説明

カメラ付きマウス及びそのカメラ付きマウスを用いた入力支援システム

【課題】被読取対象を簡単かつ確実に読取ることのできるカメラ付きマウスを提供する。
【解決手段】カメラ付きマウス1は、コンピュータ装置の入力操作に用いられ、被読取対象(URLなど)を読取るカメラ20を有しており、そのカメラ20が、下側を向く態様で側部周辺の被読取対象を読取る。このカメラ付きマウス1により、読み取りを行うに際して被読取対象を隠してしまうことなく、使用者はカメラ20に対する被読取対象の位置を目視により確認しながら読み取ることができるため、被読取対象を簡単かつ確実に読み取ることが可能になる。このため、紙媒体などに記載される名簿や住所録などのデータベース化や、紙媒体などに記載されるURLに対応するウェブサイトへのアクセスなども容易になり、また、入力ミスも少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置の入力操作に用いられ、被読取対象を読み取るカメラを有するカメラ付きマウス及びそのカメラ付きマウスを用いて入力の支援をする入力支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)は、使用者によってマウス及びキーボードなどから情報が入力され、ディスプレイにパソコン内の情報を表示させながら入力された情報に基づいて動作する。
【0003】
例えば、使用者がパソコンを用いてインターネットなどのネットワーク内にあるウェブサイトあるいはホームページにアクセスする際、アクセスするためのURL(Uniform Resource Locar)が雑誌や本などの紙媒体などに記載されている場合、使用者によりキーボードからURLが入力される。ところが、ウェブサイトなどは無数に存在するため、ウェブサイトを特定するURLは文字数の多い文字列によって構成されている場合がほとんどである。従って、キーボードからURLを入力することは非常に面倒な作業であり、また、URLの入力ミスも頻繁に生じていた。
【0004】
また、その他、紙媒体などに記載されている名簿や住所録などをパソコンを用いてデータベース化するといった場合も同様、入力は非常に面倒な作業であった。
【0005】
そこで、上記のような問題点を解消するために、マウスにカメラやスキャナなどの読取装置を備える技術が従来から知られている(下記特許文献1〜8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−516333号公報
【特許文献2】特開2008−210026号公報
【特許文献3】特開2006−338360号公報
【特許文献4】特開2006−079453号公報
【特許文献5】特開2005−339113号公報
【特許文献6】特開2002−196884号公報
【特許文献7】特開2002−091699号公報
【特許文献8】特開2001−016410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜8に開示されるマウスは、いずれもマウスの裏面にカメラなどの読取装置が設けられている。これらのマウスは、URLなどの被読取対象の上面を覆う位置に移動されることによって読み取りを行うため、マウスによって被読取対象が隠れてしまい、使用者からは被読取対象が見えなくなる。これにより、被読取対象を正確に読み取ることができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、被読取対象を簡単かつ確実に読み取ることのできるカメラ付きマウスを提供することを目的とする。また、そのカメラ付きマウスを用いて入力を容易にさせるための支援をする入力支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカメラ付きマウスは、コンピュータ装置の入力操作に用いられ、被読取対象を読み取るカメラを有し、そのカメラは、マウスの側部周辺に位置する被読取対象を読み取る態様で設けられていることを特徴とする。これにより、読み取りを行うに際して被読取対象を隠してしまうことなく、使用者はカメラに対する被読取対象の位置を目視により確認しながら読み取ることができる。
【0010】
また、カメラは、マウスの右側部または左側部に設けられているのが好ましい。これにより、使用者にとってカメラと被読取対象との位置をより目視しやすくなり、被読取対象を確実に読み取ることができる。
【0011】
また、カメラは、マウスのマウスの右側部または左側部における前部に設けられているのが好ましい。これにより、使用者の操作を妨げることなく、被読取対象を読み取ることができる。
【0012】
また、カメラは、マウスから突出する態様で設けられるのが好ましい。これにより、カメラを被読取対象に正対させることができるため、被読取対象を精度よく読み取ることができる。
【0013】
また、カメラと同一側に突出する態様で設けられ、被読取対象の位置を特定させる位置特定部材を備えるのが好ましい。これにより、目では見えないカメラの読取位置が物理的に表現されるため、使用者は被読取対象の位置を正確に特定することができる。
【0014】
