ウインドウシェード装置
【課題】対向する辺の長さが異なる異形のウインドウをシェードで隙間無く遮蔽し、かつシェードをコンパクトに収納する。
【解決手段】異形のウインドウの形状を備えたそれぞれ第1及び第2巻取シャフトに巻き付けた第1及び第2シェード10a、10bを用いる。第1及び第2シェード10a、10bは、第1及び第2巻取シャフトから縦方向に引き出される際に、同時に横方向に摺動展開する。第1及び第2シェード10a、10bの隣接端部近傍は、常時重なった状態を維持する。
【解決手段】異形のウインドウの形状を備えたそれぞれ第1及び第2巻取シャフトに巻き付けた第1及び第2シェード10a、10bを用いる。第1及び第2シェード10a、10bは、第1及び第2巻取シャフトから縦方向に引き出される際に、同時に横方向に摺動展開する。第1及び第2シェード10a、10bの隣接端部近傍は、常時重なった状態を維持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆うウインドウシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウインドウシェード装置、例えば車両用のウインドウシェード装置は、ウインドウの下縁部に沿って配設された巻取シャフトと、前記巻取シャフトに巻取られたシェードとを備えている。巻取シャフトから引出されたシェードがウインドウを遮蔽するようになっている。
【0003】
ところで、ウインドウの側縁部がウインドウの下縁部に対して傾斜している場合、シェードの引出度合に応じて、シェードの側縁部とウインドウの側縁部間の距離が変動する。このため、シェードの引出度合によっては、シェードの側縁部とウインドウの側縁部との間に隙間が生じる。
そこで、その隙間が生じないようにするため、ブラインド(シェード)の引き出しに応じて巻取軸(巻取シャフト)をそのシャフト方向に沿って移動させる窓ブラインド(ウインドウシェード装置)が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたウインドウシェード装置では、巻取シャフトに形成されたネジ孔にネジを螺合させることによって、巻取シャフトが回転可能に支持されている。そして、シェードの引き出しに応じて巻取シャフトが回転すると、ネジとネジ孔との螺合構造によって巻取シャフトがそのシャフト方向に沿って移動する。これにより、シェードの引出度合に応じて巻取シャフトをそのシャフト方向に沿って移動させて、シェードの側縁部とウインドウの側縁部との隙間をなるべく小さくするようにしている。
しかし、特許文献1に記載されたシェードは、遮蔽対象物である風防ガラスを並置したシェードで遮蔽したときに、その中央部分に隙間ができるものであり、その隙間を遮蔽するには方形のブラインドを別途備えなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−16284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、互いに対向する二辺の長さが異なる異形のウインドウを二つのシェードで遮蔽することを目的とするもので、従来のように中間に隙間を生じることがなくウインドウを遮蔽できると共に、収納時には長さの短いウインドウ辺に合わせて縮小した長さにコンパクトに収納できるウインドウシェード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆うウインドウシェード装置であって、第1シェードと、第1シェードの先端に取り付けられる第1ステイと、第1シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第1巻取シャフトと、第1巻取シャフトを回転可能に支持し、第1シェードを引き出し又は収納可能な第1シェード装置と、第2シェードと、第2シェードの先端に取り付けられる第2ステイと、第2シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第2巻取シャフトと、第2巻取シャフトを回転可能に支持し、第2シェードを引き出し又は収納可能で第1シェード装置の長手方向に沿って配置される第2シェード装置と、からなり、第1ステイ及び第2ステイが各シェード装置に対して同時に引き出し又は収納される操作ステイと、第1シェード及び第2シェードを、その一部が常時重なった状態を維持しつつ、引き出すときはその幅が拡張し収納するときは縮小するように、第1及び第2シェードの少なくとも一方を、当該シェードに係るシェード装置の長手方向において他方に対して摺動可能にする案内機構と、を備えたことを特徴とするウインドウシェード装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作ステイの引き出し又は収納に応じて第1及び第2シェードが縦横に拡縮し、その際、前記シェードの隣接側部分は常時重なった状態に維持されるため、例えば任意の形状の異形のウインドウであっても隙間無く遮蔽することができ、また、コンパクトに収納できるため収納スペースを縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】二枚のシェードで異形のウインドウを遮蔽した状態の本発明の実施形態に係る車両用のウインドウシェード装置の正面図である。
【図2】引き出し又は収納途中段階における図1のウインドウシェード装置の正面図である。
【図3】ウインドウを完全に開放した収納位置における図1のウインドウシェード装置の正面図である。
【図4】第1シェードの上端部を示す一部拡大斜視図である。
【図5】図5Aは第1シェード装置の平面図であり、一部を断面で示している。図5Bは図5Aの一部拡大図、図5Cは第1シェード装置の側面図である。
【図6】第1シェード装置の第1案内機構を一端側からみた斜視図である。
【図7】図7Aは、第2シェード装置の平面図でありその案内機構を断面で示している。図7Bは第2シェード装置の側面図である。
【図8】図8Aはウインドウを遮蔽した状態における第2シェード装置の平面図であり、図8Bはその側面図である。
【図9】図9はウインドウを遮蔽した状態における第2シェード装置の要部の斜視図である。
【図10】操作ステイの変形例についてその一部を示す斜視図である。
【図11】シェードを収納した状態における図10の操作ステイの正面図である。
【図12】シェードを中間位置に引き出した状態における図10の操作ステイの正面図である。
【図13】シェードでウインドウの開口を完全に遮蔽した状態における図10の操作ステイの正面図である。
【図14】対向するシュード間に生じる隙間を抑制するための具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のウインドウシェード装置の実施形態について図面を参照して説明する。
ここでは、まず、本実施形態の車両用のウインドウシェード装置を例に採ってその全体構造と動作について概略説明し、その後細部の構造について説明する。
図1は、二枚のシェード10a、10bで異形のウインドウ1を遮蔽した状態の車両用のウインドウシェード装置、図2は引き出し又は収納途中段階におけるウインドウシェード装置、図3はウインドウ1を完全に開放した収納位置におけるウインドウシェード装置のそれぞれ正面図である。
【0011】
図1において、車両用のウインドウ1は、上部が長く、下部は短く、かつ上部と下部を連結する側部が屈曲した、通常の矩形のウインドウとは異なる異形の形状である。このウインドウ1の下部近傍に本実施形態に係るウインドウシェード装置2が配設されている。
ウインドウシェード装置2は、図中左右の第1シェード10a及び第2シェード10bに対応して第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bとから成っている。
【0012】
第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bは、それぞれ第1シェード10a及び第2シェード10bの上部に装着したそれぞれ第1ステイ12aと第2ステイ12bと、展開した第1シェード10a及び第2シェード10bを巻き取るための第1巻取シャフト20a及び第2巻取シャフト20bを備えている。
ここでは、第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bは、第1ステイ12aと第2ステイ12bに共通に取り付けられ第1及び第2シェード装置2a、2bを操作する一つの操作ステイ14aで相互に連結されてウインドウシェード装置を構成している。
【0013】
第1及び第2シェード10a、10bは、二枚が組合わさって上記ウインドウ1の開口部分を覆う大きさ及び形状に形成されており、図中左右端側101a、101bはウインドウ1の屈曲した形状に合わせた形状に形成されていると共に、その中央側の端部102a、102bは上下方向に直線状に形成されている。
【0014】
第1及び第2シェード10a、10bの前記中央側端部102a、102b近傍は互いに重なるように配置されており、第1シェード10a及び第2シェード10bの展開中及び展開後においても両者の間に隙間ができないようにしている。
