説明

エチレン樹脂組成物、架橋発泡体、履き物用部材および履き物

【課題】軽量で、反発弾性の大きい架橋発泡体を得ることができるエチレン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
密度が900kg/m以上940kg/m以下であり、メルトフローレートが0.01g/10分以上5g/10分以下であり、流動の活性化エネルギーが40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)10重量%以上90重量%以下と、
密度が800kg/m以上880kg/m未満であり、メルトフローレートが0.01g/10分以上5g/10分以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)10重量%以上90重量%以下と
前記(A1)と(A2)の合計重量100重量部に対し、
架橋剤(B)0.1重量部以上10重量部以下と、
発泡剤(C)1重量部以上50重量部以下とを含有するエチレン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン樹脂組成物、架橋発泡体、履き物用部材、および、履き物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン樹脂からなる架橋発泡体は、日用雑貨、床材、遮音材、断熱材、履き物用部材(アウターソール(下部底)、ミッドソール(上部底)、インソール(中敷)など)などとして広範囲に使用されている。例えば、特許文献1には、エチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋発泡して得られる発泡体が記載され、特許文献2には、エチレン−α−オレフィン共重合体を、架橋発泡して得られる発泡体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平3−2657号公報
【特許文献2】特開平10−182866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋発泡して得られる発泡体には、軽量化が求められている。また、前記エチレン−α−オレフィン共重合体を架橋発泡して得られる発泡体は、反発弾性が不十分である。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、軽量で、反発弾性の大きい架橋発泡体を得ることができるエチレン樹脂組成物、前記エチレン樹脂組成物を加熱して得られる架橋発泡体、前記発泡体からなる層を有する履き物用部材、および、前記履き物用部材を有する履き物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度が900kg/m以上940kg/m以下であり、メルトフローレートが0.01g/10分以上5g/10分以下であり、流動の活性化エネルギーが40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)10重量%以上90重量%以下と、
エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度が800kg/m以上880kg/m未満であり、メルトフローレートが0.01g/10分以上5g/10分以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)10重量%以上90重量%以下と(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)との合計重量を100重量%とする)、
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量100重量部に対し、
架橋剤(B)0.1重量部以上10重量部以下と、
発泡剤(C)1重量部以上50重量部以下とを含有するエチレン樹脂組成物にかかるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、軽量で、反発弾性の大きい架橋発泡体を得ることができるエチレン樹脂組成物、前記エチレン樹脂組成物を加熱して得られる架橋発泡体、前記架橋発泡体からなる層を有する履き物用部材、および、前記履き物用部材を有する履き物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】引裂強度測定用試験片の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)〕
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)は、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有する共重合体である。前記α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンである。
【0009】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体などをあげることができ、引張破断強度が優れるという観点から、好ましくは、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体であり、より好ましくは、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体である。
【0010】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)中の全単量体単位の含有量を100重量%として、エチレンに基づく単量体単位を50重量%以上含有することが好ましい。
【0011】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の密度は、900kg/m3以上940kg/m3以下である。架橋発泡体の剛性を維持する観点から好ましくは905kg/m3以上であり、より好ましくは907kg/m3以上である。また、柔らかい発泡体が得られるため、前記密度は、好ましくは930kg/m3以下であり、より好ましくは925kg/m3以下である。なお、前記密度は、JIS K7112−1980に記載の水中置換法により測定される。
