説明

エアーコンディショナー用スプレー製品

【課題】エアーコンディショナー内部に付着・発生した汚れ・黴などを簡単に洗浄し、不快感を除去することができるエアーコンディショナー用スプレー製品を提供する。
【解決手段】有効成分を、噴射力49mN/5cm(5gf/5cm)以上で噴射することを特徴とするエアーコンディショナー用スプレー製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアーコンディショナー用スプレー製品に関する。さらに詳しくは、エアーコンディショナー(以下、エアコンともいう)に装着されたアルミフィンなどに噴射することで、たとえばアルミフィンの裏側にまでも有効成分を到達させることができるエアコン用スプレー製品に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンの室内機は、内部にほこりが溜まりやすく、また、湿潤状態にあることが多いことから、黴が発生しやすい。そのため、エアコン始動時や運転時に黴臭などの悪臭やほこりがいっしょに送風され、不快な思いをすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、これらの問題を解決して、エアコン内部の汚れや悪臭を効果的に除去することができ、しかも使用が簡単なエアコン用スプレー製品を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の手段によって前記問題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
有効成分を、噴射力49mN/5cm(5gf/5cm)以上で噴射し得ることを特徴とするエアーコンディショナー用スプレー製品(請求項1)、
噴射量が75〜180g/30秒であることを特徴とする請求項1記載のエアーコンディショナー用スプレー製品(請求項2)、および
有効成分が、防黴剤、洗浄剤および消臭剤から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載のエアーコンディショナー用スプレー製品(請求項3)
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエアコン用スプレー製品は、噴射力を49mN/5cm(5gf/5cm)以上にしているため、効率的にスプレー成分をエアコン内部にまで到達させることができ、エアコン内部の汚れや悪臭を効果的に除去することができる。しかも、使用方法が簡単である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のエアーコンディショナー(エアコン)用スプレー製品は、エアコン(たとえばクーラー、暖房器など)に使用する場合、表面パネルを外して、たとえばアルミフィンなどに向かって噴霧するだけで、適度に大きな噴射力によりアルミフィンやエアコン内部に発生した汚れ、黴、これらに起因する悪臭などを効果的に除去し、クリーンにすることができ、除去・クリーンにしたのちは黴・悪臭などを予防することができる。
【0008】
前記エアコン用スプレー製品は、家庭用エアコン1台に対して、通常はエアゾール製品であれば1缶全量(300ml(原液200ml)相当、揮発性防黴剤などの防黴剤を含む場合、0.02〜2g、好ましくは0.025〜0.5g含まれる)を処理すればよい。前記処理量は、通常、アルミフィン1000cm2にエアゾール剤1缶全量が相当するが、黴などの汚染状況、エアコンの大きさ、アルミフィンのサイズなどに応じて適宜処理量を選択すればよい。
【0009】
また、本発明のエアコン用スプレー製品は、噴射力を49mN/5cm(5gf/5cm)以上、好ましくは78.4mN/5cm(8gf/5cm)以上、さらに好ましくは98mN/5cm(10gf/5cm)以上にするのが、アルミフィンの間を洗浄しながら通過してアルミフィンの裏側まで達し、エアコン内部の隅々までいきわたる点から好ましく、231.8mN/5cm(24gf/5cm)以下、さらには200.2mN/5cm(20gf/5cm)以下とするのが、噴射されたスプレー剤がアルミフィンの間をつき抜けてアルミフィンの洗浄に使用されないスプレー剤の割合が少なくなり、洗浄性が向上する点から好ましい。なお、噴射力が147.5mN/5cm(15gf/5cm)以上の場合には、アルミフィンの間を洗浄しながら通過してアルミフィンの裏側まで多量のスプレー剤を到達させることができる点から好ましい。前記噴射力が小さすぎると、アルミフィンの表側に付着するスプレー剤の量が増加し、アルミフィンの裏側やエアコン内部の奥の部分に充分な量のスプレー剤が到達しなくなりやすい。洗浄性を高め、アルミフィンの裏側やエアコン内部の奥の部分に充分な量のスプレー剤を到達させることができる点から、噴射力を98mN/5cm(10gf/5cm)以上にするのが好ましい。
