説明

ウエブ巻き取り装置、ウエブ巻き取り方法及びウエブの製造方法

【課題】様々な厚みパターンのウエブに対しても巻ズレを抑制するとともに巻きシワの発生を抑制して巻き取ることができる巻き取り装置、巻き取り方法及びウエブの製造方法を提供する。
【解決手段】ウエブ供給手段から供給されたウエブを巻き取る巻き取りロールと、軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、ウエブが巻き取りロールに巻き取られる際に、ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転し、押出し手段の調整により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールと、巻き取りロールに巻き取られる前又は巻き取られた後のウエブの幅方向の厚さ分布を認定するウエブ厚認定手段と、ウエブ厚認定手段によって認定されたウエブの幅方向の厚さ分布に基づいて、押圧ロールの押出し手段を調整する押圧ロール調整手段と、を備えるウエブ巻き取り装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブ巻き取り装置、ウエブ巻き取り方法及びウエブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のフィルムを製造する場合、樹脂をフィルム状に成形した後、搬送ローラなど通じて巻き取り装置に連続的に送られ、円筒状の巻き芯(巻き取りロール)の周りにロール形状に巻き取られる。また、一旦ロール形状に巻き取られたフィルム原反を巻き戻して長手方向に裁断し、幅が狭いフィルムに加工した後、再度ロール形状に巻き取る場合もある。樹脂フィルムに限らず、紙、金属などの長尺のウエブ(帯状物)を製造する場合も同様に巻き取りロールに巻き取られる。
【0003】
巻き取りロールにウエブを巻き取る際、巻き圧が弱すぎると、巻き取り時または巻き取り後に、ロールに巻き取ったウエブがその幅方向にずれてしまう所謂巻きずれが発生するおそれがある。そこで、巻き取り中のウエブにテンション(巻き取り張力)を付与して巻き圧を強くすれば、巻きずれの発生を防止することができる。その一方、巻き圧を一定にしたままウエブを巻き取ると、巻き取りロール近くに巻かれたウエブは巻き締まりが生じてシワなどの欠陥が生じるおそれがある。
【0004】
また、ウエブを巻き取る際に空気(エア)の巻き込みを防ぐ方法として、ウエブが巻き取りロールに巻き取られる際にウエブに対して幅方向に沿って押圧ロール(「タッチロール」、「接圧ロール」などとも呼ばれる)で押圧しながら回転させて巻き取る方法がある。一般的に押圧ロールのたわみ量を補正するため、押圧ロール は中央部の直径を増した所謂クラウンロールを用いるにより巻きズレを効果的に防止することが報告されている。
ウエブロールの巻径に応じてウエブに付与する張力と押圧ロールによる押圧を制御することで、巻きズレ、巻き締まり、エアの巻き込みなどを抑制することができる。
【0005】
また、表面が滑らかなフィルムの巻きズレ等の欠陥を防ぐため、表面のゴム層が中央部から両端部に従って低下した押圧ロールが提案されている(特許文献1参照)。
一方、押圧ロールを用いずにフィルム巻き取り時のエアを除去するため、ロール状に巻き取られたフィルムロールの周面にエアを吹付けて押圧するエア吹付け手段を備えたフィルム巻き取り装置が提案されている(特許文献2参照)。
また、押圧ロール内部に幅方向に圧力変換素子を設け、巻取り中の接触圧力を電気信号として検出するとともに、ロール幅方向の接触圧力が常に一定となるように油圧シリンダーを制御して押圧ロールを強制的に撓ませる押圧ロールが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−229753号公報
【特許文献2】特開2005−96915号公報
【特許文献3】実用新案登録2503157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、押圧ロールはウエブに接する表面が硬いほどウエブの幅方向全体に接触し易く、エアの巻き込みを効果的に防ぐことができる。しかし、ウエブはその幅方向にわたって僅かに厚み斑があるため、ウエブの凹凸が巻き重なって局所的に厚くなった箇所に圧力が強くかかる結果、周方向の筋状の欠陥(「ゲージバンド,黒帯」と呼ばれる場合がある)が発生しやすい。
そのため、押圧ロールとしてクラウンロールを用いる場合、ウエブの幅方向の厚み斑により生じるゲージバンドの発生位置も考慮して押圧ロールの中央部の直径を適宜調整する必要がある。
【0008】
また、ウエブを巻き取ったウエブロールの巻き取り直径等によって押圧ロールの最適な硬度や形状は変化するが、ウエブロールの形態に応じて巻き取り中に押圧ロールの硬度や形状を変化させることは困難である。
押圧ロールの硬度に関してはウエブの厚みや厚みパターンに応じて押圧ロールを変更するにも、コストと交換時間の観点で押圧ロールの使用本数が制限される。
また、ウエブの厚み斑に応じて押圧ロールの直径を調整するには、ウエブの厚みパターン毎に押圧ロールを用意する必要があるため、コスト面で困難であり、ウエブの厚みパターンに応じた押圧ロールを準備することは実質的に不可能である。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、様々な厚みパターンのウエブに対しても巻ズレを抑制するとともに巻きシワの発生を抑制して巻き取ることができる巻き取り装置、巻き取り方法及びウエブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
