説明

カセッテホルダー

【課題】着可能なカセッテの種類が多くなったとしても、装置を小型化することができ、カセッテ装着の有無等を検出することができるカセッテホルダーを提供する。
【解決手段】カセッテホルダーは、カセッテの装着台と、カセッテの挿入方向と直交する方向に延在するように、装着台の上に配置され、カセッテの装着時に、カセッテの挿入方向の先端面が当接される当接面を有するメインガイドと、メインガイドの延在方向に沿って当接面に並べて配置され、それぞれがカセッテの挿入方向に延在し、カセッテの排出方向に付勢され、カセッテの挿入方向の先端面によって押されていない時に、メインガイドの当接面よりもカセッテの排出方向に向かって突出し、カセッテの挿入方向の先端面によって押されている時に、カセッテの挿入方向に移動される複数のサブガイドと、カセッテの装着時に、複数のサブガイドのうち、少なくとも1つのサブガイドがカセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたことを検出する検出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像撮影用のカセッテの位置決めを行うカセッテホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カセッテは、X線撮影フィルム、IP(イメージングプレート)、X線検出器(FPD:フラットパネルディテクタ)等のX線撮影手段を収納したものであり、被検体を透過したX線を受光して、被検体のX線画像を撮影するために使用される。
【0003】
カセッテホルダーは、例えば、カセッテを用いて被検者のX線画像を撮影するX線画像撮影装置や、被検者のX線画像が撮影されたカセッテからX線画像を読み出すX線画像読取装置等において、カセッテを装着し、所定の位置に位置決めするためのものである。カセッテホルダーには、通常、カセッテサイズの異なる複数種類のカセッテを装着することが可能である。
【0004】
図7に示すように、従来のカセッテホルダーは、カセッテを載置するための装着台(図示省略)と、カセッテを当接して位置決めするためのガイドとによって構成されている。従来のカセッテホルダーでは、カセッテを当接するガイドの当接面が階段状に形成されている。カセッテの装着時には、装着台の上で、カセッテを、階段状に形成されたガイドの当接面に当接することによって、カセッテの位置決めが行われる。
【0005】
ここで、特許文献2の0006段落に記載があるように、カセッテには所定規格に従う複数のサイズのものが存在する。そのため、このような従来のカセッテホルダーでは、装着可能なカセッテの種類が多くなるほど、階段状に形成されたガイドの段数が多くなり、装置が大型化するし、カセッテ装着の有無やカセッテサイズを検出する手段がないという問題点があった。
【0006】
また、従来のカセッテホルダーでは、載置台の上で、カセッテを中心に位置決めするために、ガイドに中心が分かる目印を付け、目視で位置合わせをしている。しかし、この手法では、カセッテの装着者によって中心位置がずれるという問題点があった。また、カセッテが中心からずれて装着された場合であっても、そのまま気がつかずに撮影が行われるため、再撮影が必要になるリスクが高いという問題点があった。
【0007】
上記のように、ガイドを用いてカセッテの位置決めを行う先行技術文献として、例えば、特許文献1〜3等がある。しかしながら、本発明に直接的に関連性のある先行技術文献は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−288052号公報
【特許文献2】特開2004−208749号公報
【特許文献3】特開2004−290325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、装着可能なカセッテの種類が多くなったとしても、装置を小型化することができ、カセッテ装着の有無、カセッテサイズ、カセッテの位置決めの良否等を検出することができるカセッテホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、カセッテの装着台と、
前記カセッテの挿入方向と直交する方向に延在するように、前記装着台の上に配置され、前記カセッテの装着時に、該カセッテの挿入方向の先端面が当接される当接面を有するメインガイドと、
前記メインガイドの延在方向に沿って当接面に並べて配置され、それぞれが前記カセッテの挿入方向に延在し、該カセッテの排出方向に付勢され、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されていない時に、前記メインガイドの当接面よりも前記カセッテの排出方向に向かって突出し、該カセッテの挿入方向の先端面によって押されている時に、該カセッテの挿入方向に移動される複数のサブガイドと、
