エネルギー管理システム
【課題】 エネルギー消費機器の待機時間帯と待機エネルギー使用量を正確に把握可能とするエネルギー管理システムを提供する。
【解決手段】 本発明のエネルギー管理システムは、単位時間当たりの原単位生産数と、単位時間当たりの原単位エネルギー使用量と、を算出する前処理手段と、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを表示手段に表示させるトレンド解析手段と、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを表示手段に表示させる原単位解析手段と、トレンド解析グラフに基づいて原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、原単位解析グラフの近似線に基づいて原単位生産数が顕著に低下したときの待機エネルギー使用量を抽出して、待機時間帯及び待機エネルギー使用量を表示手段に表示させる後処理手段と、を有する解析処理手段を備える。
【解決手段】 本発明のエネルギー管理システムは、単位時間当たりの原単位生産数と、単位時間当たりの原単位エネルギー使用量と、を算出する前処理手段と、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを表示手段に表示させるトレンド解析手段と、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを表示手段に表示させる原単位解析手段と、トレンド解析グラフに基づいて原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、原単位解析グラフの近似線に基づいて原単位生産数が顕著に低下したときの待機エネルギー使用量を抽出して、待機時間帯及び待機エネルギー使用量を表示手段に表示させる後処理手段と、を有する解析処理手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造設備などの生産設備で使用されるエネルギー使用量(例えば、電力量、エアー流量など)を管理するエネルギー管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備で使用されるエネルギー使用量を少なくして、省エネルギーを図ることを目的としたエネルギー管理システムとして、例えば、特許文献1〜3に記載されたものが知られている。特許文献1では、各種のエネルギー消費機器から収集されたエネルギー消費に関するデータを解析表示するに際して、エネルギー消費の計量区分を階層表示又は模式図によって選択できるようにして、計量区分の把握と計量区分の選択を容易に行うことができるエネルギー管理システムが提案されている。特許文献2では、生産ラインで使用されるエネルギー使用量だけでなく、生産ラインに付帯する原料供給設備や事務室などの付帯設備で使用されるエネルギー使用量も考慮したエネルギー管理システムが提案されている。また、特許文献3では、エネルギー管理を行う対象時間帯を生産時間帯と非生産時間帯とに区分して、その区分毎にエネルギー使用状況を把握しようとした、エネルギー管理システムに係るエネルギー使用状況管理方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、エネルギー消費機器が稼働しているときのエネルギー使用量のみをエネルギー管理の対象としている。そのため、エネルギー消費機器が非稼働状態であるにも関わらずエネルギーを消費する待機電力等のエネルギー損失を把握することは困難である。
【0004】
また、特許文献2に記載の発明では、生産ラインが計画休止中である場合はエネルギー管理の算出に反映しないようにしているが、予め設定された期間をエネルギー消費機器のエネルギー損失と規定したものである。特許文献3に記載の発明では、生産していない時間帯を予め非生産時間帯として設定して、エネルギー使用量に含めないようにしている。しかしながら、実際には、休憩時間帯や異なる就業形態の交代の時間帯である直間においても生産を行っていることが多く、事前に生産時間帯と非生産時間帯とを区別してエネルギー管理システムに正確に設定することは困難である。したがって、いずれの場合もエネルギー消費機器が待機状態にあるときに、エネルギー消費機器が使用する待機エネルギー使用量を正確に把握することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−199783号公報
【特許文献2】特開2001−159909号公報
【特許文献3】特開2003−256761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、エネルギー消費機器の待機時間帯と待機エネルギー使用量を正確に把握可能とするエネルギー管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のエネルギー管理システムは、生産設備で使用されるエネルギー使用量を表示するエネルギー管理システムにおいて、製品の生産数及び前記エネルギー使用量を計測する計測手段と、前記計測手段の計測データを収集する計測データ収集手段と、前記計測データ収集手段に通信ネットワークを介して接続され前記計測データを演算処理する解析処理手段と、前記計測データの演算結果を表示する表示手段と、を備え、前記解析処理手段は、前記計測データを事前に前処理する前処理手段と、前記前処理された計測データに基づいて前記表示手段にグラフを表示させる、トレンド解析手段及び原単位解析手段と、前記グラフに基づいて演算処理する後処理手段と、を有し、前記前処理手段は、任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの前記生産数である原単位生産数と、前記単位時間当たりの前記エネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出し、前記トレンド解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを前記表示手段に表示させ、前記原単位解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを前記表示手段に表示させ、前記後処理手段は、前記トレンド解析グラフに基づいて前記原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、前記原単位解析グラフの前記近似線に基づいて前記原単位生産数が顕著に低下したときの前記原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、前記待機時間帯及び前記待機エネルギー使用量を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、製品の生産数をエネルギー使用量とともに計測して、製品の生産数とエネルギー使用量とを時系列に表示することができるので、製品の生産数が顕著に低下している待機時間帯を正確に把握することができる。また、本発明によれば、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフに基づいて、待機時間帯の待機エネルギー使用量を導出しているので、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算した場合と比べて、計測データの誤差の影響を受けにくい、正確な待機エネルギー使用量を把握することができる。
【0009】
(2)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、前記解析処理手段は、前記繰り返し単位ごとの前記待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを前記表示手段に表示させる待機エネルギー解析手段を有すると好適である。
【0010】
本発明によれば、待機エネルギー解析手段が待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段に表示させるので、待機エネルギー使用量の時間変化を容易に把握することができる。
【0011】
(3)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記待機エネルギー解析手段は、前記待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、前記表示手段に警報を表示させるのが好ましい。
【0012】
本発明によれば、待機エネルギー解析手段は、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、表示手段に警報を表示させるので、生産設備の保守点検箇所と保守点検時期を容易に把握することができる。
【0013】
(4)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記待機エネルギー解析手段は、前記表示手段に前記警報が表示されたときに、前記生産設備にエネルギーを供給するエネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段を備えると好適である。
【0014】
本発明によれば、待機エネルギー解析手段は、表示手段に上記警報が表示されたときに、エネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段を備えるので、製品の生産に必要なエネルギー以上の無駄なエネルギー供給を防止することができる。
【0015】
(5)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記生産設備は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する溶解部と、成形キャビティを備える鋳型を造型する造型部と、前記成形キャビティに前記溶湯を注湯する注湯部と、前記注湯された前記鋳型をばらして鋳物を取り出す型ばらし部と、を含む鋳造設備であるのが好ましい。
【0016】
鋳造設備は、他の生産設備と比べて、大電力や多量のエアーを必要とするエネルギー消費機器が多い。さらに、鋳造設備は、エネルギー消費機器の待機時間が長く、そのため待機エネルギー使用量も比較的多い。したがって、鋳造設備は、本発明のエネルギー管理システムを用いて、待機時間帯のエネルギー管理が行われることにより省エネルギーが図られ、本発明による効果がより顕著に発揮される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のエネルギー管理システムによれば、製品の生産数をエネルギー使用量とともに計測して、製品の生産数とエネルギー使用量とを時系列に表示することができるので、製品の生産数が顕著に低下している待機時間帯を正確に把握することができる。また、本発明のエネルギー管理システムによれば、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフに基づいて、待機時間帯の待機エネルギー使用量を導出しているので、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算した場合と比べて、計測データの誤差の影響を受けにくい、正確な待機エネルギー使用量を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のエネルギー管理システムと生産設備の一例を併せて示す概略構成図である。
【図2】本発明のエネルギー管理システムの概略構成図である。
【図3】設定表示画面を模式的に表す模式図である。
【図4】解析処理手段の概略構成図である。
【図5】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、トレンド解析グラフの一例を示したものである。
【図6】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、原単位解析グラフの一例を示したものである。
【図7】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、待機エネルギー推移グラフの一例を示したものである。
【図8】原単位解析グラフを説明する説明図である。
【図9】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、リアルタイム表示の一例を示したものである。
【図10】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、積算表示の一例を示したものである。
【図11】鋳造設備の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(1)生産設備
まず、本実施形態のエネルギー管理システムがエネルギー管理を行う生産設備7について説明する。図1は、本実施形態のエネルギー管理システムと生産設備7の一例を併せて示す概略構成図である。図1に示す生産設備7は、エネルギー供給手段5と、エネルギー供給手段5からエネルギーの供給を受けて製品を生産する生産ライン6と、を有している。エネルギー供給手段5は、エネルギー供給手段51、52を備え、生産ライン6は、生産ライン61、62、63、64、...、6N−1、6NのN本(「N」は正の整数。)の生産ラインを備えている。エネルギー供給手段5と生産ライン6とは、図1の太線で示すエネルギー供給ライン5Lでそれぞれ接続されて、エネルギー供給手段5から生産ライン6へ各種のエネルギーを供給することが可能となっている。
【0020】
エネルギー供給手段51は、電力会社の送電網511から配電された系統電力をトランス512で変圧して、エネルギー供給ライン5L1(電力線)を介して生産ライン6に電力を供給することができる。なお、発電機等の発電設備を用いることによって、系統電力の代わりに、又は系統電力と連係させて生産ライン6に電力を供給することもできる。
【0021】
エネルギー供給手段52は、コンプレッサ521(圧縮機)を複数基(例えば5基)備えている。エネルギー供給手段52は、エネルギー供給手段51からエネルギー供給ライン5L1(電力線)を介して電力を得て、コンプレッサ521を駆動させることによりエアー(圧縮空気)を生成することができる。エネルギー供給手段52は、エネルギー供給ライン5L2(配管)を介して生産ライン6に生成されたエアーを供給することができる。
【0022】
エネルギー供給手段52は、コンプレッサ521を複数基備えているので、それぞれのコンプレッサ521を制御することにより生産ライン6に供給するエアー流量を負荷の変動に合わせて容易に増減することができ、エアー圧力の変動を抑えることも可能である。コンプレッサ521の数及び容量は、生産ライン6が必要とするエアー流量によって、適宜決定することができる。本実施形態では、生産ライン6に供給されるエネルギーとして、電力とエアーが挙げられているが、生産される製品に合わせて、例えば、メタン、プロパンなどの天然ガスや、石油、重油、軽油などの化石燃料や、蒸気などの種々のエネルギーを供給することができる。
【0023】
生産ライン6は、ラインごとに材料供給手段611、621、631、641、...、6N−11、6N1を有し、材料供給手段611、621、631、641、...、6N−11、6N1からラインごとにそれぞれ製品材料612、622、632、642、...、6N−12、6N2が供給される。さらに、生産ライン6は、ラインごとにベルトコンベアなどの製品運搬手段613、623、633、643、...、6N−13、6N3を備え、製品材料612、622、632、642、...、6N−12、6N2の運搬が可能となっている。N番目の生産ライン6Nでは、エネルギー供給手段51から供給された電力とエネルギー供給手段52から供給されたエアーを用いて、材料供給手段6N1から供給された製品材料6N2が加工等される。製品材料6N2は、製品運搬手段6N3によって生産ライン6N上を移動しながら、加工等がされる。本明細書では、説明を簡単にするために、製品材料6N2が生産ライン6Nの最終段に移動したときに製品として完成するものとし、このときに製品の生産数の計測が行われるものとする。製品は、例えば、後述する鋳物8などが挙げられるが、鋳物8に限定されるものではない。
【0024】
生産ライン6は、製品の生産数を計測することができる生産ラインであれば、特に限定されない。説明を簡単にするために、本実施形態の生産設備7は、同一種の製品を生産ライン6ごとに分けて生産するものであるが、生産ライン6によって異種の製品を生産するものであっても良く、生産ライン61で生産工程の一部を行い、生産ライン62で次の生産工程を行うというように、順に生産ライン61から生産ライン6Nまで生産工程を実施することにより、製品が完成される生産設備7であっても良い。また、本実施形態の生産設備7は、すべての生産ライン6に電力とエアーがそれぞれ供給されているが、いずれか1種のエネルギーを使用する生産ラインであっても良い。
【0025】
エネルギー供給手段5及び生産ライン6の運転管理は、通常は図示しない生産管理システムによって行われるが、後述するように、エネルギー供給手段5は、本実施形態のエネルギー管理システムからの指令によってもエネルギー供給量の制御を行うことが可能となっている。
(2)エネルギー管理システムの構成
本実施形態のエネルギー管理システムの構成を図2を用いて説明する。図2は、本実施形態のエネルギー管理システムの概略構成図である。図2に示す本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数及びエネルギー使用量を計測する計測手段1と、計測手段1の計測データを収集する計測データ収集手段2と、計測データ収集手段2に通信ネットワークを介して接続され計測データを演算処理する解析処理手段3と、計測データの演算結果を表示する表示手段4と、を備えている。
【0026】
計測手段1は、生産ライン6のラインごとに配され、製品の生産数及び生産設備7で使用されるエネルギー使用量を計測する。製品の生産数の計測は、例えば、市販の生産数カウンタで計測することができる。生産数カウンタは、生産ライン6の各ラインの最終段にリミットスイッチ、近接スイッチ等を設けて、そのON/OFF信号の繰り返し回数を計測することにより製品の生産数を計測することができる。
【0027】
図1に示す生産設備7では、製品の生産に使用されるエネルギー源として電力及びエアーが用いられるので、計測手段1は、生産ライン6のラインごとの電力量及びエアー流量を計測することが可能となっている。なお、本実施形態のエネルギー管理システムは、エネルギー供給手段5が供給する電力量(トランス512の2次側電力量)及びエアー流量(コンプレッサ521の吐出量の総和)も合わせて計測することができる。
