説明

オープンショーケース

【課題】付属部品取付用の取付部材を、外箱の下部開口部に容易に、かつ安定的に取付ける。
【解決手段】外箱2の下部開口部の上端に設けた手摺部材13の冷蔵室側の内面に、前方に凹入する係合溝17と、その下方において係合溝17よりも後方に位置する段差部19とを、左右方向に向かって設け、左右方向を向く取付部材20の下端を、段差部19に載置するとともに、前方を向く係合片22を、係合溝17に、係合手段27,28をもって係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等において陳列商品の保冷又は冷凍に用いられるオープンショーケースに係り、特に、フロントガラスやフェンス等の付属部品を取付ける取付部材を有するオープンショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の取付部材を有するオープンショーケースとしては、例えば、特許文献1ないし3に記載されているものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平05−305018号公報
【特許文献2】特開平11−262432号公報
【特許文献3】特開2004−209051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1ないし3に記載されているオープンショーケースにおいては、フロントガラスやフェンスを取付ける取付部材を、外箱の下部開口部の冷蔵室側の内面に、複数のねじを用いて取付けているため、取付時に工具が必要となるだけでなく、取付作業が煩雑である。
【0005】
また、取付部材の下端部のみが、ねじにより固定され、しかもねじは、外箱の断熱材を覆っている薄肉の鋼板に螺合するか、鋼板を挿通して断熱材に螺合されているため、取付部材の取付強度が小さく、フロントガラスやフェンスに後向きの強い外力が繰り返し加わると、取付部材のねじ止め部が変形して見栄えが損なわれたり、取付部材と外箱の内面との間に隙間が形成されて、冷気漏れや結露等を発生させたりする恐れがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、ねじや工具等を何ら使用することなく、取付部材を容易に、かつ安定的に取付けることができるようにしたオープンショーケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明の請求項1に記載のオープンショーケースは、外箱と内箱とからなり、かつ該外箱と内箱との間に冷気の通風路が形成されたショーケース本体内に、前面が開放する冷蔵室を形成し、該冷蔵室の前面に、前記通風路の上部前端に設けた冷気吹出口から、通風路の下部上端に設けた上方が開口する吸込口に向かって吹き出される冷気より、エアカーテンを形成して前記冷蔵室を保冷するようにしたオープンショーケースにおいて、
前記外箱の下部の開口部における冷蔵室側の内面に、前方に凹入する係合溝と、該係合溝の下方において係合溝よりも後方に位置する水平な段差部とを、左右方向に向かって設け、付属部品取付用の左右方向を向く取付部材の下端を、前記段差部に載置するとともに、取付部材の前面に前向き突設した左右方向を向く係合片を、前記係合溝に係合手段をもって係合させたことを特徴としている。
この特徴によれば、付属部品取付用の取付部材は、その下端を外箱の下部の開口部内面に設けた後方を向く段差部に載置した状態で、取付部材の前面に前向き突設した係合片を、開口部内面の前方に凹入する係合溝に、係合手段をもって係合させるだけで、極めて容易に取付けることができる。
また、係合溝と係合片は左右方向を向いているため、互いの係合領域が左右方向に長く、しかも段差部は、係合溝の下方においてそれよりも後方に位置しているため、取付部材に取付けた付属部品に後向きの外力が加わっても、その力の殆どは段差部により受けられ、係合片にはあまり作用しないので、取付部材を安定的に取付けることができる。
従って、取付部材と外箱の内面との間に隙間が形成されて冷気が漏れたり、結露が発生したりするのが防止される。
【0008】
