説明

カメラ用アクセサリ

【課題】 カメラを持ち歩く時にそのカメラが邪魔にならず、またカメラの収納・取り出しが容易にできるような携帯用アクセサリを提供する。
【解決手段】 本発明のアクセサリは、アクセサリ本体1と取付ネジ2からなっている。アクセサリ本体1は、主要部であるホルダ部1aが薄板で形成され、その主要部の周縁下部の一部には主要部の略直角方向に舌状の取付部1cが突出して設けらている。取付ネジ2は、カメラ本体の三脚取付用ネジ穴に螺合して取付部1cをカメラ本体に取り付けるためのものである。そして、取付ネジ2によって取付部1cをカメラ本体に取り付けたとき、アクセサリ本体1はその主要部がカメラ本体背面に略平行に配置され、かつ主要部とカメラ本体背面との間に僅かな隙間が形成されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカメラ用アクセサリに係り、特に、カメラを持ち歩く際の携帯性向上を図ったアクセサリに関するものである。
【0002】
【従来の技術】カメラは持ち歩いて使用される場合が多いが、その場合、ストラップを用いて首・肩・手首からカメラを下げるか、腰のベルトに取り付けられたカメラケースにカメラを収納するのが一般的である。また、ハンドストラップを用いて手首(通常は右手首)から下げる場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、首や肩からカメラを下げていると、ストラップの長さによってはカメラを何かにぶつけてしまう恐れがある。また、カメラ以外にショルダーバック等を下げているとストラップが絡みやすい。
【0004】ストラップまたはハンドストラップを用いて手首から下げていると、上記の不都合は防げるが、カメラを使わない時には、手が自由に使えず不便である。
【0005】一方、腰のベルトに取り付けたカメラケースに収納しておく場合は、カメラの収納・取り出しに時間が掛かる上、車の座席等に腰掛けるときにカメラケースが邪魔になる。
【0006】最近では、胸のポケットにも入れられるような小型カメラも製品化されているが、やはりカメラの収納・取り出しに時間が掛かる。しかも、ポケットが小さい場合は収納できない。また、ポケットに収納できても、ポケットからカメラが脱落する恐れがある。
【0007】本発明の目的は、カメラを持ち歩く時にそのカメラが邪魔にならず、またカメラの収納・取り出しが容易にできるような携帯用アクセサリを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のカメラ用アクセサリは、主要部が薄板で形成され、その主要部の一部周縁には主要部の板面に対して略直角方向に舌状の取付部が突出して設けられたアクセサリ本体と、カメラ本体の三脚取付用ネジ穴に螺合して前記取付部をカメラ本体に取り付けるための取付ネジとを備え、前記取付ネジによって前記取付部をカメラ本体に取り付けたとき、前記アクセサリ本体はその主要部がカメラ本体背面に略平行に配置され、かつ前記主要部とカメラ本体背面との間に僅かな隙間が形成されることを特徴としている。
【0009】上記構成のカメラ用アクセサリをカメラ本体に取り付けておくと、カメラを持ち歩く際には、カメラの鏡筒側を表にしてアクセサリ本体の主要部をポケット内側に入れるだけで、カメラ本体をポケット外側に保持することができる。すなわち、アクセサリ本体の主要部とカメラ本体背面との間には僅かな隙間が形成されているので、アクセサリ本体の主要部をポケット内側に入れたとき、前記隙間内にポケットの布部が挿入され、また、その布部はアクセサリ本体の主要部とカメラ本体背面とにより両側から挟み込まれ、これによって、カメラ本体をポケット外側に強固に保持できるのである。なお、ポケットからカメラを取り外すときは、上記とは逆にアクセサリ本体の主要部をポケット内から引き上げれば良い。
【0010】ポケットの代わりに腰のベルトにカメラを保持することも可能である。この場合は、カメラの鏡筒側を表にしてアクセサリ本体の主要部をベルト内側に入れるだけで、カメラ本体をベルト外側に保持することができる。
【0011】また、前記アクセサリ本体の主要部には、カメラ本体背面の反対側の面にクリップが設けられていることを特徴としている。このように構成すれば、クリップでポケットの布部またはベルトを挟むだけでカメラ本体を保持でき、操作が容易となる。
