説明

インデックス付き固定アームを含む測定装置

【課題】より安定した休止位置を有する測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置は、指示部材4を有する第2端部2.2を備える、関節式アーム2の第1端部2.1が高い位置と低い位置との間で水平軸のまわりを枢動するように、搭載されたベース1を含む。位置固定装置が、ベースと第1端部との間に搭載され、位置固定装置が、低い位置に向かうアームの移動を阻止するように搭載された歯止めであって、歯止めの解除手段と結合された歯止めを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節式アームを含む測定装置に関するものである。このような測定装置は、たとえば品質管理運営の枠組みにおいて、たとえば部品の寸法を検証するのに用いられる。
【背景技術】
【0002】
フィーラまたはレーザビームエミッタなどの指示部材を備える第2端部を有する関節式アームの第1端部が、水平軸のまわりを枢動するように搭載されるベースを含む、公知の測定装置がある。アームの第2端部は、オペレータが、測定対象物の表面に対してフィーラを当てること、または測定対象物の一部分に向かってレーザビームエミッタを向けることを可能にする、操縦機ハンドルも備える。
【0003】
関節式アームは、一般的に、片側でベースと、他方で操縦機ハンドルおよび指示部材を運ぶ関節式リストを備える自由端部を有する第2セグメントと、関節でつながれた第1セグメントを含む。
【0004】
これらの測定装置では、関節式アームは、一般的に、第1セグメントがベースの一部分に対して当接して実質的に垂直に伸びる、および第2セグメントが第1セグメントに対して折りたたまれる、休止または不使用の安定した位置を有するように設計される。この位置では、セグメント、リスト、操縦機ハンドル、および指示部材を含むアセンブリの重心は、実質的にベースと垂直に並んで置かれ、ベースに対して当接した第1セグメントを維持する傾向があり、こうして前記アセンブリの安定性を確保する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、偶発的なアームへの衝撃は、その休止位置を離れることをもたらす危険性があり、そして、アームはその自重の効果のため傾き、アームが障害物にぶつかるまで下方への移動を開始する。このタイプの衝撃は、指示部材、アームの移動をガイドする部材、より一般的にはアーム全体としての構造の劣化につながることがある。
【0006】
ベースとアームの第1セグメントとの間に弾性シリンダを搭載して、アームの重量を補償することが公知である。このシリンダの付随効果は、休止位置におけるアームの安定性を強化することである。
【0007】
そして、アームが偶発的に傾く危険性は、低減されるが、それにもかかわらず、高いままである。
【0008】
この危険性をさらに低減するために、いくつかの測定装置は、シリンダのロッドの滑動を妨げるための部材を含む。アームが休止位置にあるため、スペーサがシリンダの本体とシリンダのロッドの自由端部との互いに向けての移動を阻止するとき、この固定部材は、シリンダのロッド上に係合する実質的にU字型の断面を有する着脱可能なスペーサの形態をとる。それにもかかわらず、スペーサを失う危険性が存在し、その場合、アームの固定はもはや可能ではなく、あるいは逆に、オペレータがアームに、その休止位置を離れることをもたらす傾向がある力を及ぼすとき、ロッド上のスペーサが離れる危険性が存在し、その場合、アームおよびスペーサは、それらを弱くする、または劣化さえさせる危険性がある応力を受ける。
【0009】
本発明の目的は、より安定した休止位置を有する測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目標のために、本発明は、高い位置と低い位置との間で水平軸のまわりを枢動するように、指示部材を備える第2端部を有する、関節式アームの第1端部が搭載される、ベースを含む、測定装置を提供する。位置固定装置が、ベースと第1端部との間に搭載され、位置固定装置が、低い位置に向かうアームの移動を阻止するように搭載された歯止めであって、歯止の解除手段と結合された歯止めを含む。
【発明の効果】
【0011】
したがって、歯止めは、定位置にあるアームを固定する単純および信頼できる手段を構成し、定位置にあるアームのインデックス付き固定を確保する。それが係合されたとき、歯止めは、低い位置に向かうアームの移動を阻止して、アームが落下することを防止し、およびこれがもたらすかもしれない劣化を防止する。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の、本発明の特定の非限定的な実施形態の説明を読むことにより明らかになるでだろう。
【0013】
添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】アームが高い休止位置にある、本発明の測定装置の斜視図である。