<1> 長尺のウエブを供給するウエブ供給手段と、前記ウエブ供給手段から供給された前記ウエブを巻き取る巻き取りロールと、軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、前記ウエブが前記巻き取りロールに巻き取られる際に、該ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転し、前記押出し手段により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールと、前記巻き取りロールに巻き取られる前又は前記巻き取りロールに巻き取られた後のウエブの幅方向の厚さ分布を認定するウエブ厚認定手段と、前記ウエブ厚認定手段によって認定された前記ウエブの幅方向の厚さ分布に基づいて、前記押圧ロールの前記押出し手段を調整する押圧ロール調整手段と、を備えるウエブ巻き取り装置。
<2> 前記押圧ロールの押出し手段として内部の圧力が調整可能な室が設けられており、前記押圧ロール調整手段は前記室内の圧力を調整することにより前記押圧ロールの外径及び外周面の硬度を調整する<1>に記載のウエブ巻き取り装置。
<3> 前記ウエブ厚認定手段は、前記ウエブが前記巻き取りロールに巻き取られる前に該ウエブの厚さを幅方向の複数の位置において測定する手段を含む<1>又は<2>に記載のウエブ巻き取り装置。
<4> 前記押圧ロール調整手段は、前記押圧ロールの外周面が前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの形状に沿うように前記押圧ロールの外径を調整する<1>〜<3>のいずれかに記載のウエブ巻き取り装置。
<5> 前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの巻き取り数を測定する巻き取り数測定手段を備え、前記押圧ロール調整手段は、前記巻き取り数測定手段により測定された前記ウエブの巻き取り数に応じて前記押圧ロールの外周面の硬度を調整する手段である<1>〜<4>のいずれかに記載のウエブ巻き取り装置。
<6> 前記押圧ロール調整手段は、前記ウエブ供給手段から供給される前記ウエブの幅方向の複数の位置におけるそれぞれの厚さ及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出されるそれぞれの積算値と、前記ウエブの幅方向の複数の位置においてそれぞれ測定した厚さの平均値及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出される平均積算値との積算値差をそれぞれ算出し、前記ウエブの幅方向の複数の位置についてそれぞれ算出した前記積算値差に基づいて前記押圧ロールの幅方向に沿って該押圧ロールの外径の補正値を算出し、前記押圧ロールの外径の補正値に基づいて前記押圧ロールの押出し手段を調整する<1>〜<5>のいずれかに記載のウエブ巻き取り装置。
<7> 長尺のウエブを供給するウエブ供給工程と、前記ウエブ供給工程により供給されたウエブを巻き取りロールに巻き取る際に、軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、前記押出し手段の調整により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールにより前記ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転させて前記ウエブを前記巻き取りロールに巻き取るウエブ巻き取り工程と、前記巻き取りロールに巻き取られる前又は前記巻き取りロールに巻き取られた後のウエブの幅方向の厚さ分布を認定するウエブ厚認定工程と、前記ウエブ厚認定工程によって認定された前記ウエブの幅方向の厚さ分布に基づいて、前記押圧ロールの外径及び外周面の硬度を調整する押圧ロール調整工程と、を有するウエブ巻き取り方法。
<8> 前記押圧ロールの押出し手段として内部の圧力が調整可能な室が設けられており、前記押圧ロール調整工程において前記室内の圧力を調整することにより前記押圧ロールの外径及び外周面の硬度を調整する<7>に記載のウエブ巻き取り方法。
<9> 前記ウエブ厚認定工程は、前記ウエブを巻き取りロールに巻き取る前に該ウエブの厚さを幅方向の複数の位置において測定する工程を含む<7>又は<8>に記載のウエブ巻き取り方法。
<10> 前記押圧ロール調整工程は、前記押圧ロールの外周面が前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの形状に沿うように前記押圧ロールの外径を調整する工程を含む<7>〜<9>のいずれかに記載のウエブ巻き取り方法。
<11> 前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの巻き取り数を測定する巻き取り数測定工程を有し、前記押圧ロール調整工程は、前記巻き取り数測定工程により測定された前記ウエブの巻き取り数に応じて前記押圧ロールの外周面の硬度を調整する工程を含む<7>〜<10>のいずれかに記載のウエブ巻き取り方法。
<12> 前記押圧ロール調整工程は、前記巻き取りロールに巻き取られる前の前記ウエブの幅方向の複数の位置におけるそれぞれの厚さ及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出されるそれぞれの積算値と、前記ウエブの幅方向の複数の位置においてそれぞれ測定した厚さの平均値及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出される平均積算値との積算値差をそれぞれ算出する工程と、前記ウエブの幅方向の複数の位置についてそれぞれ算出した前記積算値差に基づいて前記押圧ロールの幅方向に沿って該押圧ロールの外径の補正値を算出する工程と、前記押圧ロールの外径の補正値に基づいて前記押圧ロールの押出し手段を調整する工程と、を有する<7>〜<11>のいずれかに記載のウエブ巻き取り方法。