【0028】
計測手段1は、この他にも必要に応じて、生産ライン6で使用される電流、電圧、エアー圧力等を計測することもできる。また、エネルギー源の種別が変われば、それに対応したエネルギーの物理量を計測することができる。例えば、ガスであればガス流量、ガス圧力などを計測し、石油などの化石燃料であれば油量、油圧、油温などを計測し、蒸気であれば蒸気流量、蒸気圧などを計測することができる。エネルギー使用量の計測は、市販の電力計、電圧計、電流計、エアー使用量計測器、ガスメータ、温度センサ、蒸気使用量計測器等を用いることができる。
【0029】
計測データ収集手段2は、生産ライン6のラインごとに配され、信号線1Cを介して計測手段1にそれぞれ接続されている。計測データ収集手段2は、例えば、市販のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)などを用いることができる。信号線1Cは、計測手段1と計測データ収集手段2との間で、計測データの授受ができれば、特に限定されない。例えば、シリアル通信や、パラレル通信などで計測データを送信することができる。信号線1Cは、有線であっても無線であっても良い。
【0030】
計測データ収集手段2には、計測手段1から信号線1Cを介して計測データが送信される。計測データ収集手段2は、計測手段1で計測された計測データを所定時間間隔(例えば10ミリ秒間隔)で収集する。図2では、計測手段1ごとに計測データ収集手段2が1つ設けられているが、1つの計測データ収集手段2が複数の計測手段1の計測データを収集しても良い。例えば、生産ライン6やエネルギー供給手段5ごとに計測データ収集手段2をそれぞれ1つ設けて、生産ライン6やエネルギー供給手段5ごとに製品の生産数、電力量及びエアー流量を計測することもできる。また、1つの計測データ収集手段2が、すべての計測手段1の計測データを一括して収集しても良い。
【0031】
計測データ収集手段2は、計測手段1から収集された計測データを所定時間間隔で、通信ネットワーク2Cを介して解析処理手段3のLANインターフェース3Eに送信する。LANインターフェース3Eは、計測データ収集手段2と解析処理手段3との間で、計測データの授受ができれば、特に限定されない。例えば、RS−485などのシリアル通信で計測データの授受を行っても良く、イーサネット(登録商標)でLANを構成して計測データの授受を行っても良い。通信ネットワーク2Cは、有線であっても無線であっても良い。計測データの送信間隔(所定時間間隔)は、短い方が詳細な解析ができるが、計測データの点数や後述する記憶装置3Cの記憶容量との関係で必ずしも適当ではない。本実施形態のエネルギー管理システムでは、1秒間隔で計測データ収集手段2から解析処理手段3に計測データを送信することができる。
【0032】
解析処理手段3及び表示手段4は、例えば、一般的なパーソナル・コンピュータを用いて構成することができる。具体的には、コンピュータ本体、モニタ、キーボード、マウス等によって構成される一般的なコンピュータにおいて、特定のソフトウェアを実行させることによって実現される。解析処理手段3は、図2に示すように、CPU(中央演算処理装置)3Aと、メモリ(一時記憶装置)3Bと、ハードディスクドライブ等の記憶装置3Cと、キーボード、マウス等の入力装置3Dと、計測データ収集手段2と通信可能な既述のLANインターフェース3Eと、エネルギー供給手段5を制御可能な入出力インターフェース3Fと、がバス3BUSで接続され、各種データの授受が可能となっている。解析処理手段3は、プリンタ等の印刷装置を備えることができるが、後述するグラフの印刷機能を使用しない場合は、印刷装置は不要である。
【0033】
計測データ収集手段2で収集された計測データは、CPU3A、メモリ3Bを介して記憶装置3Cに記録され、計測データが記憶装置3Cに蓄積される。計測データ収集手段2に収集された各計測データは、所定単位、例えば、5分単位にまとめられて、その時間間隔で解析処理手段3の記憶装置3Cに記録される。解析処理手段3は、記録された計測手段1ごとの計測データを、予め5分ごとに集計し、例えば、電力量、エアー流量等のエネルギー使用量として積算すべき計測データは、5分ごとに積分した値が記憶装置3Cの所定の記憶領域に格納される。また、例えば、温度などの計測値を積算すべきでない計測データは、計測値の平均値又は計測値の最大値が上記記憶領域に格納される。これらの計測データは、例えば、最長1年分蓄積され、データ量が1年以上になると、その後は順次古いデータが削除されるとともに新しい計測データが追加される。
【0034】
CPU3A及びメモリ3Bは、所定のプログラムに従って、記憶装置3Cに蓄積された計測データの書込み/読出し、入力装置3Dによる入力操作の検出、表示手段4に表示させる画面の作成及び各種演算処理を行う。入力装置3Dは、キーボードやマウス等のようにキー入力や画面上の座標位置の指定等を行う装置であり、表示手段4は、液晶モニタやCRTモニタ等のように文字や図形等を表示する表示器である。表示手段4は、タッチパネルのように入力装置3Dを兼用することもできる。入出力インターフェース3Fは、通信ネットワーク3F1、3F2を介してエネルギー供給手段5に接続されている。入出力インターフェース3Fは、エネルギー供給手段5に制御信号を送信して、CPU3Aの演算処理結果に応じて、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させることができる。
【0035】
本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数及び生産ライン6で使用されるエネルギー使用量などを解析処理して、解析結果を表示手段4に表示させる。以下、操作手順を説明する。まず、操作者が、記憶装置3Cに記録されているソフトウェア(プログラム)を起動させると、表示手段4に設定表示画面が表示される。設定表示画面は、後述する解析条件の全て又は一部が標準的な条件(例えば、図3に示す設定表示画面で選択された条件)に設定された状態になっている。解析処理結果を表示する領域は、未表示の状態である。なお、ソフトウェアの前回終了時の設定表示画面を表示させても良い。
【0036】
表示手段4に設定表示画面が表示された後、操作者は、後述する方法で解析条件を設定する。解析条件を設定後に、操作者が解析処理の実行を指示すると、解析結果が表示手段4に表示される。具体的には、図3に示す設定表示画面の表示・印刷選択領域48で、グラフの「表示」又はグラフの「印刷」を選択すると、解析処理が実行される。「表示」が選択された場合は、計測データを解析処理してグラフが表示される。「印刷」が選択された場合は、グラフ表示領域49に表示されたグラフがプリンタ等の印刷装置によって印刷される。グラフ表示領域49にグラフが表示されていない場合は、計測データを解析処理してから印刷する。操作者がソフトウェアを終了させる場合は、所定の終了操作を行う。継続して他の条件で解析処理を行う場合は、解析条件の設定操作から繰り返す。
【0037】
次に、表示手段4に表示される設定表示画面について説明する。図3は、表示手段4に表示される設定表示画面を模式的に表す模式図である。図3に示す設定表示画面は、解析対象を選択するための解析対象選択領域41と、解析する種別を選択するための種別選択領域42と、表示単位を選択するための表示単位選択領域43と、原単位を選択するための原単位選択領域44と、解析開始時刻を選択するための解析開始時刻選択領域45と、解析期間を選択するための解析期間選択領域46と、表示するグラフを選択するためのグラフ表示選択領域47と、グラフの表示又はグラフの印刷を選択するための表示・印刷選択領域48と、グラフが表示されるグラフ表示領域49と、を有する。
【0038】
解析対象選択領域41は、解析・表示する解析対象を1以上選択することができる。選択は、「生産ライン61」、「生産ライン62」、...、「生産ライン6N−1」、「生産ライン6N」、「トランス512」、「コンプレッサ521」の中から選択することができ、選択は、名称の横にあるラジオボタンをマウスでクリックすることにより行う(解析開始時刻、表示及び印刷を除いて、以下、単に「選択する」という。)。例えば、「生産ライン61」が選択されると、生産ライン61の製品の生産数及びエネルギー使用量が解析されてグラフ表示される。なお、エネルギー供給手段51のトランス512及びエネルギー供給手段52のコンプレッサ521で計測されるエネルギー量は、厳密にはエネルギー使用量ではなくエネルギー供給量であるが、本実施形態のエネルギー管理システムでは、生産ライン6で使用されるエネルギー使用量も、エネルギー供給手段51、52から供給されるエネルギー供給量のいずれも解析及び表示することができる。
【0039】
種別選択領域42は、解析・表示するエネルギーの種別を1以上選択することができる。選択は、「電気(電力量)」と「エアー(エアー流量)」から選択することができる。表示単位選択領域43は、解析・表示するエネルギー使用量の表示単位を1つ選択することができる。選択は、「計測値」、「コスト」、「CO2」、「電力量換算」の中から選択することができる。「計測値」は、計測データが後述する原単位生産数又は原単位エネルギー使用量に演算処理されて、演算結果が表示される。「コスト」を選択すると原単位エネルギー使用量の演算結果が、例えば、電気料金などの料金で表示され、「CO2」を選択するとCO2(二酸化炭素)排出量換算で表示される。例えば、種別で「エアー(エアー流量)」が選択された場合に「電力量換算」を選択するとエアー流量が電力量換算で表示される。種別で「電気(電力量)」が選択された場合は、「電力量換算」を選択しても電力量が表示される。この他にも原油使用量など他のエネルギー使用量に換算することもできる。
【0040】
原単位選択領域44は、解析・表示するエネルギー使用量及び製品の生産数の原単位を1つ選択することができる。一般に原単位とは、エネルギー使用量であれば、単位時間当たりのエネルギー使用量又は単位生産額当りのエネルギー使用量をいうが、本明細書では、単位時間当たりのエネルギー使用量のことを「原単位エネルギー使用量」という。同様に製品の生産数については、単位時間当たりの生産数のことを「原単位生産数」という。本実施形態のエネルギー管理システムでは、「1秒単位(リアルタイム)」、「5分単位」、「10分単位」、「30分単位」、「1時間単位」、「24時間単位」などを原単位として選択することができるが、これらと異なる単位時間を用いることもできる。例えば、図3に示す設定表示画面では、生産ライン61の電気(電力量)の計測値を10分単位の原単位で解析処理することが選択されている。この場合は、解析期間の起算開始時刻から起算終了時刻までを10分間隔で区切り、エネルギー使用量(生産ライン61の電力量)は、区切られた10分間の計測データごとに解析処理される。解析処理の詳細は、後述する。
【0041】
解析開始時刻選択領域45は、解析・グラフ表示する起算開始時刻を選択することができる。選択は、年、月、日、時及び分の各プルダウンメニュー(解析開始時刻選択領域45の下向き三角表示がある領域をマウス等でクリックして選択可能なパラメータを表示させ、そのパラメータを選択する。)から所望の年月日及び時刻を選択する。選択が終了すると、同図の解析開始時刻選択領域45には、例えば、「2009年9月1日12時00分」が表示されて、「2009年9月1日12時00分」が起算開始時刻として選択されたことを示している。解析期間選択領域46は、解析・グラフ表示する起算開始時刻から終了時刻までの解析期間を1つ選択することができる。選択は、「1分間(リアルタイム)」、「10分間」、「1時間」、「24時間」、「1週間」、「1ケ月間」又は「1年間」の中から選択することができる。例えば、図3に示す設定表示画面では、2009年9月1日12時00分から2009年9月8日11時59分までの1週間分の計測データを解析処理して、グラフ表示することが選択されている。
【0042】
グラフ表示選択領域47は、表示するグラフを1つ選択することができる。選択は、「リアルタイム表示」、「積算表示」、「トレンド解析グラフ」、「原単位解析グラフ」又は「待機エネルギー推移グラフ」の中から選択することができる。グラフの詳細は、後述する。表示・印刷選択領域48は、「表示」又は「印刷」のコマンドボタンをマウスでクリックすることにより、グラフの「表示」又はグラフの「印刷」を選択することができる。「表示」が選択された場合は、計測データを解析処理してグラフが表示される。「印刷」が選択された場合は、グラフ表示領域49に表示されたグラフがプリンタ等の印刷装置によって印刷される。グラフ表示領域49にグラフが表示されていない場合は、計測データを解析処理してから印刷する。
【0043】
なお、解析条件の設定は、ラジオボタンやプルダウンメニューをマウスでクリックすることにより、所望の解析条件の設定を行うことができるが、この他にもキーボードにショートカットキーを割り当てておき、キーボードからの入力によって解析条件の選択を行うこともできる。また、表示手段4にタッチパネルを用いる場合は、設定表示画面に表示された名称や設定表示画面に表示されたテンキーに操作者が触れることによって、解析条件の設定を行うこともできる。
(3)解析処理手段
図4及び解析結果の一例を示しながら、解析処理手段3の具体的な解析処理について説明する。図4は、解析処理手段3の概略構成図である。既述のとおり、計測手段1によって計測された計測データは、計測データ収集手段2によって収集され、解析処理手段3に授受される。図4に示す矢印の方向は、計測データの授受の方向及び解析処理の順序を示している。
【0044】
図4に示す解析処理手段3は、計測データを事前に前処理する前処理手段31と、前処理された計測データに基づいて表示手段4にグラフを表示させる、トレンド解析手段32及び原単位解析手段33と、グラフに基づいて演算処理する後処理手段34と、後処理手段34の演算処理結果に基づいて表示手段4にグラフを表示させる待機エネルギー解析手段35と、を有している。以下、順に説明する。
(3−1)前処理手段
前処理手段31は、任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの製品の生産数である原単位生産数と、単位時間当たりのエネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出する。前処理手段31は、トレンド解析手段32及び原単位解析手段33で使用する原単位生産数と原単位エネルギー使用量とを算出する。
【0045】
前処理手段31は、図3に示す設定表示画面の解析開始時刻選択領域45から入力された時刻を起算開始時刻とし、起算開始時刻から解析期間選択領域46で選択された期間が経過した時を起算終了時刻として、起算開始時刻から起算終了時刻までの解析期間T1に収集された計測データを解析処理の対象とする。計測データは、製品の生産数及び生産ライン6で使用されたエネルギー使用量である。なお、既述のとおり、本実施形態のエネルギー管理システムでは、エネルギー供給手段5が供給するエネルギー供給量も解析処理することができる。解析される計測データは、設定表示画面の解析対象選択領域41で選択された解析対象であり、種別選択領域42で選択された種別である。製品の生産数は、解析対象及び種別がいずれであっても必ず解析処理される。ただし、解析対象が「トランス512」又は「コンプレッサ521」である場合は、製品の生産数は、生産ライン6のすべてのラインの生産数を合計したものとする。計測データは、既述のとおり、記憶装置3Cに記録されているので、起算開始時刻から起算終了時刻までの解析期間T1に収集された計測データを記憶装置3Cからメモリ3Bに読み出して解析処理される。
【0046】
前処理手段31は、図3に示す設定表示画面の原単位選択領域44から入力された原単位を単位時間として、解析処理を行う。解析処理は、単位時間当たりの製品の生産数を算出して原単位生産数を導出し、単位時間当たりのエネルギー使用量を算出して原単位エネルギー使用量を導出する。原単位生産数と原単位エネルギー使用量の導出は、いずれを先に行っても良く、その順序を問わない。例えば、原単位として「10分単位」が選択され、解析対象・種別として「生産ライン61の電気(電力量)」が選択された場合は、以下の手順によって原単位生産数及び原単位エネルギー使用量が導出される。
【0047】
原単位生産数は、10分間に生産された製品の生産数を解析期間T1に亘って順に算出することにより導出される。記憶装置3Cには、5分間に生産された製品の生産数が1つのデータとして記録されているので、まず、記憶装置3Cに記録されている起算開始時刻から10分間の2つのデータを読み出して、それらを加算する。加算された製品の生産数は、起算開始時刻から10分間における原単位生産数である。同様にして、10分間分に相当する2つのデータを読み出しては加算することを起算終了時刻まで繰り返すことにより、起算開始時刻から起算終了時刻まで、10分単位の原単位生産数を導出することができる。
【0048】
原単位エネルギー使用量は、10分間に使用されたエネルギー使用量を解析期間T1に亘って順に算出することにより導出される。記憶装置3Cには、5分間に使用されたエネルギー使用量が1つのデータとして記録されているので、まず、記憶装置3Cに記録されている起算開始時刻から10分間の2つのデータを読み出して、それらを加算する。本実施形態のエネルギー管理システムでは、エネルギーの種別が電力量やエアー流量であるため、2つのデータを加算したものは、10分間のエネルギー使用量の積分値である。よって、例えば、エネルギー使用量を1時間当りの電力量(kWh)で表すためには、2つのデータの加算結果に6を乗ずる。
【0049】
一方、エネルギーの種別が温度などの積算されていない計測データである場合は、2つのデータの平均値又は最大値を算出することによって、起算開始時刻から10分間における原単位エネルギー使用量を導出することができる。同様にして、10分間分に相当する2つのデータを読み出しては上記の演算を行い、起算終了時刻まで繰り返すことにより、起算開始時刻から起算終了時刻まで、10分単位の原単位エネルギー使用量を導出することができる。
(3−2)トレンド解析手段
トレンド解析手段32は、前処理手段31で導出された原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいて、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを表示手段4に表示させる。
【0050】
