説明

オープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造

【課題】取付具の外れや破損を防止するとともに、受け部材及びガラスの端部を確実に固定出来るオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造を提供すること。
【解決手段】受け部材21と風防ガラス22外面との間に、前端に向けて開口する間隙が長さ方向に形成されるとともに、取付具24は、受け部材21及び風防ガラス22の端部を被覆する被覆部24aと、被覆部24aから冷蔵室側に延びる延長部24bと、被覆部24aから後方に延びる挿入片24cと、から成り、取付具24の挿入片24cを間隙に挿嵌し、且つ、取付具24の延長部24bを固定手段27により側板本体20の内側面に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンショーケースの側面を閉塞する側板を構成するオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造は、オープンショーケースの側板が、オープンショーケースの前面側に開口部を有する側板本体と、この側板本体の開口部に受け部材を介して嵌合したガラスと、から成るとともに、受け部材及びガラスの端部を側板本体に対し取付具により固定して構成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−184943号公報(第2頁、第2図)
【特許文献2】特開平6−265251号公報(第4頁、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2にあっては、取付具により受け部材及びガラスの端部を固定する取付具の固定箇所に制約があり、取付具により十分に固定することが出来ないため、買い物かごや出し入れされる商品等の衝突による取付具の外れや破損が発生していた。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、取付具の外れや破損を防止するとともに、受け部材及びガラスの端部を確実に固定出来るオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造は、
オープンショーケースの側面を閉塞する側板を構成するオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造であって、
前記側板は、前記オープンショーケースの前面側に開口部を有する側板本体と、該側板本体の開口部に受け部材を介して嵌合した前記風防ガラスと、から成るとともに、前記受け部材及び前記風防ガラスの端部を前記側板本体に対し取付具により固定して構成されており、
前記受け部材と前記風防ガラス外面との間に、前端に向けて開口する間隙が長さ方向に形成されるとともに、前記取付具は、前記受け部材及び前記風防ガラスの端部を被覆する被覆部と、該被覆部から前記冷蔵室側に延びる延長部と、該被覆部から後方に延びる挿入片と、から成り、
前記取付具の挿入片を前記間隙に挿嵌し、且つ、前記取付具の延長部を固定手段により前記側板本体の内側面に固定したことを特徴としている。
この特徴によれば、オープンショーケースの側板を構成する風防ガラスを側板本体に対し固定する取付具が、受け部材と風防ガラス外面との間隙に挿嵌する被覆部から延びた挿入片と、側板本体の内側面に固定する固定手段とによる2点での固定となるため、取付具の外れや破損を防止するとともに、受け部材及びガラスの端部を確実に固定できる。
【0007】
本発明の請求項2に記載のオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造は、請求項1に記載のオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造であって、
前記オープンショーケースは、外箱と内箱とからなり、かつ該外箱と内箱との間に冷気の通風路が形成されたショーケース本体内に、前面が開放する冷蔵室を形成し、該冷蔵室の前面に、前記通風路の上部前端に設けた冷気吹出口から、通風路の下部上端に設けた吸込口に向かって吹き出される冷気によりエアーカーテンを形成することにより、前記冷蔵室を保冷するようにしたものであり、
前記受け部材と前記風防ガラス外面との間隙は、前記風防ガラスの外面に発生した結露水を導水する導水路であり、前記取付具の挿入片が、前記導水路と略同幅に形成されるとともに、下方に導水のための空隙を残存させて前記導水路に挿嵌され、前記取付具の被覆部から延長部にかけて、前記導水路と前記冷蔵室側に開口した排水口とを連通する排水路が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、受け部材の導水路に、略同幅に形成された取付具の挿入片を挿嵌することで、導水路と排水路との位置ずれが無くなるため、風防ガラスの外面に発生した結露水を、排水口を介して冷蔵室側に確実に排水できるとともに、風防ガラス固定のための取付具を利用することで、新たに排水のための部品を用意する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例1における冷蔵ショーケースの全体像を示す断面図である。図2は、冷蔵ショーケースの側面図である。図3(a)は、冷蔵ショーケース右側の受け部材等の前端を示す拡大斜視図であり、(b)は、(a)と同じく取付具を取付けた状況を示す拡大斜視図である。図4は、取付具を裏面側から見た斜視図である。図5は、取付具の内方の状況を示す拡大斜視図である。図6は、受け部材の断面図である。図7は、取付具の一部断面を示す拡大斜視図である。