前記カセッテの装着時に、前記複数のサブガイドのうち、少なくとも1つのサブガイドが前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたことを検出する検出部とを備えることを特徴とするカセッテホルダーを提供するものである。
【0011】
ここで、前記検出部は、前記複数のサブガイドのうち、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドを検出することによって、前記少なくとも1つのサブガイドが移動されたことを検出するものであることが好ましい。
【0012】
また、前記複数のサブガイドは、前記カセッテの挿入方向の先端面で押されて該カセッテの挿入方向に移動すると、前記メインガイドの当接面の裏面側から突出する突出部を備え、
前記検出部は、前記メインガイドの当接面の裏面側から突出する突出部を検出することによって、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドを検出するものであることが好ましい。
【0013】
また、前記検出部は、反射型フォトセンサであり、前記突出部は、該反射型フォトセンサの発光部から発せられた光を受光部に反射する反射板であることが好ましい。
【0014】
また、前記検出部は、透過型フォトセンサであり、前記突出部は、該透過型フォトセンサの発光部から発せられ、受光部で受光される光を遮光する遮光板であることが好ましい。
【0015】
また、前記検出部は、前記突出部が前記カセッテの挿入方向に移動すると作動するマイクロスイッチであることが好ましい。
【0016】
また、前記検出部は、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの位置に応じて、該カセッテのサイズを検出するものであることが好ましい。
【0017】
また、前記検出部は、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの位置に応じて、該カセッテが前記メインガイドの延在方向の中央位置に装着されたか否かを検出するものであることが好ましい。
【0018】
また、前記検出部は、前記カセッテがDRカセッテの場合、あらかじめ入力されている該DRカセッテのカセッテサイズと、該DRカセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの位置に応じて検出した該DRカセッテのカセッテサイズとを比較することによって、該DRカセッテの装着状態が縦置きなのか横置きなのかを検出するものであることが好ましい。
【0019】
また、前記検出部は、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの有無に応じて、該カセッテが装着されているか否かを検出するものであることが好ましい。
【0020】
また、前記メインガイドの当接面は、該メインガイドの延在方向の中央位置を中心として、前記カセッテの排出方向に向かって順次上昇する左右対称の階段状に構成されていることが好ましい。
【0021】
また、前記複数のサブガイドは、前記メインガイドの延在方向の幅がそれぞれ異なるものであり、該メインガイドの延在方向の中央位置を中心として左右対称に配置されていることが好ましい。
【0022】
また、前記複数のサブガイドの、前記メインガイドの延在方向の幅は、装着される複数種類のカセッテの、前記メインガイドの延在方向の両側の面の位置に応じて決定されていることが好ましい。
【0023】
また、前記検出部は、前記複数のサブガイドのうち、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されず移動されなかったサブガイドを検出することによって、前記少なくとも1つのサブガイドが移動されたことを検出するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、カセッテの装着時に、移動されたサブガイドの有無を検出部で検出することによって、カセッテ装着の有無を検出することができ、移動されたサブガイドの位置を検出部で検出することによって、カセッテサイズ、カセッテ位置決めの良否等を検出することができる。また、本発明によれば、装着可能なカセッテの種類が多くなったとしても、メインガイドの、カセッテの挿入方向の大きさが変わらないため、装置構成を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のカセッテホルダーの構成を表す第1の実施形態の上面図である。
【図2】図1に枠線Aで囲んで示す領域の拡大図である。
【図3】(A)および(B)は、検出部の第1の具体例を表す概念図である。
【図4】(A)および(B)は、検出部の第2の具体例を表す概念図である。
