説明

エッジングおよび/または表面処理に際し、悪臭をマスキングするおよび/または芳香を与えるために適したレンズブランク、ならびに芳香付与レンズ

【課題】本発明の目的は、その縁を芳香剤含有コーティングによりコーティングすることにより作製され、エッジングおよび/または表面処理の際の悪臭のマスキングおよび/または芳香付与に適したレンズブランクを提供することである。
【解決手段】周縁により連結された表裏光学表面を有し、周縁が芳香剤含有仮コーティングによりコーティングされていることを特徴とするレンズブランク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ、特には眼用レンズをエッジングおよび/または表面処理する際に、悪臭(不快臭)を低減または排除する、および/または芳香を与える技術分野に関する。
本発明はさらに、眼鏡の着用者にとって快適な微香を与える、芳香付与(放出)眼用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
本願においては、「レンズ」という用語は、処理済、未処理にかかわらず、アイウェアまたは光学装置に用いられる、より具体的には眼用レンズに用いられる、いかなる有機または無機のガラス基板をも意味する。
眼用レンズは、該レンズの凹および凸の両光学表面の幾何(平面)形状を決定する、成形および/または表面処理/研磨の一連の処理によって形成される。
眼用ガラスの最終仕上げ工程は、収容するレンズフレームにレンズを適合できる所定の大きさとなるよう、レンズの周縁(または外周)を機械加工するエッジング工程である。エッジングは、通常、上記機械加工処理を行うダイアモンド研磨ホイールを含む研磨機で行われる。
【0003】
ある種のレンズ、具体的には、ポリチオウレタンまたはポリエピスルフィドなどの硫黄由来の生成物を含むレンズは、一般的に、このエッジング中に、さらにはその前の表面処理中にも悪臭を発する。
本発明の目的の一つは、悪臭を発生させることなく、エッジングおよび/または表面処理を行える手段を提供することである。
【0004】
レンズの硬化前に、レンズの成形体に芳香剤(防臭剤または香料剤)を注入することは以前から提唱されている。これについては、たとえば、炭化水素または複素環式の芳香付与化合物の少なくとも1つを0.005〜1.0質量%含めることにより、プラスチックレンズのカッティングまたは研磨中に発生する悪臭を低減または排除する特許文献1が例である。
【0005】
しかし、芳香付与化合物の配合割合が高くなると、レンズの機械的性質の劣化を招くし、発する芳香が強すぎることもある。さらに、香料の作用範囲は、レンズの研磨される部分(すなわち表面附近)のみであるため、レンズの成形体に含まれる芳香の大部分は、上記目的に対して実質的な作用を持っていない。
【0006】
プラスチックレンズのエッジング中に発生する悪臭を低減するまたは防臭する方法を具体的に記述する従来技術文献のいくつかは、レンズのエッジングの際にレンズと接する冷却水に芳香剤を入れることを記載する。具体的には、特許文献2は、炭化水素または複素環式の芳香剤化合物の少なくとも1つを冷却水の質量に対して0.001〜0.01%の質量で冷却水と混合することを開示する。
しかし、この技術は、大量の芳香剤を用いる必要があるため、非常に費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−147,201号公報
【特許文献2】特開平2−174,847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は、これらの難点を解決する手段にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的には、本発明の目的は、その縁を芳香剤含有コーティングによりコーティングすることにより作製され、エッジングおよび/または表面処理の際の悪臭のマスキングおよび/または芳香付与に適したレンズブランクである。
本願において、レンズブランクとは、表面処理またはエッジングという後続の工程を施す必要があるいかなるレンズをも意味する。
【0010】
レンズブランクは最終的に以下を含む。
- 成形済みで、(所定(所望)幾何形状の2面の光学表面を有する)両面を表面処理された、エッジングのみを要するレンズ。これが好ましい例である。
-(着用者の目に近い)通常裏面である片面を表面処理する必要があるレンズ。
【0011】
レンズの周縁にコーティングを施すことは従来技術において公知である。
