説明

イヌインフルエンザウイルスならびに関連組成物および使用方法

本発明は、配列番号4または位置94および233でのアミノ酸が配列番号4と同一であるという条件で配列番号4に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するHAを含むサブタイプH3N8の単離イヌインフルエンザウイルス、弱毒化または不活性化ウイルスを含有する組成物、単離または精製されたHA、NM、NP、M1、NS1、PA、PB1、およびPB2のタンパク質およびそれらの断片と、場合によりそれらをコードするベクターの一部としてのそれらまたは核酸を含有する組成物、ならびに動物におけるイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法であって、上記組成物をその動物に投与する工程を含む、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2005年10月18日出願のU.S. Provisional Patent Application No. 60/727,808、および2006年10月5日出願のU.S. Utility Patent Application No. 11/539,123の利益を主張するものであり、その内容はその全体が参照により本明細書中に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ウイルス学、分子生物学、および免疫学の分野に関する。特に、本発明は、イヌインフルエンザウイルス、ならびに動物における免疫応答の誘発における関連組成物および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae)科に属するRNAウイルスである。ウイルスRNAは8つの独立セグメントからなり、それらはインフルエンザウイルス内で組換えを容易に行い新たなサブタイプを生成する。
【0004】
ヌクレオカプシドの主要成分である核タンパク質(NP)は、5番目のセグメントにコードされる。NPおよびマトリックスタンパク質を用いることで、インフルエンザウイルスがグループA、BまたはCに分類される。NPが内部タンパク質であることから、それは宿主の免疫系による選択圧を受けることはない。それはRNAに結合し、転写酵素複合体の一部であり、かつウイルスRNA(vRNA)の核−細胞質輸送に関与する。
【0005】
末端シアル酸とその次の糖残基を連結するα−ケト結合を分離することによって感染細胞由来のウイルスの子孫の放出を可能にするノイラミニダーゼ(NM)は、6つのセグメントによってコードされる。この酵素の9つのサブタイプ(N1〜N9)については同定されている。すべてのサブタイプは、2つの構造領域、すなわちストークおよびヘッドを有する。すべてのN8タンパク質は470個のアミノ酸を有し、その最初の8個は高度に保存される。それに続く領域は、疎水性アミノ酸に豊み、膜透過ドメインであると考えられる。次の51個のアミノ酸はストーク領域を構成し、ヘッド領域はCys91から開始する。最後の領域は酵素の触媒部位を有する。ヘッドおよびストーク領域内のシステイン残基は、高度に保存される傾向がある。推定上のN−グリコシル化部位が6〜8個存在する。
【0006】
ウイルスの宿主細胞への吸着を担う膜糖タンパク質である赤血球凝集素(HA)は、中和抗体の対象となる主な抗原である。その抗原の変異がインフルエンザ流行の主な原因である。それは第4のセグメントによってコードされる。16の異なるサブタイプ(H1〜H16)が同定されている。HAは、ジスルフィド橋によって連結される16個のアミノ酸と2個のポリペプチド(HA1およびHA2)のシグナルペプチドを有する。HA1はアミノ末端を有する一方、HA2はカルボキシル末端を有する。HA2内の疎水性領域はHAをウイルス膜に固定する。システイン残基は高度に保存される傾向がある。6つの推定上のグリコシル化部位が存在することで、ウイルスにおけるその抗原部位のマスクが可能になる(非特許文献1)。
【0007】
他のタンパク質は、マトリックス(MまたはM1およびM2)、非構造性のもの(NSまたはNS1およびNS2)、PA、PB1、ならびにPB2を含む。M1タンパク質は、感染細胞の原形質膜にタンパク質のN末端の2つの疎水性領域を介して結合するビリオンの主要成分である一方、M2はイオンチャネルであり、それ故、必須の膜タンパク質である。NS1タンパク質は核内に見出され、細胞RNAの輸送、スプライシング、および翻訳に作用する。NS2タンパク質は核内および細胞質内に見出され、未知の機能を有する。PAタンパク質は転写酵素であり、プロテアーゼ活性を有しうる一方、PB1タンパク質は転写伸長における機能を果たし、かつPB2タンパク質は転写でのキャップ結合における機能を果たす。
【0008】
全世界的には、インフルエンザはヒト、ブタ、ウマおよびトリにおける最も経済的見地から重要な呼吸器疾患である(非特許文献2)。インフルエンザウイルスはその連続的な遺伝子および抗原の変化として知られ、それはウイルスの有効な制御の妨げとなっている(非特許文献3)。流行および汎発の予防においては、遺伝子の混ぜ合わせまたは種間伝播によるウイルスの新しいサブタイプの出現が関心の的となっている(非特許文献2)。
【0009】
最近、インフルエンザの発生については、従来からインフルエンザウイルスを運搬しないとされているネコとイヌのごとき種において生じている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7)。したがって、インフルエンザウイルスの宿主域は拡大している。
【0010】
インフルエンザウイルスによる感染により引き起こされる、レース用のグレーハウンドにおける呼吸器疾患の発生については、2004年にフロリダ州、2005年4月に東部および西部アイオワ州および2005年にテキサス州で生じている。同疾患は熱および咳の急激な発症、多呼吸、および出血性鼻汁によって特徴づけられた。罹患率はアイオワ州ではいずれのレーストラックの敷地でもほぼ100%であったが、死亡率は5%未満であった。大部分の割合の罹患したイヌが回復したが、多数が出血性肺炎で死亡した。広域スペクトルの抗生物質の治療的投与により疾患の重症度が低下したが、それを制御することはできなかった。
【非特許文献1】Skehel et al., PNAS USA 81: 1779 (1984)
【非特許文献2】Wright et al., Orthomyxoviruses. In: Fields Virology. Knipe et al., eds. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 2001. pp. 1533-1579.
【非特許文献3】Wright et al. (2001), supra; Webster et al., Microbiol. Rev. 56: 152-179 (1992)
【非特許文献4】Keawcharoen et al., Emerg. Infect. Dis. 10: 2189-2191 (2004)
【非特許文献5】Crawford et al., Science 310: 398-485 (October 21, 2005; published online September 29, 2005)
【非特許文献6】Dubovi et al., Isolation of equine influenza virus from racing greyhounds with fatal hemorrhagic pneumonia. In: Proceedings of the 47th Annual Meeting of American Association of Veterinary Laboratory Diagnosticians, Greensboro, NC, October 2005. p. 158
【非特許文献7】Yoon et al., Emerg. Infect. Dis. 11(12): 1974-1976 (December 2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記を考慮すると、イヌに感染するインフルエンザウイルスを提供することが本発明の目的である。イヌにおけるインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発するための材料および方法を提供することが本発明の別の目的である。これらや他の目的および利点、ならびにさらなる発明の特徴は、本明細書で提供される詳細な説明から明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、配列番号4または位置94および233でのアミノ酸が配列番号4と同一であるという条件で配列番号4に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するHAを含むサブタイプH3N8の単離イヌインフルエンザウイルスを提供する。特に本発明は、2006年6月29日に特許寄託番号PTA−7694としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(マナサス(Manassas)、バージニア州)に寄託されたサブタイプH3N8の単離イヌインフルエンザウイルスを提供する。したがって、本発明は、弱毒化ウイルスを含有する組成物ならびに不活性化ウイルスを含有する組成物も提供する。
【0013】
本発明は単離または精製されたタンパク質も提供する。一実施形態では、本発明は、(i)配列番号4のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置94および233で配列番号4の配列と同一であるという条件で配列番号4に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたHA、あるいは、少なくとも1つが配列番号4の位置94または233でそのアミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片を提供する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、(i)配列番号2のアミノ酸配列を含むか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置68および134で配列番号2の配列と同一であるという条件で配列番号2に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む単離または精製されたNM、あるいは、少なくとも1つが配列番号2の位置68または134でそのアミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片を提供する。
【0015】
さらに別の実施形態では、本発明は、(i)配列番号6のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置402で配列番号6の配列と同一であるという条件で配列番号6に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたNP、あるいは、少なくとも1つが配列番号6の位置402でそのアミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片を提供する。
