様を本発明の範囲から除外するものでは無い。ここで、上記(7)の工程において、前記中間部支持体41の前記中間部支持体受け部51への設置は、クレーンの操作者と、該中間部支持体受け部51の近傍にいる作業者とが共同して行えば良く、前記先端部支持体40の前記先端部支持体受け部50への設置は、クレーンの操作者と、該先端部支持体受け部50の近傍にいる作業者とが共同して行えば良い。また、前記中間部支持体41の前記中間部支持体受け部51への設置を先に行い、次に、前記先端部支持体40の前記先端部支持体受け部50への設置を行うようにすると良い。さらに、前記クレーンは、前記先端部支持体40及び前記中間部支持体41において少なくとも3箇所を吊り上げるようにし、前記先端部支持体40の先端に取り付けるワイヤにはワイヤ巻き取り装置(電動チェーンブロックや電動ウィンチなど)8を介装させておいて、該装置によってワイヤを送り出すことによって該先端部支持体40の先端が降下するようにしておくと良い。またさらに、前記アンカー体長部30及び前記自由長部31の前記アンカー孔1aへの挿入は、前記アンカーテンドン基台5に取り付けたウィンチ等(図4(b) の符号6参照)で行うようにすると良い。なお、以上の説明では、1つのアンカー孔1aにつき1本のアンカーテンドン3を挿入することを前提としているが、上述した各種装置を使用して1つのアンカー孔1aに複数本のアンカーテンドン3(つまり、束にした状態の複数本のアンカーテンドン3)を挿入するようにしても良い。
【0035】
また、上述の中間部支持体41の上面には、図6(a) に詳示するように、ガイド部(本明細書においては「中間部側ガイド部」とする)41aを形成しておいて、前記自由長部31が長手方向(紙面垂直方向)に移動可能となるように該自由長部31の少なくとも一部を該中間部側ガイド部41aによって支持するようにすると良い。また、図6(b)
に詳示するように、前記アンカー体長部30の少なくとも一側の面(具体的には、前記自由長部31における前記中間部支持体41に支持された側の面(つまり、該自由長部31の下面)に連続する側の面)を支持するガイド部(本明細書においては「先端部側ガイド部」とする)40aを前記先端部支持体40に設けておいて、該先端部側ガイド部40aによって前記アンカー体長部30を長手方向(紙面垂直方向)に移動可能となるように支持するようにすると良い。これにより、前記自由長部31は前記中間部側ガイド部41aに沿って移動し前記アンカー体長部30は前記先端部側ガイド部40aに沿って移動するのでアンカーテンドン3を円滑にアンカー孔1aに挿入することができる。なお、前記アンカーテンドン3の挿入時において、前記中間部側ガイド部41aには前記自由長部31が載置されることとなるので該自由長部31がその長手方向に移動する際には該自由長部31は該中間部側ガイド部41aに常に接触していることとなるが、他方の先端部支持体40の近傍では前記アンカー体長部30や前記自由長部31は略鉛直な方向に降ろされていくこととなるので、該アンカー体長部30や該自由長部31が前記先端部側ガイド部40aと接触しない状態もあり得る。また、前記先端部支持体40は前記アンカー体長部30の全体を保護するようにすることが好ましいが、該アンカー体長部30の一部のみを保護するようにしたものを本発明の範囲から除外するものではない。同様に、前記中間部支持体41は前記自由長部31の全体を保護するようにすることが好ましいが、該自由長部31の一部のみを保護するようにしたものを本発明の範囲から除外するものではない。さらに、前記先端部側ガイド部40aは前記アンカー体長部30の全体を支持するようにしても該アンカー体長部30の一部を支持するようにしても良く、前記中間部側ガイド部41aは前記自由長部31の全体を支持するようにしても一部を支持するようにしても良い。
【0036】
さらに、上述の先端部支持体40と中間部支持体41との連結部(図9(a) の符号D参照)は、それらの支持体40,41が所定角以上に(所定の曲率半径以下に)屈曲しないように構成しておくと良い。そのようにした場合には、前記アンカー体長部30と前記自由長部31との境界部分の損傷を防止することができる。なお、これらの先端部支持体40や中間部支持体41や連結部Dの詳細構造については後述する。
【0037】
本発明によれば、前記アンカー体長部30は前記先端部支持体40により保護され、前記自由長部31は前記中間部支持体41により保護されているので、該アンカー体長部30及び該自由長部31の損傷を防止できる。また、前記先端部支持体40と前記中間部支持体41との連結部Dが所定角以上に屈曲しないように構成されているので、前記アンカー体長部30と前記自由長部31との境界部分の損傷も防止することができる。
【0038】