<13> 長尺のウエブを形成する工程と、前記長尺のウエブを<7>〜<11>のいずれかに記載のウエブ巻き取り方法により前記巻き取りロールに巻き取る工程と、を有するウエブの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、様々な厚みパターンのウエブに対しても巻ズレを抑制するとともに巻きシワの発生を抑制して巻き取ることができる巻き取り装置、巻き取り方法及びウエブの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るウエブ巻き取り装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係るウエブ巻き取り装置に用いられる押圧ロールの構成の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係るウエブ巻き取り装置に用いられる押圧ロールの構成の他の例を示す概略断面図である。
【図4】ウエブの幅方向に沿った厚み斑の一例を示す図である。
【図5】ウエブを巻き取る際に押圧ロール内部の室内の圧力を調整するフローの一例を示す図である。
【図6】ウエブを巻き取る際に押圧ロール内部の室内の圧力を調整するフローの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るウエブの巻き取り装置、巻き取り方法及び製造方法について詳細に説明する。
【0014】
本発明のウエブ巻き取り方法は、
長尺のウエブを供給するウエブ供給工程と、前記ウエブ供給工程により供給されたウエブを巻き取りロールに巻き取る際に、軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、前記押出し手段の調整により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールにより前記ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転させて前記ウエブを前記巻き取りロールに巻き取るウエブ巻き取り工程と、前記巻き取りロールに巻き取られる前又は前記巻き取りロールに巻き取られた後のウエブの幅方向の厚さ分布を認定するウエブ厚認定工程と、前記ウエブ厚認定工程によって認定された前記ウエブの幅方向の厚さ分布に基づいて、前記押圧ロールの外径及び外周面の硬度を調整する押圧ロール調整工程と、を有する。
【0015】
上記方法によれば、ウエブの厚みパターンに関わらず、押圧ロールを交換することなく、様々な厚み、厚みパターンのフィルムに対し厚みに応じてウエブの巻き取り開始時や巻き取り中に押圧ロールの表面形状及び硬度を調整することにより、巻き取りロールに対して面圧を均一に保持できるため巻ズレを抑制することができる。さらに面圧を均一にすることにより表面の弱い処方を有するフィルムにおいてもロール跡の発生を防ぐことができる。また、押圧(タッチ圧)を低めに設定しても巻ズレを防止できるため、例えば内部に発生するシワの発生を防止することができる。また、面圧を下げても巻ズレを防止できるため、ゆる巻き状態でも巻ズレを防止できる。その結果、経時でのシワ発生を抑制して巻き取ることができる。また、面圧を抑えられるため表面の弱いフィルムにおいてもロール写りや縦筋の発生を抑制できる。また、巻ズレ防止効果が高いため高速搬送が可能になる。
【0016】
本発明のウエブ巻き取り方法を実施する際に用いる巻き取り装置は特に限定されるものではないが、軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、前記ウエブが前記巻き取りロールに巻き取られる際に、該ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転し、前記押出し手段により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールを備えた巻き取り装置を好適に用いることができる。
【0017】
すなわち、本発明に係るウエブ巻き取り装置は、
長尺のウエブを供給するウエブ供給手段と、
前記ウエブ供給手段から供給された前記ウエブを巻き取る巻き取りロールと、
軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、前記ウエブが前記巻き取りロールに巻き取られる際に、該ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転し、前記押出し手段により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールと、
前記巻き取りロールに巻き取られる前又は前記巻き取りロールに巻き取られた後のウエブの幅方向の厚さ分布を認定するウエブ厚認定手段と、
前記ウエブ厚認定手段によって認定された前記ウエブの幅方向の厚さ分布に基づいて、前記押圧ロールの前記押出し手段を調整する押圧ロール調整手段と、を備える。
【0018】
ここで、ウエブ供給手段としては、例えば、ウエブを製造する装置であってもよいし、製造されたウエブが一旦ロール状に巻き取られたものでもよい。
また、押出しロールの押出し手段としては、押出しロールの外周面を内側から径方向に押出すことができれば特に限定されず、気体、液体による圧力を利用したものや、機械的に押し広げるものなどが挙げられる。特に、押圧ロールの押出し手段として内部の圧力が調整可能な室が設けられている押圧ロールが好ましい。