【0016】
さらに別の実施形態では、本発明は、(i)配列番号8のアミノ酸配列を有するかまたは(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸位置111で配列番号8の配列と同一であるという条件で配列番号8に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたM1、あるいは、少なくとも1つが配列番号8の位置111でそのアミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片を提供する。
【0017】
単離または精製されたNS1も提供され、それは配列番号10のアミノ酸配列を有する。
【0018】
(i)配列番号12のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置233、256、327、および561で配列番号12の配列と同一であるという条件で配列番号12に対して98%(もしくは99%)を超えて同一のアミノ酸配列を有する単離または精製されたPAタンパク質、あるいは、少なくとも1つが配列番号12の位置233、256、327、および561でそのアミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片もさらに提供される。
【0019】
(i)配列番号14のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置200および213で配列番号14の配列と同一であるという条件で配列番号14に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたPB1、あるいは、少なくとも1つが配列番号14の位置200または213でそのアミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片もまたさらに提供される。
【0020】
(i)配列番号16のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置107、221、292、および661で配列番号16の配列と同一であるという条件で配列番号16に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたPB2、あるいは、少なくとも1つが配列番号16の位置107、221、292、または661でそのアミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片もまたさらに提供される。
【0021】
上記を考慮すると、本発明は、動物において免疫応答を誘発するのに十分な量の、HAもしくはNMなどの上記のタンパク質またはその断片および生物学的に許容できる担体を含有する組成物をさらに提供する。
【0022】
さらに上記を考慮すると、本発明は、動物においてイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法を提供する。本方法は、タンパク質またはその断片を含有する組成物を動物に投与する工程を含む。
【0023】
動物において免疫応答を誘発するのに十分な量の、HAもしくはNMなどのタンパク質またはその断片を発現する単離または精製された核酸および生物学的に許容できる担体を含有する組成物としての、場合によりベクターの一部である、上記のタンパク質またはその断片をコードする単離または精製された核酸も提供される。
【0024】
したがって、本発明は動物におけるイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する別の方法も提供する。本方法は核酸を含有する組成物を動物に投与する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明では、イヌにおけるインフルエンザウイルスの株の発見について記載される。同株は、東部および西部アイオワ州におけるレース用のグレーハウンドから単離された。株はH3N8サブタイプとして分類されており、A/イヌ/アイオワ/13628/2005と指定されている。したがって、本発明は、配列番号4または位置94および233でのアミノ酸が配列番号4と同一であるという条件で配列番号4に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するHAを含むウイルスを提供する。ウイルスは、配列番号2のアミノ酸配列または位置68および134でのアミノ酸が配列番号2と同一であるという条件で配列番号2に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含むNMをさらに含みうる。上記HAを含有するウイルスは、単独でまたは上記NMとのさらなる組み合わせにおいて、配列番号6のアミノ酸配列またはアミノ酸402が配列番号6の配列に対して同一であるという条件で配列番号6に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するNP;配列番号8のアミノ酸配列またはアミノ酸111が配列番号8の配列に対して同一であるという条件で配列番号8に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するM1;配列番号10のアミノ酸配列を有するNS1;配列番号12のアミノ酸配列またはアミノ酸233、256、327、および561が配列番号12に対して同一であるという条件で配列番号12に対して98%(もしくは99%)を超えて同一のアミノ酸配列を有するPAタンパク質;配列番号14のアミノ酸配列またはアミノ酸200および213が配列番号14に対して同一であるという条件で配列番号14に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するPB1;ならびに/あるいは配列番号16のアミノ酸配列またはアミノ酸107、221、292、および661が配列番号16に対して同一であるという条件で配列番号16に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するPB2のうちの少なくとも1つをさらに含有しうる。特に、本発明は、2006年6月29日に特許寄託番号PTA−7694としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection) 10801 ユニバーシティブルバード(University Blvd.)、マナサス(Manassas)、バージニア州 20110−2209、米国に寄託されたサブタイプH3N8の単離イヌインフルエンザウイルスを提供する。
【0026】
インフルエンザウイルスについては、水性媒体内のウイルスに3,000〜20,000の分子量を有する最大5重量%のポリエチレングリコール(PEG)またはPEGの可溶化力に相当する量の別の線形でフィラメント状の非荷電ポリマーの存在によってもたらされる1つ以上の不溶化する工程と、不溶化画分を不溶化されていない画分から分離する工程と、ウイルスを画分のうちの1つから回収する工程とを施すことにより沈殿されうる(例えばU.S. Pat. No. 3,989,818を参照)。好ましくは、温度は35℃を超えることなく、pHは6〜9の間であり、かつ水性媒体のイオン強度はウイルスにおける塩析点未満である。不溶化に先立つ水性媒体内のウイルスの濃度は、32のうちの少なくとも1つの赤血球凝集力価に対応する。凝集されたウイルス粒子が得られ、それらはワクチン注射後のウイルス粒子の徐放によるより良好な抗原効果をもたらすと考えられる。しかし、凝集されない粒子またはあまり凝集されない粒子が望ましい場合、それらは超音波処理などの任意の適切な方法を用いて解離されうる。
【0027】
ウイルスは、その免疫原性の特徴を完全に保持しながら、ウイルスが疾患をもたらすその能力を失うまで細胞系内を通過することによって弱毒化されうる。例えば、ウイルスは、イヌ種または他の適切な種に由来する細胞の培養物内を約37℃の温度で連続的に通過されうる。各継代で、ウイルスは1つの培養物から採取され、当該技術分野で既知の方法に従って新しい細胞培養物を含有する培地内に接種される。例えば、ウイルスは組織細胞培養液および/または細胞から回収されうる。場合により、採取の間、細胞培養物に超音波処理を施すことでウイルスの放出が促進されうる。例えばU.S. Pat. Nos. 5,698,433および6,455,298を参照のこと。
【0028】
必要に応じ、インフルエンザ株を、血清の存在下で鶏卵などの孵化卵の尿膜腔内を少なくとも1回通過させることで、血清耐性ウイルス(serum−resistant virus)が取得可能である(例えばU.S. Pat. No. 3,953,592; Kilbourne et al., J.Exp. Med. 111: 387 (1960); Kilbourne, Science 160: 74-75 (April 1968);およびLaver et al., Virology 30: 493-501 (1966)を参照)。低発熱性および低内毒素性を有する高効力のインフルエンザワクチンが、弱毒化ウイルスを含有する濃縮された尿膜腔液を酢酸ブチルおよび酢酸エチルで連続的に処理した後、フラッシュ蒸発を行うことによって得られうる(例えばU.S. Pat. No. 4,000,257を参照)。かかるウイルスをワクチンとして鼻腔内に投与してもよい。
【0029】
ウイルスは、一旦宿主内に接種されると必要とされる初期接種材料が極めて少量ですむような程度まで増殖する。ウイルスは無害でなければならず、かつ感染しやすい接触における感染は最小に保持される必要がある。
【0030】
あるいは、ウイルスは複製および毒性を根絶することにより不活性化してもよい。これを化学的または物理的手段によって行ってもよい。化学的不活性化を、酵素、ホルムアルデヒド、β−プロピオラクトンもしくはその誘導体、エチレンイミンもしくはその誘導体、有機溶媒(例えばハロゲン化炭化水素)、および/または界面活性剤(例えばTween(登録商標)、Triton X(登録商標)、デソキシコール酸ナトリウム、スルホベタイン、またはセチルトリメチルアンモニウム塩)によるウイルスの処理によって行ってもよい。必要があれば、化学的に活性化された組成物を中和してもよい。例えば、ホルムアルデヒドが組成物を非活性化するのに用いられる場合、組成物をチオ硫酸塩で中和してもよい。必要があれば、それに続きpHを約7の値に戻してもよい。あるいは、ウイルスをエーテルとエタノールの混合物で抽出し、水相と有機相を分離し、かつ残留エーテルを減圧下でウイルス懸濁液から除去してもよい(例えばU.S. Pat. No. 4,431,633を参照)。有利にも、物理的不活性化を、ウイルスに紫外光、γ−放射、またはX線などのエネルギーに富む放射を与えることによって行うことが可能である。不活性化形態には比較的大量の接種材料、したがってそれに対応する大量の抗原材料が必要であり、それを作製し、試験し、かつ分布させる必要がある。