したがって、国際公開第02/08820号パンフレットでは、眼鏡を前面から見たときにレンズフェースの周囲に沿って現れる白い輪の出現を低減し、眼鏡を側面から見たときにレンズの縁に現れる白い被膜の出現を低減することにより、眼鏡の外見上の美しさを向上するために、光学レンズの端部に色付きコーティングを施すことを具体的に記載している。この光学レンズはさらに、端部へ入射する光からのグレアを防止または低減することもできる。
【0012】
眼鏡レンズを保持するマウントが各眼鏡レンズの縁を部分的にのみ格納する厚手の眼鏡レンズの場合、ドイツ特許公開第3,321,933号A1が、前述したうち後者の技術的課題を解決するために、マウントがカバーしていない縁領域に不透明のコーティングを施すことを提言している。
国際公開第02/27359号パンフレットは、レンズの周縁をコーティングする方法に関しており、このコーティングは、レンズの製造において縁研磨を省く。このコーティングはさらに、湿気の侵入を防止し、溶剤やグリースなどからの化学的侵食から縁を保護する。このコーティング方法ではさらに、たとえば縁なし眼鏡フレームでの使用においてレンズのファッション性を提供できるよう、レンズの縁に色付きコーティングを施すこともできる。
【0013】
最後に、特開平2−223,909号公報は、物理蒸着法(PVD)により作製されるSi0フィルムと、窒化物、カーバイド、または酸化物を含むカラーフィルムと、PVDにより作製されるTi0フィルムとの、空気からの悪臭を制御するために効果的な3層のフィルムによってレンズをコーティングして作製される眼鏡用レンズを記載する。
したがって、レンズの縁に芳香剤含有コーティングを施すことについては、上記で引用の従来文献のいずれも、記載も示唆もしていない。
したがって本発明は、表裏光学表面および周縁を有し、その周縁が芳香剤含有仮コーティングによりコーティングされていることを特徴とするレンズブランクを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願において、仮コーティングとは、最終的にはエッジングおよび/または表面処理中に部分的または完全に除去されるコーティングを意味する。
本願において、芳香剤含有仮コーティングとは、エッジングおよび/または表面処理に際し、気づく程度の芳香を与える、および/または悪臭をマスキングする仮コーティングを意味する。したがって、エッジングおよび/または表面処理中に発生し得る悪臭が低減または除去される。コーティングのこの一時的という特性によって、着用者は、レンズから匂いを感じることがない。
【0015】
芳香剤含有仮コーティングはさらに、悪臭をマスキングするのではなく中和することができる材料を含む、および/または悪臭を感じる嗅覚を無くすことができる薬品を含む仮コーティングを意味する。
有益には、芳香剤仮コーティングは、不透明で、レンズの周縁に施されており、ほとんど目立たない。
好適には、芳香剤含有仮コーティングは、芳香剤含有マイクロカプセルを含み、この芳香剤含有マイクロカプセルは、(レンズブランクをエッジングする、または光学表面を表面処理する)機械操作がカプセルに施されるまで、保管中でも芳香を逃さない。これらのマイクロカプセルは、処理前の、たとえばエッジングおよび/または表面処理前の、あらゆるレンズ取り扱い中のコーティングの耐久性を向上するために、ポリマーマトリックスに埋め込まれる。
【0016】
本願において、マイクロカプセルとは、不浸透性の固いシェルにより保護された揮発性材料が総量の80%までを占める、中空コアまたは液体コアの球体として視覚化され、内部の充填材料を囲む切れ目のない流体不浸透性の外壁を意味する。
通常、マイクロカプセルは、1〜2000ミクロン(0.001〜2mm)、より習慣的には約1〜500ミクロン(0.001〜0.5mm)の範囲のミクロン直径である、ほぼ球形または回転楕円形の離隔した物体である。
【0017】
本願において、芳香剤含有マイクロカプセルとは、好ましくは親油揮発性の少なくとも1つの芳香剤を封入したポリマーシェルまたは無機シェルを意味する。
本願において、マイクロカプセルは、有益には、少なくとも1つの親油揮発性の芳香剤を封入したポリマーシェルである。
ポリマーシェルは優良な防壁層であるため、揮発性芳香剤をわずかな匂いのみでシェル内に長期間(たとえば数ヶ月)保管できる。したがって、たとえば、レンズブランクの機械的エッジングおよび/または表面処理で、芳香剤を保管するマイクロカプセルをせん断するなど、外部シェルを単純なせん断により破壊したいときに、保護された揮発性の芳香剤のみが放出される。
