説明

カバーステッチに類似する飾り模様を縫製可能にした針板とその針板を搭載した本縫いミシン

【課題】 ジグザグ縫い用の針穴が採用されている本縫いミシンで、二本針での直線縫いを利用して、2本の針糸と1本のボビン糸の3本の糸で構成された擬似カバーステッチによる飾り模様の縫製を可能にすること、3本の糸でしっかりした縫い目を確実に形成することができる本縫いミシンを提供すること。
【解決手段】 針の上下動と釜の協動により縫い目を形成する本縫いミシンにおいて、本縫いミシンの針板にジグザグ縫い用の長針穴を設け、該針穴の中央部を覆うように、且つ、布送り方向に沿って針落ち位置を超えてミシン後方側に爪部先端が突出する爪状部材、或いは針板補助板を設け、爪状部材の先端側に爪状部材の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設けたこと、或いは針板補助板の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの針板、とくに疑似カバーステッチを縫製することを可能とした本縫いミシンの針板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、Tシャツ等の襟、袖口、裾は、図15に示されているように、表は直線縫い、裏はロック縫い目で縫製する2本の針糸a、bと1本のルーパ糸cの3本の糸で構成されるカバーステッチで縫われており、このカバーステッチを縫うために、専用の縫い機構を持ったミシンは、現在もカバーステッチ専用機として市販されており、従来より周知である(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
また、本縫いミシンでは、カバーステッチ用の専用機構を搭載していないため、図15に示すカバーステッチを縫うことはできないが、カバーステッチに似た飾り縫い模様を縫製できる本縫いミシンも従来より知られている。
その縫い目構成は、図14に示すように、二本針による2本の針糸と1本のボビン糸で構成されており(これを本願では、「疑似カバーステッチ」という)、カバーステッチとは全く異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−260286号公報
【特許文献2】特開2003−024675号公報
【特許文献3】特許第4616512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カバーステッチに類似した飾り縫い模様、疑似カバーステッチを縫製する従来の本縫いミシンにおいては、以下述べるような種々の問題があった。
本縫いミシンの針板に形成された針穴の形状は、直線縫いでは、針が布を貫通するための丸穴であり、ジグザグ縫いでは、最大振幅に応じた長針穴であるが、実際には、飾り縫い模様を縫製する本縫いミシンでは、直線縫いとジグザグ縫いを兼用する針穴として長針穴が採用されている。
本縫いミシンでは、下糸の張力は容易に変更できないため、二本針を使用した飾り縫いでは、針糸の糸張力を弱く調整することで綺麗な縫い目の形成を可能にしている。
【0006】
その際、下糸が2本の針糸と絡むために縫い縮みが発生しやすくなるので、対応策として針糸の張力を弱くして縫い目を形成しており、これにより布の縫い縮みを防いでいる。
しかし、その縫い目は針糸張力を弱くしているため、しっかりした縫い目ではなく、実用的ではないという問題が生じる。
【0007】
また、切り替え可能な直線縫い用針穴を設けた針板補助板を有する飾り縫い用の本縫いミシンも、既に市場にでている。
しかし、針板補助板を進出させて針板に接触させて保持しているため、2本針を使用して直線縫いをした場合、布の送りに対して下糸をすり抜けさせる隙間がないので擬似カバーステッチの縫製は不可能であった。
【0008】
したがって、本縫いミシンでは、本格的なカバーステッチは縫製できないのはもちろんのこと、2本の針糸と1本の下糸で構成されるカバーステッチに類似した飾り縫い模様疑似カバーステッチの縫製も、解決すべき問題が多々ある。
【0009】
本発明は、上記の事情を考慮して、ジグザグ縫い用の針穴が採用されている本縫いミシンで、二本針での直線縫いを利用して、2本の針糸と1本のボビン糸の3本の糸で構成された擬似カバーステッチによる飾り模様の縫製を可能にすること、3本の糸でしっかりした縫い目を確実に形成することができる本縫いミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するため、カバーステッチに疑似する飾り模様を縫製可能にした針板として、針の上下動と釜の協動により縫い目を形成する本縫いミシンにおいて、本縫いミシンの針板にジグザグ縫い用の長針穴を設け、該針穴の中央部を覆うように、且つ、布送り方向に沿って針落ち位置を超えてミシン後方側に爪部先端が突出する爪状部材を配設し、爪状部材の先端側に、爪状部材の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設けたことを特徴とする構成を採用し、前記針板を具えた本縫いミシンを採用する。