なお、第1及び第2シェード10a、10bは、メッシュ状の布、樹脂シート等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状の部材でありそれ自体は周知である。また、本ウインドウシェード装置2は、ウインドウ1を遮蔽した状態で、操作ステイ14aを車体に設けたフックなどに掛止することで展開状態を維持する。
【0015】
図2の状態は、ウインドウシェード装置2の引き出し途中段階を示す。この状態では第1シェード10a及び第2シェード10bは横方向に移動中である。なお、展開した第1及び第2シェード10a、10bを収納するときは以上の説明とは逆に、展開した第1シェード10a及び第2シェード10bは第1及び第2巻取シャフト20a、20bに巻き取られるにしたがって横方向が縮小する。
【0016】
図3に示す第1及び第2シェード10a、10bの収納時においては、第1及び第2シェード10a、10bは第1及び第2巻取シャフト20a、20bに巻き取られ、ウインドウ1の下部近傍に配置された収納ボックス内に収納されており、操作ステイ14aが露出する。
第1及び第2シェード10a、10bは、この状態から操作ステイ14aを引き上げることで、第1及び第2巻取シャフト20a、20bから巻き戻されると共に、後述する案内機構により、同時に引違戸のように左右に摺動されて展開する。
【0017】
次に、本ウインドウシェード装置2を構成する第1及び第2シェード装置2a、2bのうち、第1シェード装置2aを例にとり、その構造について説明する。
図4は、第1シェード10aの上端部を示す一部拡大斜視図である。
なお、第1シェード10aの上端部の構造と第2シェード10bの上端部の構造とは同じなので、第2シェード10bの上端部については、この説明を援用する。
第1シェード10aの上部には第1ステイ12aが例えば鋲、接着などの任意の手段で一体に固着されており、第1ステイ12aには、その上部適所に取付部材120が一体に取り付けられている。取付部材120は、合成樹脂製で図示のように断面略T字状のブロックで形成されており、第1ステイ12aと連結される下部ブロック121と、操作ステイ14aと移動可能に装着される上部ブロック122とから成っている。
【0018】
操作ステイ14aは、ここでは第1ステイ12aと第2ステイ12bに共通する下面が平坦な筒型をなし、その下面にはスリット142を挟んでその両側に形成された平坦なガイド面141がその長手方向に形成されている。他方、取付部材120の上部ブロック122には、操作ステイ14aの前記ガイド面141上を転動する転動ローラ123が装着されている。
【0019】
ここで、取付部材120(120a、120b)と第1ステイ12a及び第2ステイ12bとの取付位置は、第1シェード10aと第2シェード10bが前記ガイド面141上を引違戸のように左右に自由に摺動できるよう、互いに干渉しない距離だけ幅方向(ウインドウ1の内外方向)にずらして配置されている。即ち、第1ステイ12a及び第2ステイ12bのそれぞれウインドウ1の中央側の取付部材(第1ステイの第2ステイ側の取付部材と第2ステイの第1ステイ側の取付部材)120a、120bは、例えば図3に示すように第1ステイ12a及び第2ステイ12bがウインドウの側部に向かって移動するときは互いに接近し、その側部から離れるときは互いに離隔するよう互い違いに配置されている。
【0020】
次に、ウインドウシェード装置2を構成する第1及び第2シェード装置2a、2bの案内機構について説明する。
既に説明したように、第1及び第2シェード10a、10bは、操作ステイ14aを引き上げることにより、第1及び第2シェード装置2a、2bのそれぞれの巻取シャフト20a、20bから巻き戻されるのと同時に、ウインドウ1の側部1a、1bに向かって摺動されて展開する。ここで案内機構は、第1及び第2のシェード10a、10bの巻き上げに伴ってそれらを横方向に摺動させる機構である。
この第1及び第2シェード10a、10bの横方向に摺動させる案内機構は、本実施形態では、第1シェード装置2aと、第2シェード装置2bとでそれぞれ異なる構成のものが採用されている。
以下、第1及び第2シェード装置2a、2b、第1及び第2案内機構4a、4bについて説明する。
【0021】
(第1シェード装置2a、第1案内機構4a)
図5Aは第1シェード装置2aの平面図であり、一部をその断面で示している。図5Bは図5Aの一部拡大図、図5Cは第1シェード装置2aの側面図である。
第1シェード装置2aには、第1シェード装置2aを後述するガイド面に沿って移動させる第1案内機構4aが付加されている。
【0022】
第1シェード装置2は、図5Aに示すように、第1巻取シャフト20aと、第1巻取シャフト20aの一端側から挿入されて第1巻取シャフト20aの一端を回転可能に支持する支持シャフト31と、第1巻取シャフト20a内において支持シャフト31と対向して第1巻取シャフト20aの中央側に配設されたバネ連結部材32と、一端が支持シャフト31に、また他端がバネ連結部材32に取り付けられたコイルバネ33と、第1巻取シャフト20aを回転可能に支持する構造とから成っている。なお、支持シャフト31は、シャフト支持部31aと共に合成樹脂によって一体に成形されている。
【0023】
第1シェード装置2aに付加された第1案内機構4aは、第1シェード装置2aの一方の側部に隣接して配置されており、図5Bに示すように、第1シェード装置2aの歯車支持シャフト36の一端部に、取付用カラー35を介して取り付けた第1傘歯車37と、第1傘歯車37と噛合する第2傘歯車38と、第2傘歯車38と同軸に取り付けられ、ラック40と噛合する後述するピニオン39から成っている。
なお、バネ連結部材32は、その周面に第1巻取シャフト20aの長手方向に延びたスプライン溝が設けられており、このスプライン溝に第1巻取シャフト20aの内周面にその長手方向に形成された突条部(図示せず)が嵌合することで、第1巻取シャフト20aに対して回り止めされている。
【0024】
ここで、再び図5Aにおいて、車体に取り付けられた第1シェード装置2aの支持枠50の上面はガイド面51であり、ガイド面51の長手方向にガイド溝52が設けられている。前記ガイド面51上には第1シェード装置2aが摺動可能に載置されている。
【0025】
また、ガイド溝52には、第1シェード装置2aの支持シャフト31と一体に形成された側面視略L字状シャフト支持部31aの底面から下方に突設した案内片31b(図6)が挿入されており、この案内片31bは第1シェード装置2aがガイド面51を摺動する際にその摺動を案内する。
【0026】
図5Cに示すように、前記支持枠50のガイド面51に隣接して、支持枠50に対して案内部材41が、第1シェード装置2aに対して平行に固着されており、案内部材41にはその上面に前記ラック40を備えられている。
【0027】
図6は、第1シェード装置2aの第1案内機構4aを一端側からみた斜視図である(但し、第1案内機構4a及びラック40の配置は逆になっている)。
図示のように、第2傘歯車38の回転軸の他端に取り付けられたピニオン39は、支持枠50の前記案内部材41に設けたラック40と噛合している。ここでラック40の長さは、第1巻取シャフト20aを移動させたい長さに合わせて任意に決定する。
【0028】
次に、以上で説明した第1シェード装置2aの動作について説明する。
図3において、第1シェード10aの収納状態で、操作ステイ14aを持ち上げると、これに連結された第1ステイ12aを介して第1巻取シャフト20aに巻回された第1シェード10aが巻き戻されて上方に引き出される。この第1シェード10aの引き出しに伴い、図5Aに示すように、一端側が支持シャフト31に、また、他端側が歯車支持シャフト36を介してギヤボックス34で軸支された第1巻取シャフト20aが回転する。
【0029】
第1巻取シャフト20aが回転すると、図5Bに示すように、歯車支持シャフト36、及びその端部に装着固定された第1傘歯車37、それに噛合する第2傘歯車38が回転し、第2傘歯車38の回転軸の他端側に取り付けられたピニオン39が回転する。ここで、既に述べたように、ピニオン39は第1シェード装置2aを支持する支持枠50に固着された案内部材41のラック40と噛合しているため、ピニオン39はラック40上を走行し、ピニオン39と一体の第1シェード装置2aは、ピニオン39の回転にしたがってガイド面51上を摺動する。
つまり、第1シェード装置2aは、第1シェード10aの引き出しに伴い、前記ガイド面51上を図2において左方向、つまりウインドウ1の左側側部1a方向に摺動する。
【0030】
また、これと同時に、一端を固定された支持シャフト31に、また他端を第1巻取シャフト20aに回り止めされたバネ連結部材32に取り付けられたコイルバネ33は、一端と他端の相対回転に伴って捻られていく。なお、展開後はこのコイルバネ33の捻れの復元力で、第1シェード10aを巻取ることができる。
第1シェード装置2aの第1シェード10aは以上のように引き出し及び巻き込みが行われ、ウインドウ1の左側部分を遮蔽及び開放する。
【0031】
(第2シェード装置2b、第2案内機構4b)
図7Aは、第2シェード装置2bの平面図でありその第2案内機構4bを断面で示している。図7Bは第2シェード装置2bの側面図である。
第2巻取シャフト20bは、第1巻取シャフト20aと同様に、金属等で形成された筒部材に形成されている。なお、第2巻取シャフト20bの内周部には、その長手方向に沿って延びる図示しない突条部が形成されている。
