説明

ウエハ加工用テープの長尺体

【課題】継ぎ部の段差によって生じる転写痕の発生を防止するウエハ加工用テープの長尺
体を提供する。
【解決手段】本発明に係るウエハ加工用テープの長尺体は、長尺のフィルム11と、フィ
ルム11の第1の面上に設けられた所定の平面形状を有する接着剤層12と、接着剤層1
2を覆う所定の平面形状を有するラベル部13aと、ラベル部13aの外周を囲むように
設けられた周辺部13bとを有する粘着フィルム13とからなり、長手方向に接続する継
ぎ部を有しており、継ぎ部は、フィルムの第1の面と反対側の第2の面同士を第1の粘着
テープにより貼り合わせ、周辺部同士を第2の粘着テープにより貼り合わせることにより
形成されており、第2の粘着テープは、フィルムの長手方向と平行な接着剤層の外接線よ
りも端部側である領域Hにのみ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ加工用テープの長尺体に関し、特に、ダイシングテープとダイボンデ
ィングフィルムの2つの機能を有するウエハ加工用テープの長尺体に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体ウエハを個々のチップに切断分離(ダイシング)する際に半導体ウエハを
固定するためのダイシングテープと、切断された半導体チップをリードフレームやパッケ
ージ基板等に接着するため、又は、スタックドパッケージにおいては、半導体チップ同士
を積層、接着するためのダイボンディングフィルム(ダイアタッチフィルムともいう)と
の2つの機能を併せ持つウエハ加工用テープが開発されている。
【0003】
このようなウエハ加工用テープとしては、ウエハへの貼り付けや、ダイシングの際のリ
ングフレームへの取り付け等の作業性を考慮して、プリカット加工が施されたものがある
(例えば特許文献1参照)。
【0004】
プリカット加工されたウエハ加工用テープの例を、図2に示す。図2はウエハ加工用テ
ープ20の概要図である。図2に示すように、ウエハ加工用テープ20は、フィルム21
と、接着剤層22と、粘着フィルム23とからなる。接着剤層22は、ウエハの形状に対
応する円形に加工されたものであり、円形状を有する。粘着フィルム23は、ダイシング
用のリングフレームの形状に対応する円形部分の周辺領域が除去されたものであり、図示
するように、円形ラベル部23aと、その外側を囲むような周辺部23bとを有する。接
着剤層22と粘着フィルム23の円形ラベル部23aとは、その中心を揃えて積層され、
また、粘着フィルム23の円形ラベル部23aは、接着剤層22を覆い、且つ、その周囲
でフィルム21に接触している。
【0005】
ウエハをダイシングする際には、積層状態の接着剤層22及び粘着フィルム23からな
るラベルからフィルム21を剥離し、図3に示すように、接着剤層22上に半導体ウエハ
Wの裏面を貼り付け、粘着フィルム23の円形ラベル部23aの外周部にダイシング用リ
ングフレームRを粘着固定する。この状態で半導体ウエハWをダイシングし、その後、粘
着フィルム23に紫外線照射等の硬化処理を施して半導体チップをピックアップする。こ
のとき、粘着フィルム23は、硬化処理によって粘着力が低下しているので、接着剤層2
2から容易に剥離し、半導体チップは裏面に接着剤層22が付着した状態でピックアップ
される。半導体チップの裏面に付着した接着剤層22は、その後、半導体チップをリード
フレームやパッケージ基板、あるいは他の半導体チップに接着する際に、ダイボンディン
グフィルムとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−2173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のようなウエハ加工用テープ20は、図2に示すように、製品としては
長尺体である。そのため、ウエハ加工用テープ20を製造する際、品質不良のラベルが、
例えば複数枚連続して存在した場合、ラベルを剥がした後に品質不良のラベルが存在した
部分のフィルムを切除し、複数に分断されたウエハ加工用テープ同士を粘着テープを用い
て接合して、規定長さや規定ラベル枚数のウエハ加工用テープ20を作成する。
【0008】
図4に、ラベルを剥がして、2つのウエハ加工用テープ40を接合した継ぎ部を示す図
を示す。図4(a)はウエハ加工用テープ40の平面図、図4(b)は図4(a)のX−
X線端面図である。図4に示すように、長尺体の途中にウエハ加工用テープ40同士を接
合した継ぎ部は、以下のようにして形成される。