【0010】
前記スプレー剤に揮発性防黴剤などの防黴剤が含まれる場合、少なくともスプレー剤がいきわたる範囲には防黴剤もいきわたるため好ましい。
【0011】
前記噴射力とは、5cm離れたところから測定用のテンシロンに向かってスプレー剤(エアゾール剤)を直接噴射したときに、噴射されるスプレー剤の進行方向にかかる力を測定した値である。その値が49mN(5gf)の場合は、本発明においては、49mN/5cm(5gf/5cm)と記載している。また、他の簡便な測定手段として、上皿天秤を用いて、上皿から5cmの距離から45°の角度で噴射したときに、目盛が平衡となるときの数値を読むことでもよい。この場合、得られた数値に1.075をかけることでテンシロンでの測定値に換算することができる。
【0012】
前記噴射力の49mN/5cm以上、好ましくは78.4mN/5cm、さらに好ましくは98mN/5cm以上という値は、従来のエアコン用スプレー製品の噴射力と比較して大きい値であり、このように大きな噴射力にすることにより前記のごとき好ましい効果を発現させることができる。
【0013】
本発明のエアコン用スプレー製品の噴射力を高くすることができるのは、つぎの理由による。
【0014】
噴射力は、単位時間あたりの噴射量が多い方が大きくなり、エアゾール処方が同じ場合、噴射量を大きくするには、以下の方法がある。
(1)ボタン(アクチュエーター)が同じ場合
(a)バルブのステムとアンダータップの穴径を大きくして、ベーパータップを小さくするまたは無くす。
(b)内圧をあげる。
【0015】
ベーパータップを用いないことで液相のみが噴射され、噴射量が大きくなる。同じステムとアンダータップの穴径のバルブでもベーパータップがあると噴射量は少なくなる。内圧をあげても噴射量はあがるが、高温下に放置するとエアゾール缶の耐圧強度ぎりぎりまで内圧があがるので、(a)の方法が好ましい。
(2)バルブが同じ場合
(a)噴射パターンを集中させる。
(b)ストレート噴口を使う。
【0016】
同じ穴径であれば噴射パターンを集中させれば噴射量は大きくなる。また、噴射量が同程度の場合、ストレートボタンの場合とメカニカルブレイクボタンの場合を比較すると、メカニカルブレイクボタンの場合は、極端にいえば、噴射された内容物がストレートボタンの場合よりも細かい粒子となり渦を巻きながら前進するので、直線方向の力は弱くなる。
【0017】
これらのうちでも本発明には、内圧をあげずに噴射量をアップする方法として、ステムとアンダータップ(下穴)の穴径を大きくし、ベーパータップ無しのバルブを用いるのがよく、ストレート噴口+集中噴射で噴射力を大きくし、アルミフィンの奥まで洗浄液が届きやすいようにするのが好ましい。好ましい例としては、たとえば300mlのエアゾール容器の場合、ステム穴径として0.5mm×2個〜1.2mm×3個、さらには0.6mm×2個〜1.2mm×3個、アンダータップ穴径として2.03〜2.2mm、噴口穴径として0.6〜1.02mm、さらには0.6〜0.8mmでベーパータップ無しのバルブを用い、ストレート噴口+集中噴射で噴射力を大きくしたものがあげられる。
【0018】
前記噴射力を有する本発明のエアコン用スプレー製品を噴射したときの噴射量は、75〜180g/30秒、さらには90〜150g/30秒である。該噴射量が75g/30秒未満になると、噴射力が低下し、充分な噴射力が得られにくくなる傾向が生じ、180g/30秒をこえるものを製造しようとすると、アルミフィンの隙間を通り抜けて薬液がエアコン内部に多く付着しすぎる傾向がある。
【0019】
前記噴射量は、25℃の恒温水槽で3〜6時間保存した新品の本発明のエアコン用スプレー製品の噴射ボタンを全開にして30秒間噴射させ、(噴射前の重量−噴射後の重量)を測定することにより求めることができる。
【0020】
前記噴射物は原液と噴射剤とからなり、有効成分は、通常、原液に溶剤とともに含まれる。
【0021】
前記原液に通常含まれる溶剤は、前記有効成分を溶解または乳化・分散させる。溶剤が洗浄性を有する場合には、溶剤兼洗浄剤として使用される。
【0022】
前記溶剤としては、使用条件において有害、危険などでない溶剤である限りとくに限定なく使用し得る。