【0011】
爪状部材の実施例として、爪状部材を、着脱自在としたことを特徴とする構成、或いは、爪状部材を、針板に一体的に形成したことを特徴とする構成、或いは、爪状部材は、爪部先端が薄くなっていることを特徴とする構成を採用し、爪状部材の幅は、二本針の幅に対応して可変であることを特徴とする構成を採用する。
【0012】
長針穴の実施例として、長針穴の幅が、ジグザグ縫いの最大の振幅量に応じた長さであることを特徴とする構成を採用する。
【0013】
カバーステッチに疑似する飾り模様を縫製可能にした針板の別実施例として、針の上下動と釜の協動により縫い目を形成する本縫いミシンにおいて、本縫いミシンの針板にジグザグ縫い用の長針穴を設け、該針穴の中央部を覆うように、且つ、布送り方向に沿って針落ち位置を超えてミシン後方側に突出するように爪部先端を具えた針板補助板を設け、爪部先端部と針板の針穴の壁との間に、針板補助板の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設けたことを特徴とする構成を採用し、前記針板を具えた本縫いミシンを採用する。
【0014】
長針穴の実施例として、針板に形成された長針穴の奥側に、針板補助板の爪部先端と重なる部分に針板補助板の裏面に渡る下糸がすり抜ける隙間を形成したことを特徴とする構成を採用する。
【0015】
爪状部材および針板補助板の別実施例として、爪部が、コの字状の先端部材、または突出ピンであることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記のように構成されているから、次の効果を奏する。
本縫いミシンにおいて、二本針直線縫いの2本針糸、1本のボビン糸で形成される疑似カバーステッチ縫いによる飾り縫い模様の縫製が可能となった。
爪状部材、或いは針板補助板の交換によって、二本針の幅に対応した疑似カバーステッチ縫いも容易にした。
模様選択に対応して、針板、針板補助板を交換することによって、二本針の飾り縫い、或いは一本針の直線縫いが選択可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のミシンの全体図である。
【図2】本発明の第1実施例の爪状部材を一体に形成した針板である。
【図3】爪状部材を着脱式にした針板で、(a)は装着時、(b)は装着前の斜視図である。
【図4】爪状部材の別実施例の説明図で。(a)は爪部を除いた爪なし部材の装着時の斜視図、(b)(c)は爪状部材の別実施例の斜視図である。
【図5】爪状部材の着脱時の説明図で。(a)は装着時における断面図、(b)は爪なし部材の装着時における断面図、(c)は爪状部材の別実施例の装着時における断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の針板補助板の説明図である。
【図7】針板補助板の作動説明図で、(a)は後退時、(b)は前進時の斜視図である。
【図8】針板裏面の部品構成を説明する分解斜視図である。
【図9】針板補助板の動作図で、(a)は後退時、(b)は前進時の裏面斜視図である。
【図10】針板補助板の動作と隙間の説明図で、(a)は後退時、(b)は前進時の斜視図である。
【図11】擬似カバーステッチの形成時の断面図である。
【図12】針板補助板の別実施例の説明図で、(a)は装着時における斜視図、(b)は針板補助板の他の実施例の斜視図である。
【図13】従来の針板形状図である。
【図14】二本針本縫いの擬似カバーステッチの縫い目構成図である。
【図15】二本針とルーパによるカバーステッチの縫い目構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1実施例は、針板に爪状部材を装着したものである。
図1、2において、1は本縫いミシン本体、2はミシンのアーム、3はベッドである。
ミシンのアーム2には、二本の針4を装着した針棒5と押え足6が取着されており、ベッド3の上面には針板7が固定されている。
【0020】
ミシンの針板7には、針4が貫通可能な針穴と送り歯が出没可能な角穴8、9およびボビンの装着、取外しが可能な窓10が形成されている。
二本針の本縫いミシンにおいては、図13に示すように、針板7に設けた針穴の形状は、本縫いの他にジグザグ縫いを行うため、針4が左右に振られる最大振幅量に応じた長針穴11が形成されている。
【0021】
この長針穴11の状態で直線縫いを実行すると、針4の貫通する力により布が針穴に落ち込み、縫い目が崩れるという問題があった。
【0022】
