説明

カットアウト機能付き変圧器用ブッシング及びカットアウトヒューズ内蔵形変圧器

【課題】ヒューズが溶断した状態にある間にブッシング内の各部が水で濡れた状態となる確率を低くして安全性を高めたカットアウト機能付き変圧器用ブッシングを提供する。
【解決手段】先端を斜め下方に向けた状態で変圧器タンクに取り付けられる套管201内にリード側コンタクト202と、変圧器側コンタクト203と、消弧筒205A及び205Bとを設け、套管201の内側にカットアウトヒューズ204を挿入してその電極207及び208をコンタクト202及び203にそれぞれ接触させる構造のカットアウト機能付き変圧器用ブッシングにおいて、套管201内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路233を套管の軸線方向の全長に亘って設け、排水通路233に沿って流下した水を外部に排出させる排水口234を套管201の先端部に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットアウト機能付きの変圧器用ブッシング及び該変圧器用ブッシングを変圧器タンクに取り付けてなるカットアウトヒューズ内蔵形変圧器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電系統において、装柱される機器の構成を簡素にして周囲環境との調和を図るため、特許文献1及び特許文献2に示されているように、変圧器タンクの側壁にブッシングを取り付けて、ブッシング内にカットアウトヒューズを抜き差し自在に収容したカットアウトヒューズ内蔵形の柱上変圧器が開発されている。
【0003】
特許文献1に示された変圧器は、図10に示したように、変圧器タンク1′と、変圧器タンク1′内に収容された図示しない変圧器本体と、変圧器タンク1′に取り付けられたカットアウト機能付き変圧器用ブッシング2′とにより構成される。カットアウト機能付き変圧器用ブッシング2′は、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンク1′に取り付けられた套管201′と、套管201′の先端部の内側に収容された雌形のリード側コンタクト202′と、套管201′の後端部の内側に収容された雌形の変圧器側コンタクト203′と、套管201′の先端に設けられた開口部から該套管内に抜き差し可能な状態で挿入されたカットアウトヒューズ204′と、套管201′の内側に配置された消弧筒205′とにより構成される。
【0004】
カットアウトヒューズ204′は、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器206′と該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて前記可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極207′及び変圧器側電極208′と、ヒューズ容器206′の後端に一端が接続された消孤棒209′とヒューズ容器206′の先端側のリード側電極207′に隣接する部分を囲むように取り付けられた消弧管210′とを有していて、リード側電極及び変圧器側電極207′及び208′がそれぞれリード側コンタクト202′及び変圧器側コンタクト203′に接触させられる。消弧筒205′、消弧棒209′及び消弧管210′は、アークにより加熱された際に消弧性のガスを発生する樹脂、例えばジュラコン樹脂により形成されている。
【0005】
リード側コンタクト202′には外部から引き込まれたリード線3′が接続され、変圧器側コンタクト203′には変圧器本体の一次側から引き出された口出線4′が接続される。消弧筒205′は、套管内のリード側コンタクト202′と変圧器側コンタクト203′との間のスペースに配置されて、カットアウトヒューズ204′が套管201′から引き抜かれる際にカットアウトヒューズの消孤棒209′との間及び消弧管210′との間に細隙を形成する。
【0006】
この種の変圧器では、カットアウトヒューズ204′をブッシングの套管201′内に挿入することによりリード側コンタクト202′と変圧器側コンタクト203′との間が接続されて、外部から引き込まれるリード線3′と変圧器本体の一次側との間が電気的に接続される。またカットアウトヒューズ204′を套管201′から引き抜くことにより、套管内のリード側コンタクト202′と変圧器側コンタクト203′との間が開放状態にされる。カットアウトヒューズ204′を套管から引き抜く際には、リード側電極207′及び変圧器側電極208′がそれぞれリード側コンタクト202′及び変圧器側コンタクト203′から離れたときにそれぞれの電極とコンタクトとの間にアークが発生する。リード側電極207′とリード側コンタクト202′との間に生じたアーク及び変圧器側電極208′と変圧器側コンタクト203′との間に生じたアークは、消弧筒205′と消弧管210′との間に形成される細隙及び消弧筒205′と消弧棒209′との間に形成される細隙内に引き込まれて消滅させられる。
【0007】
特許文献2に示された変圧器用ブッシングも上記と同様に構成されている。
【特許文献1】特開2004−192998号公報
【特許文献2】特開2001−93741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び特許文献2に示されたカットアウト機能付き変圧器用ブッシングを屋外で使用する場合、緊急時には、雨天であってもヒューズの交換作業を行なうことが必要とされる。雨中でヒューズの交換作業を行なった場合には、套管の先端の開口部から水が侵入したり、カットアウトヒューズを套管内に挿入した際にその外面に付着した水滴がブッシング内に入り込むおそれがある。このようにしてブッシング内に水が入ると、通電による発熱や太陽熱の照射により套管内の温度が上昇したときに水分が蒸発し、その後夜間に套管内の温度が低下すると水蒸気が結露する。ブッシング内で結露が生じると、ヒューズ容器の外周面や消弧筒の内周面及び外周面が濡れてブッシング内の絶縁耐力が低下するため、たまたまブッシング内で結露が生じている状態でヒューズが溶断すると、変圧器側コンタクトとリード側コンタクトとの間に高電圧が印加されて、ヒューズ容器の外周面と、消弧筒の内周面及び外周面とに漏れ電流が流れ、これらの漏れ電流により生じる発熱によりヒューズ容器及び消弧筒が炭化して劣化するという問題があった。ヒューズ容器及び消弧筒が炭化して劣化すると、変圧器側コンタクトとリード側コンタクトとの間の絶縁耐力が著しく低下するため、両コンタクト間で閃絡が生じ、事故につながるおそれがある。
【0009】