【図5】(A)および(B)は、検出部の第3の具体例を表す概念図である。
【図6】(A)および(B)は、カセッテをカセッテホルダーに装着して位置決めした状態を表す斜視図である。
【図7】従来のカセッテホルダーと第1の実施形態のカセッテホルダーとの違いを表す概略図である。
【図8】(A)および(B)は、本発明のカセッテホルダーの構成を表す第2の実施形態の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のカセッテホルダーを詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明のカセッテホルダーの構成を表す第1の実施形態の上面図、図2は、図1に枠線Aで囲んで示す領域の拡大図である。同図に示すカセッテホルダー10は、X線画像撮影装置やX線画像読取装置等において、カセッテサイズの異なる複数種類のカセッテを装着して所定の位置に位置決めするためのものである。カセッテホルダー10は、カセッテの装着台12と、メインガイド14と、複数のサブガイド16と、検出部と、移動ガイド20とによって構成されている。
【0028】
メインガイド14は、カセッテ22の装着時に、カセッテの挿入方向の先端面が当接される当接面14aを有し、カセッテの挿入方向と直交する方向に延在するように、装着台12の上に配置されている。メインガイド14の当接面14aは、サブガイド16が配置される、メインガイド14の延在方向両側の領域が凹形状とされ、メインガイド14の延在方向の中央位置を中心とする凸形状に形成されている。また、メインガイド14の延在方向の中央位置には目印が付けられている。
【0029】
各々のサブガイド16は、図2に示すように、カセッテの挿入方向に延在し、メインガイド14の内部に形成された貫通穴24の内部を通過するように配設されている。サブガイド16は、カセッテの挿入方向の先端面が当接される当接部16aをカセッテの排出方向の端部に有し、サブガイド16が、カセッテの挿入方向に移動されることによってメインガイド14の当接面の裏面14b側から突出する突出部16bをカセッテの挿入方向の端部に有する。サブガイド16は、カセッテの排出方向にバネ26の力で付勢されている。また、サブガイド16は、カセッテの挿入方向の先端面によって当接部16aが押されていない時に、当接部16aが、メインガイド14の当接面14aよりもカセッテの排出方向に向かって突出し、カセッテの挿入方向の先端面によって押されている時に、カセッテの挿入方向に移動される。
【0030】
また、複数のサブガイド16は、メインガイド14の延在方向に沿って当接面(前述の凹形状の領域)14aに並べて配置されている。サブガイド16は、メインガイド14の延在方向の幅がそれぞれ異なっており、メインガイド14の延在方向の中央位置を中心として左右対称となるように配置されている。サブガイド16の、メインガイド14の延在方向の幅は、装着される複数種類のカセッテの、メインガイド14の延在方向の両側の面の位置に応じて決定されている。つまり、サブガイド16の、メインガイド14の延在方向の面の位置は、装着される各々のカセッテの、メインガイドの延在方向の面の位置と一致するように設定されている。
【0031】
検出部は、カセッテの装着時に、複数のサブガイド16のうち、少なくとも1つのカセッテ16がカセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたことを検出する。本実施形態の場合、検出部は、複数のサブガイド16のうち、カセッテの挿入方向の先端面によって押されてカセッテの挿入方向に移動されたサブガイド16、つまり、装着されたカセッテ22のサイズに対応するサブガイド16を検出することによって、少なくとも1つのカセッテ16が移動されたことを検出する(図1、2では図示省略、図3〜5参照)。本実施形態の場合、検出部は、メインガイド14の裏面14b側から突出するサブガイド16の突出部16bを検出することによって、カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイド16を検出する。これに対し、検出部は、複数のサブガイド16のうち、カセッテの挿入方向の先端面によって押されず移動されなかったサブガイド16を検出することによって、カセッテ16が移動されたことを検出するようにしてもよい。
【0032】
移動ガイド20は、カセッテ22の装着時に、カセッテの排出方向の先端面が当接する当接面20aを有し、メインガイド14から所定の間隔を空けて、メインガイド14の延在方向に対して平行に延在するように、装着台12の上に配置されている。移動ガイド20は、カセッテの挿入方向に沿って装着台12の上に形成された移動溝28に沿って移動可能であり、カセッテの挿入方向にバネの力で付勢されている。
【0033】
次に、検出部について具体例を挙げて説明する。
【0034】