【0010】
図1に示される冷蔵ショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、または冷凍した状態で陳列するために設置されるオープンショーケースであり、正面側を開口した内箱3により囲まれた冷蔵室5には、商品を陳列する陳列棚6が上下方向に複数設置され、下部に設けられた底板3bにも商品(図示省略)を陳列可能になっており、商品を多数載置可能な構成となっている。以下、本実施例の説明において、図1の冷蔵ショーケース1を対面した状態で見て、手前正面側を右方とし、奥行き側を左方とし、内箱3の開口側(左側)を前方とし、閉塞側(右側)を後方として説明する。
【0011】
冷蔵ショーケース1は、前面(図の左方)が開放された略コ字形をなす断熱構造の外箱2と、その内方の、同じく前面が開放された略コ字形の内箱3とからなるケース本体を備え、その内部空間は冷蔵室5となっている。内箱3の背面板3aには、上下複数段の陳列棚6の後端が取付けられ、この各陳列棚6と内箱3の底板3bとの上面に、商品(図示略)が陳列されるようになっている。
【0012】
外箱2と内箱3との間には、通風路7が形成され、この通風路7の垂直部と底部には、それぞれ冷却装置8と送風機9が設置されている。ケース本体の上部の前端には、通風路7と連通する冷気吹出口10が下向きに形成され、またケース本体の前端下部の上端において外箱2と内箱3との間には、上方に開口する冷気の吸込口11が形成されている。
【0013】
送風機9を作動させると、冷却装置8により冷却された冷気は、矢印のように、通風路7内を上方に向かって流れ、冷気吹出口10より、下方の吸込口11に向かって吹き出される。これにより、ケース本体の前面の開放面に冷気のエアカーテン12が形成されるとともに、その冷気の一部が冷蔵室5内に流入することにより、陳列商品が保冷されるようになる。
【0014】
吸込口11と送風機9との間における通風路7内の下底面には、排水管15と連通する排水孔14が設けられており、通風路7内の下底面は、排水孔14に向かって下方に傾斜している。このようにすることで、通風路7内及び冷気吹出口10から吸込口11に亘って形成される循環路を循環する空気が、冷却装置8による温度低下と、エアカーテン12として周囲を冷やすことによる温度上昇とを繰り返す過程において、飽和水蒸気量の変化により空気中の水蒸気が結露し水滴として発生するが、この水滴を排水孔14側に流動させることが出来る。
【0015】
次に、冷蔵ショーケース1の左右両側面の構成について説明する。
【0016】
図2に示されるように、冷蔵ショーケース1の左右両側面を閉塞する側板は、冷蔵ショーケース1の前面側に開口部20aを有する側板本体20と、側板本体20の開口部20aに受け部材21を介して嵌合した風防ガラス22と、から主として成る。側板本体20は、風防ガラス22及び後述する受け部材21を嵌合可能に所定の厚さ寸法を有しており、側板本体20の前面側に形成される開口部20aは、冷蔵室5内の底板3b(図1参照)の高さ位置近くまで開口して略水平方向に延び、連続して略垂直方向に所定高さ延びて、更に連続して前上方に向かって延びるようにして形成されており、冷蔵ショーケース1の外側方から冷蔵室5に陳列された商品全体が見られるように成っている。
【0017】
このように形成された側板本体20の開口部20aに沿って側周辺が成型された風防ガラス22が、受け部材21を介して開口部20aに嵌合されている。風防ガラス22の前側辺は、略鉛直方向に上下に延びており、上面視コ字状に形成されたカバー23が、上下方向に沿って前側辺を被覆しており、風防ガラス22を防護している。
【0018】
図3(a)に示されるように、側板本体20と風防ガラス22との間に介在している受け部材21は、風防ガラス22の厚さよりも幅広に風防ガラス22の周面に向かって開口した断面視コ字状に、略同じ断面で形成されており、このコ字状の内部に風防ガラス22が嵌合している。また、受け部材21は、風防ガラス22の前側辺を上下方向に被覆するカバー23の下端部も嵌合し、且つ、カバー23よりも若干前方側に延びている。
【0019】
このようにすることで、側板本体20の開口部20aと風防ガラス22との間に介在する受け部材21が、長さ方向に亘って略同じ断面形状で容易に成型できるため、成型後の追加工を要することなく製作のコストダウンが出来る。また、後述する冷蔵ショーケース1における受け部材21の形状を共通化出来る。
【0020】