【0031】
上記を考慮すると、本発明は、弱毒化または不活性化ウイルスを含有する組成物も提供する。ウイルスは、免疫応答を誘発するのに十分な量で存在し、望ましくは攻撃された時に保護をもたらす必要がある。一般に、特に組成物が不活性化ウイルスを含有する場合、Tween(登録商標)、Span(登録商標)、Freundの完全アジュバント、サポニン、コリネバクテリウム・パルヴム(Corynebacterium parvum)(Coparvax(登録商標))、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、またはこれらの混合物などのアジュバントが組成物に添加される。タンパク質加水分解物および/またはアミノ酸を添加することで組成物を安定化することが可能である(例えばU.S. Pat. No. 4,537,769を参照)。あるいは、組成物はマルコル(Marcol)および/またはアーラセル(Arlacel)などのオイルを用いて水中油エマルジョンとして調合されうる。
【0032】
組換えインフルエンザ株は、例えば本明細書中に提供される、「過剰に弱毒化された」(すなわち、弱毒化のための継代の数が病原性を除去するのに通常必要な分よりも実質的に多い)インフルエンザA親株、例えばA2と毒性のあるインフルエンザ株との組み合わせからも調製されうる(例えばU.S. Pat. No. 3,991,179を参照; またU.S. Pat. Nos. 4,009,258; 4,278,662; 4,318,903; 4,338,296; および4,693,893も参照)。組換え株については、好ましくは、毒性株の例えばHAおよびNMタンパク質の抗原特性と共役した、過剰に弱毒化された株の成長特性を有する。ワクチン製剤のためのインフルエンザウイルスの株の選択については、U.S. Pat. No.5,162,112に記載されている。組換え株は、免疫応答を誘発するための組成物として調合されうる。
【0033】
冷蔵庫内での保存のため、ショ糖、アルギニン一塩酸塩、グルタミン酸のモノナトリウム一水和物、およびゼラチン加水分解物を用いると、インフルエンザウイルス組成物が安定化されうる。例えば、U.S. Pat. App. Pub. No. 2006/0110406を参照のこと。
【0034】
上記を考慮すると、本発明は単離または精製されたHAも提供する。HAは、配列番号4のアミノ酸配列を有するか、またはインフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置94および233で配列番号4の配列と同一であるという条件で配列番号4に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する。少なくとも9個(9、12、15、18、21もしくは24個など)の隣接アミノ酸であって、そのうちの少なくとも1つが配列番号4の位置94または233でそのアミノ酸に対して同一である、隣接アミノ酸を含むHAの断片も提供される。
【0035】
単離または精製されたNMもまた提供される。NMは配列番号2のアミノ酸配列を含むか、またはインフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置68および134で配列番号2の配列と同一であるという条件で配列番号2に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む。少なくとも9つの隣接アミノ酸であって、そのうちの少なくとも1つが配列番号2の位置68または134でそのアミノ酸に対して同一である、隣接アミノ酸を含むNMの断片も提供される。
【0036】
単離または精製されたNPがさらに提供される。NPは配列番号6のアミノ酸配列を有するか、またはインフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置402で配列番号6の配列と同一であるという条件で配列番号6に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する。少なくとも9つの隣接アミノ酸であって、そのうちの少なくとも1つが配列番号6の位置402でそのアミノ酸に対して同一である、隣接アミノ酸を含むNPの断片も提供される。
【0037】
さらに単離または精製されたM1も提供される。M1は配列番号8のアミノ酸配列を有するか、またはインフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置111で配列番号8の配列と同一であるという条件で配列番号8に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する。少なくとも9つの隣接アミノ酸であって、そのうちの少なくとも1つが配列番号8の位置111でそのアミノ酸に対して同一である、隣接アミノ酸を含むM1の断片も提供される。
【0038】
さらに単離または精製されたNS1も提供され、それは配列番号10のアミノ酸配列を有する。
【0039】
単離または精製されたPAタンパク質もまた提供される。PAは配列番号12のアミノ酸配列を有するか、またはインフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置233、256、327、および561で配列番号12の配列と同一であるという条件で配列番号12に対して98%(もしくは99%)を超えて同一のアミノ酸配列を有する。少なくとも9つの隣接アミノ酸であって、そのうちの少なくとも1つが配列番号12の位置233、256、327、または561でそのアミノ酸に対して同一である、隣接アミノ酸を含むPAの断片も提供される。
【0040】
単離または精製されたPB1が提供される。PB1は配列番号14のアミノ酸配列を有するか、またはインフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置200および213で配列番号14の配列と同一であるという条件で配列番号14に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する。少なくとも9つの隣接アミノ酸であって、そのうちの少なくとも1つが配列番号14の位置200または213でそのアミノ酸に対して同一である、隣接アミノ酸を含むPB1の断片も提供される。
【0041】
単離または精製されたPB2もまた提供される。PB2は配列番号16のアミノ酸配列を有するか、またはインフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置107、221、292、および661で配列番号16の配列と同一であるという条件で配列番号16に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する。少なくとも9つの隣接アミノ酸であって、そのうちの少なくとも1つが配列番号16の位置107、221、292、または661でそのアミノ酸に対して同一である、隣接アミノ酸を含むPB2の断片も同様に提供される。
【0042】
上記タンパク質およびその断片を、当該技術分野で既知の方法に従い、(断片を生成するための化学的または物理的断片化と共役させて)精製または合成してもよい。例えば、固相タンパク質合成においてはMeienhofer, Hormonal Proteins and Peptides 2: 46, Academic Press, NY (1973)、および溶液相タンパク質合成においてはSchroder et al., The Peptides, vol. 1, Academic Press, NY (1965)を参照のこと。製造業者の使用説明書に従い、自動システムを用いてかかる技術を実行してもよい。治療量を組換え的に生成し、かつ精製してもよい。
【0043】
あるいは、タンパク質、特にHAおよびNMを選択的可溶化により単離する一方、すべての非本質的なウイルス成分が入った無傷の脂質/タンパク質膜からなる残存するサブウイルス粒子を残してもよい。可溶化タンパク質および残存するサブウイルス粒子のサイズ/密度における差異により、物理特性における差異に基づく、勾配遠心分離および断片化、沈降、分子ふるいクロマトグラフィー、または超遠心分離機内でのペレット化による分離が可能になる。HAおよびNMの選択的可溶化は、ウイルスのカチオン界面活性剤による処理により実施可能である(例えばU.S. Pat. No. 4,140,762;いわゆる‘762特許を参照)。ウイルス全体を含有する、細胞培養物から得られる流体は、DNA消化酵素で処理後、カチオン界面活性剤の添加および表面抗原タンパク質の単離がなされうる(例えばU.S. Pat. No. 5,948,410を参照)。流体にいくつかの超遠心分離工程を施すか、またはウイルスを両親媒性の非イオン界面活性剤の存在下で断片化後に濾過することで望ましくない物質が除去されうる(例えばU.S. Pat. No. 6,048,537を参照)。あるいは、膜濾過および化学的分離を用い、ウイルスタンパク質が取得されうる(例えばU.S. Pat. No. 4,327,182を参照)。他の方法については、U.S. Pat. Nos. 4,064,232および4,057,626に記載されている。好ましくは、ウイルスは‘762特許(col. 2, ll. 10 et seq)中に例示のように処理前に増幅される。
【0044】
マッピングを行い、免疫応答を誘発するウイルスタンパク質のエピトープを同定する、すなわち「エピトープマッピング」を行ってもよい。かかるマッピングは、タンパク質の重複ペプチド(9、12、15、18、21もしくは24個のアミノ酸を含むペプチドなど)への断片化を含む。タンパク質をタンパク質分解酵素で断片化してもよい。次いで、個々のペプチドにおける、天然タンパク質により誘発される抗体に結合するかまたはT細胞もしくはB細胞の活性化を誘発するそれらの能力について試験される。あるいは、親水性残基がタンパク質の表面上に存在することが多く、それ故に抗体に接近可能であることから、タンパク質の親水性領域が選択されうる。抗原−抗体複合体のX線結晶分析を行うことも可能である。MHC分子に結合する可能性が高いことで知られるペプチド配列である有望なHLAアンカー結合モチーフについては、タンパク質のアミノ酸配列から同定されうる。好ましくは、選択対象のエピトープは、タンパク質断片を含有するかまたは発現する組成物が投与されることになる対象の動物において広範に見出される配列と共有する配列同一性がほとんどまたは全くないものである。
【0045】