本発明の第1実施例では、上記の問題を解決するため、爪状部材12が用いられる。
図2、3に示すように、爪状部材12は、針板7に設けた長針穴11の中央部を覆うようにして、ミシン手前側から針落ち位置を超えてミシン後方側に向かって爪部13が突出するように設けられている。
そして、爪状部材12の両側の針落ち位置には、2本の針糸14a、14bが貫通し、爪状部材12の爪部13と長針穴11の壁との間に下糸15を針板7上面側に移動させるための隙間16が設けられている。
【0023】
爪状部材12の形状は、図5に示すように、下糸15が爪状部材12から離脱することを容易にするため、爪部13に向かって厚さは薄くなっており、また、その幅も細くしてもよい。
【0024】
爪状部材12は、着脱可能で、交換可能な構造にすることができる。
図4(a)において、17は止めねじ、18は爪状部材12から爪部13を取り除いた部分である爪なし部材であり、図5(b)に示すように。長針穴11を、そのままの状態で使用できるようにしたものである。
爪状部材12、または爪なし部材18は、止めねじ17により、針板7に設けた取着板19に取着されている。
【0025】
爪状部材の使用にあたっては、図2に示すように、爪状部材12が一体的に形成された針板7であって、該針板7自体を、交換することでもよい。
また、単独の爪状部材12を交換装着できるようにすることでもよい。
二本針の針間隔aに応じて爪状部材12の幅bを変えることで、ステッチの幅を変えることも可能である。
【0026】
次に、爪状部材12の他の実施例について説明する。
図4(b)、図5(c)に示すように、爪状部材12の前方の爪部13に替えて、コの字形の先端部材13aを取着した実施例である。
二本針で疑似カバーステッチの飾り縫いを形成する場合は、コの字形の先端部材13aの両側の外側を利用する。
【0027】
さらに、異なる実施例について、説明する。
図4(c)に示すように、爪状部材12の先端の爪部13に替えて、2本の突出ピン13bを突出させたものである。
二本針による疑似カバーステッチの飾り縫いの場合は、突出ピン13bの外側を利用することができる。
【0028】
次に、本発明の第1実施例の作動と作用効果について説明する。
図2、3に示すように、爪状部材12の幅bに対応する針間隔aの二本針で直線縫いを行う。
二本針による直線縫いは、爪状部材12の両側で、爪状部材12により左右に分割された長針穴11の針穴左側11a、長針穴11の針穴右側11bを針穴として縫製され、そのとき、爪状部材12下面側で2本の左針糸14a、右針糸14bのループにボビン(図示せず)の下糸15をくぐらせることで、2本の左針糸14a、右針糸14bと下糸15によって縫い目が形成され、その後、針糸14a、14bと下糸15の結節点は、一般的な本縫いと同様に2枚の布の中間点に形成される。
【0029】
次に、縫い目が形成された布は、送り歯(図示せず)の送り作用によってミシンの後方側に向けて送られる。
送り歯による送り動作によって、ミシン後方に移動する布とともに下糸15も爪状部材12の下面に沿って移動し、図5(a)に示すように、爪状部材12から離脱して針板7の間に設けた隙間16を通って針板7表面上側に移動する。
【0030】
したがって、図14に示すように、下糸15と左右の針糸14a、14bとで縫い目が形成されるとともに、布送り作用によって下糸15が前の針落ち位置との間で引張られ、しっかりした縫い目による飾り縫い、疑似カバーステッチが確実に形成されるのである。
【実施例2】
【0031】
次に、針板補助板を移動可能に設置した第2実施例について、図面を参照して説明する。
第1実施例と同一の部材については、同一の符号、または符号aを付して図示し、説明を簡単にする。
【0032】
前述のように、従来の本縫いミシン本体1の針板7に設けた針穴は、図13に示すように、直線縫いとの兼用でジグザグ縫い用の最大の振幅量に対応した長針穴11が形成されている。
しかし、直線縫いでは、針穴が長針穴11であるので、針が布を貫通する時に布を充分保持できないため、縫い目が崩れるなどの問題点があった。
これを解決するために、直線縫い専用の針穴を設けた針板補助板を用いて対応させることは従来より知られている。
【0033】
本願発明の第2実施例では、この針板補助板20を爪状部材12に代えて利用する。
しかし、針板補助板20は、直線縫いのための針板であって、針板補助板20の先に丸穴21などの針穴を形成したものである。
本実施例では、図6〜図9に示すように、直線縫い時に布を貫通する針の力が針板補助板20に加わるために、長針穴11の針穴の前後を跨ぐように設けている。
その爪部22は、針板7の長針穴11の後側に設けた溝部23に掛かるようにして配設されている。
【0034】
針板補助板20は、二本針による直線縫いの場合は、針板前方に移動させ、ジグザグ縫い時には、針板後方に退避して長針穴11の針穴を使用可能にしており、針板補助板20の退避する機構を、針板裏面に設けている。