また、本発明のウエブ巻き取り装置は、上記以外の手段を設けてもよく、例えば、ウエブ供給手段から供給されたウエブを巻き取る前に、幅が狭い複数のウエブに裁断する裁断手段(スリッタ)を設けることができる。
以下、本発明の具体例として、ロール状に巻き取られた幅広のフィルム原反を巻き戻して長手方向に裁断することにより幅の狭い光学用フィルムとして巻き取る場合について説明する。
【0019】
<巻き取り装置>
図1は、本発明に係るフィルム巻き取り装置の構成の一例を概略的に示している。図1に示す巻き取り装置100は、フィルム原反がロール状に巻き取られた原反ロール1、搬送ロール2、スリッタ3、巻き取りロール(巻き芯)14、押圧ロール21等を備え、幅広のフィルム原反10を巻き戻して長手方向に裁断することによって幅が狭い光学用フィルム10A,10Bにして巻き取る。
【0020】
図2は、本発明で用いる押圧ロールの一例について軸方向の断面を概略的に示している。この押圧ロール21Aは、円筒状の押圧ロール本体23と、押圧ロール本体23の両端(鍔部27)に設けられた軸22とを備えている。
押圧ロール本体23は、剛性を有する材料、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属から構成される。
押圧ロール本体23の外周面には、フィルム10A,10Bと接触するゴム等の弾性材料で構成された弾性体層25が設けられている。
押圧ロール本体23の外周部と弾性体層25は、各室28A,28B,28C内の圧力の調整によってそれぞれ変形することができ、巻き取りロール14に巻き取られるフィルム10A,10Bを押圧してエアの巻き込みを排除する効果が得られるような厚さにする。
【0021】
押圧ロール本体23の内部は空洞となっており、中央部付近にはゴム等の弾性材料で構成されたロール状の中空部材24が設けられている。中空部材24の両側もそれぞれ密閉空間が形成されている。このような構成により、押圧ロール本体23の内部は、それぞれ独立した密閉空間として軸方向に沿って3つの室28A,28B,28Cが配置されている。
【0022】
また、押圧ロール21Aには、圧力調整手段26A,26B,26Cが設けられている。圧力調整手段26A,26B,26Cはそれぞれ圧力ゲージを備え、押圧ロール21Aの軸22を通る管を介して各室28A,28B,28C内にそれぞれ通じている。圧力調整手段26A,26B,26Cと押圧ロール本体23との接続には、ロータリージョイントを用いることができる。これにより、両軸22は回転せずに押圧ロール21Aを回転させることができる。
【0023】
中空部材24の内部は密閉された室(空間)28Aであるため、圧力調整手段26Aによって、例えば、気体や液体の供給又は排出することで内圧が独立して調整され、膨張又は収縮する。そのため、室28A内の圧力を調整することによって、押圧ロール21Aの中央部付近は径方向に変動させることができる。また、室28A内の圧力を調整することによって押圧ロール21Aの外周面の硬度も調整することができる。また、中空部材24の両側に位置する各室28B,28Cも圧力調整手段26B,26Cによってそれぞれ室内の圧力を調整することで押圧ロール21Aの外径を変化させることができるとともに押圧ロール21Aの外周面の硬度も調整することができる。
【0024】
このように押圧ロール21Aは、各室内の圧力を調整することにより各室28A,28B,28Cが配置されている位置ごとに外径及び外周面の硬度が変化可能となっている。例えば室28Aの内圧を両側の室28C,28Bの内圧よりも高めることで点線Aに示すように中央部付近で外径が大きいクラウンロールに変化させることできる。また、各室28A,28B,28Cの内圧を高めることで点線Bに示すように全体的に外径が大きくなるとともに、外周面の硬度を高めることができる。
【0025】
なお、押圧ロール21Aの弾性体層25は一層に限らず、複数の層で構成してもよい。
また、各室内の圧力に応じて弾性体層25が変動し易いように、押圧ロール本体23の外周部及び弾性体層25の一方が押圧ロール21Aの周方向に分割されている構成としてもよい。
【0026】
押圧ロール本体23の内部に独立して設ける中空部材24の数も特に限定されず、2つ以上設けてもよい。例えば、図3に示すように、押圧ロール本体23の内側にそれぞれ中空部材で構成された複数の室(図3では8室)24A〜24Hを軸方向に配置して各室の内圧が独立して調整できるように構成すれば、押圧ロール21Bの外径及び硬度を軸方向に沿ってより細かく調整することができる。
【0027】
また、図2及び図3に示す押圧ロール21A,21Bでは押圧ロール本体23の両端に軸22がそれぞれ設けられているが、このような構成に限定されない。例えば、押圧ロール本体23の内部を貫通する軸を設け、軸の周囲を囲む環状の中空部材を1つ又は2つ以上、軸方向に配置することで互いに独立して圧力調整が可能な複数の室を設けてもよい。
【0028】
また、各室内の圧力管理に使用する圧力ゲージの数も限定されず、図2、図3に示すように各室にそれぞれ設けてもよいし、複数の室に対して1つの圧力ゲージを設けてもよい。また、使用前に圧力を計測する場合と、運転中に圧力を調整することができる。
【0029】
<巻き取り方法>
次に、上記のような構成の押圧ロールを備えた巻き取り装置によって、フィルム原反を巻き戻し、長手方向に2本に裁断して得た光学用フィルムを巻き取る方法について図1を参照しながら具体的に説明する。なお、フィルム原反を裁断して巻き取る製品フィルムの数は特に限定されるものではなく、3本以上に裁断する場合も本発明を好適に適用することができる。
【0030】