場合によりベクターの一部である上記のタンパク質またはその断片をコードする単離または精製された核酸もまた提供される。HAをコードする核酸は、配列番号3のヌクレオチド配列または少なくとも9個(9、12、15、18、21もしくは24個)の隣接アミノ酸をコードするその断片を含みうる。必要に応じてHAに基づく三価ワクチンを調製してもよく、ここではHAのうちの1つは配列番号4のアミノ酸配列を含む(例えばU.S. Pat. Nos. 5,762,939および6,245,532を参照;四価ワクチンについては例えばU.S. Pat. No. 6,740,325を参照)。NMをコードする核酸は配列番号1のヌクレオチド配列または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片を有しうる一方(例えばU.S. Pat. No. 6,605,457およびU.S. Pat. App. Pub. No. 2003/0129197を参照)、NPをコードする核酸は配列番号5のヌクレオチド配列または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片を有し、M1タンパク質をコードする核酸は配列番号7のヌクレオチド配列または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片を有し、NS1タンパク質をコードする核酸は配列番号9のヌクレオチド配列を有し、PAをコードする核酸は配列番号11のヌクレオチド配列または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片を有し、PB1をコードする核酸は配列番号13のヌクレオチド配列または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片を有し、かつPB2をコードする核酸は配列番号15のヌクレオチド配列または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片を有しうる。しかし、当業者は、遺伝子コードの縮重に起因し、かかるアミノ酸配列をコードしうる極めて多数の他のヌクレオチド配列が存在することを理解するであろう。
【0046】
DNAまたはRNAでありうる上記核酸およびその断片は合成されうる(例えばOligonucleotide Synthesis, Gait, ed., 1984を参照)。かかる分子は、所望のアミノ酸配列をコードする非天然ヌクレオチド/塩基を含みうる。例えば、塩基または糖はメチル化されうる。さらに、核酸分子の骨格は変性可能であり、例えばホスホロチオエート骨格、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
あるいは、単離vRNAに逆転写酵素を施してRNA/DNAハイブリッドを生成することが可能であり、それからRNAを消化して除去し、残りのDNAを処理してヘアピン末端を有するdsDNAを生成し、それを一本鎖に特異的なヌクレアーゼで処理してvRNAの二分子の二本鎖コピーが生成される(例えばU.S. Pat. No. 4,357,421を参照)。ヘルペスウイルスの非存在下でインフルエンザを調製するためのタンデム転写カセットの使用においては、例えばU.S. Pat. App. Pub. No. 2006/0166321を参照のこと。
【0048】
核酸は場合により少なくとも1つのプロモーターを含むDNAベクターの一部であり、その場合、各ヌクレオチド配列はプロモーターに作動可能に連結され、それは同じかまたは異なる可能性がある。プロモーターに加え、終結シグナルなどの他の対照配列はDNAベクターの一部でありうる。
【0049】
例えば、核酸は、例えば大腸菌(E.coli)およびチフス菌(salmonella typhi)などの細菌、サッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces cervisiae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母、またはアスベルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)などの糸状真菌に対して適合した、適切な組換え発現ベクターに導入可能である。細菌、酵母、または真菌は連続培養で成長可能である。次いで、培養期間中に生成されるポリペプチドは単離され、精製されうる。あるいは、核酸分子は、ポックスウイルス科(例えばファウルポックス(fowlpox)に基づくベクター)、ヘルペスウイルス科(例えば、仮性狂犬病ウイルスに基づくベクター、七面鳥ヘルペスウイルスに基づくベクター、ネコヘルペスウイルスに基づくベクター、ニワトリ伝染性喉頭気管炎ウイルス(infectious laryngotracheitis virus)に基づくベクター、およびウシヘルペスウイルスに基づくベクター)、アデノウイルス科(例えばウシアデノウイルス(例えば血清型3)、ヒトアデノウイルス(例えば血清型4または7)、およびイヌアデノウイルス(例えば血清型2;CAV2;例えばU.S. Pat. No. 6,090,393を参照)、あるいは組換えバキュロウイルス(例えばアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV))などの昆虫ウイルス発現ベクターに導入可能であり、次いでそれを用い、昆虫のスポドテラ・フルギペルダ(Spodotera frugiperda)に由来する感染しやすい培養されたSF9細胞への感染が可能である。他のウイルスベクターには、ワクシニア(例えばU.S. Pat. No. 4,722,848を参照)、アデノウイルス、アデノ様ウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、およびポックス(例えばHruby, Vet. Parasitol. 29: 281-282 (1988); Uiu, “AIDS Research Reviews,” Dekker, Inc., 1991, 1: 403-416を参照)が含まれ、それを皮膚のスクラッチまたは注射により、場合によりリポソーム製剤として投与可能である。他のベクターには、バシル・カルメット・ゲラン(Bacille−Calmette−Guerin)(BCG;Stover et al., Nature 351: 456-460 (1991))、解毒された炭疽菌毒素ベクターなどが含まれる。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞さらには植物細胞を用い、適切なコンストラクトからポリペプチドを発現してもよい。当業者は、宿主細胞の選択が翻訳後プロセシング(例えばグリコシル化、フォールディングなど)の性質に作用し、次いでポリペプチドの免疫原性、および次の精製技術に影響しうることを理解するであろう。
【0050】
発現を発現ベクターで形質転換/形質移入される任意の適切な宿主細胞内で行ってもよい。適切な宿主細胞の例として、上記のものが挙げられるがこれらに限定されない。したがって、本発明は発現ベクターで形質転換/形質移入される宿主細胞も提供する。
【0051】
タンパク質またはその断片を培地内に分泌する宿主/ベクター系からの上清をアフィニティーカラムまたはイオン交換カラムなどの精製用マトリックスに適用してもよい。1つ以上の逆相HPLC工程を用い、組換えタンパク質またはその断片をさらに精製してもよい。
【0052】
融合タンパク質としてのタンパク質またはその断片の生成が生成を安定化させうる。これは、ペプチドリンカーを伴う場合または伴わない場合に、2種類以上のタンパク質(またはその断片)をコードするポリヌクレオチド配列を適切な発現ベクターにライゲートすることによって行われうる。望ましくは、ポリヌクレオチド配列のリーディングフレームは、各タンパク質(またはその断片)の生物学的活性を保持する単一の融合タンパク質が生成されるように一致している。1〜約50アミノ酸のペプチドリンカーを用い、得られたタンパク質(またはその断片)は、各タンパク質(またはその断片)がその天然の二次、三次、および四次構造に適切に折り畳むことを確実にするように分離されうる(例えばMaratea et al., Gene 49: 39-46 (1985); Murphy et al., PNAS USA 83: 8258-8262 (1986); U.S. Pat. No. 4,935,233;およびU.S. Pat. No. 4,751,180を参照)。柔軟な広がった高次構造を選択する能力、タンパク質の片方もしくは両方のいずれかの上で機能的アミノ酸であれば相互作用しうる二次構造を選択できない点、ならびにタンパク質のうちの片方もしくは両方のいずれかであれば反応しうる疎水性のまたは帯電した残基の欠如が因子であり、それらはペプチドリンカーの選択において考慮される。リンカーは、連結されるべきタンパク質の末端が、末端を用いることで機能的ドメインが分離されかつ立体干渉が阻止されうるように必須領域を有しない場合、必要とされない。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、Asn、およびSer残基を有する。ThrおよびAlaなどの他の中性に近い残基も使用されうる。
【0053】
他の追加のアミノ酸配列を、タンパク質またはその断片の発現および/または免疫原性を高めるように選択してもよい。例えば、タンパク質またはその断片は、免疫グロブリンG(IgG)の重鎖または抗原提示細胞(APC)への結合タンパク質または樹状細胞への結合タンパク質、IL−D、GM−CSF、IL−1、TNF、IL−4、CD40L、CTLA4、CD28、またはFLT−3リガンドなどに融合されうる。脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCI)の使用、またはスルフヒドリル基、イプシロンアミノ基、カルボキシル基などの間での連結の創出などの技術を用いてもよい。必要に応じ、切断部位を融合タンパク質に導入してタンパク質(またはその断片)の非天然配列からの分離を可能にしてもよい。切断部位の例として、タンパク質分解酵素の標的配列またはメチオニンがタンパク質(またはその断片)に存在しない場合にはメチオニンが挙げられ、それらはシアノゲンブロミドにより順に切断される。かかる方法は当該技術分野で既知である。タンパク質またはその断片は、さらに当該技術分野で既知の方法に従い、グリコシル化または他の誘導体化(例えばアセチル化またはカルボキシル化)によって変性されうる。
【0054】
タンパク質(またはその断片)は、適切な発現系から原位置で発現されうる。所望の環境下でコードされたタンパク質またはその断片を生成するのに有効な任意のDNAコンストラクトを用い、上記のようにタンパク質またはその断片を発現することが可能である。
【0055】
あるいは、核酸分子は、「裸DNA」として動物に注射される場合、原位置で有効な発現系としての挙動を示しうる(例えばUlmer et al., Science 259: 1745-1749 (1993);およびCohen, Science 259: 1691-1692 (1993)を参照)。DNA送達はまた、ブピビカイン(bupivicaine)、ポリマー、およびペプチド、あるいはカチオン脂質複合体、粒子、または圧力の使用により促進されうる(例えばU.S. Pat. No. 5,922,687を参照)。
【0056】