【0012】また、前記アクセサリ本体の主要部は、前記取付部が設けられた側の反対側の周縁部分が、カメラ本体背面から離れる方向に折り曲げられていることを特徴としている。このように構成すれば、アクセサリ本体の主要部とカメラ本体背面との間隔が広くなり、アクセサリ本体をポケット内側またはベルト内側に入れ易くなる。
【0013】さらに、前記アクセサリ本体の主要部には、カメラ本体背面に向かって突出した突起が設けられていることを特徴としている。このように構成すれば、アクセサリ本体の主要部をポケット内側に入れたときに、突起がポケットの布部を係止するので、人が屈んだりしてポケットが下向きになっても、カメラがポケットから脱落し難くなる。
【0014】また、前記アクセサリ本体の取付部は主要部と同一の薄板で構成され、主要部の薄板を折り曲げられて形成されていることを特徴としている。このように構成すれば、1つの薄板を折り曲げるだけでアクセサリ本体を製造できるため、製造が容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】(第1の実施の形態)図1および図2は本発明のカメラ用アクセサリの斜視図で、図1は組立前、図2は組立後の状態を示している。図に示すように、本発明のカメラ用アクセサリは、アクセサリ本体1と、アクセサリ本体1をカメラ本体に取り付けるための取付ネジ2からなっている。
【0017】アクセサリ本体1は薄板で構成され、ホルダ部1a、案内部1bおよび取付部1cを有している(ホルダ部1aと案内部1bをまとめて主要部という)。案内部1bはホルダ部1aの一側に、取付部は1cはホルダ部1aの他側にそれぞれ設けられている。ホルダ部1aと案内部1bは共に平面状をなしているが、案内部1bはホルダ部1aに対して所定角度傾斜して設けられている。その傾斜の向きは、取付部1cが設けられた面(図1および図2ではホルダ部1aの手前側の面)から遠ざかる向きである。また、ホルダ部1aには一対の係止突起1eが設けられている。1fはホルダ部1aの一部がカットされた逃げ部である。
【0018】取付部1cは舌状に形成され、ホルダ部1aの周縁下部の一部に設けられている。本実施の形態では、取付部1cはホルダ部1aと同一の薄板で構成され、ホルダ部1aの面に対して略直角に折り曲げて形成されている。取付部1cには、取付ネジ2のネジ部2dが通るための穴1dが形成されている。なお、取付部1cをホルダ部1aとは別の部材で形成し、両者を溶接や接着剤等で互いに固着するようにしても良い。
【0019】取付ネジ2は、つまみ部2a、ネジ部2b、溝2cおよび軸部2dを有し、ネジ部2bが、カメラ本体に形成された三脚取付用ネジ穴に螺合される。また、本実施の形態では止め座金3とスペーサ4が設けられている。止め座金3は、一部に切欠きを有するリング状をなしている。スペーサ4には止め座金3が通る穴4aが形成されている。
【0020】ここで、上記構成のカメラ用アクセサリの組立手順について説明する。
【0021】まず、取付ネジ2のつまみ部2aを持って、ネジ部2bを取付部1cの穴1dに下側から挿入し、軸部2dが穴1dの位置にくるよう取付ネジ2を取付部1cに押し当てる。そうすると、取付ネジ2の溝2cは取付部1cの穴1dよりも上の位置にくるので、このとき、止め座金3を切欠き側から溝2c内に挿入させる。これで取付ネジ2は取付部1cに回転自在に結合され、取付部1cから外れることはない。このままカメラ本体に取り付けられると、止め座金3がカメラ本体と接触して、取付部1cにガタが生じたりカメラ本体に傷を付けたりする恐れがあるので、スペーサ4を接着剤等で取付部1c上面に固着する。
【0022】次に、本実施の形態のカメラ用アクセサリを実際にカメラに取り付けた場合の一例について説明する。
【0023】図3および図4は取付対象となるカメラを示す図で、図3は正面図、図4は下面図である。図において、20はカメラ本体、21はレリーズ釦、22はファインダ窓、23はリモコン受光窓、24は測距窓、25はストロボ発光部、26,27は受光窓、28はスポットビーム発光部、29は鏡筒、30は三脚取付用ネジ穴である。
【0024】図5および図6は、本実施の形態のカメラ用アクセサリを実際にカメラに取り付けた状態を示す図で、図5は背面図、図6は下面図である。図において、カメラ本体20の三脚取付用ネジ穴30(図4参照)に取付ネジ2のネジ部2b(図2参照)を合わせ、つまみ部2aを回す。これにより、ネジ部2bが三脚取付用ネジ穴30に螺合し、アクセサリ本体1がカメラ本体20に取り付けられる。