図3(A)および(B)は、検出部の第1の具体例を表す概念図である。同図は、カセッテホルダー10を、メインガイド14の延在方向に見た状態を表したものであり、同図(A)は、カセッテ22の装着前、同図(B)は、カセッテ22の装着後の状態である。同図に示す検出部は、反射型フォトセンサ18aであり、装着台12の裏面側に配置されている。また、サブガイド16の突出部16bには、反射型フォトセンサ18aの発光部から発せられた光を反射する反射板30が設けられている。反射型フォトセンサ18aの直上の装着台12の領域には、発光部から発せられる光の貫通穴が形成されている。
【0035】
同図(A)に示すように、カセッテ22の装着前の状態では、サブガイド16が、カセッテの排出方向にバネで付勢され、反射型フォトセンサ18aの上部には反射板30が存在しない。この状態では、反射型フォトセンサ18aの発光部から発せられた光が、反射板30によって反射されて受光部に戻ってくることはない。これにより、このサブガイド16は、カセッテ22で押されて移動していないと判断することができる。
【0036】
一方、同図(B)に示すように、カセッテ22の装着後の状態では、サブガイド16が、カセッテの挿入方向に押されて移動され、反射型フォトセンサ18aの直上に反射板30が存在する。この状態では、反射型フォトセンサ18aの発光部から発せられた光が、装着台12の貫通穴を通過して反射板30に到達し、そこで反射されて受光部に戻ってくる。これにより、このサブガイド16は、カセッテ22で押されて移動していると判断することができる。
【0037】
図4(A)および(B)は、検出部の第2の具体例を表す概念図である。同図は、カセッテホルダー10を、メインガイド14の延在方向に見た状態を表したものであり、同図(A)は、カセッテ22の装着前、同図(B)は、カセッテ22の装着後の状態である。同図に示す検出部は、透過型フォトセンサ18bであり、装着台12の裏面側に配置されている。また、サブガイド16の突出部16bには、透過型フォトセンサ18bから発せられる光を遮光する遮光板32が設けられている。透過型フォトセンサ18bの発光部と受光部は、図4中紙面に垂直な方向に並んで配置されている。遮光板32は、装着台12に形成された移動溝を通過して、装着台12の裏面側まで延在し、移動溝に沿って図4中左右方向に移動する。
【0038】
同図(A)に示すように、カセッテ22の装着前の状態では、サブガイド16が、カセッテの排出方向にバネで付勢され、透過型フォトセンサ18bの上部(発光部と受光部との間)には遮光板32が存在しない。この状態では、透過型フォトセンサ18bの発光部から発せられた光が、遮光板32によって遮光されることなく受光部によって受光される。これにより、このサブガイド16は、カセッテ22で押されて移動していないということが分かる。
【0039】
一方、同図(B)に示すように、カセッテ22の装着後の状態では、サブガイド16が、カセッテの挿入方向に押されて移動され、透過型フォトセンサ18bの上部(発光部と受光部との間)に遮光板32が存在する。この状態では、透過型フォトセンサ18bの発光部から発せられた光が、遮光板32によって遮光されるため、受光部によって受光されることはない。これにより、このサブガイド16は、カセッテ22で押されて移動しているということが分かる。
【0040】
図5(A)および(B)は、検出部の第3の具体例を表す概念図である。同図は、カセッテホルダー10を上部から見た状態を表したものであり、同図(A)は、カセッテ22の装着前、同図(B)は、カセッテ22の装着後の状態である。同図に示す検出部は、マイクロスイッチ18c(同図(A)では図示省略)であり、メインガイド14の裏面側に配置されている。マイクロスイッチ18cは、サブガイド16が移動されていない時には、サブガイド16の突出部16bが接触されずオフとなり、移動されると、サブガイド16の突出部16bが接触されてオンとなる。
【0041】
同図(A)に示すように、カセッテ22の装着前の状態では、サブガイド16が、カセッテの排出方向にバネで付勢され、サブガイド16の突出部16bとマイクロスイッチ18cとは接触しない。この状態では、サブガイド16の突出部16bによってマイクロスイッチ18cが作動することはなく、オフとなる。これにより、このサブガイド16は、カセッテ22で押されて移動していないということが分かる。
【0042】
一方、同図(B)に示すように、カセッテ22の装着後の状態では、サブガイド16が、カセッテの挿入方向に押されて移動され、サブガイド16の突出部16bとマイクロスイッチ18cとが接触する。この状態では、サブガイド16の突出部16bの移動によってマイクロスイッチ18cが作動し、オンとなる。これにより、このサブガイド16は、カセッテ22で押されて移動しているということが分かる。
【0043】
