インク及び定着剤を印刷するインクジェットプリンタ
【課題】高品質且つ高速の印刷ジョブを提供することができ、且つ必要時に印字ヘッドの比較的容易な交換を可能にするプリンタシステムを提供する。
【解決手段】印刷流体収容手段と、この印刷流体収容手段28,30,32,34と連通しているページ幅印字ヘッド52とを含んでいる、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジ。取外し可能なプリンタカートリッジと相補的な本体と、本体に固定されており、印刷イメージを定義するデータ信号を外部のデータ源から受け取るデータ接続ポイントと、データ接続ポイントに結合されており、データ信号に応答してページ幅印字ヘッドを動作させてイメージを印刷するようにされている処理手段と、を有するクレードル、を含んでいるインクジェットプリンタ。
【解決手段】印刷流体収容手段と、この印刷流体収容手段28,30,32,34と連通しているページ幅印字ヘッド52とを含んでいる、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジ。取外し可能なプリンタカートリッジと相補的な本体と、本体に固定されており、印刷イメージを定義するデータ信号を外部のデータ源から受け取るデータ接続ポイントと、データ接続ポイントに結合されており、データ信号に応答してページ幅印字ヘッドを動作させてイメージを印刷するようにされている処理手段と、を有するクレードル、を含んでいるインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタシステムに関し、詳細には、インクジェットプリンタシステム用の取外し可能なプリンタカートリッジに関する。
【0002】
[同時係属中の出願]
本出願人は、本出願と同時に以下の出願をすでに出願している。
PCT/AU__/_____(WAL), PCT/AU__/_____(MPA), PCT/AU__/_____(SMA)
【0003】
これらの同時係属中の出願の開示は、本文書に参考とすることにより組み込まれる。上記の出願は、出願整理番号によって識別されているが、これらの番号は、対応する出願番号が割り当てられた時点でそれらに置き換えられる。
【背景技術】
【0004】
従来、市販されているインクジェットプリンタのほとんどは、印刷時に印刷媒体の幅全体にわたり左右に往復する印字ヘッドを採用している。そのような印字ヘッドには印刷用インクが供給され、一般には寿命があり、寿命が切れた印字ヘッドを交換する必要がある。往復型印字ヘッドは、そのサイズ及び形状構成のため取外し及び交換が比較的容易であり、プリンタ装置は、この要素に容易にアクセスできるように設計されている。そのような従来の往復型印字ヘッドを採用しているプリンタシステムは、十分な品質で印刷タスクを実行できることが証明されているが、静止している印刷媒体の上を印字ヘッドが絶えず往復しなければならないため、システムは一般に遅く、特に写真画質の印刷ジョブの実行に使用されるときには遅い。
【0005】
最近では、印刷媒体が送り込まれている間、印字ヘッドが静止したままとなるように、印刷媒体の幅全体にわたる印字ヘッドを提供することが可能になった。そのような印字ヘッドは、一般にはページ幅印字ヘッドと称されており、この印字ヘッドの場合、印字ヘッドが印刷媒体上を左右に往復しないため、従来の往復型印字ヘッドよりもずっと速い印刷速度が可能である。しかしながら、印字ヘッドが印刷媒体の長さにわたるため、プリンタ装置の構造の中に印字ヘッドを支持しなければならず、また、印字ヘッドを駆動するためには電力及びデータを供給するために複数の電気接点が必要であり、従って、印字ヘッドの取外し及び交換が従来の往復型印字ヘッドの場合ほど容易ではない。
【0006】
従って、高品質且つ高速の印刷ジョブを提供することができ、且つ必要時に印字ヘッドの比較的容易な交換を可能にするプリンタシステムを提供するニーズが存在する。
【発明の開示】
【0007】
本発明の第1の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいるプリンタカートリッジ、が提供される。
【0008】
ページ幅印字ヘッドは、少なくとも幅8インチの印刷物を生成するようにすることができ、印刷流体収容手段と流体連通している少なくとも20,000個の印刷流体供給ノズルを含んでいることができる。
【0009】
印刷流体収容手段は、外部の供給源から印刷流体を補充する手段を含んでいる本体内に収納することができ、印刷用インクを収容する1つ以上の収容リザーバを含んでいることができる。収容リザーバは、カラー印刷に十分な一連のカラーインクと、ページ幅印字ヘッドによって供給されるインクの定着を助けるインク定着剤と、いくつかのアプリケーションにおいて要求される、目に見えない帯域において印刷を行うことができるようにする赤外線インクとを、個別に収容することができる。
【0010】
プリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドと電気通信状態に設けられている第1の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第1の対応するコネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの第1の端部に隣接して配置されている、第1の電気コネクタ、を含んでいることができる。更に、ページ幅印字ヘッドと電気通信状態に設けられている第2の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第2の対応するコネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの第2の端部に隣接して配置されている、第2の電気コネクタ、を設けることができる。そのような配置構造においては、プリンタカートリッジがインクジェットプリンタに受け入れられているとき、第1及び第2の電気コネクタと、インクジェットプリンタの対応するコネクタとの間の結合関係によって、インクジェットプリンタからページ幅印字ヘッドに電力及びデータを伝送することができる。
【0011】
プリンタカートリッジは、流体供給ノズルの上に紙或いはダストが落下して印刷ジョブの印刷品質が低下することを防止するために、印字ヘッドの上に空気を導くようにされているアセンブリも含んでいることができる。このアセンブリは、空気が印字ヘッドの上に導かれる前に空気を濾過し、これによって、供給される空気に含まれうる粒子を除去するフィルタ、を含んでいることができる。このアセンブリは、インクジェットプリンタ内に配置されている供給源など、外部の供給源からの空気を受け入れる吸入口も含んでいることができる。
【0012】
従って、本発明の更なる実施形態においては、ページ幅印字ヘッドを有するタイプのインクジェットプリンタの保守を容易にする方法であって、互いに分離することのできる少なくとも第1の部分と第2の部分とにおいてインクジェットプリンタを提供するステップであって、第1の部分が、使用時に第2の部分よりも頻繁に交換を必要とする、ステップ、を含んでおり、第1の部分がページ幅印字ヘッドを含んでいる方法、が提供される。
【0013】
第1の部分は、ページ幅印字ヘッドによって供給される印刷流体を収容する印刷流体収容手段であって、第2の部分の中に取外し自在に受け入れられ得るプリンタカートリッジの形態における、印刷流体収容手段、を更に含んでいることができる。
【0014】
第2の部分は、プリンタカートリッジを受け入れるようにされている空洞を有するプリンタクレードルユニットとすることができる。このプリンタクレードルユニットは、プリンタクレードルユニット内にプリンタカートリッジを受け入れた後に、プリンタカートリッジに設けられている対応する電力・データコネクタと結合する電力・データコネクタを介してプリンタカートリッジの動作を制御する電気制御ユニット、を更に含んでいることができる。このプリンタクレードルユニットは、印刷媒体の表面への印刷を容易にするために、印刷媒体をプリンタカートリッジの印字ヘッドに供給する印刷媒体搬送システム、も含んでいることができる。
【0015】
第2の側面においては、本発明は、インクジェットプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段を含んでいる本体と、印刷流体収容手段と流体連通している少なくとも20,000個の印刷流体供給ノズルを含んでいる印字ヘッドと、を含んでいるインクジェットプリンタカートリッジ、を提供する。
【0016】
本発明のこの側面の代替実施形態においては、印字ヘッドは、印刷流体収容手段と流体連通している少なくとも30,000個の印刷流体供給ノズルを含んでいることができる。更に別の実施形態においては、印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドを備えていることができる。
【0017】
プリンタカートリッジの印刷流体収容手段は、印刷用の1つ以上の印刷流体を個別に収容する1つ以上の収容リザーバを含んでいることができる。そのような印刷流体は、カラー印刷に十分な一連のカラーインクとすることができ、流体供給ノズルによる供給後にインクの定着を促進するインク定着剤と、赤外線インクも含んでいることができる。
【0018】
本発明の第3の側面によると、インクジェットプリンタであって、クレードルと、クレードルと取外し自在に係合するインクジェットプリンタカートリッジであり、インク及びインク定着剤をそれぞれ収容する少なくとも第1の収容手段及び第2の収容手段と、第1の収容手段及び第2の収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいるインクジェットプリンタカートリッジと、印字ヘッドによる供給後に印刷媒体へのインクの定着を促進する目的で、印字ヘッドによるインク及びインク定着剤の適用を制御する手段と、を含んでいるインクジェットプリンタ、が提供される。
【0019】
インクジェットプリンタカートリッジは、カラー印刷に十分な一連のカラーインクを個別に収容する更なる収容手段、を含んでいることができる。
【0020】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタと取外し自在に係合するようにされているインクジェットプリンタカートリッジであって、インク及びインク定着剤をそれぞれ含んでいる少なくとも第1の収容手段及び第2の収容手段と、第1の収容手段及び第2の収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいるインクジェットプリンタカートリッジ、が提供される。
【0021】
本発明のこの側面の更に別の実施形態によると、上記のプリンタカートリッジを含んでいるタイプのインクジェットプリンタを動作させる方法であって、ページ幅印字ヘッドを制御してインクによって媒体に印刷するステップと、ページ幅印字ヘッドを制御して媒体にインク定着剤を塗布することによって、媒体へのインクの定着を促進するステップと、を含んでいる方法、が提供される。
【0022】
本発明の第4の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、1つ以上の印刷用インクと、1つ以上のインクと流体連通している印字ヘッドと、を含んでおり、1つ以上のインクの少なくとも1つが赤外線インクである、プリンタカートリッジが提供される。
【0023】
プリンタカートリッジは、印刷用インクを収容するようにされている本体を更に含んでいることができ、印字ヘッドは、流体連通を容易にするため本体に取り付けられているページ幅印字ヘッドとすることができる。本体内に収容されている1つ以上のインクは、カラー印刷を可能にする一連のカラーインクを含んでいることもできる。
【0024】
本発明の第5の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、1つ以上の印刷流体を収容する印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印刷流体収容手段と流体連通している補給ポートと、を含んでいる、プリンタカートリッジ、が提供される。
【0025】
本発明のプリンタカートリッジは、印刷流体収容手段が中に配置されており、且つ、ページ幅印字ヘッド及び補給ポートが取り付けられている、本体、を更に含んでいることができる。更に、印刷流体収容手段は、1つ以上の印刷流体それぞれに個別の印刷流体収容リザーバを含んでいることもでき、1つ以上の印刷流体は、カラー印刷を可能にする一連のカラーインクを含んでいることができる。更には、補給ポートは、個別の印刷流体収容リザーバのそれぞれに対応し且つそれぞれと流体連通している1つ以上の注入口を含んでいることができる。
【0026】
本発明の第6の側面によると、インクジェットプリンタ用の取外し可能なプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、印字ヘッドの上に空気を導くようにされており、且つフィルタを含んでいるアセンブリと、を含んでいる、取外し可能なプリンタカートリッジ、が提供される。
【0027】
アセンブリは、プリンタカートリッジから離れて配置されている供給源、例えば、インクジェットプリンタに設けられている供給源、からの空気を受け入れる吸入口、を更に含んでいることができる。プリンタカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドを備えていることができ、フィルタは、外部の供給源から受け取られる空気の中に存在している粒子物質を収集できるものとすることができる。これに関して、プリンタカートリッジはインクジェットプリンタから取り外すことができるため、カートリッジの交換時、空気を濾過するフィルタも交換される。このアセンブリの目的は、紙或いは粒子物質が印字ヘッドの表面上に蓄積或いは衝突する(これは、印字ヘッドの損傷の原因となり、印字ヘッドによって実行される印刷ジョブの品質に影響する)ことを防ぐことである。
【0028】
本発明のこの側面の更なる実施形態によると、取外し可能なプリンタカートリッジの印字ヘッドの劣化を防止する方法であって、空気の流れを発生させるステップと、濾過された空気を生成する目的で、カートリッジに取り付けられているフィルタによって空気の流れから粒子物質を濾過するステップと、濾過された空気を印字ヘッドの上に導くステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0029】
本発明の第7の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、空気吸入口と、空気吸入口からの空気を印字ヘッドの上に導くようにされている1本以上の導管と、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0030】
プリンタカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドとすることができ、カートリッジは、プリンタカートリッジの交換を容易にするために、インクジェットプリンタから取外し可能とすることができる。
【0031】
空気吸入口は、プリンタカートリッジから離れて配置されている空気供給源からプリンタカートリッジに空気を供給することができるように、インクジェットプリンタの相補的な形状部と結合するように構成することができる。
【0032】
本発明の第8の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、印字ヘッドを吸い取るようにされている印刷流体吸取り器と、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0033】
好ましい実施形態においては、カートリッジの印刷流体収容手段及び印字ヘッドは、プリンタカートリッジの本体に固定されるようにすることができ、印刷流体吸取り器は、本体に結合することができる。
【0034】
印刷流体吸取り器は、印刷流体吸取り器を印字ヘッドに選択的に連携させるアセンブリを係合させる係合手段、を含んでいることもでき、印刷流体吸取り器は、印字ヘッドから発射される印刷流体を、印字ヘッドが印刷媒体に印刷していないときに吸収するようにされている吸収材料、を含んでいることができる。
【0035】
印刷流体吸取り器は、プリンタカートリッジの本体に回転自在に結合することができ、更に摺動自在に本体に結合することもできる。印字ヘッドがページ幅印字ヘッドを備えている場合、吸取り器は、印字ヘッドの長さ全体に沿って吸取り機能を実行するために、ページ幅印字ヘッドに沿って延在していることができる。
【0036】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、少なくとも1つの印刷流体リザーバを含んでいる本体と、本体に取り付けられており、且つ少なくとも1つの印刷流体リザーバと流体連通している印字ヘッドと、回転自在に本体に結合されている印刷流体吸取り器と、印刷流体吸取り器に配置されている係合手段であって、印刷流体吸取り器を印字ヘッドに選択的に連携させるアセンブリを係合させる、係合手段と、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0037】
本発明の第9の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、印字ヘッドに対する補助的なアセンブリであって、印字ヘッドに関連する複数の異なる機能を選択的に実行するようにされている、アセンブリと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0038】
好ましい実施形態においては、アセンブリによって実行される異なる機能は、印字ヘッドを吸い取る、印字ヘッドを覆う、印字ヘッドに対するプラテンとして機能する、のうちの少なくとも1つを含んでいることができる。
【0039】
印字ヘッドに対する補助的なアセンブリは、印字ヘッドに隣接してプリンタカートリッジに結合されている回転可能部材、を更に含んでいることができる。回転可能部材は、上に挙げた異なる機能の1つを実行するようにそれぞれが構成されている複数の面を含んでいることができる。
【0040】
プリンタカートリッジは、回転可能部材に固定されている係合手段であって、機能面が印字ヘッドに選択的に連携するようにインクジェットプリンタの機構と係合する、係合手段、を更に含んでいることができる。この係合手段は、アセンブリが、プリンタの特定の状態に要求される望ましい向きであるように、プリンタによって制御可能である。これに関して、プリンタカートリッジは、アセンブリが1つの望ましい機能を実行するためのポジションに必ずあるように、通常において回転可能部材の面を印字ヘッドに付勢するようにされている付勢手段を含んでいることもできる。
【0041】
好ましい実施形態においては、プリンタカートリッジは、印字ヘッドの長さにわたるアセンブリを備えているページ幅印字ヘッドを備えている。
【0042】
本発明の第10の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドと電気通信状態にある第1の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第1の対応するコネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの第1の端部に隣接して配置されている、第1の電気コネクタと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0043】
プリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドの第2の端部に隣接して配置されている第2の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第2の対応するコネクタと結合する、第2の電気コネクタ、を更に含んでいることができる。そのような電気コネクタは、印刷媒体に印刷するために印字ヘッドを制御するためのデータ及び電力をプリンタカートリッジに提供することのできる手段、を提供する。プリンタカートリッジがインクジェットプリンタと係合すると、第1及び第2の電気コネクタと、インクジェットプリンタの対応するコネクタとの間の結合によって、電力及びデータを伝送することが可能になる。これに関して、印刷流体収容手段と、ページ幅印字ヘッドと、第1及び第2の電気コネクタは、それぞれ、プリンタカートリッジの本体に取り付けることができる。
【0044】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、インクジェットプリンタ内に受け入れられるようにされており、且つ印刷流体収容手段を含んでいる細長い本体と、本体に取り付けられており、且つ印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドと電気通信状態にある第1及び第2の電気コネクタであって、細長い本体に取り付けられており、インクジェットプリンタの対応する第1及び第2の電気コネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの両端部に隣接して配置されている、第1及び第2の電気コネクタと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0045】
本発明の第11の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、インク収容リザーバと、インク収容リザーバと連通している印字ヘッドと、インク収容リザーバと連通している補給ポートであって、インク収容リザーバを補充するために補給インクを受け入れるようにされている、補給ポートと、補給インクと、インク収容リザーバに収容されているインク、の少なくとも一方の特性に関する情報を格納するようにされている集積回路アセンブリと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0046】
好ましい実施形態においては、補給インク、又はインク収容リザーバに収容されているインクの特性に関する情報は、インク収容リザーバに残っているインクの量と、補給インクの製造元と、補給インクのレオロジー特性と、補給インクの色とに関する任意の情報を含んでいることができる。集積回路アセンブリは、インクジェットプリンタに取り付けられている電気接点であって、補給インクを含んでいる補給カートリッジの集積回路と接続している、電気接点、を含んでいることが好ましい。
【0047】
好ましい形態においては、印字ヘッドカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドである。
【0048】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、ページ幅印字ヘッドと連通しているインク収容手段を含んでいる取外し可能なプリンタカートリッジを含んでいるタイプのインクジェットプリンタ、のインクサプライの真正性(authenticity)を維持する方法であって、補給インクの特性に関する情報を格納している集積回路アセンブリを含んでいるインク補給カートリッジを提供するステップと、インク補給カートリッジをプリンタカートリッジに結合するステップと、補給インクの特性と、インク収容手段に収容されているインクの特性とを比較するテストを実行するステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0049】
補給インクの特性と、インク収容手段に収容されているインクの特性とを比較するステップは、インクサプライによってインク収容手段を補給することが可能であるようにこれらのインクが同じ特性を共有しているかを判断するステップ、を含んでいることが好ましい。
【0050】
本発明の第12の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、それぞれが所定の印刷流体を専用に収容するようにされている複数の収容リザーバと、収容リザーバと連通している印字ヘッドと、補給カートリッジの対応するコネクタと結合するようにされている補給ポートであって、収容リザーバのそれぞれに対応しており且つ流体連通している注入口を含んでいる、補給ポートと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0051】
好ましい実施形態においては、プリンタカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドとすることができ、印刷流体は、カラー印刷用の一連のカラーインク、インク定着剤、及び赤外線インクのうちの任意の1つ以上を含んでいることができる。
【0052】
本発明のこの側面の代替実施形態によると、インクジェットプリンタ補給システムであって、複数の収容リザーバのそれぞれに対応しており且つ流体連通している注入口を含んでいる補給ポートを有するプリンタカートリッジであって、リザーバのそれぞれが、複数の印刷流体のうちの所定の1つを専用に収容するようにされている、プリンタカートリッジと、複数の印刷流体の1つを含んでおり、且つ、補給ポートと結合するようにされているコネクタを含んでいる、少なくとも1つの補給カートリッジであって、コネクタが、複数の収容リザーバのうち、補給カートリッジに含まれている印刷流体を専用に収容するようにされている特定の1つと連通している、補給注入ポートのうちの特定の1つ、と連通する位置にある出口、を有する、補給カートリッジと、を含んでいる、インクジェットプリンタ補給システムが提供される。
【0053】
インクジェットプリンタ補給システムのプリンタカートリッジは、印刷流体収容リザーバと連通している印字ヘッドを含んでいることができ、印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドとすることができる。
【0054】
本発明の第13の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドであって、印字ヘッドの長さにわたる2つのプリントチップを含んでいる、ページ幅印字ヘッドと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0055】
2つのプリントチップは、好ましくは互いに当接して印字ヘッドの長さにわたるようにされている。
【0056】
プリンタカートリッジは、プリンタクレードル内に受け入れられるようにされている細長い本体を含んでいることが好ましく、印字ヘッドの両端部に位置しており且つ2つの印字ヘッドチップと電気通信状態にある電気コネクタを有することが好ましい。
【0057】
本発明の第14の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドの長さにわたるシールドであって、カートリッジがインクジェットプリンタクレードルに挿入されたときに、印字ヘッドを紙との接触から保護するようにされている、シールドと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0058】
プリンタカートリッジは、印刷流体収容手段を収納する細長い本体であって、インクジェットプリンタのクレードルの中に取外し自在に受け入れられるようにされている、細長い本体、を含んでいることが好ましい。
【0059】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタカートリッジであって、プリンタクレードル内に受け入れられるようにされている細長い本体と、細長い本体の中に収納されている少なくとも1つの印刷流体収容リザーバと、細長い本体に取り付けられており、且つ少なくとも1つの印刷流体収容リザーバと流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドの長さにわたるシールドであって、カートリッジがインクジェットプリンタクレードルに挿入されたときに、印字ヘッドを紙との接触から保護するようにされており、更に、インクジェットプリンタカートリッジの空気ダクトを密封するようにされている、シールドと、を含んでいる、インクジェットプリンタカートリッジが提供される。
【0060】
本発明の第15の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段を収納しており、且つインクジェットプリンタクレードルの中に受け入れられるようにされている細長い本体と、本体に取り付けられており、且つ印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、ページ幅印字ヘッドに沿って圧縮空気を均一に流通させるようにされている空気流通アセンブリと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0061】
空気流通アセンブリは、外部の供給源から圧縮空気を受け入れる空気吸入口と、細長い本体に形成されている溝であって、吸入口と連通しており且つページ幅印字ヘッドに沿って配置されている、溝と、を含んでいることが好ましい。空気流通アセンブリは、溝の長さにわたり密封するフィルタであって、その長手方向に沿って印字ヘッドに空気を導くようにされている、フィルタ、を更に含んでいる。フィルタは、溝の中の空気圧がしきい値レベルに達したときにのみ空気を通過させるようにされていることが好ましい。このことは、しきい値レベルに対応する(determine)寸法を有する複数の孔を含んでいるフィルタによって達成することができる。
【0062】
本発明の第16の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、1つ以上の印刷流体リザーバと、1つ以上の印刷流体供給溝を画成している印刷流体供給部材と、1つ以上の印刷流体供給溝によって1つ以上の印刷流体リザーバと流体連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0063】
1つ以上の印刷流体リザーバは、細長い本体内に収納されていることが好ましく、ページ幅印字ヘッドは、細長い本体に取り付けられていることが好ましい。
【0064】
印刷流体供給部材は、印字ヘッドの長さにわたるようにされていることが好ましく、ページ幅印字ヘッドは、印刷流体供給部材によって細長い本体に取り付けられていることが好ましい。印刷流体供給部材は、収容リザーバからの印刷流体を印字ヘッドに供給する複数の印刷流体供給溝を画成していることが好ましい。
【0065】
本発明の第17の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッド及びインクサプライを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと相補的な本体と、本体に固定されているデータ接続ポイントであって、印刷イメージを定義するデータ信号を外部のデータ源から受け取る、データ接続ポイントと、データ接続ポイントに結合されている処理手段であって、データ信号に応答してページ幅印字ヘッドを動作させてイメージを印刷するようにされている、処理手段と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0066】
インクジェットプリンタクレードルの本体は、取外し可能なページ幅インクジェットカートリッジがクレードル本体によってサポートされるようにカートリッジを受け入れる形状を有するくぼみ、を画成していることが好ましい。クレードル本体は、外部の電力源から動作電力を受け取る電力接続ポイントを更に含んでいることができる。
【0067】
本発明の第18の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、複数の取外し可能なインクジェットカートリッジのそれぞれと相補的な本体であって、取外し可能なインクジェットカートリッジのそれぞれが、ページ幅印字ヘッド及びインクサプライを有するタイプであり、且つそれぞれが異なる性能特性を有する、本体と、クレードルに結合されたときに複数のカートリッジのそれぞれの性能特性を調べ、調べた性能特性に応答してカートリッジのそれぞれを動作させるようにされているコントローラと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0068】
