説明

オイルミスト捕捉機

【課題】 従来のオイルミスト捕捉機では、機内におけるオイルミストの迂回通路を効率的に確保できない、パンチング回転板の配置構造が十分でない問題があり、オイルの捕捉、その清澄の効率化が図れない、オイルの空気中への拡散による工場空気の汚染と、床面、機械等の設備の汚染、又は作業環境悪化による健康被害、転倒の発生、或いは機械の保守管理増加、故障の原因となること等の問題を抱えている。
【解決手段】 本発明は、吸込ユニット、処理ユニットを併設したオイルミスト捕捉機で、吸込ユニットは、吸込口を備えた第一のケーシングと、旋回室、第一の誘導室、迂回通路部、第二の誘導室で構成し、また、処理ユニットは、第一処理部・第二処理部・第三処理部と、ファン、及びファンの駆動部で構成し、吸込ユニットのオイルミストを処理ユニットで分離処理し、空気を機外に排出し、オイルを機内で捕捉するオイルミスト捕捉機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NC工作機械、加工工作機械等の機械より排出されるオイルミストに含まれる、微粒子オイル(微細油分)、切削粉塵を捕捉(捕集)し、清澄空気を、工場内に排出する(分離処理)オイルミスト捕捉機であって、このオイルミスト捕捉機は、主として、NC工作機械、加工工作機械等の機械の天井面に立設されるオイルミスト捕捉機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のオイルミスト捕捉機は、水溶性、油性等の各切削液を使用する機械に設置されており、この機械の加工時に発生する油分(ミスト状の油分で、以下、オイルとする)を含んだ空気(オイルミスト)を、分離処理(油水分離)し、オイルを、機内に回収し、清澄空気を、機外に排出する。
【0003】
しかし、従来のオイルミスト捕捉機では、機内におけるオイルミストの迂回通路を効率的に確保できないこと、パンチング回転板の配置構造が十分でないこと、等の問題があって、結果的に、次のような問題がある。例えば、オイルの捕捉、その清澄の効率化が図れないこと、また、オイルの空気中への拡散による工場空気の汚染と、床面、機械等の設備の汚染、又は作業環境悪化による健康被害、転倒の発生、或いは機械の保守管理増加、故障の原因となること等の問題を抱えている。
【0004】
このような状況に鑑み、近年、種々のオイルミスト捕捉機が、提案されており、その内容が、先行文献で見られるので、文献(1)〜文献(3)の構造を提示し、かつその概要を説明する。
【0005】
文献(1)は、特開2004−16842の「ミスト回収装置」であって、その構造は、筒状のケース(ケーシング)に軸支した回転軸と、この回転軸に設けた複数枚の回転板(回転板に多数の孔を備えた「フィルター方式の回転板」)と、この回転板を区画するケーシングに突設した複数枚の衝突板で構成し、ケーシングの入口より、浮遊ミスト(オイルミスト)を吸込み、回転板と、この回転板が持つフィルター機能で、遠心力分離し、オイルミストの流れをカットしつつ、衝突板による衝突を介して、分離処理し、清浄化された空気を、機外に排出し、また、オイルを機内に捕捉する構成である。この発明の特徴は、複数枚の回転板と、複数枚の衝突板を区画して配備し、分離処理の効率化と、オイルの捕捉(回収)の効率化を図り、かつ清掃や交換等のメンテナンスの容易化を図ることにある。
【0006】
また、文献(2)は、特開2005−161298の「オイルミスト集塵器」であって、その構造は、吸入された空気を放射状に吐き出すためにモータ駆動のインペラーと、このインペラーの外周縁部に隣接して設けられ、かつこのインペラーから吐出空気が、衝突するオイルフィルター構造の衝突板とでなる構成である。この発明の特徴は、浮遊ミストをインペラーに吸入し、衝突板に衝突させてオイルを一次分離し、この一次分離した混合空気に、遠心力を加えてストレーナにオイルを凝縮工程により、多段階で、効率的にオイルを分離することにある。
【0007】
文献(3)は、特開2009−61423の「浮遊ミスト捕捉機」であって、その構造は、筒形のケーシングに、第1〜第3の部屋に大きく区画するとともに、この第3の部屋にパンング回転板を設け、また前記第3の部屋の吐出側に、二重構造のパンチング筒体を設けたことを主構造とする。従って、ケーシングの吸込口からのオイルミストを、順次、第1〜第3の部屋に迂回しつつ、これの適所に配したパンチング筒体と、パンチング回転板とを介して、分離処理するとともに、最終的には、前記二重構造のパンチング筒体で、最終分離処理し、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図ることを特徴とする。