【0018】
レンズブランクの光学表面を表面処理する際、芳香剤が放出されるよう、縁コーティングは同時に表面処理機具によって部分的に機械加工される。
好ましくは、ポリマーシェルは、尿素−ホルムアルデヒドシェル、シリカシェル、またはポリオキシメチレン−尿素シェルである。
尿素−ホルムアルデヒドシェルを有する、芳香剤含有マイクロカプセルとして、オウラカシア製ピュアエッセンシャルオイル、レモングラス、ユーカリおよびベルガモット、またはインターナショナルフレグランスアンドテクノロジー社製ミント195621番、マルベリー195622番およびオレンジ195621番などの市販の芳香剤を封入した尿素−ホルムアルデヒドカプセルが挙げられる。
【0019】
シリカシェルを有する、芳香剤含有マイクロカプセルは、好ましくは、オウラカシア製ピュアエッセンシャルオイル、レモングラス、ユーカリ、ベルガモット、シナモンリーフおよびそれらの混合物から選択される芳香剤を封入する。
ポリオキシメチレン−尿素ポリマーシェルを有するマイクロカプセルとして、3M社販売のフレグランスマイクロカプセルパウダー、パウダーバケットTM、または、セレッサンス社提供の70種以上の果実、食物および花の香りの中から選択された芳香剤が挙げられる。
本発明の芳香剤含有マイクロカプセルは、ポリマーマトリックスに埋め込まれる。ポリマーマトリックスは、好ましくは、水溶性ポリマーを含み、具体的にはポリビニルアルコールまたはポリエステルポリマーを含む。
【0020】
本発明はさらに、レンズをエッジングおよび/または表面処理する際に、悪臭をマスキングする、および/または芳香を与える、以下を含む方法を提供する。
a)表裏光学表面および周縁を有するレンズブランクを提供し、
b)該周縁に芳香剤含有コーティング組成物を塗布し、
c)該周縁に芳香剤仮コーティングを形成するよう、前記芳香剤仮コーティング組成物を乾燥させ、縁コーティング済レンズブランクを得、
d)該縁コーティング済レンズブランクを所定幾何形状にエッジングおよび/または表面処理し、その際、該縁コーティング済レンズブランクは、芳香剤仮コーティング組成物に含まれる芳香を発し、
e)該縁コーティング済レンズブランクに残存する余分な芳香剤仮コーティングを取り除いてもよく、エッジング済および/または表面処理済レンズを得る。
【0021】
本発明の芳香剤含有コーティング組成物は、好ましくは、上述の芳香剤含有マイクロカプセルと、結合剤として少なくとも1つの水溶性ポリマーとを含む水性懸濁液状である。
好ましくは、水溶性ポリマーはポリビニルアルコールまたはポリエステルポリマーである。
芳香剤含有コーティング組成物のレンズブランク周縁への塗布には、たとえばレンズの縁を刷毛塗りまたはロールコーティングするなどの、利便性を有するいかなる手段を用いてもよい。
【0022】
本発明の他の実施形態では、芳香剤含有コーティングは永久的である。すなわち、すでにエッジング済のレンズの縁に塗膜される。このような永久的な芳香剤含有コーティングは、眼鏡の着用者に芳香を提供するために設計されている。
したがって、本発明はさらに、表裏光学表面と、事前に所定幾何形状にエッジングされた周縁とを有し、該周縁が芳香剤含有永久コーティングによりコーティングされていることを特徴とする芳香付与(放出)レンズを提供する。
【0023】
本願において、芳香付与レンズとは、エッジング済で、快適な微香を永久的に眼鏡の着用者に提供するレンズを意味する。
本発明の芳香剤含有永久コーティングは、芳香剤含有仮コーティングと同様の特性、すなわち、上記のように芳香剤含有コーティングが、ポリマーマトリックスに埋め込まれた芳香剤含有マイクロカプセルを含むという特性を有する。
眼鏡の取り扱い中に起こり得る、コーティング済みの縁のいかなるせん断によっても、芳香を発する。
【0024】
本発明の芳香付与レンズは、以下の方法により作製される。
a)周縁が所定幾何形状にエッジングされたレンズを提供し、
b)該周縁に芳香剤含有コーティング組成物を塗布し、
c)該周縁に芳香永久コーティングを形成するよう、該芳香剤含有コーティング組成物を乾燥させて、芳香永続コーティング内の芳香を付与するレンズを得る。
【0025】
本発明に係る芳香付与レンズを作製するために、上記と同様の芳香剤含有コーティング組成物を用いることができる。
該芳香剤含有コーティング組成物は、芳香剤含有仮コーティングと同様の上記方法により塗布することができる。