【図2】高い位置における、このアームの接片の部分斜視図である。
【図3】低い位置における、アームの接片の部分斜視図である。
【図4】歯止め装置を示す、アームの部分分解斜視図である。
【図5】歯止め装置の部分分解斜視図である。
【図6】アームの第1セグメントの曲がりを示す、概略立面図である。
【図7】トルクリミッタを示す部分断面図である。
【図8】歯止めを解除するためのアクチュエータの制御回路を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図を参照すると、本発明に従う測定装置は、一般的に2で称される関節式アームの第1端部2.1が低い位置と高い位置との間で水平軸Aのまわりを枢動するように、搭載されたベース1を含む。関節式アームは、指示部材4が固定される関節式リスト3を有する第2端部2.2を備える。
【0016】
より正確には、アーム2は、アーム2の第1端部2.1を形成する第1端部と、アーム2の第2端部2.2を形成する第2端部を有する第2セグメント5.2の第1端部と関節でつながれている第2端部と、を有する、第1セグメント5.1を含む。
【0017】
アーム2、ベース1、およびリスト3の関節の配置および構造は、それら自体で公知であり、ここでは詳細に説明しない。
【0018】
一般的に6で称される位置固定装置は、ベースと関節式アーム2の第1端部2.1との間に搭載される。
【0019】
より正確には、装置は、ベース1に強固に固定される固定部品7.1と、第1セグメント5.1の下に置かれ、水平軸Aのまわりを枢動する、固定部品7.1に搭載された可動部品7.2とを含む、関節式接片7を含む。ここで、固定部品7.1は、管状の形状を有し、ベース1上に螺合される。弾性シリンダ8は、部品7.1、7.2間に搭載され、第1セグメント5.1と接触して部品7.2を保持する傾向がある。関節式接片7は、ベース1に対して、アーム2の関節の高さで留め具を形成する。
【0020】
位置固定装置は、可動部品7.2とともに回転するように制限された、軸Aと同軸の歯車9と、固定部品7.1上に搭載されて、歯車の2つの歯の間に歯止めが係合して低い位置に向かうアーム2の移動を阻止する有効位置と、歯止め10が歯車9から外される非有効位置との間を移動可能な、歯止め10と、を含む。手動機械制御ボタン11が、その2つの位置の間で歯止め10を動かすために、固定部品上に搭載される。
【0021】
機械制御ボタン11は、歯止め10と記号13で表される機械的伝動チェーンによって結合された電気機械的アクチュエータ12であって、後者をその動作位置からその非動作位置へ動かすための電気機械的アクチュエータ12も含む、歯止め10の解除手段の一部を形成する。電気機械的アクチュエータ12は、今度は本線、アーム2の電源、またはバッテリのような電源22と接続される制御ユニット21と接続される。電気的制御ボタン14は、関節式アーム2の第2端部2.2上に搭載され、制御ユニット21と電気的に接続される。ここでは、電気機械的アクチュエータ12は、電磁アクチュエータ、たとえばソレノイド、ステッパモータ、またはリニアアクチュエータである。
【0022】
最後に、解除手段は、一般的に15で称されるトルクリミッタを含む。トルクデリミタ15は、歯車9に強固に締結される第1プレート16、および可動部品7.2に強固に締結される第2プレート17を含む。プレート16、17は、ベルヴィル(Belleville)ばね座金18によって互いを弾性的に担持する。プレート17はプレート16から突出するボールを受けるための筐体を含み、所定の閾値を超えたトルクがアームに及ばされ、そのため可動部品7.2に及ぼされ、歯止め10が歯車9と相互係合しているとき、ボールは、プレートをばね座金の力に逆らって一方を他方に押し戻すことで、その筐体を離れることができ、プレート16、17を互いに対して枢動させることを可能とする。
【0023】
力センサ19は、アーム2の第1セグメント5.1の近傍で可動部品7.2上に搭載され、警告部材20と結合される。警告部材20は、発光警報装置またはランプ、たとえば可聴式警報装置、またはアームの第2端部上に搭載される振動素子である。力センサ19は、可動部品7.2の屈曲を検出するために搭載される。代替として、センサ19は、可動部品7.2とセグメント5.1との間の距離の変化を測定するように適合されてもよい。
【0024】
アーム2が休止位置にあるとき(図1および2参照)、歯止め10の係合を命じるため、解除手段は、歯止め10の解除をもたらすように構成され、アーム2の高い休止位置を検知するためのセンサ23と接続される。同様に、所定の持続時間の間、アームが実質的に固定された位置を検出し、オペレータを解放するために、歯止め10を自動的に係合することを命じる備えがあってもよい。
【0025】
制御ユニット21はそれ自体で公知であり、たとえば、それ自体公知の方法でプログラムされたプロセッサを含み、上記の機能を提供する。
【0026】