コントローラは、最適な印刷速度及びインク容量、のうちの少なくとも一方が異なる性能特性を有する複数の取外し可能なインクジェットカートリッジ、のそれぞれを動作させるようにされていることが好ましい。
【0069】
本体は、複数の取外し可能なインクジェットカートリッジのうちの任意の1つを受け入れるくぼみを含んでいることが好ましい。
【0070】
本発明の第19の側面によると、ページ幅印字ヘッドを含んでいるタイプのインクジェットプリンタのアップグレードを容易にする方法であって、インクジェットプリンタを相補的なクレードル及びスターターカートリッジとして提供するステップであって、クレードルが、異なる性能特性を有する複数のカートリッジを動作させるようにされている、ステップと、スターターカートリッジを、複数のカートリッジのうち改良された性能特性を有する別のカートリッジと交換することを容易にするステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0071】
カートリッジの異なる性能特性は、印刷速度、インク容量、インクの数及び種類、のうちの1つ以上を含んでいることが好ましい。
【0072】
クレードルによってサポートされる様々なカートリッジの印刷速度は、15ppm〜60ppmの間の様々な速度であることができる。
【0073】
クレードルによってサポートされる様々なカートリッジのインク容量は、150mlのインク〜300mlのインクの間の様々な容量であることができる。
【0074】
クレードルによってサポートされる様々なカートリッジによって担持されるインクの数及び種類は、黒、シアン、マゼンダ、黄、赤外線、インク定着剤のうちの任意の1つ以上を含んでいることができる。
【0075】
本発明の第20の側面によると、インクジェットプリンタシステムであって、複数のインクジェットプリンタカートリッジと、くぼみを画成している本体をそれぞれが含んでいる複数のインクジェットプリンタクレードルであって、複数のインクジェットプリンタカートリッジのうちの一連のサポートされているインクジェットプリンタカートリッジのそれぞれを受け入れて動作させるようにされている、複数のインクジェットプリンタクレードルと、を含んでおり、複数のインクジェットプリンタカートリッジのうち、複数のインクジェットプリンタクレードルのうちの特定の1つにおいてサポートされている一連のインクジェットプリンタカートリッジに属していないインクジェットカートリッジが、特定のインクジェットプリンタクレードルのくぼみに受け入れられることが阻止される形状を有する、インクジェットプリンタシステムが提供される。
【0076】
インクジェットプリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドを含んでおり、且つ、ページ幅印字ヘッドと流体連通している内部インク貯蔵部を含んでいることが好ましい。内部インク貯蔵部は、印刷用インクを個別に収容する複数の個々のインク収容リザーバを含んでいることができる。
【0077】
特定のインクジェットプリンタクレードルによってサポートされていないインクジェットプリンタカートリッジには、カートリッジをクレードルに挿入しようとしたときに特定のインクジェットプリンタクレードルの凹部又は突起と結合しない突起又は凹部が形成されていることが好ましい。
【0078】
特定のインクジェットプリンタクレードルによってサポートされているインクジェットプリンタカートリッジを視覚的に識別することを支援する目的で、インクジェットプリンタカートリッジとインクジェットプリンタクレードルとに表示(indicia)を設けることができる。そのような表示は、カラーマーカーなどの形態とすることができる。
【0079】
本発明の第21の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッド及びインクサプライを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと相補的な本体と、カートリッジの認証デバイスをテストするようにされている集積回路アセンブリと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードル、が提供される。
【0080】
取外し可能なインクジェットカートリッジの認証デバイスは、カートリッジの動作特性に関する情報を格納している品質保証チップを備えていることが好ましい。
【0081】
プリンタクレードル本体は、取外し可能なインクジェットカートリッジを受け入れるくぼみを画成していることが好ましく、集積回路アセンブリは、取外し可能なインクジェットカートリッジがくぼみに挿入されたときに、カートリッジの品質保証チップとしっかり接続する位置において本体に取り付けられているコネクタ、を含んでいることができる。集積回路アセンブリは、インクジェットプリンタクレードルの制御回路の一部を更に備えていることができ、制御回路は、カートリッジの認証デバイスを確認できないことを示すようにすることができる。
【0082】
本発明の第22の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有するくぼみ、を画成している本体と、本体に配置されている端子であって、カートリッジがくぼみに挿入されたときに、取外し可能なインクジェットカートリッジに配置されている対応する端子と接触し、これによってクレードルとカートリッジとの間の電気通信を可能にする、端子と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0083】
プリンタクレードル本体の端子は、くぼみの1つ以上の壁に配置されていることが好ましい。くぼみは、細長いくぼみとすることができ、端子は、くぼみの少なくとも一端の壁に配置されていることが好ましい。別の実施形態においては、端子は、細長いくぼみの両端の壁に配置することができる。
【0084】
プリンタクレードルの端子のそれぞれは、プリンタクレードルとインクジェットカートリッジとの間でのデータ及び電力の伝送を可能にするデータ・電力端子を備えていることができる。
【0085】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと結合する寸法を有する細長いくぼみ、を画成している本体と、くぼみの両端の壁に配置されている電力・データ端子であって、カートリッジがくぼみに挿入されたときに、取外し可能なインクジェットカートリッジに配置されている対応する端子と接触し、これによってクレードルとカートリッジとの間の電気通信を可能にする、電力・データ端子と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0086】
本発明の第23の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有するくぼみ、を画成している本体と、カートリッジをくぼみの中に保持するようにされている保持手段と、使用時にカートリッジを保持手段及び本体にしっかりと保持するようにされている1つ以上の弾性部材と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0087】
好ましい実施形態においては、1つ以上の弾性部材は、プリンタの使用中、カートリッジがプリンタクレードルの中に保持された後、カートリッジを保持手段に付勢するようにされている。別の実施形態においては、1つ以上の弾性部材は、プリンタの使用中、カートリッジをクレードルに付勢するようにすることができる。
【0088】
取外し可能なインクジェットカートリッジは、取外し可能なインクジェットカートリッジの中に含まれている印刷流体収容リザーバと好ましくは流体連通しているページ幅印字ヘッド、を含んでいることが好ましい。
【0089】
保持手段は、ラッチを含んでいることができ、1つ以上の弾性部材は、1本以上のばねを備えていることができる。プリンタクレードル本体におけるくぼみは、1つ以上の弾性部材が上に配置されている棚部を含んでいることが好ましい。
【0090】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、インクジェットプリンタクレードルであって、棚部を有するくぼみを画成している本体であって、くぼみが、ページ幅印字ヘッドを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有する、本体と、カートリッジをくぼみの中に保持するようにされているラッチと、棚部の上に配置されており、使用時にカートリッジをラッチに付勢するようにされている1本以上のばねと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0091】
本発明のこの側面の更に別の実施形態においては、インクジェットプリンタカートリッジをインクジェットプリンタクレードルの中で安定させる方法であって、クレードルの本体によって画成されているくぼみの中にカートリッジを収容するステップと、カートリッジをくぼみの中にラッチによって保持するステップと、カートリッジを1つ以上の弾性部材によってラッチ及び本体にしっかりと保持するステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0092】
1つの形態においては、カートリッジをしっかりと保持するステップは、インクジェットプリンタカートリッジをラッチに付勢するステップを含んでいることができる。これに代えて、カートリッジをしっかりと保持するステップは、インクジェットプリンタカートリッジを本体に付勢するステップを更に含んでいることができる。
【0093】
本発明の第24の側面によると、ページ幅印字ヘッドを含んでいるタイプのインクジェットプリンタカートリッジと相補的なインクジェットプリンタクレードルであって、カートリッジに対する補助的な複数の機構と、1つのモーターと、1つのモーターを複数の機構のそれぞれに結合している伝達アセンブリと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0094】
複数の機構は、圧縮空気をプリンタカートリッジに供給する空気圧縮器と、印刷するために印刷媒体を印字ヘッドに搬送する印刷媒体搬送アセンブリとを含んでいることが好ましい。
【0095】
伝達アセンブリは、圧縮器とモーターの軸との間の直接駆動結合を含んでいることが好ましい。直接駆動結合は、モーターの軸から延在しているウォーム歯車であって、印刷媒体搬送アセンブリの歯と噛み合って印刷媒体搬送アセンブリを駆動する、ウォーム歯車、を含んでいることができる。
【0096】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、ページ幅印字ヘッドを含んでいるタイプのインクジェットプリンタカートリッジと相補的なインクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドの上に導かれる空気を生成する空気圧縮器と、印字ヘッドを横切って印刷媒体を搬送するようにされている印刷媒体搬送アセンブリと、1つのモーターと、1つのモーターを空気圧縮器と印刷媒体搬送アセンブリとに結合するようにされている伝達アセンブリと、を含んでおり、伝達アセンブリが、1つのモーターの軸から空気圧縮器への直接駆動結合と、軸から印刷媒体搬送アセンブリへの歯車式結合とを含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0097】
本発明の第25の側面によると、ページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドに関連する複数の異なる機能を選択的に実行するようにされている印字ヘッド補助部材と、を含んでいるタイプのインクジェットプリンタカートリッジ、と相補的なプリンタクレードルであって、印字ヘッド補助部材と選択的に係合して印字ヘッド補助部材を駆動するようにされている伝達アセンブリ、を含んでいる、プリンタクレードル、が提供される。
【0098】
伝達アセンブリは、駆動軸を含んでおり、アセンブリは、駆動軸が第1の方向及び第2の方向に回転するとき、それぞれ、印字ヘッド補助部材と係合する、及び印字ヘッド補助部材との係合が外れるようにされていることが好ましい。更に、伝達アセンブリは、印字ヘッド補助部材の駆動軸と選択的に係合するフリッパー歯車アセンブリを含んでいることが好ましく、フリッパー歯車アセンブリは、駆動軸に固定されている第1の歯車と、第1の歯車から半径方向に離れて配置されている第2の歯車と、第2の歯車と第1の歯車とを噛み合い状態に保持する収容部材と、を備えていることが好ましい。
【0099】
本発明の第26の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドと空気吸入ポートとを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと相補的な本体と、インクジェットプリンタクレードルとカートリッジとが結合するときに空気吸入ポートと結合するように配置されている空気出口パイプを有する空気圧縮器と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードル、が提供される。
【0100】
プリンタクレードル本体は、取外し可能なインクジェットカートリッジを受け入れて収容する寸法を有するくぼみを画成しており、空気出口パイプの端部がくぼみ内に存在していることが好ましい。空気出口パイプは、本体のうちくぼみの内部棚部を画成している部分を横切り、取外し可能なインクジェットカートリッジにおける空気吸入ポートの上のシールの貫通を支援するように構成されている端部形状を有することが好ましい。
【0101】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッド及び空気吸入ポートを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有するくぼみ、を画成している本体と、本体のうちくぼみの内部棚部を画成している部分を横切るようにされている空気出口パイプを有する空気圧縮器であって、パイプが、インクジェットプリンタクレードルがくぼみに挿入されたときに空気吸入ポートと結合するように配置されており、且つ、空気吸入ポートの上のシールの貫通を支援するように構成されている、空気圧縮器と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0102】
本発明の第27の側面によると、印刷流体注入器であって、インク出口を有するインクリザーバと、インクを出口から押し出す目的で、インクリザーバに圧力を印加する手段と、出口から押し出されるインクの圧力を所定のレベルに制限する手段と、を含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0103】
インクリザーバは、変形可能なメンブレンを備えており、出口から押し出されるインクの圧力を制限する手段は、インクリザーバに直接印加される圧力を制限する手段を備えていることが好ましい。
【0104】
インクリザーバに圧力を印加する手段は、ハンドルを備えていることができ、インクリザーバに印加される圧力を制限する手段は、圧力が所定のレベルに制限されるように選択されている変形特性を有する弾性部材、を含んでいることができる。弾性部材は、インクリザーバと、インクリザーバに圧力を印加する手段との間に位置していることが好ましく、ばねを備えていることが好ましい。リザーバとばねの両方は、ハンドルの部分の中に配置することができる。
【0105】
使用時、注入器は、外部リザーバに結合されており、インクは、注入器の出口から押し出されて外部リザーバに供給されることが好ましい。外部リザーバは、取外し可能なインクジェットカートリッジに設けられており、所定の圧力レベルは、外部リザーバが破裂するのに要する圧力に関連付けられていることが好ましい。
【0106】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、印刷流体注入器であって、出口を有する、印刷流体の変形可能な容器と、インクを出口から押し出す目的で、容器に圧力を印加するようにされているハンドルと、使用時に注入器に結合されている外部リザーバの破裂を防止する目的で、変形可能な容器にハンドルによって印加される圧力を制限するようにされている弾性部材と、を含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0107】
変形可能な容器は、印刷流体を収容するメンブレンを備えていることが好ましく、弾性部材は、メンブレンに当たるようにされている基台を含んでいるばねを備えていることが好ましい。
【0108】
本発明の第28の側面によると、複数の印刷流体注入器を備えている印刷流体注入器システムであって、複数の印刷流体注入器のそれぞれが、複数の印刷流体のうちの1つと、補給されるインクジェットプリンタコンポーネント上の所定の位置に注入器を位置させるように構成されている形状部分と、形状部分に対する複数の所定のポジションのうち、注入器の中の印刷流体の種類に応じた1つのポジションに位置している出口と、を含んでいる、印刷流体注入器システムが提供される。
【0109】
インクジェットプリンタコンポーネントは、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジであることが好ましく、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドを含んでいることが好ましい。
【0110】
注入器を所定の位置に位置させるように構成されている形状部分は、インクジェットプリンタコンポーネントの補給ポートと結合するようにされているコネクタを備えていることが好ましく、出口の複数の所定のポジションは、コネクタによって画成されている領域内に存在していることが好ましい。
【0111】
好ましい実施形態においては、複数の印刷流体は、カラー印刷を可能にする一連のカラーインクを含んでいる。
【0112】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、複数の印刷流体注入器を備えている印刷流体注入器システムであって、複数の印刷流体注入器のそれぞれが、カラーインクと、補給されるインクジェットプリンタカートリッジの補給ポートと結合するようにされているコネクタであって、補給ポートが、個別に配置されている複数の注入口を含んでいる、コネクタと、個別に配置されている注入ポートのうち、カラーインクの色に応じた1つ、と結合するように配置されている出口と、を含んでいる、印刷流体注入器システムが提供される。
【0113】
本発明の第29の側面によると、印刷流体注入器であって、互いに対して動くことのできる第1の部分及び第2の部分を備えているハウジングと、第1の部分及び第2の部分の相対的な動きに応える、印刷流体のリザーバであって、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口を有する、リザーバと、を含んでおり、使用時、第1の部分及び第2の部分を互いの方に動かすことによって、印刷流体が出口から出る、印刷流体注入器が提供される。
【0114】
リザーバは、ハウジング内に配置されている変形可能な容器を備えており、第1の部分及び第2の部分が互いの方に動くことによって、変形可能な容器が圧縮されることが好ましい。
【0115】
ハウジングの第1の部分及び第2の部分は、互いに摺動するようにされていることが好ましく、変形可能な容器と、ハウジングの第1の部分及び第2の部分のいずれか又は両方との間に、弾性部材が配置されていることが好ましい。弾性部材は、変形可能な容器における圧力が使用時に所定のレベルに制限されるように選択される特性を有することが好ましい。
【0116】
弾性部材は、ばねを備えていることができ、ハウジングの第1の部分及び第2の部分は、基部及びプランジャを備えていることができ、この場合、ばねは、変形可能な容器とプランジャとの間に位置している。
【0117】
変形可能な容器は、変形可能なメンブレンを備えていることが好ましい。
【0118】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、印刷流体注入器であって、基部及びプランジャを備えているハウジングと、ハウジング内に配置されており、印刷流体を収容する変形可能な容器と、変形可能な容器に結合されており、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口と、変形可能な容器とプランジャとの間に配置されているばねであって、変形可能な容器における圧力が使用時に所定のレベルに制限されるように選択される特性を有する、ばねと、を含んでおり、使用時、プランジャを基部の方に動かすことに起因して、ばねと基部との間で変形可能な容器が圧縮され、印刷流体が出口から出る、印刷流体注入器が提供される。
【0119】
本発明の第30の側面によると、印刷流体注入器であって、互いに対して動くことのできる第1の部分及び第2の部分を備えているハウジングと、第1の部分及び第2の部分の相対的な動きに応える、印刷流体のリザーバであって、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口を有する、リザーバと、を含んでおり、第1及び第2の部分に所定のレベルの動作力が印加されるまで、第1及び第2の部分の互いに対する動きを阻止するようにされている結合する形状部分、を第1の部分及び第2の部分が含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0120】
好ましい実施形態においては、印刷流体のリザーバは、ハウジング内に配置されている変形可能な容器を備えており、流体注入器の第1の部分及び第2の部分を互いの方に動かすことに起因して容器が圧縮され、これによって、注入器から印刷流体が運ばれる。
【0121】
第1の部分及び第2の部分は、基部及びプランジャを備えていることが好ましく、結合する形状部分は、基部及びプランジャの対向する壁に形成されている1つ以上の相補的な突起を備えていることができる。
【0122】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、印刷流体注入器であって、満杯分の(a full complement of)印刷流体を含んでいる変形可能な容器と、プランジャを摺動自在に係合させる基部を含んでおり、変形可能な容器を収容しているハウジングと、変形可能な容器に結合されており、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口と、を含んでおり、第1及び第2の部分に所定のレベルの動作力が印加されるまで、第1及び第2の部分の互いに対する動きを阻止するようにされている結合する形状部分、を第1の部分及び第2の部分が含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0123】
本発明の第31の側面によると、印刷流体注入器であって、互いに対して動くことのできる第1の部分及び第2の部分を備えているハウジングと、第1の部分及び第2の部分の互いに対する動きに応える、印刷流体を収容しているリザーバ、であって、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口を有する、リザーバと、を含んでおり、第1の部分及び第2の部分が、注入器の動作後に第1及び第2の部分が互いに分離されること阻止するようにされているロック形状部分、を含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0124】
印刷流体を収容しているリザーバは、ハウジング内に配置されている変形可能な容器であって、第1の部分及び第2の部分を互いの方に動かすことに起因して圧縮される、容器、を備えていることが好ましい。
【0125】
第1の部分及び第2の部分は、基部及びプランジャを備えていることが好ましく、ロック形状部分は、基部及びプランジャの対向する壁に形成されている1つ以上の相補的な突起及び凹部を備えていることが好ましい。
【0126】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、印刷流体注入器であって、印刷流体の変形可能な容器と、プランジャを摺動自在に係合させている基部との間に変形可能な容器を収容しているハウジングと、変形可能な容器に結合されており、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口と、を含んでおり、基部及びプランジャが、基部及びプランジャの対向する壁に形成されている1つ以上の相補的な突起及び凹部であって、注入器の動作後にプランジャが基部から取り外されることを防止するために配置されている、突起及び凹部、によって互いに係合している、印刷流体注入器が提供される。
【0127】
本発明の第32の側面によると、取外し可能なインクジェットカートリッジを補給する方法であって、取外し可能なインクジェットカートリッジを相補的なインクジェットクレードルに結合するステップと、補給カートリッジを取外し可能なインクジェットカートリッジに結合するステップと、取外し可能なインクジェットカートリッジの真正性を確認するステップと、補給カートリッジの真正性を確認するステップと、その後、確認ステップに基づいてクレードルを動作させるステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0128】
取外し可能なインクジェットカートリッジを相補的なインクジェットクレードルに結合するステップは、インクジェットカートリッジの認証デバイスとクレードルのコントローラとの間の電気通信を可能にするステップを含んでいることが好ましい。
【0129】
補給カートリッジを取外し可能なインクジェットカートリッジに結合するステップは、補給カートリッジの認証デバイスとクレードルのコントローラとの間の電気通信を可能にするステップを含んでいることが好ましい。
【0130】
その後に確認ステップに基づいてクレードルを動作させるステップは、補給カートリッジ又は取外し可能なインクジェットカートリッジのいずれかの認証に失敗したことをユーザに知らせるステップを含んでいることが好ましい。
【0131】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、プリンタの取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジの認証デバイスと、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジに結合されている補給カートリッジの認証デバイスとを確認するようにされているコントローラ、を含んでいるインクジェットプリンタが提供される。
【0132】
コントローラは、プリンタのクレードルの中に配置されていることが好ましく、且つ、コントローラは、認証デバイスとの電気通信が確立される位置においてクレードルの本体に取り付けられている電気接点、に結合されていることが好ましい。認証デバイスのそれぞれは、集積回路を備えていることが好ましい。
【0133】
本発明は、印字ヘッドと、プリンタシステムのクレードルユニットから容易に取り外す、及び交換することのできるカートリッジ形式における関連付けられる印刷流体収容手段と、を採用しているプリンタシステムを提供することが理解されるであろう。取外し可能且つ交換可能のカートリッジは、既存のプリンタシステムより品質及び速度が優れている印刷ジョブを提供することのできる印字ヘッドを含んでおり、このカートリッジでは、印刷流体の減少時にカートリッジに印刷流体を補給することができる。更に、本発明は、高品質且つ高速の印刷ジョブを提供することができ、且つ必要時に印字ヘッドの容易な取外し及び交換が可能であるプリンタシステムを提供する目的で、カートリッジに印刷流体を補給及び注入するシステム及び方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0134】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、クレードル4を含んでいるインクジェットプリンタ2を示しており、クレードル4は、自身の本体に形成されているくぼみの中に交換可能なプリントカートリッジ6を受け入れている。カートリッジ6は、ヒンジによってクレードル4に結合されているラッチ7の形態における保持器によって、クレードルのくぼみに固定されている。プリントカートリッジ6の上面には、使用時にインク補給カートリッジを受け入れるインク補給ポート8が見えている。
【0135】
[プリントカートリッジ]
次に図2を参照し、この図は、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジ6のブロック図を示している。カートリッジ6は、インク補給ポート8と、インクを収容しており、MEMSであるページ幅印字ヘッドチップ52にインクを供給するインク供給アセンブリ10とを含んでいる。印字ヘッドチップ52は、クレードル4から電力・データインタフェース58を介して電力及びデータ信号を受け取る。クレードル4によって機械的に駆動されるローター要素60は、3つの面を有し、これらの面は、それぞれ、インク発射後に印字ヘッドチップ52を吸い取る、使用しないときに印字ヘッドを密封する、印刷時にプラテンとして機能する。従って、ローター要素60は、印字ヘッドの適正な機能を維持することを支援することにおいて、印字ヘッドの補助アセンブリとして機能する。また、カートリッジ6は、品質保証チップ57の形態における認証デバイスも含んでおり、このチップ57は、使用時にクレードル4のコントローラボード82の電子回路によって読み取られる様々なメーカーコードを含んでいる。メーカーコードは、カートリッジ6の真正性を確認する目的で読み取られる。
【0136】
図3〜図9を参照し、最初に図6において、構造的なカートリッジ6は、ポリエチレンメンブレン26を収納しているベースモールディング20を含んでいる本体を有し、ポリエチレンメンブレン26は、4種類の印刷流体のそれぞれのための、ポケット28、30、32、34の形態におけるインク収容リザーバを含んでいる。印刷流体は、一般には、シアンインク、マゼンタインク、黄インク、及び黒インクである。様々なアプリケーションにおいて必要となることのあるインク定着剤若しくは赤外線インク、又はその両方を受け入れて収容しておく目的で、ベースモールディング20内に追加の収容リザーバを設けることもできる。これに関して、ベースモールディング20には最大6つの収容リザーバを設けることができる。メンブレン26は、印刷流体によって満たされると膨張し、逆に、印刷時にインクが消費されるにつれて形が壊れる。
【0137】
カバーモールディング36は、複数の通路を有するインク注入口モールディング24を受け入れるくぼみ38を含んでいる。くぼみ38には、複数の開口42A〜42Eが形成されており、これらの開口は、インク注入口モールディング24の対応する通路と連通するようにされている。インク注入口部材の通路は、外側から取り付けられるインク補給カートリッジからのインクを、インクメンブレン26に形成されている一連のインク供給経路を介してインク収容リザーバのそれぞれまで伝える。インク供給経路は、インク注入口部材24の各開口42A〜42Eを、それぞれの専用のインク収容リザーバ28〜34に結合している。インクは、一般には、圧力下で供給され、これによってメンブレン26のリザーバに流れ込み、リザーバを膨張させる。インク注入口シール40は、使用前に開口42A〜42Eを密封する目的で、くぼみ38の外側に配置されている。
【0138】
ページ幅印字ヘッドチップ52は、カートリッジのベースモールディング20の外側に沿って、インク収容リザーバの下の領域に配置されている。図7に示したように、カートリッジのベースモールディングの下側には、複数の導管43A〜43Eが形成されており、これらは、インク収容リザーバ28、30、32、34のそれぞれと直接連通している。これらの導管は、カートリッジのベースモールディング20の下側から、印字ヘッドチップ52が取り付けられているインク供給モールディング48に設けられている入口ポートまでのインク供給経路を提供している。
【0139】