【0032】
第2シェード装置2bは、図7Aに示すように、第2巻取シャフト20bと、第2巻取シャフト20bの一端内部に固着されたネジ付き軸受61と、その他端内部に固着された軸受64と、前記支持枠50に取り付けられたシャフト支持部60aに一体に形成され、ネジ付き軸受61に係合して第2巻取シャフト20b中の一端部から挿入されその中心方向に延在するネジ付きシャフト60と、第2巻取シャフト20b中においてネジ付きシャフト60の延在方向端部よりもさらに内部に装着されたバネ連結部材62と、第2巻取シャフト20bの他端に挿入された付勢側支持シャフト63との間に装着された第2コイルバネ65から成っている。
なお、付勢側支持シャフト63は合成樹脂製でシャフト支持部63aと一体に形成されている。
【0033】
第2シェード装置2bの第2案内機構4bは、図7Aに示すように、前記ネジ付きシャフト60とネジ付き軸受61で構成されている。
【0034】
第2巻取シャフト20bは、一端側がネジ付きシャフト60に対して、ネジ付き軸受61を介して回転可能に支持されている。また、その他端側は、支持枠50に取り付けられたシャフト支持部63aと一体に形成された付勢側支持シャフト63に、軸受64を介して回転可能に支持されている。
【0035】
ネジ付きシャフト60は、図7Aに示すようにその外周の長手方向にネジ部が形成されている。ネジ部の長さは、第2巻取シャフト20bを移動させたい任意の長さであり、かつその中心軸に沿って中心穴60bが貫通形成されている。この中心穴60bに鉄、鋼鉄等の金属製の補強シャフトを挿通してその強度向上を図ることができる。
【0036】
ネジ付きシャフト60は中心穴60bの部分において、その厚みを小さくすることで、成形における樹脂ヒケ(成型品表面に位置する樹脂が内部の溶融状態の樹脂の体積収縮に伴い引っ張られて、成形品の表面に凹痕が生じる)を防止して、ネジ部の形状の精度を高めることができる。中心穴60bの直径は、樹脂を加工する際の精度上、ネジ付きシャフト60に対して好ましいとされる厚み等に応じて設定される。なお、中心穴60bは、円孔である必要はなく、角穴等であってもよい。
【0037】
ネジ付き軸受61の内周面(軸受面)には、ネジ付きシャフト60のネジと螺合するネジ溝が形成されている。また、ネジ付き軸受61の外周面には、その軸方向に沿ってスプライン溝が形成されており、ネジ付き軸受61を第2巻取シャフト20bの一端部内に挿入したとき、第2巻取シャフト20bの内周面の突条が前記スプライン溝に嵌り込み、ネジ付き軸受61が第2巻取シャフト20bに対して回転止めされる。
【0038】
また、ネジ付き軸受61の一端部には、ネジ付き軸受61を第2巻取シャフト20bの一端部内に挿入したとき、第2巻取シャフト20bの一端側開口部に当接してネジ付き軸受61の位置決めをする鍔部61aが形成されている。
【0039】
第2巻取シャフト20bの他端部には、付勢側支持シャフト63を回転可能に支承する軸受64が装着されている。この軸受64の外周面にも、スプライン溝(図示せず)が形成されており、このスプライン溝に長手方向に第2巻取シャフト20bの内周面にその長手方向に形成された突条部(図示せず)が嵌合することで、軸受64は第2巻取シャフト20bに対して回転止めされている。なお、この軸受64の一端部にも鍔部64aが形成されており、鍔部64aは、軸受64が第2巻取シャフト20bの他端部内に挿入されたとき、第2巻取シャフト20bの他端側開口部に当接して軸受64を位置決めする。
【0040】
付勢側支持シャフト63は、適宜の合成樹脂によってシャフト支持部63aから突出して一体に形成されており、その中心軸に沿って中心穴63bが貫通形成されている。また、その外周面は、第2巻取シャフト20bが摺動する際のガイド面となるよう平滑面となっている。
なお、この付勢側支持シャフト63の中心穴63b内に、ネジ付きシャフト60と同様に、鉄、鋼鉄等の金属製の補強シャフトを挿通してその強度向上を図ることができる。
【0041】
付勢側支持シャフト63の一端部にはコイルバネ65の一端部が連結されている。即ち、コイルバネ65の一端部のL字状部分の先端部が、付勢側支持シャフト63の先端部に形成された孔に挿通されており、これによりコイルバネ65の一端部が付勢側支持シャフト63の先端部に相対回転不能に連結されている。
【0042】
また、コイルバネ65の他端部のL字状部分の先端部はバネ連結部材62の孔に挿通されて連結されている。バネ連結部材62は既に述べたように第2巻取シャフト20b内で回転止され、コイルバネ65の他端部は第2巻取シャフト20bと相対回転不能である。
【0043】
したがって、固定された付勢側支持シャフト63に対して第2巻取シャフト20bを回転すると、第2巻取シャフト20bと共にバネ連結部材62も回転し、これにより、付勢側支持シャフト63とバネ連結部材62との間でコイルバネ65が捻られる。このコイルバネ65の捻れの復元力で、第2シェード10bを巻取ることができる。
【0044】
次に、以上のように構成された第2案内機構4bの動作について説明する。
図2において、第2シェード10bの収納状態で、操作ステイ14aを持ち上げると、これに連結された第2ステイ12bを介して第2巻取シャフト20bに巻回された第2シェード10bが巻き戻されて上方に引き出される。
【0045】
第2シェード10bが引出されると、この引出しに伴って第2巻取シャフト20bが回転する。この回転により第2巻取シャフト20bのネジ付き軸受61がネジ付きシャフト60の回りで回転し、その回転に伴い、コイルバネ65を捻りながら第2巻取シャフト20b、つまり第2シェード10bが一方の側部1bに向かって移動する。そして、第2巻取シャフト20bが一方の側部1bに達し、シャフト支持部63a近傍に位置すると、第2シェード10bは、ウインドウ1の右側全体を覆う。
【0046】
図8Aはこの状態における第2シェード装置2bの平面図であり、図8Bはその側面図、図9は第2シェード装置2bの要部の斜視図である。
即ち、第2巻取シャフト20bのネジ付き軸受61は、ネジ付きシャフト60でネジ送りされて図7A中右方に移動して、それに伴い第2巻取シャフト20bがその軸受64が外嵌する付勢側支持シャフト63周面上を滑動して、図8Aに示すように、その端部が付勢側支持シャフト63のシャフト支持部63aに隣接した位置に達している。
【0047】
また、既に述べたように、第2案内機構4bによる第2シェード10bの前記動作中、第2巻取シャフト20bに相対回転不能に取付けられたバネ連結部材62と付勢側支持シャフト63との間でコイルバネ65が捻られる。
したがって、上記第2シェード10bを引出す力を解除すると、第2巻取シャフト20bは、第2シェード10bを巻取る方向に回転し、同時に、第2巻取シャフト20bは上記とは逆方向に移動して、収納状態に戻る。
【0048】
なお、第1及び第2巻取シャフト20a、20bは、図示しない筒状の収納ケース(図14)内に収容される。収納ケースは、そのー側部にはスリットが形成されており、第1及び第2シェード10a、10bは、この引出用スリットを通じて引き出し(巻き戻し)及び巻き取りが行われ、第1及び第2シェード10a、10bが完全に巻取られた状態で、第1及び第2ステイ12a、12bが引出用スリットの開口部或はその内部に配設される。
【0049】
以上、本実施形態の第1及び第2シェード装置2a、2bの第1及び第2案内機構及びその動作について説明したが、第1及び第2シェード装置2a、2bにおける第1及び第2シェード10a、10bは共通の操作ステイ14aによって同時に操作される。
つまり、操作ステイ14aを持ち上げることにより、第1シェード装置2aでは、第1シェード装置2a自体がウインドウ1の側部1aに向かって摺動し、かつ、第2シェード装置2bでは巻取シャフト20bのみが反対側のウインドウ1の側部1bに向かって摺動する。それによって、第1及び第2シェード10a、10bが上方に展開しながら引違戸のように左右に広がりウインドウ1の開口を遮蔽する。
【0050】
したがって、第1及び第2シェード10a、10bは、ウインドウ1の側部1a、1bに対応する端部の形状を異形のウインドウ1の側部に合致した形状にすることで、どのような形状にも対応可能である。
また、本実施形態のウインドウシェード装置は、第1及び第2シェード10a、10bをウインドウ1の対向する2辺のうち、短い辺に合わせたコンパクトな形状に収納できるため、とくに、車内のように限定された場所に取り付ける場合有利である。
なお、本発明は車両用にとくに限定されるものではなく、一般のウインドウに適用できることは云うまでもない。
【0051】
また、以上で説明した第1及び第2シェード装置の細部構造もこれに限定されるものではなく適宜変更することが可能である。
例えば、操作ステイ14aは一つの筒状体で構成しているが、これを入れ子式に配置して伸縮可能にした複数の筒状体(部材)で構成してもよい。
図10〜13はこの操作ステイ14bを示す図である。即ち、図10はその要部斜視図、図11はシェードを収納した状態における操作ステイ14bの正面図、図12はシェードを中間位置に引き出した状態、及び図13は、シェードでウインドウ1の開口を完全に遮蔽した状態における操作ステイ14bの伸張の状態を示している。
【0052】