芳香剤含有仮コーティングまたは芳香剤含有永久コーティングは、アイウェアまたは光学装置、特に眼用レンズに用いられる、有機または無機のいかなるガラス基板材料上に塗布してもよい。
【0026】
有機材料は、CR39TMなどから得られるポリアリル材料、ポリ(ジエトキシビスフェノールA)ジメタクリレート、サーモプラスチックポリカーボネート(PC)、ポリチオウレタン、ポリエピスルフィドとすることができる。
本発明は以下の利点を有する。
1) 封入により芳香剤が安定するため、芳香付与期間が長い。
2) エッジングおよび/または表面処理時に、芳香の放出量が最大である。
以下の実施例により本発明を説明するが、これらはいかなる点においても発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0027】
I-芳香剤含有マイクロカプセルの作製
I.1.芳香剤含有尿素−ホルムアルデヒドマイクロカプセルの作製:米国特許第3,516,941号の実施例1に従う。
一日目
尿素(アルドリッチ社製ACS試薬99%)24gを、ホルムアルデヒド水溶液(アルルドリッチ社製37%水に溶解)48gに約20分間溶解した。その後、トリエタノラミン(アルドリッチ社製)約10滴を加えてpH8にした。次いで、溶液を70℃まで一時間加熱した後、脱イオン水100gを加えた。
【0028】
二日目
上記溶液43.25gを取り出し、クエン酸(アルドリッチ社製10%溶液)によりpHを5に調節した。オウラカシア製ピュアエッセンシャルオイル、レモングラス、ラベンダー、ユーカリ、ベルガモットおよびインターナショナルフレグランスアンドテクノロジー社製ミント195624番、マルベリー195622番、オレンジ195621番の中から選択された少なくとも1つの芳香剤14gを加えた。溶液のpHを3.5に調節し、40〜45℃で40分加熱した後、脱イオン水15gを加えた。次いで溶液を3時間加熱した。その後冷却脱イオン水を加えた。全工程に亘って溶液は撹拌された。
精製
溶液を5000rpmで10分間遠心分離機にかけ、マイクロカプセルと、水および封入されていない種とを分離した。カプセルを脱イオン水で洗浄し、再度遠心分離機にかけた。
【0029】
I.2.芳香剤含有シリカマイクロカプセルの作製:米国特許第6,238,650号の実施例1に従う。
テトラエトキシシラン(TEOS)10g、脱イオン水40gおよび臭化セチルトリメチルアンモニウム4gの混合物に、(オウラカシア製ピュアエッセンシャルオイル、レモングラス、ラベンダー、ユーカリ、ベルガモットおよびシナモンリーフの中から選択された)ピュアエッセンシャルオイル10gを加えた。この溶液を、0.5℃の冷却浴で高せん断ミキサーによって1時間混ぜた。11.3pHのNaOH58gを加えた。溶液を室温で24時間撹拌した。次に、溶液を5000rpmで10分間遠心分離機にかけて、マイクロカプセルを分離し、脱イオン水で洗浄し、再び遠心分離機にかけた。
【0030】
II. 縁コーティング組成物の作製
本願に係る芳香剤含有組成物C1〜C11は、3Mパウダーバケット9850TMの名称で3M社から販売されている市販の芳香剤含有マイクロカプセル、または、上記で合成された芳香剤含有マイクロカプセルのいずれかを含む。組成物C1〜C11は、下記の表1に記載の材料を以下のように混合することにより作製された:
・C1〜C10の各組成物については、単純に材料を加えて、均一な粘度となるまで混ぜた。
・C11の組成物については、セレッサンス社販売のセレッサンスインターナショナルKT82QSを、脱イオン水2gにゆっくりと混入した。次いでこの混合物を、AQ55の名称でイーストマンケミカル社から販売の水溶性ポリエステル樹脂の水溶液1gに加え、均一な粘度となるまで混ぜた。
【0031】
【表1】

【0032】
III.縁コーティングレンズの作製および該レンズのエッジング
所定幾何形状にエッジング済のレンズ、またはこれからエッジングを施す必要のあるレンズブランクのいずれかの周縁に、作製された各コーティング組成物を塗布した。
・加工済レンズのコーティングに関しては、以下の現象が見られた:
-レンズ縁上にコーティング組成物を乾燥塗布した際、縁がもとよりわずかに不透明となる以外、レンズの外見上の変化はなかった。
-コーティングされた加工済レンズが含む微香は、数日後に著しく放出された。
眼鏡の取り扱いを模擬実験するために、縁組成物C2〜C8、C10、C11でコーティングされたレンズの縁を(変化が現れるまで)人の爪でこすった。
縁がこすられる度に、芳香が放出された。
【0033】
・ブランクレンズのコーティングに関して、以下の現象が見られた:
-組成物C9を含むレンズブランク数個の周縁にコーティングを施して一週間後、9つのレンズを乾式でエッジングした。最初のレンズをエッジングした後、匂いは機械内に存在した。数個のレンズをエッジングした後、すぐに、芳香は部屋全体に広がり、室内の数人の同席者もそれに気づいた。
-縁組成物n°1でコーティングされたレンズは、匂いは与えたが、その縁はかき傷に弱かった(ひっかくと曇った)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に所定幾何形状にエッジングを施した表裏光学表面および周縁を有し、該周縁のみが芳香剤含有永久コーティングによりコーティングされている芳香付与レンズであって、芳香剤含有永久コーティングが、ポリマーマトリックスに埋め込まれた芳香剤含有マイクロカプセルを含み、前記マイクロカプセルが、芳香剤を封入するポリマーシェルまたは無機シェルを含み、前記シェルがせん断により芳香剤を放出する、芳香付与レンズ。
【請求項2】
前記芳香剤含有マイクロカプセルが、少なくとも1つの親油揮発性の芳香剤を封入するシェルを有することを特徴とする請求項1に記載の芳香付与レンズ。
【請求項3】
前記シェルが尿素−ホルムアルデヒドシェルであることを特徴とする請求項2に記載の芳香付与レンズ。
【請求項4】
前記シェルがシリカシェルであることを特徴とする請求項2に記載の芳香付与レンズ。
【請求項5】
前記シェルがポリオキシメチレン−尿素ポリマーシェルであることを特徴とする請求項2に記載の芳香付与レンズ。
【請求項6】
前記親油揮発性の芳香剤が、オウラカシア製ピュアエッセンシャルオイル、レモングラス、ユーカリ、ベルガモット、およびインターナショナルフレグランスアンドテクノロジー社製ミント195624番、マルベリー195622番、オレンジ195621番ならびにそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする請求項3に記載の芳香付与レンズ。
【請求項7】
前記親油揮発性の芳香剤が、オウラカシア製ピュアエッセンシャルオイル、レモングラス、ユーカリ、ベルガモット、シナモンリーフおよびそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の芳香付与レンズ。
【請求項8】
前記芳香剤が、果実、食物、花の香りおよびそれらの混合の香りから選択されることを特徴とする請求項5に記載の芳香付与レンズ。
【請求項9】
前記ポリマーマトリックスが、水溶性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の芳香付与レンズ。
【請求項10】
表裏光学表面および周縁を有する芳香付与レンズの作製方法であって、以下の工程を含む方法;
a)周縁が所定幾何形状にエッジングされたレンズを提供し、
b)前記周縁のみに、芳香剤を封入するポリマーシェルまたは無機シェルを含み、前記シェルがせん断により芳香剤を放出する芳香剤含有マイクロカプセルと、結合剤として少なくとも1つの水溶性ポリマーとを含む、水性懸濁液状である芳香剤含有コーティング組成物を塗布し、
c)前記周縁のみに芳香剤永久コーティングを形成するよう、前記芳香剤含有コーティング組成物を乾燥させて、芳香剤永久コーティング内に含まれる芳香を発するレンズを得る。
【請求項11】
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコールまたはポリエステルポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【公開番号】特開2011−70232(P2011−70232A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4080(P2011−4080)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【分割の表示】特願2010−44600(P2010−44600)の分割
【原出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【出願人】(594116183)エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック (69)
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL COMPAGNIE GENERALE D’ OPTIQUE
【Fターム(参考)】