ブッシング内に侵入した水を早期に外部に排出することができれば上記のような問題が生じることを回避することができるが、従来のカットアウト機能付き変圧器用ブッシングにおいては、消弧筒と套管との間に套管の軸線方向と直交する面を有する段差部がいくつか存在し、これらの段差部が結露した水分を堰き止めて、水分をブッシング内に留める働きをするため、ブッシング内で水分の蒸発と結露とのサイクルが繰り返される状態が長期間継続し、ヒューズが溶断した状態にある間にブッシング内の各部が濡れている状態となる確率がある程度高くなるのを避けられなかった。例えば図10に示した例では、図中に丸印Z1及びZ2を付して示した部分に段差部d1及びd2が存在し、これらの段差部のところに水Wが溜まるおそれがあった。
【0010】
本発明の目的は、ブッシング内に水分が溜まり難い構造にすることにより、ヒューズが溶断した状態にある間にブッシング内の各部が濡れている状態となる確率を低くして安全性を高めたカットアウト機能付き変圧器用ブッシング及び、該ブッシングが変圧器タンクに取り付けられたカットアウトヒューズ内蔵形変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンクに取り付けられる套管内にカットアウトヒューズを抜き差し可能に収容してなるカットアウト機能付き変圧器用ブッシングを対象とする。
本発明においては、套管の後端部が変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに套管内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が套管の軸線方向の全長に亘って設けられ、排水通路に沿って流下した水を外部に排出させる排水口が套管の先端部に設けられている。
【0012】
上記のように、套管内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路を套管の軸線方向の全長に亘って設けるとともに、排水通路に沿って流下した水を外部に排出させる排水口を套管の先端部に設けると、ブッシング内に侵入した水及びブッシング内で結露した水は、ブッシング内で下方に移動して排水通路に達し、該排水通路に沿って流下して排水口から外部に排出される。このようにしてブッシング内に侵入した水の大部分は、速やかに外部に排出されるため、ブッシング内は、通電により生じる発熱または太陽熱の照射による温度上昇により速やかに乾燥した状態に戻る。従って、水の存在によりブッシング内の絶縁耐力が低下した状態が長時間継続するのを防いで、ヒューズが溶断した状態にある間にブッシング内の絶縁耐力が低下した状態となる確率を少なくすることができ、消孤筒の内周面及び外周面とヒューズ容器の外周面とを通して漏れ電流が流れて消孤筒及びヒューズ容器が劣化するのを防ぐことができる。
【0013】
通常、カットアウト機能を有する変圧器用ブッシングは、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンクに取り付けられる套管と、套管の先端部の内側に収容されたリード側コンタクトと、套管の後端部の内側に収容された変圧器側コンタクトと、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器と該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極及び変圧器側電極とを有して套管の先端から該套管内に抜き差し可能に挿入されて前記リード側電極及び変圧器側電極がそれぞれリード側コンタクト及び変圧器側コンタクトに接触させられるカットアウトヒューズと、套管内のリード側コンタクトと変圧器側コンタクトとの間のスペースに配置されてカットアウトヒューズが套管から引き抜かれる際にカットアウトヒューズの消孤棒及び消弧管との間に細隙を形成する消孤筒とを備えていて、リード側コンタクトに外部から引き込まれるリード線が接続され、変圧器側コンタクトに変圧器の一次側が接続される。 このように変圧器用ブッシングが構成される場合、本発明の好ましい態様では、套管とリード側コンタクトとの間、套管と消孤筒との間及び套管と変圧器側コンタクトとの間にそれぞれ相互に連通する隙間が形成され、套管とリード側コンタクトとの間の隙間と套管と消孤筒との間の隙間と套管と変圧器側コンタクトとの間の隙間とにより、套管の後端部が変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに套管内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が套管の軸線方向の全長に亘って形成される。また排水通路に一端が連通し、他端が下方に開口した排水口が套管の先端部に設けられる。
【0014】
本発明に係わるブッシングの他の好ましい態様では、上記消弧筒が、リード側コンタクトに一端が接続されたリード側消弧筒と、変圧器側コンタクトに一端が接続された変圧器側消弧筒とに2分割されている。
【0015】
上記のように、消孤筒を2分割すると、消孤筒の外周面及び内周面を通して形成される鉛面距離を断ち切ることができるため、変圧器側コンタクトとリード側コンタクトとの間の鉛面絶縁距離を長くして絶縁耐力を高めることができ、ブッシング内に水が存在するときに両コンタクト間を通して漏れ電流が流れるのを防ぐことができる。
【0016】
本発明の更に具体的な態様では、カットアウト機能付き変圧器用ブッシングが下記のように構成される。
套管の後端部及び先端部をそれぞれ塞ぐように端板及びヒューズ挿入口を有するエンドキャップが取り付けられて、套管の先端部の内側に該套管と同心的に配置されたコンタクト支持筒体の一端がエンドキャップに接続されている。
リード側コンタクトは、コンタクト支持筒体の内側に挿入されて該筒体に支持された管状のリード側シールド導体と該リード側シールド導体の内側に配置されて前記リード側電極と接触する接点部材とを備えている。
変圧器側コンタクトは、カットアウトヒューズの後端部を受け入れるように筒状に形成されて一端が端板に支持され、他端がリード側コンタクト側に開口した管状の変圧器側シールド導体と、該変圧器側シールド導体の他端側の内側に配置されて変圧器側電極と接触する接点部材とを備えている。
消孤筒は、一端側がリード側シールド導体の内側に挿入されて支持されて他端が変圧器側コンタクト側に開口したリード側消孤筒と、一端が変圧器側シールド導体の他端に連結部材を介して連結されて他端がリード側コンタクト側に開口した変圧器側消孤筒とからなっている。
連結部材は、変圧器側シールド導体の他端と変圧器側消孤筒の一端とを取り囲んで両者に係合するリング状の部材からなっていて、該リング状の部材が套管の内周面に当接されることにより導電部材と変圧器側消孤筒との連結部が套管に対して支持されている。
変圧器側消孤筒の他端寄りの部分を取り囲むリング状の支持部材が設けられて該支持部材が前記套管の内周面に当接されることにより変圧器側消孤筒の他端寄りの部分が套管に対して支持されている。
