説明

カメラ設置台、背負い紐、引掛かり具及び収納体

本発明の目的は、一脚、二脚、三脚等の設置台本体を背負って運搬することができるようにすることによって、カメラ設置台の運搬時に片手あるいは両手を自由に使用することができるカメラ設置台を提供することにあり、本発明のカメラ設置台は、カメラが着脱される雲台を備えた脚を背負うことができるようにしたカメラ設置台であって、脚の下部に引掛かり具を設けた設置台本体と、この設置台本体の上部と引掛かり具とに連結可能な背負い紐とからなることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、運搬に便利なカメラ設置台、カメラ設置台に用いられる背負い紐、背負い紐に着脱可能に連結される引掛かり具、及び、背負い紐に着脱可能に連結される収納体に関する。
【背景技術】
撮影機材には、写真撮影用あるいはビデオ撮影用のカメラのほか、そのカメラを設置するための一脚、二脚あるいは三脚などの脚、照明設備、フィルムなどが含まれ、そのうち脚には大形のものから小形のものまで種々ある。
従来、これらの必要な撮影機材を運搬する際には、その運搬場所が近くであれば脚やカメラを手に持ったり肩に担いだりして運搬し、その他のバッグに入る機材についてはその機材を収納したバッグを背負って運搬することが普通であった。また、運搬場所が遠いときにはバイクや自動車等が使われ、バイクのときには、バイクの荷台等に脚を載せ、カメラやその他の機材は、それらを入れたバッグを背負って運搬することが普通であった。
特開平9−26086号公報には、カメラが着脱される雲台を備えた三脚において、3本の脚のうち2本の脚の上端部間に横架した上部横桟に上記雲台を取り付けるとともに、2本の脚の中間部に横架した下部横桟に荷受け板を取り付け、その荷受け板の上に荷物を置いたり、上部横桟と下部横桟との間に背負いベルトを連結して全体を背負うことができるようにした三脚が記載されている。
また、特開平9−42589号公報には、カメラが着脱される雲台を備えた三脚において、3本の脚のうち2本の脚の上端部間に横架した上部横桟に上記雲台を取り付けるとともに、上記横桟の両端に垂設された縦桟の下端部間に横架した下部横桟に荷受け板を取り付け、その荷受け板の上に荷物を置いたり、上部横桟と縦桟との間に背負いベルトを連結して全体を背負うことができるようにした三脚が記載されている。
さらに、特開平10−89591号公報には、カメラが着脱される雲台を備えた三脚において、3本の脚のうち2本の脚の上端部間に横架した上部横桟と、2本の脚の中間部間に横架した下部横桟に荷受け板を取り付け、その荷受け板の上に荷物を置いたり、上部横桟と下部横桟との間に背負いベルトを連結して全体を背負うことができるようにした三脚が記載されている。
発明の要約
従来は、運搬場所が近い場合にはどうしても片手あるいは両手でカメラや脚などを持ったり支えたりすることになるため、片手あるいは両手の自由が損なわれるという不便があった。また、運搬場所が遠い場合には、カメラを脚の雲台から取り外してそれらを分解して運搬しなければならない不便があった。背中に背負ったバッグに脚を入れて運搬すると手の自由がある程度は保たれるようになるけれども、大形の脚はバッグに入らないためにそのようなことをすることができなかった。
これに対し、上記3つの特許文献に記載されたものは、背負いベルトを使って三脚や荷受け板の上に置いた荷物を背負うことができるので、撮影機材を運搬するときに両手を自由に使用することができるという長所がある。
しかし、このものは、上部横桟や下部横桟を2本の脚に連結する必要があり、しかも、カメラを設置するための雲台が上部横桟に取り付けられているので、その構造が特殊であって一般的な三脚、すなわち雲台にヒンジ機構を介して3本の脚が直接に連結されているような三脚には適用することができない。そのため、汎用性に欠けるほか、3本の脚のうちの2本の脚が下部横桟によって運搬中に開いた姿勢に保たれるため、運搬時の形が大形になるという問題がある。
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものであり、バッグに入れて運搬しにくい、あるいはバッグに入れて運搬することのできない機材、たとえば雲台にヒンジ機構を介して3本の脚が直接に連結されているような一般的な構造の三脚やそれに類似する一脚や二脚などの脚を背負って運搬できるようにすることによって、カメラ設置台の運搬時に片手あるいは両手を自由に使用することができるカメラ設置台、当該カメラ設置台に用いられる背負い紐、引掛かり具及び収納体を提供することを目的とする。
また、本発明は、脚と他の機材を収容したバッグを併せて背中に背負って運搬することができるようにすることによって、運搬時に片手あるいは両手を自由に使用することができるカメラ設置台、当該カメラ設置台に用いられる背負い紐、引掛かり具及び収納体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、カメラとカメラを取り付けた脚とを分解せずにそのまま運搬することのできるカメラ設置台、当該カメラ設置台に用いられる背負い紐、引掛かり具及び収納体を提供することを目的とする。
第一の本発明は、カメラが着脱される雲台を備えた脚を背負うことができるようにしたカメラ設置台であって、
上記脚の下部に引掛かり具を設けた設置台本体と、この設置台本体の上部と上記引掛かり具とに連結可能な背負い紐とからなることを特徴とするカメラ設置台である。
第一の本発明のカメラ設置台によれば、前記設置台の下部に設けた引掛かり具と当該設置台本体の上部とに前記背負い紐を掛け渡して連結することにより、その設置台本体を背中に背負って運搬することができるので、カメラ設置台を手に持ったり肩に担いだりする必要がなくなり、徒歩で運搬するときやバイクで運搬するときに片手あるいは両手を自由に使用することができる。
また、この背負い紐は、一脚、二脚あるいは三脚などの設置台本体の何れにも適用することができる。なお、上記引掛かり具は、前記設置台本体の脚に対して、着脱自在とすることもできるし、溶接等により固定的に設けることもでき、その設置方法は任意である。しかしながら、上記引掛かり具は、既製品のカメラ設置台本体に設けるられるように構成されていることが好ましく、また、そのカメラ設置台を背負う人の背丈に応じて調整可能なように、前記脚に対する引掛かり具の設ける位置を移動可能なように構成されていることが好ましい。これらを考慮に入れると、上記引掛かり具は、着脱自在の構成とすることが好ましい。
第二の本発明は、カメラが着脱される雲台と、上記雲台に対して開閉自在な3本の脚とを備えた設置台本体を背負うことができるようにしたカメラ設置台であって、
上記脚の下部に巻き付けられるバンド、上記バンドの上記脚との接触部に設けられた滑止部、及び、上記脚の下部に上記バンドが巻き付けられた状態を維持するための面状ファスナーを具備する引掛かり具と、
荷物を入れるための袋体、上記袋体に開閉可能に閉じ合わされる前開き片、及び、上記袋体に設けられた連結紐を具備し、荷物の収納が可能な収納体と、