この操作ステイ14bでは、第1ステイ12a及び第2ステイ12bは、伸縮するそれぞれの部材(操作ステイ)145a、145bに一体に設けた取付部145cに直接取り付けられる。この場合、少なくとも、第1ステイ12aの反第2ステイ12b側の取付部145cと、第2ステイ12bの反第1ステイ12a側の取付部材は145c、操作ステイ145a、145bの両端にそれぞれ固定される。
既に説明した操作ステイ14aでは、操作ステイ14aのガイド面141を第1ステイ12a及び第2ステイ12bのローラ123が転動する構造であるため、摺動は極めてスムーズであるが、操作中にローラ123と前記ガイド面141に隙間が生じると引き出し又は巻き込み中に若干ガタつくことがある。これに対し、この操作ステイ14bは、第1ステイ12a及び第2ステイ12bに直結されているため、伸縮時に操作ステイ14aに比べた場合は若干抵抗があるが、引き出し又は巻き込み中に第1ステイ12a及び第2ステイ12bがガタつくことはない。
また、操作ステイと第1、第2ステイをユーザが取り外しできる構成にすることで、例えばウインドウ1の一部のみを覆うように一方のシェードのみを使用することができる。したがって、本発明はこのような操作ステイも包含する。
【0053】
以上の実施形態では、ウインドウシェード装置2は、それぞれ構成が異なる第1シェード装置2aと第2シェード装置2bを組み合わせて構成したものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。
ウインドウシェード装置2は、第1シェード装置2a同士を組み合わせて、2枚のシェードを展開摺動する構成とすることも、或いは第2シェード装置2b同士を組み合わせて、2枚のシェードを展開摺動する構成とすることもできる。
また、以上の実施形態では、第1シェード装置2aと第2シェード装置2bがいずれも横方向に摺動するものとして説明したが、必ずしもこの構成に限定されない。ウインドウの形状によっては、いずれか一方のみが摺動して、両者が横方向に相対的に移動可能とすることもできる。その場合、当然のことながら他方のシェード装置に案内機構は不要である。
【0054】
なお、本実施形態において、第1及び第2シェード10a、10bが引違戸の召し合わせ部のように常にその一部を重ねて配置されていることは既に説明したが、本実施形態のように、ウインドウを遮蔽するのに独立した二つのシェード装置2a、2bの二つの第1及び第2シェード10a、10bを組み合わせて用いる場合、第1及び第2シェード10a、10b間の隙間は並べて配置したシェード間だけではなく、重ねた場合にその重ね合わせて対向配置したシェード間においても発生する。
この場合、シェード間の重ね代(幅)にもよるが、これが小さい場合は対向配置したシェード間の隙間も無視できない。
そこで、次に、第1及び第2シェード10a、10bが重ね合わさった部分に生じるウインドウの内外方向の隙間の抑制対策について説明する。
【0055】
図14Aは、前記隙間を抑制するための具体例を説明する図である。
ここでは、第1及び第2シェード10a、10b間における前記隙間を少なくするため、第1シェード装置及び第2シェード装置は、収納ケースC内においてそれぞれ第1及び第2シェード10a、10bの引き出し方向、ここでは上下に配置し、第1及び第2巻取シャフト20a、20bのそれぞれのシェード10a、10bの引き出し位置を同じ方向に合わせて、即ち、第1及び第2シェード10a、10bを、第1及び第2巻取シャフト20a、20bの同じ側で引き出し又は巻き取りを行う。
この第1及び第2巻取シャフト20a、20bの配置構成により、第1及び第2シェード10a、10bを展開中及び展開状態において、常に極めて接近した位置に維持することができる。
したがって、前記隙間を抑制することができる。
【0056】
図14Bは、前記隙間を抑制するための他の具体例を説明する図である
ここでは、第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bを収納ケースC内において第1及び第2巻取シャフト20a、20bの引き出し方向と垂直方向に並べて配置し、かつ各巻取シャフト20a、20bの引き出し位置を対向させて近接配置している。この場合も第1及び第2シェード10a、10bは、展開中及び展開状態において常に接近した位置に維持されるため、前記隙間が抑制される。
【符号の説明】
【0057】
1・・・ウインドウ、2・・・ウインドウシェード装置、2a、2b・・・第1及び第2シェード装置、4a、4b・・・第1及び第2案内機構、10a、10b・・・第1及び第2シェード、12a、12b・・・第1及び第2ステイ、14a、14b・・・操作ステイ、20a、20b・・・第1及び第2巻取シャフト、31・・・支持シャフト、32・・・バネ連結部材、33・・・コイルバネ、34・・・ギヤボックス、35・・・取付用カラー、36・・・歯車支持シャフト、37・・・・第1傘歯車、38・・・第2傘歯車、39・・・ピニオン、40・・・ラック、41・・・案内部材、50・・・支持枠、51・・・ガイド面、52・・・ガイド溝、60・・・ネジ付きシャフト、61・・・ネジ付き軸受、63a・・・シャフト支持部、62・・・バネ連結部材、63・・・付勢側支持シャフト、64・・・軸受、65・・・コイルバネ、60b・・・中心孔、63b・・・中心孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のウインドウを遮蔽及び開放可能に覆うウインドウシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウインドウシェード装置、例えば車両用のウインドウシェード装置は、ウインドウの下縁部に沿って配設された巻取シャフトと、前記巻取シャフトに巻取られたシェードとを備えている。巻取シャフトから引出されたシェードがウインドウを遮蔽するようになっている。
【0003】
ところで、ウインドウの側縁部がウインドウの下縁部に対して傾斜している場合、シェードの引出度合に応じて、シェードの側縁部とウインドウの側縁部間の距離が変動する。このため、シェードの引出度合によっては、シェードの側縁部とウインドウの側縁部との間に隙間が生じる。
そこで、その隙間が生じないようにするため、ブラインド(シェード)の引き出しに応じて巻取軸(巻取シャフト)をそのシャフト方向に沿って移動させる窓ブラインド(ウインドウシェード装置)が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたウインドウシェード装置では、巻取シャフトに形成されたネジ孔にネジを螺合させることによって、巻取シャフトが回転可能に支持されている。そして、シェードの引き出しに応じて巻取シャフトが回転すると、ネジとネジ孔との螺合構造によって巻取シャフトがそのシャフト方向に沿って移動する。これにより、シェードの引出度合に応じて巻取シャフトをそのシャフト方向に沿って移動させて、シェードの側縁部とウインドウの側縁部との隙間をなるべく小さくするようにしている。
しかし、特許文献1に記載されたシェードは、遮蔽対象物である風防ガラスを並置したシェードで遮蔽したときに、その中央部分に隙間ができるものであり、その隙間を遮蔽するには方形のブラインドを別途備えなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−16284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、互いに対向する二辺の長さが異なる異形のウインドウを二つのシェードで遮蔽することを目的とするもので、従来のように中間に隙間を生じることがなくウインドウを遮蔽できると共に、収納時には長さの短いウインドウ辺に合わせて縮小した長さにコンパクトに収納できるウインドウシェード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆うウインドウシェード装置であって、第1シェードと、第1シェードの先端に取り付けられる第1ステイと、第1シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第1巻取シャフトと、第1巻取シャフトを回転可能に支持し、第1シェードを引き出し又は収納可能な第1シェード装置と、第2シェードと、第2シェードの先端に取り付けられる第2ステイと、第2シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第2巻取シャフトと、第2巻取シャフトを回転可能に支持し、第2シェードを引き出し又は収納可能で第1シェード装置の長手方向に沿って配置される第2シェード装置と、からなり、第1ステイ及び第2ステイが各シェード装置に対して同時に引き出し又は収納される操作ステイと、第1シェード及び第2シェードを、その一部が常時重なった状態を維持しつつ、引き出すときはその幅が拡張し収納するときは縮小するように、第1及び第2シェードの少なくとも一方を、当該シェードに係るシェード装置の長手方向において他方に対して摺動可能にする案内機構と、を備えたことを特徴とするウインドウシェード装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作ステイの引き出し又は収納に応じて第1及び第2シェードが縦横に拡縮し、その際、前記シェードの隣接側部分は常時重なった状態に維持されるため、例えば任意の形状の異形のウインドウであっても隙間無く遮蔽することができ、また、コンパクトに収納できるため収納スペースを縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】二枚のシェードで異形のウインドウを遮蔽した状態の本発明の実施形態に係る車両用のウインドウシェード装置の正面図である。