【0012】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)のメルトフローレート(以下、「MFR」と記載することがある。)は、0.01g/10分以上5g/10分以下である。発泡倍率の高い発泡体が得られるため、前記MFRは、好ましくは0.05g/10分以上であり、より好ましくは0.1g/10分以上であり、更に好ましくは0.15g/10分以上である。また、引張破断強度に優れ、かつ、耐疲労性に優れる架橋発泡体を得るためには、前記MFRは、好ましくは3.0g/10分以下であり、より好ましくは2.5g/10分以下である。なお、前記MFRは、JIS K7210−1995に従い、温度190℃および荷重21.18Nの条件でA法により測定される。なお、前記MFRの測定では、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体に予め酸化防止剤を1000ppm程度配合した試料を用いる。

【0013】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の流動の活性化エネルギー(以下、「Ea」と記載することがある。)は、40kJ/mol未満であり、好ましくは38kJ/mol以下である。気泡サイズが均一な発泡体を得る観点から、好ましくは10kJ/mol以上であり、より好ましくは20kJ/mol以上である。
【0014】
流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・秒)の角周波数(単位:rad/秒)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃および190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・秒、角周波数の単位はrad/秒である。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃でのエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせる。溶融複素粘度−角周波数曲線毎にシフトファクター(aT)を求める。夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、前記一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
前記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、前記計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量である。夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0015】
溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定には、エチレン−α−オレフィン共重合体に予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm。)配合した試料を用いることが好ましい。
【0016】
〔エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)〕
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)は、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有する共重合体である。前記α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンである。
【0017】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体などをあげることができ、引張破断強度が優れるという観点から、好ましくは、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体であり、より好ましくは、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体である。
【0018】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の密度は、800kg/m以上880kg/m未満である。エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の密度は、架橋発泡体の剛性を維持する観点から、好ましくは875kg/m3以下である。所定の硬度の架橋発泡体を製造する場合、該発泡体を製造するために用いるエチレン−α−共重合体の密度が高いほど、軽い発泡体を製造することができる。したがって、エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の密度は、好ましくは820kg/m3以上、より好ましくは830kg/m3以上、更に好ましくは840kg/m3以上、特に好ましくは850kg/m3以上である。
【0019】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)のメルトフローレート(MFR)は、0.01g/10分以上5g/10分以下である。エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)のメルトフローレートは、架橋発泡体の引張破断強度を高める観点から、好ましくは3.5g/10分以下、より好ましくは2.5g/10分以下、更に好ましくは1.5g/10分以下である。また、架橋発泡体を容易に製造できるため、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、更に好ましくは0.5g/10分以上である。
【0020】
〔架橋剤(B)〕
本発明で用いられる架橋剤(B)は、有機過酸化物であることが好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の融点とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の融点のうち、高い方の温度以上である1分間半減期温度を有する有機過酸化物が好適に用いられ、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリーブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリーブチルパーオキシヘキシン、α,α−ジターシャリーブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、ターシャリーブチルパーオキシケトン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどをあげることができる。
1分間半減期温度が120〜220℃である有機過酸化物が好ましく、140〜190℃である有機過酸化物がより好ましい。
【0021】
〔発泡剤(C)〕
