説明

カ―ドケ―ス

【解決手段】表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺を溶着用の型により溶着する際、溶着用の型に形成されている突起で、上側に位置するはさみ板1aからその下側に位置するはさみ板1bにまで食い込むように押圧する。すなわち、二枚重ねのはさみ板1a,1bの本来の溶着面よりも深いところにまで食い込むように押圧する。それによって、方形状はさみ板1a,1bの周辺部における溶着部2に、ピンポイント溶着部4を形成する。このピンポイント溶着部4を少なくともカード挿入口3付近の対向位置に形成する。
【効果】ピンポイント溶着部4が形成されている部分の溶着力が増し、溶着部2の強度がそれだけ増大する。カード挿入口3付近の対向位置にピンポイント溶着部4が形成されていると、最も損傷しやすいその付近の溶着部の損傷を少なくすることができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、紙片、シートその他のカード類を表裏二枚のはさみ板の間に差し込むことができるカードケース、さらに詳しくは、表裏二枚の方形状はさみ板の4つの周辺部のうち連続する三辺を溶着したカードケースの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のカードケースとして大小様々なものが製造され、販売されているが、いずれのものも表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺が接着されている。
近年、その材質をペット樹脂(ポリエチレンテレフタレート)としたものが開発されている。環境問題がやかましく言われる中で、焼却時有害物質(ダイオキシン)がほとんど発生しないと言う利点があるからである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ペット樹脂製とした場合には、表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺は溶着という手段で接着することになる。
ペット樹脂製のものに限らず、種々の材質からなるカードケース1の周辺部を溶着するに当っては、二枚のはさみ板1a,1bの面同士を所定の幅にわたって溶着させる。従って、その部分が充分に接着されていない場合も有り得る。充分に接着されていないと、いずれその部分からはがれて来る。
本考案は、この溶着部2の強度を高めることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案では、表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺を溶着したその溶着部2に、少なくとも相手側のはさみ板にまで食い込むようなピンポイント溶着部4を形成する。
このピンポイント溶着部4とは、表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺を溶着用の型で押圧したとき、重ね合わされた二枚のはさみ板1a,1bのうち少なくとも相手側のはさみ板にまで食い込むような窪み(ピンポイント)が形成されるような溶着状態のものを言う。
【0005】
図2を例に挙げて、このピンポイント溶着部4をさらに詳しく説明すると、重ね合わされた表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bを溶着したとき、表裏二枚のはさみ板1a,1bのうち少なくとも相手側のはさみ板、例えば、上側に位置するはさみ板1aからその下側に位置するはさみ板1bにまで食い込むような窪みが部分的に形成される溶着状態のものである。すなわち、二枚重ねのはさみ板1a,1bの本来の溶着面は、二枚重ねのはさみ板1a,1bが互いに接合するところであるが、この溶着面2aよりも深いところにまで食い込むように溶着させたものと言うことができる。
このように、表裏二枚のはさみ板1a,1bの周辺部分における溶着部2に、特殊な溶着状態のピンポイント溶着部4が形成されていると、その部分の溶着力が増し、溶着部2の強度がそれだけ増大する。
【0006】
ピンポイント溶着部4は少なくともカード挿入口3付近に形成されていることが望ましい。
カード挿入口3付近にピンポイント溶着部4が形成されていると、最も損傷しやすいこの部分の損傷を少なくすることができる。
【0007】
【考案の実施の形態】
本考案のカードケースの最も好ましい実施の形態を、図面に基いて詳細に説明する。
カードケース1は、通常、表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺が溶着され、溶着されていない部分をカード挿入口3としたものである。
このカードケース1の溶着部2に、少なくとも相手側のはさみ板にまで食い込むようなピンポイント溶着部4を形成する。例えば、重ね合わされた表裏二枚のはさみ板1a,1bを溶着用の型を用いて上側から溶着する場合には、図2に示すように、上側に位置するはさみ板1aからその下側に位置するはさみ板1bにまで食い込むような窪みが部分的に形成されるように溶着すると、前記溶着部2にピンポイント溶着部4を形成することができる。
【0008】
このピンポイント溶着部4は、表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺を溶着用の型により溶着する際、溶着用の型に形成されている突起で、例えば、図2に示すように、上側に位置するはさみ板1aからその下側に位置するはさみ板1bにまで食い込むように、すなわち、二枚重ねのはさみ板1a,1bの本来の溶着面2aよりも深いところにまで食い込むように押圧することにより形成することができる。
【0009】
このピンポイント溶着部4は、前記溶着部2のうち少なくともカード挿入口3付近の対向位置と方形状はさみ板1a,1bの二辺が交わる部分、換言すると、方形状はさみ板1a,1bの4つのコーナー部分に形成するのが好ましい。特に、カード挿入口3付近の対向位置にピンポイント溶着部4が形成されていると、最も損傷しやすいこの部分の損傷を少なくすることができる。
【0010】
なお、ここに例示するカードケース1にあっては、図1において図面符号5で示すように、表側のはさみ板1aのうちカード挿入口3に相当する部分を多少切り欠くとともに、その中央部分に手指をあてがうための切欠6が形成されている。
このような切欠5、6を形成しておくと、カードを出し入れしやすい。
【0011】
【考案の効果】
請求項1記載の考案によれば、ピンポイント溶着部4が形成されている部分の溶着力が増し、溶着部2の強度がそれだけ増大するという効果がある。
【0012】
請求項2記載の考案によれば、最も損傷しやすいカード挿入口3付近の溶着部の損傷を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案によるカードケースの一例を示す斜視図である。
【図2】ピンポイント溶着部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1…カードケース、1a,1b…はさみ板、2…溶着部、2a…溶着面、3…カード挿入口、4…ピンポイント溶着部。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】表裏二枚の方形状はさみ板1a,1bの4つの周辺部のうち連続する三辺を溶着したカードケースにおいて、前記溶着部2に少なくとも相手側のはさみ板にまで食い込むようなピンポイント溶着部4を形成したことを特徴とするカードケース。
【請求項2】ピンポイント溶着部4を少なくともカード挿入口3付近に形成したことを特徴とする請求項1記載のカードケース。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3060630号
【登録日】平成11年(1999)6月16日
【発行日】平成11年(1999)9月7日
【考案の名称】カ―ドケ―ス
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平10−10658
【出願日】平成10年(1998)12月28日
【出願人】(000104799)クツワ工業株式会社 (2)