本発明の他の局面において、入力支援システムは、上記したカメラ付きマウスと、カメラ付きマウスの移動と連動してカメラにより読み取った被読取対象の入力箇所を特定する入力箇所特定手段とを備えることを特徴とする。これにより、読み取った被読取対象を入力するために、入力箇所を逐一特定する手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カメラが側部周辺の被読取対象を読み取る態様で設けられることにより、読み取りを行うに際して被読取対象を隠してしまうことなく、使用者はカメラに対する被読取対象の位置を目視により確認しながら読み取ることができるため、被読取対象を簡単かつ確実に読み取ることが可能になる。このため、紙媒体などに記載される名簿や住所録などのデータベース化や、紙媒体などに記載されるURLに対応するウェブサイトへのアクセスなども容易になり、また、入力ミスも少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】カメラ付きマウスの斜視図である。
【図2】カメラ付きマウスの(a)平面図、および(b)背面図である。
【図3】カメラ付きマウスの電気的構成をすブロック図である。
【図4】カメラ付きマウスの斜視図である。
【図5】カメラ付きマウスの(a)平面図、および(b)背面図である。
【図6】入力支援システムの構成を示すブロック図である。
【図7】入力支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】(a)カメラ付きマウスの状況と、(b)表示部の表示内容とを示す第1の図である。
【図9】(a)カメラ付きマウスの状況と、(b)表示部の表示内容とを示す第2の図である。
【図10】(a)カメラ付きマウスの状況と、(b)表示部の表示内容とを示す第3の図である。
【図11】(a)カメラ付きマウスの状況と、(b)表示部の表示内容とを示す第4の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
次に、本発明に係るカメラ付きマウス(以下「本マウス」という)の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本マウス1は、コンピュータ装置の入力操作に用いられるカメラ付きマウスであり、図1に示すように、使用者の右手によって握持されて机などの上を移動するマウス本体10と、マウス本体10の左側部から突出する態様で設けられるカメラ20と、マウス本体10の前部に設けられるシャッターボタン30と、カメラ20より後方側であってマウス本体10の左側部から突出する態様で設けられる位置特定バー40とを備える。
【0019】
前記マウス本体10は、本マウス1の前部に位置し、使用者の命令を受け付ける受付部11と、本マウス1の略中央部から後部にかけて位置し、略曲円形状の外形を有し、本マウス1における機能全般を実行させるための各種構成を内蔵する握持部12と、本マウス1の移動または位置を検知する移動検知部52とを備える。
【0020】
前記受付部11は、主にパソコン操作におけるメニューを展開させる命令を受け付ける右クリックボタン111と、主にパソコン操作における決定の命令を受け付ける左クリックボタン112と、パソコンの表示部に表示された情報をスクロールさせる命令を受け付けるホイール113とを備えており、一般的なマウスと同様の命令を受け付ける。
【0021】
前記握持部12は、外形が使用者の手に馴染む形状に形成されており、内部に通常のマウスとして作動するための構成や、詳細を後述するが被読取対象の読み取りを実行するための構成を備えている。
【0022】
前記移動検知部52は、握持部12に内蔵されており、本マウス1の裏面に本マウス1の移動及び位置の検知を行う検知センサ(図示略)を有している。この移動検知部52は、一般的なマウスの機能と同様、使用者が本マウス1を机の上で移動させることによって本マウス1の移動に関する情報(位置や距離など)を検知センサにより検知する。
【0023】
なお、ここにおけるマウス本体10は、移動に関する情報を光学的に検知する、いわゆる「光学式マウス」である。また、マウス本体10は、無線でパソコンに情報を送信する送信部54を備え、移動検知部52によって検知された移動に関する情報やその他本マウス1に入力された情報を無線により送信する、いわゆる「ワイヤレスマウス」である。
【0024】
このマウス本体10は、図2(a)および図2(b)に示すように、左側部の前部における上側において、略水平方向左側に突出する支持アーム121を備えている。従って、支持アーム121は、使用者が握持部12を握持した際の親指よりも前方側であり、親指よりも上方に位置する。この支持アーム121が設けられる位置は、使用者がマウスを操作する上で、親指や人差し指がほとんど位置することがない空きスペースである。従って、支持アーム121は、使用者が本マウス1を握持する際の使用者の親指や人差し指などに影響を及ぼさない。
【0025】