図3に示す設定表示画面で、原単位として「10分単位」が選択され、解析対象・種別として「生産ライン61の電気(電力量)及びエアー(エアー流量)」が選択された場合を例に、トレンド解析グラフについて説明する。解析開始時刻は2009年9月1日12:00、解析期間T1は24時間である。なお、説明を簡単にするためにトレンド解析グラフは、解析期間が12:00〜14:30までを示しているが、実際のトレンド解析グラフは、24時間分が表示される。また、エアー流量は、電力換算値で表されている。既述のとおり、前処理手段31によって、計測データから原単位生産数及び原単位エネルギー使用量が算出される。前処理手段31で導出された原単位生産数及び原単位エネルギー使用量の一例を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
トレンド解析グラフは、表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量をそれぞれ時系列に表して得られる。グラフ自体は、市販の表計算ソフトによっても作成することができる。よって、本実施形態のエネルギー管理システムから表計算ソフトを起動させて、表計算ソフトでグラフ表示させて、それを本実施形態のエネルギー管理システムの表示手段4のグラフ表示領域49に表示させることもできる。
【0053】
表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフの一例を図5に示す。図5に示すトレンド解析グラフの横軸は時間を、縦軸は原単位エネルギー使用量(主縦軸)及び原単位生産数(第2縦軸)を表している。原単位生産数は棒グラフ32Aで示され、原単位エネルギー使用量は折れ線の特性線32B、32Cで示されている。特性線32Bは、電力量の原単位エネルギー使用量を示す。特性線32Cは、エアー流量の原単位エネルギー使用量を示す。なお、グラフの種類や座標軸の取り方は、適宜変更することができる。
(3−3)原単位解析手段
原単位解析手段33は、前処理手段31で導出された原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいて、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを表示手段4に表示させる。以下、表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいた原単位解析グラフを例に、原単位解析グラフについて説明する。
【0054】
図6は、表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量の関係を近似線33A、33Bで表した原単位解析グラフの一例である。図6に示す原単位解析グラフの横軸は原単位生産数を、縦軸は原単位エネルギー使用量を表している。座標軸の取り方は、適宜変更することができる。近似線33Aは、原単位生産数と原単位エネルギー使用量(電力量)の関係に基づく近似線を示す。近似線33Bは、原単位生産数と原単位エネルギー使用量(エアー流量)の関係に基づく近似線を示す。
【0055】
近似線33A、33Bは、表1に示す原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係に基づいて、後述する最小二乗法により1次の近似式を導出して、その近似式をプロットすることによって得た。原単位生産数をX、原単位エネルギー使用量(電力量)をYとすると、この場合の原単位エネルギー使用量(電力量)の近似式は、Y=10X+100で示される。また、原単位エネルギー使用量(エアー流量)の近似式は、原単位生産数をX、原単位エネルギー使用量(エアー流量)をZとすると、Z=8X+57で示される。なお、図6では、近似線だけでなく計測データもプロットされている。
【0056】
原単位解析グラフは、原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいて、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表すことによって得られる。近似線は、例えば、グラフの横軸に原単位生産数をとり、グラフの縦軸に原単位エネルギー使用量をとって、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係をプロットすることにより得ることができる。近似線は、直線であっても曲線であっても良い。
【0057】
近似線は、図6に示すように、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係から近似式を導出して、近似式をプロットすることによって得ることもできる。近似方法は、例えば、最小二乗法などの近似法を用いることができる。最小二乗法は、測定で得られた数値の組を特定の近似関数を用いて近似するとき、近似関数に代入して得られる関数値と測定値との誤差の二乗和が最小になるように、近似関数を決める方法である。一次関数で近似すると近似線は直線となり、二次関数以上の高次の関数で近似すると近似線は曲線となる。近似方法は、この他にも種々の既知の方法を用いることができる。例えば、計測データに極端な異常値が含まれる場合は、修正トンプソン−τ法を用いるのが良い。修正トンプソン−τ法は、誤差が正規分布していると考えた場合に、誤差の正規分布から極端に離れた異常値を取り除くことができる。
【0058】
また、相関係数を表示させることにより、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の相関関係を把握することができ、ひいては生産設備のバラツキを把握することができる。
【0059】
原単位解析グラフは、トレンド解析グラフと同様にグラフ自体は、市販の表計算ソフトによっても作成することができる。よって、本実施形態のエネルギー管理システムから表計算ソフトを起動させて、表計算ソフトでグラフ表示させて、それを本実施形態のエネルギー管理システムの表示手段4のグラフ表示領域49に表示させることもできる。
(3−4)後処理手段
後処理手段34は、トレンド解析手段32で得られたトレンド解析グラフに基づいて原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、原単位解析手段33で得られた原単位解析グラフの近似線に基づいて原単位生産数が顕著に低下したときの原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、待機時間帯及び待機エネルギー使用量を表示手段4に表示させる。
【0060】
図5に示すトレンド解析グラフの棒グラフ32Aからは、12:00〜12:40までは原単位生産数が9〜10個の範囲で略一定であるが、12:40〜12:50の期間になると急激に原単位生産数が減少して、原単位生産数はゼロになっていることが分かる。原単位生産数がゼロの期間は12:40〜13:50まで続き、13:50〜14:00の期間になると急激に原単位生産数が増加して、13:50〜14:40の期間は原単位生産数が9〜11個の範囲で略一定となっている。よって、原単位生産数が顕著に低下している時間帯は、12:40〜13:50であることが分かる。この時間帯は、生産設備7が所望の生産数を生産していない待機状態にあることから、本明細書では、「待機時間帯」という。また、本明細書において、「原単位生産数が顕著に低下する」とは、直前の原単位生産数と比べて、原単位生産数が1/10以下になることをいう。原単位生産数がゼロの時間帯は、生産設備7が製品を全く生産していない完全な待機時間帯に相当する。
【0061】
図6に示す原単位解析グラフの近似線33Aから、原単位生産数が9〜10個の範囲で略一定であるときから、原単位生産数が顕著に低下して原単位生産数がゼロになったときの原単位エネルギー使用量は、電力量で100kWhであることが分かる。また、同図に示す原単位解析グラフの近似線33Bから、原単位生産数が9〜10個の範囲で略一定であるときから、原単位生産数が顕著に低下して原単位生産数がゼロになったときの原単位エネルギー使用量は、エアー流量(電力量換算)で57kWhであることが分かる。これらの原単位エネルギー使用量は、生産設備7が所望の生産数を生産していない待機状態にあるときに使用されるエネルギー使用量であるので、本明細書では、「待機エネルギー使用量」という。
【0062】
後処理手段34は、待機時間帯及び待機エネルギー使用量を表示手段4のグラフ表示領域49に表示させる。表示手段4がトレンド解析グラフを表示している場合の待機時間帯は、例えば、トレンド解析グラフの横軸(時間軸)上に時間帯とともに赤線で強調表示され、待機エネルギー使用量も合わせて表示される。表示手段4が原単位解析グラフを表示している場合は、例えば、待機エネルギー使用量が数値とともに原単位解析グラフの縦軸(エネルギー使用量軸)上に赤線で強調表示され、待機時間帯も合わせて表示される。
【0063】
従来技術においては、生産していない時間帯を予め非生産時間帯として設定して、エネルギー使用量に含めないようにしていた。しかしながら、実際には、休憩時間帯においても製品の生産を行っていることが多く、生産設備7が待機状態にあるときの待機電力等のエネルギー損失を正確に把握することは困難であった。
【0064】
本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数をエネルギー使用量とともに計測して、製品の生産数とエネルギー使用量とを時系列に表示することができるので、製品の生産数が顕著に低下している待機時間帯を正確に把握することができる。例えば、昼の休憩時間帯を12:30〜13:30と予め決めていても、生産計画の遅れによって休憩時間帯の一部にずれ込むことがある。また、生産設備7の不具合によって、休憩時間が終了しても、すぐに生産を開始できない場合もある。このような場合であっても、本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数の計測データをもとに実際に製品を生産していない待機時間帯(上記の例では、12:40〜13:50)を正確に把握することができる。
【0065】
待機エネルギー使用量は、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算して算出することができるとも考えられる。しかしながら、待機エネルギー使用量は、製品生産時のエネルギー使用量と比べて極めて小さい。そのため、計測データに実際のエネルギー使用量から大きく離れた異常値が含まれると、計測データと実際のエネルギー使用量との誤差の影響を受け易くなり、正確な待機エネルギー使用量を算出することが困難となる。また、製品の生産数が顕著に変動すると、それに伴って生産設備7で使用されるエネルギー使用量も大きく変動する。そのため、この方法では、エネルギー使用量の過渡的な変動も含めて待機エネルギー使用量を算出する場合があり、正確に待機エネルギー使用量を算出しているとは言えない。
【0066】
本実施形態のエネルギー管理システムは、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフに基づいて、待機時間帯の待機エネルギー使用量を導出しているので、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算した場合と比べて、待機エネルギー使用量を正確に把握することができる。つまり、本実施形態のエネルギー管理システムは、待機時間帯の計測データのみから待機エネルギー使用量を算出するのではなく、製品生産時のエネルギー使用量も含めた解析期間全体の計測データから待機エネルギー使用量を導出しているので、計測データの誤差の影響を受けにくい、正確な待機エネルギー使用量を算出することができる。従って、本実施形態のエネルギー管理システムは、生産設備7等を備えた工場全体の待機エネルギー使用量も正確に把握することができる。
(3−5)待機エネルギー解析手段
本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、解析処理手段3は、さらに、待機エネルギー解析手段35を有している。待機エネルギー解析手段35は、所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、繰り返し単位ごとの待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させる。
【0067】
既述のとおり、解析期間T1(所定時間帯)は、図3に示す設定表示画面の解析開始時刻選択領域45から入力された時刻を起算開始時刻T1Sとし、起算開始時刻T1Sから解析期間選択領域46で選択された期間が経過した時を起算終了時刻T1Eとした期間である。そして、解析期間T1(所定時間帯)に収集された計測データに基づいて原単位解析グラフを導出し、原単位解析グラフに基づいて待機エネルギー使用量を算出している。つまり、1つのエネルギー種別に対して、解析期間T1(所定時間帯)における待機エネルギー使用量が1つ導出される。
【0068】
本実施形態のエネルギー管理システムでは、上記解析期間T1(所定時間帯)を繰り返し単位とした場合に、繰り返し単位ごとの待機エネルギー使用量を算出する。以下、具体的に説明する。上記の起算終了時刻T1Eを次の繰り返し単位の起算開始時刻T2Sとし、起算開始時刻T2Sから解析期間選択領域46で選択された期間が経過した時を次の繰り返し単位の起算終了時刻T2Eとすると、解析期間T1の次の繰り返し単位である解析期間T2は、起算開始時刻T2Sから起算終了時刻T2Eまでの期間となる。これを所定回数繰り返すことにより、解析期間T1(所定時間帯)を繰り返し単位とした複数の解析期間を想定することができる。
【0069】
繰り返し回数は、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47で設定する。グラフ表示選択領域47で「待機エネルギー推移グラフ」が選択されると、その選択領域に数値を選択可能なプルダウンメニューが表示され、繰り返し回数を選択することができる。例えば、繰り返し回数で「4」回を選択すると、解析期間T1、T2、T3及びT4の4つの解析期間が想定される。そして、図3に示す設定表示画面の表示・印刷選択領域48で「表示」又は「印刷」が選択されると、解析期間T1(所定時間帯)に収集された計測データに基づいて原単位解析グラフを導出し、原単位解析グラフに基づいて待機エネルギー使用量を算出する。次に、解析期間T2(所定時間帯)に収集された計測データに基づいて原単位解析グラフを導出し、原単位解析グラフに基づいて待機エネルギー使用量を算出する。これを解析期間T4まで繰り返す。なお、解析順序は、解析期間T1、T2、T3及びT4のうち、いずれの順序で解析しても良い。
【0070】
待機エネルギー解析手段35は、待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させる。上記の例では、解析期間T1、T2、T3及びT4のそれぞれの待機エネルギー使用量を時系列に表して待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させる。図3に示す設定表示画面の解析開始時刻選択領域45で「2009年8月1日12:00」を、解析期間選択領域46で「1ケ月間」を、グラフ表示選択領域47で「待機エネルギー推移グラフ」を、繰り返し回数で「4」回を選択した場合を例に、待機エネルギー推移グラフを説明する。なお、待機エネルギー使用量は、生産ライン61のエアー流量(電力量換算)とする。
【0071】
図7は、グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、待機エネルギー推移グラフの一例を示したものである。図7に示す待機エネルギー推移グラフの横軸は月を、縦軸は生産ライン61のエアー流量の待機エネルギー使用量を表している。待機エネルギー推移グラフは、折れ線の特性線35Aで示される。図7に示す待機エネルギー推移グラフの特性線35Aからは、生産ライン61のエアー流量の待機エネルギー使用量は、8月が57kWh、9月が60kWh、10月が90kWh、11月が120kWhであることが分かる。
【0072】
本実施形態のエネルギー管理システムは、待機エネルギー解析手段35が待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させるので、待機エネルギー使用量の時間変化を容易に把握することができる。
【0073】
さらに、本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量(例えば、エアー流量の待機エネルギー使用量で100kWh)を超えたときに、表示手段4に警報を表示させる。警報は、図3に示す設定表示画面のグラフ表示領域49に待機エネルギー推移グラフとともに表示される。上記の例では、例えば、「警報!生産ライン61のエアー流量(規制エネルギー量:100kWh)」のように表示される。規制エネルギー量は、想定される待機エネルギー使用量と比べて、待機エネルギー使用量が過大であるか否かを示す基準値である。
【0074】
本実施形態のエネルギー管理システムは、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、表示手段4に警報を表示させるので、本実施形態のエネルギー管理システムの操作者は、待機エネルギー使用量が基準値より多いことを知得することができる。また、操作者は、後述するように、生産設備7の保守点検時期を知得することもできる。規制エネルギー量は、予め解析対象、種別ごとに定められプログラムとして記憶装置3Cに記録されているが、図3に示す設定表示画面で設定するようにしても良い。
【0075】
本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、表示手段4に警報を表示させるので、生産設備7の保守点検箇所と保守点検時期を容易に把握することができる。上記の例では、エアー流量の待機エネルギー使用量は、8月から11月にかけて徐々に多くなっている。生産設備7が製品を生産していない待機状態であるにも関わらず、エアー流量が多くなる一因として、配管(エネルギー供給ライン5L2)からのエアー漏れが考えられる。
【0076】
他の生産ラインと比べて、生産ライン61のエアー流量の待機エネルギー使用量のみが多い場合は、生産ライン61へ引き込まれた配管においてエアー漏れが発生している可能性が高いので、本実施形態のエネルギー管理システムの操作者は、生産ライン61へ引き込まれた配管を保守点検する。複数の生産ラインにおいて、エアー流量の待機エネルギー使用量が他の生産ラインと比べて多い場合は、警報が表示された生産ラインの上流の配管を保守点検する。つまり、生産設備7の保守点検箇所の特定が容易となり、生産設備7が保守されることによって無駄なエネルギー使用が抑えられる。
