説明

オフセット印刷用適正水製造装置

【課題】水道水をオフセット印刷に使用する適正水とする製造装置を提供する。
【解決手段】純水製造部2と前記純水製造部2で製造した純水と薬液を混合して製造されたオフセット印刷用適正水を一時貯蔵する10Lタンク格納部3と、前記10Lタンク格納部3に貯蔵されたオフセット印刷用適正水を攪拌して貯蔵する50Lタンク格納部4とからなるオフセット印刷用適正水製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット印刷に使用する適正水の製造装置の改良に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、オフセット印刷をする際には、水道水、地下水(井戸水)等をそのまま使用していた。
【0003】
しかしながら、従来、オフセット印刷用の湿し水を作る際に使用されている水道水、地下水(井戸水)等では地域や季節により、水に含まれる物質や物質の量が一定でないため、安定したオフセット印刷ができない場合があった。
【0004】
また、そのような水を使用することがオフセット印刷の故障の原因にもなっていた。
【特許文献1】特開2002−347363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、水道水をオフセット印刷に最適の安定した純水に変えることができるオフセット印刷用適正水製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、純水製造部2と、前記純水製造部2で製造した純水21eと薬液を混合して製造されたオフセット印刷用適正水を一時貯蔵する10Lタンク格納部3と、前記10Lタンク格納部3に貯蔵されたオフセット印刷用適正水を攪拌して貯蔵する50Lタンク格納部4とからなることを特徴とするオフセット印刷用適正水製造装置1とした。
【0007】
地域によって含んでいる物質やその量が異なる水道水や地下水を安定した純水に変えることができるため、安定したオフセット印刷をすることができる。
【0008】
また、オフセット印刷の故障の原因と言われている水の問題を純水化することで回避できる。
【0009】
更に、印刷物に合わせて水の硬度を変えることができるため、常に適正な印刷をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
適正水を使用して安定したオフセット印刷をするという目的を、適正水製造装置によって実現した。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置の正面図、図2はオフセット印刷用適正水製造装置の背面図、図3はオフセット印刷用適正水製造装置の左側面図、図4はオフセット印刷用適正水製造装置の右側面図、図5は本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置の平面図である。
【0012】
図1から図5に示すように、本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置1は、純水製造部2と前記純水製造部2で製造した純水21eと薬液を混合して製造されたオフセット印刷用適正水を一時貯蔵する10Lタンク格納部3と、前記10Lタンク格納部3に貯蔵されたオフセット印刷用適正水を攪拌して貯蔵する50Lタンク格納部4とからなる。
【0013】
また、前記純水製造部2は、水道水を濾過するR.O.純水化装置21と、前記純水化装置21で濾過された純水に混ぜる薬液を貯蔵する薬液タンク9と、純水を貯蔵する純水タンク13、13aからなる。
【0014】
図1から図5に示すように、純水製造部2は複数の枠とパネルを組み合わせた箱形をしている。即ち前左右枠2a、2bを前第1横枠2c、前第2横枠2d、前第3横枠2e、前第4横枠2fで連結し、図1に示すように横枠同士の間にパネルを設置し壁面とした。
【0015】
背面側も同様に、後左右枠2g、2hを後第1横枠2i、後第2横枠2j、後第3横枠2k、後第4横枠2lで連結し、横枠同士の間にパネルを設置し壁面とした。前第1横枠2cと後第1横枠2iは平行かつ同じ高さの位置に設置されており、以下同様に前第2横枠2dと後第2横枠2j、前第3横枠2eと後第3横枠2k、前第4横枠2fと後第4横枠2lは、それぞれ平行かつ同じ高さの位置に設置されている。