前記カメラ20は、支持アーム121によって、本マウス1の左側部の前部から略水平方向左側に向かって突出する態様で設けられている。すなわち、カメラ20は、支持アーム121の先端部に設けられていることによって、水平方向へはマウス本体10の左側に距離Dだけ突出した位置(図2(a)参照)に、また、垂直方向へは本マウス1の下面から上方に高さHの位置(図2(b)参照)に設けられることとなる。従って、カメラ20は、使用者の右手の親指よりも左側であり、親指の上方に位置される。また、このカメラ20は、URLといった文字列などの被読取対象を読み取るためのレンズ21を、略後方下側に向く態様で有している。レンズ21は、図2(a)および図2(b)中の一点鎖線で示すような本マウス1の左側部周辺にあたる位置、すなわち、本マウス1の左側部に位置した被読取対象の読み取りを行う。従って、カメラ20のレンズ21を本マウス1の左側部に位置する被読取対象に対して正対させることができるため、被読取対象を精度よく読み取ることができる。
【0026】
前記シャッターボタン30は、図1に示すように、マウス本体10における受付部11の左側端部の近傍に設けられており、下方向に押下されるように構成されている。従って、使用者は人差し指を軽く左側に移動させることにより、シャッターボタン30を押下することができる。このシャッターボタン30は、使用者によって押下されることにより、カメラ20に読み取りを実行させる旨の命令を受け付けて、カメラ20に読み取りを実行させる旨の信号を送信する。従って、シャッターボタン30からの信号に応じて、カメラ20による読み取りは行われる。
【0027】
前記位置特定バー40は、カメラ20が設けられる側と同一側である本マウス1の左側に突出する態様で設けられた略平面状の棒状部材である。この位置特定バー40は、カメラ20が突出する方向に延びており、自らの有する平面を本マウス1の下面と同一平面に沿うようにして設けられている。従って、本マウス1が机の上で移動させられても、位置特定バー40によって移動を妨げられたりするようなことはない。また、位置特定バー40は、厚みが薄く形成されているため、本マウス1が操作される際も使用者の操作を妨げない。
【0028】
この位置特定バー40は、本マウス1に固定されているため、支持アーム121に支持されているカメラ20のレンズ21による読み取りが実行される位置と一定の位置関係を維持している。従って、位置特定バー40が、目では見えないカメラ20の読取位置を物理的に表現するため、位置特定バー40を基準にして使用者は被読取対象の位置を目視で確認しながら正確に特定することができる。この位置特定バー40においては、たとえば、図2に示すように、「http://・・・」というようなURLの文字列の下端を位置特定バー40の幅方向の前方側端部41に沿わせて本マウス1の位置を特定することにより、カメラ20が被読取対象であるURLを正確な位置で読み取ることが可能なる。
【0029】
次に、本マウス1におけるの電気的構成について説明する。本マウス1は、図3に示すように、受付部11から受け付けた命令及びシャッターボタン30から受け付けた命令が入力される入力部51と、本マウス1の移動に関する情報を検知する移動検知部52と、カメラ20を用いて被読取対象を読み取る読取部53と、移動検知部52により検知した本マウス1の移動に関する情報及び読取部53により読み取った画像に基づく情報をパソコンに送信する送信部54とを備える。なお、これらの構成は握持部12に内蔵されている。
【0030】
前記入力部51においては、右クリックボタン111、左クリックボタン112及びホイール113により使用者からの各操作命令が入力されるとともに、シャッターボタン30により読み取りを実行する旨の命令が入力される。また、入力部51は、入力された使用者からの命令を送信部54に送信する。
【0031】
前記移動検知部52は、通常のマウスとして使用者により本マウス1が移動された場合、本マウス1の移動に関する情報を検知センサにより検知して、検知した移動に関する情報を送信部54に送信する。
【0032】
前記読取部53は、カメラ20とデジタル変換部531とを含み、使用者によりシャッターボタン30が押下されると、読み取りを実行する旨の信号が入力部51から送信される。読取部53は、この読み取りを実行する旨の信号に応じて、カメラ20を作動して被読取対象を読み取る。また、読取部53は、カメラ20により読み取った画像をデジタル変換部531に送信し、デジタルの画像データに変換し、送信部54に送信する。
【0033】
前記送信部54は、入力部51及び移動検知部52から送信された信号、また読取部53から送信された画像データをパソコンに適宜送信する。
【0034】
上記のような構成を有する本マウス1の動作について説明する。以下の説明において、通常のマウスとしての機能については説明を省略し、読取部53による被読取対象の読み取りについて説明する。なお、ここにおいては被読取対象をURLとする。
【0035】
まず、使用者は、図2(a)に示したように、URLが適切な読取位置になるよう位置特定バー40を用いて本マウス1を移動させる。使用者は、URLが適切な読取位置にくるように合わせた後、シャッターボタン30を押下する。
【0036】
シャッターボタン30が押下されると、読み取りを実行する旨の信号が入力部51から読取部53に送信される。
【0037】