【0008】
【特許文献1】特開2004−16842
【特許文献2】特開2005−161298
【特許文献3】特開2009−61423
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
文献(1)〜(3)は、パンチング回転板(多数の孔を備えた回転板)と、パンチング筒体、遮蔽板等を駆使し、分離処理し、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図る構造である。しかし、機内での滞留時間(可及的な時間)を掛けて、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るには、構造的に、達成できない。例えば、文献(1)では、複数枚の回転板、及び衝突板との迂回を利用した滞留時間を確保する構造であり、また、文献(3)では、第1〜第3の部屋と、パンチング回転板、並びに二重構造のパンチング筒体との迂回を利用した滞留時間を確保する構造であり、いずれも、これらの構造では、十分な成果を挙げるまでには、至っていないと考えられる(勿論、オイルミストの汚染度と、オイルの混入量等によるが)。また、文献(2)では、インペラーと、オイルフィルター構造の衝突板とでなる構成であり、機内での滞留時間を掛けて、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るには、構造的に、無理があると考えられる。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、下記のことを意図する。[イ] 吸込ユニットに併設した処理ユニットのオイルミスト捕捉機において、このコンパクトなオイルミスト捕捉機内で、かつこの機内で滞留時間を掛けて、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供すること、[ロ] 処理ユニットは、第二のケーシングに第一処理部〜第三処理部を内装する構造としたことで、オイルミストの処理に必要とする迂回流路の生成と、かつ滞留時間の確保を図りつつ、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供すること、[ハ] 第二・第四パンチング筒体には、第一・第二の盲板と、孔を備えた第一・第二の仕切板、及び第一・第二の回転板とを設ける構造で、対の分離、かつ迂回通路を構成し、この処理ユニットで、確実で、効率的な分離処理と、回収とを図ること、[ニ] 処理ユニットは、第一・第三のパンチング筒体の上に、第一・第二の傘状の衝突板を配備する構造であるので、オイルミストの処理に必要とする迂回流路を生成し、滞留時間を確保することで、衝突によるオイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供すること、[ホ] 処理ユニットは、第二のケーシングに第一処理部〜第三処理部を内装する構造であるが、この前記吸込ユニットに第一処理部を、この第二処理部に第三処理部を、それぞれ併設(積上げ、又は隣設)するに際し、複数の各支持板を、この処理ユニットを横断(切断)した環状方向に間隔をおいて立設(横設)して組付ける構造とし、組付けの自由を確保し、かつ保守管理の容易化に寄与すること、等を意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、前述の[イ]〜[ニ]の目的を達成することにある。。
【0012】
請求項1は、吸込ユニットと、この吸込ユニットに併設した処理ユニットで構成するオイルミスト捕捉機であって、
この吸込ユニットは、オイルミスト用吸込口を備えた第一のケーシングに内装し、かつこのオイルミスト旋回空間用旋回室、及び吸込用第一の誘導室、及びこの第一の誘導室に連設し、かつパンチング壁を備えた迂回通路部、並びにこの迂回通路部と前記処理ユニットを連通する第二の誘導室で構成し、
また、処理ユニットは、前記第一のケーシングに併設した第二のケーシングに内装した第一のパンチング筒体、及び第一の衝突傘を備えた第一処理部と、この第一処理部に併設した第一の盲板を内設し、かつ第一の鍔片を外設した第二のパンチング筒体、及び第一のパンチング回転板、並びに前記第二のパンチング筒体に孔を備えた第一の仕切板を介して、併設した第三のパンチング筒体、及び第二の衝突傘とでなる第二処理部と、この第二処理部に併設した第一の盲板を内設し、かつ第二の鍔片を外設した第四のパンチング筒体、及び第二のパンチング回転板、並びに前記第四のパンチング筒体に併設した孔を備えた第二の仕切板、及び第五のパンチング筒体とでなる第三処理部と、この第三処理部の第五のパンチング筒体に内設したファン、及びこのファンの駆動部、並びに前記第一、第二のパンチング回転板を支持する前記駆動部の出力軸とでなる駆動機構と、で構成し、