一方、本発明に係るアンカーテンドン支持ユニット4はアンカーテンドン3を着脱可能に支持するものであって、該アンカーテンドン3は、図1(a) に示すように、並設された複数の緊張材(つまり、束を形成するように並べて設けられた複数のストランド)A,…を有しており、アンカー体長部30では、図1(b)
に詳示するように、前記複数の緊張材A,…の隙間にグラウト材Bが充填されていて該複数の緊張材A,…が該グラウト材Bで固められた状態であり、自由長部31では、該複数の緊張材A,…がグラウト材Bで固められずに該緊張材A,…の可撓性が保持された状態となっている。そして、本発明に係るアンカーテンドン支持ユニット4は、
・ 前記自由長部31の少なくとも一部を支持する中間部支持体41と、
・ 前記アンカー体長部30の少なくとも一部を支持する先端部支持体40と、
を備えている。また、前記中間部支持体41は、撓みが所定の曲率半径以下にならないように構成された長尺の可撓性部材であって、その上面には中間部側ガイド部(図6(a) の符号41a参照)が形成されていて、該中間部側ガイド部41aによって、前記自由長部31の少なくとも一部をその長手方向に移動可能に支持するように構成されている。さらに、前記先端部支持体40は、前記中間部支持体41に連結された長尺の剛性部材であって、前記アンカー体長部30の少なくとも一側の面(具体的には、前記自由長部31における前記中間部支持体41に支持された側の面(つまり、該自由長部31の下面)に連続する側の面)を支持する先端部側ガイド部(図6(b)
の符号40a参照)を有している。またさらに、前記中間部支持体41と前記先端部支持体40との連結部(図9(a) の符号D参照)は、それらの支持体40,41が所定角以上に屈曲しないように構成されている。本発明によれば、前記アンカー体長部30は前記先端部支持体40により保護され、前記自由長部31は前記中間部支持体41により保護されているので、該アンカー体長部30及び該自由長部31の損傷を防止できる。また、前記先端部支持体40と前記中間部支持体41との連結部Dが所定角以上に屈曲しないように構成されているので、前記アンカー体長部30と前記自由長部31との境界部分の損傷も防止することができる。
【0039】
ところで、上述した中間部支持体41(つまり、前記アンカーテンドンの挿入方法や前記アンカーテンドン支持ユニット4で用いる中間部支持体41)は、図7(a) (b) に詳示するように、一対の外リンクプレート410の端部をピン411で連結した外リンク41Aと、端部が該ピン411により回転可能に支持された一対の内リンクプレート412により構成される内リンク41Bと、を交互に配置して構成すると良い。その場合、前記外リンクプレート410の側に突出する突出部413を前記内リンクプレート412の側に設け、該突出部413に当接される2つの当接部414a,414b(具体的には、前記内リンクプレート412が前記ピン411を中心として正逆両方向±Eに回転したそれぞれの場合に該突出部413に当接される2つの当接部414a,414b)を設けておいて、両リンクプレート410,412の所定角以上の相対回転が制限されるようにすると良い。このような突出部413を各内リンクプレート412に設け、前記当接部414a,414bを各外リンクプレート410に設けることにより、中間部支持体41が所定曲率半径以下に撓まないようにすることができる。なお、図7(a)
に示す例では、前記当接部414a,414bは、前記外リンクプレート410に穿設された長孔の両端縁であって、前記突出部413は、該長孔内を移動するように構成されているが、もちろんこれに限られるものではなく、所定角以上の相対回転を制限する当接部であれば、どのような形状であっても良い。また、前記内リンクプレート412の側に突出する突出部(不図示)を前記外リンクプレート410の側に設け、該突出部に当接される2つの当接部(具体的には、前記外リンクプレート410が前記ピン411を中心として正逆両方向±Eに回転したそれぞれの場合に該突出部に当接される2つの当接部(不図示))を前記内リンクプレート412の側に設けておいて、両リンクプレート410,412の所定角以上の相対回転が制限されるようにしても良い。さらに、前記ピン411にはローラー41aを回転自在に支持させておいて、該ローラー41aを前記中間部側ガイド部として使用すると良い。このローラー41aがローラーコンベヤとして機能することとなり、前記アンカーテンドン3を前記アンカー孔1aに挿入する際には前記自由長部31が該ローラー41aの上を移動することとなる。またさらに、前記中間部支持体41のピン411は、前記一対の外リンクプレート410の両外側に突出するように配置しておいて(符号411a参照)、該突出した部分を介して該中間部支持体41が支持されるように構成しておくと良い。また、前記中間部支持体41のピン411であって前記一対の外リンクプレート410の両外側に突出した部分411aの周方向に沿って窪み部(図6(a)