本発明で用いられる発泡剤(C)は、熱分解型発泡剤が好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の融点とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の融点のうち、高い方の温度以上の分解温度を有する熱分解型発泡剤がより好ましい。例えば、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、アゾビスブチルニトリル、ニトロジグァニジン、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、4−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジッド、5−フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム等をあげることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの中でもアゾジカルボンアミドまたは炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0022】
分解温度が120〜240℃である熱分解型発泡剤が好ましい。熱分解型発泡剤の分解温度は、JIS K0064に準拠した方法で求めることができる。
【0023】
〔エチレン樹脂組成物〕
本発明のエチレン樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)10重量%以上90重量%以下と、
エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)10重量%以上90重量%以下と(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)との合計重量を100重量%とする)、
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量100重量部に対し、
架橋剤(B)0.1重量部以上10重量部以下と、
発泡剤(C)1重量部以上50重量部以下とを含有する。
【0024】
エチレン樹脂組成物に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の含有量は、前記エチレン樹脂組成物を用いて架橋発泡体を製造することによって引張破断強度が高く、軽量である架橋発泡体が得られるという観点から、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上である(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)との合計重量を100重量%とする)。また、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の含有量は、反発弾性が大きい架橋発泡体が得られるため、好ましくは85重量%以下である。
【0025】
エチレン樹脂組成物に含有される架橋剤(B)の含有量は、引張破断強度が高い架橋発泡体が得られるため、好ましくは0.3重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは0.7重量部以上である(ただし、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量100重量部とする)。また、引裂強度が高い架橋発泡体が得られるため、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは3重量部以下である。
【0026】
エチレン樹脂組成物に含有される発泡剤(C)の含有量は、架橋発泡体の軽量化の観点から、好ましくは3重量部以上である(ただし、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量100重量部とする)。引張破断強度が高い架橋発泡体が得られるため、好ましくは30重量部以下であり、より好ましくは25重量部以下であり、更に好ましくは20重量部以下である。
【0027】
エチレン樹脂組成物は、必要に応じて、発泡助剤を含有してもよい。前記発泡助剤としては、尿素を主成分とした化合物;酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物;サリチル酸、ステアリン酸等などの高級脂肪酸;前記高級脂肪酸の金属化合物などがあげられる。発泡助剤の含有量は、発泡剤と発泡助剤との合計重量を100重量%として、好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。
【0028】
エチレン樹脂組成物は、架橋助剤を含有してもよい。架橋助剤としては、分子内に二重結合を複数持つ化合物が好ましく用いられる。架橋助剤としては、例えば、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート等を挙げることができる。また、これらの架橋助剤は、複数を組み合せて使用してもよい。
架橋助剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量100重量部に対して、0.01〜4.0重量部であることが好ましく、0.05〜2.0重量部であることがより好ましい。
【0029】
エチレン樹脂組成物は、必要に応じて、耐熱安定剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、充填材や顔料(酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;パルプ等の繊維物質など)などの各種添加剤を含有してもよい。
【0030】
エチレン樹脂組成物は、必要に応じて、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)とは異なる熱可塑性樹脂を含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン等が挙げられる。
【0031】
〔エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)〕
エチレン樹脂組成物は、カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の不飽和エステルに基づく単量体単位とエチレンに基づく単量体単位とを有するエチレン−不飽和エステル系共重合体(D)を含有することが好ましい。エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)を含有するエチレン樹脂組成物を加熱して得られる架橋発泡体は、接着性に優れるため、該発泡体を他の層と容易に積層できる。前記カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどがあげられ、前記不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどがあげられる。