【0016】
右側面側も同様に、前後右枠2b、2hを右第1横枠2m、右第2横枠2n、右第3横枠2o、右第4横枠2pで連結し、横枠同士の間にパネルを設置して壁面とした。尚、右第1横枠2mは前第1横枠2cと、右第2横枠2nは前第2横枠2dと、右第3横枠2oは前第3横枠2eと、右第4横枠2fは前第4横枠2pと同じ高さの位置に設置されている。以上のように純水製造部2は3段の箱状をしている。
【0017】
3段に分けられた純水製造部2の上段には薬液タンク9と薬液タンク9内の薬液を吐出する際に作動させる電磁定量ポンプ10と3つの電磁弁を備えている。尚、3つの電磁弁とは入口電磁弁16、送水電磁弁17、循環電磁弁18である。
【0018】
純水製造部2の中段には水道水を濾過するためのセディメントフィルター12、12aとカーボンフィルター12b及びR.O.メンブレン11が設置されている。セディメントフィルター12は1マイクロメートル以上の物質を除去することができるフィルターで、セディメントフィルター12aはゴミや錆、水垢など比較的大きな5マイクロメートル以上の物質を除去することができるフィルターである。
【0019】
また、カーボンフィルター12bは、嫌な臭いの元となる塩素や細菌、有機物などを吸着し除去することができ、R.O.メンブレン11は、0.0001マイクロメートルの孔のある膜で農薬、細菌、溶け込んだ金属、無機塩類、放射能物質など水分子以外の物質をほぼ完全に除去することができる。
【0020】
純水製造部2の下段には前述のセディメントフィルター12、12a、カーボンフィルター12b、R.O.メンブレン11で濾過された純水を貯蔵する純水タンク13、13aと送水ポンプ19を備えている。
【0021】
前記純水製造部2の上段の上面は前後第1横枠2c、2iと上左横枠2q及び右第1横枠2mを枠体として天板扉2rが取り付けられている。天板2rの中央右側には取っ手2sを設け、また天板2rの左面に連結された上左横枠2qには複数の蝶番5が取り付けられており、天板2rを開閉することができる。
【0022】
また、純水製造部2の背面下部にはコネクター15、15a、適正水差込口15b、純水差込口15c、排水差込口15d、水道水差込口15eが設置されている。
【0023】
図1から図5に示すように、前記10Lタンク格納部3は、複数の枠とパネルを組み合わせた箱形をしている。即ち、正面は上扉左右枠3a、3bの上下端を上扉上下枠3c、3dで連結して長方形状を形成し、それらを枠としてパネルを取付け、スイッチ等を備えた上扉パネル3eとした。
【0024】
背面は後左右枠3f、3gの上下端を後上下枠3h、3iで連結して長方形状を形成し、それらを枠としてパネルを取り付けた。また、左側面は左上下枠3j、3lの左端を後左枠3fで連結し、左上下枠3j、3lの中央付近を左中枠3kで連結し、前記左中枠3kより前側と後ろ側にパネルを取り付けた。
【0025】
前記10Lタンク格納部3の上面は後上枠3hと、後右枠3gの上端に直角に連結された上右枠3nと、上右枠3nの中央付近と左上枠3jの中央付近を連結した上中枠3mを枠としてパネルを取り付けている。尚、後上枠3hと上中枠3mは平行の関係にある。
【0026】
10Lタンク格納部3のうち、左中枠3kより後ろ側の内部には上部に10Lタンク内攪拌機23とフロート式10Lタンク上限レベルセンサー29を備えた10Lタンク14が設置されている。
【0027】
前記上扉パネル3eには本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置1を操作するためのスイッチ類及び計器類が取り付けられている。即ち、上扉パネル3eの上部右側にはグラフィックパネル7を取付け、上部左側には上から表示灯7a、薬液吐出量設定器7b、漏電遮断機7cを備えている。
【0028】
また、上扉パネル3eの下部には照光式押ボタンスイッチ7d、押ボタンスイッチ7e、フリッカー表示灯7f、圧力計7g、7h、7iが設置されている。尚、上扉パネル3eの右面に連結された上扉右枠3bは前左枠2aと蝶番5を介して連結されているため上扉パネル3eを開閉することができる。
【0029】
図1から図5に示すように、前記50Lタンク格納部4は、複数の枠とパネルを組み合わせた箱形をしている。即ち、正面は下扉左右枠4a、4bの上下端を下扉上下枠4c、4dで連結して長方形状を形成し、それらを枠としてパネルを取付けた下扉とした。前記下扉右枠4bは前記前左枠2aと蝶番5を介して連結されているため下扉を開閉することができる。