上記設置台本体の上部に着脱可能に連結する第1の連結手段、上記第1の連結手段から分岐する一対の背負いベルト、上記収納体が具備する連結紐と着脱可能に連結し、且つ、当該収納体を前記設置台本体から吊り下げ状に保持する第2の連結手段、及び、上記一対の背負いベルトの端部から上記引掛かり具にそれぞれ着脱可能に連結する第3の連結手段を具備する背負い紐とを備えたことを特徴とするカメラ設置台である。
第二の本発明のカメラ設置台によれば、第一の発明と同様に、一脚、二脚あるいは三脚などの設置台本体の上部と引掛かり具とに掛け渡して連結した背負い紐でその設置台本体を背中に背負って運搬することができるので、カメラ設置台を手に持ったり肩に担いだりする必要がなくなり、徒歩で運搬するときやバイクで運搬するときに片手あるいは両手を自由に使用することができる。また、雲台にカメラを取り付けたままの設置台本体を背負うこともできるため、運搬先では設置台本体を置いてカメラ取付作業を行うことなくすばやく撮影作業に入ることが可能になる。
また、上記引掛かり具が、バンドの脚との接触部に設けられた滑止部を備えているため、脚の下部に巻き付けられたバンドがずれることを防止することができ、しかも、脚の何れの場所であっても任意に巻き付けて引掛かり具を固定することができるといったメリットがある。このように、カメラ設置台本体の脚の何れの場所にでも引掛かり具を固定することができるようにすることによって、どのような既製のカメラ設置台本体を用いた場合であっても、使用する人の背丈や好みに応じて設置場所を適宜変更できる利点がある。
また、バンドを脚に巻き付けて、面状ファスナーでバンドを固定するという簡単な取り付け方法により、脚に引掛かり具を取り付けることが可能となるため、引掛かり具を脚に取り付けるための工具等が不要となり、利便性に優れたものとなる。
また、上記引掛かり具が、設置台本体の脚に対して着脱可能であるため、不要なときに引掛かり具を脚から取り外すことができるので、引掛かり具が不要なときに脚に取り付けた引掛かり具が邪魔になるということがない。
また、上記収納体を、収納体を地面から浮かせた状態で背負い紐に取り付けることにより、バッグ等を地面につけることなく収納体に収納させたまま、バッグの開閉等を行うことができるため、水溜り等があって地面の状況が悪い環境下での撮影作業が容易となる。
また、上記背負い紐と上記収納体とを取り付けた設置台本体の3本の脚を開き、設置台本体を地面等に設置した際には、収納体が上記設置台本体から吊り下げた状態に保持されるが、このとき、収納体が接触する脚の傾きにより収納体の前開き片側の面が上方を向くように傾斜した状態となる。その結果、袋体に開閉可能に閉じ合わされる前開き片を開いて収納体に収納されているバッグを取り扱うことができる。そのため、前開きのバッグ(例えば、アタッシュケース等)であっても、当該バッグを収納体に収納させたまま、バッグのなかに納められている交換レンズ等を取り出したり納めたりすることができ、利便性に優れたものとなる。
また、設置台本体と、バッグ等が収納された収納体とを一体的に取り扱うことが可能となるため、バッグ等にカメラ部品としての交換レンズやフィルム等の部品を収納しておけば、容易に持ち運ぶことができるとともに、移動して撮影する際に、上記部品を置き忘れたりしてしまうことを防止することができる。また、カメラが取り付けられた設置台本体とバッグ等が一体的に連結されており、カメラで撮影する間においても、上記荷物、上記カメラ設置台本体、上記カメラが使用者の前面側に位置することになり、死角となる後方や側方に荷物を仮置きする必要がないので、熱中して撮影を行っている場合でも、バッグ等が盗難に遭う危険性を低減することができる。
また、上記収納体を宙吊り状態で地面から浮かせた状態で撮影することが可能となるため、撮影途中でのレンズの交換等の作業を一々しゃがんで地面に置いた荷物からレンズを取り出すなどの作業を要することなく素早く行うことが可能となる。
また、上記背負い紐が、設置台本体の上部に着脱可能に連結する第1の連結手段、及び、引掛かり具に着脱可能に連結する第3の連結手段を備えているため、必要なときだけ背負い紐を設置台本体に連結することが可能となる利便性がある。上記連結手段としては、例えば、URL:http://netde.net/japanbag/sports/parts.html(平成14年10月23日検索)により開示されているサイドリリースバックルを採用することもできる。
そのほか、引掛かり具から取り外した背負い紐を、自動車や座席等の他のものに結び合わせて連結することが可能であるので、例えば、自動車で運搬するときに背負い紐を座席に結束して設置台本体の横倒れ等を防ぐことが可能となる。
第二の本発明では、背負い紐が具備する連結紐に連結された収納体を、上記設置台本体と一対の背負いベルトとの間に位置させることができるようになっていることが望ましい。このような構成とすることにより、背負い紐が具備する第1の連結手段が、設置台本体の上部に結び合わせ可能な帯紐である場合に、この帯紐を設置台本体の上部に結び付けて背負い紐を設置台本体に連結することができるというだけではなく、その帯紐を、収納体に収納されたバッグ等の手提げ用把手等の他の物に結び付けて、バッグ等を支えることにも利用できるという利便がある。
特に、プロが使用する三脚は、重量のあるものが多く、なかには、10kg程度の重量があるものも存在する。そのため、場所を頻繁に変更して移動撮影する場合には、従来では、撮影者以外のスタッフが移動の補助を行うようにしていたが、第二の本発明のカメラ設置台を用いれば、カメラ設置台にカメラを設置した状態で、当該カメラ設置台を背負って移動することができるため、撮影場所の移動変更が極めて楽になり、撮影者が単独で移動撮影を行うことも可能となるといったメリットがある。
本発明の背負い紐は、カメラが着脱される雲台と、上記雲台に対して開閉自在3本の脚とを備えた設置台本体を背負うための背負い紐であって、
上記設置台本体の上部に着脱可能に連結する第1の連結手段と、
上記第1の連結手段から分岐する一対の背負いベルトと
を備えたことを特徴とする背負い紐である。
本発明の背負い紐によれば、当該背負い紐を、設置台本体の上部と上記脚の下部とに連結して、その設置台本体を背中に背負って運搬することができるので、カメラ設置台を手に持ったり肩に担いだりする必要がなくなり、徒歩で運搬するときやバイクで運搬するときに片手あるいは両手を自由に使用することができる。また、雲台にカメラを取り付けたままの設置台本体を背負うこともできるため、運搬先では設置台本体を置いてカメラ取付作業を行うことなくすばやく撮影作業に入ることが可能になる。また、撮影場所を移動する場合でも、背負い紐でカメラ設置台本体及びカメラ類を一挙に背負って移動できるため、従来のように、その重量の重さとカメラの衝撃破損のおそれから、一々カメラとカメラ設置台とを分離して移動するなどの面倒な作業を行う必要がなくなる。
そのほか、上記脚の下部から取り外した背負い紐を、自動車や座席等の他のものに結び合わせて連結することが可能であるので、例えば、自動車で運搬するときに背負い紐を座席に結束して設置台本体の横倒れ等を防ぐことが可能となる。