【0032】
エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)は、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体である。
【0033】
エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)のメルトフローレート(MFR)は、通常、0.1〜100g/10分である。なお、前記MFRは、JIS K7210−1995に従い、温度190℃および荷重21.18Nの条件でA法により測定される。
【0034】
エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)において、不飽和エステルに基づく単量体単位の含有量は、前記エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)中の全単量体単位の含有量を100重量%として、通常、2〜50重量%である。前記含有量は、公知の方法により測定される。例えば、酢酸ビニルに基づく単量体単位の含有量は、JIS K6730−1995に従い測定される。
【0035】
エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)は、例えば、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法等により製造される。
【0036】
本発明のエチレン樹脂組成物が、エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)を含有する場合、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量を100重量部に対し、エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)の含有量は、1重量部以上250重量部以下であることが好ましい。
エチレン−不飽和エステル系共重合体(D)の含有量は、エチレン樹脂組成物を加熱して得られる架橋発泡体と他の層とを積層する場合の接着性の観点から、好ましくは20重量部以上、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは40重量部以上であり、特に好ましくは50重量部以上であり、最も好ましくは60重量部以上である。また、架橋発泡体の軽量化の観点から、好ましくは200重量部以下、より好ましくは150重量部以下、更に好ましくは100重量部以下、特に好ましくは80重量部以下である。
【0037】
エチレン樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)、エチレン−α−オレフィン共重合体(A2)、架橋剤(B)および発泡剤(C)と、必要に応じてエチレン−不飽和エステル系共重合体(D)や他の成分とを、発泡剤(C)が分解しない温度で、ミキシングロール、ニーダー、押出機等によって溶融混合して製造することが好ましい。
【0038】
〔架橋発泡体〕
本発明の架橋発泡体は、前記エチレン樹脂組成物を加熱して得られるものである。具体的には、エチレン樹脂組成物を型内に供給し、型内の該樹脂組成物を加熱および加圧(保圧)することによって、該樹脂組成物を架橋発泡させて架橋発泡体を得ることができる。エチレン樹脂組成物を型内に供給するときに、射出成型機等で可塑化されたエチレン樹脂組成物を型内に供給してもよい。
【0039】
架橋発泡体は、加圧プレス機や射出成型機等を用いて製造することができる。
加圧プレス機を用いて架橋発泡体を製造する方法としては、例えば、以下の工程を含む製造方法が挙げられる。
エチレン樹脂組成物を型内に供給する工程、
型内のエチレン樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化および架橋された中間体(i)を形成する工程、および
型を開くことによって中間体(i)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【0040】
型内に供給するエチレン樹脂組成物は、予め以下の処理をして得られたエチレン樹脂組成物であることが好ましい。
まず、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)と架橋剤(B)と発泡剤(C)と、必要に応じてエチレン−不飽和エステル系共重合体(D)や他の成分との混合物を、架橋剤(B)の1分間半減期温度以下であって、発泡剤(C)の分解温度以下であって、かつ、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の融点とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の融点のうち高い方の温度以上である温度で、ミキシングロール、ニーダー、押出機等によって可塑化することが好ましい。混合物を可塑化する温度は、90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは100〜140℃であり、さらに好ましくは105〜130℃である。可塑化した混合物を冷却して、エチレン樹脂組成物を得る。得られたエチレン樹脂組成物を、型に供給する。
【0041】
加圧プレス機等により型内のエチレン樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化および架橋された中間体(i)を形成する。エチレン樹脂組成物を加熱する温度は、架橋剤(B)の1分間半減期温度以上であって、発泡剤(C)の分解温度以上であって、かつ、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の融点とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の融点のうち高い方の融点以上の温度であることが好ましい。エチレン樹脂組成物を加熱する温度は、130〜220℃であることが好ましく、より好ましくは140〜190℃であり、さらに好ましくは150〜180℃である。
ここでいう融点とは、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型装置を用い、試料8〜12mgをアルミパンに詰めて150℃で2分間保持した後に5℃/分で40℃まで降温し、40℃で2分間保持した後に5℃/分で150℃まで昇温した時に観測される融解ピークの中で最も高い温度の融解ピーク位置の温度、とする。