【0077】
また、本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、上記警報が表示手段4に表示されたときに、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段351を備える。
【0078】
待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたことを示す警報が表示手段4に表示されると、エネルギー供給制御手段351は、エネルギー供給手段5に対して、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させる制御信号を送信する。具体的には、図2に示す入出力インターフェース3Fが通信ネットワーク3F1、3F2を介してエネルギー供給手段5に対して、制御信号を送信する。例えば、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えた状態をHiレベル(例えば、5V)とし、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量以下である状態をLowレベル(例えば、0V)とすると、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、エネルギー供給手段5と接続されている入出力インターフェース3Fの所定ポートから、Hiレベル信号(5V)が出力される。制御信号を受けたエネルギー供給手段5は、制御信号に従って、エネルギー供給量を低下させる。例えば、エネルギー供給手段52の複数のコンプレッサ521のうち、一部のコンプレッサ521を停止する。各コンプレッサ521の出力を抑えて、エネルギー供給量を低下させても良い。
【0079】
本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、上記警報が表示手段4に表示されたときに、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段351を備えるので、製品の生産に必要なエネルギー以上の無駄なエネルギー供給を防止することができる。例えば、生産ライン6にエアーを供給する配管(エネルギー供給ライン5L2)にエアー漏れがあると、配管から漏れた分だけエネルギーの損失になる。エネルギー供給手段52が、配管から漏れた分を補うためにエアーの供給量を増加させると、さらにエネルギー損失を増大させることになる。よって、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたことを示す警報が表示手段4に表示された場合は、製品の生産に必要なエアー流量以上のエアーの供給を防止するべく、エネルギー供給手段52のエアー流量を低下させる。これによって、無駄なエネルギー供給が抑えられる。
(3−6)その他
既述の原単位解析グラフからは、例えば、以下のことが分かる。原単位解析グラフを説明する説明図である図8をもとに以下説明する。
【0080】
図8(a)に示すグラフは、原単位生産数がC1[個]のときの原単位エネルギー使用量がP1[kWh]である近似線33Cと、原単位生産数がC1[個]のときの原単位エネルギー使用量がP2[kWh]である近似線33Dと、を示している。原単位エネルギー使用量が近似線33Cで示される生産設備7では、C1[個]の製品を生産するためには、P1[kWh]のエネルギーが必要である。一方、原単位エネルギー使用量が近似線33Dで示される生産設備7では、同じC1[個]の製品を生産するのに、P1[kWh]より少ないP2[kWh]のエネルギー使用で済む。つまり、原単位解析グラフの近似線33C、33Dの傾きの大きさによって、生産設備7で使用されるエネルギー消費機器が高効率であるか否かが分かる。原単位解析グラフの近似線33C、33Dの傾きが大きい場合は、エネルギー消費機器に高効率機器を採用することによって、省エネルギーが図られる。
【0081】
図8(b)に示すグラフは、原単位生産数がゼロ[個]のときの原単位エネルギー使用量がPW1[kWh]である近似線33Cと、原単位生産数がゼロ[個]のときの原単位エネルギー使用量がPW2[kWh]である近似線33Eと、を示している。原単位生産数が増加すると、近似線33Cと近似線33Eは接する。PW1及びPW2は、生産設備7が製品を生産していない待機時間帯の待機エネルギー使用量を表わす。原単位エネルギー使用量が近似線33Cで示される生産設備7は、近似線33Eで示される生産設備7と比べて、待機エネルギー使用量が多いことが分かる。つまり、近似線33C、33Eと縦軸との切片の大きさPW1、PW2によって、待機エネルギー使用量が多いか否かが分かる。上記切片の大きさPW1、PW2が大きい場合は、例えば、休憩時間や異なる就業形態の交代の時間である直間時にエネルギー消費機器を停止して、待機エネルギー使用量を削減することによって、省エネルギーが図られる。
【0082】
図8(c)に示すグラフは、同図(a)及び(b)の近似線33Cで示される生産設備7において、エネルギー消費機器の待機エネルギー使用量を削減して、さらに、例えば、生産ライン6にエアーを供給する配管(エネルギー供給ライン5L2)からのエアー漏れを点検保守した後の近似線33Fを示している。図8(c)に示すグラフは、近似線33Cも併せて示す。
【0083】
例えば、エアーを供給する配管にエアー漏れがあると、エアーが配管から漏れた分だけエネルギーの損失になる。当初、近似線33Cで示される生産設備7では、C1[個]の製品を生産するためには、P1[kWh]のエネルギーが必要であると考えられていたが、実はエアーが配管から漏れており、P1[kWh]より少ないP3[kWh]のエネルギーで済む場合がある。この場合は、例えば、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたことを示す警報が表示手段4に表示されたときに、配管からのエアー漏れを点検保守することによって、エネルギー供給手段52の無駄なエネルギー供給を抑えることができる。また、エネルギー供給制御手段351によって、エネルギー供給手段52のエアー流量を低下させることによっても、無駄なエネルギー供給を抑えることができる。このように製品の生産時の無駄なエネルギー供給を抑えることによって、省エネルギーが図られる。
【0084】
次に、リアルタイム表示及び積算表示について、説明する。本実施形態のエネルギー管理システムは、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「リアルタイム表示」を選択することにより、リアルタイム表示(計測データを短時間周期でグラフ表示させること)が可能である。
【0085】
既述のとおり、通常、計測データ収集手段2に収集された各計測データは、所定単位、例えば、5分単位にまとめられて、その時間間隔で解析処理手段3の記憶装置3Cに記録される。解析処理手段3は、記憶装置3Cに記録されたデータを逐次読み出して、計測データを解析処理する。しかしながら、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「リアルタイム表示」が選択されると、解析対象の計測データを計測データ収集手段2から、例えば、1秒単位の短い間隔で逐次受信し、そのデータを解析処理手段3で解析処理する。
【0086】
グラフ表示選択領域47において、「リアルタイム表示」が選択されると、原単位選択領域44は、「1秒単位(リアルタイム表示)」が自動的に選択され、解析期間選択領域46は、「1分間(リアルタイム表示)」が自動的に選択される。表示・印刷選択領域48で「表示」又は「印刷」が選択されると、前処理手段31は、計測データ収集手段2から逐次受信する計測データから、1秒単位の原単位エネルギー使用量を算出する。計測データは、1秒間に使用されたエネルギー使用量であるので、例えば、エネルギー使用量を1時間当りの電力量(kWh)で表すためには、計測データに3600を乗じて、原単位エネルギー使用量を算出する。エネルギーの種別が温度などの積算されていない計測データである場合は、上記の乗算は行わず、受信した計測データを原単位エネルギー使用量とする。
【0087】
トレンド解析手段32は、表示手段4に原単位エネルギー使用量を時系列にリアルタイム表示する。具体的には、図3に示す設定表示画面のグラフ表示領域49に、計測データがリアルタイムに表示される。リアルタイム表示の一例を図9に示す。図9に示すリアルタイム表示の横軸は時刻(時間)を、縦軸は原単位エネルギー使用量を表している。原単位エネルギー使用量の時間変化は、特性線3Aで示されている。なお、グラフの種類や座標軸の取り方は、適宜変更することができる。グラフの表示は、例えば、1分間分の解析結果が連続して表示され、現在から1分前までの計測データが同時に表示されるので、原単位エネルギー使用量の時間変化が一目で分かる。リアルタイム表示は、生産設備7の新規導入時、点検保守後、動作不安定時など計測データをリアルタイムに把握する必要がある場合に好適である。
【0088】
本実施形態のエネルギー管理システムは、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「積算表示」を選択することにより、既述のリアルタイム表示された計測データを積算表示させることができる。解析条件、解析処理手段3で行われる計測データの解析処理は、既述のリアルタイム表示と同様である。
【0089】
図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「積算表示」が選択されて、表示・印刷選択領域48で「表示」又は「印刷」が選択されると、トレンド解析手段32は、計測データから算出された原単位エネルギー使用量を時系列に積算して表示手段4に表示する。具体的には、図3に示す設定表示画面のグラフ表示領域49に、計測データが積算表示される。積算表示の一例を図10に示す。図10に示す積算表示の横軸は時刻(時間)を、縦軸は原単位エネルギー使用量を表している。原単位エネルギー使用量の時間変化は、棒グラフ3Bで示されている。なお、グラフの種類や座標軸の取り方は、適宜変更することができる。グラフの表示は、例えば、1分間分の解析結果が連続して積算表示され、現在から1分前までの計測データの積算量が同時に表示される。
(4)鋳造設備
生産設備7の一例として、鋳造設備について説明する。生産設備7としては、加工設備等であっても良い。図11は、鋳造設備の一例を示す概略構成図である。図11に示す鋳造設備7は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する溶解部71と、成形キャビティを備える鋳型を造型する造型部72と、成形キャビティに溶湯を注湯する注湯部73と、注湯された鋳型をばらして鋳物8を取り出す型ばらし部74と、を有している。また、鋳造設備としては、図示しないが、集塵機や排水処理装置等を備えていても良い。
【0090】
溶解部71は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する。溶解部71は、例えば、キュポラと呼ばれる筒状の炉や電気炉を用いることができる。溶解部71では、例えば、溶解材料を溶解するときに多量の熱風(エアー)や大電力が使用される。造型部72は、成形キャビティを備える鋳型を造型する。鋳型は、例えば、生砂を鋳枠の中に投入して、押し固めて製品模型から転写して形成される。造型部72では、例えば、生砂を鋳枠の中に投入するときに多量のエアーが使用される。注湯部73は、成形キャビティに溶解部71で形成された溶湯を注湯する。溶湯は、例えば、トリベから鋳型の注湯口に注がれる。注湯部73では、トリベの移動や溶湯を高温に保持するために大電力が使用される。型ばらし部74は、鋳型で凝固した鋳物8を鋳枠から分離して、鋳物8を取り出す。型ばらし部74では、例えば、鋳物8を鋳枠から分離するときに大電力が使用され、鋳物8の表面に残った砂を取り除くときに、多量のエアーが使用される。
【0091】
鋳造設備7は、他の生産設備7と比べて、大電力や多量のエアーを必要とするエネルギー消費機器が多い。さらに、鋳造設備7は、エネルギー消費機器の待機時間が長く、そのため待機エネルギー使用量も比較的多い。例えば、溶解部71では、大電力で発熱体を発熱させて、高温にした発熱体を用いて溶解材料を溶解して溶湯を形成する。高温に発熱させるには長時間を要するため、待機時間は長くなり、そのため待機エネルギー使用量も多くなる。したがって、鋳造設備7は、本実施形態のエネルギー管理システムを用いて、待機時間帯のエネルギー管理が行われることにより省エネルギーが図られ、本発明による効果がより顕著に発揮される。
(5)その他
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。また、上記の記載から次の技術的思想も把握できる。
【0092】
(付記項1)
製品の生産数及び生産設備で使用されるエネルギー使用量を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測データを収集する計測データ収集手段と、
前記計測データ収集手段に通信ネットワークを介して接続され前記計測データを演算処理する解析処理手段と、
前記計測データの演算結果を表示する表示手段と、
を備えるエネルギー管理システムを用いて、前記エネルギー使用量を前記表示手段に表示させるエネルギー管理方法であって、
任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの前記生産数である原単位生産数と、前記単位時間当たりの前記エネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出する前処理ステップと、
前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを前記表示手段に表示させるトレンド解析ステップと、
前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを前記表示手段に表示させる原単位解析ステップと、
前記トレンド解析グラフに基づいて前記原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、前記原単位解析グラフの前記近似線に基づいて前記原単位生産数が顕著に低下したときの前記原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、前記待機時間帯及び前記待機エネルギー使用量を前記表示手段に表示させる後処理ステップと、
をもつ解析処理工程を有することを特徴とするエネルギー管理方法。
(付記項2)
前記所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、前記解析処理工程は、前記繰り返し単位ごとの前記待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを前記表示手段に表示させる待機エネルギー解析ステップを前記後処理ステップの後に有する付記項1に記載のエネルギー管理方法。
(付記項3)
前記待機エネルギー解析ステップは、前記待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、前記表示手段に警報を表示させる付記項2に記載のエネルギー管理方法。
(付記項4)
前記待機エネルギー解析ステップは、前記表示手段に前記警報が表示されたときに、前記生産設備にエネルギーを供給するエネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御ステップを含む付記項3に記載のエネルギー管理方法。
【符号の説明】
【0093】
1:計測手段
2:計測データ収集手段
3:解析処理手段
31:前処理手段 32:トレンド解析手段 33:原単位解析手段
34:後処理手段
35:待機エネルギー解析手段 351:エネルギー供給制御手段
4:表示手段
5:エネルギー供給手段
6:生産ライン
7:生産設備
8:鋳物
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造設備などの生産設備で使用されるエネルギー使用量(例えば、電力量、エアー流量など)を管理するエネルギー管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備で使用されるエネルギー使用量を少なくして、省エネルギーを図ることを目的としたエネルギー管理システムとして、例えば、特許文献1〜3に記載されたものが知られている。特許文献1では、各種のエネルギー消費機器から収集されたエネルギー消費に関するデータを解析表示するに際して、エネルギー消費の計量区分を階層表示又は模式図によって選択できるようにして、計量区分の把握と計量区分の選択を容易に行うことができるエネルギー管理システムが提案されている。特許文献2では、生産ラインで使用されるエネルギー使用量だけでなく、生産ラインに付帯する原料供給設備や事務室などの付帯設備で使用されるエネルギー使用量も考慮したエネルギー管理システムが提案されている。また、特許文献3では、エネルギー管理を行う対象時間帯を生産時間帯と非生産時間帯とに区分して、その区分毎にエネルギー使用状況を把握しようとした、エネルギー管理システムに係るエネルギー使用状況管理方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、エネルギー消費機器が稼働しているときのエネルギー使用量のみをエネルギー管理の対象としている。そのため、エネルギー消費機器が非稼働状態であるにも関わらずエネルギーを消費する待機電力等のエネルギー損失を把握することは困難である。
【0004】
また、特許文献2に記載の発明では、生産ラインが計画休止中である場合はエネルギー管理の算出に反映しないようにしているが、予め設定された期間をエネルギー消費機器のエネルギー損失と規定したものである。特許文献3に記載の発明では、生産していない時間帯を予め非生産時間帯として設定して、エネルギー使用量に含めないようにしている。しかしながら、実際には、休憩時間帯や異なる就業形態の交代の時間帯である直間においても生産を行っていることが多く、事前に生産時間帯と非生産時間帯とを区別してエネルギー管理システムに正確に設定することは困難である。したがって、いずれの場合もエネルギー消費機器が待機状態にあるときに、エネルギー消費機器が使用する待機エネルギー使用量を正確に把握することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−199783号公報
【特許文献2】特開2001−159909号公報
