説明

カメラの外部電池取付け構造

【目的】 外部電池をカメラに容易に操作性よく取付ける。
【構成】 グリップ装置22のグリップ部26内に外部電池38a,38bを設けて、カメラボデー4のグリップ係脱用ピン18a,18bにグリップ装置22のカメラ取付穴30a,30bを挿入してアクセサリー取付ピン20にクランプ部32をクランプする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラの外部電池取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】120タイプや220タイプのいわゆるブローニーフィルムを使用する6×7判等の中判カメラでは、フィルムの巻上等は一般に撮影者が手動で行う構造であるが、シャッター制御は電気的に行っている機種もあり、この場合はシャッター制御専用の電池が必要となる。また、露出計を備えている場合は、露出計の電源はこのシャッター制御専用の電池で共用する。シャッター制御は消費電力が比較的少ないので、シャッター制御専用電池は容量が比較的少ないタイプ(例えば4LR44形アルカリマンガン電池や4SR44形酸化銀電池)が1個用いられている。このシャッター制御専用電池は、カメラ内の電池室に取り外し自在に収納される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したように6×7判等の中判カメラのシャッター制御専用電池が、4LR44形や4SR44形といわれる薄形の電池の場合、この電池は比較的容量が小さいために、例えばバルブシャッターで長時間露光を頻繁に行うと、電池の寿命が短くなるという問題があった。また、この電池は低温時の温度特性が悪いので、寒冷地等での使用ではカメラ内から電池を取り出して、電池を収納した電池ケースを撮影者のポケット等に入れて保温しながら撮影を行っていた。しかしながら、このように電池を収納した電池ケースは、カメラ側の電池室と長いコードを介して連結されているので、コードの取り回しが煩雑になり、撮影の邪魔になる場合があった。本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、長時間露光を頻繁に行う場合に電池性能の低下が生ぜず、寒冷地等で使用する場合であってもコード部材の取り回しの煩雑さを解消できるカメラの外部電池取付け構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明は、カメラボデーを保持するグリップ装置を着脱自在に取付けるグリップ取付け部材と、シャッター制御専用の電池が収納される電池室とを備えたカメラに、前記電池とは別の外部電池の電気エネルギーを供給するための外部電池取付け構造であって、前記グリップ取付け部材に取付けられるグリップ装置の前記カメラボデーを保持するためのグリップ部内に形成され、前記シャッター制御専用の電池よりも容量の大きい外部電池を収納する外部電池室と、前記外部電池室に収納された前記外部電池と電気的に接続されたコード部材と、前記コード部材の端部に設けられ、前記カメラボデー側に係脱可能に接続して前記外部電池の電気エネルギーを前記カメラボデー側に供給するコネクタ部とを備えたことを特徴としている。
【0005】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るカメラの外部電池取付け構造を示す正面図、図2は、外部電池が取付けられるカメラを示す斜視図、図3は図2に示したカメラに取付けられるグリップ装置を示す斜視図である。図1、図2に示したように、2は120タイプや220タイプのブローニーフィルムを使用する6×7判カメラ(以下、カメラという)、4はカメラボデー、6はレンズマウント、8はレンズ鏡筒、10はファインダーである。このカメラ2のフィルム巻上は手動で行い、シャッター制御はシャッター制御専用電池により電気的に行われる。また、レンズ鏡筒8が装着されるレンズマウント6の底部にはシャッター制御専用電池(4LR44形アルカリマンガン電池や4SR44形酸化銀電池)が収納される電池室12を備え、電池室12は電池蓋14により開閉される。レンズマウント6の側面の電池室12近傍には、電池室12内と電気的に導通している外部電源ソケット16が形成されている。また、カメラ2のファインダー10に露出計が内蔵されている時は、この露出計もシャッター制御専用電池で共有される。レンズ鏡筒8の両側におけるカメラボデー4の前面4aの上下には、それぞれグリップ係脱用ピン18a,18bが取付けられている。グリップ係脱用ピン18a,18bは、軸部18c,18dと、軸部18c,18dの径よりも大きく形成された頭部18e,18fとで形成されている。
【0006】また、このグリップ係脱用ピン18a,18bが位置するレンズマウント6の側面で前記グリップ係脱用ピン18a,18bの間の箇所にアクセサリー取付ピン20が外側方に向けて突設されている。また、22はカメラ2のホールド性を高めるためのグリップ装置であり、カメラボデー4側に着脱自在に取付けるためのブラケット24と、カメラボデー4を撮影者がホールドするためのグリップ部26と、ブラケット24にグリップ部26を固着するグリップベルト28a,28bとで構成されている。ブラケット24の上下部分には、それぞれグリップ係脱用ピン18a,18bに挿入されるカメラ取付穴30a,30bが形成され、カメラ取付穴30a,30bの間にはアクセサリー取付ピン20にクランプされるクランプ部32とクランプノブ34が取付けられている。カメラ取付穴30a,30bは、上下方向に長穴状に形成されており、カメラ取付穴30a,30bの裏側には、それぞれスペーサ部材(図示省略)を介してカメラ取付穴30a,30bの大きさに対応したガイド穴36a,36bと溝部36c,36dが連通して形成されている。溝部36c,36dはカメラ取付穴30a,30bよりもやや小さい幅で形成されている。尚、カメラ取付穴30a,30bは、グリップ係脱用ピン18a,18bの頭部18e,18fを挿通できる大きさで形成され、また、溝部36c,36dはグリップ係脱用ピン18a,18bの軸部18c,18dが移動できる幅で形成されている。カメラ取付穴30a,30bとクランプ部32の位置は、ぞれぞれカメラボデー4に設けたグリップ係脱用ピン18a,18bとアクセサリー取付ピン20の位置に対応するようにして形成されている。
