説明

カメラ

【課題】AF機構のための測距装置を備え、迷光の問題を解消した小型のカメラを提供する。
【解決手段】カメラ本体に、被写体光を受光するレンズ鏡胴14と、被写体からの反射光を受光して被写体までの距離を演算する測距装置25と、前記レンズ鏡胴の上方に設けられ、使用時に発光部が被写体方向へ露出するようにポップアップする開閉機構を備えたフラッシュ装置2とを備え、前記測距装置25を、前記レンズ鏡胴14とフラッシュ装置2の間に配置する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オートフォーカス機構を備えたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、多くのカメラには、オートフォーカス(AF)機構が設けられている。
AF機構には、被写体光からの反射光を受光窓から受光し、当該被写体光に基づいて被写体までの距離を測定するもの(測距方式)と、レンズを通した被写体像を用いて当該被写体像が合焦するようにレンズを駆動させながら合焦位置を決定するもの(TTL焦点検出方式)とに大別される。比較的小型のコンパクトカメラにおいては、機構が簡単であることから測距方式のAF機構が設けられていることがほとんどである。
【0003】
測距方式のAF機構を備えたカメラは、被写体から反射した被写体光を受光するための受光窓を備えている。受光窓は、通常カメラ本体の前面に設けられている。当該受光窓から受光した光は、その背後に設けられている一対のAFセンサによって電気情報として取り込まれ、当該情報に基づいて三角測量の原理によって被写体までの距離が算出される。
【0004】
ところで、近年小型のカメラが望まれていることから、比較的大きな部材であるAFセンサなどカメラの構成部品の配置位置を工夫したものが開示されている。たとえば、実開平5−2133号公報(特許文献1)には、ポップアップフラッシュの発光部の横に、AF補助光のLEDを配置したものが開示されている。
また、特開平8−286100号公報(特許文献2)には、ポップアップするフラッシュの上部あるいは側方にアクティブAFの投光部を配置したものが開示されている。また、鏡胴の上方にオートフォーカスのためのユニットを設け、その背後にポップアップ可能なフラッシュ装置を収納できるように構成されたデジタルカメラも存在する。
【0005】
また、デジタルカメラの場合は、TTL焦点検出方式を用い、焦点調節のための受光センサを撮像素子と共通にし、当該撮像素子の画像情報に基づいて焦点調整(ビデオAF)するカメラも存在する。このようなビデオAF機能のカメラは、被写体光を受光するためのAFセンサを撮像素子と共有しているため、AFセンサ用の部材を設ける必要がなく、その分だけカメラ本体を小型にすることができる。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−2133号公報
【特許文献2】
特開平8−286100号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カメラの鏡胴が高倍率ズームでは、長焦点時におけるAFに要する時間が長くなるという問題があった。すなわち、高倍率ズームにおいてAFにかかる時間を短くするためには、パッシブAFセンサを用いた測距方式のAF機構を使用することが求められる。一方、パッシブAFセンサを用いた場合、センサの迷光対策のため、受光窓部近傍にひさしなどの遮光部材を設けて迷光を遮断することが望ましいが、上記のカメラにおいては、いずれも当該対策がなされていなかった。また、単に受光窓上部に遮光部材を設けるだけではデザイン的に制約を受け、違和感を生じさせることとなる。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、AF機構のための測距装置を備え、迷光の問題を解消した小型のカメラを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のカメラを提供する。カメラは、本体に、被写体光を受光するレンズ鏡胴と、被写体からの反射光を受光して被写体までの距離を演算する測距装置と、前記レンズ鏡胴の上方に設けられ、使用時に発光部が被写体方向へ露出するようにポップアップする開閉機構を備えたフラッシュ装置とを備えたものである。そして、前記測距装置は前記レンズ鏡胴とフラッシュ装置の間に配置される。
【0010】
上記構成において、測距装置は、被写体光を受光窓を通して受光して、三角測量の原理によって被写体までの距離を測定する装置である。
【0011】
上記構成によれば、測距装置を撮影レンズ鏡胴との空間であって、カメラに内蔵されているポップアップフラッシュ装置の後下部に配置することにより、当該スペースの有効利用を図り、カメラを小型化することができる。また、フラッシュ装置の下方に配置することにより、フラッシュ装置の突出形状を利用して遮光部材とすることができ、迷光が測距装置の受光窓に入射することを防止することができ、迷光対策とすることができる。