【特許文献3】特開2003−256761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、エネルギー消費機器の待機時間帯と待機エネルギー使用量を正確に把握可能とするエネルギー管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のエネルギー管理システムは、生産設備で使用されるエネルギー使用量を表示するエネルギー管理システムにおいて、製品の生産数及び前記エネルギー使用量を計測する計測手段と、前記計測手段の計測データを収集する計測データ収集手段と、前記計測データ収集手段に通信ネットワークを介して接続され前記計測データを演算処理する解析処理手段と、前記計測データの演算結果を表示する表示手段と、を備え、前記解析処理手段は、前記計測データを事前に前処理する前処理手段と、前記前処理された計測データに基づいて前記表示手段にグラフを表示させる、トレンド解析手段及び原単位解析手段と、前記グラフに基づいて演算処理する後処理手段と、を有し、前記前処理手段は、任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの前記生産数である原単位生産数と、前記単位時間当たりの前記エネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出し、前記トレンド解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを前記表示手段に表示させ、前記原単位解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを前記表示手段に表示させ、前記後処理手段は、前記トレンド解析グラフに基づいて前記原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、前記原単位解析グラフの前記近似線に基づいて前記原単位生産数が顕著に低下したときの前記原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、前記待機時間帯及び前記待機エネルギー使用量を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、製品の生産数をエネルギー使用量とともに計測して、製品の生産数とエネルギー使用量とを時系列に表示することができるので、製品の生産数が顕著に低下している待機時間帯を正確に把握することができる。また、本発明によれば、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフに基づいて、待機時間帯の待機エネルギー使用量を導出しているので、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算した場合と比べて、計測データの誤差の影響を受けにくい、正確な待機エネルギー使用量を把握することができる。
【0009】
(2)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、前記解析処理手段は、前記繰り返し単位ごとの前記待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを前記表示手段に表示させる待機エネルギー解析手段を有すると好適である。
【0010】
本発明によれば、待機エネルギー解析手段が待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段に表示させるので、待機エネルギー使用量の時間変化を容易に把握することができる。
【0011】
(3)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記待機エネルギー解析手段は、前記待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、前記表示手段に警報を表示させるのが好ましい。
【0012】
本発明によれば、待機エネルギー解析手段は、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、表示手段に警報を表示させるので、生産設備の保守点検箇所と保守点検時期を容易に把握することができる。
【0013】
(4)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記待機エネルギー解析手段は、前記表示手段に前記警報が表示されたときに、前記生産設備にエネルギーを供給するエネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段を備えると好適である。
【0014】
本発明によれば、待機エネルギー解析手段は、表示手段に上記警報が表示されたときに、エネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段を備えるので、製品の生産に必要なエネルギー以上の無駄なエネルギー供給を防止することができる。
【0015】
(5)本発明のエネルギー管理システムにおいて、前記生産設備は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する溶解部と、成形キャビティを備える鋳型を造型する造型部と、前記成形キャビティに前記溶湯を注湯する注湯部と、前記注湯された前記鋳型をばらして鋳物を取り出す型ばらし部と、を含む鋳造設備であるのが好ましい。
【0016】
鋳造設備は、他の生産設備と比べて、大電力や多量のエアーを必要とするエネルギー消費機器が多い。さらに、鋳造設備は、エネルギー消費機器の待機時間が長く、そのため待機エネルギー使用量も比較的多い。したがって、鋳造設備は、本発明のエネルギー管理システムを用いて、待機時間帯のエネルギー管理が行われることにより省エネルギーが図られ、本発明による効果がより顕著に発揮される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のエネルギー管理システムによれば、製品の生産数をエネルギー使用量とともに計測して、製品の生産数とエネルギー使用量とを時系列に表示することができるので、製品の生産数が顕著に低下している待機時間帯を正確に把握することができる。また、本発明のエネルギー管理システムによれば、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフに基づいて、待機時間帯の待機エネルギー使用量を導出しているので、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算した場合と比べて、計測データの誤差の影響を受けにくい、正確な待機エネルギー使用量を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のエネルギー管理システムと生産設備の一例を併せて示す概略構成図である。
【図2】本発明のエネルギー管理システムの概略構成図である。
【図3】設定表示画面を模式的に表す模式図である。
【図4】解析処理手段の概略構成図である。
【図5】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、トレンド解析グラフの一例を示したものである。
【図6】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、原単位解析グラフの一例を示したものである。
【図7】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、待機エネルギー推移グラフの一例を示したものである。
【図8】原単位解析グラフを説明する説明図である。
【図9】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、リアルタイム表示の一例を示したものである。
【図10】グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、積算表示の一例を示したものである。
【図11】鋳造設備の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(1)生産設備
まず、本実施形態のエネルギー管理システムがエネルギー管理を行う生産設備7について説明する。図1は、本実施形態のエネルギー管理システムと生産設備7の一例を併せて示す概略構成図である。図1に示す生産設備7は、エネルギー供給手段5と、エネルギー供給手段5からエネルギーの供給を受けて製品を生産する生産ライン6と、を有している。エネルギー供給手段5は、エネルギー供給手段51、52を備え、生産ライン6は、生産ライン61、62、63、64、...、6N−1、6NのN本(「N」は正の整数。)の生産ラインを備えている。エネルギー供給手段5と生産ライン6とは、図1の太線で示すエネルギー供給ライン5Lでそれぞれ接続されて、エネルギー供給手段5から生産ライン6へ各種のエネルギーを供給することが可能となっている。
【0020】
エネルギー供給手段51は、電力会社の送電網511から配電された系統電力をトランス512で変圧して、エネルギー供給ライン5L1(電力線)を介して生産ライン6に電力を供給することができる。なお、発電機等の発電設備を用いることによって、系統電力の代わりに、又は系統電力と連係させて生産ライン6に電力を供給することもできる。
【0021】
エネルギー供給手段52は、コンプレッサ521(圧縮機)を複数基(例えば5基)備えている。エネルギー供給手段52は、エネルギー供給手段51からエネルギー供給ライン5L1(電力線)を介して電力を得て、コンプレッサ521を駆動させることによりエアー(圧縮空気)を生成することができる。エネルギー供給手段52は、エネルギー供給ライン5L2(配管)を介して生産ライン6に生成されたエアーを供給することができる。
【0022】
エネルギー供給手段52は、コンプレッサ521を複数基備えているので、それぞれのコンプレッサ521を制御することにより生産ライン6に供給するエアー流量を負荷の変動に合わせて容易に増減することができ、エアー圧力の変動を抑えることも可能である。コンプレッサ521の数及び容量は、生産ライン6が必要とするエアー流量によって、適宜決定することができる。本実施形態では、生産ライン6に供給されるエネルギーとして、電力とエアーが挙げられているが、生産される製品に合わせて、例えば、メタン、プロパンなどの天然ガスや、石油、重油、軽油などの化石燃料や、蒸気などの種々のエネルギーを供給することができる。
【0023】
生産ライン6は、ラインごとに材料供給手段611、621、631、641、...、6N−11、6N1を有し、材料供給手段611、621、631、641、...、6N−11、6N1からラインごとにそれぞれ製品材料612、622、632、642、...、6N−12、6N2が供給される。さらに、生産ライン6は、ラインごとにベルトコンベアなどの製品運搬手段613、623、633、643、...、6N−13、6N3を備え、製品材料612、622、632、642、...、6N−12、6N2の運搬が可能となっている。N番目の生産ライン6Nでは、エネルギー供給手段51から供給された電力とエネルギー供給手段52から供給されたエアーを用いて、材料供給手段6N1から供給された製品材料6N2が加工等される。製品材料6N2は、製品運搬手段6N3によって生産ライン6N上を移動しながら、加工等がされる。本明細書では、説明を簡単にするために、製品材料6N2が生産ライン6Nの最終段に移動したときに製品として完成するものとし、このときに製品の生産数の計測が行われるものとする。製品は、例えば、後述する鋳物8などが挙げられるが、鋳物8に限定されるものではない。
【0024】
生産ライン6は、製品の生産数を計測することができる生産ラインであれば、特に限定されない。説明を簡単にするために、本実施形態の生産設備7は、同一種の製品を生産ライン6ごとに分けて生産するものであるが、生産ライン6によって異種の製品を生産するものであっても良く、生産ライン61で生産工程の一部を行い、生産ライン62で次の生産工程を行うというように、順に生産ライン61から生産ライン6Nまで生産工程を実施することにより、製品が完成される生産設備7であっても良い。また、本実施形態の生産設備7は、すべての生産ライン6に電力とエアーがそれぞれ供給されているが、いずれか1種のエネルギーを使用する生産ラインであっても良い。
【0025】
エネルギー供給手段5及び生産ライン6の運転管理は、通常は図示しない生産管理システムによって行われるが、後述するように、エネルギー供給手段5は、本実施形態のエネルギー管理システムからの指令によってもエネルギー供給量の制御を行うことが可能となっている。
(2)エネルギー管理システムの構成
本実施形態のエネルギー管理システムの構成を図2を用いて説明する。図2は、本実施形態のエネルギー管理システムの概略構成図である。図2に示す本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数及びエネルギー使用量を計測する計測手段1と、計測手段1の計測データを収集する計測データ収集手段2と、計測データ収集手段2に通信ネットワークを介して接続され計測データを演算処理する解析処理手段3と、計測データの演算結果を表示する表示手段4と、を備えている。
【0026】
計測手段1は、生産ライン6のラインごとに配され、製品の生産数及び生産設備7で使用されるエネルギー使用量を計測する。製品の生産数の計測は、例えば、市販の生産数カウンタで計測することができる。生産数カウンタは、生産ライン6の各ラインの最終段にリミットスイッチ、近接スイッチ等を設けて、そのON/OFF信号の繰り返し回数を計測することにより製品の生産数を計測することができる。
【0027】
図1に示す生産設備7では、製品の生産に使用されるエネルギー源として電力及びエアーが用いられるので、計測手段1は、生産ライン6のラインごとの電力量及びエアー流量を計測することが可能となっている。なお、本実施形態のエネルギー管理システムは、エネルギー供給手段5が供給する電力量(トランス512の2次側電力量)及びエアー流量(コンプレッサ521の吐出量の総和)も合わせて計測することができる。
【0028】
計測手段1は、この他にも必要に応じて、生産ライン6で使用される電流、電圧、エアー圧力等を計測することもできる。また、エネルギー源の種別が変われば、それに対応したエネルギーの物理量を計測することができる。例えば、ガスであればガス流量、ガス圧力などを計測し、石油などの化石燃料であれば油量、油圧、油温などを計測し、蒸気であれば蒸気流量、蒸気圧などを計測することができる。エネルギー使用量の計測は、市販の電力計、電圧計、電流計、エアー使用量計測器、ガスメータ、温度センサ、蒸気使用量計測器等を用いることができる。
【0029】
計測データ収集手段2は、生産ライン6のラインごとに配され、信号線1Cを介して計測手段1にそれぞれ接続されている。計測データ収集手段2は、例えば、市販のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)などを用いることができる。信号線1Cは、計測手段1と計測データ収集手段2との間で、計測データの授受ができれば、特に限定されない。例えば、シリアル通信や、パラレル通信などで計測データを送信することができる。信号線1Cは、有線であっても無線であっても良い。
【0030】
計測データ収集手段2には、計測手段1から信号線1Cを介して計測データが送信される。計測データ収集手段2は、計測手段1で計測された計測データを所定時間間隔(例えば10ミリ秒間隔)で収集する。図2では、計測手段1ごとに計測データ収集手段2が1つ設けられているが、1つの計測データ収集手段2が複数の計測手段1の計測データを収集しても良い。例えば、生産ライン6やエネルギー供給手段5ごとに計測データ収集手段2をそれぞれ1つ設けて、生産ライン6やエネルギー供給手段5ごとに製品の生産数、電力量及びエアー流量を計測することもできる。また、1つの計測データ収集手段2が、すべての計測手段1の計測データを一括して収集しても良い。
【0031】
計測データ収集手段2は、計測手段1から収集された計測データを所定時間間隔で、通信ネットワーク2Cを介して解析処理手段3のLANインターフェース3Eに送信する。LANインターフェース3Eは、計測データ収集手段2と解析処理手段3との間で、計測データの授受ができれば、特に限定されない。例えば、RS−485などのシリアル通信で計測データの授受を行っても良く、イーサネット(登録商標)でLANを構成して計測データの授受を行っても良い。通信ネットワーク2Cは、有線であっても無線であっても良い。計測データの送信間隔(所定時間間隔)は、短い方が詳細な解析ができるが、計測データの点数や後述する記憶装置3Cの記憶容量との関係で必ずしも適当ではない。本実施形態のエネルギー管理システムでは、1秒間隔で計測データ収集手段2から解析処理手段3に計測データを送信することができる。
【0032】
解析処理手段3及び表示手段4は、例えば、一般的なパーソナル・コンピュータを用いて構成することができる。具体的には、コンピュータ本体、モニタ、キーボード、マウス等によって構成される一般的なコンピュータにおいて、特定のソフトウェアを実行させることによって実現される。解析処理手段3は、図2に示すように、CPU(中央演算処理装置)3Aと、メモリ(一時記憶装置)3Bと、ハードディスクドライブ等の記憶装置3Cと、キーボード、マウス等の入力装置3Dと、計測データ収集手段2と通信可能な既述のLANインターフェース3Eと、エネルギー供給手段5を制御可能な入出力インターフェース3Fと、がバス3BUSで接続され、各種データの授受が可能となっている。解析処理手段3は、プリンタ等の印刷装置を備えることができるが、後述するグラフの印刷機能を使用しない場合は、印刷装置は不要である。
【0033】
計測データ収集手段2で収集された計測データは、CPU3A、メモリ3Bを介して記憶装置3Cに記録され、計測データが記憶装置3Cに蓄積される。計測データ収集手段2に収集された各計測データは、所定単位、例えば、5分単位にまとめられて、その時間間隔で解析処理手段3の記憶装置3Cに記録される。解析処理手段3は、記録された計測手段1ごとの計測データを、予め5分ごとに集計し、例えば、電力量、エアー流量等のエネルギー使用量として積算すべき計測データは、5分ごとに積分した値が記憶装置3Cの所定の記憶領域に格納される。また、例えば、温度などの計測値を積算すべきでない計測データは、計測値の平均値又は計測値の最大値が上記記憶領域に格納される。これらの計測データは、例えば、最長1年分蓄積され、データ量が1年以上になると、その後は順次古いデータが削除されるとともに新しい計測データが追加される。