もちろん、本発明は、説明された実施形態に限定されないが、請求項によって定義されるように本発明の分野内に入る任意の変形例を包含する。
【0027】
特に、解除手段は、説明されたものとは異なる構造を有してもよい;たとえば、解除手段は、ベース上に搭載され、アクチュエータと電気的に接続された手動制御ボタンを含む。制御ボタンが無線接続によってアクチュエータと接続されるならば、制御ボタンは、測定装置上、またはその外部の構成要素の上である任意の場所に搭載され得る。
【0028】
代替として、電気機械的アクチュエータは、圧電アクチュエータである。
【0029】
機械的伝動チェーンは、その単純な表現に低減されてもよい:リニアアクチュエータの出力ロッドは、歯止め10と直接結合されてもよい。
【0030】
トルクリミッタは、歯車と、歯車が搭載されるシャフトとの間に挟まれる摩擦リングを含んでもよく、摩擦リングは、所定の値未満の最大トルクを歯車に伝えるように適合される。
【0031】
制御ボタンのアクチュエータへの電気的接続は、有線または無線接続手段、たとえば赤外線または無線周波数接続手段等を含んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示部材を備える第2端部を有する、関節式アーム(2)の第1端部(2.1)が高い位置と低い位置との間で水平軸(A)のまわりを枢動するように、搭載されたベース(1)を含み、
位置固定装置が、ベースと第1端部との間に搭載され、位置固定装置が、低い位置に向かうアームの移動を阻止するように搭載された歯止めであって、歯止めの解除手段と結合された歯止めを含む、
ことを特徴とする、測定装置。
【請求項2】
解除手段が、歯止めを移動させる機械的伝動チェーンによって歯止めに結合された、電気機械的アクチュエータを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
解除手段が、アクチュエータと電気的に接続され、たとえばアームの第2端部に搭載された手動制御ボタンを含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
解除手段が、ベース上に搭載され、アクチュエータと電気的に接続された手動制御ボタンを含む、請求項3記載の装置。
【請求項5】
電気機械的アクチュエータが圧電アクチュエータである、請求項2記載の装置。
【請求項6】
電気機械的アクチュエータがソレノイド、ステッパモータ、またはリニアアクチュエータのような電磁アクチュエータである、請求項2記載の装置。
【請求項7】
解除手段が、トルクリミッタを含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
歯止めが、アームの第1端部と結合される歯車と協働するように、ベースと結合され、
トルクリミッタが、アームの第1端部と回転可能に結合された第1プレートと、歯車と回転可能に結合された第2プレートとを含み、
第1プレートと第2プレートとが、互いを弾性的に担持し、
一方のプレートが、他方のプレートから突出する少なくとも1つのボールを受けるための筐体を含むため、所定の閾値より大きいトルクがアームに及ぼされたとき、ボールはその筐体を離れることができ、互いに対するプレートの枢動を許容する、請求項7記載の装置。
【請求項9】
歯止めが、アームの第1端部と結合される歯車と協働するように、ベースと結合され、
トルクリミッタが、歯車と、歯リングが搭載されるシャフトとの間に挟まれる摩擦リングを含み、摩擦リングは、所定の値未満の最大トルクを歯車に伝えるように適合される、請求項7記載の装置。
【請求項10】
力センサが、第1端部に近接するアームのセグメント上に搭載され、警告部材と接続される、請求項1記載の装置。
【請求項11】
力センサが、アームのセグメントの変形を測定するように適合される、請求項10記載の装置。
【請求項12】
可動部品が、セグメントの下に、それと平行にセグメントから離れて置かれ、
センサが、可動部品とセグメントとの間に搭載されて、可動部品とセグメントとの間の距離の変化を検出する、請求項11記載の装置。
【請求項13】
警告部材が、以下の要素のうち少なくとも1つを含む:可聴式警報装置、発光警報装置、アームの第2端部上に搭載される振動素子、請求項10記載の装置。
【請求項14】
解除手段が、アームが不使用位置にあるとき歯止めを係合することを命じるため、歯止めの係合をもたらすように適合され、アームの所定の不使用位置を検出するためのセンサと結合される、請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107195(P2013−107195A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−251983(P2012−251983)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(512297206)
【氏名又は名称原語表記】HEXAGON METROLOGY SAS
【Fターム(参考)】