以下、カセッテ22をカセッテホルダー10に装着するときの動作を説明する。
【0044】
カセッテ22をカセッテホルダー10に装着する場合、カセッテ22の装着者の手によって、移動ガイド20がカセッテの排出方向に移動され、カセッテ22が、載置台12の上の、メインガイド14と移動ガイド20との間の領域に配置される。
【0045】
ここで、カセッテの挿入方向の先端面には、メインガイド14の延在方向の中央位置を表す目印が付けられている。また、カセッテホルダー10のメインガイド14の延在方向の中央位置にも目印が付けられている。カセッテ22の装着者は、両者の目印を目視で合わせて、カセッテ22をカセッテホルダー10の、メインガイド14と移動ガイド20との間の領域の所定位置に配置する。
【0046】
カセッテ22の装着者の手が移動ガイド20から離されると、移動ガイド20が、バネの力でカセッテの挿入方向に移動し、これに応じて、カセッテ22が、移動ガイド20の当接面20aによって押されてメインガイド14の当接面14aの方向に移動される。そして、カセッテの挿入方向の先端面によって所定数のサブガイド16の当接部16aが押されてカセッテの挿入方向に移動される。カセッテ22の移動は、その挿入方向の先端面がメインガイド14の当接面14aに当接することによって停止する。
【0047】
図6(A)および(B)は、カセッテをカセッテホルダーに装着して位置決めした状態を表す斜視図である。同図(A)は、矩形状のカセッテ22をメインガイド14に対して縦置きした状態、同図(B)は、同横置きした状態を表している。
【0048】
カセッテの挿入方向の先端面がメインガイド14の当接面14aに当接することによって、カセッテの挿入方向の位置決めが行われる。また、カセッテ22が装着された時、そのカセッテサイズ(カセッテ22の挿入方向の先端面のサイズ)に対応するサブガイド16が移動するが、移動しない最も中央寄りのサブガイド16の、メインガイド14の延在方向の内側の面によって、カセッテ22の、メインガイド14の延在方向の位置決めが行われる。
【0049】
カセッテ22がその挿入方向に移動すると、複数のサブガイド16のうち、カセッテの挿入方向の先端面が当接部16aに当接する所定数のサブガイド16が、カセッテの挿入方向の先端面によって押されてカセッテの挿入方向に移動される。これにより、カセッテの挿入方向の先端面によって押されてカセッテの挿入方向に移動されたサブガイド16の突出部16bが、メインガイド14の裏面14b側から突出する。
【0050】
検出部は、メインガイド14の裏面14b側から突出するサブガイド16の突出部16bを検出することによって、カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイド16を検出する。
【0051】
検出部は、カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイド16の有無に応じて、カセッテ22が装着されているか否かを検出することができる。カセッテ22が装着されると、複数のサブガイド16のうち、カセッテサイズに対応するサブガイド16が移動する。従って、検出器18は、移動されたサブガイド16があれば、カセッテ22が装着されていると判断することができる。
【0052】
また、検出部は、カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイド16の位置(メインガイド14の延在方向の位置)に応じて、カセッテサイズを検出することができる。カセッテ22が装着されると、複数のサブガイド16のうち、メインガイド14の延在方向の中央位置を中心として、左右両側で同じ位置のサブガイド16が移動される。そのため、検出器18は、移動されたサブガイド16の位置が分かれば、装着されたカセッテ22のサイズを検出することができる。
【0053】
また、カセッテサイズを検出することによって、X線画像撮影装置やX線画像読取装置等のシステムにカセッテサイズの情報を入力する手間を省くことができるため、操作性の向上、ヒューマンエラーの防止等の効果を得ることもできる。
【0054】
また、検出部は、カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイド16の位置に応じて、カセッテ22がメインガイド14の延在方向の中央位置に正しく装着されているか否かを検出することができる。つまり、検出器18は、検出したサブガイド16の位置が、メインガイド14の延在方向の中央位置を中心として、左右対称の位置にある場合に、カセッテ22がメインガイド14の延在方向の中央位置に正しく装着されていると判断することができる。
【0055】