配列番号2、4、6、8、10、12、14、もしくは16に対する少なくとも約96%、97%、98%、もしくは99%であるかまたはそれらを超える同一性など、少なくとも約95%であるかまたは95%を超える同一性があるアミノ酸配列の例として、1つ以上の置換、挿入、付加および/または欠失を有しうるアミノ酸配列が挙げられる。配列同一性は、ポリペプチド配列を整列しかつBLASTP(Pearson et al., PNAS USA 85: 2444-2448 (1988); Pearson, Methods Enzymol. 183: 63-98 (1990);およびAltschul et al., Nucl. Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))などの公的に利用可能なコンピュータ・アルゴリズムを適用することにより判定可能である。BLASTP用のソフトウェアは、ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメーション(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)またはNCBI、ナショナル・ライブラリー・オブ・メディスン(National Library of Medicine)、Building38A、Room8N8O5、ベセスダ(Bethesda)、メリーランド州 20894のFTPサーバー上で利用可能である。一旦ポリペプチド配列が整列されると、整列された部分全体にわたる同一アミノ酸の数が同定され、同一アミノ酸の数が目的のポリペプチドのアミノ酸の総数によって除され、その結果に100を掛けることで配列同一性の百分率が決定される。
【0057】
これに関し、当業者は、所定のアミノ酸配列の断片が、アミノ酸配列に対して96%、97%、98%もしくは99%など、少なくとも約95%であるかまたは95%を超える同一性がありうることを理解するであろう。それ故、断片については、「配列番号2、4、6、8、10、12、14、もしくは16に対して少なくとも約95%(または96%、97%、98%もしくは99%)またはそれを超える同一性があるアミノ酸配列」によって包含されるように意図される。かかる断片は、望ましくは完全長タンパク質の免疫原性を保持する。機能断片については、タンパク質をコードする核酸の変異分析およびそれに続く得られた変異タンパク質の発現またはタンパク質自体の化学的/酵素的消化によって生成可能である。
【0058】
置換、挿入、付加および/または欠失などの変性が、当該技術分野で既知の方法に従い、核酸またはタンパク質(またはその断片)に導入されうる(例えばオリゴヌクレオチドに特異的な部位特異的突然変異誘発においてはAdelman et al., DNA 2: 183 (1983)を参照)。望ましくは、変性はタンパク質断片の免疫原性を実質的に低減することはなく、むしろ免疫原性が実質的に同等に保たれるかまたは未変性タンパク質に対して増大することが好ましい。
【0059】
「保存的置換」とは、アミノ酸が類似の特性、すなわち類似の二次構造およびハイドロパシック(hydropathic)性を有する別のアミノ酸に置換される置換である。アミノ酸の置換は、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の性質における類似性に基づいて行われうる。例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸などの負に帯電したアミノ酸が交換可能である一方、リジンおよびアルギニンなどの正に帯電したアミノ酸が交換可能であり、かつ類似の親水性値を有する帯電していない極性の頭部基(polar head groups)を有するアミノ酸が交換可能である。これに関し、ロイシン、イソロイシンおよびバリンが交換可能であり、グリシンおよびアラニンが交換可能であり、アスパラギンおよびグルタミンが交換可能であり、かつセリン、トレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが交換可能である。交換可能なアミノ酸における他の基には、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、serおよびthr、(2)cys、ser、tyrおよびthr、(3)val、ile、leu、met、alaおよびphe、(4)lys、argおよびhis、ならびに(5)phe、tyr、trp、およびhisが含まれる。
【0060】
上記を考慮すると、単離または精製されたタンパク質/核酸またはそれらのいずれかの断片および生物学的に許容できる担体を含有する組成物も提供される。核酸またはその断片はベクターの一部でありうる。例えば、活性成分としてNMを含有するインフルエンザワクチンに関するU.S. Pat. No. 4,029,763、および活性成分としてHAおよびNMを含有するインフルエンザワクチンに関するU.S. Pat. No. 4,140,762を参照のこと。U.S. Pat. No. 4,826,687では、ムラミルジペプチドのHAおよびNMを含有するワクチンへの添加について記載されている。必要に応じ、M1のアミノ酸148〜162、163〜166、および/もしくは215〜239に実質的に対応するポリペプチドがタンパク質/核酸またはその断片の組成物に添加されうる(U.S. Pat. Nos. 5,136,019; 5,616,327; および5,741,493を参照)。任意の適切な生物学的に許容できる担体を組成物中に用いてもよい。例えば、タンパク質/核酸/それらの断片を、場合により例えばリン酸塩緩衝液で緩衝化される希釈剤中、例えば0.9%塩化ナトリウム溶液中に再懸濁してもよい。ウイルスの精製から残存する任意のショ糖を透析により低下させてもよい。透析またはゲルクロマトグラフィーを用い、残存するカチオン界面活性剤を除去してもよい。好ましくは、タンパク質またはその断片は、動物において免疫応答(すなわち細胞性または体液性)を誘発するのに十分な量で存在する。よく選択される医薬品および抗原用の担体はポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)である。PLGAは生分解性ポリエステルであり、抗原の制御放出において使用可能である(Eldridge et al., Curr. Topics Micro. Immuno. 146: 59-66 (1989);U.S. Pat. No. 6,090,393も参照)。直径が1〜10μのPLGAマイクロスフィア内での抗原の捕捉においては、経口投与される場合に顕著なアジュバント効果を有することが示されている。
【0061】
必要に応じ、保護剤またはホルムアルデヒドのごとき不活性化剤を添加してもよい。保護剤/不活性化剤の慣用的な量は10,000部当たり1部の割合である。
【0062】
必要に応じ、上記のHAなどの1つ以上のタンパク質(またはそれらの免疫原性断片)をプロテオソームと結合させてもよい。例えばU.S. Pat. No. 6,743,900およびU.S. Pat. App. Pub. No. 2004/0156867を参照のこと。
【0063】
免疫原性は、水酸化アルミニウム(例えば約0.2%)またはリン酸アルミニウム、アルミニウム(例えば、U.S. Pat. Nos. 6,372,223, 6,635,246, 6,861,244および7,052,701ならびにU.S. Pat. App. Pub. Nos. 2004/0096464および2006/0147468を参照)、キトサン(例えばU.S. Pat. Nos. 6,136,606および6,534,065を参照)、例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムまたは酸化アルミニウムの形態のミョウバン、鉱油(例えばBayol F(登録商標)およびMarcol 52(登録商標))、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A、ならびにQuil A成分を含有するサポニンなどの従来の免疫学的アジュバントの封入により改善されうる。免疫原性は、インターロイキンなどのサイトカインの添加、またはタンパク質またはその断片の抱合によっても改善されうる。好ましくは、タンパク質またはその断片は、タンパク質(例えば血清アルブミン、スカシ貝ヘモシアニン、免疫グロブリン、チログロブリン、およびオバルブミン)、多糖類(例えばラテックスで官能化されたセファローズ、アガロース、セルロースビーズなど)、リン脂質、高分子アミノ酸(例えばポリグルタミン酸、ポリリシンなど)、またはアミノ酸共重合体(例えばU.S. Pat. Nos. 5,136,019および5,612,037を参照)などの高分子担体と抱合される。あるいは、タンパク質またはその断片はプロテオリポソームまたは脂質小胞とともにカプセル化されうる。
【0064】
免疫応答を誘発しうる組成物は、懸濁液の形態で調製されるかまたは凍結乾燥されうる。凍結乾燥される場合、1種もしくは複数種の安定剤を添加することが好ましい。適切な安定剤は、例えばショ糖、リン酸塩、グルタミン酸塩、およびアルブミン(SPGA;Bovarnick, J. Bacteriol. 59: 509 (1950))、炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、デンプン、デキストラン、およびグルコース)、タンパク質(例えばアルブミンおよびカゼイン)またはそれらの分解生成物、タンパク質を含有する作用物質(例えばウシ血清またはスキムミルク)、ならびに緩衝液(例えばアルカリ金属リン酸塩)である。
【0065】
あるいは、組成物は制御放出組成物として調合されうる。弱毒化/不活性化ウイルスまたは組換えベクターは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオルトエステル、およびポリアミドなどのポリマーとともにマイクロカプセル化されうる。選択される特定のポリマーは、ポリマー合成およびマイクロカプセル化の再現性、材料およびプロセスのコスト、毒物学的特性、変動する放出速度に対する要件、ならびにポリマーおよびウイルス/ベクターの物理化学的適合性を含む多数の要素に依存する。
【0066】
本明細書に記載の組成物では、単独使用または他の活性成分/組成物との併用が可能である。例として、イヌジステンパー、イヌ伝染性肝炎(CAV−1およびCAV−2)、狂犬病、パラインフルエンザ、イヌコロナウイルス、麻疹、レプトスピラ症、およびボルデテラに対する免疫応答を誘発しうる組成物が挙げられる。ポリフェノールはヒトにおけるインフルエンザ感染を阻害することが開示されている(例えばU.S. Pat. No. 5,173,922;いわゆる‘922特許を参照)。したがって、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキン、遊離テアフラビン、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、および/またはテアフラビンジガレートなどのポリフェノールの添加は有益でありうる(‘922特許を参照)。NMの阻害についてはU.S. Pat. No. 5,453,533に開示されている。免疫増強物質としてのサイトカインの使用およびリポソームカプセル化についてはU.S. Pat. No. 5,919,480に記載されている。
【0067】
