説明

エアシャワー装置

【構成】 装置本体内に設けられた通路を物体等の通過時には通路側壁に開口したジェット気流噴出口より通路内へ高速ジェット気流を噴出し、定常時には天井に開口した循環気流吹出口より通路内へ清浄気流をダウンフローして循環送風するようにし、通路の下部に開口するリターン空気流吸込口とジェット気流噴出口との間にまたがって通路の側方に画成した側部風胴内に高・低速切り換え運転可能な送風機、およびフィルタを配備すると共に循環気流吹出口を含む天井側に画成した上部風胴と前記側部風胴との間を連通させたエアシャワー装置において、前記天井9に開口したジェット気流噴出口4bを配備すると共に、前記循環気流吹出口10に物体等の通過時には吹出口10を閉塞し、定常時には吹出口10を開放するシャッタ13を配備した。
【効果】 装置全体を小型、コンパクト化し、また、設備費の低減化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クリーンルームに通じる入口通路に据え付けて、装置本体内に設けられた通路を通過する人体、物体等の表面に付着している塵埃を払い落とす機能と、人体、物体等が非通過の定常時には通路内空気を清浄維持する機能を備えたエアシャワー装置に関する。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】従来、この種のエアシャワー装置は実公昭58−11433号の如く、清浄空気送風用の送風機と高速ジェット気流送風用の送風機を別々に分けて設置されており、これに伴い個別の風胴内通路の仕切隔壁が必要となり、設備面で装置に組まれる使用機器の数を増す他、装置全体が大型化して設備費が嵩み、しかも装置が大型化すると現地への搬入、施工面でも種々の制約が加わるようになる。このため装置の小型コンパクト化のねらいで特開昭64−63087号の如く、高・低速切り換え運転可能な送風機を配備すると共に循環気流吹出口を含む天井側に画成した上部風胴と側部風胴との間を連通させ、かつ風胴間の連通箇所に送風機の高速運転時に閉じ、低速運転時に開放する開閉動作をするエアダンパを配備したものが提案された。ところが人体、物体等の通過時に天井から気流が吹き出さないために頭部の塵埃を効率よく落とすことができないという問題があった。また、ジェット気流は人に付着した塵埃を高速で吹き飛ばす必要からその吹出口は狭くしてノズルにし、循環気流は室内の塵埃を捕捉し、室内の清浄度を高める必要から吹出口は天井面全体から室内へ下方向の低速気流とする。このため同一天井面に循環気流吹出口とジェット気流噴出口を同時に設けることは困難であるという問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明のエアシャワー装置は、前記問題点を解決するべく、クリーンルームに通じる入口通路に据え付け、装置本体内に設けられた通路を通過する人体、物体等の表面に付着している塵埃を払い落とす機能と、人体、物体等が非通過の定常時には通路内空気を清浄維持する機能を備え、人体、物体等の通過時には通路側壁に開口したジェット気流噴出口より通路内へ高速ジェット気流を噴出し、定常時には天井に開口した循環気流吹出口より通路内へ清浄気流をダウンフローして循環送風するようにし、通路の下部に開口するリターン空気流吸込口とジェット気流噴出口との間にまたがって通路の側方に画成した側部風胴内に高・低速切り換え運転可能な送風機、およびフィルタを配備すると共に循環気流吹出口を含む天井側に画成した上部風胴と前記側部風胴との間を連通させたエアシャワー装置において、前記天井に開口したジェット気流噴出口を配備すると共に、前記循環気流吹出口に人体、物体等の通過時には吹出口を閉塞し、定常時には吹出口を開放するシャッタを配備したことを特徴とする。前記送風機は通路内を通過する人体、物体等の検知手段の検知信号を基に、人体、物体等の通過時には高速回転、定常時には低速回転に切り換え制御されるものであることが好ましい。また、前記循環気流吹出口に配備したシャッタは上部風胴の内圧に応動して開閉動作する風圧動作式であることが好ましい。更にまた、前記循環気流吹出口に配備したシャッタは送風機の運転速度切り換え信号に応動して開閉動作する電動操作式であることが好ましい。
【0004】