再び図6を参照し、インク供給モールディング48は、LCP(液晶ポリマー)などのプラスチックから射出成形工程によって作製されていることが好ましく、メンブレン26におけるリザーバからの印刷流体を印字ヘッドチップ52に分配するようにされている複数の細長い導管が、インク供給モールディング48の長手方向に沿って配置されている。細長い導管のそれぞれは、特定の流体(特定のカラーインク或いは定着剤など)を専用に運び、その流体を印字ヘッドの長手方向に沿って分配することができる。印刷流体を制御下で供給することを支援するため、カートリッジのベースモールディング20とインク供給モールディング48との間にインクシール片45が配置されている。インクシール片には、これら2つの要素間で流体が移動することのできる孔が形成されているが、このシール片は、流体の漏れを防止するためカートリッジのベースモールディングに形成されている溝を密封するように機能する。
【0140】
カートリッジのベースモールディング20には、細長いインク分配導管の横に空気流通溝50が形成されており、この溝は、吸入ポート76からの加圧された空気を印字ヘッド52のノズルの上に流すように機能する。空気流通溝は、印字ヘッド52の長手方向に沿って存在しており、空気吸入ポート76と連通している。多孔質空気フィルタ51は、空気流通溝50の長手方向に沿って延びており、空気中に存在していて除去しないと印字ヘッド52を汚す可能性のあるダスト及び粒子物質を除去する役割を果たす。多孔質空気フィルタ51は、望ましいしきい値圧力にある空気のみが自身を通過できるように選択された多孔性であり、これによって空気は、印字ヘッドの長手方向に沿って一定の圧力で均一に供給される。使用時、溝50は、最初に、溝内のしきい値圧力に達するまで圧縮空気で満たされる。しきい値圧力に達すると、空気は、フィルタの長手方向に沿って均一に多孔質空気フィルタ51を通過することができる。次いで、濾過された空気が印字ヘッドの上に導かれる。
【0141】
加圧された空気の目的は、ダスト及びデブリスが存在しない状態にノズルを維持することによって、印字ヘッドの劣化を防止することである。加圧された空気は、クレードル4に組み込まれている空気圧縮器(図14の要素122)によって供給される。圧縮器の空気ノズル(図15の要素124)は、カートリッジ6をクレードル4に挿入したときに空気シール44を貫通し、吸入ポート76と結合する。空気カバープレート54は、カートリッジのベースモールディングに固定されており、上述したように空気を印字ヘッド52全体にわたり均一に流通させる。
【0142】
印字ヘッド52には、外部データ・電力コネクタ58A及び58Bに結合されているバスバー56によって、電力及びデータ信号が供給される。コネクタ58Aには、品質保証(QA)チップ57の形態における認証デバイスが取り付けられている。プリンタカートリッジ6をクレードル4に挿入すると、データ・電力コネクタ58A、58B及びQAチップ57が、クレードル4における対応するコネクタ(図9の要素84A、84B)と結合し、これによって、クレードルとカートリッジとの間の電力及びデータの伝達が可能になる。QAチップ57は、コントローラボード82のうち、適切な確認回路として機能するように構成されている部分によって、使用時にテストされる。
【0143】
ローター要素60は、印字ヘッド52に隣接して平行に、回転自在に取り付けられている。ローター要素は、上に簡単に説明したように3つの面を有し、すなわち、印刷時に印刷媒体の支持体として機能し、印刷媒体を印字ヘッド52の近くに搬送することを支援するプラテン面と、ノズルからの印刷流体の蒸発を低減させる目的で、使用されないときに印字ヘッドを覆うキャッピング面と、印刷動作後に印字ヘッドを吸い取る吸取り器面である。ローター要素の3つの面は、それぞれ120度隔てられている。
【0144】
ローター要素60の両端部には、それぞれ歯62A及び62Bが固定されている軸方向ピン64A及び64Bが延びている。軸方向ピン64A及び64Bの自由端部は、摺動ブロック66A及び66Bに受け入れられている。摺動ブロック66A及び66Bは、エンドプレート22A及び22Bのスロット70A及び70Bの中に配置されているフランジ68A及び68Bを含んでいる。エンドプレートは、カートリッジのベースモールディング20の両端部に固定されている。
【0145】
摺動ブロック66A及び66Bは、両端部に保持されているばね72A及び72Bによって、スロット70A及び70Bの印字ヘッド側の端部の方に付勢されており、これは、摺動ブロック66A及び66Bの止まり穴にばねを挿入し、これらのばねをスロット70A及び70Bの中、突起の上に着座させることによる(図8において最も明らかである)。従って、通常ではローター要素60は付勢されており、印字ヘッド52に隣接している。
【0146】
ローター要素60は、輸送時と、プリンタカートリッジ6がクレードル4に挿入されている間、周囲の空気によって印字ヘッドのノズルが乾燥することを防止する目的で、そのキャッピング面が印字ヘッド52を覆うようにされている。
【0147】
[印字ヘッド]
次に、ページ幅印字ヘッド52の好ましい設計について説明する。以下のタイプの印字ヘッドは、必要な場合には8インチより大きな幅で作製することができ、一般には、少なくとも20,000個のノズル、変形形態においては30,000個より多いノズルを含んでいる。以下では、ノズル及び対応するアクチュエータを備えている、印字ヘッドノズルの好ましい配置構造について、図10〜図19を参照しながら説明する。図19は、シリコン基板8015上に形成されている一連のノズル構造部801を示している。これらのノズル構造部は同一であるが、好ましい実施形態においては、異なるノズル構造部に異なるカラーインク及び定着剤が送られる。なお、ノズル構造部801の列は互い違いにされており、これにより、ノズルを一列に配置する場合に可能であるよりも印刷時のインクドットの間隔を狭くすることができる。複数の列では、(必要な場合に)冗長性を提供することもでき、これによって、ノズルあたりの所定の障害率が許容される。
【0148】
各ノズル構造部801は、集積回路製造技術によって作製されている。具体的には、ノズル構造部801は、MEMS(微小電子機械システム)である。
【0149】
以下では、説明を明瞭且つ容易にするため、1つのノズル構造部801の構造及び動作について、図10〜図18を参照しながら説明する。
【0150】
インクジェットプリンタチップ12は、シリコンウエハ基板801を含んでいる。0.35ミクロン、1 P4M、12ボルトのCMOSマイクロプロセッサ回路が、シリコンウエハ基板8015の上に配置されている。
【0151】
ウエハ基板8015の上には、二酸化ケイ素(或いはガラス)層8017が配置されている。この二酸化ケイ素層8017は、CMOS誘電層を画成している。CMOSの最上位金属は、二酸化ケイ素層8017上に配置されている一対の整列したアルミニウム電極接触層8030を画成している。シリコンウエハ基板8015と二酸化ケイ素層8017のいずれも、エッチングされて、(平面図において)ほぼ円形の断面を有するインク吸入路8014を画成している。二酸化ケイ素層8017には、CMOS金属1、CMOS金属2、3、及びCMOS最上位金属のアルミニウム拡散バリア8028が、インク吸入路8014を中心に配置されている。拡散バリア8028は、駆動回路層8017のCMOS酸化膜を通じてヒドロキシルイオンが拡散することを阻止する役割を果たす。
【0152】
アルミニウム接触層8030及び二酸化ケイ素層8017の上には、窒化シリコン層8031の形態における不動態層が配置されている。不動態層8031のうち接触層8030の上に位置している部分のそれぞれには、接点8030へのアクセスを提供する開口8032が画成されている。
【0153】
ノズル構造部801は、環状ノズル壁8033によって画成されているノズル室8029を含んでおり、この環状ノズル壁8033は、その上端部がノズルルーフ8034にあり、半径方向のノズル内側縁部804(平面図において円形である)が形成されている。インク吸入路8014は、ノズル室8029と流体連通している。ノズル壁の下端部には、移動シールリップ8040を含んでいる移動縁部8010が配置されている。包囲壁8038は、可動ノズルを囲んでおり、静止シールリップ8039を含んでいる。静止シールリップ8039は、図10に示したようにノズルが静止しているときには、移動縁部8010に隣接している。静止シールリップ8039と移動シールリップ8040との間に捕捉されるインクの表面張力に起因して、流体シール8011が形成される。これにより、包囲壁8038とノズル壁8033との間には低抵抗結合(low resistance coupling)が提供されるが、ノズル室からのインクの漏れが防止される。
【0154】
図17において最も明らかであるように、ルーフ8034には、ノズル縁部804を中心に半径方向に延びている複数のくぼみ8035が画成されている。くぼみ8035は、インクがノズル縁部804を超えて流れ出たときの半径方向のインクの流れを収容する役割を果たす。
【0155】
ノズル壁8033は、キャリア8036に取り付けられているレバー構造部の一部を形成しており、キャリア8036はほぼU形状の輪郭を有し、その底部8037が窒化シリコン層8031に取り付けられている。
【0156】
レバー構造部は、ノズル壁から延びており且つ横補強梁8022が組み込まれているレバーアーム8018も含んでいる。レバーアーム8018は、窒化チタン(TiN)から形成されており且つノズル構造部の片側に配置されている一対の受動梁806に取り付けられている(図13及び図18において最も明らかである)。受動梁806の他方の端部は、キャリア8036に取り付けられている。
【0157】
レバーアーム8018は、TiNから形成されているアクチュエータ梁807にも取り付けられている。なお、アクチュエータ梁へのこの取り付けは、受動梁806に取り付けられている位置よりもわずかではあるが重要な距離だけ高い位置において行われている。
【0158】
図13及び図16において最も明らかあるように、アクチュエータ梁807は、平面図において実質的にU形状であり、電極809と反対の電極8041との間の電流経路を画成している。電極809及び8041のそれぞれは、接触層8030におけるそれぞれのポイントに電気的に接続されている。アクチュエータ梁は、接点809を介して電気的に結合されていることに加え、アンカー808に機械的に固定されている。アンカー808は、ノズル構造部が動作するときに、アクチュエータ梁807が図10〜図12における左に動くことを制約するように構成されている。
【0159】
アクチュエータ梁807のTiNは、導電性であるが、電極809と電極8041との間に電流が流れるときに自身が発熱するだけの十分な電気抵抗を持つ。受動梁806には電流が流れず、従って受動梁806は膨張しない。
【0160】
使用時、静止状態にあるデバイスがインク8013によって満たされ、このインクは、表面張力の影響下においてメニスカス803を画成している。インクは、メニスカスによって室8029に保持され、一般には何らかの他の物理的影響が存在しなければ外に漏れることはない。
【0161】
図11に示したように、ノズルからインクを発射させるため、接点809と接点8041との間に電流が流れ、このときアクチュエータ梁807を流れる。梁807は、その抵抗のため発熱し、これによって膨張する。アクチュエータ梁807の寸法及び設計は、図10〜図12における水平方向における膨張の大部分を意味する。膨張は、左側がアンカー808によって制約され、従って、レバーアーム8018に隣接する、アクチュエータ梁807の端部が右に進む。
【0162】
受動梁806は、水平方向の撓み性が相対的に小さいため、レバーアーム8018が水平に大きく動くことを阻止している。しかしながら、受動梁とアクチュエータ梁のそれぞれがレバーアームに取り付けられている位置がずれているため、ねじり運動が生じ、これに起因して、レバーアーム8018がほぼ下方に動く。この運動は、実質的に旋回運動又はヒンジ運動である。しかしながら、真の旋回中心が存在しないため、回転の中心は受動梁806の曲がりによって画成される旋回領域である。
【0163】
レバーアーム8018の下向きの運動(及びわずかな回転)は、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁及びルーフが下向きに動くことにより室29内の圧力が高まり、これにより図11に示したようにメニスカスが膨らむ。なお、インクの表面張力により、インクが漏れ出すことなくこの動きによって流体シール11が伸びる。
【0164】
図12に示したように、適切なタイミングにおいて駆動電流が止まり、アクチュエータ梁807が急速に冷えて収縮する。収縮によって、レバーアームがその静止位置に戻り始め、それによって室8029内の圧力が下がる。膨張するインクの勢い及び液体としての表面張力と、ノズル室8029が上向きに動くことによる負の圧力との相互作用に起因して、膨張中のメニスカスが細くなり最終的には切り離されてインク滴802が画成され、このインク滴は、隣接している印刷媒体に触れるまで上昇を続ける。
【0165】
滴802が切り離された直後、メニスカス803は、図12に示した凹形状を形成している。表面張力のため、インクが吸入口8014を通じて上向きに吸い込まれるまでは、室8029の圧力が比較的低いままとなり、吸い込まれると、ノズル構造部及びインクは図10に示した静止状態に戻る。
【0166】
図13において最も明らかであるように、ノズル構造部には、製造後と、印字ヘッドのインストール後に定期的に使用することのできるテスト機構も組み込まれている。テスト機構は、テスト回路(図示していない)に接続されている一対の接点8020を含んでいる。レバーアーム8018から延びているフィンガー8043には、ブリッジング接点(bridging contact)8019が設けられている。ブリッジング接点8019は受動梁806の反対側であるため、ノズルが作動すると、ブリッジング接点が上向きに動いて接点8020と接触する。テスト回路は、接点8019及び8020によって形成されている回路が作動によって閉じることを確認するために使用することができる。回路が適切に閉じるならば、一般的にはノズルが動作していると推測することができる。
【0167】
[クレードル]
図20は、プリンタクレードル4の機能ブロック図である。プリンタクレードルは、1つ以上のカスタムのスモールオフィスホームオフィスプリンタエンジンチップ(SoPEC:Small Office Home Office Printer Engine Chips)を含んでいるコントローラボード82を中心として構築されており、このチップのアーキテクチャの詳細については、後から簡潔に説明する。コントローラボード10は、印刷するデジタルファイルを含んでいるパーソナルコンピュータ或いはデジタルカメラなどの外部のコンピューティングデバイスと接続するためのUSBポート130に結合されている。更に、コントローラボード10は、以下を監視する。
・印刷媒体の存在を検出する用紙センサー192
・使用時にプリンタカートリッジのQAチップ57に結合されるプリンタカートリッジチップインタフェース84
・使用時にインク補給カートリッジのQAチップ(図37における要素176として示してある)に結合されるインク補給カートリッジQAチップ接点132
・ローター要素60の向きを検出するローター要素角度センサー156
【0168】
使用時、コントローラボードは、USBポート130からと、上述した様々なセンサーとから受信されるデータを処理し、それに応答して、モーター110とトリカラーインジケータLED 135とを駆動し、インタフェース84を介して印字ヘッドチップ52を駆動する。後から更に詳しく説明するように、プリントカートリッジ6の補助的なサービスを提供する複数の機構を駆動するため、モーター110が機械的に結合されている。駆動される機構としては以下が挙げられる。
・ローター要素60を動作させるローター要素駆動アセンブリ145
・印刷時に印字ヘッドチップ52を横切って印刷媒体を送る印刷媒体搬送アセンブリ93
・印字ヘッドチップ52をデブリスがない状態に維持するために圧縮空気を供給する空気圧縮器122
【0169】
後から詳細を簡潔に説明するように、モーター110は、上記の機構のそれぞれに伝達アセンブリによって結合されており、この伝達アセンブリは、モーターの軸から空気圧縮器のインペラへの直接駆動結合と、ローター要素及び印刷媒体搬送アセンブリへのウォーム歯車及び歯による伝達とを含んでいる。
【0170】
次に、クレードル4の構造について図21〜図31を参照しながら説明する。図26の分解図において最も明らかであるように、クレードル4は、カートリッジ6と結合するときにインクジェットプリンタを形成するような、カートリッジ6と相補的な形状の本体を有する。クレードル本体は、ベースモールディング90とクレードルモールディング80とから形成されている。ベースモールディングは、クレードルの支持台として機能し、駆動モーター110と、ローター要素ローラー94と、駆動ローラー96とを収容している。ベースモールディングは、複数の対応するフランジ120及びスロット123によって、クレードルモールディング80に結合して固定される。クレードルモールディング80には、プリントカートリッジ6を収容する寸法を有する細長いくぼみ89が画成されている。クレードルの内壁には、カートリッジ6のリブ78(図4)の形態における相補的な突起を受け入れる、スロット86の形態における複数の凹部が形成されている。結果的に、カートリッジ6をクレードルモールディング80に完全に収容するためには、カートリッジ6が正しい向きでなければならない。更に、このスロットにより、クレードルに挿入できるスロットは、クレードルの電子回路によってサポートされている、従ってリブが衝突しないカートリッジのみとなり、これによって、クレードルの駆動電子回路が、サポートされていない性能特性を持つカートリッジを駆動しようとする問題が克服される。コントローラ82は、クレードル4に挿入されているカートリッジの性能特性を調べ、調べた性能特性に応答して各カートリッジを動作させるようにされている。結果として、比較的基本的な性能特性を持つスターターカートリッジをインクジェットクレードルに提供しておき、その後、必要なときに、スターターカートリッジを高い性能のアップグレードカートリッジに交換することによって、アップグレードすることが可能である。例えば、アップグレードカートリッジは、スターターカートリッジよりも高速で印刷することができる、或いは多くのインクをサポートできるものとすることができる。
【0171】
図25を参照し、モーター110の駆動軸127の端部には、歯125Bと噛み合うウォーム歯車129が取り付けられており、歯は駆動ローラー96に固定されている。再び図26を参照し、駆動ローラーは、両端部においてベアリングマウントアセンブリ100A及び100Bによって支持されており、アセンブリ100A及び100Bは、クレードルモールディング80のスロット101A及び101Bに固定されている。同様に、ローター要素変換ローラー94及びピンチローラー98も、ベアリングマウントアセンブリ100A及び100Bによって支持されている。
【0172】
次に、図30を参照し、駆動ローラー96のモーター端部の反対側には、フリッパー(flipper)歯車アセンブリ140が配置されている。フリッパー歯車アセンブリは、互いに噛み合う内側歯車142と外側歯車143とを保持しているハウジング144から成る。内側歯車142は、駆動ローラー96と同軸に固定されているのに対して、ハウジング144は駆動ローラー96を中心に自由に回転する。使用時、ハウジングは、駆動ローラー96と一緒に回転し、外側歯車143がクレードルのベースモールディング90に配置されているストッパーに当たるか、又は外側歯車143がローター要素駆動歯146と噛み合うまで、外側歯車143を伴って回転する。駆動ローラー96の回転方向は、コントロールボード82によってモーター110に流される駆動電流の方向に依存する。外側歯車143とローター要素駆動歯146とが噛み合うと、駆動ローラー96と、内側歯車142と、外側歯車143と、ローター要素駆動歯146とを備えているローター要素駆動アセンブリ145が形成される。結果的に、この形状構成においては、駆動ローラー96からローター要素駆動ローラー94に動力を伝えることができる。
【0173】
図31を参照し、ローター要素駆動ローラー94の両端部には、対応するカムフォロア150A及び150Bに配置されているカム148A及び148Bが取り付けられている。カムフォロア150A及び150Bは、環形状であり、それぞれ、片側においてピボットピン152A及び152Bによって旋回自在に固定されている。ヒンジ式ジョー154A及び154Bは、プリンタカートリッジのローター要素摺動ブロック(図6の要素66A、66B)をつかむように設けられている。このジョーは、それぞれ、カムフォロア150A及び150Bに、ピン152A及び152Bの反対側において旋回自在に結合されている。ローター要素駆動ローラー94が回転すると、カム148A及び148Bがカムフォロア150A及び150Bの内壁に当接し、これによって、カムフォロアがそれぞれジョー154A及び154Bを伴って持ち上がる。
【0174】
ローター要素60を正しい角度だけ回転させる目的で、クレードル4は、ローター要素の実際の向きを検出するローター要素センサーユニット156(図20)を含んでいる。センサーユニット156は、光源と、反射光の存在を検出する検出器ユニットとから成る。ローター要素60は、ローター要素の向きをセンサー156によって検出することができるように光源からの光線を反射するようにされている反射面を有する。具体的には、センサーユニット156を監視することによって、コントローラボード82は、ローター要素60のどの面が印字ヘッド52に隣接しているかを確定することができる。
【0175】
駆動ローラー96以外に、モーター110は、ファンハウジング112と、空気フィルタ116と、インペラ114とを含んでいる空気圧縮器122も駆動する。ファンハウジング112は、カートリッジ6の空気吸入ポート76(図6)と結合するようにされている空気出口124を含んでいる。
【0176】
図25の側面図と図27の断面とにおいて最も明らかであるように、クレードルモールディング80の後面には、金属のバックプレーン92が固定されている。バックプレーン92には、様々な電子回路が搭載されているコントロールボード82が取り付けられている。コントロールボードは、金属の無線周波数干渉(RFI)シールド102によって覆われている。コントロールボード82は、フレキシブルPCBコネクタ106を介してクレードルのコネクタ84A及び84Bに電気的に結合されており、また、USBポートコネクタ130の形態における外部データ及び電力の接続ポイントにも結合されている。USBコネクタ130は、外部のパーソナルコンピュータ又はその他のコンピューティングデバイスとの接続を可能にする。クレードルのコネクタ84A及び84Bは、クレードルモールディング80の両端部に形成されているスロットにおいて支持されており、プリンタカートリッジ6がクレードルモールディングのくぼみ89に完全に挿入されたときにカートリッジのコネクタ58A及び58Bに電気的に接触するようにされている。
【0177】
コントローラボード82は、様々なケーブルルーム(cable loom)及びフレキシブルPCB 106によってQAチップ接点132に接続されている。QAチップ接点は、クレードルモールディング80に形成されているくぼみ134に配置されており、後から簡潔に説明するように、インクの補給時にインク補給カートリッジ162に配置されているQAチップ176と接触するように配置されている。
【0178】
コントローラボード82は、ライトパイプ136に光学的に結合されているトリカラーインジケータLED(図20の要素135)も駆動する。ライトパイプの端部は、クレードルモールディング80に形成されているインジケータポート138に取り付けられており、従って、トリカラーインジケータLEDからの光をケーシングの外側から見ることができる。
【0179】
[コントローラボード]
本発明の好ましい実施形態によるプリンタ装置は、基本的な構造部として、クレードルアセンブリ(必要な電子回路すべてを含んでいる)と、電力及び用紙の取り扱いに必要な部分と、カートリッジユニットとを備えており、このうちカートリッジユニットは、高度に特殊化されている印字ヘッドと、インクの取り扱いに必要な部分とを含んでいる。従って、新しいクレードルユニットを購入する必要なしに、1つのクレードルユニットが、異なる性能・機能を備えたカートリッジユニットをサポートすることが可能である。
【0180】
これに関して、それぞれが複数の異なる機能・性能を持つ一連のカートリッジユニットを提供することができる。例えば、単純な形態においては、次の3種類のカートリッジユニットを提供することが可能であろう。
・スターターユニット:インク容量150mlの15ppmカートリッジ
・標準ユニット:インク容量300mlの30ppmカートリッジ
・プロフェッショナルユニット:インク収容量が更に300ml増しの60ppmカートリッジ
【0181】
このようなシステムは、1つのクレードルユニットにおいてサポートすることができ、ユーザは自身の要件及びコスト面に応じて様々なカートリッジユニットを購入することができる。
【0182】
プロフェッショナルユニットの場合には、そのようなカートリッジユニットの高度で先進な機能をサポートする専用のクレードルユニットを用意する必要があるようにすることができる。様々な機能を備えたカートリッジユニットには、クレードルユニットとの互換性を容易に認識することができるように、カラーコードマーク(color coded marking)などの標示を付すことができる。
【0183】
これに関して、図32は、15〜30ppmにおいて動作するクレードルユニット用のメインPCBユニットを示しており、図33は、60ppmにおいて動作するカートリッジユニットを駆動するメインPCBユニットを示している。図から明らかなように、これらのPCBはほぼ同一であり、主な違いは、60ppmのPCBには2つのSoPECチップが存在していることである。従って、より強力なカートリッジユニットが最初はサポートされないクレードルユニットをユーザが購入した場合にも、本発明のシステム構造では、そのようなシステムがサポートされるようにクレードルユニットを容易にアップグレードすることができる。
【0184】
プリンタは、1つ以上のSoC(システムオンチップ)コンポーネントと、印刷パイプラインに関連する上述した機能の一部又はすべてを実行するように構成されている、アプリケーションに固有な印刷エンジンパイプライン制御ロジックと、を更に含んでいることが好ましい。
【0185】
次に図34を参照し、SoPECデバイスは、大きく分けて3つの異なるサブシステム、すなわち、CPU(中央処理ユニット)サブシステム301と、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)サブシステム302と、印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303とから成る。
【0186】
CPUサブシステム301は、他のサブシステムのすべての側面を制御及び設定するCPU 30を含んでいる。このサブシステムは、外部のプリンタと内部の印刷エンジンとの間のインタフェース処理と、これらの間の同期処理のための全般的なサポートを提供する。このサブシステムは、QAチップ(本明細書の別の段落に説明してある)との低速通信も制御する。また、CPUサブシステム301は、汎用I/O(GPIO:モーター制御を含む)、割込みコントローラユニット(ICU)、LSSマスタータイマー及び汎用タイマーなど、CPUを支援する様々な周辺デバイスも含んでいる。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストとのフルスピードUSB1.1インタフェースと、他のSoPECデバイス(図示していない)とのSoPEC間インタフェース(ISI)とを提供する。
【0187】
DRAMサブシステム302は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、及びPEPサブシステム内のブロックからの要求を受け取る。このDRAMサブシステム302、具体的にはDRAMインタフェースユニット(DIU)は、様々な要求の調停を行い、DRAMへのアクセスをどの要求に割り当てるべきかを判断する。DIUは、設定されているパラメータに基づいて、要求元すべてにDRAMへの十分なアクセスが許可されるように調停する。また、DIUは、ページサイズ、バンク数、リフレッシュレートなどDRAMの実装上の仕様を隠す。
【0188】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303は、DRAMからの圧縮されたページを受け取り、それらを、バイリシック印字ヘッドの最大2つのセグメントと直接通信する印字ヘッドインタフェースに送られる特定のプリントライン用の2階調ドットに変換する。ページ展開パイプラインの第1段は、連続階調復号器ユニット(CDU:Contone Decoder Unit)、ロスレス2階調復号器(LBD:Lossless Bi−level Decoder)、及びタグ符号器(TE:Tag Encoder)である。このうちCDUは、JPEG圧縮されている連続階調(一般にはCMYK)層を展開し、LBDは、圧縮されている2階調層(一般にはK)を展開し、TEは、後からレンダリング(一般には赤外線インク又はKインクによる)するためにネットページ(Netpage)タグを符号化する。第1段からの出力は、一連のバッファ、すなわち、連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、及びタグFIFOユニット(TFU)である。CFUバッファ及びSFUバッファは、DRAMに実装されている。
【0189】
第2段は、中間調合成器ユニット(HCU:Halftone Compositor Unit)であり、このユニットは、連続階調層をディザリングし、結果としてのディザリングされた2階調層の上にポジションタグ及び2階調スポット層を合成する。
【0190】
SoPECデバイスと一緒に使用される印字ヘッドに応じて、複数の合成オプションを実装することができる。この段からは、最大6チャンネルの2階調データが生成され、ただし、すべてのチャンネルが印字ヘッドに存在していなくてもよい。例えば、印字ヘッドをCMYのみとし、KをCMYチャンネルに押し込み、IRを無視することができる。或いは、IRインクが利用できない場合(又はテストを目的とする場合)、符号化されたタグをKで印刷することができる。
【0191】
第3段においては、不良ノズル補正器(DNC:Dead Nozzle Compensator)が、色の冗長性と、不良ノズルデータを周囲のドットに誤差拡散することとによって、印字ヘッド内の不良ノズルを補正する。
【0192】
結果としての2階調、6チャンネルのドットデータ(一般にはCMYK、赤外線、定着剤)は、バッファに格納され、ドットラインライターユニット(DWU:Dotline Writer Unit)によって、DRAMに格納されている一連のラインバッファに書き込まれる。
【0193】
最後に、ドットデータがDRAMからロードされ、ドットFIFOを介して印字ヘッドインタフェースに渡される。ドットFIFOは、ラインローダーユニット(LLU:Line Loader Unit)からのデータをシステムクロックレート(pclk)において受け取り、その一方で、印字ヘッドインタフェース(PHI)が、FIFOからのデータを削除し、システムクロックレートの2/3倍のレートにおいてそれを印字ヘッドに送る。
【0194】
好ましい形態においては、DRAMは、サイズが2.5Mバイトであり、そのうち約2Mバイトが、圧縮されたページストアデータ(page store data)用に利用することができる。圧縮されたページは、2つ以上の帯域(band)において受信され、複数の帯域がメモリに格納されている。ページの帯域が印刷のためにPEPサブシステム303によって消費されると、新しい帯域をダウンロードすることができる。この新しい帯域は、現在のページ又は次のページの帯域である。
【0195】
帯域方式を使用することにより、圧縮されているページ全体がダウンロードされる前に、ページの印刷を開始することが可能であるが、印刷するデータがつねに利用可能であるように注意しなければならず、さもないとバッファアンダーランが起こることがある。
【0196】
