説明

カメラヘッド

【課題】構造が簡単で、操作性に優れ、かつレンズユニットのフォーカス調整位置を確実にロックできるカメラヘッド3を提供すること。
【解決手段】リング31の突起31aとフロントハウジング20内面との摩擦によってレンズユニット12の自由な回動を制限し、レンズユニット12のフォーカス調整位置をロックする。リング31は全周がハウジング20の内面に圧接するのではなくて、突起31aだけがハウジング20内面に圧接いるので、レンズユニット12の自由な回動は制限されるものの、レンズユニット12を強制的に回動してフォーカス調整を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラヘッドに関し、より詳しくはハウジングにレンズユニットを進退可能にねじ付け、回動操作によりレンズユニットを進退させてフォーカス調整を行うように構成したカメラヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラの一形式として、カメラヘッドとカメラ本体をケーブルで接続し、カメラヘッド側にレンズユニットとCCDを内蔵し、カメラ本体側に電源回路、映像処理回路、CCD駆動回路等を内蔵したヘッド分離型カメラが実用に供されている。
【0003】
この種のヘッド分離型カメラの用途の一つに、カメラヘッドを固定し、カメラヘッドから一定距離にある被写体を連続して撮影することがある。例えば、生産ラインの各種機器の作動や加工機におけるワークの加工状態を監視するため機器や加工機の近辺にカメラヘッドを固定し、機器やワークにフォーカス調整して使用される。
【0004】
このような用途に供する場合、ハウジングにレンズユニットを進退可能にねじ付け、回動操作によりレンズユニットを進退させてフォーカス調整を行うように構成したカメラヘッドにあっては、レンズユニットを機器や加工機に合わせてフォーカス調整した後に、機器や加工機からカメラヘッドに伝わる振動でレンズユニットが僅かでも回動すると、先に行ったフォーカス調整が狂ってくる。そのため、この種のカメラヘッドにはレンズユニットのフォーカス調整位置をロックする手段を設けることが好ましい。
【特許文献1】引用なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、構造が簡単で、操作性に優れ、かつレンズユニットのフォーカス調整位置を確実にロックできるカメラヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1な記載の発明は、ハウジングにレンズユニットを進退可能にねじ付け、回動操作によりレンズユニットを進退させてフォーカス調整を行うように構成したカメラヘッドであって、前記レンズユニットの外周面に、弾性材料からなり外周部に突部を形成したリングを装着し、前記突部を前記ハウジング内面に圧接させたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載のカメラヘッドにおいて、前記突部を複数箇所に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は請求項2に記載のカメラヘッドにおいて、前記突部を前記リングの直径に関して線対称に配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は請求項1に記載のカメラヘッドにおいて、前記レンズユニットの外周面にリング溝を形成し、該リング溝に前記リングを装着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、リングの突部とハウジング内面との摩擦によってレンズユニットの自由な回動が制限されるので、レンズユニットのフォーカス調整位置をロックできる。一方、リングは全周がハウジング内面に圧接するのではなくて、突部だけがハウジング内面に圧接するので、レンズユニットの自由な回動は制限されるものの、レンズユニットを強制的に回動してフォーカス調整を行うことが可能となる。このようにリングに突部を設けてハウジング内面に圧接させただけの簡単な構造にもかかわらず、レンズユニットのフォーカス調整とフォーカス位置のロックが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、突部を複数箇所に設けたので、突部の個数と配置を適宜選択することにより、突部とハウジング内面間の摩擦力を、レンズユニットのフォーカス位置を確実にロックでき、かつレンズユニットのフォーカス調整時の強制回動時の操作感も良好となるように設定できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、突部を線対象に配置したので、簡単な構造で、レンズユニットのロックの確実性を高め、かつ操作感もより向上する。
【0013】
また、請求項4に記載の発明によれば、リングを確実にレンズユニット外周面に装着できる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係るカメラヘッドを備えたヘッド分離型カメラ装置1の斜視図、図2は同装置のブロック図、図3はカメラヘッドの断面図、図4はカメラヘッドの主要部の断面図、図5はカメラヘッドに装着されるリングの正面図、図6は同リングの断面図である。ヘッド分離型カメラ装置1は、コントロールユニット2とカメラヘッド3とから構成されている。カメラヘッド3は、入出力用ケーブル(以下、ケーブルという。)4によりコントロールユニット2と接続している。また、コントロールユニット2は図2のブロック図に示すように、撮像素子(以下、CCDという。)駆動回路、CCD13からの映像信号を処理する映像処理回路(1),(2)、ネットワーク処理回路及び電源回路等から構成されている。
【0015】
カメラヘッド部3の主要構成部品は、リヤハウジング11、フロントハウジング20、フロントハウジング20に収納されるレンズユニット12、リヤハウジング11に収納されるCCD13である。リヤハウジング11の後端部には、ケーブルホルダ15が固定されている。ケーブルホルダ15には、ケーブル4が挿通されて保持されている。リヤハウジング11の後端部外周と該後端部から挿通されるケーブル4の一部に、ゴムスリーブ16が被着されている。リヤハウジング11の内部のケーブルホルダ15の前側には、CCD13の基板ホルダ17が固定されている。基板ホルダ17には、CCD13の回路基板18とCCD基板19が取り付けられている。
【0016】