【0007】グリップ部26内には、2個のリチウム電池(CR123A)38a,38bが収納される外部電池室40が形成されており、底部の電池蓋42の開閉によってリチウム電池38a,38bの収納、取出しが行われる。リチウム電池(CR123A)38a,38bは、例えば4LR44形アルカリマンガン電池や4SR44形酸化銀電池等のような電池室12に収納されるシャッター制御専用電池に較べて大容量であり、しかも低温特性が優れている。また、外部電池室40には、収納されるリチウム電池38a,38bと電気的に接続されたコード部材44が取付けられており、コード部材44の先端部にはカメラ2側の外部電源ソケット16に接続されるコネクタ部46が取付けられている。
【0008】次に、作用について説明する。バルブシャッターによる長時間露光や寒冷地等での撮影時には、リチウム電池(CR123A)38a,38bをグリップ部26内の外部電池室40に収納したグリップ装置22を、図1に示すようにカメラ2側に装着する。
【0009】即ち、カメラボデー4側に設けたグリップ係脱用ピン18a,18bの頭部18e,18fにそれぞれブラケット24のカメラ取付穴28a,28bとガイド穴36a,36bを挿入し、グリップ装置22を持ち上げて溝部36c,36dをグリップ係脱用ピン18a,18bの軸部18c,18dの下端に移動させる。そして、アクセサリー取付ピン20にクランク部32を当接してクランプノブ34を回して締め付けることによって、グリップ装置22がカメラ2に装着される。そして、コード部材44のコネクタ部46をカメラボデー4側の外部電源ソケット16に装着し、外部電池室40をコード部材44を介してカメラボデー4側の電池室12と電気的に接続して、外部電池室40内のリチウム電池38a,38bをシャッター制御電池として使用する。コネクタ部46をカメラボデー4側の外部電源ソケット16に装着することにより、カメラ2の電池室12内の電池(4SR44形酸化銀電池等)から外部電池室40内のリチウム電池38a,38bに電源ラインが切替わる。また、グリップ装置22をカメラボデー4から外す時は、クランプノブを逆に回してクランプ部32を緩めることにより外すことができる。
【0010】このように、カメラボデー4の電池室12に収納されるシャッター制御専用電池(4SR44形酸化銀電池等)に替えて、グリップ部26内の外部電池室40に収納される大容量で低温特性がよいリチウム電池38a,38b(CR123A)をカメラ2のシャッター速度制御や露出計の電源として用いることにより、バルブシャッターによる長時間露光や寒冷地等での撮影時においても、電池交換することなく撮影を長時間行うことができる。また、リチウム電池38a,38bは低温特性がよいので、低温時でも保温処理することなく撮影を行うことができる。更に、リチウム電池38a,38b(CR123A)は、カメラボデー4の電池室12に収納される銀電池(4SR44)に比べて安いので、電池交換時のコストを安くすることができる。
【0011】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によれば、カメラボデーに着脱自在に装着されるグリップ装置のカメラボデーを保持するためのグリップ部内に大容量の外部電池を収納して、この外部電池の電気エネルギーをカメラボデー側に供給することができるので、長時間露光や寒冷地等で使用する場合でも、電池の性能低下を低減して長時間撮影を行うことができる。また、外部電池をグリップ装置のグリップ部内に収納して取付けることにより、カメラ側に接続されるコード部材を短くすることができるので、コード部材の取り回しの煩雑をなくしてカメラの操作性をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカメラの外部電池取付け構造を示す正面図である。
【図2】外部電池が取付けられるカメラを示す斜視図である。
【図3】図2に示したカメラに取付けられる外部電池を収納したグリップ装置を示す斜視図である。
【符合の説明】
2 カメラ
4 カメラボデー
18a,18b グリップ係脱用ピン
20 アクセサリー取付ピン
22 グリップ装置
24 ブラケット
26 グリップ部
30a,30b カメラ取付穴
32 クランプ部
38a,38b リチウム電池
40 外部電池室
44 コード部材
46 コネクタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラボデーを保持するグリップ装置を着脱自在に取付けるグリップ取付け部材と、シャッター制御専用の電池が収納される電池室とを備えたカメラに、前記電池とは別の外部電池の電気エネルギーを供給するための外部電池取付け構造であって、前記グリップ取付け部材に装着されるグリップ装置の前記カメラボデーを保持するためのグリップ部内に形成され、前記シャッター制御専用の電池よりも容量の大きい外部電池を収納する外部電池室と、前記外部電池室に収納された前記外部電池と電気的に接続されたコード部材と、前記コード部材の端部に設けられ、前記カメラボデー側に係脱可能に接続して前記外部電池の電気エネルギーを前記カメラボデー側に供給するコネクタ部とを備えた、ことを特徴とするカメラの外部電池取付け構造。
【請求項2】 前記カメラは、6×4.5判、6×6判、6×7判または6×9判の中判カメラである請求項1記載のカメラの外部電池取付け構造。
【請求項3】 前記外部電池室に収納される外部電池は、リチウム電池である請求項1または2記載のカメラの外部電池取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平8−201896
【公開日】平成8年(1996)8月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−31582
【出願日】平成7年(1995)1月26日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)