埋め込まれているUSB1.1デバイスは、ホストPCから圧縮されているページデータと制御コマンドとを受け取り、DRAMへの(以下に説明するようにマルチSoPECシステムにおいては別のSoPECデバイスへの)データ伝送を可能にする。
【0197】
代替実施形態においては、複数のSoPECデバイスを使用することができ、複数のSoPECデバイスは、特定の実施形態に応じて様々な機能を実行することができる。例えば、場合によっては、1つのSoPECデバイスを単純にオンボードDRAM用に使用することができ、その一方で、別のSoPECデバイスを、上述した様々な解凍機能及びデータ形式変換(formatting)機能に使用する。これによって、バッファアンダーランの可能性を低減することができ、バッファアンダーランは、ページのデータすべてが受信される前にプリンタがそのページの印刷を開始し、残りのデータの受信が間に合わない場合に起こりうる。メモリのバッファリング能力用に更なるSoPECデバイスを追加すると、たとえ追加されたチップのそれ以外の能力が利用されなくても、バッファに格納することのできるデータの量が2倍になる。
【0198】
SoPECシステムのそれぞれは、プリンタ構造の品質と、(印刷時に印字ヘッドのノズルが損傷しないように)インクサプライの品質と、(印字ヘッド及び構造が損傷しないように)ソフトウェアの品質とが保証されるように互いに協調するように設計されている、複数の品質保証(QA)デバイスを備えていることができる。
【0199】
通常、印刷SoPECのそれぞれには、最大印刷速度などのプリンタ属性情報が格納されているプリンタQAが関連付けられている。本システムにおいて使用するインクカートリッジも、インクQAチップを含んでおり、このチップは、インク残量などのカートリッジ情報を格納している。更に、印字ヘッドは、ROMとして(実際にはEEPROMとして)機能するように構成されているQAチップを有し、このチップは、不良ノズルのマッピングや印字ヘッド特性など、印字ヘッドに固有な情報を格納している。オプションとして、SoPECデバイスにおけるCPUは、実際にはシリアルEEPROMとして機能するQAチップからプログラムコードをロードして実行することができる。SoPECデバイスにおけるCPUは、論理QAチップ(すなわちソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0200】
通常、システム内のすべてのQAチップは物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみが互いに異なる。
【0201】
SoPECデバイスのそれぞれは、システム認証及びインク使用量計算のためにQAデバイスと通信することのできる2本のLSSシステムバスを有する。1本のバスあたり多数のQAデバイスを使用することができ、また、システムにおけるQAデバイスの位置は制限されないが、例外として、プリンタQAデバイス及びインクQAデバイスは個別のLSSバス上とすべきである。
【0202】
使用時、論理QAは、インクQAと通信し、残りのインクを調べる。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの確認は、それ自体が論理QAによって認証され、これにより、インクQAからの応答に追加の認証レベルが間接的に加えられる。
【0203】
印字ヘッドQA以外のQAチップ間で渡されるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態においては、データにはHMAC−SHA1認証が使用され、プログラムコードにはRSAが使用されるが、代わりに別の方式を使用することもできる。
【0204】
1つのSoPECデバイスは、2つのバイリシック印字ヘッドと、最大6つのカラーチャンネルとを制御することができる。カラーインクの6つのチャンネルは、個人事業所(SOHO)或いはオフィスのバイリシック印刷環境において予測される最大数であり、以下を含んでいる。
・CMY(シアン、マゼンダ、黄):通常のカラー印刷用
・K(黒):黒のテキスト、ライングラフィック、及びグレースケール印刷用
・IR(赤外線):Netpage対応アプリケーション用
・F(定着剤):印刷物のにじみを防止することによって高速での印刷を可能にする
【0205】
バイリシックプリンタは非常に高速で印刷することができるため、すでに印刷されたページに別のページが触れる前にインクを乾燥させるために定着剤が必要となることがある。定着剤を使用しないと、ページ間でインクがにじむことがある。比較的低速での印刷環境においては、定着剤は必要ないかもしれない。
【0206】
好ましい実施形態においては、SoPECデバイスは色空間に依存しない。CMYX又はRGBX(Xはオプションの4番目のチャンネル)としての連続階調データを受理できるが、任意の印刷色空間における連続階調データを受理することもできる。更に、SoPECでは、インクを最適化するためにドットを組み合わせる、或いは任意の数の別のチャンネルに基づいてチャンネルを生成するなど、入力チャンネルを出力チャンネルに任意にマッピングするメカニズムが提供される。しかしながら、一般に入力は、連続階調入力の場合にはCMYKであり、2階調入力の場合にはKであり、オプションのNetpageタグドットは一般に赤外線層にレンダリングされる。定着剤チャンネルは、一般には高速印刷アプリケーションの場合に生成される。
【0207】
好ましい形態においては、SoPECデバイスは解像度にも依存しない。SoPECデバイスでは、入力解像度と出力解像度との間のマッピングは単にスケール係数によって提供される。好ましい実施形態の場合の予測される出力解像度は1600dpiであるが、SoPECは、実際にはバイリシック印字ヘッドの物理解像度の情報を持たない。
【0208】
好ましい形態においては、SoPECデバイスは、ページ長さに依存しない。連続するページは一般には複数の帯域に分割され、情報の各帯域が消費されるにつれてページストアにダウンロードされる。
【表1】
【表2】
【表3】
【0209】
[インク補給カートリッジ]
前述したように、印字ヘッドカートリッジ6は、内部インクリザーバ28〜34を含んでいるインク収容メンブレン26を含んでおり、インクリザーバ28〜34は、カバーモールディング36の上面に形成されているインク補給ポート8に接続されている。リザーバ28〜34に補給する目的で、図35〜図42に示したようなインク補給カートリッジの形態におけるインク注入器が提供される。以下では、補給カートリッジ160の構造について、カートリッジの分解図である図37を主として参照しながら説明する。
【0210】
インクカートリッジ160は、操作ハンドル又は「プランジャ」として機能し且つ内部ばねアセンブリ164を含んでいる外側モールディング162を有する。ばねアセンブリ164は、基台178を含んでおり、ばね部材180がこの基台から延びてカバーモールディング162の内側に当接している。ばね部材は、基台178を変形可能なインクメンブレン166に付勢しており、インクメンブレン166は、一般にはポリエチレンから作製されており、例えばカラーインク或いは定着剤などの印刷流体を含んでいる。インクメンブレン166は、図38及び図39において最も明らかであるように、外側モールディング162の中で摺動するポリエチレンのベースモールディング170の中に収納されている。インク出口パイプ182は、メンブレン166から延びて、ベースモールディング170の底部に形成されているエラストマーカラー172の中に収まっている。インク補給カートリッジの使用前には、シール174がカラー172を覆っている。
【0211】
ベースモールディング170の底部には、位置決め形状部分として機能し、インクジェットプリンタコンポーネントの補給ポート(プリンタカートリッジ6のインク補給ポート8など)と結合する形状を有する突起190が延在している。突起190に対する出口パイプ182及びカラー172の位置は、インク補給カートリッジに含める印刷流体の種類に依存して変わる。従って、収容する印刷流体の種類に応じてそれぞれ出口が突起190に対して配置されている複数の印刷流体注入器を備えている、印刷流体システムが提供される。結果として、補給カートリッジがポート8に結合すると、出口182が該当する注入口42A〜42Eに結合し、従って、同じ種類の印刷流体を専用に収容するようにされている特定の収容リザーバ28、30、32、34が補給される。
【0212】
ベースモールディング170の底部の一方の側からフランジ184が延びており、このフランジ184には、品質保証(QA)チップ176の形態における認証手段が取り付けられている。インクカートリッジ160をインク補給ポート8に挿入すると、QAチップ176は、クレードル4に配置されているQAチップ接点132と接触する。
【0213】
ベースモールディング170の外壁からは保持突起168が延びており、この突起は、押し込み前くぼみ165又は押し込み後くぼみ169のいずれかである凹部に受け入れられる。これらのくぼみは、図37及び図38に示したように、いずれも上側カバーモールディング162の壁の内周に形成されている。押し込み前くぼみ165は、上側カバーモールディングの開口付近に配置されているのに対し、押し込み後くぼみ169は、内壁のこれより上に配置されている。インクカートリッジ160が完全に充填されると、保持突起168が押し込み前くぼみ165と係合する。後から更に簡潔に説明するように、この係合に打ち勝つためには、所定のしきい値より大きな押し込み力を上側カバーモールディングに慎重に印加しなければならない。押し込みによってインクが出口172から送り出され、保持突起168が押し込み後くぼみ169に受け入れられるまで、ばねアセンブリ164の付勢に打ち勝ってベースモールディング170が上側カバーモールディング162の中に入っていく。
【0214】
[使用例]
使用時、プリンタカートリッジ6は、図3に示したようにクレードル4の上に正しく位置合わせされ、次いで、上側クレードルモールディング80のくぼみ89に挿入される。カートリッジユニットがクレードル4に挿入されると、クレードルのデータ・電力接点84A及び84Bが、カートリッジ6のデータ・電力接点58A及び58Bと電気的に接続される。同時に、空気圧縮器アセンブリ122の空気ノズル124が空気シール44を貫通し、カートリッジ6の空気吸入ポート76に入る。
【0215】
図27において明らかであるように、くぼみ89の内壁には、挿入後にカートリッジが上に乗る台座又は棚部が形成されている。ばね190の形態における複数の弾性部材が設けられており、これらは、カートリッジが所定の位置に置かれたときにカートリッジに対して作用し、更に、保持ラッチがカートリッジの上で固定されたときに保持ラッチに対しても作用する。結果的に、これらのばねは、挿入時に衝撃を吸収し、その後、所定の位置におけるカートリッジをラッチにしっかりと付勢することによって、カートリッジをクレードル4及びラッチ7にしっかりと保持するように機能する。代替形態においては、ばねをラッチ7に配置することができ、その場合、カートリッジ6はクレードル4に付勢される。
【0216】
カートリッジを正しくない方向で挿入しようとしても、クレードル4における特定の向きのスロット86と、カートリッジ6における特定の向きのリブ78とが存在するため、挿入できない。同様に、本クレードルと一緒に使用するように意図されていないカートリッジは、特定の向きのスロット86に対応するリブを備えていないため、どのような向きであろうと受け入れられない。特に、デュアルSoPECチップコントローラボードを有するクレードルによって駆動する必要のあるカートリッジは、シングルSoPECチップコントローラボードを有するクレードルに受け入れられるための正しいリブ形状を備えていない。
【0217】
カートリッジユニットが最初にクレードルユニット4に挿入されたとき、及び輸送時には、ローター要素60は、そのキャッピング面が印字ヘッド52と係合することによって印字ヘッドのノズル開口が密封されるような向きにある。同様に、プリンタ装置が使用されないときにも、印字ヘッド52の底部を密封する目的でキャッピング面は底部と接触している。印字ヘッドを密封することにより、通常は水であるインク溶媒の蒸発が減少し、従って、プリンタが使用されない間の印刷ノズルにおけるインクの乾燥が減少する。
【0218】
デジタルカメラやパーソナルコンピュータなど遠隔のコンピューティングデバイスは、電力及び印刷データ信号をクレードル4に供給する目的で、USBポート130に接続される。コントローラボード82の処理回路は、電力の供給に応答して様々な初期化ルーチンを実行し、例えば、QAチップ57に格納されているメーカーコードを確認する、インクリザーバ28〜34の状態をインクリザーバセンサー35によってチェックする、ローター要素60の状態をセンサー156によってチェックする、用紙又はその他の印刷媒体がクレードルに挿入されているかを用紙センサー192によってチェックする、トリカラーインジケータLED 135によってユニットの状態をライトパイプ136を通じて外部に示す、などである。
【0219】
印刷動作を実行する前に、用紙又はその他の印刷媒体をクレードル4に送り込まなければならない。コントローラボード82は、印刷を開始するための信号を外部のコンピューティングデバイスから受信すると、用紙の存在を用紙センサー192によってチェックする。用紙が存在していない場合、注意を喚起するためにトリカラーLED 135を設定し、コントローラは印刷を開始しない。しかしながら、印刷媒体が存在していることを用紙センサー192が示す場合、コントローラボード82は、ローター要素60を所定の印刷ポジションまで回転させることによって応答する。
【0220】
これに関して、起動時又は保守ルーチン中に印刷動作モードが検出されると、ローター要素60は、その吸取り面が印字ヘッド52のインク発射経路に位置するように回転する。吸取り面は、一種の痰壷(spittoon)として機能して印刷ノズルからのインクを受け取ることができ、受け取ったインクは、吸取り面に設けられている材料の吸収特性によってローター要素60の本体内に引き込まれる。ローター要素60は、プリンタカートリッジ6の一部であるため、カートリッジを交換するときに交換され、これにより、吸取り面にインクがたまって汚れた状態になることはない。
【0221】
USBポート130において印刷コマンドが検出され、印刷媒体の存在が確認されると、コントローラボード82はモーター110を駆動し、これにより駆動ローラー96が回転を始め、ピンチローラー98と協働して印刷媒体を印字ヘッド52に送り込む。同時に、コントローラボード82は、印字ヘッド52用の制御信号を生成する目的で、外部のコンピューティングデバイスからの印刷データを処理する。制御信号は、クレードルのインタフェース84A、84Bと、カートリッジのインタフェース58A、58Bと、印字ヘッドチップ52の両端部におけるフレキシブルPCB接点とを介して、印字ヘッドに渡される。印字ヘッドチップ52はバイリシック(bilithic)である、すなわち、印字ヘッドの長さにわたる2つの細長いチップを備えており、データは印字ヘッドの両端部に供給され、各チップの長手方向に沿って個々のノズルのそれぞれに伝送される。電力は、チップの長手方向に沿って延在しているバスバーを介して、印字ヘッドチップの個々のノズルに供給される。印字ヘッドの個々のノズルは、受け取ったデータ及び電力に応答して、印刷媒体がローター要素60のプラテン面の上に引き込まれるにつれて印刷媒体上にインクを選択的に発射し、これによって、USBポート130に送信されたデータ信号に符号化されていたイメージを印刷する。
【0222】
モーター110の動作によって、空気圧縮器122がカートリッジのベースモールディングに空気を導く。空気は、カートリッジのベースモールディング20における流体供給経路を介して、空気フィルタ51の後ろの空間に導かれる。空気フィルタ51の抵抗に十分に打ち勝つレベルまで空気圧が高まると、空気は、カートリッジのベースモールディングの底部の長手方向に沿って空気フィルタ51の孔を通じて外に導かれる。導かれた空気は、プリンタが動作している間、印字ヘッドチップ52と空気カバープレート54との間に受け入れられて印字ヘッドチップの表面の上を通過し、これにより、ダスト及びデブリスがない状態に印字ヘッドを維持することによって、印字ヘッドの劣化を防止する役割を果たす。
【0223】
次に図40を参照し、インク補給手順の最初のステップは、収容リザーバ28、30、32、34の中の印刷流体が不足していることを補給センサー35がコントローラボード82に伝えることによって開始される。コントローラボード82は、補給センサー35からの信号に応答して、インジケータLED 135を作動させる。これに代えて、印刷インクが不足しているかの検出は、コントローラボードの電子回路によって計算することができる。1回のノズル発射あたりのインク体積は既知であり、印字ヘッドの動作全体を通じて一定である(約1ピコリットル)ため、印字ヘッドによって供給されたインクの量と、各色又は各タイプのインクの消費量とを計算することができる。これに関して、コントローラボード82は、各印刷流体の消費量を監視することができ、そのレベルが所定のレベルに達すると、トリカラーインジケータLEDを作動させて、その印刷流体を補充する必要があることをユーザに知らせることができる。
【0224】
プリンタのオペレータにクレードル4のインジケータポート138において情報を表示する目的で、インジケータLEDからの光はライトパイプ136によって伝えられる。この情報は、補充が必要であるインクの色又はタイプをユーザに伝えることができる。また、コントローラボードは、USBポート130を介して遠隔のコンピューティングデバイスに信号を送り、補充が必要であるインクのタイプをそのコンピューティングデバイスを通じてユーザに表示することもできる。
【0225】
補給手順を進行させるためには、プリンタカートリッジ6がプリンタクレードル4の所定の位置に収まっていなければならない。次いで、必要なインクタイプのインク補給カートリッジ160を、プリンタカートリッジ6の上面に配置されているインク補給ポート8の上にもっていく。前述したように、インク補給ポート8は、密封フィルム40によって保護されている一連の注入口42A〜42Eを含んでいる。密封フィルム40の下には、インク収容リザーバ28、30、32、34に直接連通している複数の印刷流体導管43A〜43Eが位置している。印刷流体、すなわちC、M、Y、K、赤外線インク、及び定着剤(必要な場合)のそれぞれにインク注入口が設けられている。異なる流体それぞれの注入口の位置は、補給カートリッジ160のインク出口ピン182が、注入口42A〜42Eのうち、カートリッジ160に含まれている補充される特定の印刷流体に対応する注入口と自動的に位置が合って連通するように、注入ポート8に沿って特定の並び順序で配置されている。
【0226】
インク補給段階の第2段階は、図41に示してある。この図においては、補給カートリッジ160がカートリッジユニットの補給ポート8に挿入されている。補給カートリッジ160が補給ポート8に挿入された時点で、インク補給QAチップ176及びクレードルユニットのQA接点132の位置が自動的に合う。コントローラボード82は、インク補給カートリッジ160の完全性(integrity)及び真正性を確認する目的で、QAチップ176に格納されている様々なコードを調べる。コントローラボード82は、真正のインク、すなわち正しいメーカーからの必要な色又はタイプであるインクが存在していることが、QAチップ176によって確認されるものと判断すると、黄色に光るようにインジケータLED 135を設定し、これによって、補給カートリッジ160が受け入れられたことを示す。しかしながら、コントローラボード82は、エラー状態が存在しているものと判断すると、補給カートリッジに問題があることを知らせる目的で、LED 135を赤に設定する。例えば、QAチップ176が確認ステップに合格しないときには、エラー状態が存在するものと判断することができる。更には、リザーバ28、30、32、34のうちの1つのみが補充を必要としている場合がしばしばある。例えば、シアン色のインクを収容するように割り当てられているリザーバが、補給を必要としていることがある。その場合、インク補給カートリッジ160にシアンインクが含まれていないことをQAチップ176が示すと、コントローラボード82は、エラー状態を知らせる目的でインジケータLED 135を赤に設定する。
【0227】
品質保証が確保される補給を行うためには、プリンタ装置のすべての部分の間の通信が必要であることが理解されるであろう。すなわち、プリンタカートリッジ6はプリンタクレードル4の中に配置されていなければならず、インク補給カートリッジ160は、インク補給QAチップ176がQAチップ接点132と接触するようにカートリッジ6に挿入されていなければならない。これによって、補給動作のそれぞれが制御され、プリンタの機構を損傷しうる誤った補給の可能性が減少する。
【0228】
図41に示したように、インク補給カートリッジ160がカートリッジユニット6の補給ポート8に挿入されると、インク出口ピン28が密封フィルム40を貫通し、補給ポートの開口42〜A42Eの1つがインク注入口24のうちの対応する1つと連通する。インク注入口24は、インクシール32(インク補給カートリッジの出口ピン28の先に位置している)の貫通が自動的に起こるように、エラストマーモールディングとして形成されている。この結果として、補給カートリッジ160に収容されているインクと、インク供給導管43A〜43Eと、収容リザーバ28〜34との間で、密封状態での流体連通(self−sealing fluid communication)が確保される。密封状態での流体連通の結果として、外側モールディング162が押されたとき、圧力によってインクがリザーバ28、30、32、34のうちの1つに流れ込む。
【0229】
図42に示したように、上側カバーモールディング162が押されると、インク補給手順の第3段階が起こり、インク補給カートリッジ160の中に存在しているインクがプリンタカートリッジのリザーバ28〜34のうちの1つに押し出される。外側モールディング162が押された後、オペレータには、インク補給カートリッジ160が空になったことが明らかであり、この補給段階はこの時点で完了し、カートリッジ160をプリンタカートリッジ6から抜くことができる。この補給段階が完了すると、補給センサー35によって、リザーバ28〜34のそれぞれにおける印刷流体のレベルが所定のレベルを超えていることを示す信号が生成される。コントローラボード82は、補給センサーからの信号に応答して、インジケータLED 135を緑に光るように設定し、これによって、補給プロセスが正常に完了したことをオペレータに知らせる。
【0230】
インク補給カートリッジ160からインクが押し出される力は、オペレータが上側カバーモールディング162に印加する押し込み力の程度によって決まる。従って、上側カバーモールディング162は、インク補給カートリッジの操作ハンドル又はプランジャとして機能する。結果として、補給ステップが慎重に行われない、或いは急いで行われると、過度に高い圧力でインクがプリンタカートリッジ6に供給されることがあり得る。そのような圧力に起因して、プリンタカートリッジ6に収容されているインクによってインク収容メンブレン26が破裂し、従ってカートリッジユニットの中でインクが漏れて、修復できない程度にプリンタカートリッジが損傷することがある。内部のばねモールディング164は、補給ユニットから押し出されるインクの圧力が過度に高まることに対する安全メカニズムを提供することによって、不注意によるメンブレンの破裂を防止する。これに関して、ばねモールディング164は、上側カバーモールディング14を押し込むことによって変形可能なインクメンブレン26に伝わる最大の力を制限するように設計されている。上側カバーモールディング14に印加される力として、最大許容レベルを超える圧力でインクが押し出されるような力は、ばねモールディング164によって吸収され、ばね部材180に蓄積される。ばねモールディング164は、補給インクメンブレン166に過度な力が瞬間的に印加されることを防止するように適切に設計されている。すなわち、ばねモールディング164の変形特性若しくは弾性特性、又はその両方は、メンブレン内の圧力が所定のレベルに制限されるように選択されている。
【0231】
図38及び図39に最も明確に示してあるように、ベースモールディング170の側面には保持突起168が配置されている。インクカートリッジ160が押し込み前の状態である間は、保持突起168は押し込み前くぼみ165と結合している。突起168と押し込み前くぼみとの係合は、補給プロセス中の更なる安全方策を提供している。なぜなら、この係合によって、上側カバーモールディングから内部のインクメンブレン166に意図しない力が印加されることが防止され、従って、輸送時或いは配送時に上部カバーが不注意に押し込まれることが防止される。インク補給カートリッジ160が補給ポート8に挿入された後、押し込み前くぼみ165と保持突起168との係合に十分に打ち勝つだけの力で上部カバー162が押し込まれる。上側カバーモールディング162が押し込まれることにより、ばねアセンブリ164の基台178がインクメンブレン166に当たり、これにより、インクが出口パイプ182を通じてプリンタカートリッジのインクリザーバメンブレン166の中に押し出される。保持突起168の最初の係合に打ち勝つためには、最初に大きな力を印加する必要がある。ばね部材164は、この場合にインクメンブレン166に過度な圧力が加わることを防止するように瞬間的に機能する。この最初の力の印加に続いて、通常の押し込みに進む。図38に示したように、補給ステップが完了すると、保持突起168は、押し込み後くぼみ169の形態におけるロック形状と係合し、このくぼみ169は、インクカートリッジの外側モールディング162の内壁の上の方に配置されている。保持突起168が上側くぼみ169と結合することにより、インクが押し出された後、インクカートリッジの外側モールディング162がベースモールディング170に固定される。この配置構造では、プリンタカートリッジのノズル及びインク補給カートリッジを損傷させうる低品質のインクをユーザがインク補給カートリッジ162に補充しようとする可能性が克服されることが理解されるであろう。押し込み後のこの状態においては、使用済みのインク補給カートリッジをサプライヤに戻すことができる。サプライヤには、補給カートリッジを開いて上部カバーを上側位置に戻すための工具が提供され、このとき、再利用できるように補給ユニットに真正のインクを補給し、インクの真正性が確認されるようにQAチップ176を再プログラムすることができる。
【0232】
当然ながら、ここまでの記載は本発明を説明するための一例としてのみ示したものであり、当業者には明らかであろう変更形態及び変形形態のすべてが、添付の請求項によって定義される本発明の広い範囲に含まれるものとみなされることを理解されたい。
【0233】
本発明は、その例示的な実施形態に関連して図示及び説明したが、当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更形態が明らかであり、容易に変更することができるであろう。従って、本明細書に添付されている請求項の範囲は、本明細書に記載した説明に制限されるものではなく、請求項は広く解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるプリンタカートリッジをプリンタクレードルと組み合わせたときの、前側、上側、及び右側を示している斜視図である。
【図2】プリンタカートリッジのブロック図である。
【図3】プリンタクレードルに挿入する前のプリンタカートリッジの前側、上側、及び右側を示している斜視図である。
【図4】プリンタカートリッジの後面、下側、及び左側を示している斜視図である。
【図5】部分的に分解した状態における、プリンタカートリッジの前側、下側、及び右側を示している斜視図である。
【図6】分解した状態における、プリンタカートリッジの前側、下側、及び右側を示している斜視図である。
【図7】複数の印刷流体導管を示す、カートリッジのベースモールディングの下側の平面図である。
【図8】プリンタカートリッジの右側の平面図である。
【図9】プリンタカートリッジの断面図である。
【図10】第1の動作状態における印字ヘッドチップノズルを切断した断面図である。
【図11】第2の動作状態における印字ヘッドチップノズルを切断した断面図である。
【図12】インク滴の発射後の印字ヘッドチップノズルを切断した断面図である。
【図13】インク滴の発射後の印字ヘッドチップノズルの斜視図(一部断面図)である。
【図14】印字ヘッドチップノズルの断面斜視図である。
【図15】印字ヘッドチップノズルの断面図である。
【図16】印字ヘッドチップノズルの斜視図(一部断面図)である。
【図17】印字ヘッドチップノズルの平面図である。
【図18】印字ヘッドチップノズルの平面図(一部断面図)である。
【図19】印字ヘッドチップの一部の断面斜視図である。
【図20】プリンタクレードルのブロック図である。
【図21】プリンタクレードルの前側、左側、及び上側を示している斜視図である。
【図22】プリンタクレードルの前側の平面図である。
【図23】プリンタクレードルの上側の平面図である。
【図24】プリンタクレードルの下側の平面図である。
【図25】プリンタクレードルの右側の平面図である。
【図26】分解した状態におけるプリンタクレードルの左側、前側、及び上側の斜視図である。
【図27】プリンタクレードルの右側の平面図(一部断面図)である。
【図28】プリントカートリッジを挿入した状態における、プリンタクレードルの左後ろ及び上側の斜視図である。
【図29】RFIシールドを取り外した状態における、プリンタクレードルの左後ろ及び上側の斜視図である。
【図30】プリンタクレードルの左側の一部の詳細な斜視図である。
【図31】プリンタクレードルの右側の一部の詳細な斜視図である。
【図32】シングルSoPECチップコントローラボードの斜視図である。
【図33】デュアルSoPECチップコントローラボードの斜視図である。
【図34】SoPECチップのブロック図である。
【図35】空の状態におけるインク補給カートリッジの斜視図である。
【図36】いっぱいに満たされた状態におけるインク補給カートリッジの斜視図である。
【図37】分解した状態におけるインク補給カートリッジの斜視図である。
【図38】空の状態におけるインク補給カートリッジの断面図である。
【図39】いっぱいに満たされた状態におけるインク補給カートリッジの断面図である。
【図40】プリンタカートリッジに挿入するために位置合わせされているインク補給カートリッジを示す図である。
【図41】プリンタカートリッジに挿入されており、インクを注入する前のインク補給カートリッジを示す図である。
【図42】プリンタカートリッジに挿入されており、インクを注入した後のインク補給カートリッジを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタシステムに関し、詳細には、インクジェットプリンタシステム用の取外し可能なプリンタカートリッジに関する。
【0002】
[同時係属中の出願]
本出願人は、本出願と同時に以下の出願をすでに出願している。
PCT/AU__/_____(WAL), PCT/AU__/_____(MPA), PCT/AU__/_____(SMA)
【0003】
これらの同時係属中の出願の開示は、本文書に参考とすることにより組み込まれる。上記の出願は、出願整理番号によって識別されているが、これらの番号は、対応する出願番号が割り当てられた時点でそれらに置き換えられる。
【背景技術】
【0004】
従来、市販されているインクジェットプリンタのほとんどは、印刷時に印刷媒体の幅全体にわたり左右に往復する印字ヘッドを採用している。そのような印字ヘッドには印刷用インクが供給され、一般には寿命があり、寿命が切れた印字ヘッドを交換する必要がある。往復型印字ヘッドは、そのサイズ及び形状構成のため取外し及び交換が比較的容易であり、プリンタ装置は、この要素に容易にアクセスできるように設計されている。そのような従来の往復型印字ヘッドを採用しているプリンタシステムは、十分な品質で印刷タスクを実行できることが証明されているが、静止している印刷媒体の上を印字ヘッドが絶えず往復しなければならないため、システムは一般に遅く、特に写真画質の印刷ジョブの実行に使用されるときには遅い。
【0005】
