説明

オープンショーケース

【課題】下降させたナイトカバーの下端を自動的に定位置まで誘導することにより、その係止作業を省略し、省力化が図れるようにしたオープンショーケースを提供する。
【解決手段】ショーケース本体における下側の前上部に形成された冷気吸込口12の上方に、ナイトカバーの下端のウエイトバー15の少なくとも左右2箇所の下面が当接することにより、該ウエイトバー15を冷気吸込口12の前端部上方まで誘導する前下方に傾斜するガイド部材20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗が閉店された夜間等において、冷蔵室の前面をナイトカバーにより覆い得るようにしたオープンショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなナイトカバーを有するオープンショーケースは、例えば特許文献1〜3に記載されているものがある。
【0003】
【特許文献1】特許第459959号公報
【特許文献2】特許第2998406号公報
【特許文献3】特開平6ー11245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1〜3に記載されているオープンショーケースにおいては、いずれも、ショーケース本体の上部側の前端部に設けた巻取式のナイトカバーを下降させて使用状態としたり、不使用時に上昇させたりする際に、ナイトカバーの下端に設けた係止具を、その都度ショーケース本体の下側の前上部に設けた係止部に係止したり、係止部より外したりしなければならないため、オープンショーケースが複数ある場合にその作業が面倒であり、店員への負担が大きくなるという問題がある。
【0005】
また、上記従来のオープンショーケースでは、ナイトカバーの昇降を自動的に行いうる電動式のものの使用には不向きであった。すなわち、電動式のナイトカバーを使用する際には、ナイトカバーの下端が最下限位置まで下降した際に、予め定めた位置までガイドして停止させる手段が必要となるからである。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、下降させたナイトカバーの下端を自動的に定位置まで誘導することにより、その係止作業を省略し、省力化が図れるようにしたオープンショーケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のオープンショーケースは、
ショーケース本体内部の前方に開放された冷蔵室の前面に、上方から下方に向かう冷気のエアーカーテンを形成することで前記冷蔵室を保冷するとともに、このエアーカーテンの前方を、前記ショーケース本体の上側の前端部に設けた巻取式のナイトカバーを下降させて覆い得るようにしたオープンショーケースにおいて、
前記ショーケース本体における下側の前上部に形成された冷気吸込口の上方に、前記ナイトカバーの下端に設けられたウエイトバーの少なくとも左右2箇所の下面が当接することにより、該ウエイトバーを前記冷気吸込口の前端部上方まで誘導する前下方に傾斜するガイド部材を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、ナイトカバーを下降させると、その下端のウエイトバーが、ガイド部材により自動的に冷気吸込口の前端部上方まで誘導されるので、従来のように、係止具をその都度係止部に係止させたり、係止部より外したりする作業が不要となり、オープンショーケースが複数ある場合の省力化が図れ、店員への負担が軽減される。
【0008】
本発明の請求項2に記載のオープンショーケースは、請求項1に記載のオープンショーケースであって、
ガイド部材を、ワイヤにより形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、ウエイトバーとガイド部材との接触抵抗が小さくなるので、ウエイトバーを確実に冷気吸込口の前端部上方まで誘導することができる。
また、ガイド部材の左右寸法が極めて小さいので、顧客が冷蔵室内の商品を取り出す際に、ガイド部材が邪魔になることがない。
【0009】
本発明の請求項3に記載のオープンショーケースは、請求項2に記載のオープンショーケースであって、
ワイヤを、平面視前向コ字状に折曲したことを特徴としている。
この特徴によれば、ウエイトバーの両側を安定的に支持して冷気吸込口の前端部上方まで誘導することができる。
【0010】
本発明の請求項4に記載のオープンショーケースは、請求項1ないし3のいずれかに記載のオープンショーケースであって、
ウエイトバーをガイド部材の前端部で停止させるストッパを設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、ストッパにより、ウエイトバーが前方に移動するのが拘束されるので、ナイトカバーがエアーカーテンの冷気に煽られて前方に揺れ動くのを防止することができる。
【0011】
本発明の請求項5に記載のオープンショーケースは、請求項4に記載のオープンショーケースであって、
ガイド部材の前端を、ショーケース本体の下側の前上部に形成された手摺り部における上端より下方の後面に当接または固定することにより、手摺り部の後面をストッパとしたことを特徴としている。
この特徴によれば、手摺り部の後面をストッパとしているので、別途ストッパ部材を設ける必要がなく、部品点数を削減することができるだけでなく、ストッパが商品の取出しの妨げになることもない。