套管とリード側コンタクトとの間、套管とリード側シールド導体との間、套管とリード側消孤筒との間、套管と変圧器側消孤筒との間及び套管と変圧器側シールド導体との間にそれぞれ隙間が形成されて、これらの隙間により、套管の後端部が変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに套管内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が套管の軸線方向の全長に亘って形成され、排水通路に一端が連通し、他端が外部に開口した排水口が套管の先端部に設けられている。
連結部材及び支持部材は、排水通路を流れる水を通過させるための隙間を有している。
【0017】
本発明はまた、変圧器タンクと、該変圧器タンク内に収容された変圧器本体と、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンクに取り付けられた套管と、套管内に抜き差し可能に収容されたカットアウトヒューズとを備えたカットアウトヒューズ内蔵形変圧器に適用される。
本発明においては、套管の後端部が変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに套管内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が套管の軸線方向の全長に亘って設けられ、排水通路に沿って流下した水を外部に排出させる排水口が套管の先端部に設けられる。
【0018】
通常カットアウトヒューズ内蔵形変圧器は、変圧器タンクと、該変圧器タンク内に収容された変圧器本体と、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンクに取り付けられた套管と、該套管の先端部の内側に収容されたリード側コンタクトと、套管の後端部の内側に収容されて変圧器本体の一次側に接続された変圧器側コンタクトと、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器と該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極及び変圧器側電極とを有して套管の先端から該套管内に抜き差し可能に挿入されてリード側電極及び変圧器側電極がそれぞれリード側コンタクト及び変圧器側コンタクトに接触させられたカットアウトヒューズと、套管内のリード側コンタクトと変圧器側コンタクトとの間のスペースに配置されてカットアウトヒューズが套管から引き抜かれる際にカットアウトヒューズとの間に細隙を形成する消孤筒とを備えていて、外部から引き込まれるリード線がリード側コンタクトに接続される。
上記のように変圧器が構成される場合、本発明の好ましい態様では、套管とリード側コンタクトとの間、套管と消孤筒との間及び套管と変圧器側コンタクトとの間にそれぞれ相互に連通する隙間が形成されて、套管とリード側コンタクトとの間の隙間と套管と消孤筒との間の隙間と套管と変圧器側コンタクトとの間の隙間とにより、套管内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が套管の軸線方向の全長に亘って形成され、排水通路の最下端に一端が連通し、他端が下方に開口した排水口が套管の先端部に設けられる。
【0019】
この場合も、消弧筒は、リード側コンタクトに一端が接続されたリード側消弧筒と、変圧器側コンタクトに一端が接続された変圧器側消弧筒とに2分割されていることが好ましい。
【0020】
本発明の更に具体的な態様では、変圧器が以下のように構成される。
套管の後端部及び先端部をそれぞれ塞ぐように端板及びヒューズ挿入口を有するエンドキャップが取り付けられて、套管の先端部の内側に該套管と同心的に配置されたコンタクト支持筒体の一端が前記エンドキャップに接続される。
リード側コンタクトは、コンタクト支持筒体の内側に挿入されて該筒体に支持された管状のリード側シールド導体と該リード側シールド導体の内側に配置されてリード側電極と接触する接点部材とを備えている。
変圧器側コンタクトは、カットアウトヒューズの後端部を受け入れるように筒状に形成されて一端が端板に支持され、他端がリード側コンタクト側に開口した変圧器側シールド導体と、該変圧器側シールド導体の他端側の内側に配置されて変圧器側電極と接触する接点部材とを備えている。
変圧器の一次側から引き出された口出し線に接続された棒状の端子導体が変圧器側シールド導体に接続されて、該端子導体が端板を貫通して外部に導出されている。
リード線を接続するリード線接続部を一端に有する端子棒が套管の先端部寄りの側壁を貫通して該套管内に導入されて該端子棒の他端がリード側シールド導体に接続されている。
消孤筒は、一端側がリード側シールド導体の内側に挿入されて支持されて他端が変圧器側コンタクト側に開口したリード側消孤筒と、一端が変圧器側シールド部材の他端に連結部材を介して連結されて他端がリード側コンタクト側に開口した変圧器側消孤筒とからなっている。
連結部材は、変圧器側シールド導体の他端と変圧器側消孤筒の一端とを取り囲んで両者に係合するリング状の部材からなっていて、該リング状の部材が套管の内周面に当接されることにより変圧器側シールド導体と変圧器側消孤筒との連結部が套管に対して支持されている。
変圧器側消孤筒の他端寄りの部分を取り囲むリング状の支持部材が設けられて該支持部材が套管の内周面に当接されることにより変圧器側消孤筒の他端寄りの部分が套管に対して支持される。
套管とコンタクト支持筒体との間、套管とリード側消孤筒との間、套管と変圧器側消孤筒との間及び套管と変圧器側シールド導体との間にそれぞれ隙間が形成されて、これらの隙間により、套管の後端部が変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに套管内に存在する水を前記套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が前記套管の軸線方向の全長に亘って形成され、排水通路の最下端に一端が連通し、他端が外部に開口した排水口が套管の先端部に設けられている。
連結部材及び支持部材は、排水通路を流れる水を通過させるための隙間を套管との間に形成するように設けられている。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、套管内に存在する水を套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路を套管の軸線方向の全長に亘って設けるとともに、排水通路に沿って流下した水を外部に排出させる排水口を套管の先端部に設けたので、ブッシング内に侵入した水及びブッシング内で結露した水を溜めることなく、排水通路を通して速やかに外部に排出することができ、雨中でカットアウトヒューズの交換作業を行なう際などにブッシング内に水が侵入したとしても、早期に水を套管の外部に排出して、水の存在によりブッシング内の絶縁耐力が低下する状態が継続するのを防ぐことができる。従って、水の存在によりブッシング内の絶縁耐力が低下した状態が長時間継続するのを防いで、ヒューズが溶断した状態にある間にブッシング内の絶縁耐力が低下した状態となる確率を少なくすることができ、消孤筒の内周面及び外周面とヒューズ容器の外周面とを通して漏れ電流が流れて消孤筒及びヒューズ容器が劣化するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係わるカットアウトヒューズ内蔵形変圧器の好ましい実施形態の要部の構成を示したもので、同図において、1は柱上に設置される変圧器タンクである。変圧器タンク1内には、図示しない変圧器本体が絶縁油とともに収容されている。変圧器タンク1は、その側壁の上部に管台101を備え、この管台101にカットアウト機能付きブッシング2が取り付けられている。管台101は、先端にフランジ板102が取り付けられた管状の部材からなっていて、その先端を斜め下方に向けた状態で配置されて、変圧器タンク1の側壁に溶接されている。