最近では、印刷媒体が送り込まれている間、印字ヘッドが静止したままとなるように、印刷媒体の幅全体にわたる印字ヘッドを提供することが可能になった。そのような印字ヘッドは、一般にはページ幅印字ヘッドと称されており、この印字ヘッドの場合、印字ヘッドが印刷媒体上を左右に往復しないため、従来の往復型印字ヘッドよりもずっと速い印刷速度が可能である。しかしながら、印字ヘッドが印刷媒体の長さにわたるため、プリンタ装置の構造の中に印字ヘッドを支持しなければならず、また、印字ヘッドを駆動するためには電力及びデータを供給するために複数の電気接点が必要であり、従って、印字ヘッドの取外し及び交換が従来の往復型印字ヘッドの場合ほど容易ではない。
【0006】
従って、高品質且つ高速の印刷ジョブを提供することができ、且つ必要時に印字ヘッドの比較的容易な交換を可能にするプリンタシステムを提供するニーズが存在する。
【発明の開示】
【0007】
本発明の第1の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいるプリンタカートリッジ、が提供される。
【0008】
ページ幅印字ヘッドは、少なくとも幅8インチの印刷物を生成するようにすることができ、印刷流体収容手段と流体連通している少なくとも20,000個の印刷流体供給ノズルを含んでいることができる。
【0009】
印刷流体収容手段は、外部の供給源から印刷流体を補充する手段を含んでいる本体内に収納することができ、印刷用インクを収容する1つ以上の収容リザーバを含んでいることができる。収容リザーバは、カラー印刷に十分な一連のカラーインクと、ページ幅印字ヘッドによって供給されるインクの定着を助けるインク定着剤と、いくつかのアプリケーションにおいて要求される、目に見えない帯域において印刷を行うことができるようにする赤外線インクとを、個別に収容することができる。
【0010】
プリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドと電気通信状態に設けられている第1の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第1の対応するコネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの第1の端部に隣接して配置されている、第1の電気コネクタ、を含んでいることができる。更に、ページ幅印字ヘッドと電気通信状態に設けられている第2の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第2の対応するコネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの第2の端部に隣接して配置されている、第2の電気コネクタ、を設けることができる。そのような配置構造においては、プリンタカートリッジがインクジェットプリンタに受け入れられているとき、第1及び第2の電気コネクタと、インクジェットプリンタの対応するコネクタとの間の結合関係によって、インクジェットプリンタからページ幅印字ヘッドに電力及びデータを伝送することができる。
【0011】
プリンタカートリッジは、流体供給ノズルの上に紙或いはダストが落下して印刷ジョブの印刷品質が低下することを防止するために、印字ヘッドの上に空気を導くようにされているアセンブリも含んでいることができる。このアセンブリは、空気が印字ヘッドの上に導かれる前に空気を濾過し、これによって、供給される空気に含まれうる粒子を除去するフィルタ、を含んでいることができる。このアセンブリは、インクジェットプリンタ内に配置されている供給源など、外部の供給源からの空気を受け入れる吸入口も含んでいることができる。
【0012】
従って、本発明の更なる実施形態においては、ページ幅印字ヘッドを有するタイプのインクジェットプリンタの保守を容易にする方法であって、互いに分離することのできる少なくとも第1の部分と第2の部分とにおいてインクジェットプリンタを提供するステップであって、第1の部分が、使用時に第2の部分よりも頻繁に交換を必要とする、ステップ、を含んでおり、第1の部分がページ幅印字ヘッドを含んでいる方法、が提供される。
【0013】
第1の部分は、ページ幅印字ヘッドによって供給される印刷流体を収容する印刷流体収容手段であって、第2の部分の中に取外し自在に受け入れられ得るプリンタカートリッジの形態における、印刷流体収容手段、を更に含んでいることができる。
【0014】
第2の部分は、プリンタカートリッジを受け入れるようにされている空洞を有するプリンタクレードルユニットとすることができる。このプリンタクレードルユニットは、プリンタクレードルユニット内にプリンタカートリッジを受け入れた後に、プリンタカートリッジに設けられている対応する電力・データコネクタと結合する電力・データコネクタを介してプリンタカートリッジの動作を制御する電気制御ユニット、を更に含んでいることができる。このプリンタクレードルユニットは、印刷媒体の表面への印刷を容易にするために、印刷媒体をプリンタカートリッジの印字ヘッドに供給する印刷媒体搬送システム、も含んでいることができる。
【0015】
第2の側面においては、本発明は、インクジェットプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段を含んでいる本体と、印刷流体収容手段と流体連通している少なくとも20,000個の印刷流体供給ノズルを含んでいる印字ヘッドと、を含んでいるインクジェットプリンタカートリッジ、を提供する。
【0016】
本発明のこの側面の代替実施形態においては、印字ヘッドは、印刷流体収容手段と流体連通している少なくとも30,000個の印刷流体供給ノズルを含んでいることができる。更に別の実施形態においては、印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドを備えていることができる。
【0017】
プリンタカートリッジの印刷流体収容手段は、印刷用の1つ以上の印刷流体を個別に収容する1つ以上の収容リザーバを含んでいることができる。そのような印刷流体は、カラー印刷に十分な一連のカラーインクとすることができ、流体供給ノズルによる供給後にインクの定着を促進するインク定着剤と、赤外線インクも含んでいることができる。
【0018】
本発明の第3の側面によると、インクジェットプリンタであって、クレードルと、クレードルと取外し自在に係合するインクジェットプリンタカートリッジであり、インク及びインク定着剤をそれぞれ収容する少なくとも第1の収容手段及び第2の収容手段と、第1の収容手段及び第2の収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいるインクジェットプリンタカートリッジと、印字ヘッドによる供給後に印刷媒体へのインクの定着を促進する目的で、印字ヘッドによるインク及びインク定着剤の適用を制御する手段と、を含んでいるインクジェットプリンタ、が提供される。
【0019】
インクジェットプリンタカートリッジは、カラー印刷に十分な一連のカラーインクを個別に収容する更なる収容手段、を含んでいることができる。
【0020】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタと取外し自在に係合するようにされているインクジェットプリンタカートリッジであって、インク及びインク定着剤をそれぞれ含んでいる少なくとも第1の収容手段及び第2の収容手段と、第1の収容手段及び第2の収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいるインクジェットプリンタカートリッジ、が提供される。
【0021】
本発明のこの側面の更に別の実施形態によると、上記のプリンタカートリッジを含んでいるタイプのインクジェットプリンタを動作させる方法であって、ページ幅印字ヘッドを制御してインクによって媒体に印刷するステップと、ページ幅印字ヘッドを制御して媒体にインク定着剤を塗布することによって、媒体へのインクの定着を促進するステップと、を含んでいる方法、が提供される。
【0022】
本発明の第4の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、1つ以上の印刷用インクと、1つ以上のインクと流体連通している印字ヘッドと、を含んでおり、1つ以上のインクの少なくとも1つが赤外線インクである、プリンタカートリッジが提供される。
【0023】
プリンタカートリッジは、印刷用インクを収容するようにされている本体を更に含んでいることができ、印字ヘッドは、流体連通を容易にするため本体に取り付けられているページ幅印字ヘッドとすることができる。本体内に収容されている1つ以上のインクは、カラー印刷を可能にする一連のカラーインクを含んでいることもできる。
【0024】
本発明の第5の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、1つ以上の印刷流体を収容する印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印刷流体収容手段と流体連通している補給ポートと、を含んでいる、プリンタカートリッジ、が提供される。
【0025】
本発明のプリンタカートリッジは、印刷流体収容手段が中に配置されており、且つ、ページ幅印字ヘッド及び補給ポートが取り付けられている、本体、を更に含んでいることができる。更に、印刷流体収容手段は、1つ以上の印刷流体それぞれに個別の印刷流体収容リザーバを含んでいることもでき、1つ以上の印刷流体は、カラー印刷を可能にする一連のカラーインクを含んでいることができる。更には、補給ポートは、個別の印刷流体収容リザーバのそれぞれに対応し且つそれぞれと流体連通している1つ以上の注入口を含んでいることができる。
【0026】
本発明の第6の側面によると、インクジェットプリンタ用の取外し可能なプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、印字ヘッドの上に空気を導くようにされており、且つフィルタを含んでいるアセンブリと、を含んでいる、取外し可能なプリンタカートリッジ、が提供される。
【0027】
アセンブリは、プリンタカートリッジから離れて配置されている供給源、例えば、インクジェットプリンタに設けられている供給源、からの空気を受け入れる吸入口、を更に含んでいることができる。プリンタカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドを備えていることができ、フィルタは、外部の供給源から受け取られる空気の中に存在している粒子物質を収集できるものとすることができる。これに関して、プリンタカートリッジはインクジェットプリンタから取り外すことができるため、カートリッジの交換時、空気を濾過するフィルタも交換される。このアセンブリの目的は、紙或いは粒子物質が印字ヘッドの表面上に蓄積或いは衝突する(これは、印字ヘッドの損傷の原因となり、印字ヘッドによって実行される印刷ジョブの品質に影響する)ことを防ぐことである。
【0028】
本発明のこの側面の更なる実施形態によると、取外し可能なプリンタカートリッジの印字ヘッドの劣化を防止する方法であって、空気の流れを発生させるステップと、濾過された空気を生成する目的で、カートリッジに取り付けられているフィルタによって空気の流れから粒子物質を濾過するステップと、濾過された空気を印字ヘッドの上に導くステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0029】
本発明の第7の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、空気吸入口と、空気吸入口からの空気を印字ヘッドの上に導くようにされている1本以上の導管と、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0030】
プリンタカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドとすることができ、カートリッジは、プリンタカートリッジの交換を容易にするために、インクジェットプリンタから取外し可能とすることができる。
【0031】
空気吸入口は、プリンタカートリッジから離れて配置されている空気供給源からプリンタカートリッジに空気を供給することができるように、インクジェットプリンタの相補的な形状部と結合するように構成することができる。
【0032】
本発明の第8の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、印字ヘッドを吸い取るようにされている印刷流体吸取り器と、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0033】
好ましい実施形態においては、カートリッジの印刷流体収容手段及び印字ヘッドは、プリンタカートリッジの本体に固定されるようにすることができ、印刷流体吸取り器は、本体に結合することができる。
【0034】
印刷流体吸取り器は、印刷流体吸取り器を印字ヘッドに選択的に連携させるアセンブリを係合させる係合手段、を含んでいることもでき、印刷流体吸取り器は、印字ヘッドから発射される印刷流体を、印字ヘッドが印刷媒体に印刷していないときに吸収するようにされている吸収材料、を含んでいることができる。
【0035】
印刷流体吸取り器は、プリンタカートリッジの本体に回転自在に結合することができ、更に摺動自在に本体に結合することもできる。印字ヘッドがページ幅印字ヘッドを備えている場合、吸取り器は、印字ヘッドの長さ全体に沿って吸取り機能を実行するために、ページ幅印字ヘッドに沿って延在していることができる。
【0036】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、少なくとも1つの印刷流体リザーバを含んでいる本体と、本体に取り付けられており、且つ少なくとも1つの印刷流体リザーバと流体連通している印字ヘッドと、回転自在に本体に結合されている印刷流体吸取り器と、印刷流体吸取り器に配置されている係合手段であって、印刷流体吸取り器を印字ヘッドに選択的に連携させるアセンブリを係合させる、係合手段と、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0037】
本発明の第9の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通している印字ヘッドと、印字ヘッドに対する補助的なアセンブリであって、印字ヘッドに関連する複数の異なる機能を選択的に実行するようにされている、アセンブリと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0038】
好ましい実施形態においては、アセンブリによって実行される異なる機能は、印字ヘッドを吸い取る、印字ヘッドを覆う、印字ヘッドに対するプラテンとして機能する、のうちの少なくとも1つを含んでいることができる。
【0039】
印字ヘッドに対する補助的なアセンブリは、印字ヘッドに隣接してプリンタカートリッジに結合されている回転可能部材、を更に含んでいることができる。回転可能部材は、上に挙げた異なる機能の1つを実行するようにそれぞれが構成されている複数の面を含んでいることができる。
【0040】
プリンタカートリッジは、回転可能部材に固定されている係合手段であって、機能面が印字ヘッドに選択的に連携するようにインクジェットプリンタの機構と係合する、係合手段、を更に含んでいることができる。この係合手段は、アセンブリが、プリンタの特定の状態に要求される望ましい向きであるように、プリンタによって制御可能である。これに関して、プリンタカートリッジは、アセンブリが1つの望ましい機能を実行するためのポジションに必ずあるように、通常において回転可能部材の面を印字ヘッドに付勢するようにされている付勢手段を含んでいることもできる。
【0041】
好ましい実施形態においては、プリンタカートリッジは、印字ヘッドの長さにわたるアセンブリを備えているページ幅印字ヘッドを備えている。
【0042】
本発明の第10の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドと電気通信状態にある第1の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第1の対応するコネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの第1の端部に隣接して配置されている、第1の電気コネクタと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0043】
プリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドの第2の端部に隣接して配置されている第2の電気コネクタであって、インクジェットプリンタの第2の対応するコネクタと結合する、第2の電気コネクタ、を更に含んでいることができる。そのような電気コネクタは、印刷媒体に印刷するために印字ヘッドを制御するためのデータ及び電力をプリンタカートリッジに提供することのできる手段、を提供する。プリンタカートリッジがインクジェットプリンタと係合すると、第1及び第2の電気コネクタと、インクジェットプリンタの対応するコネクタとの間の結合によって、電力及びデータを伝送することが可能になる。これに関して、印刷流体収容手段と、ページ幅印字ヘッドと、第1及び第2の電気コネクタは、それぞれ、プリンタカートリッジの本体に取り付けることができる。
【0044】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、インクジェットプリンタ内に受け入れられるようにされており、且つ印刷流体収容手段を含んでいる細長い本体と、本体に取り付けられており、且つ印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドと電気通信状態にある第1及び第2の電気コネクタであって、細長い本体に取り付けられており、インクジェットプリンタの対応する第1及び第2の電気コネクタと結合するようにページ幅印字ヘッドの両端部に隣接して配置されている、第1及び第2の電気コネクタと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0045】
本発明の第11の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、インク収容リザーバと、インク収容リザーバと連通している印字ヘッドと、インク収容リザーバと連通している補給ポートであって、インク収容リザーバを補充するために補給インクを受け入れるようにされている、補給ポートと、補給インクと、インク収容リザーバに収容されているインク、の少なくとも一方の特性に関する情報を格納するようにされている集積回路アセンブリと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0046】
好ましい実施形態においては、補給インク、又はインク収容リザーバに収容されているインクの特性に関する情報は、インク収容リザーバに残っているインクの量と、補給インクの製造元と、補給インクのレオロジー特性と、補給インクの色とに関する任意の情報を含んでいることができる。集積回路アセンブリは、インクジェットプリンタに取り付けられている電気接点であって、補給インクを含んでいる補給カートリッジの集積回路と接続している、電気接点、を含んでいることが好ましい。
【0047】
好ましい形態においては、印字ヘッドカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドである。
【0048】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、ページ幅印字ヘッドと連通しているインク収容手段を含んでいる取外し可能なプリンタカートリッジを含んでいるタイプのインクジェットプリンタ、のインクサプライの真正性(authenticity)を維持する方法であって、補給インクの特性に関する情報を格納している集積回路アセンブリを含んでいるインク補給カートリッジを提供するステップと、インク補給カートリッジをプリンタカートリッジに結合するステップと、補給インクの特性と、インク収容手段に収容されているインクの特性とを比較するテストを実行するステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0049】
補給インクの特性と、インク収容手段に収容されているインクの特性とを比較するステップは、インクサプライによってインク収容手段を補給することが可能であるようにこれらのインクが同じ特性を共有しているかを判断するステップ、を含んでいることが好ましい。
【0050】
本発明の第12の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、それぞれが所定の印刷流体を専用に収容するようにされている複数の収容リザーバと、収容リザーバと連通している印字ヘッドと、補給カートリッジの対応するコネクタと結合するようにされている補給ポートであって、収容リザーバのそれぞれに対応しており且つ流体連通している注入口を含んでいる、補給ポートと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0051】
好ましい実施形態においては、プリンタカートリッジの印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドとすることができ、印刷流体は、カラー印刷用の一連のカラーインク、インク定着剤、及び赤外線インクのうちの任意の1つ以上を含んでいることができる。
【0052】
本発明のこの側面の代替実施形態によると、インクジェットプリンタ補給システムであって、複数の収容リザーバのそれぞれに対応しており且つ流体連通している注入口を含んでいる補給ポートを有するプリンタカートリッジであって、リザーバのそれぞれが、複数の印刷流体のうちの所定の1つを専用に収容するようにされている、プリンタカートリッジと、複数の印刷流体の1つを含んでおり、且つ、補給ポートと結合するようにされているコネクタを含んでいる、少なくとも1つの補給カートリッジであって、コネクタが、複数の収容リザーバのうち、補給カートリッジに含まれている印刷流体を専用に収容するようにされている特定の1つと連通している、補給注入ポートのうちの特定の1つ、と連通する位置にある出口、を有する、補給カートリッジと、を含んでいる、インクジェットプリンタ補給システムが提供される。
【0053】
インクジェットプリンタ補給システムのプリンタカートリッジは、印刷流体収容リザーバと連通している印字ヘッドを含んでいることができ、印字ヘッドは、ページ幅印字ヘッドとすることができる。
【0054】
本発明の第13の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドであって、印字ヘッドの長さにわたる2つのプリントチップを含んでいる、ページ幅印字ヘッドと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0055】
2つのプリントチップは、好ましくは互いに当接して印字ヘッドの長さにわたるようにされている。
【0056】
プリンタカートリッジは、プリンタクレードル内に受け入れられるようにされている細長い本体を含んでいることが好ましく、印字ヘッドの両端部に位置しており且つ2つの印字ヘッドチップと電気通信状態にある電気コネクタを有することが好ましい。
【0057】
本発明の第14の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段と、印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドの長さにわたるシールドであって、カートリッジがインクジェットプリンタクレードルに挿入されたときに、印字ヘッドを紙との接触から保護するようにされている、シールドと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0058】
プリンタカートリッジは、印刷流体収容手段を収納する細長い本体であって、インクジェットプリンタのクレードルの中に取外し自在に受け入れられるようにされている、細長い本体、を含んでいることが好ましい。
【0059】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタカートリッジであって、プリンタクレードル内に受け入れられるようにされている細長い本体と、細長い本体の中に収納されている少なくとも1つの印刷流体収容リザーバと、細長い本体に取り付けられており、且つ少なくとも1つの印刷流体収容リザーバと流体連通しているページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドの長さにわたるシールドであって、カートリッジがインクジェットプリンタクレードルに挿入されたときに、印字ヘッドを紙との接触から保護するようにされており、更に、インクジェットプリンタカートリッジの空気ダクトを密封するようにされている、シールドと、を含んでいる、インクジェットプリンタカートリッジが提供される。
【0060】
本発明の第15の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、印刷流体収容手段を収納しており、且つインクジェットプリンタクレードルの中に受け入れられるようにされている細長い本体と、本体に取り付けられており、且つ印刷流体収容手段と流体連通しているページ幅印字ヘッドと、ページ幅印字ヘッドに沿って圧縮空気を均一に流通させるようにされている空気流通アセンブリと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0061】
空気流通アセンブリは、外部の供給源から圧縮空気を受け入れる空気吸入口と、細長い本体に形成されている溝であって、吸入口と連通しており且つページ幅印字ヘッドに沿って配置されている、溝と、を含んでいることが好ましい。空気流通アセンブリは、溝の長さにわたり密封するフィルタであって、その長手方向に沿って印字ヘッドに空気を導くようにされている、フィルタ、を更に含んでいる。フィルタは、溝の中の空気圧がしきい値レベルに達したときにのみ空気を通過させるようにされていることが好ましい。このことは、しきい値レベルに対応する(determine)寸法を有する複数の孔を含んでいるフィルタによって達成することができる。
【0062】
本発明の第16の側面によると、インクジェットプリンタ用のプリンタカートリッジであって、1つ以上の印刷流体リザーバと、1つ以上の印刷流体供給溝を画成している印刷流体供給部材と、1つ以上の印刷流体供給溝によって1つ以上の印刷流体リザーバと流体連通しているページ幅印字ヘッドと、を含んでいる、プリンタカートリッジが提供される。
【0063】
1つ以上の印刷流体リザーバは、細長い本体内に収納されていることが好ましく、ページ幅印字ヘッドは、細長い本体に取り付けられていることが好ましい。
【0064】
印刷流体供給部材は、印字ヘッドの長さにわたるようにされていることが好ましく、ページ幅印字ヘッドは、印刷流体供給部材によって細長い本体に取り付けられていることが好ましい。印刷流体供給部材は、収容リザーバからの印刷流体を印字ヘッドに供給する複数の印刷流体供給溝を画成していることが好ましい。
【0065】
本発明の第17の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッド及びインクサプライを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと相補的な本体と、本体に固定されているデータ接続ポイントであって、印刷イメージを定義するデータ信号を外部のデータ源から受け取る、データ接続ポイントと、データ接続ポイントに結合されている処理手段であって、データ信号に応答してページ幅印字ヘッドを動作させてイメージを印刷するようにされている、処理手段と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0066】
インクジェットプリンタクレードルの本体は、取外し可能なページ幅インクジェットカートリッジがクレードル本体によってサポートされるようにカートリッジを受け入れる形状を有するくぼみ、を画成していることが好ましい。クレードル本体は、外部の電力源から動作電力を受け取る電力接続ポイントを更に含んでいることができる。
【0067】
本発明の第18の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、複数の取外し可能なインクジェットカートリッジのそれぞれと相補的な本体であって、取外し可能なインクジェットカートリッジのそれぞれが、ページ幅印字ヘッド及びインクサプライを有するタイプであり、且つそれぞれが異なる性能特性を有する、本体と、クレードルに結合されたときに複数のカートリッジのそれぞれの性能特性を調べ、調べた性能特性に応答してカートリッジのそれぞれを動作させるようにされているコントローラと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0068】
コントローラは、最適な印刷速度及びインク容量、のうちの少なくとも一方が異なる性能特性を有する複数の取外し可能なインクジェットカートリッジ、のそれぞれを動作させるようにされていることが好ましい。
【0069】
本体は、複数の取外し可能なインクジェットカートリッジのうちの任意の1つを受け入れるくぼみを含んでいることが好ましい。
【0070】
本発明の第19の側面によると、ページ幅印字ヘッドを含んでいるタイプのインクジェットプリンタのアップグレードを容易にする方法であって、インクジェットプリンタを相補的なクレードル及びスターターカートリッジとして提供するステップであって、クレードルが、異なる性能特性を有する複数のカートリッジを動作させるようにされている、ステップと、スターターカートリッジを、複数のカートリッジのうち改良された性能特性を有する別のカートリッジと交換することを容易にするステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0071】
カートリッジの異なる性能特性は、印刷速度、インク容量、インクの数及び種類、のうちの1つ以上を含んでいることが好ましい。
【0072】
クレードルによってサポートされる様々なカートリッジの印刷速度は、15ppm〜60ppmの間の様々な速度であることができる。
【0073】
クレードルによってサポートされる様々なカートリッジのインク容量は、150mlのインク〜300mlのインクの間の様々な容量であることができる。
【0074】
クレードルによってサポートされる様々なカートリッジによって担持されるインクの数及び種類は、黒、シアン、マゼンダ、黄、赤外線、インク定着剤のうちの任意の1つ以上を含んでいることができる。
【0075】
本発明の第20の側面によると、インクジェットプリンタシステムであって、複数のインクジェットプリンタカートリッジと、くぼみを画成している本体をそれぞれが含んでいる複数のインクジェットプリンタクレードルであって、複数のインクジェットプリンタカートリッジのうちの一連のサポートされているインクジェットプリンタカートリッジのそれぞれを受け入れて動作させるようにされている、複数のインクジェットプリンタクレードルと、を含んでおり、複数のインクジェットプリンタカートリッジのうち、複数のインクジェットプリンタクレードルのうちの特定の1つにおいてサポートされている一連のインクジェットプリンタカートリッジに属していないインクジェットカートリッジが、特定のインクジェットプリンタクレードルのくぼみに受け入れられることが阻止される形状を有する、インクジェットプリンタシステムが提供される。
【0076】
インクジェットプリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドを含んでおり、且つ、ページ幅印字ヘッドと流体連通している内部インク貯蔵部を含んでいることが好ましい。内部インク貯蔵部は、印刷用インクを個別に収容する複数の個々のインク収容リザーバを含んでいることができる。
【0077】
特定のインクジェットプリンタクレードルによってサポートされていないインクジェットプリンタカートリッジには、カートリッジをクレードルに挿入しようとしたときに特定のインクジェットプリンタクレードルの凹部又は突起と結合しない突起又は凹部が形成されていることが好ましい。
【0078】