【0034】
CPU3A及びメモリ3Bは、所定のプログラムに従って、記憶装置3Cに蓄積された計測データの書込み/読出し、入力装置3Dによる入力操作の検出、表示手段4に表示させる画面の作成及び各種演算処理を行う。入力装置3Dは、キーボードやマウス等のようにキー入力や画面上の座標位置の指定等を行う装置であり、表示手段4は、液晶モニタやCRTモニタ等のように文字や図形等を表示する表示器である。表示手段4は、タッチパネルのように入力装置3Dを兼用することもできる。入出力インターフェース3Fは、通信ネットワーク3F1、3F2を介してエネルギー供給手段5に接続されている。入出力インターフェース3Fは、エネルギー供給手段5に制御信号を送信して、CPU3Aの演算処理結果に応じて、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させることができる。
【0035】
本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数及び生産ライン6で使用されるエネルギー使用量などを解析処理して、解析結果を表示手段4に表示させる。以下、操作手順を説明する。まず、操作者が、記憶装置3Cに記録されているソフトウェア(プログラム)を起動させると、表示手段4に設定表示画面が表示される。設定表示画面は、後述する解析条件の全て又は一部が標準的な条件(例えば、図3に示す設定表示画面で選択された条件)に設定された状態になっている。解析処理結果を表示する領域は、未表示の状態である。なお、ソフトウェアの前回終了時の設定表示画面を表示させても良い。
【0036】
表示手段4に設定表示画面が表示された後、操作者は、後述する方法で解析条件を設定する。解析条件を設定後に、操作者が解析処理の実行を指示すると、解析結果が表示手段4に表示される。具体的には、図3に示す設定表示画面の表示・印刷選択領域48で、グラフの「表示」又はグラフの「印刷」を選択すると、解析処理が実行される。「表示」が選択された場合は、計測データを解析処理してグラフが表示される。「印刷」が選択された場合は、グラフ表示領域49に表示されたグラフがプリンタ等の印刷装置によって印刷される。グラフ表示領域49にグラフが表示されていない場合は、計測データを解析処理してから印刷する。操作者がソフトウェアを終了させる場合は、所定の終了操作を行う。継続して他の条件で解析処理を行う場合は、解析条件の設定操作から繰り返す。
【0037】
次に、表示手段4に表示される設定表示画面について説明する。図3は、表示手段4に表示される設定表示画面を模式的に表す模式図である。図3に示す設定表示画面は、解析対象を選択するための解析対象選択領域41と、解析する種別を選択するための種別選択領域42と、表示単位を選択するための表示単位選択領域43と、原単位を選択するための原単位選択領域44と、解析開始時刻を選択するための解析開始時刻選択領域45と、解析期間を選択するための解析期間選択領域46と、表示するグラフを選択するためのグラフ表示選択領域47と、グラフの表示又はグラフの印刷を選択するための表示・印刷選択領域48と、グラフが表示されるグラフ表示領域49と、を有する。
【0038】
解析対象選択領域41は、解析・表示する解析対象を1以上選択することができる。選択は、「生産ライン61」、「生産ライン62」、...、「生産ライン6N−1」、「生産ライン6N」、「トランス512」、「コンプレッサ521」の中から選択することができ、選択は、名称の横にあるラジオボタンをマウスでクリックすることにより行う(解析開始時刻、表示及び印刷を除いて、以下、単に「選択する」という。)。例えば、「生産ライン61」が選択されると、生産ライン61の製品の生産数及びエネルギー使用量が解析されてグラフ表示される。なお、エネルギー供給手段51のトランス512及びエネルギー供給手段52のコンプレッサ521で計測されるエネルギー量は、厳密にはエネルギー使用量ではなくエネルギー供給量であるが、本実施形態のエネルギー管理システムでは、生産ライン6で使用されるエネルギー使用量も、エネルギー供給手段51、52から供給されるエネルギー供給量のいずれも解析及び表示することができる。
【0039】
種別選択領域42は、解析・表示するエネルギーの種別を1以上選択することができる。選択は、「電気(電力量)」と「エアー(エアー流量)」から選択することができる。表示単位選択領域43は、解析・表示するエネルギー使用量の表示単位を1つ選択することができる。選択は、「計測値」、「コスト」、「CO2」、「電力量換算」の中から選択することができる。「計測値」は、計測データが後述する原単位生産数又は原単位エネルギー使用量に演算処理されて、演算結果が表示される。「コスト」を選択すると原単位エネルギー使用量の演算結果が、例えば、電気料金などの料金で表示され、「CO2」を選択するとCO2(二酸化炭素)排出量換算で表示される。例えば、種別で「エアー(エアー流量)」が選択された場合に「電力量換算」を選択するとエアー流量が電力量換算で表示される。種別で「電気(電力量)」が選択された場合は、「電力量換算」を選択しても電力量が表示される。この他にも原油使用量など他のエネルギー使用量に換算することもできる。
【0040】
原単位選択領域44は、解析・表示するエネルギー使用量及び製品の生産数の原単位を1つ選択することができる。一般に原単位とは、エネルギー使用量であれば、単位時間当たりのエネルギー使用量又は単位生産額当りのエネルギー使用量をいうが、本明細書では、単位時間当たりのエネルギー使用量のことを「原単位エネルギー使用量」という。同様に製品の生産数については、単位時間当たりの生産数のことを「原単位生産数」という。本実施形態のエネルギー管理システムでは、「1秒単位(リアルタイム)」、「5分単位」、「10分単位」、「30分単位」、「1時間単位」、「24時間単位」などを原単位として選択することができるが、これらと異なる単位時間を用いることもできる。例えば、図3に示す設定表示画面では、生産ライン61の電気(電力量)の計測値を10分単位の原単位で解析処理することが選択されている。この場合は、解析期間の起算開始時刻から起算終了時刻までを10分間隔で区切り、エネルギー使用量(生産ライン61の電力量)は、区切られた10分間の計測データごとに解析処理される。解析処理の詳細は、後述する。
【0041】
解析開始時刻選択領域45は、解析・グラフ表示する起算開始時刻を選択することができる。選択は、年、月、日、時及び分の各プルダウンメニュー(解析開始時刻選択領域45の下向き三角表示がある領域をマウス等でクリックして選択可能なパラメータを表示させ、そのパラメータを選択する。)から所望の年月日及び時刻を選択する。選択が終了すると、同図の解析開始時刻選択領域45には、例えば、「2009年9月1日12時00分」が表示されて、「2009年9月1日12時00分」が起算開始時刻として選択されたことを示している。解析期間選択領域46は、解析・グラフ表示する起算開始時刻から終了時刻までの解析期間を1つ選択することができる。選択は、「1分間(リアルタイム)」、「10分間」、「1時間」、「24時間」、「1週間」、「1ケ月間」又は「1年間」の中から選択することができる。例えば、図3に示す設定表示画面では、2009年9月1日12時00分から2009年9月8日11時59分までの1週間分の計測データを解析処理して、グラフ表示することが選択されている。
【0042】
グラフ表示選択領域47は、表示するグラフを1つ選択することができる。選択は、「リアルタイム表示」、「積算表示」、「トレンド解析グラフ」、「原単位解析グラフ」又は「待機エネルギー推移グラフ」の中から選択することができる。グラフの詳細は、後述する。表示・印刷選択領域48は、「表示」又は「印刷」のコマンドボタンをマウスでクリックすることにより、グラフの「表示」又はグラフの「印刷」を選択することができる。「表示」が選択された場合は、計測データを解析処理してグラフが表示される。「印刷」が選択された場合は、グラフ表示領域49に表示されたグラフがプリンタ等の印刷装置によって印刷される。グラフ表示領域49にグラフが表示されていない場合は、計測データを解析処理してから印刷する。
【0043】
なお、解析条件の設定は、ラジオボタンやプルダウンメニューをマウスでクリックすることにより、所望の解析条件の設定を行うことができるが、この他にもキーボードにショートカットキーを割り当てておき、キーボードからの入力によって解析条件の選択を行うこともできる。また、表示手段4にタッチパネルを用いる場合は、設定表示画面に表示された名称や設定表示画面に表示されたテンキーに操作者が触れることによって、解析条件の設定を行うこともできる。
(3)解析処理手段
図4及び解析結果の一例を示しながら、解析処理手段3の具体的な解析処理について説明する。図4は、解析処理手段3の概略構成図である。既述のとおり、計測手段1によって計測された計測データは、計測データ収集手段2によって収集され、解析処理手段3に授受される。図4に示す矢印の方向は、計測データの授受の方向及び解析処理の順序を示している。
【0044】
図4に示す解析処理手段3は、計測データを事前に前処理する前処理手段31と、前処理された計測データに基づいて表示手段4にグラフを表示させる、トレンド解析手段32及び原単位解析手段33と、グラフに基づいて演算処理する後処理手段34と、後処理手段34の演算処理結果に基づいて表示手段4にグラフを表示させる待機エネルギー解析手段35と、を有している。以下、順に説明する。
(3−1)前処理手段
前処理手段31は、任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの製品の生産数である原単位生産数と、単位時間当たりのエネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出する。前処理手段31は、トレンド解析手段32及び原単位解析手段33で使用する原単位生産数と原単位エネルギー使用量とを算出する。
【0045】
前処理手段31は、図3に示す設定表示画面の解析開始時刻選択領域45から入力された時刻を起算開始時刻とし、起算開始時刻から解析期間選択領域46で選択された期間が経過した時を起算終了時刻として、起算開始時刻から起算終了時刻までの解析期間T1に収集された計測データを解析処理の対象とする。計測データは、製品の生産数及び生産ライン6で使用されたエネルギー使用量である。なお、既述のとおり、本実施形態のエネルギー管理システムでは、エネルギー供給手段5が供給するエネルギー供給量も解析処理することができる。解析される計測データは、設定表示画面の解析対象選択領域41で選択された解析対象であり、種別選択領域42で選択された種別である。製品の生産数は、解析対象及び種別がいずれであっても必ず解析処理される。ただし、解析対象が「トランス512」又は「コンプレッサ521」である場合は、製品の生産数は、生産ライン6のすべてのラインの生産数を合計したものとする。計測データは、既述のとおり、記憶装置3Cに記録されているので、起算開始時刻から起算終了時刻までの解析期間T1に収集された計測データを記憶装置3Cからメモリ3Bに読み出して解析処理される。
【0046】
前処理手段31は、図3に示す設定表示画面の原単位選択領域44から入力された原単位を単位時間として、解析処理を行う。解析処理は、単位時間当たりの製品の生産数を算出して原単位生産数を導出し、単位時間当たりのエネルギー使用量を算出して原単位エネルギー使用量を導出する。原単位生産数と原単位エネルギー使用量の導出は、いずれを先に行っても良く、その順序を問わない。例えば、原単位として「10分単位」が選択され、解析対象・種別として「生産ライン61の電気(電力量)」が選択された場合は、以下の手順によって原単位生産数及び原単位エネルギー使用量が導出される。
【0047】
原単位生産数は、10分間に生産された製品の生産数を解析期間T1に亘って順に算出することにより導出される。記憶装置3Cには、5分間に生産された製品の生産数が1つのデータとして記録されているので、まず、記憶装置3Cに記録されている起算開始時刻から10分間の2つのデータを読み出して、それらを加算する。加算された製品の生産数は、起算開始時刻から10分間における原単位生産数である。同様にして、10分間分に相当する2つのデータを読み出しては加算することを起算終了時刻まで繰り返すことにより、起算開始時刻から起算終了時刻まで、10分単位の原単位生産数を導出することができる。
【0048】
原単位エネルギー使用量は、10分間に使用されたエネルギー使用量を解析期間T1に亘って順に算出することにより導出される。記憶装置3Cには、5分間に使用されたエネルギー使用量が1つのデータとして記録されているので、まず、記憶装置3Cに記録されている起算開始時刻から10分間の2つのデータを読み出して、それらを加算する。本実施形態のエネルギー管理システムでは、エネルギーの種別が電力量やエアー流量であるため、2つのデータを加算したものは、10分間のエネルギー使用量の積分値である。よって、例えば、エネルギー使用量を1時間当りの電力量(kWh)で表すためには、2つのデータの加算結果に6を乗ずる。
【0049】
一方、エネルギーの種別が温度などの積算されていない計測データである場合は、2つのデータの平均値又は最大値を算出することによって、起算開始時刻から10分間における原単位エネルギー使用量を導出することができる。同様にして、10分間分に相当する2つのデータを読み出しては上記の演算を行い、起算終了時刻まで繰り返すことにより、起算開始時刻から起算終了時刻まで、10分単位の原単位エネルギー使用量を導出することができる。
(3−2)トレンド解析手段
トレンド解析手段32は、前処理手段31で導出された原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいて、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを表示手段4に表示させる。
【0050】
図3に示す設定表示画面で、原単位として「10分単位」が選択され、解析対象・種別として「生産ライン61の電気(電力量)及びエアー(エアー流量)」が選択された場合を例に、トレンド解析グラフについて説明する。解析開始時刻は2009年9月1日12:00、解析期間T1は24時間である。なお、説明を簡単にするためにトレンド解析グラフは、解析期間が12:00〜14:30までを示しているが、実際のトレンド解析グラフは、24時間分が表示される。また、エアー流量は、電力換算値で表されている。既述のとおり、前処理手段31によって、計測データから原単位生産数及び原単位エネルギー使用量が算出される。前処理手段31で導出された原単位生産数及び原単位エネルギー使用量の一例を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
トレンド解析グラフは、表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量をそれぞれ時系列に表して得られる。グラフ自体は、市販の表計算ソフトによっても作成することができる。よって、本実施形態のエネルギー管理システムから表計算ソフトを起動させて、表計算ソフトでグラフ表示させて、それを本実施形態のエネルギー管理システムの表示手段4のグラフ表示領域49に表示させることもできる。
【0053】
表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフの一例を図5に示す。図5に示すトレンド解析グラフの横軸は時間を、縦軸は原単位エネルギー使用量(主縦軸)及び原単位生産数(第2縦軸)を表している。原単位生産数は棒グラフ32Aで示され、原単位エネルギー使用量は折れ線の特性線32B、32Cで示されている。特性線32Bは、電力量の原単位エネルギー使用量を示す。特性線32Cは、エアー流量の原単位エネルギー使用量を示す。なお、グラフの種類や座標軸の取り方は、適宜変更することができる。
(3−3)原単位解析手段
原単位解析手段33は、前処理手段31で導出された原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいて、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを表示手段4に表示させる。以下、表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいた原単位解析グラフを例に、原単位解析グラフについて説明する。
【0054】
図6は、表1に示す原単位生産数及び原単位エネルギー使用量の関係を近似線33A、33Bで表した原単位解析グラフの一例である。図6に示す原単位解析グラフの横軸は原単位生産数を、縦軸は原単位エネルギー使用量を表している。座標軸の取り方は、適宜変更することができる。近似線33Aは、原単位生産数と原単位エネルギー使用量(電力量)の関係に基づく近似線を示す。近似線33Bは、原単位生産数と原単位エネルギー使用量(エアー流量)の関係に基づく近似線を示す。
【0055】
近似線33A、33Bは、表1に示す原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係に基づいて、後述する最小二乗法により1次の近似式を導出して、その近似式をプロットすることによって得た。原単位生産数をX、原単位エネルギー使用量(電力量)をYとすると、この場合の原単位エネルギー使用量(電力量)の近似式は、Y=10X+100で示される。また、原単位エネルギー使用量(エアー流量)の近似式は、原単位生産数をX、原単位エネルギー使用量(エアー流量)をZとすると、Z=8X+57で示される。なお、図6では、近似線だけでなく計測データもプロットされている。
【0056】
原単位解析グラフは、原単位生産数及び原単位エネルギー使用量に基づいて、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表すことによって得られる。近似線は、例えば、グラフの横軸に原単位生産数をとり、グラフの縦軸に原単位エネルギー使用量をとって、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係をプロットすることにより得ることができる。近似線は、直線であっても曲線であっても良い。
【0057】