【0023】
カットアウト機能付き変圧器用ブッシング2は、套管201と、套管201の先端部の内側に収容された雌形のリード側コンタクト202と、套管201の後端部の内側に収容された雌形の変圧器側コンタクト203と、套管201の先端に設けられた開口部から該套管内に抜き差し可能な状態で挿入されたカットアウトヒューズ204と、套管201の内側に配置されたリード側消弧筒及び変圧器側消弧筒205A及び205Bとにより構成される。
【0024】
套管201は、内側絶縁筒201aと、該絶縁筒の外周に接合された笠付きの外側絶縁管201bとからなっていて、その後端部寄りの部分にフランジ201cが取り付けられている。套管201の後端部が管台101のフランジ板102の内周側の孔を通して管台101内に挿入され、フランジ201cがフランジ板102にボルト止めされることにより、套管201が、その先端を斜め下方に向けた状態で変圧器タンク1に取り付けられている。
【0025】
套管201の後端部及び先端部をそれぞれ塞ぐように端板220及びエンドキャップ221(図4参照)が取り付けられ、エンドキャップ221にはカットアウトヒューズ204を貫通させるヒューズ挿入口221aが形成されている。またエンドキャップ221には、套管201と同心的に配置されたコンタクト支持筒体222の一端がボルト止めされている。コンタクト支持筒体222は、加熱された際に消弧性のガスを発生する樹脂(この実施例ではジュラコン樹脂)により形成されている。
【0026】
図5(A),(B)に示したように、コンタクト支持筒体222は、正方形の4つの角部に丸みをつけた断面形状を有していて、4つの角部が套管201に内接するように構成されている。支持筒体222は、その一つの側面が套管201の内周面の下部(変圧器タンクに取り付けられた状態での下部)に対向するように取り付けられていて、筒体222と套管201の内周面の下部との間に隙間G1が形成されている。コンタクト支持筒体222の内周面には、リード側コンタクト202の先端を当接させて位置決めする段部222aが形成されている。
【0027】
リード側コンタクト202は、図6(B)に示したように後端部にフランジ202a1を有する管状のリード側シールド導体202Aと、図6(A)に示す接点部材202Bと、図6(C)に示すシールド環202Cとにより構成されている。接点部材202Bは、後端部側に設けられた環状の基部202b1と、基部202b1の先端から軸線方向に突出した多数の接触子片202b2によりチューリップ形に構成されていて、接触子片の先端をリード側シールド導体202Aの先端側に向けた状態で該リード側シールド導体202A内に挿入されている。シールド環202Cは、先端につば部202c1が形成されたリング状の部材からなっていて、リード側シールド導体202Aの先端側から該シールド導体の内側に挿入されて接点部材202Bの接触子片202b2の先端に内側から接触させられている。シールド環202Cは、接点部材の接触子片の先端部付近の電界の緩和を図る目的と、套管201内に挿入されるヒューズをガイドする目的とで設けられている。
【0028】
リード側コンタクト202は、先端(シールド環202C)をエンドキャップ221側に向けた状態で、シールド環202Cがコンタクト支持筒体222の内周の段部222aに当接するまでコンタクト支持筒体222の他端側から該コンタクト支持筒体内に挿入され、接点部材202Bの後端部に設けられたフランジ202b3とリード側シールド導体202Aのフランジ202a1とがコンタクト支持筒体222の他端にボルト止めされて、リード側コンタクト202がコンタクト支持筒体222に締結されている。
【0029】
リード線3を接続するリード線接続部を一端に有する端子棒223が套管201の先端部寄りの側壁を貫通して該套管内に導入されて該端子棒223の他端がリード側シールド導体202Aのフランジ202a1に接続されている。
【0030】
図4に示したように、エンドキャップ221は、ブッシングが変圧器タンクに取り付けられた状態で最下部に位置する部分に凹部(逃げ)221bを有し、この凹部221bにより、エンドキャップ221とコンタクト支持筒体222の一端との間に外部に開口した隙間Gaが形成されている。
【0031】
リード側消孤筒205Aは、図7(A)に示したように一端につば部205a1を有する肉厚部205a2と肉厚部205a2の一端から軸線方向に突出した薄肉部205a3とを一体に有する筒体からなるコンタクト側消孤筒205A1と、図7(B)及び(C)に示すように外周面が正八角形の断面形状を有する角筒部205a4と該角筒部205a4の一端側に形成された薄肉の円筒部205a5とを一体に有するエンドキャップ側消孤筒205A2とからなっている。コンタクト側消孤筒205A1はその薄肉部205a3をリード側コンタクト202の内側に挿入した状態で配置されて、つば部205a1がリード側コンタクトのシールド導体202Aのつば部202a1と共締めされてコンタクト支持筒体222に固定されている。またエンドキャップ側消孤筒205A2は、リード側コンタクト202よりもエンドキャップ側に位置させて、コンタクト支持筒体222の内周に嵌合されている。エンドキャブ側消孤筒205A2の角筒部205a4の外周は断面が正八角形を呈しているため、該角筒部205a4の外周面とコンタクト支持筒体222の内周面との間に水を外部に排出するための隙間Gbが形成されている。
【0032】
