説明

カメラ

【課題】構造が簡易で、かつ、撮影距離にかかわらず、写真フィルム上の画像の領域と、表示手段により表示された電子画像の領域とを一致させることができるカメラを提供する。
【解決手段】カメラは、撮影光学系と、この撮影光学系から独立して設けられたファインダー光学系と、CCDと、LCDと、制御手段と、フィールフドメモリー25と、E2 PROMとを有する。CCDにより撮像した画像は、一旦、フィールフドメモリー25に記憶される。制御手段は、撮影距離情報に基づいて、E2 PROMから読み出し開始位置のアドレス(0,yA )を表すデータを抽出する。そして、このデータに基づき、フィールフドメモリー25のアドレス(0,yA )から画像の読み出しを開始し、写真フィルム上の画像の領域と一致する読み出し領域54内の画像を読み出し、この電子画像をLCDに出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラ、特に、被写体像を写真フィルムに結像させる撮影光学系と、被写体像を撮像素子に結像させるファインダー光学系とを有する、銀塩写真フィルムに撮影するカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】被写体像を写真フィルムに結像させる撮影光学系と、被写体像をCCDに結像させるファインダー光学系とを有する、銀塩写真フィルム(写真フィルム)に撮影するカメラが知られている。
【0003】図15は、従来のカメラの光学系を示す模式図である。同図に示すように、このカメラの光学系は、撮影光学系503と、その撮影光学系503から独立して設けられたファインダー光学系504とで構成されている。
【0004】このような従来のカメラでは、ファインダー光学系504の光軸540が、撮影光学系503の光軸530に対してずれているので、パララックスが生じる。
【0005】例えば、撮影距離aのA点や、撮影距離bのB点を撮影する場合、撮影範囲をT、ファインダー視野範囲をOとすると、撮影距離aでのファインダー視野範囲Oa と撮影範囲Ta とが一致せず、撮影距離bでのファインダー視野範囲Ob と撮影範囲Tb とが一致しない。この場合、A点、B点は、撮影光学系503の光軸530上にあるので、写真フィルム上では、画面の中心に位置するが、これらA点、B点は、ファインダー光学系504の光軸540上にないので、図示しないCCD上や、ファインダー上では、画面の中心には位置しない。
【0006】このように、写真フィルム上の画像の領域(撮影光学系503の視野)と、ファインダー上の画像およびモニター上の電子画像の領域(ファインダー光学系504の視野)とにずれが生じる。
【0007】図16に示すように、ファインダー光学系504の光軸540が、撮影光学系503の光軸530に対し、図16中、横方向および縦方向のそれぞれにずれているカメラ501の場合には、ファインダー上の画像およびモニター上の電子画像では、撮影光学系503の光軸530上のA点、B点が画面506の中心から横方向および縦方向のそれぞれにずれる。この場合、撮影距離(カメラ501のフィルム面から被写体までの距離)が近い程、撮影光学系503の光軸530上の点は、図16中、左下へずれ、撮影距離が遠い程、撮影光学系503の光軸530上の点は、画面506の中心へ近づく。
【0008】また、図17に示すように、ファインダー光学系504の光軸540が、撮影光学系503の光軸530に対し、図17中、縦方向にのみずれているカメラ502の場合には、ファインダー上の画像およびモニター上の電子画像では、撮影光学系503の光軸530上のA点、B点が画面506の中心から縦方向にのみずれる。この場合、撮影距離が近い程、撮影光学系503の光軸530上の点は、図17中、下側へずれ、撮影距離が遠い程、撮影光学系503の光軸530上の点は、画面506の中心へ近づく。
【0009】このようなパララックスを補正するために、従来では、特開平1−147439号公報に示すように、別途、パララックス補正装置を設けたり、光学系を変更する等、機械的手段による補正を行っている。しかしながら、機械的な補正では、構造が複雑化するとともに、カメラが大型化し、また、高価になるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、構造が簡易で、かつ、撮影距離にかかわらず、写真フィルム上の画像の領域と、表示手段により表示された電子画像の領域とを一致させることができるカメラを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