また、ウエイトバー全体を手摺り部の後面に当接させて、安定的に停止させることができる。
【0012】
本発明の請求項6に記載のオープンショーケースは、請求項5に記載のオープンショーケースであって、
手摺り部の後面に、ウエイトバーの前半部が入り込む、前向きの凹入部を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、ナイトカバーがエアーカーテンの冷気に煽られても、ウエイトバーが上方に浮き上がる恐れが小さくなる。
【0013】
本発明の請求項7に記載のオープンショーケースは、請求項1ないし6のいずれかに記載のオープンショーケースであって、
巻取式のナイトカバーを、自動的に昇降する電動式のものとしたことを特徴としている。
この特徴によれば、ナイトカバーの昇降から、ウエイトバーの冷気吸込口の前端部上方までの誘導を自動的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明のオープンショーケースの中央縦断側面図、図2は、同じく、下側の前上部の拡大断面図である。オープンショーケース1は、前面(図の左方)が開放された側面視ほぼコ字状をなす断熱構造の外箱2と、その内側の、同じく前面が開放されたほぼコ字状の内箱3とからなるショーケース本体4を備え、その内部空間は、前面が開放された冷蔵室5となっている。内箱3の背面板3aには、上下複数段の陳列棚6が取り付けられている。
【0016】
外箱2と内箱3との間には、通風路7が形成され、この通風路7の垂直部と底部には、それぞれ冷却装置8と送風機9が設けられている。ショーケース本体4の上側の前端部には、通風路7と連通する冷気吹出口10、10が下向きに形成されている。ショーケース本体4の下側の前上部における外箱2と内箱3との間には、カバー板11、11が設けられ、これらのカバー板11には、複数の冷気吸込口12が形成されている。
【0017】
送風機9を作動させると、冷却装置8により冷却された冷気は、矢印のように、通風路7内を上方に向かって流れ、冷気吹出口10より、下方の冷気吸込口12に向かって吹き出される。これにより、ショーケース本体4における冷蔵室5の前面に、冷気のエアーカーテン13が形成される。
【0018】
ショーケース本体4の冷気吹出口10よりも前方の上端部には、冷蔵室5の前面開口部の左右幅とほぼ等しい左右寸法の電動式のナイトカバー14が、カバー板11の上方に位置するようにして取り付けられている。なお、ナイトカバー14には、巻取軸をモータにより正逆回転させることにより、カバー材14aを自動的に昇降させる公知のロールスクリーンを用いている。カバー材14aの下端には、左右方向を向くウエイトバー15が取り付けられている。
【0019】
図2及び図3の斜視図に示すように、外箱2の前上端に取り付けられた左右方向を向く手摺り部16の後面板17の左右両側部には、左右1対のガイド体18(左右同一構造に付き、一方のみ図示する)が取り付けられている。ガイド体18は、左右方向を向く垂直な取付板19と、その後面の中央部に前端部の内向折曲部20a、20aが溶接された平面視前向きコ字状のワイヤよりなるガイド部材20とからなり、ガイド部材20は、前下方に傾斜させてある。
【0020】
取付板19の両側部の通孔21、21に挿入した止めねじ22を、後面板17の雌ねじ孔23、23に螺合することにより、ガイド体18は、ガイド部材20の前端が手摺り部16の上端よりも下方に位置するように、かつ前後のカバー板11の上方に位置するようにして、後面板17の後面に取り付けられている。
【0021】
手摺り部16における後面板17の上端には、後ろ下方に傾斜するとともに、下端がガイド部材20の前端の直上に位置するストッパ24が、左右方向に全長に亘って、かつ実質的に手摺り部16と一体をなすように連設されている。
【0022】
店舗が閉店された夜間等において、冷蔵室5の前面をナイトカバー14により覆うには、図示しないリモコン等を操作することにより、ナイトカバー14のモータを作動させ、カバー材14aを下降させると、その下端のウエイトバー15が、図2の2点鎖線で示すように、ガイド部材20の後部寄りの上面に当接する。すると、ウエイトバー15は、ガイド部材20が前下方に傾斜しているので、それに沿って前方に摺動し、図2の実線で示すように、前側のカバー板11の前端まで誘導され、ストッパ24に当接して停止する。
【0023】
これにより、冷蔵室5におけるエアーカーテン13形成部の前方がカバー材14aにより覆われるとともに、ウエイトバー15は冷気吸込口12よりも前側に誘導されるので、冷気吸込口12がナイトカバー14よりも前側に露呈されることがない。なお、カバー材14aの最大下降長さは、例えばモータの回転数を制御したり、ウエイトバー15の停止位置をセンサーにより検知するなどして、適宜に設定される。この際、ウエイトバー15が自由に前方に摺動しうるように、カバー材14aの上下の長さに適度に余裕を持たせた状態で自動的に停止するよう設定するのがよい。
【0024】
このように、電動式のナイトカバー14を作動させて、ウエイトバー15を下降させ、これをガイド部材20により前方に誘導してストッパ24に当接させて停止させるようにすると、冷蔵室5の前面を自動的に覆うことができるので、従来のように、カバー材14aの下端の係止具を、その都度係止部に係止させたり、係止部より外したりする作業が不要となり、省力化が図れる。
【0025】