【0023】
前記溶剤の具体例としては、たとえば精製水、イオン交換水、水道水などの水;アルコール、変性アルコールなどのアルコール系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ケロシンなどの石油系溶剤、グリコールエーテル系溶剤など、各種有機溶剤があげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのなかでも水、アルコール系溶剤およびグリコールエーテル系溶剤を組み合わせた溶剤が洗浄性に優れる点から好ましい。
【0024】
前記アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール、ブルシン変性アルコール、ビトレックス変性アルコール、8−アセチル化ショ糖変性アルコールなどの政府所定変性アルコールなどがあげられる。これらのうちでは、ビトレックス変性アルコールがpH調整などがしやすいため製剤しやすく、好ましい。
【0025】
前記グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングルコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどがあげられる。なかでもジエチレングリコールモノブチルエーテルが、洗浄性、使用時のにおいの点から好ましい。
【0026】
前記溶剤で水以外のものは、原液に対して15〜60重量%(以下、%という)、さらには20〜30%であるのが好ましい。該使用量が少なすぎる場合、洗浄性がわるくなる傾向が生じ、多すぎる場合、使用時に不快臭をともなう傾向が生じる。なお、全体量の調整は適量の水を用いて行なえばよい。溶剤全体の使用量は、原液に対して通常85〜99.8%、さらには95〜99.8%、ことには97〜99.5%である。
【0027】
前記有効成分(スプレー成分)としては、通常、防黴剤、洗浄剤、消臭剤のうちの1種以上が含まれ、さらに界面活性剤、香料、防錆剤、殺虫剤、忌避剤、pH調整剤、帯電防止剤、撥水・撥油剤、防塵剤、防汚剤などを配合してもよい。
【0028】
前記防黴剤には、噴射されたのち揮発するため、噴射物が付着したり流れたりして直接接触した部分以外にも到達することができ、エアコン内部の隅々まで黴の発生を防止することができる揮発性防黴剤と、噴射物が直接接触した部分にとどまり、その部分の黴の発生を防止することができる非揮発性防黴剤とが存在する。
【0029】
前記揮発性防黴剤は、揮発するため噴射物が直接接触した部分以外のエアコン内部の隅々まで黴の発生を防止することができ、短時間に広い範囲で効果が得られるが、反面、揮発によって逸散するため、効果が持続する期間が短くなる。一方、非揮発性防黴剤は、揮発しないため、直接接触した部分以外の部分では黴の発生を防止することができないが、揮発によって逸散しにくいため、防黴剤が長期間にわたって存在し、効果が持続する。したがって、防黴効果を短時間に広い範囲で発現させ、かつ、長期間にわたって効果を持続させるためには、揮発性防黴剤と非揮発性防黴剤とを併用し、エアコン用スプレー剤が直接接触する範囲を広くすることが好ましい。
【0030】
前記揮発性防黴剤としては、20℃における蒸気圧が0.00133〜1.3Pa、さらには0.1〜1.2Paの防黴剤が好ましい。揮発性防黴剤の蒸気圧が低すぎる場合、揮散しにくくなり、エアコン内部の隅々まで防黴効果が発現しにくくなるが、その反面、効果の持続性が向上する。一方、高すぎる場合、速効性、エアコン内部の隅々まで防黴効果が発現しやすくなるが、短期間で効果が消滅する。
【0031】
前記揮発性防黴剤の具体例としては、たとえば3−メチル−4−イソプロピルフェノール(いわゆるビオゾール、20℃の蒸気圧、0.27Pa)、2−イソプロピル−5−メチルフェノール(いわゆるチモール、20℃の蒸気圧、0.8Pa)などがあげられる。この他にも、2,3,4,6−テトラクロロフェノール、2,4,6−トリブロモフェノールなどのフェノール系化合物;ヒノキチオール、植物由来ポリフェノールなどの天然物などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、エアコン内部における揮発性および黴の殺滅効果、臭いがないなどの点から、ビオゾールが好ましい。なお、揮発性防黴剤を用いて比較的長期間にわたって防黴性を発現させたい場合には、たとえばビオゾール、チモール、ヒノキチオールなどを用いるのがよい。
【0032】