【0012】(1) 撮像素子と、被写体像を写真フィルムに結像させる第1の光学系と、前記第1の光学系から独立して設けられ、被写体像を前記撮像素子の受光面に結像させる第2の光学系と、前記撮像素子の受光面に結像した被写体像を映像処理し、該被写体像の電子画像を出力する映像処理手段と、前記映像処理手段から出力された電子画像を表示する表示手段と、被写体までの距離情報を検出する検出手段と、前記第1の光学系と前記第2の光学系の視野の相違を補正する補正手段とを有し、前記補正手段は、前記検出手段により検出された被写体までの距離情報に基づいて、前記写真フィルム上の画像の領域と、前記表示手段により表示された電子画像の領域とが一致するように、前記撮像素子により撮像された画像の読み出し領域を設定するよう構成されていることを特徴とするカメラ。
【0013】(2) 前記第1の光学系の光軸と、前記第2の光学系の光軸とを含む面が、写真フィルムの搬送方向と直交するように、前記第1の光学系と、前記第2の光学系とが配置されている上記(1)に記載のカメラ。
【0014】(3) 前記撮像素子の受光領域の長辺側と短辺側の幅の比が長辺/短辺で示されるとき、前記撮像素子の受光領域の長辺/短辺が、前記写真フィルム上の画像の長辺/短辺より小さい上記(2)に記載のカメラ。
【0015】(4) 前記撮像素子の受光領域の長辺側と短辺側の幅の比が長辺/短辺で示されるとき、前記撮像素子の受光領域の長辺/短辺が12/9、前記写真フィルム上の画像の長辺/短辺が12/8であり、前記撮像素子の受光領域における、該受光領域と前記写真フィルム上の画像との差の部分を前記補正に利用する上記(2)に記載のカメラ。
【0016】(5) 前記撮像素子により撮像された画像の長辺方向の領域と、前記写真フィルム上の画像の長辺方向の領域とが一致するよう構成されている上記(3)または(4)に記載のカメラ。
【0017】(6) 前記補正手段は、被写体までの距離に対応する前記読み出し領域を示す領域情報が記憶されている情報メモリーを有し、この情報メモリーから前記領域情報を読み出し、該領域情報と、前記被写体までの距離情報とに基づいて、前記読み出し領域を設定するよう構成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のカメラ。
【0018】(7) 前記映像処理手段は、画像を記憶する画像メモリーを有し、前記撮像素子により撮像された画像を前記画像メモリーに一旦記憶し、該画像メモリーから前記補正手段により設定された前記読み出し領域に対応する画像を読み出して電子画像を出力するよう構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のカメラ。
【0019】(8) 前記映像処理手段は、画像を記憶する画像メモリーを有し、前記撮像素子により撮像された画像を前記画像メモリーに一旦記憶し、該画像メモリーから前記補正手段により設定された前記読み出し領域に対応する画像を読み出して電子画像を出力するよう構成され、前記領域情報は、前記画像メモリーの読み出し開始位置のアドレスを特定する情報である上記(6)に記載のカメラ。
【0020】(9) 前記読み出し開始位置のアドレスの特定は、前記画像メモリーに、次の画像の記憶が開始されるまでになされるよう構成されている上記(8)に記載のカメラ。
【0021】(10) 前記画像メモリーにn番目の画像を記憶している際に、前記画像メモリーからn−1番目の画像を読み出し、かつ、前記n−1番目の画像の読み出しに対して、前記n番目の画像の記憶を所定画素数分遅らせて行うよう構成されている上記(7)ないし(9)のいずれかに記載のカメラ。
【0022】(11) 前記写真フィルムに撮影した画像に対応する静止画の電子画像が前記表示手段に出力されるよう構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のカメラ。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のカメラを添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明のカメラの第1実施例を示す斜視図、図2は、図1に示すカメラを示す正面図、図3R>3は、図1に示すカメラの撮影光学系およびファインダー光学系の構成例を示す模式図、図4は、図1に示すカメラの回路構成例を示すブロック図である。