図3(b)及び図6に示されるように、受け部材21の断面視形状について詳しく説明すると、コ字状を形成する受け部材21の断面視左右の内壁面における上下方向の略中央に、内方に向けて膨出する膨出部21b、21eが夫々設けられており、この膨出部21b、21eの対向面間が、風防ガラス22の厚さ寸法より若干大寸に形成されているため、風防ガラス22を膨出部21b、21eに沿って受け部材21に嵌合することで、受け部材21の内部における風防ガラス22が位置決めされ、膨出部21b、21eの上方及び下方において、風防ガラス22の外面と受け部材21の内壁面との間に、後述する所定の間隙が形成される。
【0021】
すなわち、図示右側の膨出部21bの上方において、冷蔵ショーケース1の外側面を構成する風防ガラス22の外面22aと受け部材21の内壁面との間に、前後方向に形成された間隙は、後述のように風防ガラス22の外面に発生した結露水を受ける受水部21aとして構成される。同様に、冷蔵ショーケース1の内側面を構成する風防ガラス22の外面22bと受け部材21の内壁面との間に、受水部21dが構成される。尚、特に図示しないが、冷蔵ショーケース1左側の側面についても上述と同様の構成を有する。
【0022】
また、膨出部21bの下方において、冷蔵ショーケース1の外側面を構成する風防ガラス22の外面22aと受け部材21の内壁面との間に、所定幅の間隙が前後方向に亘って形成されているとともに、この間隙が前方に向かって開口している。この間隙は、結露水を後述のように排水する導水路21cとして構成される。同様に、冷蔵ショーケース1の内側面を構成する風防ガラス22の外面22bと受け部材21の内壁面との間に、導水路21fが構成される。
【0023】
また、図3(b)及び図4に示されるように、受け部材21の前方側に、嵌合した風防ガラス22及びカバー23の受け部材21からの脱嵌を防止する取付具24が、受け部材21及び側板本体20に対し、後述のように固定に取付けられている。取付具24について具体的に説明すると、取付具24は、受け部材21の前端及びこの前端より前方の側板本体20を被覆する被覆部24aと、この被覆部24aから冷蔵室5側に延びる延長部24bと、導水路21cと略同じ幅を有し、且つ導水路21cより高さ寸法が小さい被覆部24aから延びる挿入片24cと、から主として成る。被覆部24a及び延長部24bの裏面側には、外壁25aとこの外壁25aに頂辺で連続する内壁25bとからなり、取付状態において下方に向けて拡開し断面が開放する断面視略V字状の排水路25が、挿入片24cと略連続して、延長部24bにおいて開口した排水口26まで形成されている。すなわち、前記した導水路21cは、排水路25、そして排水口26まで連通している。
【0024】
図5に示されるように、取付具24の取付について説明すると、取付具24の挿入片24cを、受け部材21の導水路21cに沿って前後方向に挿嵌するとともに、固定手段としての固定ネジ27を、延長部24bに設けられた挿通孔24d(図4参照)に挿通するとともに、側板本体20の内側面に螺挿することで、取付具24を受け部材21及び側板本体20に対し固定に取付ける。取付具24が取付けられた状態において排水口26は、エアカーテン12の吸込口11に向かって開口している。このようにすることで、冷蔵ショーケース1の側板を構成する風防ガラス22を側板本体20に対し固定する取付具24が、受け部材21と風防ガラス外面との間隙に挿嵌する被覆部24aから延びた挿入片24cと、側板本体20の内側面に固定する固定ネジ27とによる2点での固定となるため、取付具24の外れや破損を防止するとともに、受け部材21及び風防ガラス22の端部を確実にできる。
【0025】
またこのように、導水路21cと略同じ幅に形成された挿入片24cを前後方向に挿入することで、挿入片24cの左右側面が受け部材21の内壁面及び風防ガラス22の外面22aと当接し、取付具24を左右方向に拘束し位置決めでき、且つ、固定手段としての固定ネジ27を左右方向に向かって螺挿することで、取付具24を前後方向に拘束し位置決めできる。
【0026】
また、図6に示されるように、導水路21cに嵌挿した挿入片24cの下方には、導水路21cに連通する所定高さ寸法を有する空隙21gが形成されている。
【0027】
次に、風防ガラス22の外面に発生した結露水の排水について説明する。
【0028】
冷蔵ショーケース1の冷蔵室5内を所定温度に冷蔵することにより、冷蔵室5内の空気は冷蔵ショーケース1の外方の空気より当然に温度が低くなる。冷蔵ショーケース1の外側面を構成する風防ガラス22の外面22a近傍の空気が、冷蔵室5内の低温の空気により冷やされることで、飽和水蒸気量が小さくなって湿度が高くなって露点に達し、風防ガラス22の外面22a近傍における空気中の水蒸気が水滴になり、風防ガラス22の外面22a上に結露水Dとして発生する。
【0029】