前記吸込ユニットの第一のケーシングに吸込んだオイルミストを、前記処理ユニットの第二のケーシング内で、分離処理し、この分離処理した空気を、第二のケーシングの孔より機外に排出し、また、分離処理したオイルを、機内で捕捉する構成としたオイルミスト捕捉機である。
【0013】
請求項2の発明は、前述の[イ]〜[ホ]の目的を達成することにある。
【0014】
請求項2は、吸込ユニットと、この吸込ユニットに併設した処理ユニットで構成するオイルミスト捕捉機であって、
この吸込ユニットは、吸込口を備えた第一のケーシングと、
この第一のケーシングを区画して設けた略半分を専有する旋回室、及びこの旋回室に内設して設けた第一の誘導室、及びこの第一の誘導室に内設した、その両端が開口する第二の誘導室、並びにこの誘導室の開口に設けた吸込開口を備えたスカート部、及びこのスカート部の外周面と旋回室との通路部に設けたパンチング壁と、で構成し、
また、処理ユニットは、前記吸込ユニットに併設し、かつ一方に開口を、他方に排出用の孔を備えた第二のケーシングと、
この第二のケーシングに間隔をおいて設けた第一のパンチング筒体、及び第一の衝突傘を備えた第一処理部と、
この第一処理部に支持板を介して併設した、前記第二のケーシングに間隔をおいて設けた、かつ第一の盲板を内設した第二のパンチング筒体、及びこの第二のパンチング筒体に間隔をおいて設け、かつ前記第一の盲板に併設した第一のパンチング回転板、及び前記第二のパンチング筒体の外周面に設けた環状の第一の鍔片、並びに前記第二のパンチング筒体に孔を備えた第一の仕切板を介して、併設した第三のパンチング筒体、及びこの第三のパンチング筒体に併設した第二の衝突傘とでなる第二処理部と、
この第二処理室に支持板を介して併設した、前記第二のケーシングに間隔をおいて設けた、かつ第二の盲板を内設した第四のパンチング筒体、及びこの第四のパンチング筒体に間隔をおいて併設し、かつ前記第二の盲板に併設した第二のパンチング回転板、及びこの第四のパンチング筒体の外周面に設けた環状の第二の鍔片、並びに前記第四のパンチング筒体に併設した孔を備えた第二の仕切板、及びこの第二の仕切板に併設した第五のパンチング筒体とでなる第三処理部と、
この第三処理部を構成する第五のパンチング筒体に間隔をおいて設けたファン、及びこのファンを回転する駆動部、並びに前記第一、第二のパンチング回転板を支持する前記駆動部の出力軸とでなる駆動機構と、で構成したオイルミスト捕捉機である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成しつつ、このオイルミスト捕捉機の最適な、設置方法を提供することにある。
【0016】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
このオイルミスト捕捉機を縦置き形状とし、
前記第二のケーシングに、間隔をおいて第二処理部の第一の鍔片、及び第一の仕切板を、それぞれ内設し、この間隔よりオイルを滴下し、また、第二のケーシングに、間隔をおいて第三処理部の第二の鍔片、及び第二の仕切板を、それぞれ内設し、この間隔よりオイルを滴下し、前記第一ケーシングのオイル溜りに導く構成としたオイルミスト捕捉機である。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成しつつ、この意図を達成するに最適な、第二処理部の構造を提供することにある。
【0018】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
前記第二処理部の第二のパンチング筒体に内設した第一の盲板は、この第二のパンチング筒体の立上方向を横断的に二等分する構成とし、また、前記第三処理部の第四のパンチング筒体に内設した第二の盲板は、この第四のパンチング筒体の立上方向を横断的に二等分する構成としたオイルミスト捕捉機である。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成しつつ、この意図を達成するに最適な、第二・第三処理部の構造を提供することにある。
【0020】
請求項5は、請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