カットアウトヒューズ204は、図2に示されているように、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器206と、該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極207及び変圧器側電極208と、ヒューズ容器206の後端に一端が接続された消孤棒209と、ヒューズ容器206の先端側のリード側電極207に隣接する部分を囲むように取り付けられた消弧管210とを備えている。図示の例では、ヒューズ容器207の先端部に取り付けられたキャップ状の端子金具211に可溶体の一端が接続され、円筒状に形成されたリード側電極207が端子金具211にボルト結合されている。またヒューズ容器206の後端部に取り付けられたキャップ状の端子金具が変圧器側電極208として用いられている。消弧管210は、加熱された際に消弧性のガスを発生する樹脂(この例ではジュラコン樹脂)により形成されていて、端子金具211をその内側に収容した状態で、ヒューズ容器206の先端部付近を覆うように取り付けられている。リード側電極207のヒューズ容器と反対側の端部に絶縁操作棒212が取り付けられ、この絶縁操作棒の内側に、ヒューズが溶断したときに動作して溶断表示を行なう溶断表示装置が収容されている。溶断表示装置は、例えば、ヒューズが溶断したときにヒューズ容器206の先端から針を突出させる機構と、この針に連動して、絶縁操作棒212の先端から標識を突出させる表示機構とにより構成される。
【0033】
消弧棒209は消弧管210と同様の樹脂(この例ではジュラコン樹脂)からなっていて、ヒューズ容器206の後端部に取り付けられた取付ネジ213にネジ結合されて取り付けられている。消弧棒209の端部には、ヒューズが套管201内に挿入された際に套管内に設けられた把持バネ225(図1参照)によりつかまれて把持される把持部209aが形成されている。
【0034】
変圧器側コンタクト203は、図3(C)に示したように、ヒューズ204に取り付けられたカットアウトヒューズの後端部を受け入れるように筒状に形成されて一端が端板220に支持され、他端がリード側コンタクト側に開口した変圧器側シールド導体203Aと、図3(A)に示すように構成されて変圧器側シールド導体203A内に配置された接点部材203Bと、図3(B)に示すようにリング状に形成されて変圧器側シールド導体203A内に挿入されたシールド環203Cとにより構成されている。
【0035】
更に詳細に説明すると、変圧器側シールド導体203Aは先端が開口した筒状体からなっていて、その底部203a1の外面に棒状の端子導体224が接続されている。接点部材203Bは、有底円筒状の基部203b1の開口端から多数の接触子片203b2を突出させた構造を有していて、その基部203b1を変圧器側に向けた状態でリード側シールド導体203A内に挿入されている。またシールド環203Cは変圧器側シールド導体203Aの開口部からその内部に挿入されて、接点部材203Bの接触子片の先端に内側から当接されている。接点部材203Bの基部203b1の内側にはヒューズ筒の先端を把持する把持バネ225(図1参照)が配置され、把持バネ225と接点部材203Bの底部とがボルトにより共締めされて変圧器側シールド導体203Aの底部203a1に締結されている。
【0036】
また変圧器側シールド導体203Aの底部203a1は套管201の後端部を閉じる端板220に当接され、底部203a1の外面に固定された端子導体224が端板220の軸心部を貫通して外部(変圧器タンク内)に導出されている。外部に導出された端子導体224の外周に設けられたネジ部にナット226が螺合されて、端子導体224が端板220に締結されることにより、変圧器側シールド導体203Aが、その他端をリード側コンタクト側に開口させた状態で套管201に対して支持されている。端子導体224には、変圧器タンク1内に収容された図示しない変圧器本体の一次側から引き出された口出し線4が接続される。
【0037】
変圧器側消孤筒205Bは、図3(D)に示すように、中間部から先端部に至る部分の内周にテーパがつけられた筒体からなっていて、その後端部に設けられた首部205b1の外周に環状の突起205b2が形成されている。また変圧器側消孤筒205Bの先端部寄りの外周には環状の溝部205b3が形成されている。変圧器側消孤筒205Bは、その首部205b1を変圧器側シールド導体203Aの他端側の内側に挿入した状態で配置されて、変圧器側消孤筒205Bの後端部の突起205b2が変圧器側シールド導体203Aの先端に設けられたつば部203a2とに当接され、突起205b2とつば部203a2とが図8(A)及び(B)に示した連結部材230を介して相互に連結されて、変圧器側消孤筒205Bが変圧器側シールド導体203Aに連結されている。
【0038】
図示の連結部材230は、横断面の輪郭形状が正方形の4つの角部に丸みを付した形状を呈して、変圧器側シールド導体203Aと変圧器側消弧筒205Bとの相互に連結される部分を取り囲むことができるリング状の部材を軸線を含む平面に沿って2つ割にして形成した半部230A,230Bからなっていて、半部230A及び230Bの内周には、変圧器側シールド導体203Aのつば部203a2と変圧器側消孤筒205の突起205b2とを嵌合させる凹部230aが形成されている。連結部材230により変圧器側消弧筒と変圧器側シールド筒体とを連結する際には、変圧器側消孤筒205Bの突起205b2を変圧器側シールド導体203Aの先端に設けられたつば部203a2に当接させた状態で、突起205b2及びつば部203a2に半部230A,230Bを嵌合させて両半部を突き合わせる。半部230A,230Bは、このようにして突き合わされたときに両者間に水を通過させるための隙間g(図8A参照)が形成されるように作られている。また連結部材230が変圧器側消弧筒及び変圧器側シールド導体に取り付けられた状態で連結部材230の最大径部分(輪郭形状の角部)が套管201の内周面に当接するように、該連結部材230の最大径が設定され、連結部材230と套管201の内周面との係合により変圧器側消弧筒と変圧器側シールド導体との連結部が套管に対して支持されるようになっている。また図示の例では、連結部材230の凹部230a内に侵入した水を抜くために、凹部230aの底部に相当する部分を貫通させて、水抜き孔230b(図8B参照)が設けられている。
【0039】
更に変圧器側消孤筒205Bの先端部寄りの外周に形成された環状の溝部205b3に図9(A)及び(B)に示された支持部材231が取り付けられてこの支持部材231により変圧器側消弧筒205Bの先端部付近が套管201に対して支持されている。支持部材231は内周に凹部を有しない点を除き連結部材230を構成する半部230A及び230Bと同様の構造を有する半部231A及び231Bからなっていて、これらの半部を溝部205b3に嵌合させて突き合わせることにより変圧器側消弧筒205Bに取り付けられる。支持部材231を変圧器側消弧筒205Bに取り付けた状態で支持部材231の最大径部分が套管201の内周面に当接するように、該支持部材231の最大径が設定されている。また半部231A,231Bは、変圧器側消弧筒の溝部205b3に嵌合されて突き合わされたときに両者間に水を通過させるための隙間g(図9A参照)が形成されるように作られている。
【0040】
套管201の内周面が水で濡れにくくするため、套管201の内周面にフッ素樹脂などの撥水性材料からなるコーティング剤が塗布されている。消弧筒205A及び205Bを構成するジュラコン樹脂は、もともと撥水性を有しているため、撥水性材料からなるコーティング剤の塗布は不要である。