【図2】引き出し又は収納途中段階における図1のウインドウシェード装置の正面図である。
【図3】ウインドウを完全に開放した収納位置における図1のウインドウシェード装置の正面図である。
【図4】第1シェードの上端部を示す一部拡大斜視図である。
【図5】図5Aは第1シェード装置の平面図であり、一部を断面で示している。図5Bは図5Aの一部拡大図、図5Cは第1シェード装置の側面図である。
【図6】第1シェード装置の第1案内機構を一端側からみた斜視図である。
【図7】図7Aは、第2シェード装置の平面図でありその案内機構を断面で示している。図7Bは第2シェード装置の側面図である。
【図8】図8Aはウインドウを遮蔽した状態における第2シェード装置の平面図であり、図8Bはその側面図である。
【図9】図9はウインドウを遮蔽した状態における第2シェード装置の要部の斜視図である。
【図10】操作ステイの変形例についてその一部を示す斜視図である。
【図11】シェードを収納した状態における図10の操作ステイの正面図である。
【図12】シェードを中間位置に引き出した状態における図10の操作ステイの正面図である。
【図13】シェードでウインドウの開口を完全に遮蔽した状態における図10の操作ステイの正面図である。
【図14】対向するシュード間に生じる隙間を抑制するための具体例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のウインドウシェード装置の実施形態について図面を参照して説明する。
ここでは、まず、本実施形態の車両用のウインドウシェード装置を例に採ってその全体構造と動作について概略説明し、その後細部の構造について説明する。
図1は、二枚のシェード10a、10bで異形のウインドウ1を遮蔽した状態の車両用のウインドウシェード装置、図2は引き出し又は収納途中段階におけるウインドウシェード装置、図3はウインドウ1を完全に開放した収納位置におけるウインドウシェード装置のそれぞれ正面図である。
【0011】
図1において、車両用のウインドウ1は、上部が長く、下部は短く、かつ上部と下部を連結する側部が屈曲した、通常の矩形のウインドウとは異なる異形の形状である。このウインドウ1の下部近傍に本実施形態に係るウインドウシェード装置2が配設されている。
ウインドウシェード装置2は、図中左右の第1シェード10a及び第2シェード10bに対応して第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bとから成っている。
【0012】
第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bは、それぞれ第1シェード10a及び第2シェード10bの上部に装着したそれぞれ第1ステイ12aと第2ステイ12bと、展開した第1シェード10a及び第2シェード10bを巻き取るための第1巻取シャフト20a及び第2巻取シャフト20bを備えている。
ここでは、第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bは、第1ステイ12aと第2ステイ12bに共通に取り付けられ第1及び第2シェード装置2a、2bを操作する一つの操作ステイ14aで相互に連結されてウインドウシェード装置を構成している。
【0013】
第1及び第2シェード10a、10bは、二枚が組合わさって上記ウインドウ1の開口部分を覆う大きさ及び形状に形成されており、図中左右端側101a、101bはウインドウ1の屈曲した形状に合わせた形状に形成されていると共に、その中央側の端部102a、102bは上下方向に直線状に形成されている。
【0014】
第1及び第2シェード10a、10bの前記中央側端部102a、102b近傍は互いに重なるように配置されており、第1シェード10a及び第2シェード10bの展開中及び展開後においても両者の間に隙間ができないようにしている。
なお、第1及び第2シェード10a、10bは、メッシュ状の布、樹脂シート等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状の部材でありそれ自体は周知である。また、本ウインドウシェード装置2は、ウインドウ1を遮蔽した状態で、操作ステイ14aを車体に設けたフックなどに掛止することで展開状態を維持する。
【0015】
図2の状態は、ウインドウシェード装置2の引き出し途中段階を示す。この状態では第1シェード10a及び第2シェード10bは横方向に移動中である。なお、展開した第1及び第2シェード10a、10bを収納するときは以上の説明とは逆に、展開した第1シェード10a及び第2シェード10bは第1及び第2巻取シャフト20a、20bに巻き取られるにしたがって横方向が縮小する。
【0016】
図3に示す第1及び第2シェード10a、10bの収納時においては、第1及び第2シェード10a、10bは第1及び第2巻取シャフト20a、20bに巻き取られ、ウインドウ1の下部近傍に配置された収納ボックス内に収納されており、操作ステイ14aが露出する。
第1及び第2シェード10a、10bは、この状態から操作ステイ14aを引き上げることで、第1及び第2巻取シャフト20a、20bから巻き戻されると共に、後述する案内機構により、同時に引違戸のように左右に摺動されて展開する。
【0017】
次に、本ウインドウシェード装置2を構成する第1及び第2シェード装置2a、2bのうち、第1シェード装置2aを例にとり、その構造について説明する。
図4は、第1シェード10aの上端部を示す一部拡大斜視図である。
なお、第1シェード10aの上端部の構造と第2シェード10bの上端部の構造とは同じなので、第2シェード10bの上端部については、この説明を援用する。
第1シェード10aの上部には第1ステイ12aが例えば鋲、接着などの任意の手段で一体に固着されており、第1ステイ12aには、その上部適所に取付部材120が一体に取り付けられている。取付部材120は、合成樹脂製で図示のように断面略T字状のブロックで形成されており、第1ステイ12aと連結される下部ブロック121と、操作ステイ14aと移動可能に装着される上部ブロック122とから成っている。
【0018】
操作ステイ14aは、ここでは第1ステイ12aと第2ステイ12bに共通する下面が平坦な筒型をなし、その下面にはスリット142を挟んでその両側に形成された平坦なガイド面141がその長手方向に形成されている。他方、取付部材120の上部ブロック122には、操作ステイ14aの前記ガイド面141上を転動する転動ローラ123が装着されている。
【0019】
ここで、取付部材120(120a、120b)と第1ステイ12a及び第2ステイ12bとの取付位置は、第1シェード10aと第2シェード10bが前記ガイド面141上を引違戸のように左右に自由に摺動できるよう、互いに干渉しない距離だけ幅方向(ウインドウ1の内外方向)にずらして配置されている。即ち、第1ステイ12a及び第2ステイ12bのそれぞれウインドウ1の中央側の取付部材(第1ステイの第2ステイ側の取付部材と第2ステイの第1ステイ側の取付部材)120a、120bは、例えば図3に示すように第1ステイ12a及び第2ステイ12bがウインドウの側部に向かって移動するときは互いに接近し、その側部から離れるときは互いに離隔するよう互い違いに配置されている。
【0020】
次に、ウインドウシェード装置2を構成する第1及び第2シェード装置2a、2bの案内機構について説明する。
既に説明したように、第1及び第2シェード10a、10bは、操作ステイ14aを引き上げることにより、第1及び第2シェード装置2a、2bのそれぞれの巻取シャフト20a、20bから巻き戻されるのと同時に、ウインドウ1の側部1a、1bに向かって摺動されて展開する。ここで案内機構は、第1及び第2のシェード10a、10bの巻き上げに伴ってそれらを横方向に摺動させる機構である。
この第1及び第2シェード10a、10bの横方向に摺動させる案内機構は、本実施形態では、第1シェード装置2aと、第2シェード装置2bとでそれぞれ異なる構成のものが採用されている。
以下、第1及び第2シェード装置2a、2b、第1及び第2案内機構4a、4bについて説明する。
【0021】
(第1シェード装置2a、第1案内機構4a)
図5Aは第1シェード装置2aの平面図であり、一部をその断面で示している。図5Bは図5Aの一部拡大図、図5Cは第1シェード装置2aの側面図である。
第1シェード装置2aには、第1シェード装置2aを後述するガイド面に沿って移動させる第1案内機構4aが付加されている。
【0022】
第1シェード装置2は、図5Aに示すように、第1巻取シャフト20aと、第1巻取シャフト20aの一端側から挿入されて第1巻取シャフト20aの一端を回転可能に支持する支持シャフト31と、第1巻取シャフト20a内において支持シャフト31と対向して第1巻取シャフト20aの中央側に配設されたバネ連結部材32と、一端が支持シャフト31に、また他端がバネ連結部材32に取り付けられたコイルバネ33と、第1巻取シャフト20aを回転可能に支持する構造とから成っている。なお、支持シャフト31は、シャフト支持部31aと共に合成樹脂によって一体に成形されている。