カセッテがDR(デジタルラジオグラフィ)カセッテの場合、そのカセッテサイズはあらかじめシステム等に入力されている。検出部は、あらかじめ入力されているDRカセッテのカセッテサイズと、前述のように、DRカセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイド16の位置に応じて検出したDRカセッテのカセッテサイズとを比較することによって、DRカセッテの装着状態が縦置きなのか横置きなのかを検出することができる。
【0056】
図7に示すように、従来の階段状のメインガイドを有するカセッテホルダーでは、装着可能なカセッテの種類が多くなるに従って、メインガイドの延在方向の長さが長くなり、カセッテの挿入方向(移動方向)の長さも大きくなり、装置構成が大型化する。これに対し、カセッテホルダー10では、装着可能なカセッテ22の種類が多くなったとしても、メインガイド14の、カセッテの挿入方向の大きさは変わらないため、装置構成を小型化できるというメリットがある。
【0057】
次に、本発明のカセッテホルダーについて別の実施形態を挙げて説明する。
【0058】
図8(A)および(B)は、本発明のカセッテホルダーの構成を表す第2の実施形態の概念図である。同図に示すカセッテホルダーは、図1に示す第1の実施形態のカセッテホルダー10において、メインガイド14の当接面が、階段状に形成されているものである。同図(A)は、カセッテの装着前の状態、同図(B)は、カセッテの装着後の状態である。メインガイド以外の図示を省略しているが、第2の実施形態のカセッテホルダーも、同様に、装着台と、メインガイド44と、サブガイド46と、検出器と、移動ガイドとを有するものである。
【0059】
メインガイド44の当接面44aは、その延在方向の中央位置を中心として、カセッテの排出方向に向かうに従って順次上昇する左右対称の階段状に形成されている。
【0060】
また、サブガイド16は、メインガイド14の当接面14aに形成されている階段の高さに応じて、カセッテの挿入方向の長さがそれぞれ異なっている。
【0061】
カセッテ22の装着時には、装着台の上で、カセッテ22を、階段状に形成されたメインガイド44の当接面44aに当接することによって、カセッテ22の位置決めが行われる。カセッテ22が装着されると、カセッテ22のサイズに対応するサブガイド16が、カセッテの挿入方向の先端面によって押されてカセッテの挿入方向に移動され、メインガイド44の裏面側44bから、移動されたサブガイド46の突出部46bが突出する。これ以後の動作は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0062】
第2の実施形態のカセッテホルダーは、第1の実施形態の場合と同様の効果を得ることができるが、従来の階段状のガイドの場合と同様に、装着可能なカセッテ22の種類が多くなるに従って、カセッテの挿入方向(移動方向)の長さが大きくなり、装置構成が大きくなる。従って、装置サイズが気にならない場合に利用することが望ましい。第2の実施形態の場合には、従来と同様の階段状のメインガイドであるため、従来と同様の使用感が得られるというメリットがある。
【0063】
なお、メインガイドおよびサブガイドの具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、同様の機能を果たすことができる各種の構成のものを採用することができる。
【0064】
また、検出部により、メインガイドの当接面の裏面側から突出するサブガイドを検出し、その検出結果を、X線画像撮影装置やX線画像読出装置等に送信し、これらの装置でその後の処理を行うようにしてもよい。つまり、これらの装置において、カセッテが中心位置に装着されたか否か、中心位置に装着されていない場合のアラームの発生、カセッテサイズの検出、カセッテの装置内への装着の有無等の検出処理を行ってもよい。
【0065】
また、移動ガイドは必須の構成要素ではない。移動ガイドを設けず、カセッテの装着者が、カセッテを、その挿入方向に移動するようにしてもよい。
【0066】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0067】
10 カセッテホルダー
12 装着台
14、44 メインガイド
14a 当接面
16、46 サブガイド
16a 当接部
16b 突出部
18a、18b、18c 検出部
20 移動ガイド
20a 当接面
22 カセッテ
24 貫通穴
26 バネ
28 移動溝
30 反射板
32 遮光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセッテの装着台と、
前記カセッテの挿入方向と直交する方向に延在するように、前記装着台の上に配置され、前記カセッテの装着時に、該カセッテの挿入方向の先端面が当接される当接面を有するメインガイドと、