【0012】
本発明のカメラは、具体的には以下のように種々の態様で構成することができる。
【0013】
好ましくは、前記測距装置は、収納時における前記フラッシュ装置の発光部よりも利用者側、すなわち、カメラの背面側に配置される。
【0014】
上記構成において、測距装置をフラッシュ装置の発光部よりも背面側に位置させることにより、当該フラッシュ装置の発光部を、測距装置の受光窓へ入射する上方からの迷光を防止する遮光部材として用いることができる。したがって、デザイン上の制約を受けることなく迷光対策を行うことができる。
【0015】
好ましくは、前記フラッシュ装置の収納時において、前記測距装置の受光窓は、前記フラッシュ装置の発光部により遮蔽される。上記構成において、前記フラッシュ装置は、撮影状況に応じて自動的にポップアップすることが好ましい。
【0016】
上記構成において、フラッシュ装置の発光部の利用者側、すなわちカメラの背面側に測距装置の受光窓を設けることにより、フラッシュ装置の収納時においては、外部から受光窓が見えないように配置される。このようにフラッシュ装置及び測距装置を配置することにより、さらにカメラを高さ方向に小型化することができる。また、主電源ONや被写体の測光の結果などの撮影状況に応じて、フラッシュ装置を撮影者の操作によらず自動的にポップアップさせることにより、測距装置の受光窓が露出し、AF機能を発揮することができる。
【0017】
好ましくは、前記カメラは、デジタルカメラであって、撮像素子によるビデオオートフォーカス機能を備え、オートフォーカス処理は当該ビデオオートフォーカスの結果に応じて前記測距装置による測距動作に切り替わる。
【0018】
上記構成において、測距装置が配置される位置は、一眼レフタイプのフィルムカメラのペンタプリズムが設けられる位置であるため、これを必要としないデジタルカメラにおいては、当該スペースをさらに有効に利用することができる。また、たとえば、高倍率ズーム時など、ビデオAFによるオートフォーカスに時間がかかる場合などは、より短時間で測距することができる測距装置によるAFを行うことで、より迅速な撮影動作を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態に係るカメラについて、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかるデジタルカメラについて、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかるデジタルカメラの外観正面図である。図2は、図1のデジタルカメラの外観平面図である。図3は、図2のA−Aで切断した場合の一部断面概略図である。
【0021】
本実施形態にかかるデジタルカメラ1は、前カバー12と、被写体側からみて本体の左側に設けられたグリップ部13から構成された本体を有する。グリップ部13は、カメラ正面に向かって左側に設けられており、図2に示すように、撮影者がカメラ1を把持しやすいように被写体側への突形状を有している。グリップ部13の上面には、レリーズボタン17が設けられている。また、本体の下部には、三脚などにデジタルカメラを固定するための三脚固定用ネジ穴24が設けられている。
【0022】
鏡胴14は、本体の前カバー12を貫通して被写体側に延材して設けられている。鏡胴14に設けられた第1レンズ15を通して被写体光が入射する。詳細は省略するが、鏡胴14は、第1レンズのほか、複数群からなる複数の撮影レンズ(図示なし)を備えてた光学系を有し、広く行われているように鏡胴が多段操り出しすることにより、その中のズームレンズの位置が変更して焦点距離が変更するズーム光学系である。図1乃至3においては、鏡胴が繰り出している状態を示している。また、撮影レンズには、焦点調節用のフォーカスレンズが含まれており、後述するように測距装置からの情報に基づいて、被写体距離に応じた合焦位置に移動させて、被写体像をCCD23の撮像面上に合焦させる。
【0023】
鏡胴14に入射した被写体光は、図3に示すようにCCD23上に結像し、光電変換されて電気情報に変換される。変換された電気情報は、基板22によって写真画像に加工されて、カメラの背面に設けられたLCD21に表示される。LCDには、鏡胴14から入射した被写体像がライブビュー表示されると共に、レリーズボタン17が操作されると、CCDが撮像した静止写真画像が所定時間表示される。LCD21の背面側には、LCD21を保護するための透明な保護部材20が設けられている。
【0024】
また、撮像素子23により得られた写真画像は、LCD21に表示するかわりに、ファインダユニット18によっても確認することができる。撮影者は、ファインダユニット18の接眼部を覗くことによって、モニタ18aに表示された写真画像をレンズ18b,18cを通して観察することができる。
【0025】