前記第二のケーシングに、間隔をおいて第二処理部の第一の鍔片、及び第一の仕切板を、それぞれ内設し、この第二処理部を分断し、また、第二のケーシングに、間隔をおいて第三処理部の第二の鍔片、及び第二の仕切板を、それぞれ内設し、この第三処理部を分断し、これらの各分断を利用し、この第二のケーシングでオイルミストの迂回を図る構成としたオイルミスト捕捉機である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明は、吸込ユニットと、処理ユニットを併設したオイルミスト捕捉機であって、
吸込ユニットは、オイルミスト用吸込口を備えた第一のケーシングに内装した、オイルミスト旋回空間用旋回室、及び吸込用第一の誘導室、及びパンチング壁を備えた迂回通路部、並びに迂回通路部と前記処理ユニットを連通する第二の誘導室で構成し、
また、処理ユニットは、第一のケーシングに併設した第二のケーシングに内装した、第一のパンチング筒体、及び第一の衝突傘を備えた第一処理部と、第一処理部に併設した第一の盲板を内設し、かつ第一の鍔片を外設した第二のパンチング筒体、及び第一のパンチング回転板、並びに第二のパンチング筒体に孔を備えた第一の仕切板を介して、併設した第三のパンチング筒体、及び第二の衝突傘とでなる第二処理部と、第二処理部に併設した第一の盲板を内設し、かつ第二の鍔片を外設した第四のパンチング筒体、及び第二のパンチング回転板、並びに第四のパンチング筒体に併設した孔を備えた第二の仕切板、及び第五のパンチング筒体とでなる第三処理部と、第三処理部の第五のパンチング筒体に内設したファン、及びファンの駆動部、並びに第一、第二のパンチング回転板を支持する前記駆動部の出力軸とでなる駆動機構と、で構成し、
吸込ユニットの第一のケーシングに吸込んだオイルミストを、処理ユニットの第二のケーシング内で、分離処理し、分離処理した空気を、機外に排出し、また、分離処理したオイルを、第二のケーシングの孔より機内で捕捉する構成としたオイルミスト捕捉機である。
【0022】
従って、請求項1は、下記の特徴を有する。
[イ] 吸込ユニットに併設した処理ユニットのオイルミスト捕捉機において、このコンパクトなオイルミスト捕捉機内で、かつこの機内で滞留時間を掛けて、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供できる。
[ロ] 処理ユニットは、第二のケーシングに第一処理部〜第三処理部を内装する構造としたことで、オイルミストの処理に必要とする迂回流路の生成と、かつ滞留時間の確保を図りつつ、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供できる。
[ハ] 第二・第四パンチング筒体には、第一・第二の盲板と、孔を備えた第一・第二の仕切板、及び第一・第二の回転板とを設ける構造で、対の分離、かつ迂回通路を構成し、この処理ユニットで、確実で、効率的な分離処理と、回収とを図れる。
[ニ] 処理ユニットは、第一・第三のパンチング筒体の上に、第一・第二の傘状の衝突板を配備する構造であるので、オイルミストの処理に必要とする迂回流路を生成し、滞留時間を確保することで、衝突によるオイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供できる。
【0023】
請求項2の発明は、吸込ユニットと、処理ユニットに併設したオイルミスト捕捉機であって、
吸込ユニットは、吸込口を備えた第一のケーシングを区画し、方形空間形状の旋回室、及び第一の誘導室、及び両端が開口する第二の誘導室、並びにスカート部、及びスカート部の外周面と旋回室との通路部に設けたパンチング壁で構成し、
また、処理ユニットは、吸込ユニットに併設し、かつ一方に開口を、他方に排出用の孔を備えた第二のケーシングに間隔をおいて設けた第一のパンチング筒体、及び第一の衝突傘を備えた第一処理部と、
第一処理部に支持板で支持、併設した、第一の盲板を内設した第二のパンチング筒体、及び第二のパンチング筒体の内周面に間隔をおいて設け第一のパンチング回転板、及び第二のパンチング筒体の外周面に設けた第一の鍔片、並びに第二のパンチング筒体に孔を備えた第一の仕切板を介して、併設した第三のパンチング筒体、及び第三のパンチング筒体に併設した第二の衝突傘とでなる第二処理部と、
第二処理室に支持板、併設した、第二のケーシングに間隔をおいて設け、かつ第二の盲板を内設した第四のパンチング筒体、及び第四のパンチング筒体の内周面に間隔をおいて第二のパンチング回転板、及び第四のパンチング筒体の外周面に設けた第二の鍔片、並びに第四のパンチング筒体に併設した孔を備えた第二の仕切板、及び第二の仕切板に併設した第五のパンチング筒体とでなる第三処理部と、