組成物中の核酸の量は広範に変化しうる。例えば、濃度は約0.1重量%未満から約20〜50重量%以上程度、通常は少なくとも約2%の範囲でありうる。組成物中のタンパク質の濃度もまた広範に変化しうる。例えば、濃度は約0.1重量%未満から約20〜50重量%以上程度、通常は少なくとも約2%の範囲でありうる。流体容量および粘度は、最終濃度を決定する場合に考慮される。
【0068】
したがって、動物におけるイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法も提供される。感染に対する動物の感染しやすさはプラーク減少中和試験(plaque reduction neutralization test)(U.S. Pat. No. 4,315,073)または赤血球凝集試験を用いて評価可能である。方法は、単離または精製されたタンパク質/核酸またはその断片を含有する上記組成物を動物に投与する工程を含む。組成物が核酸(またはその断片)をベクターの一部として含有する場合、好ましくはタンパク質(またはその断片)は動物における免疫応答を誘発するのに十分な量で発現される。例えば、動物体重1kgあたり約9〜約43国際単位の単回用量が投与されうる。より大型の哺乳類においては、単回用量は約600〜約3000国際単位/kg体重を含みうる。受精卵の尿膜腔内でウイルスを培養し、ウイルスを採取し、かつ必要に応じて採取されたウイルスをペプトンまたはショ糖などの安定剤で安定化し、次いでその後の凍結乾燥のためにグラスバイアル内に分布させることによって調製されるワクチン組成物においては、有効なワクチン用量単位はウイルスの少なくとも10EID50(50%卵感染用量)を含有しうる。後者の状況では、凍結乾燥されたワクチンは、投与に先立ち、例えば経鼻スプレーまたは点鼻の形態での水または別の医薬的に許容できる希釈剤の添加によりもどされる。必要に応じ、ワクチンは、1週間の間隔をあけて2回の連続投与で投与されうる。
【0069】
組成物は、子犬に対し、12週齢でまたは6週齢(例えば6、9および12週齢)から反復的にまたは4週目から毎週、単回投与として投与されうる。投与における有効用量および経路は、組成物の性質、発現産物の性質、LD50、および組換えベクターが用いられる場合にはベクターの発現レベル、ならびにイヌの品種およびその年齢、性別、体重、および状態により決定される。発現された産物の用量は、数μg〜数百μg、例えば5〜500μgの範囲でありうる。ウイルスまたは組換えベクターの好ましい用量は、約10〜約10pfuの範囲でありうる。生きた弱毒化株における用量は、少なくとも約10TCID50でありうる。
【0070】
組成物は、非経口投与されうるか(すなわち注射(例えば皮内、皮下、または筋肉内)によるかまたは経鼻などの感染経路による)または経腸投与されうる(すなわち経口投与による)。皮内投与された免疫原性組成物に対する免疫応答を高めるためのゲル化剤および粘着剤または生体接着剤の使用は、U.S. Pat. App. Pub. No. 2005/0255121に記載されている。必要に応じ、免疫応答を誘発するための組成物は、Chu et al. (2006年8月3日に公開されたU.S. Pat. App. Pub. No. 2006/0171960)に従い、水またはシロップを飲むことによって投与されうる。ここで、経口投与は、動物に対してストレスや不快感をもたらしうる、時間のかかる労働集約的な筋肉内注射を回避することから利点がある。不快感は、レース用のイヌの能力に次第に影響を与えうる。あるいは、少なくとも1つの免疫応答を誘発するエピトープを発現する組換えベクターを含有する組成物は、免疫応答の局在化された発現および誘発のために皮膚に直接適用されうる。
【0071】
免疫応答を誘発しうる組成物の有効性は、子犬をイヌインフルエンザウイルスの毒性株に暴露することによって実証可能である。未治療のイヌはイヌインフルエンザウイルス感染の特徴がある臨床徴候を呈する一方、治療されたイヌは呈することがない。
【0072】
当該技術分野で既知の方法に従い、組換えベクターおよびそれらから発現された産物を用い、ポリクローナル抗体(pAb)およびモノクローナル抗体(mAb)などの抗体を産生することが可能である(Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1988); Harlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual (1998), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1998); Shepherd and Dean, Monoclonal Antibodies: A Practical Approach, Oxford University Press, U.S.A. (2000)); およびHarris and Adair, Antibody Therapeutics, CRC Press, Inc., Boca Raton, FL (1997))。抗体、特にmAbsを結合アッセイおよび診断キット/試験において用い、イヌインフルエンザウイルスの抗原の存在/非存在またはウイルスに対する免疫応答が刺激されているか否かを判定することが可能である。抗体を用い、免疫吸着クロマトグラフィーにより材料を回収することも可能である。
【0073】
抗体は受動免疫ももたらしうる。例えば、宿主動物またはハイブリドーマ細胞系に由来する部分精製された免疫血清を動物に注射してもよい。抗体は、感染性インフルエンザウイルスに結合しかつそれを中和することにより治療効果をもたらす。
【0074】
アミノ酸配列配列番号1または配列番号3からなるタンパク質のごとき、上記タンパク質のエピトープの内部イメージを有する抗イディオタイプ抗体を含有する組成物もまた提供される。
【0075】
当業者は、例えば本明細書中に記載されるエピトープの内部イメージを担持する抗イディオタイプ抗体の調製が可能であることを理解するであろう。例えばHerlyn et al., Science 232: 100-102 (1986))を参照のこと。ポリペプチドの内部イメージを担持するモノクローナルおよびポリクローナル抗イディオタイプ抗体を調製する方法については、例えばU.S. Pat. No.5,053,224に記載されている。つまり、ポリクローナル抗イディオタイプ抗体を、ポリペプチドに対して作られかつポリペプチドとの反応性についてスクリーニングされたモノクローナルイディオタイプ抗体で動物を免疫し、ポリペプチドに対するイディオタイプ抗体と反応する抗血清についてスクリーニングすることによって産生可能である。モノクローナル抗体(mAbs)を、かかる動物から動物の抗体分泌細胞を不滅化しかつポリペプチドと競合したイディオタイプ抗体を有する培養物をスクリーニングする標準技術を用いて調製することも可能である。mAbsが好ましい一方、種々の哺乳類系内で調製されるポリクローナル抗体(pAbs)も使用可能である。
【0076】
イヌにおいてCIVに対する免疫応答を誘発するための別の方法も提供される。この方法は、上記の抗イディオタイプ抗体を含有する組成物の有効量をイヌに投与する工程を含む。
【0077】
単離または精製された核酸分子またはそれらを含むベクターを用い、プローブ/プライマーに対するDNAを生成することが可能であり、それらを用い、ハイブリダイズ可能なDNAの有無を検出し、cDNAなどのDNAを増幅することが可能である。
【0078】
アッセイでは、標識タンパク質またはその断片ならびに標識核酸またはその断片の使用が可能である。アッセイ方法には、蛍光免疫アッセイ(smith et al., Ann. Clin. Biochem. 18: 253-275 (1981))、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、および酵素−増殖イムノアッセイ技術(EMIT;Enzyme Immunoassay, Maggio, ed., CRC Press, Inc., Boca Raton, FL, 1980. pp. 141-150; 234-235, and 242-243を参照)が含まれる。かかる方法を用い、ウイルスの存在を検出しかつ感染症の状態を診断することが可能である。
【0079】
ウイルスはそれ自体でベクターとして使用可能である。ベクターとしてのウイルスの使用は当業者の技術の範囲内である。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つ。実施例は、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。実施例では、イヌインフルエンザウイルスの同定および部分的な特徴づけについて記載される。
【0081】
咳、熱、多呼吸、および出血性鼻汁によって特徴づけられる急性呼吸器疾患の発生については、2005年4月に東部および西部アイオワ州に位置する2つのレーストラックの敷地内でグレーハウンドに生じた。大部分の割合の罹患したイヌが回復する一方、多数が出血性肺炎で死亡した。
【0082】
罹患したイヌの肺は広範な赤から赤黒への変色を呈し、中等度から顕著な触診可能の堅さおよび軽度の線維素性胸膜炎を伴った。肺切片は重篤な出血性間質性肺炎から気管支間質性肺炎(bronchointerstitial pneumonia)によって特徴づけられた。肺胞中隔肥厚を伴う斑状の間質性変化、肺胞内の残渣の凝固物、および関連する肺拡張不全が見られることは明白であった。変性細胞および残渣による気道の拡張を伴う限局的に広汎性の膿肉芽腫性気管支間質性肺炎が観察された。散在性脈管炎および血栓が見られることは明白であった。
【0083】
従来のウイルス剤および細菌剤に対する微生物学的試験では、試験対象のすべての動物由来の肺組織内に存在したストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)亜種のズーエピデマイカス(zooepidemicus)以外では有意な病原体が全く見られなかった。リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR;Harmon et al., Development of a PCR-based differential test for H1N1 and H3N2 swine influenza viruses. In: Proceedings of the 42nd Annual Meeting of American Association of Veterinary Laboratory Diagnosticians. San Diego, CA. October 1999. p. 44.)を用いると、試験対象の4つのうちの2つの肺試料ではインフルエンザウイルスが陽性であった。インフルエンザウイルスのNPに特異的なモノクローナル抗体(mAb)を用いる免疫組織化学(Vincent et al., J. Vet. Diagn. Invest. 9: 191-195 (1997))によると、試料上での抗原捕捉ELISA(Directgen(商標)Flu A、ベクトン/ディッキンソン(Becton/Dickinson)、スパークス(Sparks)、メリーランド州)試験のように、両肺のウイルス性肺炎の病変内部では陽性であった。PCRによると、試験対象の2つの陽性肺に由来する気管支肺胞洗浄(Bronchioalveolar lavage)試料ではインフルエンザウイルスが陽性であった。