本発明の請求項2に記載のオープンショーケースは、請求項1に記載のオープンショーケースであって、係合手段を、係合片の上下いずれか一方の面に突設した左右方向を向く係合爪と、係合溝内の上下いずれか一方の面に設けられ、係合片を係合溝に嵌合したとき、前記係合爪が弾性係合する突条もしくは凹条とからなるものとしたことを特徴としている。
この特徴によれば、係合片を嵌合溝に嵌合するだけで、係合片に設けた左右方向を向く係合爪が、係合溝内の突条もしくは凹条と自動的に弾性係合し、強力な抜け止め効果が得られるので、取付部材はより安定して取付けられる。
【0009】
本発明の請求項3に記載のオープンショーケースは、請求項1または2に記載のオープンショーケースであって、外箱の開口部の内面における係合溝よりも下方に、前方に凹入する嵌合溝を、その内部の上面と段差部の上面とが同一面をなすように設けるとともに、前記嵌合溝に、取付部材の下端に前向き突設した嵌合片を嵌合したことを特徴としている。
この特徴によれば、取付部材の下面の支持面積が前後方向に増大するとともに、取付部材の係合片と嵌合片とが、上下2個所において係合溝と嵌合溝とに嵌合しているので、取付部材に作用する後向きの力に対し、強い抗力を有し、ぐらつきや変形等が防止される。
【0010】
本発明の請求項4に記載のオープンショーケースは、請求項1ないし3のいずれかに記載のオープンショーケースであって、外箱の開口部の上端に、外箱の断熱材と一体をなす合成樹脂製の手摺部材を上向きに突設し、この手摺部材の冷蔵室側の内面に、係合溝を段差部と嵌合溝を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、外箱の開口部の上端に突設した手摺部材の内面に、係合溝、段差部及び嵌合溝を設けているので、外箱自体における断熱材を覆う内面の鋼板等に、上記係合溝等を加工する際に比して容易であり、かつ係合溝等を、手摺部材の成形と同時に容易に設けることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明のオープンショーケース、すなわち陳列商品の保冷や冷凍に使用される冷蔵ショーケースの中央縦断側面図、図2は、下部開口部の拡大断面図である。
【0013】
図1に示すように、冷蔵ショーケース1は、前面(図の左方)が開放されたほぼコ字形をなす断熱構造の外箱2と、その内方の、同じく前面が開放されたほぼコ字形の内箱3とからなるケース本体4を備え、その内部空間は冷蔵室5となっている。内箱3の背面板3aには、上下複数段の陳列棚6の後端が取付けられ、この各陳列棚6と内箱3の底板3bとの上面に、商品(図示略)が陳列されるようになっている。
【0014】
外箱2と内箱3との間には、通風路7が形成され、この通風路7の垂直部と底部には、それぞれ冷却装置8と送風機9が設置されている。ケース本体4の上部の前端には、通風路7と連通する冷気吹出口10が下向きに形成され、またケース本体4の前端下部の上端において外箱2と内箱3との間には、上方に開口する冷気の吸込口11が形成されている。
【0015】
送風機9を作動させると、冷却装置8により冷却された冷気は、矢印のように、通風路7内を上方に向かって流れ、冷気吹出口10より、下方の吸込口11に向かって吹き出される。これにより、ケース本体4の前面の開放面に冷気のエアカーテン12が形成されるとともに、その冷気の一部が冷蔵室5内に流入することにより、陳列商品が保冷されるようになる。
【0016】
図2の拡大図に示すように、外箱2の前端下部における開口部の上端には、左右方向を向く硬質合成樹脂よりなる手摺部材13が、その下端面を外箱2の断熱材14の上面に固着(溶着)することにより、一体的に上向きに突設されている。また、15は、手摺部材13の上端と、外箱2の前面の化粧パネル16の上端とに止着された軟質合成樹脂等よりなる手摺カバーである。
【0017】
手摺部材13における冷蔵室5側の垂直をなす内面(後面)のやや下方寄りには、前方に凹入するスリット状の係合溝17が、またその下方には、同じく前方に凹入するスリット状の嵌合溝18が、それぞれ互いに平行をなすようにして左右方向に全長に亘って形成されている。
【0018】
手摺部材13の内面の下端部には、係合溝17及び嵌合溝18よりも後方に位置する水平な段差部19が、その上面と嵌合溝18の内部の上面とが同一面に整合するようにして一体的に形成されている。なお、上記係合溝17、嵌合溝18及び段差部19は、手摺部材13を押し出し成形により製作する際に、同時に形成することができる。