まず、巻き戻し部の原反ロール1からフィルム原反10が供給される(ウエブ供給工程)。フィルム原反10は、製品となる光学用フィルム10A,10Bよりも広い幅で帯状に形成されており、巻き芯13にロール状に巻回された状態で巻き戻し部に装着されている。フィルム原反10としては、通常、PET(Polyethylene Terephthalate)やTAC(Triacetylcellulose)が主に使用され、例えば、溶液製膜によって製造されるが、本発明ではフィルムの材質や製法は限定されない。
【0031】
ロール状に巻かれたフィルム原反10は、フィードローラ20を駆動することによって巻き戻し部の原反ロール1から連続的に巻き戻されてスリッタ3に向けて搬送される。フィードローラ20は、フィルム原反10を走行させるためのローラであり、例えば、サクションドラムが使用される。サクションドラムは、フィルム原反10を表面に吸着しながら回転するドラムであり、ドラムの表面には、フィルム原反10の保持力を増加させるための溝が形成される場合がある。なお、フィードローラ20として、フィルム原反10を挟圧して搬送する一対のニップローラなど、他の公知のフィード手段を用いてもよい。
【0032】
巻き戻し部から送り出されたフィルム原反10は、複数のガイドローラ2にガイドされながらスリッタ3に送られる。スリッタ3は、回転上刃6と回転下刃5とによってフィルム原反10を長手方向(搬送方向)に1〜3本に裁断し、規定の幅寸法(例えば1350mm)に形成するように構成されている。
【0033】
裁断後の2つのフィルムは、それぞれパスローラ12に巻き掛けられた後、それぞれフィードローラ20と同期して回転する巻き取りロール14に巻き取られる(ウエブ巻き取り工程)。
押圧ロール21は巻き取りロール14に巻き取られるフィルム10A,10Bの直前に配置されており、油圧シリンダー等の押圧手段(不図示)によって押圧ロール21が幅方向に沿ってフィルム10A,10Bを押圧するとともに巻き取りロール14の回転によるフィルム10A,10Bの巻き取りに伴って回転する。
【0034】
このように押圧ロール21で押圧しながらフィルム10A,10Bを巻き取りロール14に巻き取る際、巻き取りロール14に巻き取られる前又は巻き取りロール14に巻き取られた後のフィルムの幅方向の厚さ分布に基づいて、押圧ロール21の外径及び外周面の硬度を調整する(押圧ロール調整工程)。
【0035】
フィルム10A,10Bの幅方向の厚さ分布は、フィルム原反10の製造段階、フィルム原反10を送り出す段階、フィルム原反10を裁断した後の段階、あるいは、裁断したフィルム10A,10Bを巻き取った後の段階でフィルム幅方向の厚さ分布を認定すればよい(フィルム厚認定工程)。
【0036】
例えば、フィルム原反10を製造する際に幅方向の厚さ分布を予め測定しておき、そのフィルム原反10の厚さ分布から裁断後のフィルム10A,10Bのぞれぞれの幅方向の厚さ分布を認定することができる。
また、フィルム原反10を送り出す位置又は裁断後のフィルム10A,10Bが巻き取りロール14に巻き取られる前に、厚さ測定手段を設けておき、幅方向の複数の位置においてフィルム原反10又は製品フィルム10A,10Bの厚みを測定して幅方向の厚み分布を認定してもよい。フィルムの厚さを測定する手段としては、例えば、X線式、光干渉方式などを採用することができる。
あるいは、巻き取りロール14に巻き取られた後のフィルム10A、10Bの形状、すなわち、フィルムロール11A,11Bの表面形状からそれぞれフィルム10A、10Bの幅方向の厚さ分布を認定することもできる。
【0037】
例えば、押圧ロール21の外周面が巻き取りロール14に巻き取られたフィルム11A,11Bの形状に沿うように押圧ロール21の各室内の圧力を調整する。これにより、フィルム10A,10Bが巻き取られたロール形状にゲージバンドの発生を抑制することができ、また、ゲージバンドが生じていても、巻き取りロール14に巻き取られるフィルム10A,10Bの幅方向全体にわたり押圧ロール21によって略均一に面圧を付与することでき、巻きズレを防ぐとともにエアの巻き込みや巻きシワの発生を効果的に抑制することができる。
【0038】
また、巻き取りロール14に巻き取られたフィルム10A,10Bの巻き取り数Nを測定する巻き取り数測定手段を設けておき、フィルム10A,10Bの巻き取り数に応じて押圧ロール21の外周面の硬度を調整してもよい。押圧ロール21の各室内の圧力を全体的に高めるとともに相対的に圧力差をつければ、硬度が高く、かつ、巻き取りロール14に巻き取られたフィルム11A,11Bの表面形状に沿った外径に調整することができる。例えば、フィルム10A,10Bの巻き取り数が増大するに従って押圧ロール21の硬度を小さくしていけば、巻きズレ、エアの巻き込み、巻きシワのほか、巻き締りも効果的に抑制することができる。
【0039】
図4(A)はフィルム(ウエブ)の幅方向における厚み分布を示し、図4(B)は押圧ロール21を概略的に示している。まず、図4(A)に示すようにフィルムの幅方向に沿ってフィルムの厚みを認定し、フィルムの全幅Wにおける厚みの平均値taveと押圧ロール21の各圧力調整室の幅Xごとにフィルムの厚みの平均値tを認定する。そして全体の平均値taveと各位置の平均値tから各位置において押圧ロール21の外径の補正値を算出し、押圧ロール21が幅方向全体Wにわたって適切な外径となるように各室の圧力を補正すればよい。
【0040】
押圧ロール調整は、例えば、前記巻き取りロールに巻き取られる前の前記ウエブの幅方向の複数の位置におけるそれぞれの厚さ及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出されるそれぞれの積算値と、前記ウエブの幅方向の複数の位置においてそれぞれ測定した厚さの平均値及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出される平均積算値との積算値差をそれぞれ算出する工程と、