特に、プロが使用する三脚は、重量のあるものが多く、場所を頻繁に変更して移動撮影する場合には、従来では、撮影者以外のスタッフが移動の補助を行うようにしていたが、本発明の背負い紐を用いれば、カメラ設置台にカメラを設置した状態で、当該カメラ設置台を背負って移動することができるため、撮影場所の移動変更が極めて楽になり、撮影者が単独で移動撮影を行うことも可能となるといったメリットがある。
本発明の背負い紐は、上記一対の背負いベルトが、右肩用背負いベルトと左肩用背負いベルトとからなり、右肩用背負いベルトと左肩用背負いベルトとが互いに交差するように、前記一対の背負いベルトの端部から前記脚の下部にそれぞれ連結されて使用されることが望ましい。
このように2つ背負いベルトが交差するように脚の下部に連結されていると、撮影者等が本発明の背負いベルトを備えたカメラ設置台を背負った際、背負いベルトは撮影者等の後側で交差し、比較的水平に近い状態で脚に連結される。さらに、カメラ設置台等の重量等に起因して背負いベルトに引っ張り応力が働くこととなり、この引っ張り応力により脚が閉じる方向に引っ張られ、自動的に折りたたまれることとなる。また、背負いベルトが連結されていない脚は、撮影者等の後の方向を向いたまま残る。従って、撮影者等は、周囲の障害物等を気にすることなく、移動することができる。
また、本発明の背負い紐は、一対の背負いベルトを束ねるためのリング体に、上記一対の背負いベルトが挿通されて使用されることが望ましい。
上記背負いベルトが単に撮影者等の後側で交差しているのみであると、収納体が邪魔をして、引っ張り応力がうまく働かず、撮影者等が背負いベルトの位置を変えたり、背負った状態でカメラ設置台等を揺する等の動作をしなければ、脚がうまく閉じないおそれがあるが、リング体が存在することにより、リングを介して脚と連結することができる。このとき、連結する脚は、背負いベルトを交差させる場合と逆になるが、比較的水平に近い状態で脚に連結される。そして、カメラ設置台等の重量等により、引っ張り応力は上記背負いベルトに同様に働き、リングの作用により収納体等との摩擦も小さくなるので、よりスムーズに脚が折りたたまれる。
上記リング体は、収納体の底部に設けることが好ましいが、背負いベルトを束ねるためのリング体を収納体底部に設けるのみでなく、収納体等との摩擦を小さくし、かつ、背負いベルトの方向を規制するリング体を収納体の底部等にさらに2つ設け、それぞれに背負いベルトを挿通する方法をとることもできる。
これにより、引っ張り応力がよりスムーズに働き、さらにスムーズに脚が折りたたまれる。
また、上記リング体は、背負いベルトを束ねることができるものであれば、取り付けられる位置は限定されず、さらに、背負いベルトを束ねた状態で宙吊りになっていてもよい。
本発明の引掛かり具は、カメラが着脱される雲台と、上記雲台に対して開閉自在な3本の脚とを備えた設置台本体を背負うための背負い紐が着脱可能に連結される引掛かり具であって、
上記脚の下部に巻き付けられるバンドと、
上記バンドの上記脚との接触部に設けられた滑止部と、
上記脚の下部に上記バンドが巻き付けられた状態を維持するための面状ファスナーと
を備えたことを特徴とする引掛かり具である。
本発明の引掛かり具によれば、バンドの脚との接触部に設けられた滑止部を備えているため、脚の下部に巻き付けられたバンドがずれることを防止することができる。
また、本発明の引掛かり具が面状ファスナーを備えているため、撓むことなく堅固にバンドを巻き付けることができるとともに、異なる太さの脚を備えた既存の三脚に対して、引掛かり具を取り付けることが可能となり、汎用性に優れたものとなる。
また、バンドを脚に巻き付けて、面状ファスナーでバンドを固定するという簡単な取り付け方法により、脚に引掛かり具を取り付けることが可能となるため、引掛かり具を脚に取り付けるための工具等が不要となり、利便性に優れたものとなる。
また、設置台本体の脚に対して着脱可能であるため、不要なときに引掛かり具を脚から取り外すことができるので、引掛かり具が不要なときに脚に取り付けた引掛かり具がじゃまになるということがない。
本発明の収納体は、カメラが着脱される雲台と、上記雲台に対して開閉自在な脚とを備えた設置台本体を背負うための背負い紐に着脱可能に連結される荷物の収納が可能な収納体であって、
荷物を入れるための袋体と、
上記袋体に開閉可能に閉じ合わされる前開き片と、
上記袋体に設けられ、上記背負い紐と着脱可能に連結される連結紐と
を備えたことを特徴とする収納体である。
本発明の収納体によれば、収納体を地面から浮かせた状態で背負い紐に取り付けることにより、バッグ等を地面につけることなく収納体に収納させたまま、バッグを取り扱うことができるため、水溜り等があっても、その場所にバッグが収納されたカメラ設置台を移動させてバッグを取り扱うことができる。
また、上記収納体が、当該収納体が備える袋体に設けられた連結紐と、袋体に開閉可能に閉じ合わされる前開き片と備えているため、背負い紐に上記収納体が連結したカメラ設置台を置いた状態で、前開き片を開いて収納体に収納されているバッグを取り扱うことができる。そのため、前開きのバッグ(例えば、アタッシュケース等)であっても、当該バッグを収納体に収納させたまま、バッグの開閉等の取り扱うことができるため、利便性に優れたものとなる。
また、上記収納体を背負い紐に取り付けたままの状態で撮影することが可能となるため、撮影の際に、レンズの交換等の作業を素早く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、第一の本発明に係るカメラ設置台を概略で示した外観図である。
図2は、バッグを吊り下げた状態のカメラ設置台の概略斜視図である。
図3は、背負い紐の外観図である。
図4は、引掛かり具の概略斜視図である。
図5は、袋体の概略外観図である。
図6は、第二の本発明に係るカメラ設置台を概略で示した外観図である。
図7は、収納体を吊り下げた状態のカメラ設置台の外観図である。
図8は、背負い紐の外観図である。
図9(a)は、引掛かり具の概略平面図であり、(b)は、その概略底面図である。
図10は、収納体の概略外観図である。
図11は、第一の本発明に係るカメラ設置台に雨避具が取り付けられた様子を模式的に示す外観図である。
図12(a)は、雨避具が備えるカメラ保護枠を模式的に示す正面図であり、(b)は、その側面図である。
図13は、雨避具が備えるカメラ保護カバーを模式的に示す平面図である。
図14は、雨避具が備えるバッグ保護カバーを模式的に示す平面図である。
図15は、背負い紐と着脱可能に連結されるバッグを吊り下げた状態のカメラ設置台の概略斜視図である。
図16は、図15に示したバッグが開いた状態を示す概略正面図である。
【符号の説明】
A、D カメラ設置台
C、F カメラ
1、101 設置台本体
5、105 背負い紐
7、107 引掛かり具
12、112 雲台
14、114 脚
51、151 連結紐
52、152 上部帯紐
54、154 フック体
91 バッグ
191 バッグ
発明の詳細な開示