の符号411b参照)を形成しておき(つまり、環状の溝部を形成しておき)、該窪み部411bを支持することによって前記中間部支持体41の位置(つまり、ピン411の突出方向の位置)が規定されて横ずれを防止できるように構成しておくと良い。このピン411はアンカーテンドン基台5の中間部支持体受け部51によって支持されることになるが、該中間部支持体受け部51の詳細構造については後述する。
【0040】
一方、上述した先端部支持体40(つまり、前記アンカーテンドンの挿入方法や前記アンカーテンドン支持ユニット4で用いる先端部支持体40)は鋼材で構成すると良く、前記先端部側ガイド部40aは、図6(b) に詳示するように、前記アンカー体長部30の少なくとも一部(好ましくは全体)を収容する溝部とすると良い。具体的には、H形鋼や溝形鋼を該先端部支持体40として用いると良い。そして、前記アンカーテンドン3を前記アンカー孔1aに挿入する際には、前記先端部側ガイド部40aに沿って前記アンカー体長部30及び前記自由長部31が移動するようにすると良い。また、前記先端部支持体40が、前記中間部支持体41のピン411が突出される方向と略平行な方向に突出された突起部401をその両側面にそれぞれ有するようにし、該突起部401を介して前記先端部支持体40が支持されるように構成しておくと良い。この突起部401はアンカーテンドン基台5の中間部支持体受け部50によって支持されることになるが、該中間部支持体受け部50の詳細構造については後述する。
【0041】
ところで、前記先端部支持体40と前記中間部支持体41との連結部Dは、それらの支持体40,41が所定角以上に屈曲しないように構成されている必要があるが、そのためには、前記先端部支持体40と前記中間部支持体41とをピン部材(不図示)によって連結してそれらの支持体40,41の相対回転が許容されるように構成すると共に、図7(a) (b) に示す突出部413及び当接部414a,414bと同様のストッパ機構を該連結部Dに設けておいて、それらの支持体40,41の所定角以上の相対回転が制限されるようにすると良い。また、前記先端部支持体40が前記中間部支持体受け部50に保持される際に該先端部支持体40の下方への所定距離の移動が許容されるように、該先端部支持体40と前記中間部支持体41との連結部Dにスライド機構を設けておくと良い。例えば、図9(a)
に示すように、該先端部支持体40及び前記中間部支持体41のいずれか一方の部材に長孔9aを設けておき、他方の部材に、該長孔9aに嵌装されて長孔内を摺動する部材(摺動部材)9bを設けてスライド機構とすると良い。
【0042】
一方、本発明に係るアンカーテンドン基台5は、上述のアンカーテンドン支持ユニット4を着脱可能に保持するものであって、
・ 前記中間部支持体41のピン411(具体的には、前記一対の外リンクプレート410の両外側に突出した部分411a)を着脱可能に保持する中間部支持体受け部51と、
・ 前記突起部401を介して前記先端部支持体40を、略鉛直な状態であって着脱可能に保持する中間部支持体受け部50と、
を備えている。この中間部支持体受け部51としては、図8に詳示するように、前記中間部支持体41のピン411(具体的には、前記一対の外リンクプレート410の両外側に突出した部分)を受けるように構成された凹部を挙げることができる。この凹部51を設ける間隔(該中間部支持体受け部51に保持された前記中間部支持体41の長手方向の間隔)p1は、前記ピン411を設ける間隔(前記中間部支持体41の長手方向の間隔)p2と同じにする必要はなく、整数分の1の間隔としても良い。つまり、前記アンカーテンドン支持ユニット4は上述のようにクレーンで吊り上げられて搬送されるが、前記凹部51の間隔を細かくしておくことで前記中間部支持体41のピン411を該凹部51に容易に設置することができ、その設置作業が簡単になるという効果を得ることができる。また、前記中間部支持体受け部50としては、図9に詳示するように、前記突起部401を受けるように構成された凹部を挙げることができる。この凹部50の面(つまり、前記突起部401を受ける前記中間部支持体受け部50の凹部50の面)は、一方が高くて他方が低くなるように傾斜して形成された面とし、前記先端部支持体40の前記突起部401が前記面に沿って摺動しながら落ち込むように構成すると良い(図9(b) の矢印J参照)。
【符号の説明】
【0043】
1 被補強体
1a アンカー孔
3 アンカーテンドン
4 アンカーテンドン支持ユニット
5 アンカーテンドン基台
30 アンカー体長部
31 自由長部
40 先端部支持体
40a 先端部側ガイド部
41 中間部支持体
41a 中間部側ガイド部
41A 外リンク
41B 内リンク
50 先端部支持体受け部
51 中間部支持体受け部
401 突起部