【0023】
第1シェード装置2aに付加された第1案内機構4aは、第1シェード装置2aの一方の側部に隣接して配置されており、図5Bに示すように、第1シェード装置2aの歯車支持シャフト36の一端部に、取付用カラー35を介して取り付けた第1傘歯車37と、第1傘歯車37と噛合する第2傘歯車38と、第2傘歯車38と同軸に取り付けられ、ラック40と噛合する後述するピニオン39から成っている。
なお、バネ連結部材32は、その周面に第1巻取シャフト20aの長手方向に延びたスプライン溝が設けられており、このスプライン溝に第1巻取シャフト20aの内周面にその長手方向に形成された突条部(図示せず)が嵌合することで、第1巻取シャフト20aに対して回り止めされている。
【0024】
ここで、再び図5Aにおいて、車体に取り付けられた第1シェード装置2aの支持枠50の上面はガイド面51であり、ガイド面51の長手方向にガイド溝52が設けられている。前記ガイド面51上には第1シェード装置2aが摺動可能に載置されている。
【0025】
また、ガイド溝52には、第1シェード装置2aの支持シャフト31と一体に形成された側面視略L字状シャフト支持部31aの底面から下方に突設した案内片31b(図6)が挿入されており、この案内片31bは第1シェード装置2aがガイド面51を摺動する際にその摺動を案内する。
【0026】
図5Cに示すように、前記支持枠50のガイド面51に隣接して、支持枠50に対して案内部材41が、第1シェード装置2aに対して平行に固着されており、案内部材41にはその上面に前記ラック40を備えられている。
【0027】
図6は、第1シェード装置2aの第1案内機構4aを一端側からみた斜視図である(但し、第1案内機構4a及びラック40の配置は逆になっている)。
図示のように、第2傘歯車38の回転軸の他端に取り付けられたピニオン39は、支持枠50の前記案内部材41に設けたラック40と噛合している。ここでラック40の長さは、第1巻取シャフト20aを移動させたい長さに合わせて任意に決定する。
【0028】
次に、以上で説明した第1シェード装置2aの動作について説明する。
図3において、第1シェード10aの収納状態で、操作ステイ14aを持ち上げると、これに連結された第1ステイ12aを介して第1巻取シャフト20aに巻回された第1シェード10aが巻き戻されて上方に引き出される。この第1シェード10aの引き出しに伴い、図5Aに示すように、一端側が支持シャフト31に、また、他端側が歯車支持シャフト36を介してギヤボックス34で軸支された第1巻取シャフト20aが回転する。
【0029】
第1巻取シャフト20aが回転すると、図5Bに示すように、歯車支持シャフト36、及びその端部に装着固定された第1傘歯車37、それに噛合する第2傘歯車38が回転し、第2傘歯車38の回転軸の他端側に取り付けられたピニオン39が回転する。ここで、既に述べたように、ピニオン39は第1シェード装置2aを支持する支持枠50に固着された案内部材41のラック40と噛合しているため、ピニオン39はラック40上を走行し、ピニオン39と一体の第1シェード装置2aは、ピニオン39の回転にしたがってガイド面51上を摺動する。
つまり、第1シェード装置2aは、第1シェード10aの引き出しに伴い、前記ガイド面51上を図2において左方向、つまりウインドウ1の左側側部1a方向に摺動する。
【0030】
また、これと同時に、一端を固定された支持シャフト31に、また他端を第1巻取シャフト20aに回り止めされたバネ連結部材32に取り付けられたコイルバネ33は、一端と他端の相対回転に伴って捻られていく。なお、展開後はこのコイルバネ33の捻れの復元力で、第1シェード10aを巻取ることができる。
第1シェード装置2aの第1シェード10aは以上のように引き出し及び巻き込みが行われ、ウインドウ1の左側部分を遮蔽及び開放する。
【0031】
(第2シェード装置2b、第2案内機構4b)
図7Aは、第2シェード装置2bの平面図でありその第2案内機構4bを断面で示している。図7Bは第2シェード装置2bの側面図である。
第2巻取シャフト20bは、第1巻取シャフト20aと同様に、金属等で形成された筒部材に形成されている。なお、第2巻取シャフト20bの内周部には、その長手方向に沿って延びる図示しない突条部が形成されている。
【0032】
第2シェード装置2bは、図7Aに示すように、第2巻取シャフト20bと、第2巻取シャフト20bの一端内部に固着されたネジ付き軸受61と、その他端内部に固着された軸受64と、前記支持枠50に取り付けられたシャフト支持部60aに一体に形成され、ネジ付き軸受61に係合して第2巻取シャフト20b中の一端部から挿入されその中心方向に延在するネジ付きシャフト60と、第2巻取シャフト20b中においてネジ付きシャフト60の延在方向端部よりもさらに内部に装着されたバネ連結部材62と、第2巻取シャフト20bの他端に挿入された付勢側支持シャフト63との間に装着された第2コイルバネ65から成っている。
なお、付勢側支持シャフト63は合成樹脂製でシャフト支持部63aと一体に形成されている。
【0033】
第2シェード装置2bの第2案内機構4bは、図7Aに示すように、前記ネジ付きシャフト60とネジ付き軸受61で構成されている。
【0034】
第2巻取シャフト20bは、一端側がネジ付きシャフト60に対して、ネジ付き軸受61を介して回転可能に支持されている。また、その他端側は、支持枠50に取り付けられたシャフト支持部63aと一体に形成された付勢側支持シャフト63に、軸受64を介して回転可能に支持されている。
【0035】
ネジ付きシャフト60は、図7Aに示すようにその外周の長手方向にネジ部が形成されている。ネジ部の長さは、第2巻取シャフト20bを移動させたい任意の長さであり、かつその中心軸に沿って中心穴60bが貫通形成されている。この中心穴60bに鉄、鋼鉄等の金属製の補強シャフトを挿通してその強度向上を図ることができる。
【0036】
ネジ付きシャフト60は中心穴60bの部分において、その厚みを小さくすることで、成形における樹脂ヒケ(成型品表面に位置する樹脂が内部の溶融状態の樹脂の体積収縮に伴い引っ張られて、成形品の表面に凹痕が生じる)を防止して、ネジ部の形状の精度を高めることができる。中心穴60bの直径は、樹脂を加工する際の精度上、ネジ付きシャフト60に対して好ましいとされる厚み等に応じて設定される。なお、中心穴60bは、円孔である必要はなく、角穴等であってもよい。
【0037】
ネジ付き軸受61の内周面(軸受面)には、ネジ付きシャフト60のネジと螺合するネジ溝が形成されている。また、ネジ付き軸受61の外周面には、その軸方向に沿ってスプライン溝が形成されており、ネジ付き軸受61を第2巻取シャフト20bの一端部内に挿入したとき、第2巻取シャフト20bの内周面の突条が前記スプライン溝に嵌り込み、ネジ付き軸受61が第2巻取シャフト20bに対して回転止めされる。
【0038】
また、ネジ付き軸受61の一端部には、ネジ付き軸受61を第2巻取シャフト20bの一端部内に挿入したとき、第2巻取シャフト20bの一端側開口部に当接してネジ付き軸受61の位置決めをする鍔部61aが形成されている。
【0039】
第2巻取シャフト20bの他端部には、付勢側支持シャフト63を回転可能に支承する軸受64が装着されている。この軸受64の外周面にも、スプライン溝(図示せず)が形成されており、このスプライン溝に長手方向に第2巻取シャフト20bの内周面にその長手方向に形成された突条部(図示せず)が嵌合することで、軸受64は第2巻取シャフト20bに対して回転止めされている。なお、この軸受64の一端部にも鍔部64aが形成されており、鍔部64aは、軸受64が第2巻取シャフト20bの他端部内に挿入されたとき、第2巻取シャフト20bの他端側開口部に当接して軸受64を位置決めする。
【0040】
付勢側支持シャフト63は、適宜の合成樹脂によってシャフト支持部63aから突出して一体に形成されており、その中心軸に沿って中心穴63bが貫通形成されている。また、その外周面は、第2巻取シャフト20bが摺動する際のガイド面となるよう平滑面となっている。
なお、この付勢側支持シャフト63の中心穴63b内に、ネジ付きシャフト60と同様に、鉄、鋼鉄等の金属製の補強シャフトを挿通してその強度向上を図ることができる。
【0041】
付勢側支持シャフト63の一端部にはコイルバネ65の一端部が連結されている。即ち、コイルバネ65の一端部のL字状部分の先端部が、付勢側支持シャフト63の先端部に形成された孔に挿通されており、これによりコイルバネ65の一端部が付勢側支持シャフト63の先端部に相対回転不能に連結されている。
【0042】
また、コイルバネ65の他端部のL字状部分の先端部はバネ連結部材62の孔に挿通されて連結されている。バネ連結部材62は既に述べたように第2巻取シャフト20b内で回転止され、コイルバネ65の他端部は第2巻取シャフト20bと相対回転不能である。
【0043】
したがって、固定された付勢側支持シャフト63に対して第2巻取シャフト20bを回転すると、第2巻取シャフト20bと共にバネ連結部材62も回転し、これにより、付勢側支持シャフト63とバネ連結部材62との間でコイルバネ65が捻られる。このコイルバネ65の捻れの復元力で、第2シェード10bを巻取ることができる。