第三処理部を構成する第五のパンチング筒体に間隔をおいて設けたファン、及びファンを回転する駆動部、並びに第一、第二のパンチング回転板を支持する駆動部の出力軸でなる駆動機構と、で構成したオイルミスト捕捉機である。
【0024】
従って、請求項2は、下記の特徴を有する。
[イ] 吸込ユニットに併設した処理ユニットのオイルミスト捕捉機において、このコンパクトなオイルミスト捕捉機内で、かつこの機内で滞留時間を掛けて、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供できる。
[ロ] 処理ユニットは、第二のケーシングに第一処理部〜第三処理部を内装する構造としたことで、オイルミストの処理に必要とする迂回流路の生成と、かつ滞留時間の確保を図りつつ、オイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供できる。
[ハ] 第二・第四パンチング筒体には、第一・第二の盲板と、孔を備えた第一・第二の仕切板、及び第一・第二の回転板とを設ける構造で、対の分離、かつ迂回通路を構成し、この処理ユニットで、確実で、効率的な分離処理と、回収とを図れる。
[ニ] 処理ユニットは、第一・第三のパンチング筒体の上に、第一・第二の傘状の衝突板を配備する構造であるので、オイルミストの処理に必要とする迂回流路を生成し、滞留時間を確保することで、衝突によるオイルの捕捉と、清澄空気の機外への排出を図るに最適な、オイルミスト捕捉機を提供できる。
[ホ] 処理ユニットは、第二のケーシングに第一処理部〜第三処理部を内装する構造であるが、この前記吸込ユニットに第一処理部を、この第二処理部に第三処理部を、それぞれ併設(積上げ、又は隣設)するに際し、複数の各支持板を、この処理ユニットを横断(切断)した環状方向に間隔をおいて立設(横設)して組付ける構造とし、組付けの自由を確保し、かつ保守管理の容易化に寄与できる。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
このオイルミスト捕捉機を縦置き形状とし、
第二のケーシングに、間隔をおいて第二処理部の第一の鍔片、及び第一の仕切板を、それぞれ内設し、間隔よりオイルを滴下し、また、第二のケーシングに、間隔をおいて第三処理部の第二の鍔片、及び第二の仕切板を、それぞれ内設し、間隔よりオイルを滴下し、第一ケーシングのオイル溜りに導く構成としたオイルミスト捕捉機である。
【0026】
従って、請求項3は、請求項1、又は請求項2の意図を達成しつつ、このオイルミスト捕捉機の最適な、設置方法を提供できる特徴がある。
【0027】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
第二処理部の第二のパンチング筒体に内設した第一の盲板は、第二のパンチング筒体の立上方向を横断的に二等分する構成とし、また、第三処理部の第四のパンチング筒体に内設した第二の盲板は、第四のパンチング筒体の立上方向を横断的に二等分する構成としたオイルミスト捕捉機である。
【0028】
従って、請求項4は、請求項1、又は請求項2の意図を達成しつつ、この意図を達成するに最適な、第二処理部の構造を提供できる特徴がある。
【0029】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
第二のケーシングに、間隔をおいて第二処理部の第一の鍔片、及び第一の仕切板を、それぞれ内設し、第二処理部を分断し、また、第二のケーシングに、間隔をおいて第三処理部の第二の鍔片、及び第二の仕切板を、それぞれ内設し、第三処理部を分断し、これらの各分断を利用し、第二のケーシングでオイルミストの迂回を図る構成としたオイルミスト捕捉機である。
【0030】
従って、請求項5は、請求項1、又は請求項2の意図を達成しつつ、この意図を達成するに最適な、第二・第三処理部の構造を提供できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】オイルミスト捕捉機の断面図
【図2】オイルミスト捕捉機の吸込ユニットを下から仰視した斜視図
【図3】オイルミスト捕捉機の処理ユニットを下から仰視した斜視図
【図4】オイルミスト捕捉機のオイルミストと、分離された空気の流れを示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