前記揮発性防黴剤の使用量は、スプレー缶に充填される内容物(原液と噴射剤とからなるエアコン用スプレー製品内容物)中の原液に対して0.01〜5%、さらには0.01〜1%、ことには0.01〜0.5%であるのが好ましい。該使用量が少なすぎる場合、充分な防黴効果が得られず、多すぎる場合、アルミフィンに結晶が残りやすくなるなどの傾向が生ずる。
【0033】
前記非揮発性防黴剤とは、前記揮発性防黴剤よりも20℃での蒸気圧が低いもののことであり、直接接触した部分の黴の発生を長期間にわたって効果的に防止することができる。
【0034】
前記非揮発性防黴剤の具体例としては、たとえば2−(4′−チアゾリル)−ベンゾイミダゾール、2−(4−チオシアノメチルチオ)−ベンゾチアゾール、2−ピリジンチオール−1−オキサイド亜鉛塩、2,2′−ジチオ−ビス−(ピリジン−l−オキサイド)などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、2−(4′−チアゾリル)−ベンゾイミダゾールが、使用時に臭いがないので好ましい。
【0035】
前記非揮発性防黴剤の使用量は、原液に対して0.01〜5%、さらには0.01〜1%、ことには0.01〜0.5%であるのが好ましい。該使用量が少なすぎる場合、充分な防黴効果が得られず、多すぎる場合、アルミフィンなどに付着・残存する量が必要以上に多くなり、不経済となる傾向が生ずる。
【0036】
前記揮発性防黴剤および非揮発性防黴剤を併用する場合、揮発性防黴剤/非揮発性防黴剤が重量比で1/10〜1/0.1、さらには1/5〜1/0.2であるのが、抗菌効果の持続性の点から好ましく、これらの合計量が原液に対して0.01〜5%、さらには0.01〜1%、ことには0.01〜0.5%であるのが、製剤としたときの乳化安定性の点から好ましい。
【0037】
前記洗浄剤は、エアコン内部に付着した汚れ、黴などを洗浄するために用いられる。通常の洗浄剤と異なる点は、アルミフィンなどに大きな噴射力で噴射され、噴射されるだけで洗浄することができること、泡の発生が少なく、短時間で消滅すること(泡が多量に発生し、長時間存続しつづけると、あとから噴射したものがアルミフィンなどに接触しにくくなり、うまく洗浄できなくなる、また、洗浄後、泡が存在するため、エアコンを使用できない時間が長くなる)、エアコンの後洗浄が不要であることなどが好ましいことである。
【0038】
前記洗浄剤の具体例としては、たとえば酵素、アミノ酸化合物、フッ素化合物、さらに前記溶剤や界面活性剤などがあげられる。
【0039】
前記洗浄剤として溶剤や界面活性剤を用いる場合には、前記溶剤や後述する界面活性剤をそれらの使用量用いればよい。この場合、溶剤、界面活性剤が洗浄剤をかねることになる。
【0040】
前記洗浄剤としてその他の洗浄剤を使用する場合には、原液に対して1%以下、さらには0.1〜0.3%使用するのが好ましい。該使用量が多すぎる場合、スプレー剤の乳化安定性がわるくなる、エアコンに使用したときに洗浄剤の残留が多くなる、コストがアップするなどの傾向が生ずる。なお、洗浄剤を使用することによる明確な効果を得るためには、0.1%以上使用するのが好ましい。
【0041】
前記消臭剤としては、たとえばグリオキザール、アビエチン酸、ラウリルメタクリレート、フラボノイドなどがあげられる。また、ポリフェノールなど、防黴剤としての効用を併せもつものでもよい。
【0042】
前記消臭剤は、原液に対して1%以下、さらには0.1〜0.3%使用するのが好ましい。該使用量が多すぎる場合、製剤中での乳化安定性がわるくなり使用時の噴射が不安定となる傾向が生ずる。なお、消臭剤を使用することによる明確な効果を得るためには、0.1%以上使用するのが好ましい。消臭剤としてポリフェノールなどの防黴剤としての効用を併せもつものを使用する場合の使用量としては、防黴剤として使用する量用いればよい。防黴剤として用いたものが消臭性を併せもっていると考えればよい。防黴剤としての必要量が消臭剤としての必要量より少ない場合には、消臭剤として必要な量防黴剤を使用すればよい。
【0043】
前記界面活性剤は、界面活性剤以外の有効成分が溶剤に安定に溶解・分散しない場合に、安定に溶解・分散させる、噴射物の非噴射物へのなじみをよくするなどのために使用される成分である。なお、界面活性剤は一般に洗浄性を有するために、洗浄剤としても作用する。
【0044】