特定のインクジェットプリンタクレードルによってサポートされているインクジェットプリンタカートリッジを視覚的に識別することを支援する目的で、インクジェットプリンタカートリッジとインクジェットプリンタクレードルとに表示(indicia)を設けることができる。そのような表示は、カラーマーカーなどの形態とすることができる。
【0079】
本発明の第21の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッド及びインクサプライを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと相補的な本体と、カートリッジの認証デバイスをテストするようにされている集積回路アセンブリと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードル、が提供される。
【0080】
取外し可能なインクジェットカートリッジの認証デバイスは、カートリッジの動作特性に関する情報を格納している品質保証チップを備えていることが好ましい。
【0081】
プリンタクレードル本体は、取外し可能なインクジェットカートリッジを受け入れるくぼみを画成していることが好ましく、集積回路アセンブリは、取外し可能なインクジェットカートリッジがくぼみに挿入されたときに、カートリッジの品質保証チップとしっかり接続する位置において本体に取り付けられているコネクタ、を含んでいることができる。集積回路アセンブリは、インクジェットプリンタクレードルの制御回路の一部を更に備えていることができ、制御回路は、カートリッジの認証デバイスを確認できないことを示すようにすることができる。
【0082】
本発明の第22の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有するくぼみ、を画成している本体と、本体に配置されている端子であって、カートリッジがくぼみに挿入されたときに、取外し可能なインクジェットカートリッジに配置されている対応する端子と接触し、これによってクレードルとカートリッジとの間の電気通信を可能にする、端子と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0083】
プリンタクレードル本体の端子は、くぼみの1つ以上の壁に配置されていることが好ましい。くぼみは、細長いくぼみとすることができ、端子は、くぼみの少なくとも一端の壁に配置されていることが好ましい。別の実施形態においては、端子は、細長いくぼみの両端の壁に配置することができる。
【0084】
プリンタクレードルの端子のそれぞれは、プリンタクレードルとインクジェットカートリッジとの間でのデータ及び電力の伝送を可能にするデータ・電力端子を備えていることができる。
【0085】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと結合する寸法を有する細長いくぼみ、を画成している本体と、くぼみの両端の壁に配置されている電力・データ端子であって、カートリッジがくぼみに挿入されたときに、取外し可能なインクジェットカートリッジに配置されている対応する端子と接触し、これによってクレードルとカートリッジとの間の電気通信を可能にする、電力・データ端子と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0086】
本発明の第23の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有するくぼみ、を画成している本体と、カートリッジをくぼみの中に保持するようにされている保持手段と、使用時にカートリッジを保持手段及び本体にしっかりと保持するようにされている1つ以上の弾性部材と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0087】
好ましい実施形態においては、1つ以上の弾性部材は、プリンタの使用中、カートリッジがプリンタクレードルの中に保持された後、カートリッジを保持手段に付勢するようにされている。別の実施形態においては、1つ以上の弾性部材は、プリンタの使用中、カートリッジをクレードルに付勢するようにすることができる。
【0088】
取外し可能なインクジェットカートリッジは、取外し可能なインクジェットカートリッジの中に含まれている印刷流体収容リザーバと好ましくは流体連通しているページ幅印字ヘッド、を含んでいることが好ましい。
【0089】
保持手段は、ラッチを含んでいることができ、1つ以上の弾性部材は、1本以上のばねを備えていることができる。プリンタクレードル本体におけるくぼみは、1つ以上の弾性部材が上に配置されている棚部を含んでいることが好ましい。
【0090】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、インクジェットプリンタクレードルであって、棚部を有するくぼみを画成している本体であって、くぼみが、ページ幅印字ヘッドを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有する、本体と、カートリッジをくぼみの中に保持するようにされているラッチと、棚部の上に配置されており、使用時にカートリッジをラッチに付勢するようにされている1本以上のばねと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0091】
本発明のこの側面の更に別の実施形態においては、インクジェットプリンタカートリッジをインクジェットプリンタクレードルの中で安定させる方法であって、クレードルの本体によって画成されているくぼみの中にカートリッジを収容するステップと、カートリッジをくぼみの中にラッチによって保持するステップと、カートリッジを1つ以上の弾性部材によってラッチ及び本体にしっかりと保持するステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0092】
1つの形態においては、カートリッジをしっかりと保持するステップは、インクジェットプリンタカートリッジをラッチに付勢するステップを含んでいることができる。これに代えて、カートリッジをしっかりと保持するステップは、インクジェットプリンタカートリッジを本体に付勢するステップを更に含んでいることができる。
【0093】
本発明の第24の側面によると、ページ幅印字ヘッドを含んでいるタイプのインクジェットプリンタカートリッジと相補的なインクジェットプリンタクレードルであって、カートリッジに対する補助的な複数の機構と、1つのモーターと、1つのモーターを複数の機構のそれぞれに結合している伝達アセンブリと、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0094】
複数の機構は、圧縮空気をプリンタカートリッジに供給する空気圧縮器と、印刷するために印刷媒体を印字ヘッドに搬送する印刷媒体搬送アセンブリとを含んでいることが好ましい。
【0095】
伝達アセンブリは、圧縮器とモーターの軸との間の直接駆動結合を含んでいることが好ましい。直接駆動結合は、モーターの軸から延在しているウォーム歯車であって、印刷媒体搬送アセンブリの歯と噛み合って印刷媒体搬送アセンブリを駆動する、ウォーム歯車、を含んでいることができる。
【0096】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、ページ幅印字ヘッドを含んでいるタイプのインクジェットプリンタカートリッジと相補的なインクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドの上に導かれる空気を生成する空気圧縮器と、印字ヘッドを横切って印刷媒体を搬送するようにされている印刷媒体搬送アセンブリと、1つのモーターと、1つのモーターを空気圧縮器と印刷媒体搬送アセンブリとに結合するようにされている伝達アセンブリと、を含んでおり、伝達アセンブリが、1つのモーターの軸から空気圧縮器への直接駆動結合と、軸から印刷媒体搬送アセンブリへの歯車式結合とを含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0097】
本発明の第25の側面によると、ページ幅印字ヘッドと、印字ヘッドに関連する複数の異なる機能を選択的に実行するようにされている印字ヘッド補助部材と、を含んでいるタイプのインクジェットプリンタカートリッジ、と相補的なプリンタクレードルであって、印字ヘッド補助部材と選択的に係合して印字ヘッド補助部材を駆動するようにされている伝達アセンブリ、を含んでいる、プリンタクレードル、が提供される。
【0098】
伝達アセンブリは、駆動軸を含んでおり、アセンブリは、駆動軸が第1の方向及び第2の方向に回転するとき、それぞれ、印字ヘッド補助部材と係合する、及び印字ヘッド補助部材との係合が外れるようにされていることが好ましい。更に、伝達アセンブリは、印字ヘッド補助部材の駆動軸と選択的に係合するフリッパー歯車アセンブリを含んでいることが好ましく、フリッパー歯車アセンブリは、駆動軸に固定されている第1の歯車と、第1の歯車から半径方向に離れて配置されている第2の歯車と、第2の歯車と第1の歯車とを噛み合い状態に保持する収容部材と、を備えていることが好ましい。
【0099】
本発明の第26の側面によると、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッドと空気吸入ポートとを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジと相補的な本体と、インクジェットプリンタクレードルとカートリッジとが結合するときに空気吸入ポートと結合するように配置されている空気出口パイプを有する空気圧縮器と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードル、が提供される。
【0100】
プリンタクレードル本体は、取外し可能なインクジェットカートリッジを受け入れて収容する寸法を有するくぼみを画成しており、空気出口パイプの端部がくぼみ内に存在していることが好ましい。空気出口パイプは、本体のうちくぼみの内部棚部を画成している部分を横切り、取外し可能なインクジェットカートリッジにおける空気吸入ポートの上のシールの貫通を支援するように構成されている端部形状を有することが好ましい。
【0101】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、インクジェットプリンタクレードルであって、ページ幅印字ヘッド及び空気吸入ポートを有するタイプの取外し可能なインクジェットカートリッジを収容する寸法を有するくぼみ、を画成している本体と、本体のうちくぼみの内部棚部を画成している部分を横切るようにされている空気出口パイプを有する空気圧縮器であって、パイプが、インクジェットプリンタクレードルがくぼみに挿入されたときに空気吸入ポートと結合するように配置されており、且つ、空気吸入ポートの上のシールの貫通を支援するように構成されている、空気圧縮器と、を含んでいる、インクジェットプリンタクレードルが提供される。
【0102】
本発明の第27の側面によると、印刷流体注入器であって、インク出口を有するインクリザーバと、インクを出口から押し出す目的で、インクリザーバに圧力を印加する手段と、出口から押し出されるインクの圧力を所定のレベルに制限する手段と、を含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0103】
インクリザーバは、変形可能なメンブレンを備えており、出口から押し出されるインクの圧力を制限する手段は、インクリザーバに直接印加される圧力を制限する手段を備えていることが好ましい。
【0104】
インクリザーバに圧力を印加する手段は、ハンドルを備えていることができ、インクリザーバに印加される圧力を制限する手段は、圧力が所定のレベルに制限されるように選択されている変形特性を有する弾性部材、を含んでいることができる。弾性部材は、インクリザーバと、インクリザーバに圧力を印加する手段との間に位置していることが好ましく、ばねを備えていることが好ましい。リザーバとばねの両方は、ハンドルの部分の中に配置することができる。
【0105】
使用時、注入器は、外部リザーバに結合されており、インクは、注入器の出口から押し出されて外部リザーバに供給されることが好ましい。外部リザーバは、取外し可能なインクジェットカートリッジに設けられており、所定の圧力レベルは、外部リザーバが破裂するのに要する圧力に関連付けられていることが好ましい。
【0106】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、印刷流体注入器であって、出口を有する、印刷流体の変形可能な容器と、インクを出口から押し出す目的で、容器に圧力を印加するようにされているハンドルと、使用時に注入器に結合されている外部リザーバの破裂を防止する目的で、変形可能な容器にハンドルによって印加される圧力を制限するようにされている弾性部材と、を含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0107】
変形可能な容器は、印刷流体を収容するメンブレンを備えていることが好ましく、弾性部材は、メンブレンに当たるようにされている基台を含んでいるばねを備えていることが好ましい。
【0108】
本発明の第28の側面によると、複数の印刷流体注入器を備えている印刷流体注入器システムであって、複数の印刷流体注入器のそれぞれが、複数の印刷流体のうちの1つと、補給されるインクジェットプリンタコンポーネント上の所定の位置に注入器を位置させるように構成されている形状部分と、形状部分に対する複数の所定のポジションのうち、注入器の中の印刷流体の種類に応じた1つのポジションに位置している出口と、を含んでいる、印刷流体注入器システムが提供される。
【0109】
インクジェットプリンタコンポーネントは、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジであることが好ましく、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジは、ページ幅印字ヘッドを含んでいることが好ましい。
【0110】
注入器を所定の位置に位置させるように構成されている形状部分は、インクジェットプリンタコンポーネントの補給ポートと結合するようにされているコネクタを備えていることが好ましく、出口の複数の所定のポジションは、コネクタによって画成されている領域内に存在していることが好ましい。
【0111】
好ましい実施形態においては、複数の印刷流体は、カラー印刷を可能にする一連のカラーインクを含んでいる。
【0112】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、複数の印刷流体注入器を備えている印刷流体注入器システムであって、複数の印刷流体注入器のそれぞれが、カラーインクと、補給されるインクジェットプリンタカートリッジの補給ポートと結合するようにされているコネクタであって、補給ポートが、個別に配置されている複数の注入口を含んでいる、コネクタと、個別に配置されている注入ポートのうち、カラーインクの色に応じた1つ、と結合するように配置されている出口と、を含んでいる、印刷流体注入器システムが提供される。
【0113】
本発明の第29の側面によると、印刷流体注入器であって、互いに対して動くことのできる第1の部分及び第2の部分を備えているハウジングと、第1の部分及び第2の部分の相対的な動きに応える、印刷流体のリザーバであって、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口を有する、リザーバと、を含んでおり、使用時、第1の部分及び第2の部分を互いの方に動かすことによって、印刷流体が出口から出る、印刷流体注入器が提供される。
【0114】
リザーバは、ハウジング内に配置されている変形可能な容器を備えており、第1の部分及び第2の部分が互いの方に動くことによって、変形可能な容器が圧縮されることが好ましい。
【0115】
ハウジングの第1の部分及び第2の部分は、互いに摺動するようにされていることが好ましく、変形可能な容器と、ハウジングの第1の部分及び第2の部分のいずれか又は両方との間に、弾性部材が配置されていることが好ましい。弾性部材は、変形可能な容器における圧力が使用時に所定のレベルに制限されるように選択される特性を有することが好ましい。
【0116】
弾性部材は、ばねを備えていることができ、ハウジングの第1の部分及び第2の部分は、基部及びプランジャを備えていることができ、この場合、ばねは、変形可能な容器とプランジャとの間に位置している。
【0117】
変形可能な容器は、変形可能なメンブレンを備えていることが好ましい。
【0118】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、印刷流体注入器であって、基部及びプランジャを備えているハウジングと、ハウジング内に配置されており、印刷流体を収容する変形可能な容器と、変形可能な容器に結合されており、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口と、変形可能な容器とプランジャとの間に配置されているばねであって、変形可能な容器における圧力が使用時に所定のレベルに制限されるように選択される特性を有する、ばねと、を含んでおり、使用時、プランジャを基部の方に動かすことに起因して、ばねと基部との間で変形可能な容器が圧縮され、印刷流体が出口から出る、印刷流体注入器が提供される。
【0119】
本発明の第30の側面によると、印刷流体注入器であって、互いに対して動くことのできる第1の部分及び第2の部分を備えているハウジングと、第1の部分及び第2の部分の相対的な動きに応える、印刷流体のリザーバであって、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口を有する、リザーバと、を含んでおり、第1及び第2の部分に所定のレベルの動作力が印加されるまで、第1及び第2の部分の互いに対する動きを阻止するようにされている結合する形状部分、を第1の部分及び第2の部分が含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0120】
好ましい実施形態においては、印刷流体のリザーバは、ハウジング内に配置されている変形可能な容器を備えており、流体注入器の第1の部分及び第2の部分を互いの方に動かすことに起因して容器が圧縮され、これによって、注入器から印刷流体が運ばれる。
【0121】
第1の部分及び第2の部分は、基部及びプランジャを備えていることが好ましく、結合する形状部分は、基部及びプランジャの対向する壁に形成されている1つ以上の相補的な突起を備えていることができる。
【0122】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、印刷流体注入器であって、満杯分の(a full complement of)印刷流体を含んでいる変形可能な容器と、プランジャを摺動自在に係合させる基部を含んでおり、変形可能な容器を収容しているハウジングと、変形可能な容器に結合されており、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口と、を含んでおり、第1及び第2の部分に所定のレベルの動作力が印加されるまで、第1及び第2の部分の互いに対する動きを阻止するようにされている結合する形状部分、を第1の部分及び第2の部分が含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0123】
本発明の第31の側面によると、印刷流体注入器であって、互いに対して動くことのできる第1の部分及び第2の部分を備えているハウジングと、第1の部分及び第2の部分の互いに対する動きに応える、印刷流体を収容しているリザーバ、であって、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口を有する、リザーバと、を含んでおり、第1の部分及び第2の部分が、注入器の動作後に第1及び第2の部分が互いに分離されること阻止するようにされているロック形状部分、を含んでいる、印刷流体注入器が提供される。
【0124】
印刷流体を収容しているリザーバは、ハウジング内に配置されている変形可能な容器であって、第1の部分及び第2の部分を互いの方に動かすことに起因して圧縮される、容器、を備えていることが好ましい。
【0125】
第1の部分及び第2の部分は、基部及びプランジャを備えていることが好ましく、ロック形状部分は、基部及びプランジャの対向する壁に形成されている1つ以上の相補的な突起及び凹部を備えていることが好ましい。
【0126】
本発明のこの側面の別の実施形態によると、印刷流体注入器であって、印刷流体の変形可能な容器と、プランジャを摺動自在に係合させている基部との間に変形可能な容器を収容しているハウジングと、変形可能な容器に結合されており、印刷流体をハウジングの外側のポイントまで運ぶようにされている出口と、を含んでおり、基部及びプランジャが、基部及びプランジャの対向する壁に形成されている1つ以上の相補的な突起及び凹部であって、注入器の動作後にプランジャが基部から取り外されることを防止するために配置されている、突起及び凹部、によって互いに係合している、印刷流体注入器が提供される。
【0127】
本発明の第32の側面によると、取外し可能なインクジェットカートリッジを補給する方法であって、取外し可能なインクジェットカートリッジを相補的なインクジェットクレードルに結合するステップと、補給カートリッジを取外し可能なインクジェットカートリッジに結合するステップと、取外し可能なインクジェットカートリッジの真正性を確認するステップと、補給カートリッジの真正性を確認するステップと、その後、確認ステップに基づいてクレードルを動作させるステップと、を含んでいる、方法が提供される。
【0128】
取外し可能なインクジェットカートリッジを相補的なインクジェットクレードルに結合するステップは、インクジェットカートリッジの認証デバイスとクレードルのコントローラとの間の電気通信を可能にするステップを含んでいることが好ましい。
【0129】
補給カートリッジを取外し可能なインクジェットカートリッジに結合するステップは、補給カートリッジの認証デバイスとクレードルのコントローラとの間の電気通信を可能にするステップを含んでいることが好ましい。
【0130】
その後に確認ステップに基づいてクレードルを動作させるステップは、補給カートリッジ又は取外し可能なインクジェットカートリッジのいずれかの認証に失敗したことをユーザに知らせるステップを含んでいることが好ましい。
【0131】
本発明のこの側面の別の実施形態においては、プリンタの取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジの認証デバイスと、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジに結合されている補給カートリッジの認証デバイスとを確認するようにされているコントローラ、を含んでいるインクジェットプリンタが提供される。
【0132】
コントローラは、プリンタのクレードルの中に配置されていることが好ましく、且つ、コントローラは、認証デバイスとの電気通信が確立される位置においてクレードルの本体に取り付けられている電気接点、に結合されていることが好ましい。認証デバイスのそれぞれは、集積回路を備えていることが好ましい。
【0133】
本発明は、印字ヘッドと、プリンタシステムのクレードルユニットから容易に取り外す、及び交換することのできるカートリッジ形式における関連付けられる印刷流体収容手段と、を採用しているプリンタシステムを提供することが理解されるであろう。取外し可能且つ交換可能のカートリッジは、既存のプリンタシステムより品質及び速度が優れている印刷ジョブを提供することのできる印字ヘッドを含んでおり、このカートリッジでは、印刷流体の減少時にカートリッジに印刷流体を補給することができる。更に、本発明は、高品質且つ高速の印刷ジョブを提供することができ、且つ必要時に印字ヘッドの容易な取外し及び交換が可能であるプリンタシステムを提供する目的で、カートリッジに印刷流体を補給及び注入するシステム及び方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0134】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、クレードル4を含んでいるインクジェットプリンタ2を示しており、クレードル4は、自身の本体に形成されているくぼみの中に交換可能なプリントカートリッジ6を受け入れている。カートリッジ6は、ヒンジによってクレードル4に結合されているラッチ7の形態における保持器によって、クレードルのくぼみに固定されている。プリントカートリッジ6の上面には、使用時にインク補給カートリッジを受け入れるインク補給ポート8が見えている。
【0135】
[プリントカートリッジ]
次に図2を参照し、この図は、取外し可能なインクジェットプリンタカートリッジ6のブロック図を示している。カートリッジ6は、インク補給ポート8と、インクを収容しており、MEMSであるページ幅印字ヘッドチップ52にインクを供給するインク供給アセンブリ10とを含んでいる。印字ヘッドチップ52は、クレードル4から電力・データインタフェース58を介して電力及びデータ信号を受け取る。クレードル4によって機械的に駆動されるローター要素60は、3つの面を有し、これらの面は、それぞれ、インク発射後に印字ヘッドチップ52を吸い取る、使用しないときに印字ヘッドを密封する、印刷時にプラテンとして機能する。従って、ローター要素60は、印字ヘッドの適正な機能を維持することを支援することにおいて、印字ヘッドの補助アセンブリとして機能する。また、カートリッジ6は、品質保証チップ57の形態における認証デバイスも含んでおり、このチップ57は、使用時にクレードル4のコントローラボード82の電子回路によって読み取られる様々なメーカーコードを含んでいる。メーカーコードは、カートリッジ6の真正性を確認する目的で読み取られる。
【0136】
図3〜図9を参照し、最初に図6において、構造的なカートリッジ6は、ポリエチレンメンブレン26を収納しているベースモールディング20を含んでいる本体を有し、ポリエチレンメンブレン26は、4種類の印刷流体のそれぞれのための、ポケット28、30、32、34の形態におけるインク収容リザーバを含んでいる。印刷流体は、一般には、シアンインク、マゼンタインク、黄インク、及び黒インクである。様々なアプリケーションにおいて必要となることのあるインク定着剤若しくは赤外線インク、又はその両方を受け入れて収容しておく目的で、ベースモールディング20内に追加の収容リザーバを設けることもできる。これに関して、ベースモールディング20には最大6つの収容リザーバを設けることができる。メンブレン26は、印刷流体によって満たされると膨張し、逆に、印刷時にインクが消費されるにつれて形が壊れる。
【0137】
カバーモールディング36は、複数の通路を有するインク注入口モールディング24を受け入れるくぼみ38を含んでいる。くぼみ38には、複数の開口42A〜42Eが形成されており、これらの開口は、インク注入口モールディング24の対応する通路と連通するようにされている。インク注入口部材の通路は、外側から取り付けられるインク補給カートリッジからのインクを、インクメンブレン26に形成されている一連のインク供給経路を介してインク収容リザーバのそれぞれまで伝える。インク供給経路は、インク注入口部材24の各開口42A〜42Eを、それぞれの専用のインク収容リザーバ28〜34に結合している。インクは、一般には、圧力下で供給され、これによってメンブレン26のリザーバに流れ込み、リザーバを膨張させる。インク注入口シール40は、使用前に開口42A〜42Eを密封する目的で、くぼみ38の外側に配置されている。
【0138】
ページ幅印字ヘッドチップ52は、カートリッジのベースモールディング20の外側に沿って、インク収容リザーバの下の領域に配置されている。図7に示したように、カートリッジのベースモールディングの下側には、複数の導管43A〜43Eが形成されており、これらは、インク収容リザーバ28、30、32、34のそれぞれと直接連通している。これらの導管は、カートリッジのベースモールディング20の下側から、印字ヘッドチップ52が取り付けられているインク供給モールディング48に設けられている入口ポートまでのインク供給経路を提供している。
【0139】
再び図6を参照し、インク供給モールディング48は、LCP(液晶ポリマー)などのプラスチックから射出成形工程によって作製されていることが好ましく、メンブレン26におけるリザーバからの印刷流体を印字ヘッドチップ52に分配するようにされている複数の細長い導管が、インク供給モールディング48の長手方向に沿って配置されている。細長い導管のそれぞれは、特定の流体(特定のカラーインク或いは定着剤など)を専用に運び、その流体を印字ヘッドの長手方向に沿って分配することができる。印刷流体を制御下で供給することを支援するため、カートリッジのベースモールディング20とインク供給モールディング48との間にインクシール片45が配置されている。インクシール片には、これら2つの要素間で流体が移動することのできる孔が形成されているが、このシール片は、流体の漏れを防止するためカートリッジのベースモールディングに形成されている溝を密封するように機能する。
【0140】
カートリッジのベースモールディング20には、細長いインク分配導管の横に空気流通溝50が形成されており、この溝は、吸入ポート76からの加圧された空気を印字ヘッド52のノズルの上に流すように機能する。空気流通溝は、印字ヘッド52の長手方向に沿って存在しており、空気吸入ポート76と連通している。多孔質空気フィルタ51は、空気流通溝50の長手方向に沿って延びており、空気中に存在していて除去しないと印字ヘッド52を汚す可能性のあるダスト及び粒子物質を除去する役割を果たす。多孔質空気フィルタ51は、望ましいしきい値圧力にある空気のみが自身を通過できるように選択された多孔性であり、これによって空気は、印字ヘッドの長手方向に沿って一定の圧力で均一に供給される。使用時、溝50は、最初に、溝内のしきい値圧力に達するまで圧縮空気で満たされる。しきい値圧力に達すると、空気は、フィルタの長手方向に沿って均一に多孔質空気フィルタ51を通過することができる。次いで、濾過された空気が印字ヘッドの上に導かれる。
【0141】
加圧された空気の目的は、ダスト及びデブリスが存在しない状態にノズルを維持することによって、印字ヘッドの劣化を防止することである。加圧された空気は、クレードル4に組み込まれている空気圧縮器(図14の要素122)によって供給される。圧縮器の空気ノズル(図15の要素124)は、カートリッジ6をクレードル4に挿入したときに空気シール44を貫通し、吸入ポート76と結合する。空気カバープレート54は、カートリッジのベースモールディングに固定されており、上述したように空気を印字ヘッド52全体にわたり均一に流通させる。
【0142】
印字ヘッド52には、外部データ・電力コネクタ58A及び58Bに結合されているバスバー56によって、電力及びデータ信号が供給される。コネクタ58Aには、品質保証(QA)チップ57の形態における認証デバイスが取り付けられている。プリンタカートリッジ6をクレードル4に挿入すると、データ・電力コネクタ58A、58B及びQAチップ57が、クレードル4における対応するコネクタ(図9の要素84A、84B)と結合し、これによって、クレードルとカートリッジとの間の電力及びデータの伝達が可能になる。QAチップ57は、コントローラボード82のうち、適切な確認回路として機能するように構成されている部分によって、使用時にテストされる。
【0143】
ローター要素60は、印字ヘッド52に隣接して平行に、回転自在に取り付けられている。ローター要素は、上に簡単に説明したように3つの面を有し、すなわち、印刷時に印刷媒体の支持体として機能し、印刷媒体を印字ヘッド52の近くに搬送することを支援するプラテン面と、ノズルからの印刷流体の蒸発を低減させる目的で、使用されないときに印字ヘッドを覆うキャッピング面と、印刷動作後に印字ヘッドを吸い取る吸取り器面である。ローター要素の3つの面は、それぞれ120度隔てられている。
【0144】