【0084】
イヌにおけるインフルエンザウイルス感染に関する報告が1つしか存在しなかったことから(Dubovi et al., Isolation of equine influenza virus from racing greyhounds with fatal hemorrhagic pneumonia. In: Proceedings of the 47th Annual Meeting of American Association of Veterinary Laboratory Diagnosticians. Greensboro, NC. October 2004. p. 158.)イヌ肺におけるインフルエンザウイルスの検出については想定外の観察であったことが理由で、ウイルスの単離を試みた。オンドリ赤血球を凝集可能なウイルスを、インフルエンザウイルスが免疫組織化学(IHC)アッセイおよびPCRにより検出された、2つの動物のうちの一方の肺および気管支肺胞洗浄体液からマディン−ダービー(Madin−Darby)イヌ腎臓(MDCK)細胞内で単離した。PCRによると、単離物はH3サブタイプのインフルエンザウイルスであると判定された。HA−阻害およびNM−阻害アッセイを用い、ウイルス単離物はH3N8というサブタイプとされた。ウイルス単離物は、マイアミ(Miami)((A/Eq/MI/1/63−H3N8)640−1280)、AK((A/Eq/AK/29759/91−H3N8)320−640)、およびケンタッキー(Kentucky)((A/Eq/Kentucky/81−H3N8)160−320)を含む様々なH3ウマインフルエンザウイルスに対して作られた抗血清により認識された。
【0085】
両方の単離物におけるHAおよびNA遺伝子の配列決定では、2つの単離物間でそれぞれ100%および99.8%の同一性が示された。単離物のHA遺伝子は、系統発生学的に最近におけるH3N8ウマインフルエンザウイルスのHA遺伝子に対して遺伝的に近いものであった(96〜98%のヌクレオチド相同性)(Macken et al., The value of a database in surveillance and vaccine selection. In: Options for the Control of Influenza IV. Osterhaus et al., eds. Elsevier Science, Amsterdam. 2001. pp. 103-106.)。単離物のNA遺伝子はまた、最近におけるH3N8ウマインフルエンザウイルスのNA遺伝子と96〜98%の相同性を示した。アイオワ州内で地理的に離れた2つの異なるレーストラックでのグレーハウンドが、罹患したウマと関わりなく疾患で同時に死亡したことから、インフルエンザウイルス単離物がイヌにおいて永存しかつイヌの中で広まる可能性があるイヌ適合株であることが示される。多数の異なる動物種における呼吸器疾患および敗血症に伴う問題に関与しているストレプトコッカス・ズーエピデマイカス(S.zooepidemicus)(Wood et al., J. Clin. Microbiol. 43: 120-126 (2005);およびGillespie et al., The General Staphylococcus and Streptococcus. In: Hagan and Bruner’s Infectious Diseases of Domestic Animals. 7th ed. Comstock/Cornell University Press. Ithaca, NY. 1981. pp. 164-180)は、疾患の重症度に寄与した可能性が高い。
【0086】
本明細書中で引用される出版物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、あたかも各参考文献が参照により援用されるものとして個別かつ具体的に示され、かつ本明細書中のその全体にて示される場合と同程度に、参照により本明細書中に援用される。
【0087】
本発明を記載する文脈の中での(特に特許請求の範囲の文脈の中での)「a」、「an」、「the」という用語および類似の指示語の使用は、本明細書中で他に指定がない限りまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数と複数の双方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中で他に指定がない限り、あくまで範囲内に該当する別々の各値を個別に参照する省略方法として役立つように意図されており、別々の各値は、あたかも本明細書中で個別に列挙されるように本明細書中に援用される。本明細書中に記載されるすべての方法は、本明細書中で他に指定がない限りまたはさもなければ文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施されうる。ありとあらゆる例または本明細書中の典型的な用語(例えば「のごとき(such as)」)の使用は、あくまで本発明をよりよく例示するように意図されており、特に特許請求されない限り、本発明の範囲に関して限定するものではない。本明細書中の用語は、本発明の実行に不可欠である、任意の特許請求されない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0088】
本発明の実施における発明者らに既知の最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態については本明細書中に記載される。例示される実施形態があくまで例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のNM遺伝子のドメインコード配列(CDS)の部分ヌクレオチド配列(配列番号1;ジェンバンク(GenBank)登録番号DQ146420も参照)である。慣例に従い、配列は左から右、上から下に示される。
【図2】配列番号1でコードされるアミノ酸配列(配列番号2;ジェンバンク(GenBank)登録番号DQ146420も参照)である。慣例に従い、配列は一文字形式で左から右、上から下に示される。
【図3】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のHA遺伝子のCDSの完全ヌクレオチド配列(配列番号3;ジェンバンク(GenBank)登録番号DQ146419も参照)である。
【図4】配列番号3でコードされるアミノ酸配列(配列番号4;ジェンバンク(GenBank)登録番号DQ146419も参照)である。
【図5】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のNP遺伝子のCDSの完全ヌクレオチド配列(配列番号5)である。
【図6】配列番号5でコードされる推定アミノ酸配列(配列番号6)である。
【図7】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のM1タンパク質遺伝子のCDSの完全ヌクレオチド配列(配列番号7)である。
【図8】配列番号7でコードされる推定アミノ酸配列(配列番号8)である。
【図9】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のNS1タンパク質遺伝子のCDSの完全ヌクレオチド配列(配列番号9)である。
【図10】配列番号9でコードされる推定アミノ酸配列(配列番号10)である。
【図11】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のPAタンパク質遺伝子のCDSの完全ヌクレオチド配列(配列番号11)である。
【図12】配列番号11でコードされる推定アミノ酸配列(配列番号12)である。
【図13】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のPB1タンパク質遺伝子のCDSの完全ヌクレオチド配列(配列番号13)である。
【図14】配列番号13でコードされる推定アミノ酸配列(配列番号14)である。
【図15】イヌインフルエンザウイルスのサブタイプH3N8由来のPB2タンパク質遺伝子のCDSの完全ヌクレオチド配列(配列番号15)である。
【図16】配列番号15でコードされる推定アミノ酸配列(配列番号16)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4または位置94および233でのアミノ酸が配列番号4と同一であるという条件で配列番号4に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する赤血球凝集素(HA)を含むサブタイプH3N8の単離イヌインフルエンザウイルス。
【請求項2】
配列番号2のアミノ酸配列または位置68および134でのアミノ酸が配列番号2と同一であるという条件で配列番号2に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含むノイラミニダーゼ(NM)を含む請求項1に記載の単離イヌインフルエンザウイルス。
【請求項3】
以下、すなわち配列番号6のアミノ酸配列またはアミノ酸402が配列番号6の配列と同一であるという条件で配列番号6に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する核タンパク質(NP)、配列番号8のアミノ酸配列またはアミノ酸111が配列番号8の配列と同一であるという条件で配列番号8に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するマトリックス1タンパク質(M1)、配列番号10のアミノ酸配列を有する非構造タンパク質1(NS1)、配列番号12のアミノ酸配列またはアミノ酸233、256、327、および561が配列番号12と同一であるという条件で配列番号12に対して98%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するPAタンパク質、配列番号14のアミノ酸配列またはアミノ酸200および213が配列番号14と同一であるという条件で配列番号14に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するPB1、および/または配列番号16のアミノ酸配列またはアミノ酸107、221、292、および661が配列番号16と同一であるという条件で配列番号16に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有するPB2のうちの少なくとも1つをさらに含む請求項1または2に記載の単離イヌインフルエンザウイルス。
【請求項4】
弱毒化された請求項1に記載の単離イヌインフルエンザウイルス。
【請求項5】
免疫応答を誘発するのに十分な量の請求項4に記載の単離イヌインフルエンザウイルスを含有する組成物。
【請求項6】
不活性化された請求項1に記載の単離イヌインフルエンザウイルス。
【請求項7】