【0042】
型の型締め圧力は50〜300kgf/cm2であることが好ましく、保圧時間は10〜60分程度が好ましい。
次いで、型を開くと中間体(i)が発泡し、架橋発泡体を得ることができる。
【0043】
次に、射出成型機を用いて製造する方法を説明する。
該方法は、以下の工程を含む。
エチレン樹脂組成物を射出成型機のシリンダー内で加熱して、可塑化された中間体(ii)を形成する第一の工程、
可塑化された中間体(ii)を型に供給し、型内の中間体(ii)を加圧および加熱することによって中間体(ii)を架橋して、可塑化および架橋された中間体(iii)を形成する第二の工程、および
型を開くことによって中間体(iii)を発泡させて、架橋発泡体を形成する第三の工程
【0044】
射出成型機のシリンダー内に供給するエチレン樹脂組成物は、予め以下の処理をして得られたエチレン樹脂組成物であることが好ましい。
まず、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)と架橋剤(B)と発泡剤(C)と、必要に応じてエチレン−不飽和エステル系共重合体(D)や他の成分との混合物を、架橋剤(B)の1分間半減期温度以下であって、発泡剤(C)の分解温度以下であって、かつ、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の融点とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の融点のうち高い方の温度以上である温度で、ミキシングロール、ニーダー、押出機等によって可塑化することが好ましい。混合物を可塑化する温度は、90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは100〜140℃であり、さらに好ましくは105〜130℃である。可塑化した混合物を冷却して、エチレン樹脂組成物を得る。得られたエチレン樹脂組成物を、射出成型機のシリンダー内に供給する。
【0045】
第一の工程においてエチレン樹脂組成物を加熱する温度は、架橋剤(B)の1分間半減期温度以下であって、発泡剤(C)の分解温度以下であって、かつ、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の融点とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の融点のうち高い方の温度以上である温度であることが好ましい。エチレン樹脂組成物を加熱する温度は、90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは100〜140℃であり、さらに好ましくは105〜130℃である。
【0046】
中間体(ii)を型に供給し、型内の中間体(ii)を加圧および加熱することによって中間体(ii)を架橋して、可塑化および架橋された中間体(iii)を形成する。型の温度は、架橋剤(B)の1分間半減期温度以上であって、発泡剤(C)の分解温度以上であって、かつ、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の融点とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の融点のうち高い方の融点以上の温度であることが好ましい。型の温度は、130〜220℃であることが好ましく、より好ましくは140〜210℃であり、さらに好ましくは150〜200℃である。型の型締め圧力は50〜300kgf/cm2であることが好ましく、保圧時間は10〜60分程度が好ましい。
【0047】
最後に型を開くことによって中間体(iii)を発泡させて、架橋発泡体を得る。
【0048】
前記した方法で得られる架橋発泡体を、有機過酸化物架橋発泡体と称することもある。有機過酸化物架橋発泡体を更に圧縮して、圧縮架橋発泡体を得ることができる。通常130〜200℃で、5〜60分間、30〜200kg/cmの荷重を有機過酸化物架橋発泡体に印加することで、圧縮架橋発泡体が得られる。履物用部材の一種であるミッドソールには、本発明の圧縮架橋発泡体がより好適である。
本発明において、前記有機過酸化物架橋発泡体と前記圧縮架橋発泡体とを総称して、架橋発泡体とする。
【0049】
本発明の架橋発泡体を、他の層と積層して多層積層体を製造することができる。他の層を構成する材料としては、塩化ビニル樹脂材料、スチレン系共重合体ゴム材料、オレフィン系共重合体ゴム材料(エチレン系共重合体ゴム材料、プロピレン系共重合体ゴム材料など)、天然皮革材料、人工皮革材料、布材料などがあげられる。これらの材料から選択された少なくとも1種の材料が用いられる。
【0050】
多層積層体の製造方法としては、例えば、前記架橋発泡体と、別途成形した他の層とを、熱貼合あるいは化学接着剤などによる貼合する方法などがあげられる。前記化学接着剤としてはウレタン系化学接着剤やクロロプレン系化学接着剤などが好ましい。またこれら化学接着剤によって架橋発泡体と他の層とを貼合する前に、プライマーと呼ばれる上塗り剤を架橋発泡体および/または他の層に塗布しておいてもよい。
【0051】
本発明の架橋発泡体は、単層または多層の形態で、靴、サンダルなどの履き物用部材などとして好適に用いることができる。履き物用部材としては、アウターソール(下部底)、ミッドソール(上部底)、インソール(中敷)などがあげられる。また本発明の架橋発泡体は、履き物用部材以外に、断熱材、緩衝材などの建築資材などにも用いられる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例および比較例によって、本発明をより詳細に説明する。
(1)共重合体の密度(単位:kg/m3
JIS K7112−1980に記載の水中置換法により測定した。
【0053】
(2)共重合体のメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に従い、温度190℃、荷重21.18Nでの条件でA法により測定した。
【0054】
(3)共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)、角周波数100rad/秒における動的複素粘度(η*100
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での共重合体の動的粘度−角周波数曲線を測定した。次に、得られた動的粘度−角速度曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、流動の活性化エネルギー(Ea)を求めた。また、角周波数100rad/秒、190℃における共重合体の動的複素粘度(η*100)を測定した。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素下