鏡胴14の上方には、測距ユニット25の受光窓16が設けられている。測距ユニットは、外光パッシブ方式の測距方式のものであり、三角測量の原理に基づいて、被写体までの距離を導く。したがって、測距ユニット25には、左右一対のセンサ16L,16Rが1つの保持部材に設けられており、それぞれのセンサ16の撮像素子25aによって画像情報が得られる。AFセンサ16L,16Rは、受光窓16の背後(撮影者側)に設けられている。AFセンサ16L,16R及びその保持部材は、図3に示すように内蔵フラッシュユニット2、鏡胴14、ファインダユニット18の間にできる空間に配置され、カメラ本体の上カバー19aにより密閉されている。この空間はファインダユニット18、内蔵フラッシュユニット2、鏡胴14の形状によって決定されるものであり、AFセンサ用に設けられたものではないため、当該空間にAFセンサ16L,16Rを配置することにより当該空間を有効利用することができ、カメラを小型に構成することができる。
【0026】
また、測距ユニット25のAFセンサの保持部材は、その精度上、撮影に関与するユニット、すなわち、鏡胴14内の撮影レンズユニットとCCD23とを支持するユニットに取り付けられることが好ましく、図3に示すように、当該ユニットを構成する鏡胴14の固定筒14aに取りつけられている。
【0027】
測距ユニット25の上方には、ポップアップタイプの内蔵フラッシュユニット2が設けられている。内蔵フラッシュユニット2は、上壁3及び左右の側壁7、正面側の立壁8及び、下壁9(図3参照)によって囲まれた空間に放電管4aを備えた発光部4が設けられている。発光部の前方側(被写体側)には、発光部4から発光した光が拡散しないようにするためのレンズ5が設けられている。
【0028】
内蔵フラッシュユニット2の左右の側壁7は、撮影者側へ延在し、カメラ1の本体上面に固定点36によって回動可能に取りつけられる。よって、内蔵フラッシュユニット2は、当該左右の側壁の固定点36を中心として所定角度範囲で開閉することができ、図3に示すように、収納時は本体前カバー12のフラッシュ収納部12aに収納され、発光部が被写体側に向かないようになっている。一方、図3の破線で示すように、使用時は、内蔵フラッシュユニットが上方に跳ね上がり、発光部が被写体側を向くように露出する。
【0029】
図2及び図3に示すように、AFセンサは、内蔵フラッシュユニット2の発光部の背後(撮影者側)に位置するように設けられている。このようにフラッシュユニットとAFセンサとの位置関係を決定することにより、内蔵フラッシュユニット2がカメラ本体の前カバー12と比較して被写体側に突出することとなり、太陽光など、AFセンサの受光窓16の上方から入射される光を遮光することができる。したがって、図3に示すように、内蔵フラッシュユニットの収納時は、AFセンサの受光窓16へは、被写体方向からの光のみが到達し、迷光の問題を少なくすることができる。
【0030】
カメラ上面の内蔵フラッシュユニット2の後方側には、外付けフラッシュ装置を取り付けるための端子19が設けられている。
【0031】
本実施形態にかかるカメラは、内蔵フラッシュユニット2の収納時においても、測距ユニットの受光窓16がカメラ前面に露出しているため、内蔵フラッシュユニットの開閉状態に関わらず、常時受光窓16に被写体光が入射され、撮影時に当該測距ユニットによるオートフォーカスを行うことができる。もちろん撮影光学系のCCD23を利用して焦点調整(ビデオAF)を行うようにしてもよく、これを併用、あるいは撮影状況に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0032】
(第2実施形態)
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第2実施形態にかかるデジタルカメラについて説明する。本実施形態にかかるデジタルカメラ30は、第1実施形態にかかるデジタルカメラ1と大略共通の構成を有するので、本実施形態においては、異なる部分を中心に説明する。図4は、本発明の第2実施形態にかかるデジタルカメラの一部断面該略図である。図5は、図4のデジタルカメラの内蔵フラッシュユニットがポップアップした状態を示す図である。図6は、図4のデジタルカメラの背面外観図である。
【0033】
本実施形態においては、内蔵フラッシュユニット32の位置を異ならせることにより、デジタルカメラ30のフラッシュ収納時の高さ寸法をを小さくすることができる。本実施形態においては、内蔵フラッシュユニットを前方にシフトさせることにより、測距ユニット55のAFセンサ及びその保持部材を内蔵フラッシュユニット32の発光部34の後部に配置する。すなわち、内蔵フラッシュユニット32の収納時には、AFセンサ及びその受光窓46が内蔵フラッシュユニット32の発光部34に遮光されるようにすることによって、内蔵フラッシュユニットを低く構成しまたその取りつけ位置を低くすることができ、結果としてカメラ30の全高を低くすることが可能となる。
【0034】