免疫応答を誘発するのに十分な量の請求項6に記載の単離イヌインフルエンザウイルスを含有する組成物。
【請求項8】
特許寄託番号PTA−7694としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されたサブタイプH3N8の単離イヌインフルエンザウイルス。
【請求項9】
(i)配列番号4のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置94および233で配列番号4の配列と同一であるという条件で配列番号4に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたHA、あるいは、少なくとも1つが配列番号4の位置94または233で前記アミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片。
【請求項10】
動物において免疫応答を誘発するのに十分な量の請求項9に記載の単離または精製されたHAまたはその断片および生物学的に許容できる担体を含有する組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物を動物に投与することを含む、動物においてイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法であって、該投与によってイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答が動物において誘発される、方法。
【請求項12】
場合によりベクターの一部である、請求項9に記載のHAまたはその断片をコードする単離または精製された核酸。
【請求項13】
前記HAをコードする前記核酸が配列番号3のヌクレオチド配列を有する、請求項12に記載の単離または精製された核酸または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片。
【請求項14】
HAまたはその断片を動物において免疫応答を誘発するのに十分な量で発現する、請求項12または13に記載の単離または精製された核酸および生物学的に許容できる担体を含有する組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物を動物に投与することを含む、動物においてイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法であって、該投与によってイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答が動物において誘発される、方法。
【請求項16】
(i)配列番号2のアミノ酸配列を含むか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置68および134で配列番号2の配列と同一であるという条件で配列番号2に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む単離または精製されたNM、あるいは、少なくとも1つが配列番号2の位置68または134で前記アミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片。
【請求項17】
動物において免疫応答を誘発するのに十分な量の請求項16に記載の単離または精製されたNMまたはその断片および生物学的に許容できる担体を含有する組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の組成物を動物に投与することを含む、動物においてイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法であって、該投与によってイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答が動物において誘発される、方法。
【請求項19】
場合によりベクターの一部である、請求項16に記載のNMまたはその断片をコードする単離または精製された核酸。
【請求項20】
前記NMをコードする前記核酸が配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の単離または精製された核酸または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片。
【請求項21】
NMまたはその断片を、免疫応答を誘発するのに十分な量で発現する、請求項19または20に記載の単離または精製された核酸および生物学的に許容できる担体を含有する組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の組成物を動物に投与することを含む、動物においてイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘発する方法であって、該投与によってイヌインフルエンザウイルスに対する免疫応答が動物において誘発される、方法。
【請求項23】
(i)配列番号6のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置402で配列番号6の配列と同一であるという条件で配列番号6に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたNP、あるいは、少なくとも1つが配列番号6の位置402で前記アミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片。
【請求項24】
場合によりベクターの一部である、請求項23に記載のNPまたはその断片をコードする単離または精製された核酸。
【請求項25】
前記NPをコードする前記核酸が配列番号5のヌクレオチド配列を有する請求項24に記載の単離または精製された核酸または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片。
【請求項26】
(i)配列番号8のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置111で配列番号8の配列と同一であるという条件で配列番号8に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたM1、あるいは、少なくとも1つが配列番号8の位置111で前記アミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片。
【請求項27】
場合によりベクターの一部である、請求項26に記載のM1またはその断片をコードする単離または精製された核酸。
【請求項28】
前記M1をコードする前記核酸が配列番号7のヌクレオチド配列を有する請求項27に記載の単離または精製された核酸または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片。
【請求項29】
配列番号10のアミノ酸配列を有する単離または精製されたNS1。
【請求項30】
場合によりベクターの一部である、請求項29に記載のNS1をコードする単離または精製された核酸。
【請求項31】
前記NS1をコードする前記核酸が配列番号9のヌクレオチド配列を有する請求項30に記載の単離または精製された核酸。
【請求項32】
(i)配列番号12のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置233、256、327、および561で配列番号12の配列と同一であるという条件で配列番号12に対して98%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたPAタンパク質、あるいは、少なくとも1つが配列番号12の位置233、256、327、または561で前記アミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片。
【請求項33】
場合によりベクターの一部である、請求項32に記載のPAまたはその断片をコードする単離または精製された核酸。
【請求項34】
前記PAをコードする前記核酸が配列番号11のヌクレオチド配列を有する請求項33に記載の単離または精製された核酸または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片。
【請求項35】
(i)配列番号14のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置200および213で配列番号14の配列と同一であるという条件で配列番号14に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたPB1、あるいは、少なくとも1つが配列番号14の位置200または213で前記アミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片。
【請求項36】
場合によりベクターの一部である、請求項35に記載のPB1またはその断片をコードする単離または精製された核酸。
【請求項37】
前記PB1をコードする核酸が配列番号13のヌクレオチド配列を有する請求項36に記載の単離または精製された核酸または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片。
【請求項38】
(i)配列番号16のアミノ酸配列を有するか、または(ii)インフルエンザウイルスに由来しかつアミノ酸配列がアミノ酸位置107、221、292、および661で配列番号16の配列と同一であるという条件で配列番号16に対して99%よりも高い同一性を有するアミノ酸配列を有する単離または精製されたPB2、あるいは、少なくとも1つが配列番号16の位置107、221、292、または661で前記アミノ酸に対して同一である少なくとも9つの隣接アミノ酸を含む(i)または(ii)の断片。
【請求項39】
場合によりベクターの一部である、請求項38に記載のPB2またはその断片をコードする単離または精製された核酸。
【請求項40】
前記PB2をコードする前記核酸が配列番号15のヌクレオチド配列を有する請求項39に記載の単離または精製された核酸または少なくとも9つの隣接アミノ酸をコードするその断片。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−511080(P2009−511080A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536626(P2008−536626)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/060025
【国際公開番号】WO2007/048086
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(304057287)アイオワ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Iowa State University Research Foundation, Inc.
【Fターム(参考)】