【0041】
本実施形態のブッシングにおいては、套管201とコンタクト支持導体222との間、套管201とリード側コンタクト202との間、套管201とリード側消孤筒205Aとの間、套管201と変圧器側消孤筒205Bとの間及び套管201と変圧器側シールド導体203Aとの間にそれぞれ隙間G1,G2,G3,G4及びG5が形成されて、これらの隙間G1ないしG5により、套管201の後端部が変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに套管201内に存在する水を套管201の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路233が套管の軸線方向の全長に亘って形成されている。この排水通路の途中には、連結部材230及び支持部材231が配置されているが、これらの部材は、水を通過させるための隙間gを有しているため、排水通路233が途中で分断されることはない。
【0042】
また本実施形態のブッシングでは、套管201の先端部に、エンドキャップ221の内側の凹部221bによりエンドキャップ221と套管201の先端との間に形成された隙間Gaにより、ブッシングを斜め下方に傾けて変圧器タンクに取り付けた状態での排水通路233の最下端に一端が連通し、他端が下方に開口した排水口234が形成されている。
【0043】
リード側コンタクト202に接続された端子棒223の一端のリード線接続部に外部から引き込まれたリード線3が接続され、変圧器側コンタクト203に接続された端子導体224に変圧器本体の一次側から引き出された口出線4が接続されている。
【0044】
カットアウトヒューズ204は、その後端部を変圧器タンク1側に向けた状態で、ブッシング2の套管201のエンドキャップ221に設けられたヒューズ挿入口221aからブッシング2内に挿入されて、その後端側に設けられた消孤棒209が変圧器側コンタクト203内に挿入されるとともに、リード側電極207及び変圧器側電極208がそれぞれリード側コンタクト202及び変圧器側コンタクト203に接触させられる。これによりカットアウトヒューズが投入状態にされる。カットアウトヒューズを投入状態に確実に保持するため、カットアウトヒューズの消弧棒に設けられた把持部209aが、変圧器側シールド導体203Aの内側に固定された把持バネ225により把持される。図1はこのようにしてカットアウトヒューズ204が投入された状態を示している。
【0045】
溶断されていない状態にあるカットアウトヒューズ204をブッシング2から引き外す際には、カットアウトヒューズ204のリード側電極207及び変圧器側電極203がそれぞれブッシングのリード側コンタクト202及び変圧器側コンタクト203から離れた際にアークが発生するが、本実施形態の変圧器では、このアークの熱により消弧管210及び消弧棒209と消弧筒205A及び295Bとを加熱してこれらから消弧性のガスを発生させて、このガスによりアークを冷却することにより消弧を図るようにしている。
【0046】
上記のように、套管201内に存在する水を套管の内周面の下部に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路233を套管の軸線方向の全長に亘って設けるとともに、排水通路233に沿って流下した水を外部に排出させる排水口234を套管の先端部に設けると、ブッシング内に侵入した水及びブッシング内で結露した水を溜めることなく、排水通路を通して速やかに外部に排出することができる。従って、雨中でカットアウトヒューズの交換作業を行なう際などにブッシング内に水が侵入したときに、早期に水を套管の外部に排出して、水の存在によりブッシング内の絶縁耐力が低下する状態が長時間継続するのを防ぐことができ、ヒューズが溶断した状態にある間にブッシング内の絶縁耐力が低下した状態となる確率を少なくして、消孤筒の内周面及び外周面とヒューズ容器の外周面とを通して流れる漏れ電流により消孤筒及びヒューズ容器が劣化するおそれを少なくすることができる。
【0047】
また上記のように、消弧筒をリード側消弧筒205Aと変圧器側消弧筒205Bとに分割すると、消孤筒の外周面及び内周面を通して形成される鉛面距離を2つに断ち切ることができるため、変圧器側コンタクト202とリード側コンタクト203との間の鉛面絶縁距離を長くして絶縁耐力を高めることができ、ブッシング内に水が存在するときに両コンタクト間を通して漏れ電流が流れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係わるカットアウトヒューズ内蔵形変圧器の実施形態の要部の構成を示した断面図である。
【図2】同実施形態で用いるカットアウトヒューズを一部断面して示した正面図である。
【図3】(A)及び(B)はそれぞれ同実施形態で用いる変圧器側コンタクトを構成する接点部材の正面図及びシールド環の断面図である。また(C)は同実施形態で用いる変圧器側コンタクトを構成する変圧器側シールド導体の断面図、(D)は同シールド導体に連結される変圧器側消弧筒の断面図である。
【図4】本発明の実施形態で用いるエンドキャップの断面図である。
【図5】(A)及び(B)はそれぞれ本発明の実施形態で用いるコンタクト支持筒体の側面図及び正面図である。
【図6】(A)ないし(C)は本発明の実施形態で用いる変圧器側コンタクトの構成部品を示したもので、(A),(B)及び(C)はそれぞれ接点部材の正面図、リード側シールド導体の断面図及びシールド環の断面図である。
【図7】(A)ないし(C)は本発明の実施形態で用いるリード側消弧筒の構成部品を示したもので、(A),(B)及び(C)はそれぞれコンタクト側消孤筒の断面図、エンドキャップ側消孤筒の断面図及びエンドキャップ側消弧筒の側面図である。
【図8】(A)は本発明の実施形態で用いる連結部材の正面図、(B)は(A)のA−A線矢視図である。
【図9】(A)は本発明の実施形態で用いる支持部材の正面図、(B)は(A)のB−B線矢視図である。
【図10】従来のカットアウトヒューズ内蔵形変圧器の要部の構成を示した断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 変圧器タンク
2 カットアウト機能付きブッシング
3 リード線
4 変圧器本体の一次側からの口出線
201 套管
202 リード側コンタクト
203 変圧器側コンタクト
204 カットアウトヒューズ
205A リード側消弧筒
205B 変圧器側消弧筒
233 排水通路
234 排水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンクに取り付けられる套管内にカットアウトヒューズを抜き差し可能に収容してなるカットアウト機能付き変圧器用ブッシングにおいて、