前記ウエブの幅方向の複数の位置についてそれぞれ算出した前記積算値差に基づいて前記押圧ロールの幅方向に沿って該押圧ロールの外径の補正値を算出する工程と、
前記押圧ロールの外径の補正値に基づいて前記押圧ロールの押圧手段、すなわち本実施形態では室内の圧力を調整する工程と、により行うことができる。
【0041】
図5は、ウエブを巻き取る際に押圧ロールの室内の圧力を調整するフローの一例を示している。
まず、ウエブ原反の製膜時の厚みの平均値を計測しておくか、ウエブ原反の送り出し部においてウエブの厚さを1回計測し、巻き取りロール14に巻き取られる前のウエブの幅方向において、押圧ロール21の各室に相当する各位置nの厚さtを認定する。
【0042】
次いで、押圧ロール21の各室に相当する位置におけるウエブの厚さtと巻き取りロール14に巻き取られたウエブの巻き取り数(巻き数)Nから算出されるそれぞれの積算値Σt(=t×N)と、ウエブの幅方向の厚さの平均値taveと巻き取りロール14に巻き取られたウエブの巻き取り数Nから算出される平均積算値Σtave(=tave×N)から各位置における積算値差(Σt−Σtave)をそれぞれ算出する。
【0043】
そして、ウエブの幅方向の各位置についてそれぞれ算出した積算値差(Σt−Σtave)に基づいて押圧ロール21の幅方向に沿って該押圧ロール21の外径の補正値ΔDanを算出する(ΔDan=(Σt−Σtave)*K)。なお、押圧ロールの外径の補正値ΔDanを算出する際、巻き取られる前のウエブの厚さと巻き取られた後のウエブの厚さは異なることなどを考慮して係数Kを用いる。
【0044】
次いで、押圧ロール21の外径の補正値ΔDanに基づいて押圧ロール21の室内の圧力を調整する。押圧ロールの圧力調整室の内圧を上昇させることでその室に相当する位置の外径が大きくなるため、係数Kを用いることで外径の補正値ΔDanから上昇すべき圧力ΔPanを算出して(ΔPan=ΔDan*K)、特定の室内の圧力を上昇させる。
【0045】
巻き取りロール14に巻き取ったウエブのロール11A,11Bの直径Dが最大設定値Dmax未満であれば、上記工程に従って押圧ロール21の圧力調整を繰り返し行い、最大設定値Dmax以上となったときに巻き取り運転を停止する。
【0046】
図6は、ウエブを巻き取る際に押圧ロールの室内の圧力を調整するフローの他の例を示している。
ウエブの幅方向の厚み斑は常に一定とは限らないため、ここでは、ウエブ原反の製膜時に常時測定したウエブの厚さを用いるか、送り出し部において常時測定したウエブの厚さを用い、押圧ロール21の各々の室に相当する位置nにおいて、常時測定したウエブの厚さtに基づいて巻き取りロールに巻き取られるウエブの積算値を算出する。すなわち、押圧ロール21の特定の室の位置nにおいて、ウエブの巻き取り数N−1のときの積算値がΣtn(N-1)である場合、その位置で次に巻き取られるN番目のウエブの厚みがtn(N)であれば、その位置での積算値はΣtn(N)=tn(N)+Σtn(N-1)として算出される。このような方法によって押圧ロール21の各々の室に相当する位置nにおけるウエブの巻き取り厚さを算出し、押圧ロールの各室の外径補正値ΔDan及びΔPanを算出して各質の圧力を制御すれば、押圧ロール21の外径を巻き取ったロール11A,11Bの表面形状に沿ってより高精度に調整することができる。
【0047】
<ウエブの製造方法>
以上の説明では、一旦巻き取られたフィルム原反を巻戻して幅の狭いフィルムに裁断した後で巻き取る場合について説明したが、本発明のウエブの巻き取り方法は、ウエブの製造方法としても適用することができる。
すなわち、長尺のウエブを形成する工程と、前記長尺のウエブを前記ウエブ巻き取り方法により前記巻き取りロールに巻き取る工程と、を有するウエブの製造方法である。
【0048】
長尺のウエブを形成する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、二軸延伸フィルムを製造する場合、ポリエステル樹脂等の原料樹脂を押出し機によって溶融し、ダイから冷却ロール上に押出した後、縦横に延伸してフィルム状に形成する。その後、搬送ローラなど通じて本発明に係る押圧ロールを備えた巻き取り装置によって押圧ロールの外径及び硬度を調整しながら巻き取ることで、フィルムの幅方向に厚み斑が生じていても巻ズレを抑制して巻き取ることができ、巻きシワの発生が抑制されたフィルムロールを得ることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
以下のような条件でポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムの巻き取りテストを行った。押圧ロールの硬度は、アスカーゴム硬度計による値である。
<テスト1>
フィルム厚み188μm、厚み斑5μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度50°とし、押圧ロール外径120mmのストレート形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは4〜6mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドが発生した。
【0051】
<テスト2>