Aは箱形の吸込ユニットで、この吸込ユニットAは、方形状の周面壁に設けた吸込口100と、傾斜底部101、並びに上方内鍔片102(上方又は下方の位置関係は、オイルミスト捕捉機を縦置きした一例で説明した。以下同じ)、及び開口103を備えた箱形の第一のケーシング1を外郭体とする。そして、この第一のケーシング1には、この実施例では、上方の内鍔片102の下側で、かつ第一のケーシング1に設けた仕切板104の上方に位置する方形空間形状の旋回室2と、この旋回室2に内設して設けたドーナツ形状筒体の第一の誘導室3と、この第一の誘導室3に内設した、その両端が開口400、401する筒体の第二の誘導室4、並びにこの第二の誘導室4の開口400に設けた吸込開口500を備えたスカート部5、及びこのスカート部5の外周面5aと旋回室2との通路部に設けたパンチング壁6と、で構成する。そして、このスカート部5の吸込開口500に間隔をおいて、この吸込ユニット1の傾斜底部101を形成する。図中7はオイル抜きパイプを示す。尚、パンチング壁6は二重構造とする。図中104は、この第一のケーシング1を二つの部屋に区画する仕切板を示す。
【0033】
そして、この吸込ユニットAには、次のような迂回通路が形成される。後述するファン40を回転し、吸込口100よりオイルミストを吸込み→旋回室2→第一の誘導室3→第一のケーシング1の下方に区画された迂回通路部8(スカート部5と第一のケーシング1の下方)→第二の誘導室4→開口401という、オイルミストの一次処理の流れとなる。この流れの中で、旋回室2での比重分離により分離処理と、パンチング壁6での衝突・捕捉分離(以下同じ)により分離処理と、並びにスカート部5での比重分離、オイルの流れにより分離処理とを主体とし、この流れの全体で分離処理される。
【0034】
この吸込ユニットAは、前記の如く、オイルミストの一次処理をなすことは当然であり、その一例が、前記旋回室での比重分離と、パンチング壁6での衝突・捕捉分離による分離処理である。
【0035】
続いて、Bは筒状の処理ユニットで、この処理ユニットBは、第一のケーシング1に併設し、かつ一方に開口1100を、他方、又は後述する筒体45に排出用の孔1101を備えた第二のケーシング11で外郭体を構成するが(吸込ユニットAの上方等に、組付けできる)、この第二のケーシング11には、後述する第一処理部Xと、第二処理部Yと、第三処理部Z、並びに駆動機構Qを備えている。
【0036】
この第一処理部Xは、この第二のケーシング11の下方に、その内周面より間隔A(オイルの流れ空間)をおいて設けた第一のパンチング筒体12と、第一のパンチング筒体12に載架するように積層された第一の衝突傘13とで構成する。
【0037】
また、第二処理部Yは、この第一処理部Xに(例えば、吸込ケーシング1の上方内鍔片102)、支持板15を介して併設した、前記第二のケーシングに間隔Aをおいて設けた、かつ第一の盲板1600を内設した第二のパンチング筒体16と、この第二のパンチング筒体16の内周面に僅かな間隔D(オイルの流れ空間、以下同じ)をおいて設け、かつ前記第一の盲板1600にスペースを置いて併設した第一のパンチング回転板17と、この第二のケーシング11の内周面に僅かな間隔D(オイルの流れ空間、以下同じ)をおいて設けた環状の第一の鍔片18(即ち、この第二のパンチング筒体16の下方仕切り内側から、その外側に至り、その後、上方仕切り内側から第一の仕切板20の孔2000への迂回通路が形成される。以下同じ)と、前記第二のパンチング筒体16に積層支持される孔2000を備えた(第二のケーシング11の内周面に僅かな間隔D)第一の仕切板20に載架するように積層された(間隔Cを備えた、以下同じ)第三のパンチング筒体21と、この第三のパンチング筒体21に併設した(間隔Aを備えた[空気とオイルの流れ空間])第二の衝突傘23とで構成する。
【0038】
さらに第二処理室Y(第一の仕切板20)に支持板25を介して併設した第三処理部Zは、前記第二のケーシング11に間隔Cをおいて設けた、かつ第二の盲板2600を内設した第四のパンチング筒体26と、この第四のパンチング筒体26内周面に僅かな間隔Dをおいて設け、かつ前記第二の盲板2600に併設した第二のパンチング回転板27と、この第四のパンチング筒体26の外周面に設けた環状の第二の鍔片28と、この第四のパンチング筒体26に併設した孔3000を備えた第二の仕切板30と、この第二の仕切板30に併設した(間隔Cを備えた)二重構造の第五のパンチング筒体31とで構成する。
【0039】
次に、第三処理部Zを構成する第五のパンチング筒体31に間隔をおいて設けたファン40、及びこのファン40を回転する駆動部41、並びに前記第一、第二のパンチング回転板17、27を支持する前記駆動部41の出力軸4100とでなる駆動機構Qと、で構成したオイルミスト捕捉機である。
【0040】