前記套管の後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに前記套管内に存在する水を前記套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が前記套管の軸線方向の全長に亘って設けられ、
前記排水通路に沿って流下した水を外部に排出させる排水口が前記套管の先端部に設けられていること、
を特徴とするカットアウト機能付き変圧器用ブッシング。
【請求項2】
先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンクに取り付けられる套管と、前記套管の先端部の内側に収容されたリード側コンタクトと、前記套管の後端部の内側に収容された変圧器側コンタクトと、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器と該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて前記可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極及び変圧器側電極とを有して前記套管の先端から該套管内に抜き差し可能に挿入されて前記リード側電極及び変圧器側電極がそれぞれ前記リード側コンタクト及び変圧器側コンタクトに接触させられるカットアウトヒューズと、前記套管内の前記リード側コンタクトと変圧器側コンタクトとの間のスペースに配置されて前記カットアウトヒューズが前記套管から引き抜かれる際に前記カットアウトヒューズとの間に細隙を形成する消孤筒とを備えて、前記リード側コンタクトに外部から引き込まれるリード線が接続され、前記変圧器側コンタクトに前記変圧器の一次側が接続されるカットアウト機能付き変圧器用ブッシングにおいて、
前記套管とリード側コンタクトとの間、前記套管と消孤筒との間及び前記套管と変圧器側コンタクトとの間にそれぞれ相互に連通する隙間が形成されて、これらの隙間により、前記套管の後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに前記套管内に存在する水を前記套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が前記套管の軸線方向の全長に亘って形成され、
前記排水通路に一端が連通し、他端が下方に開口した排水口が前記套管の先端部に設けられていること、
を特徴とするカットアウト機能付き変圧器用ブッシング。
【請求項3】
前記消弧筒は、前記リード側コンタクトに一端が接続されたリード側消弧筒と、前記変圧器側コンタクトに一端が接続された変圧器側消弧筒とに2分割されている請求項2に記載のカットアウト機能付き変圧器用ブッシング。
【請求項4】
先端を斜め下方に向けた状態で後端部が変圧器タンクに取り付けられる套管と、前記套管の先端部の内側に収容されたリード側コンタクトと、前記套管の後端部の内側に収容された変圧器側コンタクトと、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器と該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて前記可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極及び変圧器側電極とを有して前記套管の先端から該套管内に抜き差し可能に挿入されて前記リード側電極及び変圧器側電極がそれぞれ前記リード側コンタクト及び変圧器側コンタクトに接触させられるカットアウトヒューズと、前記套管内の前記リード側コンタクトと変圧器側コンタクトとの間のスペースに配置されて前記カットアウトヒューズが前記套管から引き抜かれる際に前記カットアウトヒューズとの間に細隙を形成する消孤筒とを備えて、前記リード側コンタクトに外部から引き込まれるリード線が接続され、前記変圧器側コンタクトに前記変圧器の一次側が接続されるカットアウト機能付き変圧器用ブッシングにおいて、
前記套管の後端部及び先端部をそれぞれ塞ぐように端板及びヒューズ挿入口を有するエンドキャップが取り付けられて、前記套管の先端部の内側に該套管と同心的に配置されたコンタクト支持筒体の一端が前記エンドキャップに接続され、
前記リード側コンタクトは、前記コンタクト支持筒体の内側に挿入されて該支持筒体に支持された管状のリード側シールド導体と該リード側シールド導体の内側に配置されて前記リード側電極と接触する接点部材とを備え、
前記変圧器側コンタクトは、前記カットアウトヒューズの後端部を受け入れるように筒状に形成されて一端が前記端板に支持され、他端が前記リード側コンタクト側に開口した変圧器側シールド導体と、該変圧器側シールド導体の他端側の内側に配置されて前記変圧器側電極と接触する接点部材とを備え、
前記消孤筒は、一端側が前記リード側シールド導体の内側に挿入されて支持されるとともに他端が前記変圧器側コンタクト側に開口したリード側消孤筒と、一端が前記変圧器側シールド導体の他端に連結部材を介して連結されて他端が前記リード側コンタクト側に開口した変圧器側消孤筒とからり、
前記連結部材は、前記変圧器側シールド導体の他端と前記変圧器側消孤筒の一端とを取り囲んで両者に係合するリング状の部材からなっていて、該リング状の部材が前記套管の内周面に当接されることにより前記導電部材と変圧器側消孤筒との連結部が前記套管に対して支持され、
前記変圧器側消孤筒の他端寄りの部分を取り囲むリング状の支持部材が設けられて該支持部材が前記套管の内周面に当接させられることにより前記変圧器側消孤筒の他端寄りの部分が前記套管に対して支持され、
前記套管とコンタクト支持筒体との間、前記套管とリード側消孤筒との間、前記套管と変圧器側消孤筒との間及び前記套管と変圧器側シールド導体との間にそれぞれ隙間が形成されて、これらの隙間により前記套管の軸線方向の全長に亘って延びていて前記套管の後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに前記套管内に存在する水を前記套管の内周面に沿って流下させる排水通路が形成され、
前記排水通路に一端が連通し、他端が外部に開口した排水口が前記套管の先端部に設けられ、
前記連結部材及び支持部材は、前記排水通路を流れる水を通過させるための隙間を有していること、
を特徴とするカットアウト機能付き変圧器用ブッシング。
【請求項5】
前記套管の内周面が撥水性を有する樹脂でコーティングされている請求項1,2,3または4に記載のカットアウト機能付き変圧器用ブッシング。
【請求項6】
変圧器タンクと、前記変圧器タンク内に収容された変圧器本体と、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた套管と、前記套管内に抜き差し可能に収容されたカットアウトヒューズとを備えたカットアウトヒューズ内蔵形変圧器において、