【0025】アクセサリ本体1の案内部1bは、ポケットに入れ易くするためカメラ本体背面から遠ざかる向きに傾斜している。また一対の係止突起1eはポケット上部でアクセサリを係止する働きをする。さらに逃げ部1fはシャッターレリーズ時、手の邪魔にならないようカットされているが、カメラ20の裏蓋開放レバー31の上はカバーしている。したがって、不用意に裏蓋開放レバー31に指が触れて裏蓋を開けてしまい、撮影途中のフィルムを無駄にすることがない。なお、図5において32はファインダ接眼窓である。
【0026】図7は、上述のカメラ用アクセサリが取り付けられたカメラを地面Gに縦方向に置いた状態を示した図である。アクセサリ本体1はG1で、カメラ本体20はG2で地面Gにそれぞれ接している。カメラの重心20gがG1とG2の間にあるのでカメラ20が倒れることはない。したがって、この図においてはアクセサリ本体1が縦位置スタンドとして働いていることになる。
【0027】一方、図8のようにアクセサリ本体1をカメラ20に傾けて取り付ければ、カメラ20を地面Gに対し傾けて置くことができる。この場合も、カメラの重心20gがG1とG2の間にあるのでカメラ20が倒れることはない。
【0028】(第2の実施の形態)図9および図10は本発明の第2の実施の形態によるカメラ用アクセサリの斜視図で、図9は組立前、図10は組立後の状態を示している。図において、アクセサリ本体1、取付ネジ2、止め座金3、スペーサ4は第1の実施の形態の場合と同じであり、その詳細な説明は省略する。
【0029】アクセサリ本体1のホルダ1aの背面(図の上面)には、穴1gを有する軸受1hが一対設けられている。また、薄板状のクリップ板5には穴5aを有する軸受5bが一対設けられている。軸受5bは前記アクセサリ本体の軸受1hを挟むような間隔で設けられている。クリップ板5は軸受5bを挟んでクリップ部5cと操作部5dとに分けられている。
【0030】円筒形の軸6は頭部6a、軸部6b、溝6c、先端部6dからなる。各部の寸法について述べると、頭部6aは前記穴1gおよび5aよりも太く、軸部6bと先端部6dは前記穴1gおよび5aより僅かに細く形成されている。また溝6cは止め座金7の内径と略同じ、軸部6bの長さは軸受5bの両端よりも長くなっている。さらに、ねじりコイルバネ8の内径は軸部6bよりも少し太くなっている。
【0031】ここで、上記構成のカメラ用アクセサリの組立手順について説明する。まず、アクセサリ本体1のホルダ部1の上にクリップ板5を置く。このとき、クリップ板5の一対の軸受5bがアクセサリ本体1の一対の軸受1hを両側から挟むようにクリップ板5を置く。次に、アクセサリ本体1の軸受1hの間にねじりコイルバネ8を置き、軸6を穴1g・5a、ねじりコイルバネ8、穴5a・1gの順に通した後、軸6の溝6cに止め座金7を挿入する。以上で、クリップを有するアクセサリ本体1を得ることができる。なお、クリップ板5は軸6を中心に回転可能に軸支されるが、クリップ部5cの先端はねじりコイルバネ8によって常にホルダ部1aに接触するよう付勢されている。
【0032】次に、本実施の形態のカメラ用アクセサリを実際にカメラに取り付けた場合について説明する。
【0033】本実施の形態のカメラ用アクセサリをカメラに取り付ける手順は、第1の実施の形態の場合と同じである。図9および図10のカメラ用アクセサリにおいては、使用者がクリップ板5の操作部5dをねじりコイルバネ8に抗して押し続けている間だけ、クリップ部5cはホルダ1aから離れている。この状態のままクリップ部5cをポケット内側にホルダ部1aをポケット外側にくるようにして操作部5dから手を離すと、クリップ部5cはねじりコイルバネ8によって付勢されているのでホルダ部1a側に回動し、ポケットの布を挟み込む。これにより、使用者が少々激しく動いても、カメラ本体20がポケットから脱落することは無くなる。
【0034】なお、挟む対象がポケットの布でなく固形物、例えば停車中の車の少し開けられた窓ガラスや、厚みの薄い柵等にすれば、三脚の代用にすることができる。また、本実施の形態のカメラ用アクセサリも、勿論、図7および図8のように使用することができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、以下の効果を期待できる。