【0055】
(4)共重合体の融点(単位:℃)
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型装置を用い、試料8〜12mgをアルミパンに詰めて150℃で2分間保持した後に5℃/分で40℃まで降温し、40℃で2分間保持した後に5℃/分で150℃まで昇温した時に観測される融解ピークの中で最も高い温度を示す融解ピーク位置の温度を融点とした。
【0056】
(5)架橋発泡体の密度(単位:kg/m3
架橋発泡体の密度をASTM−D297に従って測定した。この値が小さいほど、架橋発泡体が軽量であることを示す。
【0057】
(6)架橋発泡体の反発弾性(単位:%)
JIS K 6400に従い、架橋発泡体の反発弾性を測定した。
【0058】
(7)架橋発泡体の硬度(単位:なし)
得られた架橋発泡体の表面(金型設置面)の硬度を、ASTM−D2240に従って、C法硬度計にて測定した。
【0059】
(8)架橋発泡体の引張破断強度(単位:kg/cm)
架橋発泡体を2mmの厚みにスライスした後、JIS 2号ダンベルの形状に打ち抜き、試験片を作製した。該試験片を500mm/分の速度で引張り、試験片が破断する際の最大荷重F(kg)を、試験片の厚みで除して引張破断強度を求めた。
【0060】
(9)架橋発泡体の引裂強度(単位:N)
架橋発泡体を10mmの厚みにスライスした後、縦40mm、横15mmの長方体サンプル片を作成した。続いて、該長方体サンプル片の長手方向の片側に、図1のように厚み方向の中心に長手方向に15mm深さの切込みを入れることで試験片を作成した。切込みを開き、架橋発泡体を切り込むことで形成された各部分を180度方向に50mm/分の速度で引張ることで該試験片を引裂いた。試験片が引裂かれる際の最大荷重F(N)を測定した。
【0061】
[実施例1]
エチレン−1−ヘキセン共重合体 Enable 2703CH(Exxson社製:密度924kg/m、MFR=0.3g/10分、Ea=36.7kJ/mol、融点=119℃;以下、PE−1とする。)を67重量%と、エチレン−1−オクテン共重合体 Engage8150(The Dow Chemical Company社製:密度868kg/m、MFR=0.5g/10分、融点=54℃;以下、PE−2とする。)を33重量%と、
前記PE−1とPE−2の合計重量100重量部に対し、
エチレン−酢酸ビニル共重合体 COSMOTHENE H2181(The Polyolefin Company社製:MFR=2.0g/10分、融点=89℃;以下、EVA−1とする。)を67重量部と、
ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度175℃)1.2重量部と、
熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成株式会社製 商品名 セルマイクC−1;分解温度206℃)7.5重量部と、
重質炭酸カルシウム17重量部と、
ステアリン酸1.7重量部と、
酸化亜鉛1.7重量部とを、
ロール混練機を用いて、ロール温度125℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を12cm×12cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で樹脂組成物を加熱および加圧して、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表2に示す。
【0062】
[実施例2]
エチレン−1−ヘキセン共重合体 スミカセンE FV203(住友化学株式会社製:密度908kg/m、MFR=2.0g/10分、Ea=34.1kJ/mol、融点=115℃;以下、PE−3とする。)を67重量%と、PE−2を33重量%と、
前記PE−3とPE−2の合計重量100重量部に対し、
EVA−1を67重量部と、
ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度175℃)1.2重量部と、
熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成株式会社製 商品名 セルマイクC−1;分解温度206℃)7.5重量部と、
重質炭酸カルシウム17重量部と、
ステアリン酸1.7重量部と、
酸化亜鉛1.7重量部とを、
ロール混練機を用いて、ロール温度125℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を12cm×12cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で樹脂組成物を加熱および加圧して、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表2に示す。
【0063】
[実施例3]
PE−3を60重量%と、PE−2を40重量%と、
前記PE−3とPE−2の合計重量100重量部に対し、
ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度175℃)0.7重量部と、
熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成株式会社製 商品名 セルマイクC−1;分解温度206℃)4.5重量部と、
重質炭酸カルシウム10重量部と、
ステアリン酸1重量部と、
酸化亜鉛1重量部とを、
ロール混練機を用いて、ロール温度125℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を12cm×12cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で樹脂組成物を加熱および加圧して、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表2に示す。
【0064】
[比較例1]
EVA−1 100重量部と、
ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度175℃)0.7重量部と、
熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成株式会社製 商品名 セルマイクC−1;分解温度206℃)3.1重量部と、
重質炭酸カルシウム10重量部と、
ステアリン酸1重量部と、
酸化亜鉛1重量部とを、