ローター要素60の両端部には、それぞれ歯62A及び62Bが固定されている軸方向ピン64A及び64Bが延びている。軸方向ピン64A及び64Bの自由端部は、摺動ブロック66A及び66Bに受け入れられている。摺動ブロック66A及び66Bは、エンドプレート22A及び22Bのスロット70A及び70Bの中に配置されているフランジ68A及び68Bを含んでいる。エンドプレートは、カートリッジのベースモールディング20の両端部に固定されている。
【0145】
摺動ブロック66A及び66Bは、両端部に保持されているばね72A及び72Bによって、スロット70A及び70Bの印字ヘッド側の端部の方に付勢されており、これは、摺動ブロック66A及び66Bの止まり穴にばねを挿入し、これらのばねをスロット70A及び70Bの中、突起の上に着座させることによる(図8において最も明らかである)。従って、通常ではローター要素60は付勢されており、印字ヘッド52に隣接している。
【0146】
ローター要素60は、輸送時と、プリンタカートリッジ6がクレードル4に挿入されている間、周囲の空気によって印字ヘッドのノズルが乾燥することを防止する目的で、そのキャッピング面が印字ヘッド52を覆うようにされている。
【0147】
[印字ヘッド]
次に、ページ幅印字ヘッド52の好ましい設計について説明する。以下のタイプの印字ヘッドは、必要な場合には8インチより大きな幅で作製することができ、一般には、少なくとも20,000個のノズル、変形形態においては30,000個より多いノズルを含んでいる。以下では、ノズル及び対応するアクチュエータを備えている、印字ヘッドノズルの好ましい配置構造について、図10〜図19を参照しながら説明する。図19は、シリコン基板8015上に形成されている一連のノズル構造部801を示している。これらのノズル構造部は同一であるが、好ましい実施形態においては、異なるノズル構造部に異なるカラーインク及び定着剤が送られる。なお、ノズル構造部801の列は互い違いにされており、これにより、ノズルを一列に配置する場合に可能であるよりも印刷時のインクドットの間隔を狭くすることができる。複数の列では、(必要な場合に)冗長性を提供することもでき、これによって、ノズルあたりの所定の障害率が許容される。
【0148】
各ノズル構造部801は、集積回路製造技術によって作製されている。具体的には、ノズル構造部801は、MEMS(微小電子機械システム)である。
【0149】
以下では、説明を明瞭且つ容易にするため、1つのノズル構造部801の構造及び動作について、図10〜図18を参照しながら説明する。
【0150】
インクジェットプリンタチップ12は、シリコンウエハ基板801を含んでいる。0.35ミクロン、1 P4M、12ボルトのCMOSマイクロプロセッサ回路が、シリコンウエハ基板8015の上に配置されている。
【0151】
ウエハ基板8015の上には、二酸化ケイ素(或いはガラス)層8017が配置されている。この二酸化ケイ素層8017は、CMOS誘電層を画成している。CMOSの最上位金属は、二酸化ケイ素層8017上に配置されている一対の整列したアルミニウム電極接触層8030を画成している。シリコンウエハ基板8015と二酸化ケイ素層8017のいずれも、エッチングされて、(平面図において)ほぼ円形の断面を有するインク吸入路8014を画成している。二酸化ケイ素層8017には、CMOS金属1、CMOS金属2、3、及びCMOS最上位金属のアルミニウム拡散バリア8028が、インク吸入路8014を中心に配置されている。拡散バリア8028は、駆動回路層8017のCMOS酸化膜を通じてヒドロキシルイオンが拡散することを阻止する役割を果たす。
【0152】
アルミニウム接触層8030及び二酸化ケイ素層8017の上には、窒化シリコン層8031の形態における不動態層が配置されている。不動態層8031のうち接触層8030の上に位置している部分のそれぞれには、接点8030へのアクセスを提供する開口8032が画成されている。
【0153】
ノズル構造部801は、環状ノズル壁8033によって画成されているノズル室8029を含んでおり、この環状ノズル壁8033は、その上端部がノズルルーフ8034にあり、半径方向のノズル内側縁部804(平面図において円形である)が形成されている。インク吸入路8014は、ノズル室8029と流体連通している。ノズル壁の下端部には、移動シールリップ8040を含んでいる移動縁部8010が配置されている。包囲壁8038は、可動ノズルを囲んでおり、静止シールリップ8039を含んでいる。静止シールリップ8039は、図10に示したようにノズルが静止しているときには、移動縁部8010に隣接している。静止シールリップ8039と移動シールリップ8040との間に捕捉されるインクの表面張力に起因して、流体シール8011が形成される。これにより、包囲壁8038とノズル壁8033との間には低抵抗結合(low resistance coupling)が提供されるが、ノズル室からのインクの漏れが防止される。
【0154】
図17において最も明らかであるように、ルーフ8034には、ノズル縁部804を中心に半径方向に延びている複数のくぼみ8035が画成されている。くぼみ8035は、インクがノズル縁部804を超えて流れ出たときの半径方向のインクの流れを収容する役割を果たす。
【0155】
ノズル壁8033は、キャリア8036に取り付けられているレバー構造部の一部を形成しており、キャリア8036はほぼU形状の輪郭を有し、その底部8037が窒化シリコン層8031に取り付けられている。
【0156】
レバー構造部は、ノズル壁から延びており且つ横補強梁8022が組み込まれているレバーアーム8018も含んでいる。レバーアーム8018は、窒化チタン(TiN)から形成されており且つノズル構造部の片側に配置されている一対の受動梁806に取り付けられている(図13及び図18において最も明らかである)。受動梁806の他方の端部は、キャリア8036に取り付けられている。
【0157】
レバーアーム8018は、TiNから形成されているアクチュエータ梁807にも取り付けられている。なお、アクチュエータ梁へのこの取り付けは、受動梁806に取り付けられている位置よりもわずかではあるが重要な距離だけ高い位置において行われている。
【0158】
図13及び図16において最も明らかあるように、アクチュエータ梁807は、平面図において実質的にU形状であり、電極809と反対の電極8041との間の電流経路を画成している。電極809及び8041のそれぞれは、接触層8030におけるそれぞれのポイントに電気的に接続されている。アクチュエータ梁は、接点809を介して電気的に結合されていることに加え、アンカー808に機械的に固定されている。アンカー808は、ノズル構造部が動作するときに、アクチュエータ梁807が図10〜図12における左に動くことを制約するように構成されている。
【0159】
アクチュエータ梁807のTiNは、導電性であるが、電極809と電極8041との間に電流が流れるときに自身が発熱するだけの十分な電気抵抗を持つ。受動梁806には電流が流れず、従って受動梁806は膨張しない。
【0160】
使用時、静止状態にあるデバイスがインク8013によって満たされ、このインクは、表面張力の影響下においてメニスカス803を画成している。インクは、メニスカスによって室8029に保持され、一般には何らかの他の物理的影響が存在しなければ外に漏れることはない。
【0161】
図11に示したように、ノズルからインクを発射させるため、接点809と接点8041との間に電流が流れ、このときアクチュエータ梁807を流れる。梁807は、その抵抗のため発熱し、これによって膨張する。アクチュエータ梁807の寸法及び設計は、図10〜図12における水平方向における膨張の大部分を意味する。膨張は、左側がアンカー808によって制約され、従って、レバーアーム8018に隣接する、アクチュエータ梁807の端部が右に進む。
【0162】
受動梁806は、水平方向の撓み性が相対的に小さいため、レバーアーム8018が水平に大きく動くことを阻止している。しかしながら、受動梁とアクチュエータ梁のそれぞれがレバーアームに取り付けられている位置がずれているため、ねじり運動が生じ、これに起因して、レバーアーム8018がほぼ下方に動く。この運動は、実質的に旋回運動又はヒンジ運動である。しかしながら、真の旋回中心が存在しないため、回転の中心は受動梁806の曲がりによって画成される旋回領域である。
【0163】
レバーアーム8018の下向きの運動(及びわずかな回転)は、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁及びルーフが下向きに動くことにより室29内の圧力が高まり、これにより図11に示したようにメニスカスが膨らむ。なお、インクの表面張力により、インクが漏れ出すことなくこの動きによって流体シール11が伸びる。
【0164】
図12に示したように、適切なタイミングにおいて駆動電流が止まり、アクチュエータ梁807が急速に冷えて収縮する。収縮によって、レバーアームがその静止位置に戻り始め、それによって室8029内の圧力が下がる。膨張するインクの勢い及び液体としての表面張力と、ノズル室8029が上向きに動くことによる負の圧力との相互作用に起因して、膨張中のメニスカスが細くなり最終的には切り離されてインク滴802が画成され、このインク滴は、隣接している印刷媒体に触れるまで上昇を続ける。
【0165】
滴802が切り離された直後、メニスカス803は、図12に示した凹形状を形成している。表面張力のため、インクが吸入口8014を通じて上向きに吸い込まれるまでは、室8029の圧力が比較的低いままとなり、吸い込まれると、ノズル構造部及びインクは図10に示した静止状態に戻る。
【0166】
図13において最も明らかであるように、ノズル構造部には、製造後と、印字ヘッドのインストール後に定期的に使用することのできるテスト機構も組み込まれている。テスト機構は、テスト回路(図示していない)に接続されている一対の接点8020を含んでいる。レバーアーム8018から延びているフィンガー8043には、ブリッジング接点(bridging contact)8019が設けられている。ブリッジング接点8019は受動梁806の反対側であるため、ノズルが作動すると、ブリッジング接点が上向きに動いて接点8020と接触する。テスト回路は、接点8019及び8020によって形成されている回路が作動によって閉じることを確認するために使用することができる。回路が適切に閉じるならば、一般的にはノズルが動作していると推測することができる。
【0167】
[クレードル]
図20は、プリンタクレードル4の機能ブロック図である。プリンタクレードルは、1つ以上のカスタムのスモールオフィスホームオフィスプリンタエンジンチップ(SoPEC:Small Office Home Office Printer Engine Chips)を含んでいるコントローラボード82を中心として構築されており、このチップのアーキテクチャの詳細については、後から簡潔に説明する。コントローラボード10は、印刷するデジタルファイルを含んでいるパーソナルコンピュータ或いはデジタルカメラなどの外部のコンピューティングデバイスと接続するためのUSBポート130に結合されている。更に、コントローラボード10は、以下を監視する。
・印刷媒体の存在を検出する用紙センサー192
・使用時にプリンタカートリッジのQAチップ57に結合されるプリンタカートリッジチップインタフェース84
・使用時にインク補給カートリッジのQAチップ(図37における要素176として示してある)に結合されるインク補給カートリッジQAチップ接点132
・ローター要素60の向きを検出するローター要素角度センサー156
【0168】
使用時、コントローラボードは、USBポート130からと、上述した様々なセンサーとから受信されるデータを処理し、それに応答して、モーター110とトリカラーインジケータLED 135とを駆動し、インタフェース84を介して印字ヘッドチップ52を駆動する。後から更に詳しく説明するように、プリントカートリッジ6の補助的なサービスを提供する複数の機構を駆動するため、モーター110が機械的に結合されている。駆動される機構としては以下が挙げられる。
・ローター要素60を動作させるローター要素駆動アセンブリ145
・印刷時に印字ヘッドチップ52を横切って印刷媒体を送る印刷媒体搬送アセンブリ93
・印字ヘッドチップ52をデブリスがない状態に維持するために圧縮空気を供給する空気圧縮器122
【0169】
後から詳細を簡潔に説明するように、モーター110は、上記の機構のそれぞれに伝達アセンブリによって結合されており、この伝達アセンブリは、モーターの軸から空気圧縮器のインペラへの直接駆動結合と、ローター要素及び印刷媒体搬送アセンブリへのウォーム歯車及び歯による伝達とを含んでいる。
【0170】
次に、クレードル4の構造について図21〜図31を参照しながら説明する。図26の分解図において最も明らかであるように、クレードル4は、カートリッジ6と結合するときにインクジェットプリンタを形成するような、カートリッジ6と相補的な形状の本体を有する。クレードル本体は、ベースモールディング90とクレードルモールディング80とから形成されている。ベースモールディングは、クレードルの支持台として機能し、駆動モーター110と、ローター要素ローラー94と、駆動ローラー96とを収容している。ベースモールディングは、複数の対応するフランジ120及びスロット123によって、クレードルモールディング80に結合して固定される。クレードルモールディング80には、プリントカートリッジ6を収容する寸法を有する細長いくぼみ89が画成されている。クレードルの内壁には、カートリッジ6のリブ78(図4)の形態における相補的な突起を受け入れる、スロット86の形態における複数の凹部が形成されている。結果的に、カートリッジ6をクレードルモールディング80に完全に収容するためには、カートリッジ6が正しい向きでなければならない。更に、このスロットにより、クレードルに挿入できるスロットは、クレードルの電子回路によってサポートされている、従ってリブが衝突しないカートリッジのみとなり、これによって、クレードルの駆動電子回路が、サポートされていない性能特性を持つカートリッジを駆動しようとする問題が克服される。コントローラ82は、クレードル4に挿入されているカートリッジの性能特性を調べ、調べた性能特性に応答して各カートリッジを動作させるようにされている。結果として、比較的基本的な性能特性を持つスターターカートリッジをインクジェットクレードルに提供しておき、その後、必要なときに、スターターカートリッジを高い性能のアップグレードカートリッジに交換することによって、アップグレードすることが可能である。例えば、アップグレードカートリッジは、スターターカートリッジよりも高速で印刷することができる、或いは多くのインクをサポートできるものとすることができる。
【0171】
図25を参照し、モーター110の駆動軸127の端部には、歯125Bと噛み合うウォーム歯車129が取り付けられており、歯は駆動ローラー96に固定されている。再び図26を参照し、駆動ローラーは、両端部においてベアリングマウントアセンブリ100A及び100Bによって支持されており、アセンブリ100A及び100Bは、クレードルモールディング80のスロット101A及び101Bに固定されている。同様に、ローター要素変換ローラー94及びピンチローラー98も、ベアリングマウントアセンブリ100A及び100Bによって支持されている。
【0172】
次に、図30を参照し、駆動ローラー96のモーター端部の反対側には、フリッパー(flipper)歯車アセンブリ140が配置されている。フリッパー歯車アセンブリは、互いに噛み合う内側歯車142と外側歯車143とを保持しているハウジング144から成る。内側歯車142は、駆動ローラー96と同軸に固定されているのに対して、ハウジング144は駆動ローラー96を中心に自由に回転する。使用時、ハウジングは、駆動ローラー96と一緒に回転し、外側歯車143がクレードルのベースモールディング90に配置されているストッパーに当たるか、又は外側歯車143がローター要素駆動歯146と噛み合うまで、外側歯車143を伴って回転する。駆動ローラー96の回転方向は、コントロールボード82によってモーター110に流される駆動電流の方向に依存する。外側歯車143とローター要素駆動歯146とが噛み合うと、駆動ローラー96と、内側歯車142と、外側歯車143と、ローター要素駆動歯146とを備えているローター要素駆動アセンブリ145が形成される。結果的に、この形状構成においては、駆動ローラー96からローター要素駆動ローラー94に動力を伝えることができる。
【0173】
図31を参照し、ローター要素駆動ローラー94の両端部には、対応するカムフォロア150A及び150Bに配置されているカム148A及び148Bが取り付けられている。カムフォロア150A及び150Bは、環形状であり、それぞれ、片側においてピボットピン152A及び152Bによって旋回自在に固定されている。ヒンジ式ジョー154A及び154Bは、プリンタカートリッジのローター要素摺動ブロック(図6の要素66A、66B)をつかむように設けられている。このジョーは、それぞれ、カムフォロア150A及び150Bに、ピン152A及び152Bの反対側において旋回自在に結合されている。ローター要素駆動ローラー94が回転すると、カム148A及び148Bがカムフォロア150A及び150Bの内壁に当接し、これによって、カムフォロアがそれぞれジョー154A及び154Bを伴って持ち上がる。
【0174】
ローター要素60を正しい角度だけ回転させる目的で、クレードル4は、ローター要素の実際の向きを検出するローター要素センサーユニット156(図20)を含んでいる。センサーユニット156は、光源と、反射光の存在を検出する検出器ユニットとから成る。ローター要素60は、ローター要素の向きをセンサー156によって検出することができるように光源からの光線を反射するようにされている反射面を有する。具体的には、センサーユニット156を監視することによって、コントローラボード82は、ローター要素60のどの面が印字ヘッド52に隣接しているかを確定することができる。
【0175】
駆動ローラー96以外に、モーター110は、ファンハウジング112と、空気フィルタ116と、インペラ114とを含んでいる空気圧縮器122も駆動する。ファンハウジング112は、カートリッジ6の空気吸入ポート76(図6)と結合するようにされている空気出口124を含んでいる。
【0176】
図25の側面図と図27の断面とにおいて最も明らかであるように、クレードルモールディング80の後面には、金属のバックプレーン92が固定されている。バックプレーン92には、様々な電子回路が搭載されているコントロールボード82が取り付けられている。コントロールボードは、金属の無線周波数干渉(RFI)シールド102によって覆われている。コントロールボード82は、フレキシブルPCBコネクタ106を介してクレードルのコネクタ84A及び84Bに電気的に結合されており、また、USBポートコネクタ130の形態における外部データ及び電力の接続ポイントにも結合されている。USBコネクタ130は、外部のパーソナルコンピュータ又はその他のコンピューティングデバイスとの接続を可能にする。クレードルのコネクタ84A及び84Bは、クレードルモールディング80の両端部に形成されているスロットにおいて支持されており、プリンタカートリッジ6がクレードルモールディングのくぼみ89に完全に挿入されたときにカートリッジのコネクタ58A及び58Bに電気的に接触するようにされている。
【0177】
コントローラボード82は、様々なケーブルルーム(cable loom)及びフレキシブルPCB 106によってQAチップ接点132に接続されている。QAチップ接点は、クレードルモールディング80に形成されているくぼみ134に配置されており、後から簡潔に説明するように、インクの補給時にインク補給カートリッジ162に配置されているQAチップ176と接触するように配置されている。
【0178】
コントローラボード82は、ライトパイプ136に光学的に結合されているトリカラーインジケータLED(図20の要素135)も駆動する。ライトパイプの端部は、クレードルモールディング80に形成されているインジケータポート138に取り付けられており、従って、トリカラーインジケータLEDからの光をケーシングの外側から見ることができる。
【0179】
[コントローラボード]
本発明の好ましい実施形態によるプリンタ装置は、基本的な構造部として、クレードルアセンブリ(必要な電子回路すべてを含んでいる)と、電力及び用紙の取り扱いに必要な部分と、カートリッジユニットとを備えており、このうちカートリッジユニットは、高度に特殊化されている印字ヘッドと、インクの取り扱いに必要な部分とを含んでいる。従って、新しいクレードルユニットを購入する必要なしに、1つのクレードルユニットが、異なる性能・機能を備えたカートリッジユニットをサポートすることが可能である。
【0180】
これに関して、それぞれが複数の異なる機能・性能を持つ一連のカートリッジユニットを提供することができる。例えば、単純な形態においては、次の3種類のカートリッジユニットを提供することが可能であろう。
・スターターユニット:インク容量150mlの15ppmカートリッジ
・標準ユニット:インク容量300mlの30ppmカートリッジ
・プロフェッショナルユニット:インク収容量が更に300ml増しの60ppmカートリッジ
【0181】
このようなシステムは、1つのクレードルユニットにおいてサポートすることができ、ユーザは自身の要件及びコスト面に応じて様々なカートリッジユニットを購入することができる。
【0182】
プロフェッショナルユニットの場合には、そのようなカートリッジユニットの高度で先進な機能をサポートする専用のクレードルユニットを用意する必要があるようにすることができる。様々な機能を備えたカートリッジユニットには、クレードルユニットとの互換性を容易に認識することができるように、カラーコードマーク(color coded marking)などの標示を付すことができる。
【0183】
これに関して、図32は、15〜30ppmにおいて動作するクレードルユニット用のメインPCBユニットを示しており、図33は、60ppmにおいて動作するカートリッジユニットを駆動するメインPCBユニットを示している。図から明らかなように、これらのPCBはほぼ同一であり、主な違いは、60ppmのPCBには2つのSoPECチップが存在していることである。従って、より強力なカートリッジユニットが最初はサポートされないクレードルユニットをユーザが購入した場合にも、本発明のシステム構造では、そのようなシステムがサポートされるようにクレードルユニットを容易にアップグレードすることができる。
【0184】
プリンタは、1つ以上のSoC(システムオンチップ)コンポーネントと、印刷パイプラインに関連する上述した機能の一部又はすべてを実行するように構成されている、アプリケーションに固有な印刷エンジンパイプライン制御ロジックと、を更に含んでいることが好ましい。
【0185】
次に図34を参照し、SoPECデバイスは、大きく分けて3つの異なるサブシステム、すなわち、CPU(中央処理ユニット)サブシステム301と、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)サブシステム302と、印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303とから成る。
【0186】
CPUサブシステム301は、他のサブシステムのすべての側面を制御及び設定するCPU 30を含んでいる。このサブシステムは、外部のプリンタと内部の印刷エンジンとの間のインタフェース処理と、これらの間の同期処理のための全般的なサポートを提供する。このサブシステムは、QAチップ(本明細書の別の段落に説明してある)との低速通信も制御する。また、CPUサブシステム301は、汎用I/O(GPIO:モーター制御を含む)、割込みコントローラユニット(ICU)、LSSマスタータイマー及び汎用タイマーなど、CPUを支援する様々な周辺デバイスも含んでいる。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストとのフルスピードUSB1.1インタフェースと、他のSoPECデバイス(図示していない)とのSoPEC間インタフェース(ISI)とを提供する。
【0187】
DRAMサブシステム302は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、及びPEPサブシステム内のブロックからの要求を受け取る。このDRAMサブシステム302、具体的にはDRAMインタフェースユニット(DIU)は、様々な要求の調停を行い、DRAMへのアクセスをどの要求に割り当てるべきかを判断する。DIUは、設定されているパラメータに基づいて、要求元すべてにDRAMへの十分なアクセスが許可されるように調停する。また、DIUは、ページサイズ、バンク数、リフレッシュレートなどDRAMの実装上の仕様を隠す。
【0188】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303は、DRAMからの圧縮されたページを受け取り、それらを、バイリシック印字ヘッドの最大2つのセグメントと直接通信する印字ヘッドインタフェースに送られる特定のプリントライン用の2階調ドットに変換する。ページ展開パイプラインの第1段は、連続階調復号器ユニット(CDU:Contone Decoder Unit)、ロスレス2階調復号器(LBD:Lossless Bi−level Decoder)、及びタグ符号器(TE:Tag Encoder)である。このうちCDUは、JPEG圧縮されている連続階調(一般にはCMYK)層を展開し、LBDは、圧縮されている2階調層(一般にはK)を展開し、TEは、後からレンダリング(一般には赤外線インク又はKインクによる)するためにネットページ(Netpage)タグを符号化する。第1段からの出力は、一連のバッファ、すなわち、連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、及びタグFIFOユニット(TFU)である。CFUバッファ及びSFUバッファは、DRAMに実装されている。
【0189】
第2段は、中間調合成器ユニット(HCU:Halftone Compositor Unit)であり、このユニットは、連続階調層をディザリングし、結果としてのディザリングされた2階調層の上にポジションタグ及び2階調スポット層を合成する。
【0190】
SoPECデバイスと一緒に使用される印字ヘッドに応じて、複数の合成オプションを実装することができる。この段からは、最大6チャンネルの2階調データが生成され、ただし、すべてのチャンネルが印字ヘッドに存在していなくてもよい。例えば、印字ヘッドをCMYのみとし、KをCMYチャンネルに押し込み、IRを無視することができる。或いは、IRインクが利用できない場合(又はテストを目的とする場合)、符号化されたタグをKで印刷することができる。
【0191】
第3段においては、不良ノズル補正器(DNC:Dead Nozzle Compensator)が、色の冗長性と、不良ノズルデータを周囲のドットに誤差拡散することとによって、印字ヘッド内の不良ノズルを補正する。
【0192】
結果としての2階調、6チャンネルのドットデータ(一般にはCMYK、赤外線、定着剤)は、バッファに格納され、ドットラインライターユニット(DWU:Dotline Writer Unit)によって、DRAMに格納されている一連のラインバッファに書き込まれる。
【0193】
最後に、ドットデータがDRAMからロードされ、ドットFIFOを介して印字ヘッドインタフェースに渡される。ドットFIFOは、ラインローダーユニット(LLU:Line Loader Unit)からのデータをシステムクロックレート(pclk)において受け取り、その一方で、印字ヘッドインタフェース(PHI)が、FIFOからのデータを削除し、システムクロックレートの2/3倍のレートにおいてそれを印字ヘッドに送る。
【0194】
好ましい形態においては、DRAMは、サイズが2.5Mバイトであり、そのうち約2Mバイトが、圧縮されたページストアデータ(page store data)用に利用することができる。圧縮されたページは、2つ以上の帯域(band)において受信され、複数の帯域がメモリに格納されている。ページの帯域が印刷のためにPEPサブシステム303によって消費されると、新しい帯域をダウンロードすることができる。この新しい帯域は、現在のページ又は次のページの帯域である。
【0195】
帯域方式を使用することにより、圧縮されているページ全体がダウンロードされる前に、ページの印刷を開始することが可能であるが、印刷するデータがつねに利用可能であるように注意しなければならず、さもないとバッファアンダーランが起こることがある。
【0196】
埋め込まれているUSB1.1デバイスは、ホストPCから圧縮されているページデータと制御コマンドとを受け取り、DRAMへの(以下に説明するようにマルチSoPECシステムにおいては別のSoPECデバイスへの)データ伝送を可能にする。
【0197】
代替実施形態においては、複数のSoPECデバイスを使用することができ、複数のSoPECデバイスは、特定の実施形態に応じて様々な機能を実行することができる。例えば、場合によっては、1つのSoPECデバイスを単純にオンボードDRAM用に使用することができ、その一方で、別のSoPECデバイスを、上述した様々な解凍機能及びデータ形式変換(formatting)機能に使用する。これによって、バッファアンダーランの可能性を低減することができ、バッファアンダーランは、ページのデータすべてが受信される前にプリンタがそのページの印刷を開始し、残りのデータの受信が間に合わない場合に起こりうる。メモリのバッファリング能力用に更なるSoPECデバイスを追加すると、たとえ追加されたチップのそれ以外の能力が利用されなくても、バッファに格納することのできるデータの量が2倍になる。
【0198】
SoPECシステムのそれぞれは、プリンタ構造の品質と、(印刷時に印字ヘッドのノズルが損傷しないように)インクサプライの品質と、(印字ヘッド及び構造が損傷しないように)ソフトウェアの品質とが保証されるように互いに協調するように設計されている、複数の品質保証(QA)デバイスを備えていることができる。
【0199】
通常、印刷SoPECのそれぞれには、最大印刷速度などのプリンタ属性情報が格納されているプリンタQAが関連付けられている。本システムにおいて使用するインクカートリッジも、インクQAチップを含んでおり、このチップは、インク残量などのカートリッジ情報を格納している。更に、印字ヘッドは、ROMとして(実際にはEEPROMとして)機能するように構成されているQAチップを有し、このチップは、不良ノズルのマッピングや印字ヘッド特性など、印字ヘッドに固有な情報を格納している。オプションとして、SoPECデバイスにおけるCPUは、実際にはシリアルEEPROMとして機能するQAチップからプログラムコードをロードして実行することができる。SoPECデバイスにおけるCPUは、論理QAチップ(すなわちソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0200】
通常、システム内のすべてのQAチップは物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみが互いに異なる。
【0201】
SoPECデバイスのそれぞれは、システム認証及びインク使用量計算のためにQAデバイスと通信することのできる2本のLSSシステムバスを有する。1本のバスあたり多数のQAデバイスを使用することができ、また、システムにおけるQAデバイスの位置は制限されないが、例外として、プリンタQAデバイス及びインクQAデバイスは個別のLSSバス上とすべきである。
【0202】
使用時、論理QAは、インクQAと通信し、残りのインクを調べる。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの確認は、それ自体が論理QAによって認証され、これにより、インクQAからの応答に追加の認証レベルが間接的に加えられる。
【0203】
印字ヘッドQA以外のQAチップ間で渡されるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態においては、データにはHMAC−SHA1認証が使用され、プログラムコードにはRSAが使用されるが、代わりに別の方式を使用することもできる。
【0204】
1つのSoPECデバイスは、2つのバイリシック印字ヘッドと、最大6つのカラーチャンネルとを制御することができる。カラーインクの6つのチャンネルは、個人事業所(SOHO)或いはオフィスのバイリシック印刷環境において予測される最大数であり、以下を含んでいる。