【0044】
次に、以上のように構成された第2案内機構4bの動作について説明する。
図2において、第2シェード10bの収納状態で、操作ステイ14aを持ち上げると、これに連結された第2ステイ12bを介して第2巻取シャフト20bに巻回された第2シェード10bが巻き戻されて上方に引き出される。
【0045】
第2シェード10bが引出されると、この引出しに伴って第2巻取シャフト20bが回転する。この回転により第2巻取シャフト20bのネジ付き軸受61がネジ付きシャフト60の回りで回転し、その回転に伴い、コイルバネ65を捻りながら第2巻取シャフト20b、つまり第2シェード10bが一方の側部1bに向かって移動する。そして、第2巻取シャフト20bが一方の側部1bに達し、シャフト支持部63a近傍に位置すると、第2シェード10bは、ウインドウ1の右側全体を覆う。
【0046】
図8Aはこの状態における第2シェード装置2bの平面図であり、図8Bはその側面図、図9は第2シェード装置2bの要部の斜視図である。
即ち、第2巻取シャフト20bのネジ付き軸受61は、ネジ付きシャフト60でネジ送りされて図7A中右方に移動して、それに伴い第2巻取シャフト20bがその軸受64が外嵌する付勢側支持シャフト63周面上を滑動して、図8Aに示すように、その端部が付勢側支持シャフト63のシャフト支持部63aに隣接した位置に達している。
【0047】
また、既に述べたように、第2案内機構4bによる第2シェード10bの前記動作中、第2巻取シャフト20bに相対回転不能に取付けられたバネ連結部材62と付勢側支持シャフト63との間でコイルバネ65が捻られる。
したがって、上記第2シェード10bを引出す力を解除すると、第2巻取シャフト20bは、第2シェード10bを巻取る方向に回転し、同時に、第2巻取シャフト20bは上記とは逆方向に移動して、収納状態に戻る。
【0048】
なお、第1及び第2巻取シャフト20a、20bは、図示しない筒状の収納ケース(図14)内に収容される。収納ケースは、そのー側部にはスリットが形成されており、第1及び第2シェード10a、10bは、この引出用スリットを通じて引き出し(巻き戻し)及び巻き取りが行われ、第1及び第2シェード10a、10bが完全に巻取られた状態で、第1及び第2ステイ12a、12bが引出用スリットの開口部或はその内部に配設される。
【0049】
以上、本実施形態の第1及び第2シェード装置2a、2bの第1及び第2案内機構及びその動作について説明したが、第1及び第2シェード装置2a、2bにおける第1及び第2シェード10a、10bは共通の操作ステイ14aによって同時に操作される。
つまり、操作ステイ14aを持ち上げることにより、第1シェード装置2aでは、第1シェード装置2a自体がウインドウ1の側部1aに向かって摺動し、かつ、第2シェード装置2bでは巻取シャフト20bのみが反対側のウインドウ1の側部1bに向かって摺動する。それによって、第1及び第2シェード10a、10bが上方に展開しながら引違戸のように左右に広がりウインドウ1の開口を遮蔽する。
【0050】
したがって、第1及び第2シェード10a、10bは、ウインドウ1の側部1a、1bに対応する端部の形状を異形のウインドウ1の側部に合致した形状にすることで、どのような形状にも対応可能である。
また、本実施形態のウインドウシェード装置は、第1及び第2シェード10a、10bをウインドウ1の対向する2辺のうち、短い辺に合わせたコンパクトな形状に収納できるため、とくに、車内のように限定された場所に取り付ける場合有利である。
なお、本発明は車両用にとくに限定されるものではなく、一般のウインドウに適用できることは云うまでもない。
【0051】
また、以上で説明した第1及び第2シェード装置の細部構造もこれに限定されるものではなく適宜変更することが可能である。
例えば、操作ステイ14aは一つの筒状体で構成しているが、これを入れ子式に配置して伸縮可能にした複数の筒状体(部材)で構成してもよい。
図10〜13はこの操作ステイ14bを示す図である。即ち、図10はその要部斜視図、図11はシェードを収納した状態における操作ステイ14bの正面図、図12はシェードを中間位置に引き出した状態、及び図13は、シェードでウインドウ1の開口を完全に遮蔽した状態における操作ステイ14bの伸張の状態を示している。
【0052】
この操作ステイ14bでは、第1ステイ12a及び第2ステイ12bは、伸縮するそれぞれの部材(操作ステイ)145a、145bに一体に設けた取付部145cに直接取り付けられる。この場合、少なくとも、第1ステイ12aの反第2ステイ12b側の取付部145cと、第2ステイ12bの反第1ステイ12a側の取付部材は145c、操作ステイ145a、145bの両端にそれぞれ固定される。
既に説明した操作ステイ14aでは、操作ステイ14aのガイド面141を第1ステイ12a及び第2ステイ12bのローラ123が転動する構造であるため、摺動は極めてスムーズであるが、操作中にローラ123と前記ガイド面141に隙間が生じると引き出し又は巻き込み中に若干ガタつくことがある。これに対し、この操作ステイ14bは、第1ステイ12a及び第2ステイ12bに直結されているため、伸縮時に操作ステイ14aに比べた場合は若干抵抗があるが、引き出し又は巻き込み中に第1ステイ12a及び第2ステイ12bがガタつくことはない。
また、操作ステイと第1、第2ステイをユーザが取り外しできる構成にすることで、例えばウインドウ1の一部のみを覆うように一方のシェードのみを使用することができる。したがって、本発明はこのような操作ステイも包含する。
【0053】
以上の実施形態では、ウインドウシェード装置2は、それぞれ構成が異なる第1シェード装置2aと第2シェード装置2bを組み合わせて構成したものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。
ウインドウシェード装置2は、第1シェード装置2a同士を組み合わせて、2枚のシェードを展開摺動する構成とすることも、或いは第2シェード装置2b同士を組み合わせて、2枚のシェードを展開摺動する構成とすることもできる。
また、以上の実施形態では、第1シェード装置2aと第2シェード装置2bがいずれも横方向に摺動するものとして説明したが、必ずしもこの構成に限定されない。ウインドウの形状によっては、いずれか一方のみが摺動して、両者が横方向に相対的に移動可能とすることもできる。その場合、当然のことながら他方のシェード装置に案内機構は不要である。
【0054】
なお、本実施形態において、第1及び第2シェード10a、10bが引違戸の召し合わせ部のように常にその一部を重ねて配置されていることは既に説明したが、本実施形態のように、ウインドウを遮蔽するのに独立した二つのシェード装置2a、2bの二つの第1及び第2シェード10a、10bを組み合わせて用いる場合、第1及び第2シェード10a、10b間の隙間は並べて配置したシェード間だけではなく、重ねた場合にその重ね合わせて対向配置したシェード間においても発生する。
この場合、シェード間の重ね代(幅)にもよるが、これが小さい場合は対向配置したシェード間の隙間も無視できない。
そこで、次に、第1及び第2シェード10a、10bが重ね合わさった部分に生じるウインドウの内外方向の隙間の抑制対策について説明する。
【0055】
図14Aは、前記隙間を抑制するための具体例を説明する図である。
ここでは、第1及び第2シェード10a、10b間における前記隙間を少なくするため、第1シェード装置及び第2シェード装置は、収納ケースC内においてそれぞれ第1及び第2シェード10a、10bの引き出し方向、ここでは上下に配置し、第1及び第2巻取シャフト20a、20bのそれぞれのシェード10a、10bの引き出し位置を同じ方向に合わせて、即ち、第1及び第2シェード10a、10bを、第1及び第2巻取シャフト20a、20bの同じ側で引き出し又は巻き取りを行う。
この第1及び第2巻取シャフト20a、20bの配置構成により、第1及び第2シェード10a、10bを展開中及び展開状態において、常に極めて接近した位置に維持することができる。
したがって、前記隙間を抑制することができる。
【0056】
図14Bは、前記隙間を抑制するための他の具体例を説明する図である
ここでは、第1シェード装置2a及び第2シェード装置2bを収納ケースC内において第1及び第2巻取シャフト20a、20bの引き出し方向と垂直方向に並べて配置し、かつ各巻取シャフト20a、20bの引き出し位置を対向させて近接配置している。この場合も第1及び第2シェード10a、10bは、展開中及び展開状態において常に接近した位置に維持されるため、前記隙間が抑制される。
【符号の説明】
【0057】
1・・・ウインドウ、2・・・ウインドウシェード装置、2a、2b・・・第1及び第2シェード装置、4a、4b・・・第1及び第2案内機構、10a、10b・・・第1及び第2シェード、12a、12b・・・第1及び第2ステイ、14a、14b・・・操作ステイ、20a、20b・・・第1及び第2巻取シャフト、31・・・支持シャフト、32・・・バネ連結部材、33・・・コイルバネ、34・・・ギヤボックス、35・・・取付用カラー、36・・・歯車支持シャフト、37・・・・第1傘歯車、38・・・第2傘歯車、39・・・ピニオン、40・・・ラック、41・・・案内部材、50・・・支持枠、51・・・ガイド面、52・・・ガイド溝、60・・・ネジ付きシャフト、61・・・ネジ付き軸受、63a・・・シャフト支持部、62・・・バネ連結部材、63・・・付勢側支持シャフト、64・・・軸受、65・・・コイルバネ、60b・・・中心孔、63b・・・中心孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆うウインドウシェード装置であって、