読取部53は、送信された信号を受信して、カメラ20を作動させ、読み取りを実行する位置にあるURLを画像として読み取る。
【0038】
読取部53は、カメラ20の読み取りによって読み取った画像をデジタル変換部531に送信し、デジタル変換部531においてデジタルの画像データに変換する。
【0039】
読取部53は、デジタルの画像データに変換した後、画像データを送信部54に送信する。
【0040】
画像データを受け付けた送信部54は、パソコンに画像データを送信する。
【0041】
以上のようにして、本マウス1が使用者からの読取命令に応じて、被読取対象であるURLを読み取り、読み取ったURLの画像に基づく画像データをパソコンに送信する。従って、本マウス1から送信された画像データを受信したパソコンは、ディスプレイなどの表示部にその情報を表示したり、それらの情報を用いて動作することが可能になる。
【0042】
以上より、本マウス1においては、位置特定バー40によりカメラ20の読取位置に対して被読取対象(URL)を正確な位置に特定させた上で、本マウス1の左側部における前部の上側において略水平方向左側に向かって突出する態様で設けられたカメラ20により本マウス1の左側部に位置する被読取対象を読み取ることより、被読取対象を本マウス1によって隠してしまうことなく、使用者はカメラ20に対する被読取対象の位置を目視によって確認しながら読み取りを正確に行うことができる。従って、被読取対象を簡単かつ確実に読み取ることが可能になる。
【0043】
なお、上記の実施形態において、位置特定バー40は、略平面状の棒状部材である場合について説明したが、それ以外の形状を有する位置特定部材であってもよい。要は、カメラ20の読取位置に対して被読取対象の位置を使用者が特定できれば、その他の形状でもよい。
【0044】
また、カメラ20とマウス本体10との位置関係を距離D及び高さHを用いて説明したが、特に限定されるものではない。要は、マウス本体10を握持する右手の親指より前方でかつ上方に設けられ、使用者の操作する手が邪魔にならず、カメラ20が被読取対象を読み取れればよい。また、これに伴って、支持アーム121を適宜変形してもよい。
【0045】
また、支持アーム121は固定されている場合について説明したが、たとえば、支持アームに関節を形成したり、伸縮可能にしたりして、支持するカメラ20の位置を変更可能に構成してもよい。
【0046】
また、本マウス1がシャッターボタン30を有する場合について説明したが、右クリックボタン111、左クリックボタン112またはホイール113によりカメラ20に読み取りを実行させる旨の命令を受け付けるようにしてもよい。
【0047】
また、カメラ20は静止画として画像データを読み取る場合について説明したが、動画で読み取るようにしてもよい。この場合、デジタル変換部が動画データを連続的な静止画データに変換する手段を有している。たとえば、URLの文字列が横に長い場合など、位置特定バー40に基づいて、文字列の最初の文字から最後の文字までカメラ20をスライドさせながら動画として読み取る。デジタル変換部により、読み取った動画を連続的な静止画の画像データに変換させる。こうすれば、動画であっても読み取りが可能となる。従って、文字列が長かったりしても読み取ることができる。なお、この場合、シャッターボタン30が長めに押下され続けることにより、動画の読み取りを実行するか否かを判別する。
【0048】
また、本マウス1は、使用者が右手で使用する場合について説明したが、左手で使用されるようにしてもよい。すなわち、カメラ20、カメラ20を支持する支持アーム121及び位置特定バー40を、上記の実施形態の場合と逆側である右側部に設けるようにしてもよい。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るカメラ付きマウスの他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0050】
ここにおけるカメラ付きマウス(以下「本マウス」という)2は、図4に示すように、第1の実施形態におけるカメラ付きマウス1のカメラ20及び位置特定バー40について相違点を有する。本マウス2は、図5(a)及び図5(b)に示すように、カメラ201及び位置特定バー401を備える。
【0051】
前記カメラ201は、レンズ211を有し、このレンズ211が本マウス1のレンズ21の向きよりも前側を向いている。従って、図5(a)及び図5(b)中の一点鎖線で示すような本マウス2の左側部周辺にあたる位置、すなわち、本マウス2の左側部に位置した被読取対象の読み取りを行う。
【0052】
また、これに伴って、位置特定バー401は、カメラ201が設けられる位置より前方側に設けられ、カメラ201側の下端部(幅方向の後方側)411に被読取対象の上端を沿わせて本マウス2の位置を特定し得るように設けられている。
【0053】