尚、この処理ユニットBの第二のケーシング11は、ファン40の外郭体4101に立設した筒体45と、この筒体45の放射方向に設けた支持腕4500に、被嵌支持する構造が、この処理ユニットBの分解、及び、保守管理と、この第二のケーシング11の取付け等を考えた場合には、有益である。この図例では、筒体45に複数個の孔1101を設ける。
【0041】
以下、処理ユニットBのオイルミスト(実線)と、空気(実線)、並びにオイル(鎖線)の流れを示すと、この処理ユニットBに設けたファン40を回転し、吸込ユニットAで一次処理済のオイルミストと、空気、並びにオイルは、第二のケーシング11の開口1100より吸込まれた後→第一の衝突傘13への衝突→第一のパンチング筒体12で旋回し、そのパンチング孔より→間隔C→出力軸4100により回転する第一のパンチング回転板17で拡散→第二のパンチング筒体16の内側から、第一の盲板1600を介して、そのパンチング孔より外側に至り、第二のケーシング11の内周面に押戻され、再び、パンチング孔より、その第二のパンチング筒体16の内側に至る(外より内に、間隔Cを経由して迂回する)→第一の仕切り板20のセンター孔2000→第三のパンチング筒体21のパンチング孔→第二の衝突傘23への衝突(以後、繰返し)→間隔C→出力軸4100により同時回転する第二のパンチング回転板27で拡散→第四のパンチング筒体26の内側から、第二の盲板2600を介して、そのパンチング孔より外側に至り、第四のケーシング筒体26の内周面に押戻され、再び、パンチング孔より、第四のパンチング筒体26の内側に至る(外より内に、間隔Cを経由して迂回する)→第二の仕切り板30のセンター孔3000→第五のパンチング筒体31の内側から外側に至り→第二ケーシング11の内周面→孔1101→清澄空気が排出される。尚、オイルは、前記部材による迂回・旋回分離と、比重分離を経由し、間隔C、D及び第一・第二の衝突傘13、23の上面傾斜部の流下、並びに第二のケーシング11の内周面→第一のケーシング1の仕切板104に開設した複数の孔104a→吸込ユニットAの傾斜底部101を経由し、パイプ7に至る。尚、図1に示した符号C、Dは、間隔と、僅かな間隔を、それぞれ示している。
【0042】
図中42は、第一・第二のパンチング回転板17、27の裏面(対流面で、この実施例では、下方)に設けた拡散板で、回転方向に傾斜し、かつ複数枚設け、オイルミストと、空気、並びにオイルへの微粒子化と、拡販効果を図る。
【符号の説明】
【0043】
A 吸込ユニット
1 第一のケーシング
100 吸込口
101 傾斜底部
102 内鍔片
103 開口
104 仕切板
104a 孔
2 旋回室
3 第一の誘導室
4 第二の誘導室
400 開口
401 開口
5 スカート部
500 開口
5a 外周面
6 パンチング壁
7 パイプ
8 迂回通路部
B 処理ユニット
11 第二のケーシング
1100 開口
1101 孔
12 第一のパンチング筒体
13 第一の衝突傘
15 支持板
16 第二のパンチング筒体
1600 第一の盲板
17 第一のパンチング回転板
18 第一の鍔片
20 第一の仕切板
2000 孔
21 第三のパンチング筒体
23 第二の衝突傘
25 支持板
26 第四のパンチング筒体
2600 第二の盲板
27 第二のパンチング回転板
28 第二の鍔片
30 第二の仕切板
3000 孔
31 第五のパンチング筒体
40 ファン
41 駆動部
4100 出力軸
4101 外郭体
42 拡散板
45 筒体
4500 支持腕
X 第一処理部
Y 第二処理部
Z 第三処理部
Q 駆動機構
C 間隔
D 僅かな間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込ユニットと、この吸込ユニットに併設した処理ユニットで構成するオイルミスト捕捉機であって、
この吸込ユニットは、オイルミスト用吸込口を備えた第一のケーシングに内装し、かつこのオイルミスト旋回空間用旋回室、及び吸込用第一の誘導室、及びこの第一の誘導室に連設し、かつパンチング壁を備えた迂回通路部、並びにこの迂回通路部と前記処理ユニットを連通する第二の誘導室で構成し、
また、処理ユニットは、前記第一のケーシングに併設した第二のケーシングに内装した第一のパンチング筒体、及び第一の衝突傘を備えた第一処理部と、この第一処理部に併設した第一の盲板を内設し、かつ第一の鍔片を外設した第二のパンチング筒体、及び第一のパンチング回転板、並びに前記第二のパンチング筒体に孔を備えた第一の仕切板を介して、併設した第三のパンチング筒体、及び第二の衝突傘とでなる第二処理部と、この第二処理部に併設した第一の盲板を内設し、かつ第二の鍔片を外設した第四のパンチング筒体、及び第二のパンチング回転板、並びに前記第四のパンチング筒体に併設した孔を備えた第二の仕切板、及び第五のパンチング筒体とでなる第三処理部と、この第三処理部の第五のパンチング筒体に内設したファン、及びこのファンの駆動部、並びに前記第一、第二のパンチング回転板を支持する前記駆動部の出力軸とでなる駆動機構と、で構成し、