また、ウエイトバー15は、ストッパ24に当接して前方に移動するのが拘束されているので、カバー材14aがエアーカーテン13の冷気に煽られて前方に揺れ動くのを防止することができる。
【0026】
図4は、ガイド部材の変形例を示すもので、この実施形態のガイド部材25は、一本のワイヤよりなり、前下方に傾斜する傾斜部25aの後端に、上下方向を向く取付部25bを連設したものよりなっている。内箱3における前面板26の側端部の後面に、取付部25bの下端部を溶接することにより、傾斜部25aが前後のカバー板11を跨ぐように、かつ前端が手摺り部16の後面板17の下端部の後面に当接または近接するようにして、取り付けられている。
【0027】
このようなガイド部材25を用いても、ナイトカバー14のウエイトバー15が、傾斜部25aに誘導されて、ストッパ24と当接するまで前方に移動するので、上記と同様、冷蔵室5の前面を自動的に覆うことができる。
【0028】
図5は、手摺り部16の後面のストッパ部の変形例を示すもので、後面板17に、後向きに突出するとともに、下面が前下方に傾斜するストッパ27を設け、ガイド部材25の傾斜部25aに誘導されて前方に移動されてきたウエイトバー15の前半部が、ストッパ27の下方に形成された前方を向く凹入部28に入り込むようにしたものである。このようにすると、カバー材14aがエアーカーテン13の冷気により煽られても、ウエイトバー15が浮き上がる恐れを小さくすることができる。なお、このような形状のストッパ27を、図1〜図3に示す実施形態にも用いてもよいことは勿論である。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更加があっても本発明に含まれる。
【0030】
例えば、上記実施形態においては、ガイド部材18、25をワイヤよりなるものとしたが、例えば摩擦抵抗の小さな合成樹脂製の板材等により形成してもよい。
【0031】
また、複数の冷気吸込口12が形成されているカバー板11の上面を前下方に傾斜させることで、該カバー板11自体をガイド部材としてもよい。
【0032】
上記実施形態では、手摺り部16の後面板17にストッパ24を設けたが、手摺り部16の後面自体をストッパとしてもよく、また、ガイド部材18、25の前端部を起立させるなどして、それらにストッパを一体的に形成してもよい。
【0033】
電動式のナイトカバー14の代わりに、引出し長さを自由に手動で調整でき、かつ任意の長さで巻取りをロックしうるようにした巻取式のナイトカバーを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のオープンショーケースの中央縦断側面図である。
【図2】同じく、オープンショーケースの下側の前上部の拡大断面図である。
【図3】同じく、下側の前上部の拡大斜視図である。
【図4】ガイド部材の変形例を示す拡大断面図である。
【図5】ストッパの変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 オープンショーケース
4 ショーケース本体
5 冷蔵室
6 陳列棚
10 冷気吹出口
12 冷気吸込口
13 エアーカーテン
14 ナイトカバー
14aカバー材
15 ウエイトバー
16 手摺り部
18 ガイド体
19 取付板
20 ガイド部材
20a内向折曲部
24 ストッパ
25 ガイド部材
25a傾斜部
27 ストッパ
28 凹入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケース本体内部の前方に開放された冷蔵室の前面に、上方から下方に向かう冷気のエアーカーテンを形成することで前記冷蔵室を保冷するとともに、このエアーカーテンの前方を、前記ショーケース本体の上側の前端部に設けた巻取式のナイトカバーを下降させて覆い得るようにしたオープンショーケースにおいて、
前記ショーケース本体における下側の前上部に形成された冷気吸込口の上方に、前記ナイトカバーの下端に設けられたウエイトバーの少なくとも左右2箇所の下面が当接することにより、該ウエイトバーを前記冷気吸込口の前端部上方まで誘導する前下方に傾斜するガイド部材を設けたことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
ガイド部材を、ワイヤにより形成したことを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項3】
ワイヤを、平面視前向コ字状に折曲したことを特徴とする請求項2に記載のオープンショーケース。
【請求項4】
ウエイトバーをガイド部材の前端部で停止させるストッパを設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のオープンショーケース。
【請求項5】
ガイド部材の前端を、ショーケース本体の下側の前上部に形成された手摺り部における上端より下方の後面に当接または固定することにより、手摺り部の後面をストッパとしたことを特徴とする請求項4に記載のオープンショーケース。
【請求項6】
手摺り部の後面に、ウエイトバーの前半部が入り込む、前向きの凹入部を設けたことを特徴とする請求項5に記載のオープンショーケース。
【請求項7】
巻取式のナイトカバーを、自動的に昇降する電動式のものとしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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