上記リヤハウジング11の前端部開口には、フロントハウジング20が装着され前記基板ホルダ17に固定されている。フロントハウジング20にはCCD13が保持されるとともに、光学水晶フィルタ21がCCD13の前方に取り付けられている。さらに、フロントハウジング20のリヤハウジング11の前端開口から突出する円筒部22の内周には、雌ネジ23が形成されている。該雌ネジ23には、レンズユニット12の後端部がねじ付けられ、回動操作により進退可能に取り付けられている。
【0017】
そして、フロントハウジング20の前端部外周には、キャップ24が螺着されてレンズユニット12の前端部を覆っている。キャップ24の開口には前面ガラス25が装着されている。
【0018】
リヤハウジング11とケーブルホルダ15、フロントハウジング20の接合部、フロントハウジング20とキャップ24との接合部及び該キャップ24と前面ガラス25との装着部には、それぞれOリング26,27,28,29が嵌装されていて、カメラヘッド3の全体が防水されている。
【0019】
図4に詳細を示すように、レンズユニット12の中間外周部にはリング溝30が全周にわたって形成され、該リング溝30にリング31が装着されている。リング31は弾性材料から成り、図5及び図6に示すように外周部に8個の突起31aが等角度間隔で形成されている。また、リング31の内周部の一端に突条31bが全周にわたって形成されている。突起31aはリング31の直径に関して線対象に配置されている。リング31は突条31bをリング溝30に嵌合することによりレンズユニット12に装着されている。リング31の反突条側端部31cはリング溝30の外側でレンズユニット12の外周部に接触し、突部31aはフロントハウジング20の内面に接触している。また、リングの反突起側内周部と第2溝30b間にはスペースSが形成されている。リング31は弾性材料から成るので、突条31bがリング溝30の底面に圧接し、反突条側端部31cはレンズユニット12の外周部に圧接し、突起31aがフロントハウジング20の内面に圧接している。
【0020】
本実施例に係るカメラヘッド3の構造は以上の通りであって、キャップ24及び前面ガラス25を取り外し、フロントハウジング20から露出したレンズユニット12を回動操作し、雌ねじ23に沿って進退させてフォーカス調整を行う。フォーカス調整後、再び前面ガラス25とキャップ24を取り付けて使用する。
【0021】
本実施例に係るカメラヘッド3は、リング31の突起31aとフロントハウジング20内面との摩擦によってレンズユニット12の自由な回動が制限されるので、レンズユニット12のフォーカス調整位置をロックできる。一方、リング31は全周がハウジング20の内面に圧接するのではなくて、突起31aだけがハウジング20内面に圧接し、レンズユニット12の自由な回動は制限されるものの、レンズユニット12を強制的に回動してフォーカス調整を行うことが可能となる。このようにリング31に突起31aを設けてハウジング20内面に圧接させただけの簡単な構造にもかかわらず、レンズユニット12のフォーカス位置ロックとフォーカス位置調整が可能となる。
【0022】
また、突起31aを複数箇所に設けるとともに線対象に配置したので、レンズユニット12のフォーカス位置を確実にロックできる。
【0023】
さらにまた、リング溝30にリング31を装着する構成を採用したので、リング31を確実にレンズユニット12の外周面に装着できる。とりわけ、リング溝30の底面とリング31間にスペースSを形成したので、レンズユニット12の強制回動操作時、リング31が反フロントハウジング20側に撓む余裕が生ずる。このため、回動時の操作感がより一層向上する。
【0024】
なお、本実施例に係るカメラヘッド3はヘッド分離型カメラ1に適用した場合について説明したが、本発明はハウジングにレンズユニットを進退可能にねじ付け、回動操作によりレンズユニットを進退させてフォーカス調整を行うように構成したカメラヘッドであれば、通常の形態を有するカメラにも適用可能である。また、突部の一例として突起31aを形成したが、突起31aのようにフロントハウジング20内周面との接触面積が少ない形態に限定されるものではなく、突条のように突起31aに比べて接触面積の大きなものを部分的に形成することも可能である。
【0025】
また、カメラヘッド部3は、前面ガラス25を装着したキャップ24に代えて、単玉のコンバーションレンズを装着したキャップを、フロントハウジング20の前端部外周に螺着することができる。この場合のコンバーションレンズは、凹レンズであり画角が広がり広角仕様のカメラヘッドとなる。コンバーションレンズの種類毎に装着したキャップを用意して、交換することにより、簡単にカメラヘッドを望遠等の仕様に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ヘッド分離型カメラ装置の斜視図である。
【図2】同、ブロック図である。
【図3】カメラヘッド部の断面図である。
【図4】カメラヘッドの要部の断面図である。
【図5】カメラヘッドに装着されるリングの正面図である。
【図6】同リングの断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ヘッド分離型カメラ装置
2 コントロールユニット
3 カメラヘッド部
12 レンズユニット
20 フロントハウジング
30 リング溝
31 リング
31a 突起
31b 突条
S スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングにレンズユニットを進退可能にねじ付け、回動操作によりレンズユニットを進退させてフォーカス調整を行うように構成したカメラヘッドであって、前記レンズユニットの外周面に、弾性材料からなり外周部に突部を形成したリングを装着し、前記突部を前記ハウジング内面に圧接したことを特徴とするカメラヘッド。
【請求項2】
前記突部を複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1に記載のカメラヘッド。
【請求項3】
前記突部を前記リングの直径に関して線対称に配置したことを特徴とする請求項2に記載のカメラヘッド。
【請求項4】
前記レンズユニットの外周面にリング溝を形成し、該リング溝に前記リングを装着したことを特徴とする請求項1に記載のカメラヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−47872(P2009−47872A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213267(P2007−213267)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】