説明

カプセル容器

【課題】第1の枠体と第2の枠体とをより確実に係合可能で且つ開放も容易なカプセル容器を提供すること。
【解決手段】カプセル容器において、第2の枠体20の爪22の係止面22aは、嵌合部分20aの外面に近接する方向に傾斜し、第1の枠体10の爪孔12の縁面12aは、嵌合部分10aの外面に対して傾斜し、爪22の係止面22aと爪孔12の縁面12aとが面接触することで、第1の枠体10と第2の枠体20との開放を防止することができようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動販売機で玩具を販売するために、玩具をカプセル容器に入れて販売することが行われている。
このカプセル容器は、半球状で開口を有する第1の枠体及び第2の枠体を備え、第1の枠体の開口と第2の枠体の開口とを突き合わせた状態で該第2の枠体の開口縁に該第1の枠体の開口縁を外側から嵌合させるように構成されている(例えば、特許文献1)。
一方、カプセル容器に入れられた玩具(カプセル玩具)を販売するための自動販売機は、コンビニエンスストアの店先やデパートの階段の踊り場などに設置されており、この自動販売機にあっては、ケース内に多数種類のカプセル玩具を収納しておき、1枚乃至2枚のコインを投入した後、ハンドルを回転させることによって、カプセル玩具を落下させて排出するようになっている。その際、ハンドルの操作に伴ってケース内のカプセル玩具が撹拌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願平3−104598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記自動販売機にあっては、カプセル玩具の撹拌の際や、カプセル玩具の落下の際に、カプセル容器が側面荷重や落下衝撃を受ける。そして、その側面荷重や落下衝撃によって、カプセル容器が変形して開いてしまうことがある。また、人がカプセル容器を握ったりした場合にも、かかる問題が生じる場合がある。
そこで、従来、第2の枠体の開口縁に第1の枠体の開口縁を外側から嵌合させた上で、さらに、第1の枠体と第2の枠体とが強固に係合されるように第1の枠体の外面と第2の枠体の外面とに亘って粘着テープを貼り付けることが行われていた。
しかし、このように粘着テープを使用する場合、カプセル容器を開ける際にテープを剥がさなければならず面倒である。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、第1の枠体と第2の枠体とをより確実に係合可能で且つ開放も容易なカプセル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のカプセル容器は、
開口を有しヒンジによって互いに連結された弾性変形可能な第1の枠体及び第2の枠体を備え、前記第1の枠体の開口と前記第2の枠体の開口とを突き合わせた状態で、前記第2の枠体の開口縁である嵌合部分に前記第1の枠体の開口縁である嵌合部分を外側から嵌合させることによって容器を構成するカプセル容器において、
前記第2の枠体の嵌合部分には外方に突出する爪が形成され、該爪には、該第2の枠体の嵌合部分の外面に近接する方向に傾斜する係止面が形成され、
前記第1の枠体の嵌合部分には、前記第2の枠体の嵌合部分に該第1の嵌合部分を外側から嵌合する際に前記爪が内側から嵌入される爪孔が形成され、該爪孔の縁には、該第1の枠体の嵌合部分の外面に対して傾斜し、前記爪が嵌入された状態で前記第2の枠体と該第1の枠体とが開放される方向に動作する際に前記係止面が面接触する縁面が形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載のカプセル容器は、請求項1に記載のカプセル容器において、前記第2の枠体の外面には該第2の枠体の嵌合部分以外の部分に突起が形成され、前記第1の枠体には、該第2の枠体の嵌合部分に該第1の枠体の嵌合部分を外側から嵌合させた状態で、前記突起に外側から嵌合可能で嵌合状態で該突起の外周に弾性的に圧接されて該突起を捕捉可能な係止片を有する留め具が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載のカプセル容器は、請求項1又は2に記載のカプセル容器において、 前記第1の枠体の内面には、前記第2の枠体の嵌合部分に該第1の枠体の嵌合部分を外側から嵌合させた状態で、前記第1の枠体の嵌合部分との間で前記第2の枠体の嵌合部分を挟持するリブが形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載のカプセル容器は、請求項1から3いずれか一項に記載のカプセル容器において、全体が樹脂にて一体成型されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載のカプセル容器は、請求項4に記載のカプセル容器において、前記樹脂はポリプロピレンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第1の枠体と第2の枠体とが嵌合するとともに、第1の枠体の爪孔に第2の枠体の爪が嵌入されることで、第1の枠体と第2の枠体との係合がより確実となる。
また、第2の枠体の爪の係止面は、該第2の枠体の嵌合部分の外面に近接する方向に傾斜し、第1の枠体の爪孔の縁面は、該第1の枠体の嵌合部分の外面に対して傾斜し、爪が嵌入された状態で第2の枠体と第1の枠体とが開放される方向に動作する際に係止面と面接触するように構成されているので、例えば、カプセル容器に側面荷重や落下衝撃が加わった場合でも、爪と爪孔との係合が解除されにくいものとなる。