以下、第一の本発明のカメラ設置台を実施の形態に則して説明する。なお、第一の本発明のカメラ設置台は、この記載に限定されることはない。
図1は第一の本発明のカメラ設置台の一例(カメラ設置台A)を概略で示した外観図、図2はバッグ91が収納された収納体11を吊り下げた状態のカメラ設置台Aの概略斜視図、図3は背負い紐5の外観図、図4は引掛かり具7の概略斜視図、図5は袋体9の概略外観図である。
図1に示すように、このカメラ設置台Aは、三脚でなる設置台本体1と背負い紐5とを備えている。
設置台本体1は、雲台12にヒンジ部13を介して3本の脚14を連結してなり、雲台12にはカメラCを取り付けることができ、3本の脚14を拡げて床や地面などに設置することができるようになっている。
背負い紐5は、図2及び図3に示す如く、帯状の連結紐51によって上端部同士が連結されている柔軟材を内包した左右一対の背負いベルト50と、連結紐51に縫着された上部帯紐52と、端部にフック体54が取り付けられている左右一対の下部帯紐53とを備えている。なお、図3では、背負いベルト50が裏側を向いた状態が示されており、背負いベルト50の柔軟材を内包した部分の裏面50aが示されている。設置台本体1を背負ったときには、この裏面50aが肩に当接するのである。そして、連結紐51には左右一対の吊り具55が連結されていると共に、下部帯紐53は、背負いベルト50の下端部に取り付けられたクランプ57を介してその背負いベルト50に連結されている。そして、クランプ57が、下部帯紐53をしごいてその固定箇所を変更することによって下部帯紐53を伸縮させる機能を備えている。そのため、下部帯紐53はクランプ57に対する固定箇所を変更することによってその長さを伸ばしたり縮めたりすることが可能である。
図4に示した引掛かり具7は、金属製のバンド71にループ状に成形した金属製の引掛け部72を結合してなり、バンド71は、その一端部73と他端部74とを、一端部73に具備させたバックル75によって連結することができるようになっている。
以上説明したカメラ設置台Aでは、設置台本体1が三脚でなる。そして、この三脚でなる設置台本体1を背負って運搬するときには、図1に示すように、引掛かり具7の金属製のバンド71を設置台本体1の2本の脚14、14の下部に締付け固定し、その引掛け部72(図4参照)に背負い紐5の左右のフック体54、54を各別に引掛け、併せて、上部帯紐52を設置台本体1の雲台12と脚14…とを連結しているヒンジ部13に結び付ける。こうすると、背負いベルト50、50の内側に左右の腕を通して設置台本体1を背中に背負うことが可能になるので、そのようにして設置台本体1を背中に背負い、両手が自由になった状態で設置台本体1を運搬することができる。なお、この設置体本体1を背負ったときには、図1に示した背負いベルト50の柔軟材を内包した部分の裏面50aが肩に当接するのである。
設置台本体1を背中に背負って運搬する場合、設置台本体1の3本の脚14…は開いたままであっても、それらをコンパクトに閉じ合わせておいてもよい。たとえば、撮影ポイントをある場所からその近くの他の場所に移すようなときには、先の撮影ポイントで設置台本体1の雲台12に取り付けていたカメラCを取り外さずに、しかも、設置台本体1の脚14を閉じ合わさずに開いたまま、その設置台本体1を背中に背負って他の撮影ポイントまで運搬するようにすれば、他の撮影ポイントでは、脚14の開いている設置台本体1をそのまま置いて即座に撮影を開始することができる。
このカメラ設置台Aを用いると、図2に示すように、設置台本体1以外の撮影機材を収容したバッグ91が収納された収納体11を設置台本体1と合わせて背中に背負って運搬することも可能である。図例では収納体11にバッグ91が収納されている様子が示されている。図5に示したように収納体11は、バッグ91を入れるための袋体92と、袋体92に開閉可能に閉じ合わされる前開き片94とを備えており、袋体92には左右に連結紐93が備わっている。また、袋体92には、前開き片94を閉じ合わせるための面状ファスナー95、96が適所に備わっている。そして、図2に示すように、袋体92の左右の連結紐93を左右の吊り具55に連結することによって、袋体92とその袋体92に入れたバッグ91とを吊り具55を介して上部から吊り下げることにより、収納体11に収納されたバッグ91を設置台本体1と背負い紐5との間に位置させることができる。
このようにすると、左右の背負いベルト50の内側に左右の腕を通して設置台本体1とバッグ91が収納された収納体11とを背中に背負うことが可能になるので、そのようにして設置台本体1を背中に背負い、両手が自由になった状態でに設置台本体1や収納体11を運搬することができる。この場合でも、設置台本体1の複数本の脚14…は開いたままであってもコンパクトに閉じ合わせておいてもよく、さらに、カメラCを雲台13に取り付けたままであってもよい。また、設置台本体1とバッグ91が収納された収納体11とを背中に背負う場合には、設置台本体1の上部に結び付けた上部帯紐52の余剰部分をバッグ91の手提げ用把手(図示せず)に結び合わせるようにすると、バッグ91が左右の吊り具55と上部帯紐52とにより3か所で支えられるようになるので、バッグ91が収納された収納体11を安定性よく背中に背負うことができるようになる。
なお、図示していないけれども、撮影機材を自動車で運搬する場合には、図2に示すように設置台本体1に背負い紐5を取り付けた状態で、設置台本体1を車体床に立て、引掛かり具7から取り外した背負い紐5を、自動車や座席などの他のものに結び合わせて連結しておけば、運搬中に設置台本体1の横倒れなどを防ぐことが可能になるだけでなく、図2に示す撮影時の状態のままカメラ設置台Aを運搬することができる利便がある。
このように、カメラ設置台Aによれば、三脚からなる設置台本体1と、バッグ91が収納された収納体11とを一体的に取り扱うことが可能となるので、バッグ91にカメラ部品としての交換レンズやフィルム等の部品を収納しておけば、容易に持ち運ぶことができるとともに、移動して撮影する際に、上記部品を置き忘れたりしてしまうことを防止することができる。また、カメラが取り付けられた設置台本体1と収納体11とが、一体的に連結されているため、熱中して撮影を行っている場合でも、バッグ91等が盗難に遭う危険性を低減することができる。
この実施形態では、カメラ設置台Aの設置台本体1が3本の脚を有する三脚である場合を説明したけれども、設置台本体1には1本の脚を有する一脚や、2本の脚を有する二脚などもあり、これら一脚と呼ばれる設置台本体1や二脚と呼ばれる設置台本体1を備えたカメラ設置台についても本発明を同様に適用することができる。
また、この実施形態では、引掛かり具7を設置台本体1とは別部品とし、その引掛かり具7のバンド71を設置台本体1の脚14に取り付けるようにしてあるけれども、この点、上記引掛かり具7と同様な作用効果を有する引掛かり具が設置台本体1の脚14に溶接で直接に固定されていても、あるいは、そのような引掛かり具が取付けビスなどの止具を用いて設置台本体1の脚14に固定されていてもよい。また、引掛かり具7を脚14に取り付けず、背負いベルト50の端部に面状ファスナーや、背負いベルト50の締め付けを行うための金属製の環体等を設け、背負いベルトの端部を脚14に巻き付けるようにしてもよい。