前記界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などがあげられ、その具体例としては、たとえばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアミン塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・アセチレニックグリコールエーテルなどがあげられる。
【0045】
前記界面活性剤は、原液に対して5%以下、さらには0.05〜3%使用するのが好ましい。該使用量が多すぎる場合、スプレー剤中での乳化安定性がわるくなり、使用時の噴射が不定性に、また、抗菌性がわるくなる傾向が生ずる。なお、界面活性剤を使用することによる明確な効果(洗浄性、製剤の乳化安定性などの効果)を得るためには、0.05%以上使用するのが好ましい。
【0046】
前記香料としては、たとえばリモネン、各種植物精油、フルーツオイル、合成香料、調合香料、天然香料などがあげられる。
【0047】
前記香料は、原液に対して0.5%以下、さらには0.001〜0.5%、ことには0.1〜0.5%使用するのが好ましい。該使用量が多すぎる場合、スプレー剤中での乳化安定性がわるくなる傾向が生ずる。なお、香料を使用することによる明確な効果を得るためには、0.001%以上使用するのが好ましい。
【0048】
前記防錆剤としては、たとえばクエン酸三ナトリウム、クエン酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどがあげられる。
【0049】
前記防錆剤は、原液に対して1%以下、さらには0.1〜0.5%使用するのが好ましい。該使用量が多すぎる場合、噴射時のニオイが強くなり使用勝手がわるくなる傾向が生ずる。なお、防錆剤を使用することによる明確な効果を得るためには、0.1%以上使用するのが好ましい。
【0050】
前記殺虫剤、忌避剤としては、たとえばピレスロイド系化合物、カーバイト系化合物、有機リン系化合物などがあげられる。たとえば、ピレトリン、アレスリン、dl・d−T80−アレスリン、フタルスリン、d−T80−フタルスリン、レスメトリン、d−T80−レスメトリン、フラメトリン、d−T80−フラメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、トランスフルスリン、トラロメスリン、エムペンスリン、メトキサジアゾン、フィプロニル、植物精油、ディートなどがあげられる。
【0051】
前記殺虫剤、忌避剤は、原液に対して10%以下、さらには0.1〜1.0%使用するのが好ましい。該使用量が多すぎる場合、乳化安定性がわるくなったり、不快臭がともなったりする傾向が生ずる。なお、殺虫剤、忌避剤を使用することによる明確な効果を得るためには、0.1%以上使用するのが好ましい。
【0052】
前記pH調整剤としては、たとえばクエン酸、リン酸一水素ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、リン酸一水素カリウム(K2HPO4)などがあげられる。
【0053】
前記pH調整剤は、通常、原液のpHが7.0〜7.9になるように使用される。
【0054】
その他の前記原液に含まれる成分の割合は、通常使用される使用割合を参考にして適宜設定すればよい。
【0055】
前記原液の具体例としては、たとえば表1に記載のものなどがあげられる。
【0056】
【表1】

【0057】
前記原液は、充填される内容物(原液および噴射剤からなるエアコン用スプレー製品内容物)全量に対して70〜95%、さらには78〜90%、ことには約80〜90%が好ましい。原液の割合が多すぎる場合、噴射力が弱くなり、逆に少なすぎる場合、エアゾール缶1缶で洗浄に必要な量のスプレー剤を供給できにくくなる傾向が生ずる。
【0058】
前記噴射剤としては、一般に使用されるものであれば使用することができる。たとえば、ジメチルエーテル、液化石油ガス、フルオロカーボン、液化炭酸ガスなどの液化ガス、チッ素ガス、炭酸ガス、これらの混合ガス、圧縮空気、亜酸化チッ素などの圧縮ガスがあげられる。
【0059】
前記噴射剤は、充填される内容物全量に対して5〜30%、さらには10〜22%、ことには10〜約20%が好ましい。噴射剤の割合が低すぎる場合、噴射力が弱くなり、高すぎる場合、エアゾール缶1缶で洗浄に必要な量のスプレー剤を供給できにくくなる傾向が生ずる。
【0060】
前記原液および噴射剤を加圧充填する際には、エアゾール缶、スプレー容器の内圧をたとえば0.196〜0.49MPa(2〜5kg/cm2、25℃)程度にすればよい。内圧が低すぎる場合、噴射力が弱くなり洗浄効果が充分でなくなる傾向が生じ、高すぎる場合、噴射力が高くなりすぎ、噴射されたスプレー剤がアルミフィンの間をつき抜けてアルミフィンの洗浄に使用されないスプレー剤の割合が多くなり、空気吹出口から液ダレする傾向が生じて使用感がわるくなる。