さらに、第1の枠体及び第2の枠体はヒンジによって連結されているので、その分も第1の枠体と第2の枠体との係合がより確実となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、第2の枠体の嵌合部分以外の部分に突起が形成され、第1の枠体には、該突起の外周に弾性的に圧接して該突起を捕捉可能な係止片を有する留め具が形成されているので、さらに、第1の枠体と第2の枠体とをより確実に係合させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、第1の枠体の内面には、該第1の枠体の嵌合部分との間で該第2の枠体の嵌合部分を挟持するリブが形成されているので、第1の枠体の嵌合部分、第2の枠体の嵌合部分、及びリブの並び方向への変形の際には、第1の枠体の嵌合部分と第2の枠体の嵌合部分とが同じ量だけ変形するので、第1の枠体と第2の枠体とが外れにくいものとなる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、全体が樹脂にて一体成型されているので、ゴミとなった場合の分別処理の必要がなくなる。
【0014】
以上の発明は、樹脂がより柔軟性を持つ樹脂である場合に、例えば、請求項5に記載の発明のようにポリプロピレンである場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態のカプセル容器の正面斜視図である。
【図2】図1のカプセル容器の左側面斜視図である。
【図3】図1のカプセル容器を開放した状態を示す斜視図である。
【図4】図1のカプセル容器の爪と爪孔との係合状態を示す図であり、(A)は一の方向の外力が作用した場合の断面図、(B)は他の方向の外力が作用した場合の断面図である。
【図5】比較例のカプセル容器の爪と爪孔との係合状態を示す図であり、(A)は一の方向の外力が作用した場合の断面図、(B)は他の方向の外力が作用した場合の断面図である。
【図6】図1のカプセル容器の爪の拡大断面図である。
【図7】図1のカプセル玩具の留め具の正面図である。
【図8】図1のカプセル玩具の第1の枠体、第2の枠体及びリブとの係合関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るカプセル容器の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は実施形態のカプセル容器の正面斜視図、図2は図1のカプセル容器の左側面斜視図である。
このカプセル容器1は、全体が樹脂、例えばポリスチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂によって一体成型されている。このカプセル容器1は、図3に示すように、開口11を有する第1の枠体10と、開口21を有する第2の枠体20とを備えている。第1の枠体10及び第2の枠体20は略半球状で中空となっている。そして、このカプセル容器1は、第1の枠体10と第2の枠体20とがヒンジ30によって互いに連結され、第1の枠体10の開口11と第2の枠体20の開口21とを突き合わせた状態で該第2の枠体20の開口縁である嵌合部分20aに該第1の枠体10の開口縁である嵌合部分10aを外側から嵌合させることによって容器が構成されて、玩具を内部に収容できるようになっている。なお、図1及び図2において符号17は空気孔を指示している。
【0018】
図3及び図4に示すように、第2の枠体20の嵌合部分20aには爪22が外方に突出して形成されている。この爪22には係止面22aが形成されている。この係止面22aは、図6(A)に示すように、嵌合部分20aの外面に近接する方向に傾斜している。換言すれば、係止面22aは、嵌合部分20aの外面に対して鋭角αを成すように傾斜している。
また、図3及び図4に示すように、第1の枠体10の嵌合部分10aは他の部分に対して外方に段状に膨出しており、この嵌合部分10aには爪孔12が形成されている。この爪孔12には、図1及び図4(A)に示すように、嵌合部分20aに嵌合部分10aを外側から嵌合させた際に、爪22が内側から嵌入可能となっている。爪孔12への爪22の嵌入は、第1の枠体10及び第2の枠体20の弾性によって行われる。また、爪孔12の縁には、図6(B)に示すように嵌合部分10aの外面に対して傾斜し、且つ、図4(A)に示すように爪22が嵌入された状態で第2の枠体20と第1の枠体10とが開放される方向に動作する際に係止面22aが面接触する縁面12aが形成されている。この縁面12aは嵌合部分10aの外面に対して鋭角αを成すように傾斜している
なお、この実施形態の爪22は断面がほぼ3角形状となっているが、該断面は3角形状でなくてもよい。
【0019】
また、図1及び図3に示すように、第1の枠体10には留め具13が形成されている。この留め具13はヒンジ40によって第1の枠体10に連結されている。この留め具13は、図7に示すように、矩形状の枠部14と該枠部14の中央部に形成された台形状の係止片14a,14b,14c,14dを備えている。枠部14はある程度の剛性を有するように厚く形成され、係止片14a,14b,14c,14dは弾性を有するよう枠部14よりも薄く形成されている。
一方、第2の枠体20の表面には突起23が形成されている。この突起23は、突出方向に直交する断面が矩形状となっている。なお、突起23は該断面が方形、円形その他の形状であってもよい。
そして、嵌合部分20aに嵌合部分10aを外側から嵌合させた状態で、カプセル容器1の外側から留め具13を突起23に嵌合させることで、係止片14a,14b,14c,14dの先端部が突起23の4つの面に弾性的に圧接され、留め具13によって突起23が捕捉される。この捕捉状態を解く場合には、留め具13を突起23から離間させればよい。