【0019】
20は、手摺部材13の左右寸法とほぼ等長をなす合成樹脂製の取付部材で、手摺部材13の内面の上下寸法とほぼ等しい上下寸法の垂直基板21の前面のやや下方寄りと下端には、上記係合溝17に係合可能な左右方向を向く係合片22と、嵌合溝18に嵌合可能な左右方向を向く嵌合片23とが、それぞれ前向きに一体的に突設されている。なお、係合片22の厚さは、係合溝17の上下寸法より所要寸法小さく、嵌合片23の厚さは、嵌合溝18の上下寸法とほぼ同等か若干小さくされている。
【0020】
また、垂直基板21の下端には、上記段差部19の上面に載置される左右方向を向く底片24が、嵌合片23の下面と同一面をなすように、後向きに一体的に突設されている。底片24の後端には、付属部品であるロッド状のフェンス25の下端を支持可能な上向コ字状部を下端に有するフェンス支持部26が、下向きに連設されている。また、垂直基板21の上端には、フェンス25のくの字状をなす折曲部の上面に当接して抜け止めする抜け止め片35が、斜め後ろ下向きに連設されている。
【0021】
係合片22の前端部の上面には、後面が垂直面をなすとともに、前面が斜め上下方向を向く傾斜面とされた係合爪27が、左右方向に全長に亘って上向きに突設されている。
【0022】
一方、係合溝17の上底面には、垂直基片21の前面が手摺部材13の内面と当接するまで、係合片22を係合溝17に嵌合したときに、上記係合爪27が弾性係合する突条28が、左右方向に全長に亘って下向きに突設されている。
【0023】
手摺部材13の内面に取付部材20を取付けるには、取付部材20の底片24の下面を段差部19の上面に載置した後、前方に押動させて、上下の係合片22と嵌合片23を、係合溝17と嵌合溝18に嵌合させればよい。これにより、係合片22の係合爪27が係合溝17の突条28に弾性係合し、取付部材20は手摺部材13の内面に安定的に取付けられる。
【0024】
図3は、本発明のオープンショーケースの第2の実施形態における上記と同一部分の断面図である。この第2の実施形態において上記第1の実施形態と異なる点は、取付部材の形状のみであるため、上記と同じ部位及び同一部材には、同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
【0025】
この実施形態の取付部材20’は、付属部品としてのフロントガラス29と取付けるためのもので、短寸とされた垂直基板21の上端と下端とに、上記と同様の係合片22と嵌合片23を前向きに突設するとともに、底片24の後端に、垂直基片21よりも長寸の支持片30を、上向きに連設してある。
【0026】
また、支持片30の上端部の後面には、吸込口カバー31の前端を係止するための係止片32が、支持片30と若干離間するように上向きに連設されている。手摺部材13における上記係合片22と嵌合片23との間の内面は、垂直基板21の板厚分だけ前方に凹ませてある。
【0027】
手摺部材13の内面に取付部材20’を取付ける際は、上記実施形態と同様、取付部材20’の底片24の下面を段差部19の上面に載置した後、上下の係合片22と嵌合片23を、係合溝17と嵌合溝18に嵌合させ、係合片22の係合爪27を突条28に弾性係合させればよい。
【0028】
取付後において、垂直基片21と、その上方の手摺部材13の内面、底片24及び支持片30により、上向きコ字状の凹条空間33が形成され、この凹条空間33に、フロントガラス29を上方より嵌合して取付けることができる。
【0029】
以上説明したように、上記第1、第2の実施形態のオープンショーケースにおいては、いずれの取付部材20,20’も、ねじや工具等を使用することなく極めて容易に手摺部材13の冷蔵室5側の内面に取付けることができる。
【0030】
また、係合溝17と係合片22とに設けた突条28及び係合爪27は、左右方向を向いており、互いの係合領域が左右方向に長いので、取付部材20,20’を、がたなく安定的に取付けることができる。
【0031】
さらに、段差部19は、係合溝17の下方においてそれよりも後方に位置するとともに、底片24の前端に連設した嵌合片23を、前方に凹入する嵌合溝18に嵌合して、段差部19への支持面積を大としているため、特に、第2の実施形態においてフロントガラス29に後向きの外力が加わっても、その力の殆どは、段差部19により受けられ、係合片22にはあまり作用しないので、係合片22が抜け外れたり、垂直基板21と手摺部材13の内面との間に隙間が形成されて、冷気が漏れたり、結露が発生したりするのが防止される。