(1)継ぎを行う部分(品質不良)のラベル(積層状態の接着剤層42及び粘着フィルム
43からなるラベル)、を剥がす。
(2)ラベルを剥がした部分のフィルムを切除する。
(3)フィルムの切断部同士をつき合わせ、面合わせを行った後、第1の粘着テープ44
aをフィルムに貼る。
(4)粘着テープ44aを貼った反対側の粘着フィルム43上にも第2の粘着テープ44
bを貼る。
(5)フィルム幅方向側からはみ出した第1の粘着テープ44a、第2の粘着テープ44
bを切除する。
【0009】
ところで、上記のようなウエハ加工用テープ20は、図2に示すように、柔軟な接着剤
層22と粘着フィルム23の円形ラベル部23aとが積層されている。図4に示す第2の
粘着テープ44bが設けられる位置が幅方向で接着剤層42に掛かった部分は、製品とし
てロール状に巻かれた際に、接着剤層42と粘着フィルム43の円形ラベル部43aの積
層部分と、粘着フィルム43の周辺部43bと第2の粘着テープ44bの積層部分との段
差が重なりあい、柔軟な接着剤層42表面に段差が転写される現象、すなわち図5に示す
ような転写痕45が発生する。この転写痕45の発生は、特に接着剤層42が柔らかい樹
脂で形成されている場合や厚みがある場合、及びウエハ加工用テープ40の巻き数が多い
場合などに顕著である。そして、転写痕45が発生すると、接着剤層と半導体ウエハとの
接着不良により、ウエハの加工時に不具合が生じるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、ウエハ加工用テープを使用する際に、継ぎ部の段差によって
生じる接着剤層への転写痕の発生を抑制することができるウエハ加工用テープの長尺体を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような目的を達成するため、本発明に係るウエハ加工用テープの長尺体は、長尺
のフィルムと、前記フィルムの第1の面上に設けられた所定の平面形状を有する接着剤層
と、前記接着剤層を覆い、かつ、前記接着剤層の周囲で前記フィルムに接触するように設
けられた所定の平面形状を有するラベル部と、前記ラベル部の外周を囲むように設けられ
た周辺部とを有する粘着フィルムとからなるウエハ加工用テープの長尺体であって、複数
のウエハ加工用テープ同士を長手方向に接続する継ぎ部を有しており、前記継ぎ部は、前
記フィルムの第1の面と反対側の第2の面同士を第1の粘着テープにより貼り合わせ、前
記複数のウエハ加工用テープの互いの前記周辺部同士を第2の粘着テープにより貼り合わ
せることにより形成されており、前記第2の粘着テープは、前記フィルムの長手方向と平
行な前記接着剤層の外接線よりも端部側にのみ設けられていることを特徴とする。
【0012】
第2の粘着テープを、前記フィルムの長手方向と平行な前記接着剤層の外接線よりも端
部側に設けることで、継ぎ部の段差によって生じる接着剤層への転写痕の発生を抑制し、
接着剤層と半導体ウエハとの接着不良により、ウエハの加工時に不具合が生じることを防
止することができる。
【0013】
上述のウエハ加工用テープの長尺体において、前記継ぎ部は、長手方向に対して斜めに
形成されていることが好ましい。
【0014】
第1及び第2の粘着テープが、ウエハ加工用テープの長手方向に対して斜めに切断され
た複数のウエハ加工用テープ同士を接合することから、切断面を面合わせることによって
、簡単かつ正確に2つのウエハ加工用テープの位置合わせを行うことができる。
【0015】
上述のウエハ加工用テープの長尺体において、前記第1の粘着テープは、前記フィルム
の第1の面と、前記周辺部とに貼られていてもよい。
【0016】
上述のウエハ加工用テープの長尺体において、前記第1の粘着テープは、前記フィルム
の第1の面には貼られていなくてもよい。
【0017】
ウエハ加工用テープが使用される際は、接着剤層とともにラベル部を剥がして使用され
るため、フィルム21には離型処理が施されている。従って、周辺部上に貼られた第1の
粘着テープが長尺のフィルムにはみ出している場合、はみ出した部分が剥がれ易く、剥が
れた部分を起点として粘着テープがはがれてしまうのに対して、第1の粘着テープが長尺
のフィルムにはみ出さない場合、粘着テープが剥がれることを防止することができる。
【0018】
上述のウエハ加工用テープの長尺体において、前記第1及び前記第2の粘着テープの少
なくとも一方は着色部材であることが望ましい。
【0019】
第1及び第2の粘着テープの少なくとも一方が着色部材であることから、ウエハ加工用