410 外リンクプレート
411 ピン
411b 窪み部
412 内リンクプレート
413 突出部
A,… 緊張材
B グラウト材
C 巻き取りリール
D 中間部支持体と先端部支持体との連結部
p1 中間部支持体受け部である凹部を設ける間隔
p2 中間部支持体のピンを設ける間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数の緊張材を有すると共に先端部分(以下、「アンカー体長部」とする)では前記複数の緊張材がグラウト材で固められた状態であり中間部分(以下、「自由長部」とする)では該複数の緊張材がグラウト材で固められずに該緊張材の可撓性が保持された状態であるアンカーテンドンであって、前記自由長部が巻き取りリールに巻き取られていると共に前記アンカー体長部が該巻き取りリールから突出されているアンカーテンドンを、被補強体に穿設されたアンカー孔に挿入する、アンカーテンドンの挿入方法において、
前記巻き取りリールから突出されている前記アンカー体長部の少なくとも一部に長尺の剛性部材(以下、「先端部支持体」とする)を装着して該アンカー体長部の少なくとも一部を保護する工程と、
前記アンカー体長部を前記先端部支持体と共に引き出すことにより前記自由長部を前記巻き取りリールから引っ張り出す工程と、
該巻き取りリールから引っ張り出された前記自由長部の少なくとも一部に、撓みが所定の曲率半径以下にならないように構成された長尺の可撓性部材(以下、「中間部支持体」とする)を装着して該自由長部の少なくとも一部を保護する工程と、
該中間部支持体を前記先端部支持体に連結する工程と、
前記アンカー孔の上方であって略鉛直な状態に前記先端部支持体を着脱可能に保持する先端部支持体受け部と、前記中間部支持体を着脱可能に保持する中間部支持体受け部と、を有するアンカーテンドン基台を前記アンカー孔の近傍に配置する工程と、
前記先端部支持体及び前記中間部支持体を介して前記アンカーテンドンを前記アンカーテンドン基台まで搬送する工程と、
前記アンカー体長部の先端が前記アンカー孔に対向するように前記先端部支持体を前記先端部支持体受け部に保持させると共に、前記中間部支持体を前記中間部支持体受け部に保持させる工程と、
前記アンカー体長部及び前記自由長部を前記先端部支持体及び前記中間部支持体に沿って移動させながら順次前記アンカー孔に挿入する工程と、
を備えたことを特徴とする、アンカーテンドンの挿入方法。
【請求項2】
前記中間部支持体は、その長手方向に移動可能となるように前記自由長部の少なくとも一部を支持するガイド部(以下、「中間部側ガイド部」とする)、を上面に有し、
前記先端部支持体は、その長手方向に前記アンカー体長部が移動可能となるように、前記自由長部における前記中間部支持体に支持された側の面に連続する前記アンカー体長部の面を支持するガイド部(以下、「先端部側ガイド部」とする)、を有し、
前記中間部支持体と前記先端部支持体との連結部は、それらの支持体が所定角以上に屈曲しないように構成された、
ことを特徴とする、請求項1に記載のアンカーテンドンの挿入方法。
【請求項3】
前記先端部支持体は鋼材であり、
前記先端部側ガイド部は、前記アンカー体長部の少なくとも一部を収容する溝部である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の、アンカーテンドンの挿入方法。
【請求項4】
前記中間部支持体は、一対の外リンクプレートの端部をピンで連結した外リンクと、端部が該ピンにより回転可能に支持された一対の内リンクプレートにより構成される内リンクと、が交互に配置されて構成され、
前記外リンクプレート及び前記内リンクプレートの内の一方のリンクプレートの側には、他方のリンクプレートの側に突出される突出部が形成され、
該他方のリンクプレートの側には、前記一方のリンクプレートが前記ピンを中心として正逆両方向に回転したそれぞれの場合に前記突出部に当接される2つの当接部が形成され、
前記突出部及び前記2つの当接部によって、前記外リンクプレート及び前記内リンクプレートの所定角以上の相対回転が制限される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の、アンカーテンドンの挿入方法。
【請求項5】
並設された複数の緊張材を有すると共にアンカー体長部では前記複数の緊張材がグラウト材で固められた状態であり自由長部では該複数の緊張材がグラウト材で固められずに該緊張材の可撓性が保持された状態であるアンカーテンドンを支持するアンカーテンドン支持ユニットにおいて、
撓みが所定の曲率半径以下にならないように構成された長尺の可撓性部材であって、その長手方向に移動可能となるように前記自由長部の少なくとも一部を支持する中間部側ガイド部を上面に有する中間部支持体と、