【0061】
前記エアゾール缶の具体例としては、たとえばステム穴径0.5mm×2個〜1.2mm×3個、下穴径2.03〜2.2mm、ベーパータップ無しのバルブ、噴口穴径0.55〜1.02mmの集中噴射タイプのボタンを有する変形圧1.47MPaのエアゾール容器、さらに内面にポリエチレンテレフタレート樹脂をコートしたエアゾール容器などがあげられる。
【実施例】
【0062】
以下に、本発明のエアコン用スプレー製品を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
実施例1
表2記載の原液と噴射剤(液化石油ガス)とを表3に記載の量、内容積300mlのエアゾール缶(バルブ:ステム(ST)穴径0.5mm×2個、下穴径(Ut)2.2mm(最大)、ベイパータップ(Vpt)無し、ボタン:噴口穴径0.6mm、ストレート噴口)に充填し、エアコン用スプレー製品(300ml)を製造した。原液のpHは7.5であった。
【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
得られたエアコン用スプレー製品の内圧は0.46MPa、噴射力は98mN/5cm(10gf/5cm)、噴射量は85.3g/30秒、洗浄性は○であった。
【0067】
また、得られたエアコン用スプレー製品を、2〜3年間室内に設置され、運転時に吹出口から出る空気が臭いのするエアコンのアルミフィンに、エアコン1台につき1本処理(噴射)し、10分後にエアコンを始動させて60分間運転し、不快感(悪臭、ほこりっぽさ)の取り除かれた程度をモニター50人により評価したところ、エアコン用スプレー製品で処理したことによって、処理しない場合と比較して不快感が取り除かれた人の割合は、「悪臭がない」と回答した人70%、「ほこりっぽさがない」と回答した人90%であった。
【0068】
このことから、エアコン内部の隅々までスプレー剤がいきわたり、その結果、不快感が有効に取り除かれたものと考えられる。
【0069】
[評価方法]
(噴射力)
室温(25℃)に置いたエアコン用スプレー製品を、5cm離れたところから測定用のテンシロンに向かって直接5秒間噴射したときに、噴射されるスプレー剤の進行方向にかかる力を3回測定して平均値を求めた。
(噴射量)
25℃に保存した新品のエアコン用スプレー製品を30秒間噴射したときの重量変化から噴射量を測定した。
(洗浄性)
松下電器産業(株)製のエアコン(エオリア(登録商標))のアルミフィンの裏側に試験用ダスト(JIS Z 8901)を付着させて、表側の10cmの距離からエアコン用スプレー製品を噴射して裏側の汚れ落ちの具合を目視で観察した。
◎:汚れ落ち約100%
○:汚れ落ち約80%
△:汚れ落ち約50%以上
×:汚れ落ち約40%未満
【0070】
実施例2〜10および比較例1
実施例1で用いたエアゾール缶を表4に記載のものにかえ、噴射力が表4に記載された値になるようにしたエアコン用スプレー製品を製造した。
【0071】
得られたエアコン用スプレー製品の噴射量および洗浄性を評価した。結果を表4に示す。
【0072】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を、噴射力49mN/5cm(5gf/5cm)以上で噴射し得ることを特徴とするエアーコンディショナー用スプレー製品。
【請求項2】
噴射量が75〜180g/30秒であることを特徴とする請求項1記載のエアーコンディショナー用スプレー製品。
【請求項3】
有効成分が、防黴剤、洗浄剤および消臭剤から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載のエアーコンディショナー用スプレー製品。

【公開番号】特開2013−60442(P2013−60442A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223796(P2012−223796)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2000−8168(P2000−8168)の分割
【原出願日】平成12年1月17日(2000.1.17)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】