【作用】送風機、フィルタは高速ジェット気流および循環送風に共用されるものであり、送風機は通路内を通過する人体、物体等の検知手段の検知信号等を基に、人体、物体等の通過時には高速運転、非通過の定常時には低速運転に切り換え制御される。循環気流吹出口のシャッタは、上部風胴の内圧に応動するかまたは送風機の運転速度切り換え信号に応動して開閉動作する。人体、物体等が通過する場合は、検知手段の検知信号等を基に送風機が高速運転にされ、同時にシャッタが閉じる。従って側部風胴および上部風胴の圧力が高まり通路側壁に開口するジェット気流噴出口と天井に開口するジェット気流噴出口を通じて通路内へ高速ジェット気流が噴出して人体、物体等の表面より塵埃を払い落とす。一方、人体、物体等が通過しない定常状態では送風機は低速運転に切り換えられると共にシャッタが開放する。従ってフィルタ、側部風胴、上部風胴を経て送風された清浄空気流が低速で通路天井側に開口する循環気流吹出口および上部ジェット気流噴出口と側部ジェット気流噴出口を通じて室内にダウンフローするように循環送風され、これにより送風機の省電力化を図りつつ、最小限必要な風量で通路内の空気を清浄維持することができる。
【0005】
【実施例】図1は本発明の実施例によるエアシャワー装置全体の構成図、図2は図1のII−II線断面図、図3は図2の III−III 線断面図、図4は図2のIV−IV線断面図、図5乃至図7はエアシャワー装置の要部構成図である。図中1は装置本体を示し、該装置本体1内には人体、物体等を通過させる通路2が設けられ、該通路2の側壁3には側部ジェット気流噴出口4aが、また該側壁3の下部にはリターン空気流吸込口5が設けられている。また、これら側部ジェット気流噴出口4aとリターン空気流吸込口5との間にまたがって通路2の側方に側部風胴6が画成され、該側部風胴6の内部には高・低速切り換え運転可能な送風機7およびHEPAフィルタ8が配備されている。また、通路2の天井9には循環気流吹出口10と上部ジェット気流噴出口4bが設けられ、該天井9の上方に上部風胴11が画成され、該上部風胴11は前記側部風胴6に連通されている。
【0006】前記循環気流吹出口10は循環気流用仕切隔壁12で仕切られており、かつ該仕切隔壁12への通風窓12aにはシャッタ13が配備されている。このシャッタ13は前記送風機7の高速運転時に閉じ、低速運転時に開放動作するものであり、図5に詳しく示したとおり、天井9に開口された循環空気吹出口10の周囲を囲むように配備された循環気流用仕切隔壁12の通風窓12aに対応して、循環気流用仕切隔壁12内に固定されたバネ受け14aに一端を、他端をシャッタ13に固定したバネ14を介して、シャッタ13が配備されている。
【0007】ここで上部風胴11内部の風圧が高い状態では、シャッタ13が押し下げられて通風窓12aを閉塞するよう作動し、上部風胴11内部の風圧が低い状態ではバネ14の弾性力によりシャッタ13が押し上げられて通風窓12aが開放されるよう作動する。
【0008】図6は、シャッタ13の他の取り付け例を示すもので、通風窓12aを支点としてバランスウェイト15が装着されたシャッタ13が配備されるようにした。ここで上部風胴11内部の風圧が高い状態ではシャッタ13のバランスウェイト15の装着されていない側が押し下げられて通風窓12aを閉塞するように作動し、上部風胴11内部の風圧が低い状態ではバランスウェエイト15の重みでシャッタ13のバランスウェイト15の装着されていない側が押し上げられ通風窓12aが開放されるよう作動する。
【0009】図7は、シャッタ13の更なる他の取り付け例を示すもので、通風窓12aに対応して循環気流用仕切隔壁12内でかつ循環空気吹出口10と接するようにシャッタ13が配備され、シャッタ13は通風窓12aよりバネ16でつるされている。ここで上部風胴11内部の風圧が高い状態ではバネ16が伸ばされてシャッタ13が押し下げられ循環空気吹出口10を閉塞するように作動し、上部風胴11内部の風圧が低い状態ではバネ16の元に戻ろうとする弾性力でシャッタ13が押し上げられ循環空気吹出口10が開放されるよう作動する。