【0025】図1に示すように、カメラ(LCDモニター付カメラ)1は、カメラボディー2を有し、カメラボディー2の前面(正面)には、第1の光学系である撮影光学系3が、カメラボディー2の背面には、電子画像を表示する表示手段であるLCD(液晶表示素子)6が、カメラボディー2の前面から背面に渡って、第2の光学系であるファインダー光学系4が、カメラボディー2の上面には、メインスイッチ(電源スイッチ)7と、オートフォーカス(自動焦点)モードまたはマニュアルフォーカスモードを選択する切換スイッチ8と、測光・レリーズスイッチ9とが、それぞれ設置されている。なお、測光・レリーズスイッチ9は、2段スイッチになっている。
【0026】図2に示すように、撮影光学系3は、カメラボディー2のほぼ中央に配置され、ファインダー光学系4は、撮影光学系3の図2中上側に配置されている。すなわち、撮影光学系3の光軸30と、ファインダー光学系4の光軸40とを含む面18が、写真フィルム(銀塩写真フィルム)17の搬送方向(横方向)と直交するように、撮影光学系3と、ファインダー光学系4とが配置されている。
【0027】図3に示すように、撮影光学系3は、被写体像を写真フィルム17に結像させる撮影レンズ(撮影レンズ群)61と、レンズシャッター(絞り兼用シャッター)62とで構成されている。レンズシャッター62は、複数の羽根を有し、後述するシャッター駆動回路37による羽根の移動や回転により、開口を開閉して露光制御し得るようになっている。
【0028】また、ファインダー光学系4は、実像式のファインダー光学系と、CCD用光学系(撮像素子用光学系)とにハーフミラー66によって分岐して構成されている。
【0029】実像式のファインダー光学系は、第1レンズ64および第2レンズ65からなる対物レンズ群63と、ハーフミラー66と、集光レンズ68と、ピント板69と、コンデンサーレンズ71と、ポロプリズム72と、接眼レンズ73とで構成されている。また、CCD用光学系は、集光レンズ67で構成されている。この場合、CCD(撮像素子)5は、集光レンズ67の結像面に配置され、ピント板69は、集光レンズ68の結像面に配置されている。
【0030】このファインダー光学系4は、撮影距離にかかわらず、写真フィルム17に撮影された画像全体をCCD5で撮像することができ、かつ、写真フィルム17上の画像の長辺方向(横方向)の領域と、CCD5により撮像された画像の長辺方向(横方向)の領域とが一致するように設計されている。
【0031】対物レンズ群63を透過した光は、ハーフミラー66に入射し、このハーフミラー66を透過した光は、集光レンズ67を経てCCD5の受光面51に結像する。
【0032】一方、ハーフミラー66で反射した光は、集光レンズ68を経て一度ピント板69上に結像し、コンデンサーレンズ71を透過し、ポロプリズム72に入射する。そして、このポロプリズム72により像反転がなされ、接眼レンズ73を介して被写体像を正立正像で視認することができる。
【0033】CCD5は、多数の画素が行列状に配置され、各画素のそれぞれが受光光量に応じた電荷を蓄積し、この電荷を所定時に順次転送するように構成されている。
【0034】本実施例では、CCD5として、補色フィルターのCCDが用いられている。CCD5の各画素(最小単位)には、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)、シアン(Cy)およびグリーン(G)を取り出すためのフィルターが各々被せられている。なお、これらの内容は周知なので、説明を省略する。以下、「画面上の画素」を単に「画素」という。なお、CCD5側のシャッターや絞りとしては、このCCD5の電子シャッター機能を利用する。
【0035】図5は、CCD5の受光領域と、写真フィルム17上の画像(写真フィルム17の1コマ分の露光領域)とを模式的に示す図である。この場合、CCD5の受光領域52の横方向の長さ、すなわち長辺方向の長さL1 と、写真フィルム17上の画像53の横方向の長さ、すなわち長辺方向の長さL3 とが同一となるような縮尺で記載されている。
【0036】なお、「写真フィルム17上の画像53の横方向」とは、写真フィルム17の搬送方向をいう。また、「CCD5の受光領域52の横方向」とは、図5に示すように、CCD5上の画像と写真フィルム17上の画像53の向き(方向)を一致させたときの、前記写真フィルム17上の画像53の横方向をいう。また、「CCD5の受光領域」とは、CCD5の有効な受光領域をいう。