前記メインガイドの延在方向に沿って当接面に並べて配置され、それぞれが前記カセッテの挿入方向に延在し、該カセッテの排出方向に付勢され、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されていない時に、前記メインガイドの当接面よりも前記カセッテの排出方向に向かって突出し、該カセッテの挿入方向の先端面によって押されている時に、該カセッテの挿入方向に移動される複数のサブガイドと、
前記カセッテの装着時に、前記複数のサブガイドのうち、少なくとも1つのサブガイドが前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたことを検出する検出部とを備えることを特徴とするカセッテホルダー。
【請求項2】
前記検出部は、前記複数のサブガイドのうち、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドを検出することによって、前記少なくとも1つのサブガイドが移動されたことを検出するものである請求項1に記載のカセッテホルダー。
【請求項3】
前記複数のサブガイドは、前記カセッテの挿入方向の先端面で押されて該カセッテの挿入方向に移動すると、前記メインガイドの当接面の裏面側から突出する突出部を備え、
前記検出部は、前記メインガイドの当接面の裏面側から突出する突出部を検出することによって、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドを検出するものである請求項2に記載のカセッテホルダー。
【請求項4】
前記検出部は、反射型フォトセンサであり、前記突出部は、該反射型フォトセンサの発光部から発せられた光を受光部に反射する反射板である請求項3に記載のカセッテホルダー。
【請求項5】
前記検出部は、透過型フォトセンサであり、前記突出部は、該透過型フォトセンサの発光部から発せられ、受光部で受光される光を遮光する遮光板である請求項3に記載のカセッテホルダー。
【請求項6】
前記検出部は、前記突出部が前記カセッテの挿入方向に移動すると作動するマイクロスイッチである請求項3に記載のカセッテホルダー。
【請求項7】
前記検出部は、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの位置に応じて、該カセッテのサイズを検出するものである請求項2〜6のいずれかに記載のカセッテホルダー。
【請求項8】
前記検出部は、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの位置に応じて、該カセッテが前記メインガイドの延在方向の中央位置に装着されたか否かを検出するものである請求項2〜7のいずれかに記載のカセッテホルダー。
【請求項9】
前記検出部は、前記カセッテがDRカセッテの場合、あらかじめ入力されている該DRカセッテのカセッテサイズと、該DRカセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの位置に応じて検出した該DRカセッテのカセッテサイズとを比較することによって、該DRカセッテの装着状態が縦置きなのか横置きなのかを検出するものである請求項2〜8のいずれかに記載のカセッテホルダー。
【請求項10】
前記検出部は、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されて移動されたサブガイドの有無に応じて、該カセッテが装着されているか否かを検出するものである請求項1〜9のいずれかに記載のカセッテホルダー。
【請求項11】
前記メインガイドの当接面は、該メインガイドの延在方向の中央位置を中心として、前記カセッテの排出方向に向かって順次上昇する左右対称の階段状に構成されている請求項1〜10のいずれかに記載のカセッテホルダー。
【請求項12】
前記複数のサブガイドは、前記メインガイドの延在方向の幅がそれぞれ異なるものであり、該メインガイドの延在方向の中央位置を中心として左右対称に配置されている請求項1〜11のいずれかに記載のカセッテホルダー。
【請求項13】
前記複数のサブガイドの、前記メインガイドの延在方向の幅は、装着される複数種類のカセッテの、前記メインガイドの延在方向の両側の面の位置に応じて決定されている請求項12に記載のカセッテホルダー。
【請求項14】
前記検出部は、前記複数のサブガイドのうち、前記カセッテの挿入方向の先端面によって押されず移動されなかったサブガイドを検出することによって、前記少なくとも1つのサブガイドが移動されたことを検出するものである請求項1に記載のカセッテホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53151(P2012−53151A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193876(P2010−193876)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】