また、上述したフック体54及びフック体54が取り付けられる引掛かり具7、並びに、背負いベルト50の下端部に取り付けられたクランプ57等の各種の連結機構については、これらの連結機構と同じ機能を有するものであれば、図示したものに限定されない。
以下、第二の本発明のカメラ設置台を実施の形態に則して説明する。第二の本発明のカメラ設置台は、この記載に限定されることはない。
なお、第二の本発明のカメラ設置台は、本発明の背負い紐、本発明の引掛かり具及び本発明の収納体を備えた構成となっているため、以下においては、本発明の背負い紐、本発明の引掛かり具及び本発明の収納体についても併せて説明することにする。
図6は、第二の本発明のカメラ設置台の一例(カメラ設置台D)を概略で示した外観図、図7(a)は、バッグ191が収納された収納体110を吊り下げた状態のカメラ設置台Dの概略斜視図、(b)は、(a)に示したカメラ設置台Dの引掛かり具107近傍を示す拡大正面図、図8は背負い紐105の外観図、図9(a)は、引掛かり具107の概略平面図、図9(b)は、引掛かり具107の概略底面図、図9(c)は、脚114に引掛かり具107が取り付けられた様子を示す概略斜視図である。図10は、収納体110の概略外観図である。
図6に示すように、このカメラ設置台Dは、三脚である設置台本体101と背負い紐105とを備えている。
設置台本体101は、雲台112にヒンジ部113を介して3本の脚114を連結してなり、雲台112にはカメラFを取り付けることができ、3本の脚114を拡げて床や地面等に設置することができるようになっている。
背負い紐105は、図7、図8に示す如く、帯状の連結紐151によって上端部同士が連結されている左右一対の背負いベルト150と、連結紐151に縫着された上記第1の連結手段である上部帯紐152とを備えている。背負いベルト150は、柔軟材を内包した主部161と、第3の連結手段であるフック体154を具備する下部帯紐153とからなる。なお、図8では、背負いベルト150が裏側を向いた状態が示されており、柔軟材を内包した主部161の裏面150aが示されている。設置台本体101を背負ったときには、この裏面150aが肩に当接するのである。また、下部帯紐153は、主部161の下端部に取り付けられた係止用アタッチメント159と着脱可能に連結するクランプ157を具備する係止用アタッチメント158を備えている。
そして、クランプ157が、下部帯紐153をしごいてその固定箇所を変更することによって下部帯紐153を伸縮させる機能を備えている。そのため、下部帯紐153は、クランプ157に対する固定箇所を変更することによってその長さを伸ばしたり縮めたりすることが可能である。
図9(a)〜(c)に示した引掛かり具107は、合成繊維等からなるバンド171の右側の端部に結合された金属製の環体178と、環体178の左側に結合され、両端部に止め具177が設けられた帯体173と、帯体173の左側に結合された金属製の引掛け部172とを備えている。
また、バンド171の左側及び右側の端部には、それぞれ面状ファスナー179、180が設けられている。
この引掛かり具107を脚114の下部に取り付ける際には、滑止部174が脚114に接するようにバンド171を脚114の下部に巻き付け、バンド171の左側の端部を環体178に挿通し、折り返してバンド171を脚114に締め付けた後、面状ファスナー179を面状ファスナー180に接着させる。そして、面状ファスナー179と面状ファスナー180との接着部分に帯体173を巻き付けて止め具177により固定するのである(図9(c)参照)。
この引掛かり具107によれば、面状ファスナー179と面状ファスナー180とが接着されることにより、撓むことなく堅固にバンド171を脚114に巻き付けることができるとともに、異なる太さの脚を備えた既存の三脚に対して、引掛かり具107を取り付けることが可能となり、汎用性に優れたものとなる。
また、バンド171を環体178を利用して折り返して締め付けることができるため、バンド171を脚114に堅固に巻き付けることが可能となる。
また、バンド171と脚114との接触部分に滑止部174が設けられているため、この滑止部174により、巻き付けられたバンド171がずれることを防止することができる。
また、面状ファスナー179と面状ファスナー180との接着部分が、帯体173に被覆された状態で、その被覆部分が止め具177により固定されるため、上記接着部分を、障害物等の衝突から保護することができ、面状ファスナー179と面状ファスナー180とが剥がれてしまうことを防止することができる。
また、バンド171を脚114に巻き付けて、面状ファスナー179、180で固定するという簡単な取り付け方法により、引掛かり具107を取り付けることが可能となるため、引掛かり具を脚に取り付けるための工具等が不要となり、利便性に優れたものとなる。
また、引掛かり具107が脚114に対して着脱可能であるため、不要なときに引掛かり具107を脚114から取り外すことができるので、引掛かり具107が不要なときに脚114に取り付けた引掛かり具107がじゃまになるということがない。
図6に示すように、カメラ設置台Dでは、三脚からなる設置台本体101に背負い紐105を取り付ける際には、まず、上述したカメラ設置台Aの場合と同様に、上部帯紐152を設置台本体101の雲台112と3本の脚114とを連結しているヒンジ部113に結び付ける。そして、上述した方法で引掛かり具107を、引掛かけ部172が左右に開いた脚114の内側を向くように取り付け、その後、右肩用の背負いベルト150(図6おける左側の背負いベルト150)の下部帯紐153が備えるフック体154を、右側の引掛かり具107が備える引掛け部172に引っ掛けるとともに、左肩用の背負いベルト150(図6における右側の背負いベルト150)の下部帯紐153が備えるフック体154を、左側の引掛かり具107が備える引掛け部172に引っ掛けることにより、右肩用の背負いベルト150と左肩用の背負いベルト150とが互いに交差するように一対の下部帯紐153を引掛かり具107にそれぞれ取り付けるのである。
このようにすることにより、設置台本体101を背負った際に、設置台本体101等の重力に起因して引っ張り応力が働き、左右の下部帯紐153に連結された引掛かり具107が取り付けられた左右の脚114が、共に内側に引っ張られ、左右の脚114が閉じ合わされるのである。このカメラ設置台Dでは、上述したように設置台本体1を背負うだけで、自動的に左右の脚114が閉じ合わされるため、利便性に優れたものとなる。なお、この設置台本体101を背負ったときには、図6に示した背負いベルト150の柔軟材を内包した部分の裏面150aが肩に当接するのである。
また、このカメラ設置台Dを用いると、図7に示すように、上述したカメラ設置台Aの場合と同様に、設置体本体101以外の撮影機材等が入ったバッグ191が収納された収納体110を、設置台本体101と合わせて背中に背負って運搬することも可能である。