一方、この状態では、受光窓46に被写体光が入射されないため、測距ユニット55を用いた測距を行うことができない。よって、当該測距ユニット55を用いてオートフォーカスを行う場合は、次のように動作を行う。
【0035】
まず、撮影者が撮影動作を行うための準備動作、たとえば、図6に示すようなカメラのメインスイッチ60の操作による電源ONの動作や、デジタルカメラの撮影/再製モード切り替えレバー61による撮影モードの選択動作、あるいは、レリーズボタン17(図1参照)の半押しによる撮影準備動作など撮影状況に応じて、図示しない自動ポップアップ機構によって、内蔵フラッシュユニット32を図5に示すような使用位置に移動させる。このように内蔵フラッシュユニットが使用位置に移動することにより、図5に示すように測距ユニット55の受光窓46への必要光路が確保され、測距を行うことができる。
【0036】
また、撮影光学系のCCD53を利用して焦点調整(ビデオAF)を行うようにしてもよく、これを併用してもよい。このとき、撮影者によるモード切り替えスイッチ62の操作によって手動で切り替えてもよいし、撮影状況に応じて自動的に切り替わるようにしてもよい。
【0037】
また、メインスイッチの操作によって自動的に内蔵フラッシュユニット32が自動的にポップアップするような場合は、電源ON中は撮影者が内蔵フラッシュユニット32を収納位置に戻した場合であっても、当該位置に保持しないようにすることもできる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態にかかるデジタルカメラは、測距ユニット25をデッドスペースである鏡胴と内蔵フラッシュユニットの間の空間に配置することにより当該空間の有効利用することができる。したがって、高倍率ズーム時においても外光パッシブ型のAF機能によりオートフォーカスがなされるので、迅速な処理を可能とすることができると共に、カメラを小型に構成することができる。また、AFセンサを鏡胴の固定筒に取りつけることにより、測距の精度を高めることができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【0040】
たとえば、本発明は、デジタルカメラだけではなく、フィルム式のカメラにも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるデジタルカメラの外観正面図である。
【図2】図1のデジタルカメラの外観平面図である。
【図3】図2のA−Aで切断した場合の一部断面概略図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるデジタルカメラの一部断面該略図である。
【図5】図4のデジタルカメラの内蔵フラッシュユニットがポップアップ位置にある状態を示す図である。
【図6】図4にデジタルカメラの外観配面図である。
【符号の説明】
1,30 デジタルカメラ
2,32 内蔵フラッシュユニット
14,44 鏡胴
16,46 受光窓
18,48 ファインダユニット
25,55 測距ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に、被写体光を受光するレンズ鏡胴と、被写体からの反射光を受光して被写体までの距離を演算する測距装置と、前記レンズ鏡胴の上方に設けられ、使用時に発光部が被写体方向へ露出するようにポップアップする開閉機構を備えたフラッシュ装置とを備えたカメラであって、
前記測距装置を、前記レンズ鏡胴とフラッシュ装置の間に配置することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記測距装置は、収納時における前記フラッシュ装置の発光部よりも利用者側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記フラッシュ装置の収納時において、前記測距装置の受光窓は、前記フラッシュ装置の発光部により遮蔽されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記フラッシュ装置は、撮影状況に応じて自動的にポップアップすることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のカメラ。
【請求項5】
前記カメラは、デジタルカメラであって、鏡胴に設けられた撮像素子によるビデオオートフォーカス機能を備え、オートフォーカス処理は当該ビデオオートフォーカスの結果に応じて前記測距装置に切り替わることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2004−252264(P2004−252264A)
【公開日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−43785(P2003−43785)
【出願日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】