【0036】(1) カメラを胸ポケットや腰のベルトに差し込むだけで携帯することができ、両手が自由に使える。しかも、胸ポケットや腰のベルトに差し込むのに時間が掛からず操作性が良好である上に、取り出しも容易にできるので速写性が向上する。
【0037】(2) 三脚取付用ネジ穴を使用しているので、三脚取付用ネジ穴の位置が近ければ数種のカメラに対応できる。また、使わない時は取り外しておくことができる。
【0038】(3) ホルダはカメラ本体よりも薄いので小さなポケット等でも引っかけることができる。
【0039】(4) カメラ背面の裏蓋開放レバーを不用意に開けてしまわないようカバーすることができる。
【0040】(5) カメラを縦位置方向に置く時のスタンドとして利用することもできる。
【0041】(6) アクセサリ本体の背面にクリップを設けておけば、そのクリップで固定物等を挟むことにより三脚の代用にもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるカメラ用アクセサリの組立前の状態を示した斜視図である。
【図2】図1のカメラ用アクセサリの組立後の状態を示した斜視図である。
【図3】本発明のカメラ用アクセサリを取付可能なカメラの正面図である。
【図4】図3のカメラの下面図である。
【図5】本発明のカメラ用アクセサリを取り付けたカメラの背面図である。
【図6】図5のカメラの下面図である。
【図7】本発明のカメラ用アクセサリをカメラに取り付け、そのカメラを縦方向に置いた状態を示した図である。
【図8】本発明のカメラ用アクセサリを傾けてカメラに取り付け、そのカメラを縦方向に置いた状態を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態によるカメラ用アクセサリの組立前の状態を示した斜視図である。
【図10】図9のカメラ用アクセサリの組立後の状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 アクセサリ本体
1a ホルダ部
1b 案内部
1c 取付部
1e 係止突起
2 取付ネジ
3,7 止め座金
4 スペーサ
5 クリップ板
6 軸
8 ねじりコイルバネ
20 カメラ本体
30 三脚取付用ネジ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】 主要部が薄板で形成され、その主要部の一部周縁には主要部の板面に対して略直角方向に舌状の取付部が突出して設けられたアクセサリ本体と、カメラ本体の三脚取付用ネジ穴に螺合して前記取付部をカメラ本体に取り付けるための取付ネジとを備え、前記取付ネジによって前記取付部をカメラ本体に取り付けたとき、前記アクセサリ本体はその主要部がカメラ本体背面に略平行に配置され、かつ前記主要部とカメラ本体背面との間に僅かな隙間が形成されることを特徴とするカメラ用アクセサリ。
【請求項2】 請求項1記載のカメラ用アクセサリにおいて、前記アクセサリ本体の主要部には、カメラ本体背面の反対側の面にクリップが設けられていることを特徴とするカメラ用アクセサリ。
【請求項3】 請求項1記載のカメラ用アクセサリにおいて、前記アクセサリ本体の主要部は、前記取付部が設けられた側の反対側の周縁部分が、カメラ本体背面から離れる方向に折り曲げられていることを特徴とするカメラ用アクセサリ。
【請求項4】 請求項1記載のカメラ用アクセサリにおいて、前記アクセサリ本体の主要部には、カメラ本体背面に向かって突出した突起が設けられていることを特徴とするカメラ用アクセサリ。
【請求項5】 請求項1記載のカメラ用アクセサリにおいて、前記アクセサリ本体の取付部は主要部と同一の薄板で構成され、主要部の薄板を折り曲げられて形成されていることを特徴とするカメラ用アクセサリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開平9−329837
【公開日】平成9年(1997)12月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−151261
【出願日】平成8年(1996)6月12日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)