【0020】
また、図3及び図8に示すように、第1の枠体10の内面には2つのリブ15が該第1の枠体10の周方向に互いに離間した位置に形成されている。リブ15の一端部は嵌合部分10aの内面との間に所定の隙間15aを形成している。
そして、嵌合部分10aを嵌合部分20aに嵌合させた際、上記隙間15aに第2の枠体20の嵌合部分20aが差し込まれ、この嵌合部分20aが嵌合部分10aとリブ15との間で挟持されるようになっている。
【0021】
このように構成されたカプセル容器1によれば、次のような作用及び効果を奏する。
第2の枠体20の爪22の係止面22aは、嵌合部分20aの外面に近接する方向に傾斜し、第1の枠体10の爪孔12の縁面12aは、嵌合部分10aの外面に対して傾斜しているので、図4(A)に示すように、外力Fが作用した場合には、爪22の係止面22aと爪孔12の縁面12aとが面接触し、第1の枠体10と第2の枠体20とが開放されるのを防止することができる。この作用及び効果は、図5の比較例に示すように第2の枠体20の爪22の係止面22aが嵌合部分20aの外面に直立している場合にも得られる(図5(A)参照)。
一方、図4(B)に示すように第1の枠体10に外力Fが作用し、嵌合部分20aの外面に対して嵌合部分10aの内面が離れる方向に動作しようとする際には、縁面12aが爪22の先に強く圧接され、これによって、嵌合部分10aに嵌合部分20aが追従するので、爪孔12と爪22との係合が解除されるのが防止される。この場合、嵌合部分10a,20aは各基端部を中心に回転する形となる。
この作用及び効果は、図5の比較例に示すように第2の枠体20の爪22の係止面22aが嵌合部分20aの外面に直立している場合には得にくく、比較例では、嵌合部分20aの外面に対して嵌合部分10aの内面が離れる方向に少し動作しただけで、爪孔12と爪22との係合が解除されてしまうことになる(図5(B)参照)。
【0022】
また、第2の枠体10に突起23が形成され、第1の枠体10には、該突起23の外周に弾性的に圧接して該突起23を捕捉可能な係止片14a,14b,14c,14dを有する留め具13が形成されているので、さらに、第1の枠体10と第2の枠体20とをより確実に係合させることができる。
【0023】
また、第1の枠体10の内面には、嵌合部分10aとの間で嵌合部分20aを挟持するリブ15が形成されているので、嵌合部分10a、嵌合部分20a及びリブ15の並びの方向への変形の際には、嵌合部分10aと嵌合部分20aとが同じ量だけ変形するので、嵌合部分10aと嵌合部分20aとが外れにくいものとなる。
【0024】
また、全体が樹脂にて一体成型されているので、ゴミとなった場合の分別処理の必要がなくなる。
【0025】
なお、以上の作用効果は、樹脂がより柔軟性を持つ樹脂である場合、例えば、ポリプロピレンである場合に特に有効である。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
1 カプセル容器
10 第1の枠体
10a 嵌合部分
11 開口
20 第2の枠体
20a 嵌合部分
21 開口
23 留め具
30 ヒンジ
40 ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有しヒンジによって互いに連結された弾性変形可能な第1の枠体及び第2の枠体を備え、前記第1の枠体の開口と前記第2の枠体の開口とを突き合わせた状態で、前記第2の枠体の開口縁である嵌合部分に前記第1の枠体の開口縁である嵌合部分を外側から嵌合させることによって容器を構成するカプセル容器において、
前記第2の枠体の嵌合部分には外方に突出する爪が形成され、該爪には、該第2の枠体の嵌合部分の外面に近接する方向に傾斜する係止面が形成され、
前記第1の枠体の嵌合部分には、前記第2の枠体の嵌合部分に該第1の嵌合部分を外側から嵌合する際に前記爪が内側から嵌入される爪孔が形成され、該爪孔の縁には、該第1の枠体の嵌合部分の外面に対して傾斜し、前記爪が嵌入された状態で前記第2の枠体と該第1の枠体とが開放される方向に動作する際に前記係止面が面接触する縁面が形成されていることを特徴とするカプセル容器。
【請求項2】
前記第2の枠体の外面には該第2の枠体の嵌合部分以外の部分に突起が形成され、前記第1の枠体には、該第2の枠体の嵌合部分に該第1の枠体の嵌合部分を外側から嵌合させた状態で、前記突起に外側から嵌合可能で嵌合状態で該突起の外周に弾性的に圧接されて該突起を捕捉可能な係止片を有する留め具が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプセル容器。
【請求項3】
前記第1の枠体の内面には、前記第2の枠体の嵌合部分に該第1の枠体の嵌合部分を外側から嵌合させた状態で、前記第1の枠体の嵌合部分との間で前記第2の枠体の嵌合部分を挟持するリブが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカプセル容器。
【請求項4】
全体が樹脂にて一体成型されていることを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載のカプセル容器。
【請求項5】
前記樹脂はポリプロピレンであることを特徴とする請求項4に記載のカプセル容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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