近似線は、図6に示すように、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係から近似式を導出して、近似式をプロットすることによって得ることもできる。近似方法は、例えば、最小二乗法などの近似法を用いることができる。最小二乗法は、測定で得られた数値の組を特定の近似関数を用いて近似するとき、近似関数に代入して得られる関数値と測定値との誤差の二乗和が最小になるように、近似関数を決める方法である。一次関数で近似すると近似線は直線となり、二次関数以上の高次の関数で近似すると近似線は曲線となる。近似方法は、この他にも種々の既知の方法を用いることができる。例えば、計測データに極端な異常値が含まれる場合は、修正トンプソン−τ法を用いるのが良い。修正トンプソン−τ法は、誤差が正規分布していると考えた場合に、誤差の正規分布から極端に離れた異常値を取り除くことができる。
【0058】
また、相関係数を表示させることにより、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の相関関係を把握することができ、ひいては生産設備のバラツキを把握することができる。
【0059】
原単位解析グラフは、トレンド解析グラフと同様にグラフ自体は、市販の表計算ソフトによっても作成することができる。よって、本実施形態のエネルギー管理システムから表計算ソフトを起動させて、表計算ソフトでグラフ表示させて、それを本実施形態のエネルギー管理システムの表示手段4のグラフ表示領域49に表示させることもできる。
(3−4)後処理手段
後処理手段34は、トレンド解析手段32で得られたトレンド解析グラフに基づいて原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、原単位解析手段33で得られた原単位解析グラフの近似線に基づいて原単位生産数が顕著に低下したときの原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、待機時間帯及び待機エネルギー使用量を表示手段4に表示させる。
【0060】
図5に示すトレンド解析グラフの棒グラフ32Aからは、12:00〜12:40までは原単位生産数が9〜10個の範囲で略一定であるが、12:40〜12:50の期間になると急激に原単位生産数が減少して、原単位生産数はゼロになっていることが分かる。原単位生産数がゼロの期間は12:40〜13:50まで続き、13:50〜14:00の期間になると急激に原単位生産数が増加して、13:50〜14:40の期間は原単位生産数が9〜11個の範囲で略一定となっている。よって、原単位生産数が顕著に低下している時間帯は、12:40〜13:50であることが分かる。この時間帯は、生産設備7が所望の生産数を生産していない待機状態にあることから、本明細書では、「待機時間帯」という。また、本明細書において、「原単位生産数が顕著に低下する」とは、直前の原単位生産数と比べて、原単位生産数が1/10以下になることをいう。原単位生産数がゼロの時間帯は、生産設備7が製品を全く生産していない完全な待機時間帯に相当する。
【0061】
図6に示す原単位解析グラフの近似線33Aから、原単位生産数が9〜10個の範囲で略一定であるときから、原単位生産数が顕著に低下して原単位生産数がゼロになったときの原単位エネルギー使用量は、電力量で100kWhであることが分かる。また、同図に示す原単位解析グラフの近似線33Bから、原単位生産数が9〜10個の範囲で略一定であるときから、原単位生産数が顕著に低下して原単位生産数がゼロになったときの原単位エネルギー使用量は、エアー流量(電力量換算)で57kWhであることが分かる。これらの原単位エネルギー使用量は、生産設備7が所望の生産数を生産していない待機状態にあるときに使用されるエネルギー使用量であるので、本明細書では、「待機エネルギー使用量」という。
【0062】
後処理手段34は、待機時間帯及び待機エネルギー使用量を表示手段4のグラフ表示領域49に表示させる。表示手段4がトレンド解析グラフを表示している場合の待機時間帯は、例えば、トレンド解析グラフの横軸(時間軸)上に時間帯とともに赤線で強調表示され、待機エネルギー使用量も合わせて表示される。表示手段4が原単位解析グラフを表示している場合は、例えば、待機エネルギー使用量が数値とともに原単位解析グラフの縦軸(エネルギー使用量軸)上に赤線で強調表示され、待機時間帯も合わせて表示される。
【0063】
従来技術においては、生産していない時間帯を予め非生産時間帯として設定して、エネルギー使用量に含めないようにしていた。しかしながら、実際には、休憩時間帯においても製品の生産を行っていることが多く、生産設備7が待機状態にあるときの待機電力等のエネルギー損失を正確に把握することは困難であった。
【0064】
本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数をエネルギー使用量とともに計測して、製品の生産数とエネルギー使用量とを時系列に表示することができるので、製品の生産数が顕著に低下している待機時間帯を正確に把握することができる。例えば、昼の休憩時間帯を12:30〜13:30と予め決めていても、生産計画の遅れによって休憩時間帯の一部にずれ込むことがある。また、生産設備7の不具合によって、休憩時間が終了しても、すぐに生産を開始できない場合もある。このような場合であっても、本実施形態のエネルギー管理システムは、製品の生産数の計測データをもとに実際に製品を生産していない待機時間帯(上記の例では、12:40〜13:50)を正確に把握することができる。
【0065】
待機エネルギー使用量は、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算して算出することができるとも考えられる。しかしながら、待機エネルギー使用量は、製品生産時のエネルギー使用量と比べて極めて小さい。そのため、計測データに実際のエネルギー使用量から大きく離れた異常値が含まれると、計測データと実際のエネルギー使用量との誤差の影響を受け易くなり、正確な待機エネルギー使用量を算出することが困難となる。また、製品の生産数が顕著に変動すると、それに伴って生産設備7で使用されるエネルギー使用量も大きく変動する。そのため、この方法では、エネルギー使用量の過渡的な変動も含めて待機エネルギー使用量を算出する場合があり、正確に待機エネルギー使用量を算出しているとは言えない。
【0066】
本実施形態のエネルギー管理システムは、原単位生産数と原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフに基づいて、待機時間帯の待機エネルギー使用量を導出しているので、待機時間帯のエネルギー使用量を単純に合算した場合と比べて、待機エネルギー使用量を正確に把握することができる。つまり、本実施形態のエネルギー管理システムは、待機時間帯の計測データのみから待機エネルギー使用量を算出するのではなく、製品生産時のエネルギー使用量も含めた解析期間全体の計測データから待機エネルギー使用量を導出しているので、計測データの誤差の影響を受けにくい、正確な待機エネルギー使用量を算出することができる。従って、本実施形態のエネルギー管理システムは、生産設備7等を備えた工場全体の待機エネルギー使用量も正確に把握することができる。
(3−5)待機エネルギー解析手段
本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、解析処理手段3は、さらに、待機エネルギー解析手段35を有している。待機エネルギー解析手段35は、所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、繰り返し単位ごとの待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させる。
【0067】
既述のとおり、解析期間T1(所定時間帯)は、図3に示す設定表示画面の解析開始時刻選択領域45から入力された時刻を起算開始時刻T1Sとし、起算開始時刻T1Sから解析期間選択領域46で選択された期間が経過した時を起算終了時刻T1Eとした期間である。そして、解析期間T1(所定時間帯)に収集された計測データに基づいて原単位解析グラフを導出し、原単位解析グラフに基づいて待機エネルギー使用量を算出している。つまり、1つのエネルギー種別に対して、解析期間T1(所定時間帯)における待機エネルギー使用量が1つ導出される。
【0068】
本実施形態のエネルギー管理システムでは、上記解析期間T1(所定時間帯)を繰り返し単位とした場合に、繰り返し単位ごとの待機エネルギー使用量を算出する。以下、具体的に説明する。上記の起算終了時刻T1Eを次の繰り返し単位の起算開始時刻T2Sとし、起算開始時刻T2Sから解析期間選択領域46で選択された期間が経過した時を次の繰り返し単位の起算終了時刻T2Eとすると、解析期間T1の次の繰り返し単位である解析期間T2は、起算開始時刻T2Sから起算終了時刻T2Eまでの期間となる。これを所定回数繰り返すことにより、解析期間T1(所定時間帯)を繰り返し単位とした複数の解析期間を想定することができる。
【0069】
繰り返し回数は、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47で設定する。グラフ表示選択領域47で「待機エネルギー推移グラフ」が選択されると、その選択領域に数値を選択可能なプルダウンメニューが表示され、繰り返し回数を選択することができる。例えば、繰り返し回数で「4」回を選択すると、解析期間T1、T2、T3及びT4の4つの解析期間が想定される。そして、図3に示す設定表示画面の表示・印刷選択領域48で「表示」又は「印刷」が選択されると、解析期間T1(所定時間帯)に収集された計測データに基づいて原単位解析グラフを導出し、原単位解析グラフに基づいて待機エネルギー使用量を算出する。次に、解析期間T2(所定時間帯)に収集された計測データに基づいて原単位解析グラフを導出し、原単位解析グラフに基づいて待機エネルギー使用量を算出する。これを解析期間T4まで繰り返す。なお、解析順序は、解析期間T1、T2、T3及びT4のうち、いずれの順序で解析しても良い。
【0070】
待機エネルギー解析手段35は、待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させる。上記の例では、解析期間T1、T2、T3及びT4のそれぞれの待機エネルギー使用量を時系列に表して待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させる。図3に示す設定表示画面の解析開始時刻選択領域45で「2009年8月1日12:00」を、解析期間選択領域46で「1ケ月間」を、グラフ表示選択領域47で「待機エネルギー推移グラフ」を、繰り返し回数で「4」回を選択した場合を例に、待機エネルギー推移グラフを説明する。なお、待機エネルギー使用量は、生産ライン61のエアー流量(電力量換算)とする。
【0071】
図7は、グラフ表示領域を模式的に表す模式図であり、待機エネルギー推移グラフの一例を示したものである。図7に示す待機エネルギー推移グラフの横軸は月を、縦軸は生産ライン61のエアー流量の待機エネルギー使用量を表している。待機エネルギー推移グラフは、折れ線の特性線35Aで示される。図7に示す待機エネルギー推移グラフの特性線35Aからは、生産ライン61のエアー流量の待機エネルギー使用量は、8月が57kWh、9月が60kWh、10月が90kWh、11月が120kWhであることが分かる。
【0072】
本実施形態のエネルギー管理システムは、待機エネルギー解析手段35が待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを表示手段4に表示させるので、待機エネルギー使用量の時間変化を容易に把握することができる。
【0073】
さらに、本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量(例えば、エアー流量の待機エネルギー使用量で100kWh)を超えたときに、表示手段4に警報を表示させる。警報は、図3に示す設定表示画面のグラフ表示領域49に待機エネルギー推移グラフとともに表示される。上記の例では、例えば、「警報!生産ライン61のエアー流量(規制エネルギー量:100kWh)」のように表示される。規制エネルギー量は、想定される待機エネルギー使用量と比べて、待機エネルギー使用量が過大であるか否かを示す基準値である。
【0074】
本実施形態のエネルギー管理システムは、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、表示手段4に警報を表示させるので、本実施形態のエネルギー管理システムの操作者は、待機エネルギー使用量が基準値より多いことを知得することができる。また、操作者は、後述するように、生産設備7の保守点検時期を知得することもできる。規制エネルギー量は、予め解析対象、種別ごとに定められプログラムとして記憶装置3Cに記録されているが、図3に示す設定表示画面で設定するようにしても良い。
【0075】
本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、表示手段4に警報を表示させるので、生産設備7の保守点検箇所と保守点検時期を容易に把握することができる。上記の例では、エアー流量の待機エネルギー使用量は、8月から11月にかけて徐々に多くなっている。生産設備7が製品を生産していない待機状態であるにも関わらず、エアー流量が多くなる一因として、配管(エネルギー供給ライン5L2)からのエアー漏れが考えられる。
【0076】
他の生産ラインと比べて、生産ライン61のエアー流量の待機エネルギー使用量のみが多い場合は、生産ライン61へ引き込まれた配管においてエアー漏れが発生している可能性が高いので、本実施形態のエネルギー管理システムの操作者は、生産ライン61へ引き込まれた配管を保守点検する。複数の生産ラインにおいて、エアー流量の待機エネルギー使用量が他の生産ラインと比べて多い場合は、警報が表示された生産ラインの上流の配管を保守点検する。つまり、生産設備7の保守点検箇所の特定が容易となり、生産設備7が保守されることによって無駄なエネルギー使用が抑えられる。
【0077】
また、本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、上記警報が表示手段4に表示されたときに、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段351を備える。
【0078】
待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたことを示す警報が表示手段4に表示されると、エネルギー供給制御手段351は、エネルギー供給手段5に対して、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させる制御信号を送信する。具体的には、図2に示す入出力インターフェース3Fが通信ネットワーク3F1、3F2を介してエネルギー供給手段5に対して、制御信号を送信する。例えば、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えた状態をHiレベル(例えば、5V)とし、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量以下である状態をLowレベル(例えば、0V)とすると、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、エネルギー供給手段5と接続されている入出力インターフェース3Fの所定ポートから、Hiレベル信号(5V)が出力される。制御信号を受けたエネルギー供給手段5は、制御信号に従って、エネルギー供給量を低下させる。例えば、エネルギー供給手段52の複数のコンプレッサ521のうち、一部のコンプレッサ521を停止する。各コンプレッサ521の出力を抑えて、エネルギー供給量を低下させても良い。
【0079】
本実施形態のエネルギー管理システムにおいて、待機エネルギー解析手段35は、上記警報が表示手段4に表示されたときに、エネルギー供給手段5のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段351を備えるので、製品の生産に必要なエネルギー以上の無駄なエネルギー供給を防止することができる。例えば、生産ライン6にエアーを供給する配管(エネルギー供給ライン5L2)にエアー漏れがあると、配管から漏れた分だけエネルギーの損失になる。エネルギー供給手段52が、配管から漏れた分を補うためにエアーの供給量を増加させると、さらにエネルギー損失を増大させることになる。よって、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたことを示す警報が表示手段4に表示された場合は、製品の生産に必要なエアー流量以上のエアーの供給を防止するべく、エネルギー供給手段52のエアー流量を低下させる。これによって、無駄なエネルギー供給が抑えられる。
(3−6)その他
既述の原単位解析グラフからは、例えば、以下のことが分かる。原単位解析グラフを説明する説明図である図8をもとに以下説明する。
【0080】
図8(a)に示すグラフは、原単位生産数がC1[個]のときの原単位エネルギー使用量がP1[kWh]である近似線33Cと、原単位生産数がC1[個]のときの原単位エネルギー使用量がP2[kWh]である近似線33Dと、を示している。原単位エネルギー使用量が近似線33Cで示される生産設備7では、C1[個]の製品を生産するためには、P1[kWh]のエネルギーが必要である。一方、原単位エネルギー使用量が近似線33Dで示される生産設備7では、同じC1[個]の製品を生産するのに、P1[kWh]より少ないP2[kWh]のエネルギー使用で済む。つまり、原単位解析グラフの近似線33C、33Dの傾きの大きさによって、生産設備7で使用されるエネルギー消費機器が高効率であるか否かが分かる。原単位解析グラフの近似線33C、33Dの傾きが大きい場合は、エネルギー消費機器に高効率機器を採用することによって、省エネルギーが図られる。
【0081】
図8(b)に示すグラフは、原単位生産数がゼロ[個]のときの原単位エネルギー使用量がPW1[kWh]である近似線33Cと、原単位生産数がゼロ[個]のときの原単位エネルギー使用量がPW2[kWh]である近似線33Eと、を示している。原単位生産数が増加すると、近似線33Cと近似線33Eは接する。PW1及びPW2は、生産設備7が製品を生産していない待機時間帯の待機エネルギー使用量を表わす。原単位エネルギー使用量が近似線33Cで示される生産設備7は、近似線33Eで示される生産設備7と比べて、待機エネルギー使用量が多いことが分かる。つまり、近似線33C、33Eと縦軸との切片の大きさPW1、PW2によって、待機エネルギー使用量が多いか否かが分かる。上記切片の大きさPW1、PW2が大きい場合は、例えば、休憩時間や異なる就業形態の交代の時間である直間時にエネルギー消費機器を停止して、待機エネルギー使用量を削減することによって、省エネルギーが図られる。