フィルム厚み188μm、厚み斑1μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度50°とし、押圧ロール外径120mmのストレート形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは0〜1.5mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドは発生しなかった。
【0052】
<テスト3>
フィルム厚み188μm、厚み斑5μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度30°とし、押圧ロール外径120mmのストレート形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは2〜3mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドはほぼ発生しなかった。
【0053】
<テスト4>
フィルム厚み188μm、厚み斑1μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度30°とし、押圧ロール外径120mmのストレート形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは2〜3mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドは発生しなかった。
【0054】
<テスト5>
フィルム厚み188μm、厚み斑5μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度30°とし、押圧ロール外径120+0.6mmのクラウンロール形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは6〜9mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドが発生した。
【0055】
<テスト6>
フィルム厚み188μm、厚み斑5μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度50°とし、内部構造は幅方向に7分割されそれぞれ圧力管理可能な物を使用した。押圧ロール外径120+0.4mmの積算厚みパターンに応じた凸凹形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは1〜2mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドは発生しなかった。
【0056】
<テスト7>
フィルム厚み188μm、厚み斑1μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度50°とし、内部構造は幅方向に7分割されそれぞれ圧力制御可能な物を使用した。押圧ロール外径120+0.1mmの積算厚みパターンに応じた凸凹形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは0〜0.5mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドは発生しなかった。
【0057】
<テスト8>
フィルム厚み188μm、厚み斑5μmのPETを用い、搬送速度100m/min、巻き取テンション400N/mにてテストした。押圧ロールは硬度50°とし、内部構造は幅方向に7分割されそれぞれ圧力管理可能な物を使用した。押圧ロール外径120+0.4mmの積算厚みパターンに応じた凸凹形状にてテストを行った。
テストを5回行った結果、巻ズレは0〜0.5mmの範囲の巻ズレが生じた。また、外観品質ではゲージバンドは発生しなかった。
【0058】
結果を表1に示す。なお、巻ズレ及びゲージバンドの発生の評価基準は以下の通りである。
‐巻ズレ‐
○:0〜2mm
△:2〜4mm
×:4mm超
【0059】
‐ゲージバンド‐
○:未発生
△:わずかに発生
×:発生
【0060】
【表1】



【符号の説明】
【0061】
1 原反ロール
2 搬送ローラ
3 スリッタ
5 回転下刃
6 回転上刃
10 フィルム原反
10A,10B 裁断後のフィルム(製品フィルム)
11A,11B フィルムロール
12 パスローラ(搬送ローラ)
13 巻き芯
14 巻き取りロール
20 フィードローラ
21 押圧ロール
22 軸
23 押圧ロール本体
24 中空部材
25 弾性体層
26A,26B,26C 圧力調整手段
27 鍔部
28A,28B,28C 室(圧力調整室)
100 巻き取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のウエブを供給するウエブ供給手段と、
前記ウエブ供給手段から供給された前記ウエブを巻き取る巻き取りロールと、
軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、前記ウエブが前記巻き取りロールに巻き取られる際に、該ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転し、前記押出し手段により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールと、
前記巻き取りロールに巻き取られる前又は前記巻き取りロールに巻き取られた後のウエブの幅方向の厚さ分布を認定するウエブ厚認定手段と、
前記ウエブ厚認定手段によって認定された前記ウエブの幅方向の厚さ分布に基づいて、前記押圧ロールの前記押出し手段を調整する押圧ロール調整手段と、
を備えるウエブ巻き取り装置。
【請求項2】
前記押圧ロールの押出し手段として内部の圧力が調整可能な室が設けられており、前記押圧ロール調整手段は前記室内の圧力を調整することにより前記押圧ロールの外径及び外周面の硬度を調整する請求項1に記載のウエブ巻き取り装置。