図10に示したように、収納体110は、バッグ191を入れるための袋体192と、袋体192に開閉可能に閉じ合わされる柔軟材が内包された前開き片194とを備えている。前開き片194は、袋体192の右側に取り付けられた帯紐198の先端に設けられた面状ファスナー195が、袋体192の左側に設けられた面状ファスナー199に接着された状態で、帯紐198の内側に位置するように閉じ合わされる。また、図10には示していないが、帯紐198の面状ファスナー195の反対側面にも面状ファスナーが設けられている。
従って、この面状ファスナーと、前開き片194に設けられた面状ファスナー196とが接着されることにより、前開き片194が袋体192に閉じ合わされるようにしてもよい。この場合、前開き片194は、帯紐198の外側に位置することになる。
また、袋体192の左右には、連結紐151の係止用アタッチメント155と着脱可能に連結される係止用アタッチメント197を備える連結紐193が設けられている。袋体192の底部には、支持板が内包されており、また、収納体110が背負い紐105の連結紐151に吊り下げられた状態で、バッグ191が、設置台本体1の脚114の傾きによって、バッグ191の前開き片194側の面が上方を向くように、若干傾斜した状態となっている。これにより、前開き片194が開いた状態であっても、袋体192によってバッグ191を安定して支持することができ、バック191の傾きによってその中の荷物が落ちないので、そのままの状態でバッグ191を取り扱うことができる。
さらに、図7(b)に示すように、収納体110には、前開き片194が設けられている側と反対側の中央部分の底部にリング体160が設けられており、また、前開き片194が設けられている側の左側の側底部及び右側の側底部に2つの側部リング体165が設けられている。
三脚からなる設置台本体101に背負い紐105を取り付け、さらにカバン191が収納された収納体110を背負い紐105に取り付ける際には、まず、上述したカメラ設置台Aの場合と同様に、上部帯紐152を設置台本体101の雲台112と3本の脚114とを連結しているヒンジ部113に結び付ける。その後、背負い紐105が備える連結紐151の係止用アタッチメント155に、収納体110が備える連結紐193が備える係止用アタッチメント197を取り付ける(図7参照)。
そして、上述した方法で引掛かり具107を、引掛け部172が左右に開いた脚114の内側を向くように取り付け、その後、右肩用の背負いベルト150(図7における左側の背負いベルト150)の下部帯紐153を、左側の側部リング体165、リング体160に順に挿通して、下部帯紐153が備えるフック体154を、左側の引掛かり具107が備える引掛け部172に引っ掛けるとともに、左肩用の背負いベルト150(図7における右側の背負いベルト150)の下部帯紐153を、右側の側部リング体165、リング体160の順に挿通して、下部帯紐153が備えるフック体154を、右側の引掛かり具107が備える引掛け部172に引っ掛けることにより、一対の下部帯紐153を引掛かり具107にそれぞれ取り付けるのである。このとき、リング体160より脚114側の下部帯紐153は、左右にほぼ水平方向に開くようにフック体154、引掛かり具107を介して脚114に連結されている。
そして、設置台本体101を背負った際には、設置台本体101やカバン191等の重力に起因して、2つの下部帯紐153に引っ張り応力が働き、左右のリング体165及び2つの下部帯紐153を束ねたリング体160を介し、2つの下部帯紐153が内側に引っ張られる。その結果、左右の脚114が、リング体160の方向に引っ張られて閉じ合わされるのである。上述したように、設置台本体1を背負うだけで、自動的に左右の脚114が閉じ合わされるため、利便性に優れたものとなる。
カメラ設置台Dによれば、上述したカメラ設置台Aと同様に、左右の背負いベルト150の内側に左右の腕を通して設置台本体101と、バッグ191が収納された収納体110とを背中に背負うことが可能になるので、そのようにして設置台本体101を背中に背負い、両手の自由になった状態で設置台本体101や収納体110を運搬することができる。この場合、カメラFは、雲台113に取り付けたままであってもよい。また、設置台本体101と収納体110とを背中に背負う場合には、設置台本体101の上部に結び付けた上部帯紐152の余剰部分を、収納体110に収納されているバッグ191の手提げ用把手(図示せず)に結び合わせるようにすると、バッグ191が左右の係止用アタッチメント155と上部帯紐152とにより3か所で支えられるようになるので、バッグ191が収納された収納体110を安定性よく背中に背負うことができるようになる。
なお、図示していないけれども、撮影機材を自動車で運搬する場合には、図7に示すように設置台本体101に背負い紐105を取り付けた状態で、設置台本体101を車体床に立て、引掛かり具107から取り外した背負い紐105を、自動車や座席等の他のものに結び合わせて連結しておけば、運搬中に設置台本体101の横倒れ等を防ぐことが可能になるだけでなく、図7に示す撮影時の状態のままカメラ設置台Dを運搬することができる利便がある。
このように、カメラ設置台Dによれば、三脚からなる設置台本体101と、バッグ191が収納された収納体110とを一体的に取り扱うことが可能となるので、バッグ191にカメラ部品としての交換レンズやフィルム等の部品を収納しておけば、容易に持ち運ぶことができるとともに、移動して撮影する際に、上記部品を置き忘れたりしてしまうことを防止することができる。また、カメラが取り付けられた設置台本体101とバッグ191とが、一体的に連結されているため、熱中して撮影を行っている場合でも、バッグ191等が盗難に遭う危険性を低減することができる。
この実施形態では、カメラ設置台Dの設置台本体101が3本の脚を有する三脚である場合を説明したが、設置台本体101には、1本の脚を有する一脚や、2本の脚を有する二脚等もあり、これら一脚と呼ばれる設置台本体101や二脚と呼ばれる設置台本体101を備えたカメラ設置台についても本発明を同様に適用することができる。
また、この実施形態では、引掛かり具107を設置台本体101とは別部品とし、その引掛かり具107のバンド171を設置台本体101の脚114に取り付けるようにしているが、この点、例えば、引掛かけ部が設けられた引掛かり具が、設置台本体1の脚114に溶接等で直接固定されていても、また、そのような引掛かり具が取付けビス等の止具により設置台本体101の脚114に固定されていてもよい。また、引掛かり具107を脚114に取り付けず、背負いベルト150の端部に面状ファスナーや、背負いベルト150の締め付けを行うための金属製の環体等を設け、背負いベルトの端部を脚114に巻き付けるようにしてもよい。
また、このカメラ設置台Dを構成する各種の部品は、同じ機能を有するように構成されていれば、適宜設計変更されてもよい。