【0035】
針板補助板20は、針板7の長針穴11の中央部を横断するように、前後に形成された溝部23、24に摺動可能に装着されており、溝部24の中ほどには、溝部長穴25が形成されている。
【0036】
次に、針板補助板20を前後動させる機構について説明する。
図6、7に示すように、針板補助板20の裏面には、補助板段ピン26が固定されており、前記溝部長穴25を貫通して、針板裏面に配置した針板作動板27の先端に設けた作動板穴28に嵌合し固定されている。
これにより針板補助板20と針板作動板27が一体的に結合されて、針板補助板20は溝部23、24の間で摺動可能に保持されている。
【0037】
図8、9に示すように、針板作動板27は、支持枠29に取着され、該支持枠29は、針板レバー座板30により針板裏面に摺動可能に保持されている。
作動板穴28の他方端の支持枠29には、作動板ピン31が固定されている。
また、一体的に結合した針板補助板20と針板作動板27で、針板補助板20の丸穴21と同心に作動板針穴32を形成する。
針板補助板20が前進し、作動状態にあっては、二本針4は、針板補助板20の両側で布を貫通し、針板裏面まで貫通可能に構成されている。
【0038】
針板レバー33は、そのほぼ中央で段ねじ34により針板レバー座板30を通じて針板7の裏面に回動可能に支持されていて、針板レバー33の一方の腕33aの先端にはレバー孔35が設けられ、レバー孔35には、作動板ピン31が嵌挿されている。
また、針板レバー33のもう一方の腕33bの先端には、レバーピン36が固定されている。
レバーピン36側の腕33bの中ほどには、ばねピン37が固定され、針板7の裏面に設けた針板ピン38との間に引張りばね39を配設して針板レバー33を針板7裏面から見て時計周りに付勢している。
【0039】
図9(a)に示すように、引張りばね39の付勢により針板レバー33を介して針板作動板27および針板補助板20は、常時、針板7の針穴に対して後退した位置に保持され、長針穴11の針穴となっている。
【0040】
次に、本実施例による作動、作用効果について説明する。
針板レバー33のレバーピン36に対して、駆動源(図示しない)より矢印A方向に作動する力を作用させると、針板レバー33は段ねじ34を中心に反時計方向に回動して、レバー孔35に挿入された作動板ピン31を介して、針板作動板27をスライド移動させる。
針板作動板27の作動板穴28に連結された針板補助板20に設けた作動板ピン31を介して、針板補助板20は、長針穴11の針穴中央部を覆う方向にスライド移動する。
【0041】
スライド移動した針板補助板20は、その爪部22先端が針板7に設けた溝部23に掛かる。
これにより、二本針による擬似カバーステッチを縫うための針糸14a、14bに必要な張力を与え、かつ布縮みのない縫い目を形成するために、第1実施例における爪状部材が突出したことと同様になる。
そして、図10に示すように、擬似カバーステッチによる飾り縫いを可能にするため、針板補助板20が針板7の溝部23に掛かっているが、この掛かっている針板補助板20の爪部22周囲と針板7の溝部23の間に隙間16が形成される。
【0042】
二本針による直線縫いは、針板補助板20の両側に沿って行われ、そのとき、2本の針糸ループをまとめてボビンの下糸をくぐらせることで、2本の針糸とボビンの下糸によって縫い目が形成される。
針糸と下糸の結節点は、一般の本縫いと同様に2枚の布の中間点に得られる。
【0043】
従来では、二本針縫いの場合、針穴が長針穴で針板補助板に相当する部材がないために針糸の張力を弱め、下糸張力をそのままにして縫い目を形成していたため、しっかりした縫い目の形成はできなかった。
しかし、針板補助板20により針糸14a、14bは通常の糸張力のままで縫製することを可能にして、しっかりした縫い目を形成することができるようになった。
【0044】
そして、図11、図14に示すように、針板7の溝部23と針板補助板20の間に設けた隙間16により、二本針による擬似カバーステッチ縫いの際の針板補助板20の裏面に、ジグザグ状に渡る下糸15を布の送り動作とともに円滑に針板上面に排出する。
更には、針板補助板20の爪部22は、厚み方向で先端に向かって薄くすること、さらには、幅方向に先端を細くすることにより下糸の排出を容易にすることができる。
【0045】
前記第1実施例では、爪状部材12の実施例として、コの字形の先端部材13a、或いは突出ピン13bを設けたものを利用したが、第2実施例において、図12に示すように、針板補助板20の基部20a、爪部22に替え、コの字形の先端部材13a、或いは突出ピン13bを取着したものを利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、爪状部材、或いは爪部材を取着した針板補助板を利用することによって、疑似カバーステッチによる飾り模様を縫製できるようになり、家庭用ミシンだけでなく、一般の本縫いミシンにも広く利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 本縫いミシン本体