【0082】
図8(c)に示すグラフは、同図(a)及び(b)の近似線33Cで示される生産設備7において、エネルギー消費機器の待機エネルギー使用量を削減して、さらに、例えば、生産ライン6にエアーを供給する配管(エネルギー供給ライン5L2)からのエアー漏れを点検保守した後の近似線33Fを示している。図8(c)に示すグラフは、近似線33Cも併せて示す。
【0083】
例えば、エアーを供給する配管にエアー漏れがあると、エアーが配管から漏れた分だけエネルギーの損失になる。当初、近似線33Cで示される生産設備7では、C1[個]の製品を生産するためには、P1[kWh]のエネルギーが必要であると考えられていたが、実はエアーが配管から漏れており、P1[kWh]より少ないP3[kWh]のエネルギーで済む場合がある。この場合は、例えば、待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたことを示す警報が表示手段4に表示されたときに、配管からのエアー漏れを点検保守することによって、エネルギー供給手段52の無駄なエネルギー供給を抑えることができる。また、エネルギー供給制御手段351によって、エネルギー供給手段52のエアー流量を低下させることによっても、無駄なエネルギー供給を抑えることができる。このように製品の生産時の無駄なエネルギー供給を抑えることによって、省エネルギーが図られる。
【0084】
次に、リアルタイム表示及び積算表示について、説明する。本実施形態のエネルギー管理システムは、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「リアルタイム表示」を選択することにより、リアルタイム表示(計測データを短時間周期でグラフ表示させること)が可能である。
【0085】
既述のとおり、通常、計測データ収集手段2に収集された各計測データは、所定単位、例えば、5分単位にまとめられて、その時間間隔で解析処理手段3の記憶装置3Cに記録される。解析処理手段3は、記憶装置3Cに記録されたデータを逐次読み出して、計測データを解析処理する。しかしながら、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「リアルタイム表示」が選択されると、解析対象の計測データを計測データ収集手段2から、例えば、1秒単位の短い間隔で逐次受信し、そのデータを解析処理手段3で解析処理する。
【0086】
グラフ表示選択領域47において、「リアルタイム表示」が選択されると、原単位選択領域44は、「1秒単位(リアルタイム表示)」が自動的に選択され、解析期間選択領域46は、「1分間(リアルタイム表示)」が自動的に選択される。表示・印刷選択領域48で「表示」又は「印刷」が選択されると、前処理手段31は、計測データ収集手段2から逐次受信する計測データから、1秒単位の原単位エネルギー使用量を算出する。計測データは、1秒間に使用されたエネルギー使用量であるので、例えば、エネルギー使用量を1時間当りの電力量(kWh)で表すためには、計測データに3600を乗じて、原単位エネルギー使用量を算出する。エネルギーの種別が温度などの積算されていない計測データである場合は、上記の乗算は行わず、受信した計測データを原単位エネルギー使用量とする。
【0087】
トレンド解析手段32は、表示手段4に原単位エネルギー使用量を時系列にリアルタイム表示する。具体的には、図3に示す設定表示画面のグラフ表示領域49に、計測データがリアルタイムに表示される。リアルタイム表示の一例を図9に示す。図9に示すリアルタイム表示の横軸は時刻(時間)を、縦軸は原単位エネルギー使用量を表している。原単位エネルギー使用量の時間変化は、特性線3Aで示されている。なお、グラフの種類や座標軸の取り方は、適宜変更することができる。グラフの表示は、例えば、1分間分の解析結果が連続して表示され、現在から1分前までの計測データが同時に表示されるので、原単位エネルギー使用量の時間変化が一目で分かる。リアルタイム表示は、生産設備7の新規導入時、点検保守後、動作不安定時など計測データをリアルタイムに把握する必要がある場合に好適である。
【0088】
本実施形態のエネルギー管理システムは、図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「積算表示」を選択することにより、既述のリアルタイム表示された計測データを積算表示させることができる。解析条件、解析処理手段3で行われる計測データの解析処理は、既述のリアルタイム表示と同様である。
【0089】
図3に示す設定表示画面のグラフ表示選択領域47において、「積算表示」が選択されて、表示・印刷選択領域48で「表示」又は「印刷」が選択されると、トレンド解析手段32は、計測データから算出された原単位エネルギー使用量を時系列に積算して表示手段4に表示する。具体的には、図3に示す設定表示画面のグラフ表示領域49に、計測データが積算表示される。積算表示の一例を図10に示す。図10に示す積算表示の横軸は時刻(時間)を、縦軸は原単位エネルギー使用量を表している。原単位エネルギー使用量の時間変化は、棒グラフ3Bで示されている。なお、グラフの種類や座標軸の取り方は、適宜変更することができる。グラフの表示は、例えば、1分間分の解析結果が連続して積算表示され、現在から1分前までの計測データの積算量が同時に表示される。
(4)鋳造設備
生産設備7の一例として、鋳造設備について説明する。生産設備7としては、加工設備等であっても良い。図11は、鋳造設備の一例を示す概略構成図である。図11に示す鋳造設備7は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する溶解部71と、成形キャビティを備える鋳型を造型する造型部72と、成形キャビティに溶湯を注湯する注湯部73と、注湯された鋳型をばらして鋳物8を取り出す型ばらし部74と、を有している。また、鋳造設備としては、図示しないが、集塵機や排水処理装置等を備えていても良い。
【0090】
溶解部71は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する。溶解部71は、例えば、キュポラと呼ばれる筒状の炉や電気炉を用いることができる。溶解部71では、例えば、溶解材料を溶解するときに多量の熱風(エアー)や大電力が使用される。造型部72は、成形キャビティを備える鋳型を造型する。鋳型は、例えば、生砂を鋳枠の中に投入して、押し固めて製品模型から転写して形成される。造型部72では、例えば、生砂を鋳枠の中に投入するときに多量のエアーが使用される。注湯部73は、成形キャビティに溶解部71で形成された溶湯を注湯する。溶湯は、例えば、トリベから鋳型の注湯口に注がれる。注湯部73では、トリベの移動や溶湯を高温に保持するために大電力が使用される。型ばらし部74は、鋳型で凝固した鋳物8を鋳枠から分離して、鋳物8を取り出す。型ばらし部74では、例えば、鋳物8を鋳枠から分離するときに大電力が使用され、鋳物8の表面に残った砂を取り除くときに、多量のエアーが使用される。
【0091】
鋳造設備7は、他の生産設備7と比べて、大電力や多量のエアーを必要とするエネルギー消費機器が多い。さらに、鋳造設備7は、エネルギー消費機器の待機時間が長く、そのため待機エネルギー使用量も比較的多い。例えば、溶解部71では、大電力で発熱体を発熱させて、高温にした発熱体を用いて溶解材料を溶解して溶湯を形成する。高温に発熱させるには長時間を要するため、待機時間は長くなり、そのため待機エネルギー使用量も多くなる。したがって、鋳造設備7は、本実施形態のエネルギー管理システムを用いて、待機時間帯のエネルギー管理が行われることにより省エネルギーが図られ、本発明による効果がより顕著に発揮される。
(5)その他
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。また、上記の記載から次の技術的思想も把握できる。
【0092】
(付記項1)
製品の生産数及び生産設備で使用されるエネルギー使用量を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測データを収集する計測データ収集手段と、
前記計測データ収集手段に通信ネットワークを介して接続され前記計測データを演算処理する解析処理手段と、
前記計測データの演算結果を表示する表示手段と、
を備えるエネルギー管理システムを用いて、前記エネルギー使用量を前記表示手段に表示させるエネルギー管理方法であって、
任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの前記生産数である原単位生産数と、前記単位時間当たりの前記エネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出する前処理ステップと、
前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを前記表示手段に表示させるトレンド解析ステップと、
前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを前記表示手段に表示させる原単位解析ステップと、
前記トレンド解析グラフに基づいて前記原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、前記原単位解析グラフの前記近似線に基づいて前記原単位生産数が顕著に低下したときの前記原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、前記待機時間帯及び前記待機エネルギー使用量を前記表示手段に表示させる後処理ステップと、
をもつ解析処理工程を有することを特徴とするエネルギー管理方法。
(付記項2)
前記所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、前記解析処理工程は、前記繰り返し単位ごとの前記待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを前記表示手段に表示させる待機エネルギー解析ステップを前記後処理ステップの後に有する付記項1に記載のエネルギー管理方法。
(付記項3)
前記待機エネルギー解析ステップは、前記待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、前記表示手段に警報を表示させる付記項2に記載のエネルギー管理方法。
(付記項4)
前記待機エネルギー解析ステップは、前記表示手段に前記警報が表示されたときに、前記生産設備にエネルギーを供給するエネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御ステップを含む付記項3に記載のエネルギー管理方法。
【符号の説明】
【0093】
1:計測手段
2:計測データ収集手段
3:解析処理手段
31:前処理手段 32:トレンド解析手段 33:原単位解析手段
34:後処理手段
35:待機エネルギー解析手段 351:エネルギー供給制御手段
4:表示手段
5:エネルギー供給手段
6:生産ライン
7:生産設備
8:鋳物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産設備で使用されるエネルギー使用量を表示するエネルギー管理システムにおいて、
製品の生産数及び前記エネルギー使用量を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測データを収集する計測データ収集手段と、
前記計測データ収集手段に通信ネットワークを介して接続され前記計測データを演算処理する解析処理手段と、
前記計測データの演算結果を表示する表示手段と、
を備え、
前記解析処理手段は、前記計測データを事前に前処理する前処理手段と、前記前処理された計測データに基づいて前記表示手段にグラフを表示させる、トレンド解析手段及び原単位解析手段と、前記グラフに基づいて演算処理する後処理手段と、を有し、
前記前処理手段は、任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの前記生産数である原単位生産数と、前記単位時間当たりの前記エネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出し、
前記トレンド解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを前記表示手段に表示させ、
前記原単位解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを前記表示手段に表示させ、
前記後処理手段は、前記トレンド解析グラフに基づいて前記原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、前記原単位解析グラフの前記近似線に基づいて前記原単位生産数が顕著に低下したときの前記原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、前記待機時間帯及び前記待機エネルギー使用量を前記表示手段に表示させることを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項2】
前記所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、前記解析処理手段は、前記繰り返し単位ごとの前記待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを前記表示手段に表示させる待機エネルギー解析手段を有する請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記待機エネルギー解析手段は、前記待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、前記表示手段に警報を表示させる請求項2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記待機エネルギー解析手段は、前記表示手段に前記警報が表示されたときに、前記生産設備にエネルギーを供給するエネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段を備える請求項3に記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記生産設備は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する溶解部と、成形キャビティを備える鋳型を造型する造型部と、前記成形キャビティに前記溶湯を注湯する注湯部と、前記注湯された前記鋳型をばらして鋳物を取り出す型ばらし部と、を含む鋳造設備である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項1】
生産設備で使用されるエネルギー使用量を表示するエネルギー管理システムにおいて、
製品の生産数及び前記エネルギー使用量を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測データを収集する計測データ収集手段と、
前記計測データ収集手段に通信ネットワークを介して接続され前記計測データを演算処理する解析処理手段と、
前記計測データの演算結果を表示する表示手段と、
を備え、
前記解析処理手段は、前記計測データを事前に前処理する前処理手段と、前記前処理された計測データに基づいて前記表示手段にグラフを表示させる、トレンド解析手段及び原単位解析手段と、前記グラフに基づいて演算処理する後処理手段と、を有し、
前記前処理手段は、任意の起算開始時刻から起算終了時刻までの所定時間帯において、単位時間当たりの前記生産数である原単位生産数と、前記単位時間当たりの前記エネルギー使用量である原単位エネルギー使用量と、を算出し、
前記トレンド解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を時系列に表したトレンド解析グラフを前記表示手段に表示させ、
前記原単位解析手段は、前記原単位生産数及び前記原単位エネルギー使用量に基づいて、前記原単位生産数と前記原単位エネルギー使用量の関係を近似線で表した原単位解析グラフを前記表示手段に表示させ、
前記後処理手段は、前記トレンド解析グラフに基づいて前記原単位生産数が顕著に低下している待機時間帯を抽出し、前記原単位解析グラフの前記近似線に基づいて前記原単位生産数が顕著に低下したときの前記原単位エネルギー使用量である待機エネルギー使用量を抽出して、前記待機時間帯及び前記待機エネルギー使用量を前記表示手段に表示させることを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項2】
前記所定時間帯を繰り返し単位とした場合に、前記解析処理手段は、前記繰り返し単位ごとの前記待機エネルギー使用量を時系列に表した待機エネルギー推移グラフを前記表示手段に表示させる待機エネルギー解析手段を有する請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記待機エネルギー解析手段は、前記待機エネルギー使用量が規制エネルギー量を超えたときに、前記表示手段に警報を表示させる請求項2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記待機エネルギー解析手段は、前記表示手段に前記警報が表示されたときに、前記生産設備にエネルギーを供給するエネルギー供給手段のエネルギー供給量を低下させるエネルギー供給制御手段を備える請求項3に記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記生産設備は、溶解材料を溶解して溶湯を形成する溶解部と、成形キャビティを備える鋳型を造型する造型部と、前記成形キャビティに前記溶湯を注湯する注湯部と、前記注湯された前記鋳型をばらして鋳物を取り出す型ばらし部と、を含む鋳造設備である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエネルギー管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−68878(P2012−68878A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212798(P2010−212798)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
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