以上、第一の本発明のカメラ設置台、及び、第二の本発明のカメラ設置台について説明したが、本発明は、写真撮影用のカメラが設置される設置台に適用されるものに限定されず、例えば、ビデオ撮影用のビデオカメラや、トランシット、レベル等の測量器械や、拡声器等が設置される設置台に適用してもよい。
次に、第一の本発明のカメラ設置台、又は、第二の本発明のカメラ設置台を雨天時に使用する際に、カメラとバッグとが濡れることを防止するためにカメラ設置台に被覆される雨避具について説明する。
なお、以下においては、実施形態に係るカメラ設置台Aに上記雨避具を適用した場合について説明する。
図11は、第一の本発明に係るカメラ設置台Aに雨避具200が取り付けられた様子を模式的に示す外観図であり、図12(a)は、雨避具200が備えるカメラ保護枠220を模式的に示す正面図であり、図12(b)は、(a)に示したカメラ保護枠220の側面図であり、図13は、雨避具200が備えるカメラ保護カバー230を模式的に示す平面図であり、図14は、雨避具200が備えるバッグ保護カバー240を模式的に示す平面図である。なお、図12(b)は、基部222の一部を破断して示している。
雨避具200は、図11に示すように、設置台本体1の雲台12(図示せず)に取り付けられたカメラCのレンズ部分に取り付けられたカメラ保護枠220と、カメラCの全体を被覆するカメラ保護カバー230と、バッグ91が収納された収納体11の全体を被覆するバッグ保護カバー240とを備えている。カメラ保護カバー230は、カメラCを被覆した状態で、カメラCのレンズ部分に取り付けられたカメラ保護枠220の側周部に接着されるとともに、カメラCの手前側で閉じ合わされている。また、バッグ保護カバー240は、バッグ91が収納された収納体11を被覆した状態で、収納体11の手前側で閉じ合わされている。
図12(a)、(b)に示すように、カメラ保護枠220は、正面視略三角形状を有しており、カメラCのレンズ部分を固定するための保持体223が設けられた基部222を備えている。また、基部222の左右両側には、スライド板221が進退可能に挿入されている。
また、基部222は、スライド板221に一定のピッチで連続して形成された係合凹部221aに係合する係合部226aを具備する板ばね部材226を備えており、スライド板221の係合凹部221aが、基部222の板ばね部材226に弾力的に係脱するようになっている。このスライド板221をスライドさせることにより、カメラ保護枠220のカメラCが嵌め込まれる部分の大きさを調節することが可能となる。また、下側の基部222には、端部に面状ファスナー225を備えた一対の帯紐224が設けられている。この一対の帯紐224をカメラ保護枠220の側周部に巻き付けて、面状ファスナー225で固定することにより、カメラ保護枠220のカメラCが嵌め込まれる部分の大きさを調整し、その状態で固定することができる。また、このスライド板221は、基部222から取り外すことができるようになっており、全ての基部222からスライド板221を取り外すことによりカメラ保護枠220を分解して、バッグ91等にコンパクトに収納することが可能となる。
また、スライド板221には、面状ファスナー228が設けられている。この面状ファスナー228は、後述するカメラ保護カバー230を固定するためのものである。
図13に示すように、カメラ保護カバー230は、カメラCを被覆する略四角形状を有するシート231と、シート231の上部の一辺に設けられた面状ファスナー232とを備えている。この面状ファスナー232は、上述したカメラ保護枠220の外側に設けられた面状ファスナー228に接着される。これにより、カメラCのレンズ部分に取り付けられたカメラ保護枠220にカメラ保護カバー230を固定することができる。
図14に示すように、バッグ保護カバー240は、略四角形状を有する本体シート241と、本体シート241の上部に取り付けられた挿通部保護シート245とを備えている。本体シート241の上部左側には、面状ファスナー243が設けられており、本体シート241の上部右側の裏側には、面状ファスナー243と接着される面状ファスナー244が設けられている。
また、本体シート241には、背負い紐5の背負いベルト50が挿通される挿通孔242が形成されている。
このバッグ保護カバー240を、図1に示すカメラ設置台Aに取り付ける際には、背負い紐5の上部帯紐52のみが設置台本体に取り付けられ、下部帯紐53が引掛かり具7に取り付けられていない状態で、バッグ91が収納された収納体11にバッグ保護カバー240を覆い被せた後、面状ファスナー243と面状ファスナー244とを接着して固定し、本体シート241の内側から、挿通孔242に背負いベルト50を挿通させて、背負いベルト50を本体シート241の外側に引き出す。そして、下部帯紐53を引掛かり具7に取り付け、背負いベルト50が挿通されている挿通孔242に、挿通部保護シート245を覆い被せるのである。
このようにすることにより、カメラ設置台Aに雨避具200を取り付けた状態で、設置台本体1を背負うことができるため、雨天時の移動撮影における利便性に優れたものとなる。また、両手が自由になった状態で、設置台本体1を背負って運搬することができる。なお、背負いベルト50に雨避け用のカバーを被覆してもよい。
従って、雨避けのシート等が被覆された状態でカメラ設置台を手に持って移動しなければならず、移動撮影が困難であるという従来生じていた問題を解決することが可能である。
また、雨避具200は、カメラCを保護するカメラ保護カバー230と、収納体11を保護するバッグ保護カバー240とを別体で備えているため、設置台本体1を地面に置き、カメラCにカメラ保護カバーが取り付けられた状態でカメラCを設置台本体1から取り外し、そのまま撮影を行うことも可能となる。
従って、雨避けのシート等が、カメラが取り付けられた設置台本体の全体に被覆する1枚のシート等で構成されているため、上述したようにカメラを設置台本体から取り外して撮影を行おうとすると、カメラが雨に濡れてしまうという従来生じていた問題を解決することが可能である。
上述した第一の本発明に係るカメラ設置台Aでは、バッグ91が収納された収納体11が、背負い紐5に着脱可能に連結されるように構成されており、また、第二の本発明に係るカメラ設置台Dでは、バッグ109が収納されたバッグ収納体110が、背負い紐5に着脱可能に連結されているように構成されている場合について説明したが、本発明では、以下に示すように、直接背負い紐と着脱可能に連結されるようにバッグが構成されていてもよい。
なお、以下においては、第二の本発明のカメラ設置台が備える収納体に換えて、上述したバッグを適用した場合について説明するが、勿論、第一の本発明のカメラ設置台についても、このような構成を採用することが可能である。
図15は、背負い紐5と着脱可能に連結されるように構成されたバッグ(バッグ250)を吊り下げた状態のカメラ設置台Dの概略斜視図であり、図16は、バッグ250が開いた状態を示す正面図である。