【0032】
なお、上記実施形態においては、係合片22と係合溝17とに設けた係合手段を、係合爪27と突条28とからなるものとしたが、図4に拡大して示すように、上記突条28に代えて、凹条34を設け、係合片22を係合溝17と嵌合した際、係合爪27が凹条34内に弾性係合するようにしてもよい。
【0033】
また、図示は省略するが、係合爪27を係合片22の下面に突設するとともに、突条28や凹条34を、係合溝17の底面に設けてもよい。
【0034】
上記実施形態では、外箱2の開口部の上端に、合成樹脂製の手摺部材13を設け、その内面に取付部材20,20’を取付けているが、このような手摺部材13を省略し、外箱2の下部開口部における冷蔵室5側の内面に、上記のような係合溝17、嵌合溝18及び段差部19を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のオープンショーケースの第1の実施形態を示す中央縦断側面図である。
【図2】同じく、下部開口部の拡大断面図である。
【図3】同じく、第2の実施形態における下部開口部の拡大断面図である。
【図4】係合片と係合溝との係合手段の変形例を示す要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 冷蔵ショーケース(オープンショーケース)
2 外箱
3 内箱
5 冷蔵室
13 手摺部材
14 断熱材
17 係合溝
18 嵌合溝
19 段差部
20,20’ 取付部材
21 垂直基板
22 係合片
23 嵌合片
24 底片
25 フェンス(付属部品)
26 フェンス支持部
27 係合爪
28 突条
29 フロントガラス(付属部品)
30 支持片
33 凹条空間
34 凹条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱とからなり、かつ該外箱と内箱との間に冷気の通風路が形成されたショーケース本体内に、前面が開放する冷蔵室を形成し、該冷蔵室の前面に、前記通風路の上部前端に設けた冷気吹出口から、通風路の下部上端に設けた上方が開口する吸込口に向かって吹き出される冷気より、エアカーテンを形成して前記冷蔵室を保冷するようにしたオープンショーケースにおいて、
前記外箱の下部の開口部における冷蔵室側の内面に、前方に凹入する係合溝と、該係合溝の下方において係合溝よりも後方に位置する水平な段差部とを、左右方向に向かって設け、付属部品取付用の左右方向を向く取付部材の下端を、前記段差部に載置するとともに、取付部材の前面に前向き突設した左右方向を向く係合片を、前記係合溝に係合手段をもって係合させたことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
係合手段を、係合片の上下いずれか一方の面に突設した左右方向を向く係合爪と、係合溝内の上下いずれか一方の面に設けられ、係合片を係合溝に嵌合したとき、前記係合爪が弾性係合する突条もしくは凹条とからなるものとした請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項3】
外箱の開口部の内面における係合溝よりも下方に、前方に凹入する嵌合溝を、その内部の上面と段差部の上面とが同一面をなすように設けるとともに、前記嵌合溝に、取付部材の下端に前向き突設した嵌合片を嵌合した請求項1または2に記載のオープンショーケース。
【請求項4】
外箱の開口部の上端に、外箱の断熱材と一体をなす合成樹脂製の手摺部材を上向きに突設し、この手摺部材の冷蔵室側の内面に、係合溝を段差部と嵌合溝を設けた請求項1ないし3のいずれかに記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−275274(P2007−275274A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104929(P2006−104929)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】