このように風防ガラス22の外面22a上に発生した結露水Dは、重力により、外面22aを下方に伝って風防ガラス22の外面22aと受け部材21の内壁面との間に形成された受水部21aを介して導水路21cに移動する。次に、冷蔵室5において、上述のように前端上部に設けた冷気吹出口10から前端下部に設けた吸込口11に向けて吹き出されるエアカーテン12の流動により(図1参照)、吸込口11に向けて開口した排水口26と連通する導水路21c内に負圧が生じ、導水路21c内の結露水Dを、排水路25を介して流動させ(図7白抜矢印参照)、排水口26側に向けて吸引する。
【0030】
このように、側板本体20の開口部20aと風防ガラス22との間に介在する受け部材21が、前後方向に亘って略同じ断面形状で容易に成型されているため、成型後の追加工を要することなく、風防ガラス22の外面22aに発生する結露水Dを排水できる。また、風防ガラス22を固定するための取付具24を利用して排水するので、追加部品を要することなく冷蔵室5側に容易に排水できる。
【0031】
また、上述のように、排水口26は吸込口11に向けて開口しており、このようにすることで、導水路21c内の結露水Dを、冷気吹出口10から吸込口11に向かって吹き出されるエアカーテン12の冷気を利用して(図1参照)、別段の排水手段を要することなく導水路21cと連通する排水口26に向けて流動させ、冷蔵室5側に排水することができるため、結露水Dの滞留を防ぐことにより黴の発生等を防止して、受け部材21内部の清潔さを維持することが出来る。また、排水した結露水Dを、冷気とともに吸込口11内の通風路7内に引き込めるため、冷蔵室5の底板3b(図1参照)や陳列された商品を汚さず清潔である。
【0032】
図6及び図7に示されるように、この吸引により、結露水Dは、導水路21c内を移動し、導水路21cの前端側に挿嵌された挿入片24cの下方の空隙21gを通過して排水路25へ導かれる。上述のように、受け部材21の導水路21cに、略同幅に形成された取付具24の挿入片24cを挿嵌することで、導水路21cと排水路25との位置ずれが無くなるため、風防ガラス22の外面22aに発生した結露水Dを、排水口26を介して冷蔵室5側に確実に排水できるとともに、風防ガラス22固定のための取付具24を利用することで、新たに排水のための部品を用意する必要がない。
【0033】
また、本実施例では、排水路25は外壁25aと内壁25bとからなっているが、外壁25aは排水路25の長手方向に亘って側板本体20の周面に当接するように下方に延びている一方、内壁25bは排水路25の長手方向に亘って側板本体20の周面と離間するように外壁25aよりも若干短く延びている。尚、外壁25aの下端に長手方向に沿って、防水用のシール材を設けてもよい。
【0034】
排水路25の上記構成により、導水路21cから排水路25側に流動した結露水Dは、取付具24の被覆部24a内において、排水路25の導水路21c側の端部のみでなく、側板本体20の側周面を伝って排水路25の長手方向のどこからでも排水路25内に流動し、主に外壁25aに沿って、排水口26に向けて吸引される。また、排水が人目に着き難いため美観が向上する。
【0035】
また、排水路25の上記構成により、冷蔵ショーケース1の外側面を構成する風防ガラス22の外面22aと受け部材21の内壁面との間の間隙のみでなく、冷蔵ショーケース1の内側面を構成する風防ガラス22の外面22bと受け部材21の内壁面との間の間隙である導水路21fも、排水路25及び排水口26と連通することとなる。このようにすることで、例えば、図6に示されるように、冷蔵室5内を水洗浄する場合などに冷蔵ショーケース1の内側面を構成する風防ガラス22の外面22bに付着した付着水Sも、上述した結露水Dと同様に、エアカーテン12の流動により生じた負圧で、排水口26側に向けて吸引することが出来る。
【0036】
更に、排水路25が、下方に向けて拡開し断面が開放する断面視略V字状に形成されているため、断面積が比較的小さい外壁25aと内壁25bとの頂角付近においては、結露水Dの表面張力を利用した毛細管現象により、排水路25の長手方向に排水口26に向けて排水を効率よく行うことができる。
【0037】
そして、排水口26から排出された結露水Dは、排水口26の下方に設けられた吸込口11を介して通風路7内に流動し、排水孔14から排水管15側に排水されることになる。このようにすることで、風防ガラス22の外面22aに発生した結露水D若しくは外面22bに付着した付着水Sを、特段の排水設備を設けることなく、通風路7内に設けられている既存の排水孔14を利用して、エアカーテン12生成の際に発生する水分とともに、排水することが出来る。
【0038】
また、排水路25は、冷蔵ショーケース1の外側面を構成する風防ガラス22の外面22a側から冷蔵ショーケース1の内側面に設けた排水口26にかけて、側板本体20の後部側から前部側に向かうように斜め方向に形成されている。このようにすることで、側板本体20の側周面を、後部側から前部側に向かって下方に傾斜する傾斜面とした場合に、この傾斜面を利用して、上記した斜め方向に形成された排水路25内に結露水Dをスムーズに通過させることが出来る。
【0039】