バッグ250は、連結紐151の係止用アタッチメント155と着脱可能に連結される係止用アタッチメント297を備える左右一対の連結紐293を備えている。また、バッグ250は、柔軟材が内包された開閉部296を備えており、この開閉部296は、前開きに開くようになっている。
また、バッグ250の内部の側周部には、バッグ250全体を支持する硬質材からなる側板280が設けられている。さらに、バッグ250の内部には、側板280によって囲まれたバッグ250の収納領域を分割する硬質材からなる仕切板281が複数設けられている。
このバッグ250が、設置体本体101に取り付けられた背負い紐105に取り付けられると、バッグ250が、設置体本体101の脚115の傾きによって、バッグ250の開閉部296側の面が上方を向くように、若干傾斜した状態となっている。これにより、開閉部296が前開きになった状態であっても、バッグ250の傾きによってその中の荷物が落ちないので、そのままの状態でバッグ250を取り扱うことができる。
また、バッグ250が撮影を行う撮影者のすぐ前に位置するため、例えば、カメラのファインダーを覗きながらバッグ250を取り扱うことも可能であり、利便性に優れたものとなる。また、撮影者の前側近傍にバッグ250が位置するため、バッグに収納されている機材等が盗難に遭う危険性を低減することができる。
産業上利用の可能性
以上説明したように、第一の本発明のカメラ設置台によれば、一脚、二脚あるいは三脚などの設置台本体の上部と引掛かり具とに連結した背負い紐でその設置台本体を背中に背負って運搬することができるので、カメラ設置台を手に持ったり肩に担いだりする必要がなくなり、徒歩で運搬するときやバイクで運搬するときに片手あるいは両手を自由に使用することができる。また、雲台にカメラを取り付けたままの設置台本体を背負うこともできるため、運搬先では設置台本体を置いてカメラ取付作業を行うことなくすばやく撮影作業に入ることが可能になる。
また、第二の本発明のカメラ設置台によれば、一脚、二脚あるいは三脚などの設置台本体の上部と引掛かり具とに連結した背負い紐でその設置台本体を背中に背負って運搬することができるので、カメラ設置台を手に持ったり肩に担いだりする必要がなくなり、徒歩で運搬するときやバイクで運搬するときに片手あるいは両手を自由に使用することができる。また、雲台にカメラを取り付けたままの設置台本体を背負うこともできるため、運搬先では設置台本体を置いてカメラ取付作業を行うことなくすばやく撮影作業に入ることが可能になる。
また、本発明の背負い紐によれば、当該背負い紐を、設置台本体の上部と上記脚の下部とに連結して、その設置台本体を背中に背負って運搬することができるので、カメラ設置台を手に持ったり肩に担いだりする必要がなくなり、徒歩で運搬するときやバイクで運搬するときに片手あるいは両手の自由を使用することができる。また、雲台にカメラを取り付けたままの設置台本体を背負うこともできるため、運搬先では設置台本体を置いてカメラ取付作業を行うことなくすばやく撮影作業に入ることが可能になる。
また、本発明の引掛かり具によれば、脚の下部に巻き付けられたバンドがずれることを防止することができ、また、異なる太さの脚を供えた既存の三脚に対して、引掛かり具を取り付けることができ、さらに、簡単な取り付け方法により設置台本体の脚に引掛かり具を取り付けることができる。
また、本発明の収納体によれば、収納体を地面から浮かせた状態で背負い紐に取り付けることにより、バッグ等を地面につけることなく収納体に収納させたまま、バッグを取り扱うことができるため、水溜り等があっても、その場所にバッグが収納されたカメラ設置台を移動させてバッグを取り扱うことができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラが着脱される雲台を備えた脚を背負うことができるようにしたカメラ設置台であって、
前記脚の下部に引掛かり具を設けた設置台本体と、この設置台本体の上部と前記引掛かり具とに連結可能な背負い紐とからなることを特徴とするカメラ設置台。
【請求項2】
カメラが着脱される雲台と、前記雲台に対して開閉自在な3本の脚とを備えた設置台本体を背負うことができるようにしたカメラ設置台であって、
前記脚の下部に巻き付けられるバンド、前記バンドの前記脚との接触部に設けられた滑止部、及び、前記脚の下部に前記バンドが巻き付けられた状態を維持するための面状ファスナーを具備する引掛かり具と、
荷物を入れるための袋体、前記袋体に開閉可能に閉じ合わされる前開き片、及び、前記袋体に設けられた連結紐を具備し、荷物の収納が可能な収納体と、
前記設置台本体の上部に着脱可能に連結する第1の連結手段、前記第1の連結手段から分岐する一対の背負いベルト、前記収納体が具備する連結紐と着脱可能に連結し、且つ、当該収納体を前記設置台本体から吊り下げ状に保持する第2の連結手段、及び、前記一対の背負いベルトの端部から前記引掛かり具にそれぞれ着脱可能に連結する第3の連結手段を具備する背負い紐と
を備えたことを特徴とするカメラ設置台。
【請求項3】
カメラが着脱される雲台と、前記雲台に対して開閉自在な3本の脚とを備えた設置台本体を背負うための背負い紐であって、
前記設置台本体の上部に着脱可能に連結する第1の連結手段と、
前記第1の連結手段から分岐する一対の背負いベルトと
を備えたことを特徴とする背負い紐。
【請求項4】
前記一対の背負いベルトは、右肩用背負いベルトと左肩用背負いベルトとからなり、前記右肩用背負いベルトと左肩用背負いベルトとが互いに交差するように、前記一対の背負いベルトの端部から前記脚の下部にそれぞれ連結されて使用されることを特徴とする請求の範囲3に記載の背負い紐。
【請求項5】
前記一対の背負いベルトを束ねるためのリング体に、前記一対の背負いベルトが挿通されて使用されることを特徴とする請求の範囲3又は4に記載の背負い紐。
【請求項6】
カメラが着脱される雲台と、前記雲台に対して開閉自在な3本の脚とを備えた設置台本体を背負うための背負い紐が着脱可能に連結される引掛かり具であって、
前記脚の下部に巻き付けられるバンドと、
前記バンドの前記脚との接触部に設けられた滑止部と、
前記脚の下部に前記バンドが巻き付けられた状態を維持するための面状ファスナーと
を備えたことを特徴とする引掛かり具。
【請求項7】
カメラが着脱される雲台と、前記雲台に対して開閉自在な脚とを備えた設置台本体を背負うための背負い紐に着脱可能に連結される荷物の収納が可能な収納体であって、
荷物を入れるための袋体と、
前記袋体に開閉可能に閉じ合わされる前開き片と、
前記袋体に設けられ、前記背負い紐と着脱可能に連結される連結紐と
を備えたことを特徴とする収納体。

【国際公開番号】WO2004/063617
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566281(P2004−566281)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013811
【国際出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【出願人】(503015905)
【Fターム(参考)】