・CMY(シアン、マゼンダ、黄):通常のカラー印刷用
・K(黒):黒のテキスト、ライングラフィック、及びグレースケール印刷用
・IR(赤外線):Netpage対応アプリケーション用
・F(定着剤):印刷物のにじみを防止することによって高速での印刷を可能にする
【0205】
バイリシックプリンタは非常に高速で印刷することができるため、すでに印刷されたページに別のページが触れる前にインクを乾燥させるために定着剤が必要となることがある。定着剤を使用しないと、ページ間でインクがにじむことがある。比較的低速での印刷環境においては、定着剤は必要ないかもしれない。
【0206】
好ましい実施形態においては、SoPECデバイスは色空間に依存しない。CMYX又はRGBX(Xはオプションの4番目のチャンネル)としての連続階調データを受理できるが、任意の印刷色空間における連続階調データを受理することもできる。更に、SoPECでは、インクを最適化するためにドットを組み合わせる、或いは任意の数の別のチャンネルに基づいてチャンネルを生成するなど、入力チャンネルを出力チャンネルに任意にマッピングするメカニズムが提供される。しかしながら、一般に入力は、連続階調入力の場合にはCMYKであり、2階調入力の場合にはKであり、オプションのNetpageタグドットは一般に赤外線層にレンダリングされる。定着剤チャンネルは、一般には高速印刷アプリケーションの場合に生成される。
【0207】
好ましい形態においては、SoPECデバイスは解像度にも依存しない。SoPECデバイスでは、入力解像度と出力解像度との間のマッピングは単にスケール係数によって提供される。好ましい実施形態の場合の予測される出力解像度は1600dpiであるが、SoPECは、実際にはバイリシック印字ヘッドの物理解像度の情報を持たない。
【0208】
好ましい形態においては、SoPECデバイスは、ページ長さに依存しない。連続するページは一般には複数の帯域に分割され、情報の各帯域が消費されるにつれてページストアにダウンロードされる。
【表1】
【表2】
【表3】
【0209】
[インク補給カートリッジ]
前述したように、印字ヘッドカートリッジ6は、内部インクリザーバ28〜34を含んでいるインク収容メンブレン26を含んでおり、インクリザーバ28〜34は、カバーモールディング36の上面に形成されているインク補給ポート8に接続されている。リザーバ28〜34に補給する目的で、図35〜図42に示したようなインク補給カートリッジの形態におけるインク注入器が提供される。以下では、補給カートリッジ160の構造について、カートリッジの分解図である図37を主として参照しながら説明する。
【0210】
インクカートリッジ160は、操作ハンドル又は「プランジャ」として機能し且つ内部ばねアセンブリ164を含んでいる外側モールディング162を有する。ばねアセンブリ164は、基台178を含んでおり、ばね部材180がこの基台から延びてカバーモールディング162の内側に当接している。ばね部材は、基台178を変形可能なインクメンブレン166に付勢しており、インクメンブレン166は、一般にはポリエチレンから作製されており、例えばカラーインク或いは定着剤などの印刷流体を含んでいる。インクメンブレン166は、図38及び図39において最も明らかであるように、外側モールディング162の中で摺動するポリエチレンのベースモールディング170の中に収納されている。インク出口パイプ182は、メンブレン166から延びて、ベースモールディング170の底部に形成されているエラストマーカラー172の中に収まっている。インク補給カートリッジの使用前には、シール174がカラー172を覆っている。
【0211】
ベースモールディング170の底部には、位置決め形状部分として機能し、インクジェットプリンタコンポーネントの補給ポート(プリンタカートリッジ6のインク補給ポート8など)と結合する形状を有する突起190が延在している。突起190に対する出口パイプ182及びカラー172の位置は、インク補給カートリッジに含める印刷流体の種類に依存して変わる。従って、収容する印刷流体の種類に応じてそれぞれ出口が突起190に対して配置されている複数の印刷流体注入器を備えている、印刷流体システムが提供される。結果として、補給カートリッジがポート8に結合すると、出口182が該当する注入口42A〜42Eに結合し、従って、同じ種類の印刷流体を専用に収容するようにされている特定の収容リザーバ28、30、32、34が補給される。
【0212】
ベースモールディング170の底部の一方の側からフランジ184が延びており、このフランジ184には、品質保証(QA)チップ176の形態における認証手段が取り付けられている。インクカートリッジ160をインク補給ポート8に挿入すると、QAチップ176は、クレードル4に配置されているQAチップ接点132と接触する。
【0213】
ベースモールディング170の外壁からは保持突起168が延びており、この突起は、押し込み前くぼみ165又は押し込み後くぼみ169のいずれかである凹部に受け入れられる。これらのくぼみは、図37及び図38に示したように、いずれも上側カバーモールディング162の壁の内周に形成されている。押し込み前くぼみ165は、上側カバーモールディングの開口付近に配置されているのに対し、押し込み後くぼみ169は、内壁のこれより上に配置されている。インクカートリッジ160が完全に充填されると、保持突起168が押し込み前くぼみ165と係合する。後から更に簡潔に説明するように、この係合に打ち勝つためには、所定のしきい値より大きな押し込み力を上側カバーモールディングに慎重に印加しなければならない。押し込みによってインクが出口172から送り出され、保持突起168が押し込み後くぼみ169に受け入れられるまで、ばねアセンブリ164の付勢に打ち勝ってベースモールディング170が上側カバーモールディング162の中に入っていく。
【0214】
[使用例]
使用時、プリンタカートリッジ6は、図3に示したようにクレードル4の上に正しく位置合わせされ、次いで、上側クレードルモールディング80のくぼみ89に挿入される。カートリッジユニットがクレードル4に挿入されると、クレードルのデータ・電力接点84A及び84Bが、カートリッジ6のデータ・電力接点58A及び58Bと電気的に接続される。同時に、空気圧縮器アセンブリ122の空気ノズル124が空気シール44を貫通し、カートリッジ6の空気吸入ポート76に入る。
【0215】
図27において明らかであるように、くぼみ89の内壁には、挿入後にカートリッジが上に乗る台座又は棚部が形成されている。ばね190の形態における複数の弾性部材が設けられており、これらは、カートリッジが所定の位置に置かれたときにカートリッジに対して作用し、更に、保持ラッチがカートリッジの上で固定されたときに保持ラッチに対しても作用する。結果的に、これらのばねは、挿入時に衝撃を吸収し、その後、所定の位置におけるカートリッジをラッチにしっかりと付勢することによって、カートリッジをクレードル4及びラッチ7にしっかりと保持するように機能する。代替形態においては、ばねをラッチ7に配置することができ、その場合、カートリッジ6はクレードル4に付勢される。
【0216】
カートリッジを正しくない方向で挿入しようとしても、クレードル4における特定の向きのスロット86と、カートリッジ6における特定の向きのリブ78とが存在するため、挿入できない。同様に、本クレードルと一緒に使用するように意図されていないカートリッジは、特定の向きのスロット86に対応するリブを備えていないため、どのような向きであろうと受け入れられない。特に、デュアルSoPECチップコントローラボードを有するクレードルによって駆動する必要のあるカートリッジは、シングルSoPECチップコントローラボードを有するクレードルに受け入れられるための正しいリブ形状を備えていない。
【0217】
カートリッジユニットが最初にクレードルユニット4に挿入されたとき、及び輸送時には、ローター要素60は、そのキャッピング面が印字ヘッド52と係合することによって印字ヘッドのノズル開口が密封されるような向きにある。同様に、プリンタ装置が使用されないときにも、印字ヘッド52の底部を密封する目的でキャッピング面は底部と接触している。印字ヘッドを密封することにより、通常は水であるインク溶媒の蒸発が減少し、従って、プリンタが使用されない間の印刷ノズルにおけるインクの乾燥が減少する。
【0218】
デジタルカメラやパーソナルコンピュータなど遠隔のコンピューティングデバイスは、電力及び印刷データ信号をクレードル4に供給する目的で、USBポート130に接続される。コントローラボード82の処理回路は、電力の供給に応答して様々な初期化ルーチンを実行し、例えば、QAチップ57に格納されているメーカーコードを確認する、インクリザーバ28〜34の状態をインクリザーバセンサー35によってチェックする、ローター要素60の状態をセンサー156によってチェックする、用紙又はその他の印刷媒体がクレードルに挿入されているかを用紙センサー192によってチェックする、トリカラーインジケータLED 135によってユニットの状態をライトパイプ136を通じて外部に示す、などである。
【0219】
印刷動作を実行する前に、用紙又はその他の印刷媒体をクレードル4に送り込まなければならない。コントローラボード82は、印刷を開始するための信号を外部のコンピューティングデバイスから受信すると、用紙の存在を用紙センサー192によってチェックする。用紙が存在していない場合、注意を喚起するためにトリカラーLED 135を設定し、コントローラは印刷を開始しない。しかしながら、印刷媒体が存在していることを用紙センサー192が示す場合、コントローラボード82は、ローター要素60を所定の印刷ポジションまで回転させることによって応答する。
【0220】
これに関して、起動時又は保守ルーチン中に印刷動作モードが検出されると、ローター要素60は、その吸取り面が印字ヘッド52のインク発射経路に位置するように回転する。吸取り面は、一種の痰壷(spittoon)として機能して印刷ノズルからのインクを受け取ることができ、受け取ったインクは、吸取り面に設けられている材料の吸収特性によってローター要素60の本体内に引き込まれる。ローター要素60は、プリンタカートリッジ6の一部であるため、カートリッジを交換するときに交換され、これにより、吸取り面にインクがたまって汚れた状態になることはない。
【0221】
USBポート130において印刷コマンドが検出され、印刷媒体の存在が確認されると、コントローラボード82はモーター110を駆動し、これにより駆動ローラー96が回転を始め、ピンチローラー98と協働して印刷媒体を印字ヘッド52に送り込む。同時に、コントローラボード82は、印字ヘッド52用の制御信号を生成する目的で、外部のコンピューティングデバイスからの印刷データを処理する。制御信号は、クレードルのインタフェース84A、84Bと、カートリッジのインタフェース58A、58Bと、印字ヘッドチップ52の両端部におけるフレキシブルPCB接点とを介して、印字ヘッドに渡される。印字ヘッドチップ52はバイリシック(bilithic)である、すなわち、印字ヘッドの長さにわたる2つの細長いチップを備えており、データは印字ヘッドの両端部に供給され、各チップの長手方向に沿って個々のノズルのそれぞれに伝送される。電力は、チップの長手方向に沿って延在しているバスバーを介して、印字ヘッドチップの個々のノズルに供給される。印字ヘッドの個々のノズルは、受け取ったデータ及び電力に応答して、印刷媒体がローター要素60のプラテン面の上に引き込まれるにつれて印刷媒体上にインクを選択的に発射し、これによって、USBポート130に送信されたデータ信号に符号化されていたイメージを印刷する。
【0222】
モーター110の動作によって、空気圧縮器122がカートリッジのベースモールディングに空気を導く。空気は、カートリッジのベースモールディング20における流体供給経路を介して、空気フィルタ51の後ろの空間に導かれる。空気フィルタ51の抵抗に十分に打ち勝つレベルまで空気圧が高まると、空気は、カートリッジのベースモールディングの底部の長手方向に沿って空気フィルタ51の孔を通じて外に導かれる。導かれた空気は、プリンタが動作している間、印字ヘッドチップ52と空気カバープレート54との間に受け入れられて印字ヘッドチップの表面の上を通過し、これにより、ダスト及びデブリスがない状態に印字ヘッドを維持することによって、印字ヘッドの劣化を防止する役割を果たす。
【0223】
次に図40を参照し、インク補給手順の最初のステップは、収容リザーバ28、30、32、34の中の印刷流体が不足していることを補給センサー35がコントローラボード82に伝えることによって開始される。コントローラボード82は、補給センサー35からの信号に応答して、インジケータLED 135を作動させる。これに代えて、印刷インクが不足しているかの検出は、コントローラボードの電子回路によって計算することができる。1回のノズル発射あたりのインク体積は既知であり、印字ヘッドの動作全体を通じて一定である(約1ピコリットル)ため、印字ヘッドによって供給されたインクの量と、各色又は各タイプのインクの消費量とを計算することができる。これに関して、コントローラボード82は、各印刷流体の消費量を監視することができ、そのレベルが所定のレベルに達すると、トリカラーインジケータLEDを作動させて、その印刷流体を補充する必要があることをユーザに知らせることができる。
【0224】
プリンタのオペレータにクレードル4のインジケータポート138において情報を表示する目的で、インジケータLEDからの光はライトパイプ136によって伝えられる。この情報は、補充が必要であるインクの色又はタイプをユーザに伝えることができる。また、コントローラボードは、USBポート130を介して遠隔のコンピューティングデバイスに信号を送り、補充が必要であるインクのタイプをそのコンピューティングデバイスを通じてユーザに表示することもできる。
【0225】
補給手順を進行させるためには、プリンタカートリッジ6がプリンタクレードル4の所定の位置に収まっていなければならない。次いで、必要なインクタイプのインク補給カートリッジ160を、プリンタカートリッジ6の上面に配置されているインク補給ポート8の上にもっていく。前述したように、インク補給ポート8は、密封フィルム40によって保護されている一連の注入口42A〜42Eを含んでいる。密封フィルム40の下には、インク収容リザーバ28、30、32、34に直接連通している複数の印刷流体導管43A〜43Eが位置している。印刷流体、すなわちC、M、Y、K、赤外線インク、及び定着剤(必要な場合)のそれぞれにインク注入口が設けられている。異なる流体それぞれの注入口の位置は、補給カートリッジ160のインク出口ピン182が、注入口42A〜42Eのうち、カートリッジ160に含まれている補充される特定の印刷流体に対応する注入口と自動的に位置が合って連通するように、注入ポート8に沿って特定の並び順序で配置されている。
【0226】
インク補給段階の第2段階は、図41に示してある。この図においては、補給カートリッジ160がカートリッジユニットの補給ポート8に挿入されている。補給カートリッジ160が補給ポート8に挿入された時点で、インク補給QAチップ176及びクレードルユニットのQA接点132の位置が自動的に合う。コントローラボード82は、インク補給カートリッジ160の完全性(integrity)及び真正性を確認する目的で、QAチップ176に格納されている様々なコードを調べる。コントローラボード82は、真正のインク、すなわち正しいメーカーからの必要な色又はタイプであるインクが存在していることが、QAチップ176によって確認されるものと判断すると、黄色に光るようにインジケータLED 135を設定し、これによって、補給カートリッジ160が受け入れられたことを示す。しかしながら、コントローラボード82は、エラー状態が存在しているものと判断すると、補給カートリッジに問題があることを知らせる目的で、LED 135を赤に設定する。例えば、QAチップ176が確認ステップに合格しないときには、エラー状態が存在するものと判断することができる。更には、リザーバ28、30、32、34のうちの1つのみが補充を必要としている場合がしばしばある。例えば、シアン色のインクを収容するように割り当てられているリザーバが、補給を必要としていることがある。その場合、インク補給カートリッジ160にシアンインクが含まれていないことをQAチップ176が示すと、コントローラボード82は、エラー状態を知らせる目的でインジケータLED 135を赤に設定する。
【0227】
品質保証が確保される補給を行うためには、プリンタ装置のすべての部分の間の通信が必要であることが理解されるであろう。すなわち、プリンタカートリッジ6はプリンタクレードル4の中に配置されていなければならず、インク補給カートリッジ160は、インク補給QAチップ176がQAチップ接点132と接触するようにカートリッジ6に挿入されていなければならない。これによって、補給動作のそれぞれが制御され、プリンタの機構を損傷しうる誤った補給の可能性が減少する。
【0228】
図41に示したように、インク補給カートリッジ160がカートリッジユニット6の補給ポート8に挿入されると、インク出口ピン28が密封フィルム40を貫通し、補給ポートの開口42〜A42Eの1つがインク注入口24のうちの対応する1つと連通する。インク注入口24は、インクシール32(インク補給カートリッジの出口ピン28の先に位置している)の貫通が自動的に起こるように、エラストマーモールディングとして形成されている。この結果として、補給カートリッジ160に収容されているインクと、インク供給導管43A〜43Eと、収容リザーバ28〜34との間で、密封状態での流体連通(self−sealing fluid communication)が確保される。密封状態での流体連通の結果として、外側モールディング162が押されたとき、圧力によってインクがリザーバ28、30、32、34のうちの1つに流れ込む。
【0229】
図42に示したように、上側カバーモールディング162が押されると、インク補給手順の第3段階が起こり、インク補給カートリッジ160の中に存在しているインクがプリンタカートリッジのリザーバ28〜34のうちの1つに押し出される。外側モールディング162が押された後、オペレータには、インク補給カートリッジ160が空になったことが明らかであり、この補給段階はこの時点で完了し、カートリッジ160をプリンタカートリッジ6から抜くことができる。この補給段階が完了すると、補給センサー35によって、リザーバ28〜34のそれぞれにおける印刷流体のレベルが所定のレベルを超えていることを示す信号が生成される。コントローラボード82は、補給センサーからの信号に応答して、インジケータLED 135を緑に光るように設定し、これによって、補給プロセスが正常に完了したことをオペレータに知らせる。
【0230】
インク補給カートリッジ160からインクが押し出される力は、オペレータが上側カバーモールディング162に印加する押し込み力の程度によって決まる。従って、上側カバーモールディング162は、インク補給カートリッジの操作ハンドル又はプランジャとして機能する。結果として、補給ステップが慎重に行われない、或いは急いで行われると、過度に高い圧力でインクがプリンタカートリッジ6に供給されることがあり得る。そのような圧力に起因して、プリンタカートリッジ6に収容されているインクによってインク収容メンブレン26が破裂し、従ってカートリッジユニットの中でインクが漏れて、修復できない程度にプリンタカートリッジが損傷することがある。内部のばねモールディング164は、補給ユニットから押し出されるインクの圧力が過度に高まることに対する安全メカニズムを提供することによって、不注意によるメンブレンの破裂を防止する。これに関して、ばねモールディング164は、上側カバーモールディング14を押し込むことによって変形可能なインクメンブレン26に伝わる最大の力を制限するように設計されている。上側カバーモールディング14に印加される力として、最大許容レベルを超える圧力でインクが押し出されるような力は、ばねモールディング164によって吸収され、ばね部材180に蓄積される。ばねモールディング164は、補給インクメンブレン166に過度な力が瞬間的に印加されることを防止するように適切に設計されている。すなわち、ばねモールディング164の変形特性若しくは弾性特性、又はその両方は、メンブレン内の圧力が所定のレベルに制限されるように選択されている。
【0231】
図38及び図39に最も明確に示してあるように、ベースモールディング170の側面には保持突起168が配置されている。インクカートリッジ160が押し込み前の状態である間は、保持突起168は押し込み前くぼみ165と結合している。突起168と押し込み前くぼみとの係合は、補給プロセス中の更なる安全方策を提供している。なぜなら、この係合によって、上側カバーモールディングから内部のインクメンブレン166に意図しない力が印加されることが防止され、従って、輸送時或いは配送時に上部カバーが不注意に押し込まれることが防止される。インク補給カートリッジ160が補給ポート8に挿入された後、押し込み前くぼみ165と保持突起168との係合に十分に打ち勝つだけの力で上部カバー162が押し込まれる。上側カバーモールディング162が押し込まれることにより、ばねアセンブリ164の基台178がインクメンブレン166に当たり、これにより、インクが出口パイプ182を通じてプリンタカートリッジのインクリザーバメンブレン166の中に押し出される。保持突起168の最初の係合に打ち勝つためには、最初に大きな力を印加する必要がある。ばね部材164は、この場合にインクメンブレン166に過度な圧力が加わることを防止するように瞬間的に機能する。この最初の力の印加に続いて、通常の押し込みに進む。図38に示したように、補給ステップが完了すると、保持突起168は、押し込み後くぼみ169の形態におけるロック形状と係合し、このくぼみ169は、インクカートリッジの外側モールディング162の内壁の上の方に配置されている。保持突起168が上側くぼみ169と結合することにより、インクが押し出された後、インクカートリッジの外側モールディング162がベースモールディング170に固定される。この配置構造では、プリンタカートリッジのノズル及びインク補給カートリッジを損傷させうる低品質のインクをユーザがインク補給カートリッジ162に補充しようとする可能性が克服されることが理解されるであろう。押し込み後のこの状態においては、使用済みのインク補給カートリッジをサプライヤに戻すことができる。サプライヤには、補給カートリッジを開いて上部カバーを上側位置に戻すための工具が提供され、このとき、再利用できるように補給ユニットに真正のインクを補給し、インクの真正性が確認されるようにQAチップ176を再プログラムすることができる。
【0232】
当然ながら、ここまでの記載は本発明を説明するための一例としてのみ示したものであり、当業者には明らかであろう変更形態及び変形形態のすべてが、添付の請求項によって定義される本発明の広い範囲に含まれるものとみなされることを理解されたい。
【0233】
本発明は、その例示的な実施形態に関連して図示及び説明したが、当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更形態が明らかであり、容易に変更することができるであろう。従って、本明細書に添付されている請求項の範囲は、本明細書に記載した説明に制限されるものではなく、請求項は広く解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるプリンタカートリッジをプリンタクレードルと組み合わせたときの、前側、上側、及び右側を示している斜視図である。
【図2】プリンタカートリッジのブロック図である。
【図3】プリンタクレードルに挿入する前のプリンタカートリッジの前側、上側、及び右側を示している斜視図である。
【図4】プリンタカートリッジの後面、下側、及び左側を示している斜視図である。
【図5】部分的に分解した状態における、プリンタカートリッジの前側、下側、及び右側を示している斜視図である。
【図6】分解した状態における、プリンタカートリッジの前側、下側、及び右側を示している斜視図である。
【図7】複数の印刷流体導管を示す、カートリッジのベースモールディングの下側の平面図である。
【図8】プリンタカートリッジの右側の平面図である。
【図9】プリンタカートリッジの断面図である。
【図10】第1の動作状態における印字ヘッドチップノズルを切断した断面図である。
【図11】第2の動作状態における印字ヘッドチップノズルを切断した断面図である。
【図12】インク滴の発射後の印字ヘッドチップノズルを切断した断面図である。
【図13】インク滴の発射後の印字ヘッドチップノズルの斜視図(一部断面図)である。
【図14】印字ヘッドチップノズルの断面斜視図である。
【図15】印字ヘッドチップノズルの断面図である。
【図16】印字ヘッドチップノズルの斜視図(一部断面図)である。
【図17】印字ヘッドチップノズルの平面図である。
【図18】印字ヘッドチップノズルの平面図(一部断面図)である。
【図19】印字ヘッドチップの一部の断面斜視図である。
【図20】プリンタクレードルのブロック図である。
【図21】プリンタクレードルの前側、左側、及び上側を示している斜視図である。
【図22】プリンタクレードルの前側の平面図である。
【図23】プリンタクレードルの上側の平面図である。
【図24】プリンタクレードルの下側の平面図である。
【図25】プリンタクレードルの右側の平面図である。
【図26】分解した状態におけるプリンタクレードルの左側、前側、及び上側の斜視図である。
【図27】プリンタクレードルの右側の平面図(一部断面図)である。
【図28】プリントカートリッジを挿入した状態における、プリンタクレードルの左後ろ及び上側の斜視図である。
【図29】RFIシールドを取り外した状態における、プリンタクレードルの左後ろ及び上側の斜視図である。
【図30】プリンタクレードルの左側の一部の詳細な斜視図である。
【図31】プリンタクレードルの右側の一部の詳細な斜視図である。
【図32】シングルSoPECチップコントローラボードの斜視図である。
【図33】デュアルSoPECチップコントローラボードの斜視図である。
【図34】SoPECチップのブロック図である。
【図35】空の状態におけるインク補給カートリッジの斜視図である。
【図36】いっぱいに満たされた状態におけるインク補給カートリッジの斜視図である。
【図37】分解した状態におけるインク補給カートリッジの斜視図である。
【図38】空の状態におけるインク補給カートリッジの断面図である。
【図39】いっぱいに満たされた状態におけるインク補給カートリッジの断面図である。
【図40】プリンタカートリッジに挿入するために位置合わせされているインク補給カートリッジを示す図である。
【図41】プリンタカートリッジに挿入されており、インクを注入する前のインク補給カートリッジを示す図である。
【図42】プリンタカートリッジに挿入されており、インクを注入した後のインク補給カートリッジを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク定着剤を含む定着材リザーバであって、前記定着材リザーバを少なくとも部分的に画成する壁区間内に形成された少なくとも1つの出口を有する、前記定着剤リザーバと、前記インク定着剤を印刷する指定ノズルを有するページ幅印字ヘッドとを備え、前記少なくとも1つの出口が前記指定ノズルと流体連通するように、前記定着剤リザーバが、前記壁区間の外部に少なくとも部分的に画成された流体導管を有する、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記ページ幅印字ヘッドが、前記指定ノズルを含むウェハ基板上に製造された細長いアレイ状のノズルであり、前記流体導管が、前記壁区間の前記外部の1つ以上の溝によって部分的に画成され、前記細長いアレイの長さだけ延びている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記定着剤リザーバ及び前記ページ幅印字ヘッドが、ユーザによって取外し可能で交換可能であるカートリッジである、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記ページ幅印字ヘッドが、前記プリンタを通る用紙経路に隣接するように、前記インクジェットカートリッジと取外し自在に係合するクレードルをさらに備えている、請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記カートリッジが、様々なタイプのインク用の複数のインクリザーバを有し、それぞれが、前記インクリザーバのそれぞれを前記ページ幅印字ヘッド上の対応するノズルに接続する個々のインク出口を有する、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記インクリザーバ及び前記定着剤リザーバが、一体成形部によって部分的に形成され、前記流体導管及び前記インク導管が前記一体成形部の外面に形成される、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記ページ幅印字ヘッドが、前記流体導管及び前記インク導管を部分的に画成するポリマーフィルムを使用して、前記インクジェットカートリッジに装着される、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項1】
インク定着剤を含む定着材リザーバであって、前記定着材リザーバを少なくとも部分的に画成する壁区間内に形成された少なくとも1つの出口を有する、前記定着剤リザーバと、前記インク定着剤を印刷する指定ノズルを有するページ幅印字ヘッドとを備え、前記少なくとも1つの出口が前記指定ノズルと流体連通するように、前記定着剤リザーバが、前記壁区間の外部に少なくとも部分的に画成された流体導管を有する、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記ページ幅印字ヘッドが、前記指定ノズルを含むウェハ基板上に製造された細長いアレイ状のノズルであり、前記流体導管が、前記壁区間の前記外部の1つ以上の溝によって部分的に画成され、前記細長いアレイの長さだけ延びている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記定着剤リザーバ及び前記ページ幅印字ヘッドが、ユーザによって取外し可能で交換可能であるカートリッジである、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記ページ幅印字ヘッドが、前記プリンタを通る用紙経路に隣接するように、前記インクジェットカートリッジと取外し自在に係合するクレードルをさらに備えている、請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記カートリッジが、様々なタイプのインク用の複数のインクリザーバを有し、それぞれが、前記インクリザーバのそれぞれを前記ページ幅印字ヘッド上の対応するノズルに接続する個々のインク出口を有する、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記インクリザーバ及び前記定着剤リザーバが、一体成形部によって部分的に形成され、前記流体導管及び前記インク導管が前記一体成形部の外面に形成される、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記ページ幅印字ヘッドが、前記流体導管及び前記インク導管を部分的に画成するポリマーフィルムを使用して、前記インクジェットカートリッジに装着される、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公開番号】特開2009−262573(P2009−262573A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163059(P2009−163059)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【分割の表示】特願2006−549766(P2006−549766)の分割
【原出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【分割の表示】特願2006−549766(P2006−549766)の分割
【原出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]