テープの長尺体に接合された継ぎ部が存在することが目視或いは色差計により容易に確認
することができる。また、周辺部の粘着フィルム上に貼られた第1の粘着テープのみが着
色部材である場合、ウエハ加工用テープの接合の際に、第1の粘着テープの貼り忘れを防
止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のウエハ加工用テープの長尺体によれば、第2の粘着テープは、前記フィルムの
長手方向と平行な前記接着剤層の外接線よりも端部側に設けることで、継ぎ部の段差によ
って生じる接着剤層への転写痕の発生を抑制し、接着剤層と半導体ウエハとの接着不良に
より、ウエハの加工時に不具合が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係るウエハ加工用テープの平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A線端面図であり、(c)は、(b)におけるL部拡大図である。
【図2】従来のウエハ加工用テープの概要図である。
【図3】ウエハ加工用テープとダイシング用リングフレームとが貼り合わされた状態を示す断面図である。
【図4】(a)は、従来のウエハ加工用テープの平面図であり、(b)は、(a)におけるX−X線端面図である。
【図5】従来のウエハ加工用テープの不具合を説明するための模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は、本発明の
実施形態に係るウエハ加工用テープであって、長手方向に対して斜め方向に切断されたウ
エハ加工用テープを粘着テープを用いて接合したウエハ加工用テープの平面図、図1(b
)は、図1(a)の継ぎ部のA−A線断面図、図1(c)は、図1(b)のL部拡大図で
ある。
【0023】
図1(a)及び図1(b)に示すように、ウエハ加工用テープ10は、長尺のフィルム
11と、フィルム11上に設けられた円形状の接着剤層12と、粘着フィルム13とを有
する。粘着フィルム13は、接着剤層12を覆い、且つ、接着剤層12の周囲でフィルム
11に接触するように設けられた円形状のラベル部13aと、フィルム11の幅方向両端
部上に、接着剤層12及びラベル部13aの積層体の外周を囲むように、フィルム11の
長手方向に沿って連続的に設けられた周辺部13bとを有する。
【0024】
図1(a)に示すように、ウエハ加工用テープ10は、ウエハ加工用テープ10の長手
方向に対して斜めに継ぎ部が形成されている。継ぎ部は以下のように形成される。接着剤
層12とラベル部13aとからなる積層体のラベルに連続して複数の品質不良が生じた場
合、品質不良が生じた先頭のラベルをフィルム11から剥がした後、フィルム11のラベ
ルが積層されていた部分の略中央を長手方向に対して斜めに切断する。そして、品質不良
が生じた最後のラベルを同様にフィルム11から剥がした後、フィルム11のラベルが積
層されていた部分の略中央を長手方向に対して斜めに切断する。このとき互いの切断部分
を付き合わせて接合することで、ラベル1つ分のスペースができるように切断する。そし
て、第1の粘着テープ14a、第2の粘着テープ14bを用いて、切断されたウエハ加工
用テープ10が接合する。第1の粘着テープ14aは、接着剤層12が設けられたフィル
ム11の反対側の面(請求項における第2の面)から、ウエハ加工用テープ10の切断部
分に沿って、切断線全体を覆うようにフィルム11に貼り付ける。第2の粘着テープ14
bは、粘着フィルム13の周辺部13b上の切断線を覆うように貼り付ける。なお、品質
不良のラベルが1つの場合でも、ラベルをフィルム11から剥がした後、フィルム11の
ラベルが積層されていた部分の略中央を長手方向に対して斜めに切断し、その切断部分を
接合して継ぎ部を形成すると、ラベルの欠落箇所が分かりやすくなってよい。
【0025】
ここで、第2の粘着テープ14bは、図1(a)に示すように、フィルム11の端部か
ら接着剤層12の外接線までの領域Hに貼り付けられている。
【0026】
粘着テープ14bがフィルム11の端部から接着剤層12までの領域Hに貼り付けられ
ていることにより、ウエハ加工用テープ10がロール状に巻き取られた場合に、継ぎ部の
段差が接着剤層12にかかることがなく、接着剤層12への転写痕の発生がないことから
、接着剤層12と半導体ウエハとの接着不良により、ウエハの加工時に不具合が生じるこ
とを防止することができる。
【0027】
また、図1(a)〜図1(c)に示すように、粘着フィルムの周辺部13b上に貼られ