前記套管の後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに前記套管内に存在する水を前記套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が前記套管の軸線方向の全長に亘って設けられ、
前記排水通路に沿って流下した水を外部に排出させる排水口が前記套管の先端部に設けられていること、
を特徴とするカットアウトヒューズ内蔵形変圧器。
【請求項7】
変圧器タンクと、前記変圧器タンク内に収容された変圧器本体と、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた套管と、前記套管の先端部の内側に収容されたリード側コンタクトと、前記套管の後端部の内側に収容されて前記変圧器本体の一次側に接続された変圧器側コンタクトと、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器と該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて前記可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極及び変圧器側電極とを有して前記套管の先端から該套管内に抜き差し可能に挿入されて前記リード側電極及び変圧器側電極がそれぞれ前記リード側コンタクト及び変圧器側コンタクトに接触させられたカットアウトヒューズと、前記套管内の前記リード側コンタクトと変圧器側コンタクトとの間のスペースに配置されて前記カットアウトヒューズが前記套管から引き抜かれる際に前記カットアウトヒューズとの間に細隙を形成する消孤筒とを備えて、外部から引き込まれるリード線が前記リード側コンタクトに接続されるカットアウトヒューズ内蔵形変圧器において、
前記套管とリード側コンタクトとの間、前記套管と消孤筒との間及び前記套管と変圧器側コンタクトとの間にそれぞれ相互に連通する隙間が形成されて、これらの隙間により、前記套管内に存在する水を前記套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が前記套管の軸線方向の全長に亘って形成され、
前記排水通路の最下端に一端が連通し、他端が下方に開口した排水口が前記套管の先端部に設けられていること、
を特徴とするカットアウトヒューズ内蔵形変圧器。
【請求項8】
前記消弧筒は、前記リード側コンタクトに一端が接続されたリード側消弧筒と、前記変圧器側コンタクトに一端が接続された変圧器側消弧筒とに2分割されている請求項6に記載のカットアウトヒューズ内蔵形変圧器。
【請求項9】
変圧器タンクと、前記変圧器タンク内に収容された変圧器本体と、先端を斜め下方に向けた状態で後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた套管と、前記套管の先端部の内側に収容されたリード側コンタクトと、前記套管の後端部の内側に収容されて前記変圧器本体の一次側に接続された変圧器側コンタクトと、可溶体を収容した筒状のヒューズ容器と該ヒューズ容器の先端部及び後端部にそれぞれ取り付けられて前記可溶体の一端及び他端にそれぞれ接続されたリード側電極及び変圧器側電極とを有して前記套管の先端から該套管内に抜き差し可能に挿入されて前記リード側電極及び変圧器側電極がそれぞれ前記リード側コンタクト及び変圧器側コンタクトに接触させられたカットアウトヒューズと、前記套管内の前記リード側コンタクトと変圧器側コンタクトとの間のスペースに配置されて前記カットアウトヒューズが前記套管から引き抜かれる際に前記カットアウトヒューズとの間に細隙を形成する消孤筒とを備えて、外部から引き込まれるリード線が前記リード側コンタクトに接続されるカットアウトヒューズ内蔵形変圧器において、
前記套管の後端部及び先端部をそれぞれ塞ぐように端板及びヒューズ挿入口を有するエンドキャップが取り付けられて、前記套管の先端部の内側に該套管と同心的に配置されたコンタクト支持筒体の一端が前記エンドキャップに接続され、
前記リード側コンタクトは、前記コンタクト支持筒体の内側に挿入されて該筒体に支持された管状のリード側シールド導体と該リード側シールド導体の内側に配置されて前記リード側電極と接触する接点部材とを備え、
前記変圧器側コンタクトは、前記カットアウトヒューズの後端部を受け入れるように筒状に形成されて一端が前記端板に支持され、他端が前記リード側コンタクト側に開口した変圧器側シールド導体と、該変圧器側シールド導体の他端側の内側に配置されて前記変圧器側電極と接触する接点部材とを備え、
前記変圧器の一次側から引き出された口出し線に接続された棒状の端子導体が前記変圧器側シールド導体に接続されて、該端子導体が前記端板を貫通して外部に導出され、
前記リード線を接続するリード線接続部を一端に有する端子棒が前記套管の先端部寄りの側壁を貫通して該套管内に導入されて該端子棒の他端が前記リード側シールド導体に接続され、
前記消孤筒は、一端側が前記リード側シールド導体の内側に挿入されて支持されて他端が前記変圧器側コンタクト側に開口したリード側消孤筒と、一端が前記変圧器側シールド部材の他端に連結部材を介して連結されて他端が前記リード側コンタクト側に開口した変圧器側消孤筒とからり、
前記連結部材は、前記変圧器側シールド導体の他端と前記変圧器側消孤筒の一端とを取り囲んで両者に係合するリング状の部材からなっていて、該リング状の部材が前記套管の内周面に当接されることにより前記変圧器側シールド導体と変圧器側消孤筒との連結部が前記套管に対して支持され、
前記変圧器側消孤筒の他端寄りの部分を取り囲むリング状の支持部材が設けられて該支持部材が前記套管の内周面に当接されることにより前記変圧器側消孤筒の他端寄りの部分が前記套管に対して支持され、
前記套管とコンタクト支持筒体との間、前記套管とリード側消孤筒との間、前記套管と変圧器側消孤筒との間及び前記套管と変圧器側シールド導体との間にそれぞれ隙間が形成されて、これらの隙間により、前記套管の後端部が前記変圧器タンクに取り付けられた状態にあるときに前記套管内に存在する水を前記套管の内周面に沿って該套管の先端側に流下させる排水通路が前記套管の軸線方向の全長に亘って形成され、
前記排水通路の最下端に一端が連通し、他端が外部に開口した排水口が前記套管の先端部に設けられ、
前記連結部材及び支持部材は、前記排水通路を流れる水を通過させるための隙間を形成するように設けられていること、
を特徴とするカットアウトヒューズ内蔵形変圧器。
【請求項10】
前記套管の内周面が撥水性を有する樹脂でコーティングされている請求項6,7,8または9に記載のカットアウトヒューズ内蔵形変圧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−253378(P2006−253378A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67193(P2005−67193)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】