【0030】
背面は後左右枠4e、4fの上下端を後上下枠4g、4hで連結して長方形状を形成し、それらを枠としてパネルを取り付けた。また、左側面は前記10Lタンク格納部3の左下枠3lの後端と左下枠4iの後端を後左枠4eで連結しパネルを取り付けた。
【0031】
50Lタンク格納部4は、内部に50Lタンク上下限レベルセンサー32を備えた50Lタンク8を設置し、上部に定量電磁弁31を設置している。
【0032】
図1から図5に示すよう、純水製造部2と10Lタンク格納部3と50Lタンク格納部4からなるオフセット印刷用適正水製造装置1の下面には複数のアジャスター6及びキャスター6aが取り付けられており、自由に移動設置することができる。
【0033】
次に、図6及び図7を使用して本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置1を使用して適正水を製造する工程を説明することとする。図6及び図7は本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置のフローチャートである。
【0034】
図6に示すように、まず、一般に利用することのできる水道水20をR.O.純水化装置21に通して濾過する。水道水20は、R.O.純水化装置21の中でまずフィルターの隙間が5ミクロンであるセディメントフィルター21aで濾過され、ゴミや錆、水垢などの5ミクロン以上ある比較的大きな物質を除去される。
【0035】
5ミクロン以上の物質を除去された水道水20は、次にカーボンフィルター21bにより濾過され、嫌な味や臭いのもととなる塩素や殺菌、有機物などを除去される。
【0036】
カーボンフィルター21bで濾過された水道水20は、フィルターの隙間が1ミクロンであるセディメントフィルター21cで濾過され、最後に0.0001マイクロメートルの孔のRO膜を備えたR.O.メンブレン21dで濾過される。
【0037】
前記R.O.メンブレン21dでは、膜の孔が0.0001マイクロメートルであるため農薬、細菌、溶け込んだ金属、無機塩類、放射能物質など水分子以外の物質をほぼ完全に除去することができ、このR.O.メンブレン21dで濾過された水道水20は純水21eとなる。尚、濾過行程で取り除かれた各物質は排水差込口15dより排水22される。
【0038】
前記R.O.純水化装置21で作られた純水21eは、純水タンク13、13aに一時貯蔵される。純水21eはその後入口弁16より10Lタンク14内に貯蔵されるが、このとき薬液タンク9の薬液との混合が行われて貯蔵される。
【0039】
前記薬液タンク9から純水21eと混合する薬液を吐出する量は、薬液吐出量設定器7bにより設定を行い、電磁定量ポンプ10により吐出される。
【0040】
10Lタンク14内に貯蔵する量は、フロート式10Lタンク上限レベルセンサー29が監視し、常に一定量を貯蔵することができる。
【0041】
10Lタンク14内に貯蔵された純水21eと薬液の混合液であるオフセット印刷用適正水は、10Lタンク内攪拌機23により10Lタンク内攪拌され、定量弁25から50Lタンク8に貯蔵される。尚、10Lタンク内攪拌機23の時間は電機制御部30により管理され、攪拌開始から一定時間が経過すると攪拌タイマータイムアップ24となる。
【0042】
50Lタンク8内に貯蔵されたオフセット印刷用適正水は送水電磁弁17を開き、送水ポンプ33により適正水差込口15bから印刷機26へ注入される。
【0043】
前記50Lタンク8内のオフセット印刷用適正水の量は50Lタンク上限27(図3中の50Lタンク上下限レベルセンサー32)で監視され、常に一定量を貯蔵している。貯蔵量が足りない場合はタイマー28(図5中の電機制御部30)が作動し、送水ポンプ19が動く。このとき、循環電磁弁18は開き50Lタンク8内に一定量のオフセット印刷用適正水が補給される。
【0044】
図7にしめした流れ図は、図6で示した流れ図とほぼ同じである。即ち、水道水20を純水21eとするためのR.O.純水化装置21が簡易型となったもので、濾過された純水21eからオフセット印刷用適正水を作る手順、各タンクへの補給、印刷機への注入などは同じである。
【0045】