前記中間部支持体に連結された長尺の剛性部材であって、前記自由長部における前記中間部支持体に支持された側の面に連続する前記アンカー体長部の面を支持する先端部側ガイド部を有する先端部支持体と、
を備え、
前記中間部支持体と前記先端部支持体との連結部は、それらの支持体が所定角以上に屈曲しないように構成された、
ことを特徴とするアンカーテンドン支持ユニット。
【請求項6】
前記先端部支持体は鋼材であり、
前記先端部側ガイド部は、前記アンカー体長部の少なくとも一部を収容する溝部である、
ことを特徴とする請求項5に記載のアンカーテンドン支持ユニット。
【請求項7】
前記中間部支持体は、一対の外リンクプレートの端部をピンで連結した外リンクと、端部が該ピンにより回転可能に支持された一対の内リンクプレートにより構成される内リンクと、が交互に配置されて構成され、
前記外リンクプレート及び前記内リンクプレートの内の一方のリンクプレートの側には、他方のリンクプレートの側に突出される突出部が形成され、
該他方のリンクプレートの側には、前記一方のリンクプレートが前記ピンを中心として正逆両方向に回転したそれぞれの場合に前記突出部に当接される2つの当接部が形成され、
前記突出部及び前記2つの当接部によって、前記外リンクプレート及び前記内リンクプレートの所定角以上の相対回転が制限される、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のアンカーテンドン支持ユニット。
【請求項8】
前記中間部支持体のピンは、前記一対の外リンクプレートの両外側に突出するように配置され、該突出した部分を介して該中間部支持体が支持されるように構成された、
ことを特徴とする請求項7に記載のアンカーテンドン支持ユニット。
【請求項9】
前記中間部支持体のピンであって前記一対の外リンクプレートの両外側に突出した部分の周方向に沿って窪み部が形成され、該窪み部を支持することによって前記中間部支持体の位置が規定されるように構成された、
ことを特徴とする請求項8に記載のアンカーテンドン支持ユニット。
【請求項10】
前記先端部支持体は、前記中間部支持体のピンが突出される方向と略平行な方向に突出された突起部をその両側面にそれぞれ有し、該突起部を介して前記先端部支持体が支持されるように構成された、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のアンカーテンドン支持ユニット。
【請求項11】
前記中間部支持体と前記先端部支持体との連結部は、それらの支持体の相対回転を許容するピン部材と、それらの支持体の所定角以上の相対回転を制限するストッパ機構と、からなる、
ことを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載のアンカーテンドン支持ユニット。
【請求項12】
請求項10に記載のアンカーテンドン支持ユニットを着脱可能に保持するアンカーテンドン基台において、
前記中間部支持体のピンであって前記一対の外リンクプレートの両外側に突出した部分を着脱可能に保持する中間部支持体受け部と、
前記突起部を介して前記先端部支持体を、略鉛直な状態であって着脱可能に保持する先端部支持体受け部と、
を備えたことを特徴とするアンカーテンドン基台。
【請求項13】
前記中間部支持体受け部は、前記中間部支持体のピンであって前記一対の外リンクプレートの両外側に突出した部分を受けるように構成された凹部であり、
前記先端部支持体受け部は、前記突起部を受けるように構成された凹部である、
ことを特徴とする請求項12に記載のアンカーテンドン基台。
【請求項14】
前記突起部を受ける前記先端部支持体受け部の凹部の面は、一方が高くて他方が低くなるように傾斜して形成された面であり、前記先端部支持体の前記突起部が該面に沿って摺動するように構成された、
ことを特徴とする請求項13に記載のアンカーテンドン基台。
【請求項15】
前記中間部支持体受け部である凹部を設ける間隔は、前記中間部支持体のピンを設ける間隔の整数分の1である、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載のアンカーテンドン基台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−104192(P2013−104192A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247219(P2011−247219)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(391019740)三信建設工業株式会社 (59)
【出願人】(390036504)日特建設株式会社 (99)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】