【0010】次に、前記構成によるエアシャワー装置の運転動作を説明する。エアシャワー装置の通路2を人体、物体等が通過すると扉スイッチ17および光電センサ18の検知信号を基に送風機7が高速運転となる。これによりリターン空気流吸込口5より吸い込まれた空気は送風機7、HEPAフィルタ8を経て側部風胴6内に吹き出す。しかもこの場合には送風機7の送風風圧が高いので前記シャッタ13が閉じ、従って側部風胴6内に吹き出た空気は側部ジェット気流噴出口4aを通じて高速ジェット気流として噴出すると共に、上部風胴11内に吹き出された空気は上部ジェット気流噴出口4bを通じて高速ジェット気流として噴出することにより、人体、物体等の表面に付着している塵埃を払い落とす。尚、リターン空気流は吸込口5より吸い込まれて送風機7に戻る。一方扉が閉じ、通路2内に人体、物体等が通過しない定常状態では、検知信号を基に送風機7が低速運転となる。従って上部風胴11の内圧が低下してシャッタ13が開放されて天井9の循環気流吹出口10、上部ジェット気流噴出口4bから通路2内へダウンフローすると共に側部ジェット気流噴出口4aから通路2内へ水平層流する。尚、通路2内に吹き出した空気流はリターン空気吸込口5を通じて送風機7に戻るように循環通風される。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、送風機を共用して高速ジェット気流および循環気流の送風を行うことができるため、装置の使用機器数を削減できかつ風胴内の通路仕切も簡略化して装置全体を小型、コンパクト化し、また、設備費の低減化を図ることができる。また、ジェット気流の噴出が側部だけでなく上部からも行うことができるため、人体の頭部の塵埃を効率よく捕捉することができる。しかもジェット気流噴出口と循環気流吹出口を同一面に配備するにもかかわらず、循環気流の吹出性能を阻害しないため従来と同様に定常時にエアシャワー室内の清浄度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるエアシャワー装置全体の構成図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】図2の III−III 線断面図
【図4】図2のIV−IV線断面図
【図5】前記エアシャワー装置の要部構成図
【図6】他実施例の要部構成図
【図7】更なる他実施例の要部構成図
【符号の説明】
1 装置本体
2 通路
3 側壁
4a 側部ジェット気流噴出口
4b 上部ジェット気流噴出口
5 リターン空気流吸込口
6 側部風胴
7 送風機
8 HEPAフィルタ
9 天井
10 循環気流吹出口
11 上部風胴
12 循環気流用仕切隔壁
12a 通風窓
13 シャッタ
14 バネ
14a バネ受け
15 バランスウェイト
16 バネ
17 扉スイッチ
18 光電センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 クリーンルームに通じる入口通路に据え付け、装置本体内に設けられた通路を通過する人体、物体等の表面に付着している塵埃を払い落とす機能と、人体、物体等が非通過の定常時には通路内空気を清浄維持する機能を備え、人体、物体等の通過時には通路側壁に開口したジェット気流噴出口より通路内へ高速ジェット気流を噴出し、定常時には天井に開口した循環気流吹出口より通路内へ清浄気流をダウンフローして循環送風するようにし、通路の下部に開口するリターン空気流吸込口とジェット気流噴出口との間にまたがって通路の側方に画成した側部風胴内に高・低速切り換え運転可能な送風機、およびフィルタを配備すると共に循環気流吹出口を含む天井側に画成した上部風胴と前記側部風胴との間を連通させたエアシャワー装置において、前記天井に開口したジェット気流噴出口を配備すると共に、前記循環気流吹出口に人体、物体等の通過時には吹出口を閉塞し、定常時には吹出口を開放するシャッタを配備したことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項2】 前記送風機が通路内を通過する人体、物体等の検知手段の検知信号を基に、人体、物体等の通過時には高速回転、定常時には低速回転に切り換え制御されることを特徴とする請求項1記載のエアシャワー装置。
【請求項3】 前記循環気流吹出口に配備したシャッタが上部風胴の内圧に応動して開閉動作する風圧動作式であることを特徴とする請求項1記載のエアシャワー装置。
【請求項4】 前記循環気流吹出口に配備したシャッタが送風機の運転速度切り換え信号に応動して開閉動作する電動操作式であることを特徴とする請求項1記載のエアシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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