上記のように構成することにより、たとえばURLなどの被読取対象の上端を合わせるようにして読み取りを行うことが可能になるため、この構成の方が被読取対象を簡単に合わせることができるという人に対しても対応することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、上記した本発明に係るカメラ付きマウスを用いた入力の支援をする入力支援システム(以下「本システム」という)について説明する。ここにおいては、第1の実施形態で説明したカメラ付きマウス(以下「本マウス」という)1を用いることとする。なお、以下の説明においても、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
本システム100は、図6に示すように、本システム100内の各構成の動作を制御する制御部60と、使用者からの命令や情報を入力させる操作部61と、本システム100により実行させるアプリケーションソフトウェア(以下「アプリケーション」という)621や操作部61より入力された情報を格納する記憶部62と、本システム100内の情報を表示する表示部63と、記憶部62に格納するアプリケーション621を読み出して実行するアプリケーション実行部64と、インターネット90に接続される通信部65とを備える。
【0056】
前記制御部60は、下記に説明する各構成の動作を制御して、種々の機能を実行させる。制御部60の動作の詳細は後述する。
【0057】
前記操作部61は本マウス1を備え、本マウス1の移動に関する情報及び読み取った画像に基づく画像データを受け付ける。操作部61は、受け付けた本マウス1からの情報を記憶部62に送信する。また、その他、操作部61は一般的なキーボード611を含んでおり、使用者から打ち込まれることによって文字や数値の入力が可能である。
【0058】
前記記憶部62は、操作部61及び後述する通信部65から本システム100に入力された種々の情報を格納する。また、本システム100において実行されるアプリケーションのソフトウェアも予め格納されている。ここにおいて、記憶部62は、マイクロソフト社が開発した表計算ソフト「Microsoft Excel(登録商標。以下「エクセル」という)」621a及び文書作成ソフト「Microsoft Word「登録商標。以下「ワード」という)」621bと、ソフトウェアとして、ひらがな、カタカナ、漢字で表記される日本語や英字で表示される英語などからなる文字列の認識を実行するOCR(Optical Character Reader)621cとを格納している。
【0059】
前記表示部63は、記憶部62に格納されている情報やアプリケーション621の動作内容を表示し、使用者に本システム100内の情報を出力する。なお、表示部63は一般的なディスプレイモニタである。
【0060】
前記アプリケーション実行部64は、記憶部62に格納されているアプリケーション621を読み出して起動する。従って、使用者は、表示部63を見ながら、エクセル621aやワード621bなどを利用できる。また、アプリケーション実行部64は、操作部61の本マウス1から送信されて記憶部62に格納された画像データに含まれる文字列をOCR621cにより認識して、制御部60からの命令によりエクセル621aやワード621b内において標準的に利用されている文字及び数値に変換して反映する。
【0061】
前記通信部65は、インターネット90などを含むネットワークに接続されており、ネットワークを介して外部の端末と情報の送受信を行う。従って、通信部65は、URLで特定されるウェブサイトなどにインターネット90を介してアクセスし、情報の閲覧などを可能にさせる。
【0062】
次に、本システム100における動作について説明する。ここでは、本システム100を用いて、紙媒体に記載されている名簿をエクセル621aに反映させてデータベース化する場合について図7〜図11を用いて説明する。なお、図8(a)に示されるように、名簿は予め用意されており、図8(b)に示されるように、エクセル621aは予め起動されて表示部63に表示されているものとする。また、本マウス1における動作の詳細は前述したため省略する。
【0063】
まず、制御部60は、図9(a)で示されるように、使用者の読取操作によって、操作部61の本マウス1から第1の被読取対象「阿井景子」を読み取り、その読み取った画像に基づく画像データを受け付ける(S101)。
【0064】
次に、制御部60は、受け付けた画像データを記憶部62に格納する(S102)。
【0065】
次に、制御部60は、アプリケーション実行部64によりOCR621cを実行させて、記憶部62に格納した画像データについて文字列の認識を行う(S103)。
【0066】
次に、制御部60は、OCR621cにより、画像データから「阿井景子」という文字を認識した上で、「阿井景子」に相当する標準文字をキーボード611に送信して文字データを構成し、エクセル621a内でカーソルが指し示している入力箇所(図9(b)において「行6列B」に該当するセル)に文字データを反映する(S104)。
【0067】
次に、制御部60は、第1の被読取対象の読み取り以降、本マウス1の移動に関する情報を受け付けた否かを確認する。移動に関する情報がなければ(S105においてYES)、制御部60は、読み取りが完了したものと認識して(S106)、読み取りによる入力を終了する。
【0068】