ロール混練機を用いて、ロール温度115℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を12cm×12cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で樹脂組成物を加熱および加圧して、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表2に示す。
【0065】
[比較例2]
PE−1を67重量%と、エチレン−1−オクテン共重合体 Engage8480(The Dow Chemical Company社製:密度901kg/m、MFR=0.9g/10分、Ea=59.8kJ/mol、融点=97℃;以下、PE−4とする。)を33重量%と、
前記PE−1とPE−4の合計重量100重量部に対し、
EVA−1を67重量%と、
ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度175℃)1.2重量部と、
熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成株式会社製 商品名 セルマイクC−1;分解温度206℃)7.5重量部と、
重質炭酸カルシウム17重量部と、
ステアリン酸1.7重量部と、
酸化亜鉛1.7重量部とを、
ロール混練機を用いて、ロール温度125℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を12cm×12cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で樹脂組成物を加熱および加圧して、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表2に示す。
【0066】
[比較例3]
PE−3を60重量%と、PE−4を40重量%と、
前記PE−3とPE−4の合計重量100重量部に対し、
ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度175℃)0.7重量部と、
熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成株式会社製 商品名 セルマイクC−1;分解温度206℃)4.5重量部と、
重質炭酸カルシウム10重量部と、
ステアリン酸1重量部と、
酸化亜鉛1重量部とを、
ロール混練機を用いて、ロール温度125℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を12cm×12cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で樹脂組成物を加熱および加圧して、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表2に示す。
【0067】
[比較例4]
PE−3を67重量%と、PE−4を33重量%と、
PE−3とPE−4の合計重量100重量部に対し、
EVA−1を67重量部と、
ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度175℃)1.2重量部と、
熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド(三協化成株式会社製 商品名 セルマイクC−1;分解温度206℃)7.5重量部と、
重質炭酸カルシウム17重量部と、
ステアリン酸1.7重量部と、
酸化亜鉛1.7重量部とを、
ロール混練機を用いて、ロール温度125℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を12cm×12cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で樹脂組成物を加熱および加圧エチレンして、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表2に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度が900kg/m以上940kg/m以下であり、メルトフローレートが0.01g/10分以上5g/10分以下であり、流動の活性化エネルギーが40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)10重量%以上90重量%以下と、
エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数が3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度が800kg/m以上880kg/m未満であり、メルトフローレートが0.01g/10分以上5g/10分以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)10重量%以上90重量%以下と(ただし、エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)との合計重量を100重量%とする)、
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量100重量部に対し、
架橋剤(B)0.1重量部以上10重量部以下と、
発泡剤(C)1重量部以上50重量部以下とを含有するエチレン樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のエチレン樹脂組成物が、
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の合計重量100重量部に対し、更に、カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の不飽和エステルに基づく単量体単位とエチレンに基づく単量体単位とを有するエチレン−不飽和エステル系共重合体(D)を1重量部以上250重量部以下含有するエチレン樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエチレン樹脂組成物を加熱して得られる架橋発泡体。
【請求項4】
請求項3に記載の架橋発泡体からなる層を有する履き物用部材。
【請求項5】
請求項4に記載の履き物用部材を有する履き物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−107222(P2012−107222A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232623(P2011−232623)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】