前記吸込ユニットの第一のケーシングに吸込んだオイルミストを、前記処理ユニットの第二のケーシング内で、分離処理し、この分離処理した空気を、第二のケーシングの孔より機外に排出し、また、分離処理したオイルを、機内で捕捉する構成としたオイルミスト捕捉機。
【請求項2】
吸込ユニットと、この吸込ユニットに併設した処理ユニットで構成するオイルミスト捕捉機であって、
この吸込ユニットは、吸込口を備えた第一のケーシングと、
この第一のケーシングを区画して設けた方形空間形状の旋回室、及びこの旋回室に内設して設けた第一の誘導室、及びこの第一の誘導室に内設した、その両端が開口する第二の誘導室、並びにこの誘導室の開口に設けた吸込開口を備えたスカート部、及びこのスカート部の外周面と旋回室との通路部に設けたパンチング壁と、で構成し、
また、処理ユニットは、前記吸込ユニットに併設し、かつ一方に開口を、他方に排出用の孔を備えた第二のケーシングと、
この第二のケーシングに間隔をおいて設けた第一のパンチング筒体、及び第一の衝突傘を備えた第一処理部と、
この第一処理部に併設した、前記第二のケーシングに間隔をおいて設けた、かつ第一の盲板を内設した第二のパンチング筒体、及びこの第二のパンチング筒体に間隔をおいて設け、かつ前記第一の盲板に併設した第一のパンチング回転板、及び前記第二のパンチング筒体の外周面に設けた環状の第一の鍔片、並びに前記第二のパンチング筒体に孔を備えた第一の仕切板を介して、併設した第三のパンチング筒体、及びこの第三のパンチング筒体に併設した第二の衝突傘とでなる第二処理部と、
この第二処理室に併設した、前記第二のケーシングに間隔をおいて設けた、かつ第二の盲板を内設した第四のパンチング筒体、及びこの第四のパンチング筒体に間隔をおいて併設し、かつ前記第二の盲板に併設した第二のパンチング回転板、及びこの第四のパンチング筒体の外周面に設けた環状の第二の鍔片、並びに前記第四のパンチング筒体に併設した孔を備えた第二の仕切板、及びこの第二の仕切板に併設した第五のパンチング筒体とでなる第三処理部と、
この第三処理部を構成する第五のパンチング筒体に間隔をおいて設けたファン、及びこのファンを回転する駆動部、並びに前記第一、第二のパンチング回転板を支持する前記駆動部の出力軸とでなる駆動機構と、で構成したオイルミスト捕捉機。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
このオイルミスト捕捉機を縦置き形状とし、
前記第二のケーシングに、間隔をおいて第二処理部の第一の鍔片、及び第一の仕切板を、それぞれ内設し、この間隔よりオイルを滴下し、また、第二のケーシングに、間隔をおいて第三処理部の第二の鍔片、及び第二の仕切板を、それぞれ内設し、この間隔よりオイルを滴下し、前記第一ケーシングのオイル溜りに導く構成としたオイルミスト捕捉機。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
前記第二処理部の第二のパンチング筒体に内設した第一の盲板は、この第二のパンチング筒体の立上方向を横断的に二等分する構成とし、また、前記第三処理部の第四のパンチング筒体に内設した第二の盲板は、この第四のパンチング筒体の立上方向を横断的に二等分する構成としたオイルミスト捕捉機。
【請求項5】
請求項1、又は請求項2に記載のオイルミスト捕捉機において、
前記第二のケーシングに、間隔をおいて第二処理部の第一の鍔片、及び第一の仕切板を、それぞれ内設し、この第二処理部を分断し、また、第二のケーシングに、間隔をおいて第三処理部の第二の鍔片、及び第二の仕切板を、それぞれ内設し、この第三処理部を分断し、これらの各分断を利用し、この第二のケーシングでオイルミストの迂回を図る構成としたオイルミスト捕捉機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−92913(P2011−92913A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252248(P2009−252248)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】