た第2の粘着テープ14bは、ラベル部13aと周辺部13bとの間に形成されているフ
ィルム11およびラベル部13aをフィルム11から剥がした後に現れるフィルム11の
表面にはみ出さないように貼られている。
【0028】
これにより、ウエハ加工用テープ10が使用される際は、接着剤層12とともにラベル
部13aを剥がして使用されるため、フィルム11には離型処理が施されている。従って
、周辺部13b上に貼られた第2の粘着テープ14bがフィルム11にはみ出している場
合、はみ出した部分が剥がれ易く、剥がれた部分を起点として第2の粘着テープ14bが
剥がれてしまうのに対して、第2の粘着テープ14bがフィルム11にはみ出さない場合
、第2の粘着テープ14bが剥がれることを防止することができる。
【0029】
さらに、粘着テープ14a、14bの少なくとも一方に着色処理が行われていた場合、
ウエハ加工用テープ10に粘着テープ14a、14bを用いて接合された継ぎ部が存在す
ることが目視或いは色差計により容易に確認することができる。また、周辺部13bの粘
着フィルム13上に貼られた第2の粘着テープ14bのみに着色処理が行われていた場合
、ウエハ加工用テープ10の接合の際に、第2の粘着テープ14bの貼り忘れを防止する
ことができる。
【0030】
なお、第1の粘着テープ14a及び第2の粘着テープ14bを用いて、ウエハ加工用テ
ープ10の長手方向と斜め方向に切断されたウエハ加工用テープ同士が接合される。従っ
て、切断面を面合わせることによって、簡単かつ正確に2つのウエハ加工用テープの位置
合わせを行うことができる。
【0031】
ただし、切断線は斜めに形成されていなくてもよく、長手方向に垂直に切断されていて
も良い。さらにこの場合、1つの粘着テープをフィルム11の第2面にから折り返して周
辺部13bに貼り付けることにより、第1粘着テープ14aと第2の粘着テープ14bと
してもよい。なお、切断線を斜めに形成した場合でも、1つの粘着テープを折り返して第
1粘着テープ14aと第2の粘着テープ14bとすることもできる。この場合、粘着テー
プの折り返した部分が周辺部13b側の面の切断線に沿うように、ウエハ加工用テープの
幅からはみ出させるようにして折り返し、このはみ出た部分を後に切除するとよい。
【0032】
また、本実施の形態では、切断部分をフィルム11のラベルが積層されていた部分の略
中央に設けるようにしたが、領域Hを超えて内側に第2の粘着テープ14bが設けられて
いない限り、図4に示すように、ラベルが積層されていた部分以外の箇所で切断し、継ぎ
部を形成するようにしてもよい。この場合、領域H全体に第2の粘着テープ14bが設け
られている必要はなく、その一部に設けられていてもよい。
【0033】
なお、本実施の形態では、第2の粘着テープ14bは、フィルム11の表面にはみ出さ
ないように貼るようにしたが、ラベル部13a以外の領域のフィルム11と粘着フィルム
の周辺13b部とに貼るようにしてもよい。なお、この場合においても、第2の粘着テー
プ14bは、上述と同様に第1の粘着テープ14aとともに1つの粘着テープで構成して
もよい。
【0034】
以下、本実施形態のウエハ加工用テープ10の各構成要素について詳細に説明する。
(フィルム)
本発明のウエハ加工用テープ10に用いられるフィルム11としては、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)系、ポリエチレン系、その他、離型処理が施されたフィルム等周
知のものを使用することができる。フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適
宜に設定してよいが、25〜50μmが好ましい。
【0035】
(接着剤層)
本発明の接着剤層12は、上述のように、フィルム11の第1の面11a上に形成され
、ウエハの形状に対応する円形状を有する。
【0036】
接着剤層12は、半導体ウエハ等が貼合されダイシングされた後、チップをピックアッ
プする際に、チップ裏面に付着しており、チップを基板やリードフレームに固定する際の
接着剤として使用されるものである。接着剤層12としては、エポキシ系樹脂、アクリル
系樹脂、フェノール系樹脂から選択される少なくとも1種を含む粘接着剤等を使用するこ
とができる。この他、ポリイミド系樹脂やシリコーン系樹脂を使用することもできる。そ
の厚さは適宜設定してよいが、5〜100μm程度が好ましい。
【0037】
(粘着フィルム)
本発明の粘着フィルム13は、上述のように、ダイシング用のリングフレームの形状に