以上のような行程でオフセット印刷用適正水が生成されるが、本発明のオフセット印刷用適正水製造装置1では、印刷物により水の硬度を変えることも簡単にでき、あらゆる印刷物に対応した最も適切な水を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置の正面図である。
【図2】本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置の背面図である。
【図3】本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置の左側面図である。
【図4】本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置の右側面図である。
【図5】本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置の平面図である。
【図6】本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置のフローチャートである。
【図7】本発明であるオフセット印刷用適正水製造装置のフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 オフセット印刷用適正水製造装置
2 純水製造部
2a 前左枠
2b 前右枠
2c 前第1横枠
2d 前第2横枠
2e 前第3横枠
2f 前第4横枠
2g 後左枠
2h 後右枠
2i 後第1横枠
2j 後第2横枠
2k 後第3横枠
2l 後第4横枠
2m 右第1横枠
2n 右第2横枠
2o 右第3横枠
2p 右第4横枠
2q 上左横枠
2r 天板扉
2s 取っ手
3 10Lタンク格納部
3a 上扉左枠
3b 上扉右枠
3c 上扉上枠
3d 上扉下枠
3e 上扉パネル
3f 後左枠
3g 後右枠
3h 後上枠
3i 後下枠
3j 左上枠
3k 左中枠
3l 左下枠
3m 上中枠
3n 上右枠
4 50Lタンク格納部
4a 下扉左枠
4b 下扉右枠
4c 下扉上枠
4d 下扉下枠
4e 後左枠
4f 後右枠
4g 後上枠
4h 後下枠
4i 左下枠
5 蝶番
6 アジャスター
6a キャスター
7 グラフィックパネル
7a 表示灯
7b 薬液吐出量設定器
7c 漏電遮断器
7d 照光式押ボタンスイッチ
7e 押ボタンスイッチ
7f フリッカー表示灯
7g 圧力計
7h 圧力計
7i 圧力計
8 50Lタンク
9 薬液タンク
10 電磁定量ポンプ
11 R.O.メンブレン
12 セディメントフィルター
12a セディメントフィルター
12b カーボンフィルター
13 純水タンク
13a 純水タンク
14 10Lタンク
15 コネクター
15a コネクター
15b 適正水差込口
15c 純水差込口
15d 排水差込口
15e 水道水差込口
16 入口電磁弁
17 送水電磁弁
18 循環電磁弁
19 送水ポンプ
20 水道水
21 R.O.純水化装置(精密型)
21a セディメントフィルター
21b カーボンフィルター
21c セディメントフィルター
21d R.O.メンブレン
21e 純水
22 排水
23 10Lタンク内攪拌機
24 攪拌タイマータイムアップ
25 定量弁
26 印刷機
27 50Lタンク上限
28 タイマー
29 フロート式10Lタンク上限レベルセンサー
30 電機制御部
31 定量電磁弁
32 50Lタンク上下限レベルセンサー
33 送水ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水製造部と、前記純水製造部で製造した純水と薬液を混合して製造されたオフセット印刷用適正水を一時貯蔵する10Lタンク格納部と、前記10Lタンク格納部に貯蔵されたオフセット印刷用適正水を攪拌して貯蔵する50Lタンク格納部とからなることを特徴とするオフセット印刷用適正水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−313788(P2007−313788A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147005(P2006−147005)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(301021212)株式会社サンライズカンパニー (2)
【Fターム(参考)】