第1シェードと、
第1シェードの先端に取り付けられる第1ステイと、
第1シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第1巻取シャフトと、
第1巻取シャフトを回転可能に支持し、第1シェードを引き出し又は収納可能な第1シェード装置と、
第2シェードと、
第2シェードの先端に取り付けられる第2ステイと、
第2シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第2巻取シャフトと、
第2巻取シャフトを回転可能に支持し、第2シェードを引き出し又は収納可能で第1シェード装置の長手方向に沿って配置される第2シェード装置と、
からなり、
第1ステイ及び第2ステイが各シェード装置に対して同時に引き出し又は収納される操作ステイと、
第1シェード及び第2シェードを、その一部が常時重なった状態を維持しつつ、引き出すときはその幅が拡張し収納するときは縮小するように、第1及び第2シェードの少なくとも一方を、当該シェードに係るシェード装置の長手方向において他方に対して摺動可能にする案内機構と、
を備えたことを特徴とするウインドウシェード装置。
【請求項2】
ウインドウは対向する辺の長さが異なる異形窓であって、第1シェード装置及び第2シェード装置は、辺の長さが短い辺に配設されることを特徴とする請求項1に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項3】
第1シェード及び第2シェードは、先端側が基端側に比べて長手方向長さが長いことを特徴とする請求項2に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項4】
案内機構は、第1及び/又は第2シェード装置を摺動させる構造からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項5】
案内機構は、第1及び/又は第2シェード装置内で巻取シャフトが摺動可能な構造からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項6】
操作ステイはシェードの長手方向摺動に伴う第1ステイ及び第2ステイの長手方向の摺動を許容することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項7】
第1ステイ及び第2ステイは、操作ステイに対して、その長手方向に沿ってそれぞれ取り付けられた複数の取付部材を介して取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項8】
操作ステイは、第1ステイ及び第2ステイにそれぞれ取り付けられた取付部材を摺動案内すると共に、第1ステイの第2ステイ側の取付部材と第2ステイの第1ステイ側の取付部材とは、互い違いに配置されていることを特徴とする請求項7に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項9】
操作ステイは複数の部材で長手方向に伸縮可能に構成され、第1ステイの反第2ステイ側の取付部材と第2ステイの反第1ステイ側の取付部材は、操作ステイの両端にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項7に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項10】
第1シェード装置と第2シェード装置を引き出し収納方向に沿って配設し、第1シェード装置と第2シェード装置の各巻取シャフトから引き出されるシェードの引き出し位置を、各巻取シャフトの同じ側に合わせたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項11】
第1シェード装置と第2シェード装置を引き出し収納方向と垂直な向きに沿って配設し、第1シェード装置と第2シェード装置の各巻取シャフトから引き出されるシェードの引き出し位置を対向させ、かつ近接させたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項1】
ウインドウを遮蔽及び開放可能に覆うウインドウシェード装置であって、
第1シェードと、
第1シェードの先端に取り付けられる第1ステイと、
第1シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第1巻取シャフトと、
第1巻取シャフトを回転可能に支持し、第1シェードを引き出し又は収納可能な第1シェード装置と、
第2シェードと、
第2シェードの先端に取り付けられる第2ステイと、
第2シェードの基端に取り付けられ、巻き取る方向に付勢された第2巻取シャフトと、
第2巻取シャフトを回転可能に支持し、第2シェードを引き出し又は収納可能で第1シェード装置の長手方向に沿って配置される第2シェード装置と、
からなり、
第1ステイ及び第2ステイが各シェード装置に対して同時に引き出し又は収納される操作ステイと、
第1シェード及び第2シェードを、その一部が常時重なった状態を維持しつつ、引き出すときはその幅が拡張し収納するときは縮小するように、第1及び第2シェードの少なくとも一方を、当該シェードに係るシェード装置の長手方向において他方に対して摺動可能にする案内機構と、
を備えたことを特徴とするウインドウシェード装置。
【請求項2】
ウインドウは対向する辺の長さが異なる異形窓であって、第1シェード装置及び第2シェード装置は、辺の長さが短い辺に配設されることを特徴とする請求項1に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項3】
第1シェード及び第2シェードは、先端側が基端側に比べて長手方向長さが長いことを特徴とする請求項2に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項4】
案内機構は、第1及び/又は第2シェード装置を摺動させる構造からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項5】
案内機構は、第1及び/又は第2シェード装置内で巻取シャフトが摺動可能な構造からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項6】
操作ステイはシェードの長手方向摺動に伴う第1ステイ及び第2ステイの長手方向の摺動を許容することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項7】
第1ステイ及び第2ステイは、操作ステイに対して、その長手方向に沿ってそれぞれ取り付けられた複数の取付部材を介して取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項8】
操作ステイは、第1ステイ及び第2ステイにそれぞれ取り付けられた取付部材を摺動案内すると共に、第1ステイの第2ステイ側の取付部材と第2ステイの第1ステイ側の取付部材とは、互い違いに配置されていることを特徴とする請求項7に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項9】
操作ステイは複数の部材で長手方向に伸縮可能に構成され、第1ステイの反第2ステイ側の取付部材と第2ステイの反第1ステイ側の取付部材は、操作ステイの両端にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項7に記載されたウインドウシェード装置。
【請求項10】
第1シェード装置と第2シェード装置を引き出し収納方向に沿って配設し、第1シェード装置と第2シェード装置の各巻取シャフトから引き出されるシェードの引き出し位置を、各巻取シャフトの同じ側に合わせたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【請求項11】
第1シェード装置と第2シェード装置を引き出し収納方向と垂直な向きに沿って配設し、第1シェード装置と第2シェード装置の各巻取シャフトから引き出されるシェードの引き出し位置を対向させ、かつ近接させたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載されたウインドウシェード装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−111994(P2013−111994A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256848(P2011−256848)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
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