2 ミシンのアーム
3 ベッド
4 針
5 針棒
6 押え足
7 針板
8、9 角穴
10 窓
11 長針穴
11a 針穴左側
11b 針穴右側
12 爪状部材
13 爪部
13a コの字形の先端部材
13b 突出ピン
14 針糸
14a 左針糸
14b 右針糸
15 下糸
16 隙間
17 止めねじ
18 爪なし部材
19 取着板
20 針板補助板
20a 基部
21 丸穴
22 爪部
23、24 溝部
25 溝部長穴
26 補助板段ピン
27 針板作動板
28 作動板穴
29 支持枠
30 針板レバー座板
31 作動板ピン
32 作動板針穴
33 針板レバー
33a、33b 腕
34 段ねじ
35 レバー孔
36 レバーピン
37 ばねピン
38 針板ピン
39 引張りばね
a 二本針の針間隔
b 爪状部材の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針の上下動と釜の協動により縫い目を形成する本縫いミシンにおいて、
本縫いミシンの針板にジグザグ縫い用の長針穴を設け、
該針穴の中央部を覆うように、且つ、布送り方向に沿って針落ち位置を超えてミシン後方側に爪部先端が突出する爪状部材を配設し、
爪状部材の先端側に、爪状部材の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設けたことを特徴とするカバーステッチに疑似する飾り模様を縫製可能にした針板。
【請求項2】
針の上下動と釜の協動により縫い目を形成する本縫いミシンにおいて、
本縫いミシンの針板にジグザグ縫い用の長針穴を設け、
該針穴の中央部を覆うように、且つ、布送り方向に沿って針落ち位置を超えてミシン後方側に爪部先端が突出する爪状部材を配設し、
爪状部材の先端側に、爪状部材の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設け、カバーステッチに疑似する飾り模様を縫製可能にした針板を具えた本縫いミシン。
【請求項3】
爪状部材を、着脱自在としたことを特徴とする請求項1記載の針板。
【請求項4】
爪状部材を、針板に一体的に形成したことを特徴とする請求項1記載の針板。
【請求項5】
爪状部材は、爪部先端が薄くなっていることを特徴とする請求項1記載の針板。
【請求項6】
爪状部材の幅は、二本針の幅に対応して可変であることを特徴とする請求項1、3〜5のいずれかに記載の針板。
【請求項7】
長針穴の幅が、ジグザグ縫いの最大の振幅量に応じた長さであることを特徴とする請求項1、3〜6のいずれかに記載の針板。
【請求項8】
針の上下動と釜の協動により縫い目を形成する本縫いミシンにおいて、
本縫いミシンの針板にジグザグ縫い用の長針穴を設け、
該針穴の中央部を覆うように、且つ、布送り方向に沿って針落ち位置を超えてミシン後方側に突出するように爪部先端を具えた針板補助板を設け、
爪部先端部と針板の針穴の壁との間に、針板補助板の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設けたことを特徴とするカバーステッチに疑似する飾り模様を縫製可能にした針板。
【請求項9】
針の上下動と釜の協動により縫い目を形成する本縫いミシンにおいて、
本縫いミシンの針板にジグザグ縫い用の長針穴を設け、
該針穴の中央部を覆うように、且つ、布送り方向に沿って針落ち位置を超えてミシン後方側に突出するように爪部先端を具えた針板補助板を設け、
爪部先端部と針板の針穴の壁との間に、針板補助板の裏面に渡る下糸が針板上面側に抜けるための隙間を設け、カバーステッチに疑似する飾り模様を縫製可能にした針板を具えた本縫いミシン。
【請求項10】
針板に形成された長針穴の奥側に、針板補助板の爪部先端と重なる部分に針板補助板の裏面に渡る下糸がすり抜ける隙間を形成したことを特徴とする請求項8記載の針板。
【請求項11】
爪状部材の爪部が、コの字状の先端部材、または突出ピンであることを特徴とする請求項1記載の針板。
【請求項12】
針板補助板の爪部先端が、コの字状の先端部材、または突出ピンであることを特徴とする請求項8記載の針板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−5998(P2013−5998A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142367(P2011−142367)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】