一方、制御部60は、図10(a)に示すように、使用者によって本マウス1が移動されたことに基づく移動に関する情報を受け付けている場合(S105においてNO)、その本マウス1の移動に伴って、図10(b)に示すように、S104において入力した入力箇所から本マウス1の移動に連動させて略同一方向に入力箇所を移動させ、新たな入力箇所を特定する(S107)。従って、ここにおいて、制御部60は、本マウス1の移動に連動して、「阿井景子」が入力された下の入力箇所(図10(b)において「行7列B」に該当するセル)に入力する箇所を移動させ、第2の読取対象「阿井渉介」の画像データに基づく情報を入力可能にさせる。この状態で、画像の読取命令が受け付けられると、本マウス1から読み取った第2の読取対象「阿井渉介」の画像データが送信され、連続的に入力操作が行われる(S101、図11(a)および図11(b))。このようにして、被読取対象が2以上である場合、本マウス1の移動に連動して入力箇所を特定することができる。なお、ここにおいて、制御部60は入力箇所特定手段として作動する。
【0069】
以上より、本マウス1により被読取対象を画像データとして受け付けて、受け付けた画像データから文字列を認識をし、標準的な文字に変換してエクセル621に反映させるようにしたため、紙媒体に記載された名簿の文字を簡単かつ確実に入力してデータベース化することができる。また、本マウス1の移動に連動してカメラ20により読み取った文字列の入力箇所を特定するようにしたため、入力箇所を逐一特定する手間を省くことができる。
【0070】
なお、上記の実施形態において、第1の実施形態に係るカメラ付きマウス1を用いる場合について説明したが、第2の実施形態に係るカメラ付きマウス2であってもよい。
【0071】
また、入力操作を行うアプリケーション621がエクセル621aである場合について説明したが、ワード621aでもよいし、その他のアプリケーションであってもよい。
【0072】
また、OCR621cによって認識する文字は日本語である場合について説明したが、英字やその他の文字であってもよい。
【0073】
また、S105において、制御部60は、カメラ付きマウス1が移動したか否かによって連続的に読み取りを行うか否かを判断する場合について説明したが、その他の操作があった場合に連続的に読み取りを行うか否かを判断するようにしてもよい。たとえば、制御部60は、シャッターボタン30以外の操作命令が使用者から入力されたか否かによって判断してもよい。
【0074】
また、S103における「文字列の認識」において、文字列の頭に「http」あるいうは「www」といったURLやアドレスが特定され得る所定の文字列が含まれている場合、制御部60は、画像データを受け付けるとともに、URLやアドレスであることを認識して、通信部65を介してそれらの文字列で特定されるウェブサイトやホームページなどに自動でアクセスするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1、2…カメラ付きマウス
10…マウス本体
20、201…カメラ
21、211…レンズ
30…シャッターボタン
40、401…位置特定バー
51…入力部
52…移動検知部
53…読取部
60…制御部
61…操作部
62…記憶部
64…アプリケーション実行部
100…入力支援システム
121…支持アーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置の入力操作に用いられ、被読取対象を読み取るカメラを有するカメラ付きマウスであって、
前記カメラは、マウスの側部周辺に位置する被読取対象を読み取る態様で設けられていることを特徴とするカメラ付きマウス。
【請求項2】
前記カメラは、マウスの右側部または左側部に設けられている請求項1に記載のカメラ付きマウス。
【請求項3】
前記カメラは、マウスの右側部または左側部における前部に設けられている請求項2に記載のカメラ付きマウス。
【請求項4】
前記カメラは、マウスから突出する態様で設けられる請求項1から請求項3のいずれかに記載のカメラ付きマウス。
【請求項5】
前記カメラと同一側に突出する態様で設けられ、被読取対象の位置を特定させる位置特定部材を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載のカメラ付きマウス。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のいずれかに記載のカメラ付きマウスと、
前記カメラ付きマウスの移動と連動して前記カメラにより読取った被読取対象の入力箇所を特定する入力箇所特定手段とを備えることを特徴とする入力支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−146103(P2012−146103A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3528(P2011−3528)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(507081256)株式会社スタック (4)
【Fターム(参考)】