【請求項3】
前記ウエブ厚認定手段は、前記ウエブが前記巻き取りロールに巻き取られる前に該ウエブの厚さを幅方向の複数の位置において測定する手段を含む請求項1又は請求項2に記載のウエブ巻き取り装置。
【請求項4】
前記押圧ロール調整手段は、前記押圧ロールの外周面が前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの形状に沿うように前記押圧ロールの外径を調整する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のウエブ巻き取り装置。
【請求項5】
前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの巻き取り数を測定する巻き取り数測定手段を備え、
前記押圧ロール調整手段は、前記巻き取り数測定手段により測定された前記ウエブの巻き取り数に応じて前記押圧ロールの外周面の硬度を調整する手段である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のウエブ巻き取り装置。
【請求項6】
前記押圧ロール調整手段は、
前記ウエブ供給手段から供給される前記ウエブの幅方向の複数の位置におけるそれぞれの厚さ及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出されるそれぞれの積算値と、前記ウエブの幅方向の複数の位置においてそれぞれ測定した厚さの平均値及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出される平均積算値との積算値差をそれぞれ算出し、
前記ウエブの幅方向の複数の位置についてそれぞれ算出した前記積算値差に基づいて前記押圧ロールの幅方向に沿って該押圧ロールの外径の補正値を算出し、
前記押圧ロールの外径の補正値に基づいて前記押圧ロールの押出し手段を調整する請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のウエブ巻き取り装置。
【請求項7】
長尺のウエブを供給するウエブ供給工程と、
前記ウエブ供給工程により供給されたウエブを巻き取りロールに巻き取る際に、軸方向に沿った複数の箇所の各々に外周面を径方向に押出す押出し手段が配置されており、前記押出し手段の調整により外径及び外周面の硬度が変化可能な押圧ロールにより前記ウエブの幅方向に沿って押圧しながら回転させて前記ウエブを前記巻き取りロールに巻き取るウエブ巻き取り工程と、
前記巻き取りロールに巻き取られる前又は前記巻き取りロールに巻き取られた後のウエブの幅方向の厚さ分布を認定するウエブ厚認定工程と、
前記ウエブ厚認定工程によって認定された前記ウエブの幅方向の厚さ分布に基づいて、前記押圧ロールの外径及び外周面の硬度を調整する押圧ロール調整工程と、
を有するウエブ巻き取り方法。
【請求項8】
前記押圧ロールの押出し手段として内部の圧力が調整可能な室が設けられており、前記押圧ロール調整工程において前記室内の圧力を調整することにより前記押圧ロールの外径及び外周面の硬度を調整する請求項7に記載のウエブ巻き取り方法。
【請求項9】
前記ウエブ厚認定工程は、前記ウエブを巻き取りロールに巻き取る前に該ウエブの厚さを幅方向の複数の位置において測定する工程を含む請求項7又は請求項8に記載のウエブ巻き取り方法。
【請求項10】
前記押圧ロール調整工程は、前記押圧ロールの外周面が前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの形状に沿うように前記押圧ロールの外径を調整する工程を含む請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のウエブ巻き取り方法。
【請求項11】
前記巻き取りロールに巻き取られたウエブの巻き取り数を測定する巻き取り数測定工程を有し、
前記押圧ロール調整工程は、前記巻き取り数測定工程により測定された前記ウエブの巻き取り数に応じて前記押圧ロールの外周面の硬度を調整する工程を含む請求項7〜請求項10のいずれか一項に記載のウエブ巻き取り方法。
【請求項12】
前記押圧ロール調整工程は、
前記巻き取りロールに巻き取られる前の前記ウエブの幅方向の複数の位置におけるそれぞれの厚さ及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出されるそれぞれの積算値と、前記ウエブの幅方向の複数の位置においてそれぞれ測定した厚さの平均値及び前記巻き取りロールに巻き取られた前記ウエブの巻き取り数から算出される平均積算値との積算値差をそれぞれ算出する工程と、
前記ウエブの幅方向の複数の位置についてそれぞれ算出した前記積算値差に基づいて前記押圧ロールの幅方向に沿って該押圧ロールの外径の補正値を算出する工程と、
前記押圧ロールの外径の補正値に基づいて前記押圧ロールの押出し手段を調整する工程と、
を有する請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載のウエブ巻き取り方法。
【請求項13】
長尺のウエブを形成する工程と、
前記長尺のウエブを請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載のウエブ巻き取り方法により前記巻き取りロールに巻き取る工程と、
を有するウエブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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