尚、本実施例では、導水路21c及び排水口26と連通する排水路25は、断面が開放した形状と成っているが、必ずしも上記構成に限られず、例えば変形例として、断面が閉塞して長手方向に連続する管状に構成されていてもよい。このように管状に構成された排水路は、導水路に連続する被覆部24aから排水口に連続する延長部24bにかけて高所から低所に向かって連通していることが望ましい。このようにすることで、下方に向かう重力を利用して排水をスムーズに行うことが出来る。
【0040】
更に尚、上記した変形例のように管状に構成された排水路は、排水方向に対する略直交断面の断面積が、導水路における導水方向に対する略直交断面の断面積よりも小さく形成されていることが望ましい。このようにすることで、結露水の表面張力を利用した毛細管現象により、導水路から排水路に向けて結露水を導いて、排水をスムーズに行うことが出来る。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0042】
例えば、上記実施例では、オープンショーケースとして、外箱2と内箱3とからなり、かつ外箱2と内箱3との間に冷気の通風路が形成された本体内に、冷蔵室5を形成しているが、オープンショーケースは、必ずしも上記構成に限られず、冷蔵機能を有しない通常のオープンショーケースも包含する。また、前記通常のオープンショーケースにおいては、該オープンショーケースの内部と外部とで温度差が生じず、結露水も発生しないため、上記実施例のように、受け部材に特段の導水路を形成しなくても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1における冷蔵ショーケースの全体像を示す断面図である。
【図2】冷蔵ショーケースの側面図である。
【図3】(a)は、冷蔵ショーケース右側の受け部材等の前端を示す拡大斜視図であり、(b)は、(a)と同じく取付具を取付けた状況を示す拡大斜視図である。
【図4】取付具を裏面側から見た斜視図である。
【図5】取付具の内方の状況を示す拡大斜視図である。
【図6】受け部材の断面図である。
【図7】取付具の一部断面を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 冷蔵ショーケース(オープンショーケース)
2 外箱
3 内箱
5 冷蔵室
7 通風路
10 冷気吹出口
11 吸込口
12 エアカーテン
14 排水孔
20 側板本体
21 受け部材
21a 受水部(間隙)
21b 膨出部
21c 導水路(間隙)
21g 空隙
22 風防ガラス
23 カバー
24 取付具
24a 被覆部
24b 延長部
24c 挿入片
24d 挿通孔
25 排水路
26 排水口
27 固定ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンショーケースの側面を閉塞する側板を構成するオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造であって、
前記側板は、前記オープンショーケースの前面側に開口部を有する側板本体と、該側板本体の開口部に受け部材を介して嵌合した前記風防ガラスと、から成るとともに、前記受け部材及び前記風防ガラスの端部を前記側板本体に対し取付具により固定して構成されており、
前記受け部材と前記風防ガラス外面との間に、前端に向けて開口する間隙が長さ方向に形成されるとともに、前記取付具は、前記受け部材及び前記風防ガラスの端部を被覆する被覆部と、該被覆部から前記冷蔵室側に延びる延長部と、該被覆部から後方に延びる挿入片と、から成り、
前記取付具の挿入片を前記間隙に挿嵌し、且つ、前記取付具の延長部を固定手段により前記側板本体の内側面に固定したことを特徴とするオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造。
【請求項2】
前記オープンショーケースは、外箱と内箱とからなり、かつ該外箱と内箱との間に冷気の通風路が形成されたショーケース本体内に、前面が開放する冷蔵室を形成し、該冷蔵室の前面に、前記通風路の上部前端に設けた冷気吹出口から、通風路の下部上端に設けた吸込口に向かって吹き出される冷気によりエアーカーテンを形成することにより、前記冷蔵室を保冷するようにしたものであり、
前記受け部材と前記風防ガラス外面との間隙は、前記風防ガラスの外面に発生した結露水を導水する導水路であり、前記取付具の挿入片が、前記導水路と略同幅に形成されるとともに、下方に導水のための空隙を残存させて前記導水路に挿嵌され、前記取付具の被覆部から延長部にかけて、前記導水路と前記冷蔵室側に開口した排水口とを連通する排水路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケースにおける風防ガラスの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−173376(P2008−173376A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11499(P2007−11499)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】