対応する円形ラベル部13aと、その外側を囲むような周辺部13bとを有する。このよ
うな粘着フィルムは、プリカット加工により、フィルム状粘着剤から円形ラベル部13a
の周辺領域を除去することで形成することができる。
【0038】
粘着フィルム13としては、特に制限はなく、ウエハをダイシングする際にはウエハが
剥離しないように十分な粘着力を有し、ダイシング後にチップをピックアップする際には
容易に接着剤層から剥離できるよう低い粘着力を示すものであればよい。例えば、基材フ
ィルムに粘着剤層を設けたものを好適に使用できる。
【0039】
粘着フィルム13の基材フィルムとしては、従来公知のものであれば特に制限すること
なく使用することができるが、後述の粘着剤層として放射線硬化性の材料を使用する場合
には、放射線透過性を有するものを使用することが好ましい。
【0040】
例えば、その材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体
、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのα−オレフィンの単独重合体または共重合
体あるいはこれらの混合物、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテ
ン系共重合体、ポリアミド−ポリオール共重合体等の熱可塑性エラストマー、およびこれ
らの混合物を列挙することができる。また、基材フィルムはこれらの群から選ばれる2種
以上の材料が混合されたものでもよく、これらが単層又は複層化されたものでもよい。
基材フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、50〜
200μmが好ましい。
【0041】
粘着フィルム13の粘着剤層に使用される樹脂としては、特に限定されるものではなく
、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0042】
粘着剤層の樹脂には、アクリル系粘着剤、放射線重合性化合物、光重合開始剤、硬化剤
等を適宜配合して粘着剤を調製することが好ましい。粘着剤層の厚さは特に限定されるも
のではなく適宜に設定してよいが、5〜30μmが好ましい。
【0043】
放射線重合性化合物を粘着剤層に配合して放射線硬化により接着剤層から剥離しやすく
することができる。その放射線重合性化合物は、例えば光照射によって三次元網状化しう
る分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分量化合物が用い
られる。
【0044】
具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒ
ドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブ
チレングリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレートや、オリゴエステルアクリレート等が適用可能である。
【0045】
また、上記のようなアクリレート系化合物のほかに、ウレタンアクリレート系オリゴマ
ーを用いることもできる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型または
ポリエーテル型などのポリオール化合物と、多価イソシアナート化合物(例えば、2,4
−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレン
ジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4−ジ
イソシアナートなど)を反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに
、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいはメタクリレート(例えば、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピル
アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリ
レート、ポリエチレングリコールメタクリレートなど)を反応させて得られる。
粘着剤層には、上記の樹脂から選ばれる2種以上が混合されたものでもよい。
【0046】
光重合開始剤を使用する場合、例えばイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベ
ンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ドデシ
ルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチ
ルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェ
ニルプロパン等を使用することができる。これら光重合開始剤の配合量はアクリル系共重
合体100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
【0047】
(粘着テープ)
粘着テープ(第1粘着テープ14a、第2の粘着テープ14b)としては、例えば、樹
脂フィルム基材に粘接着剤を塗布した粘接着テープを好適に使用することができる。粘接
着テープの基材樹脂としては、耐熱性、平滑性、及び、入手し易さの点から、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)及びポリエステルが好ましい。粘接着テープの粘着剤の組成
及び物性については、特に限定はなく、ウエハ加工用テープ10の巻き取り工程及び保管
工程において、フィルム11から剥離しないものが好ましい。
【0048】
以上の通り、本実施形態のウエハ加工用テープの長尺体によれば、切断されたウエハ加
工用テープを粘着テープを用いて接合する際に、粘着テープ14bがフィルム11の端部
から接着剤層12までの領域Hに貼り付ける。その結果、継ぎ部の段差によって生じる接
着剤層への転写痕の発生がないことから、接着剤層と半導体ウエハとの接着不良により、
ウエハの加工時に不具合が生じることを防止することができる。
【符号の説明】
【0049】
10,20,40:ウエハ加工用テープ
11,11a,21,41:フィルム
12,22,32,42:接着剤層
13:粘着フィルム
13a,23a,33a,43a:円形ラベル部
13b,23b,43b:周辺部
14a,44a,:第1の粘着テープ
14b,44b:第2の粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のフィルムと、前記フィルムの第1の面上に設けられた所定の平面形状を有する接
着剤層と、
前記接着剤層を覆い、かつ、前記接着剤層の周囲で前記フィルムに接触するように設けら
れた所定の平面形状を有するラベル部と、前記ラベル部の外周を囲むように設けられた周
辺部とを有する粘着フィルムとからなるウエハ加工用テープの長尺体であって、
複数のウエハ加工用テープ同士を長手方向に接続する継ぎ部を有しており、
前記継ぎ部は、前記フィルムの第1の面と反対側の第2の面同士を第1の粘着テープによ
り貼り合わせ、前記複数のウエハ加工用テープの互いの前記周辺部同士を第2の粘着テー
プにより貼り合わせることにより形成されており、
前記第2の粘着テープは、前記フィルムの長手方向と平行な前記接着剤層の外接線よりも
端部側にのみ設けられていることを特徴とするウエハ加工用テープの長尺体。
【請求項2】
前記継ぎ部は、長手方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする請求項1に記
載のウエハ加工用テープの長尺体。
【請求項3】
前記第1の粘着テープは、前記フィルムの第1の面と、前記周辺部とに貼られていること
を特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のウエハ加工用テープの長尺
体。
【請求項4】
前記第1の粘着テープは、前記フィルムの第1の面には貼られていないことを特徴とす
る請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のウエハ加工用テープの長尺体。
【請求項5】
前記第1及び前記第2の粘着テープの少なくとも一方は着色部材であることを特徴とす
る請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のウエハ加工用テープの長尺体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−187595(P2011−187595A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50041(P2010−50041)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】