【0037】図5に示すように、CCD5の受光領域52の横方向の長さ、すなわち長辺方向の長さ(長辺側の幅)をL1 、その縦方向の長さ、すなわち短辺方向の長さ(短辺側の幅)をL2 、写真フィルム17上の画像53(写真フィルム17の1コマ分の露光領域)の横方向の長さ、すなわち長辺方向の長さをL3 、その縦方向の長さ、すなわち短辺方向の長さをL4 とした場合、CCD5の受光領域52の長辺/短辺(長短辺比)、すなわちL1 /L2 が、写真フィルム17上の画像53の長辺/短辺(長短辺比)、すなわちL3 /L4 より小さくなるよう構成されている。
【0038】具体的には、本実施例では、L1 /L2 =12/9(=4/3)、L3 /L4=12/8(=3/2)に設定されている。従って、一般に市販されている規格のCCDを用いることができ、低コスト化に有利である。
【0039】このカメラ1では、CCD5の受光領域52と写真フィルム17上の画像53の差の部分(図5中点線より上側および下側の部分)を後述するパララックス補正に利用する。
【0040】図4に示すように、カメラ1は、制御手段21を有している。制御手段21は、通常、マイクロコンピュータで構成され、シーケンス制御、測光演算(露出演算)、測距演算、自動露出や自動焦点合わせの実行等、カメラ1における諸機能の制御を行う。
【0041】制御手段21には、メインスイッチ7と、切換スイッチ8と、前記測光・レリーズスイッチ9の操作によって作動する測光スイッチ11およびレリーズスイッチ12と、表示部35と、各回路へ電力を供給する電源回路36とが、それぞれ接続されている。
【0042】制御手段21は、切換スイッチ8がオンの場合、オートフォーカスモードに設定し、オフの場合、マニュアルフォーカスモードに設定する。後述するように、オートフォーカスモードに設定されている場合には、測距回路45が作動し、マニュアルフォーカスモードに設定されている場合には、レンズ距離測定回路39が作動する。
【0043】表示部35には、例えば、メインスイッチ7のオン/オフの別、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの別、写真フィルム17の撮影枚数、撮影の年月日等の情報、現在の時間等のうちの必要な情報が、例えば、LCD(液晶表示素子)や発光素子により表示される。
【0044】また、制御手段21には、シャッター駆動回路37、レンズ駆動回路38、レンズ距離測定回路39、ストロボ回路41、測光回路43および測距回路45が、それぞれ接続されている。
【0045】測光回路43は、測光センサ44により被写体の輝度を測定し、その情報(輝度情報)を制御手段21へ入力する。制御手段21は、前記輝度情報と、写真フィルム17のフィルム感度(ISO感度)を検出する図示しないフィルム感度検出手段から入力されたフィルム感度情報とに基づいて、測光演算(露出演算)を行い、レンズシャッター62の適正な露出(絞り値およびシャッター速度)を決定するとともに、CCD5側の適正な露出(CCD5の電荷蓄積時間)を決定する。
【0046】オートフォーカスモードに設定されている場合には、測距回路45は、投光部46および受光部47により、アクティブ方式によって撮影距離を測定し、その情報(撮影距離情報)を制御手段21へ入力する。制御手段21は、この撮影距離情報により、撮影距離を把握する。
【0047】なお、「撮影距離」とは、カメラ1のフィルム面から被写体までの距離をいう。また、「撮影距離情報」とは、被写体までの距離情報、すなわち、前記撮影距離に関する情報(データ)をいう。
【0048】レンズ駆動回路38は、図示しない合焦点駆動用のモータを有している。前述したように、測距回路45から制御手段21に撮影距離情報が入力されると、オートフォーカスモードに設定されている場合には、制御手段21は、この撮影距離情報に基づいて、合焦させるための指令信号をレンズ駆動回路38へ入力する。レンズ駆動回路38は、この合焦指令により合焦点駆動用のモータを所定量回転駆動させて合焦状態を得る。
【0049】シャッター駆動回路37は、図示しないレンズシャッター駆動用のモータを有している。制御手段21から、レンズシャッター62を前記適正露出で作動させる指令信号がシャッター駆動回路37に入力されると、シャッター駆動回路37は、この指令によりレンズシャッター駆動用のモータを所定量回転駆動させて、レンズシャッター62を駆動する。これにより、写真フィルム17への露光がなされる。
【0050】撮影光学系3には、図示しないコードを有するコード板が設置されている。このコード情報は、撮影光学系3のレンズ繰り出し量(無限端からのレンズ繰り出し量)に対応した情報になっている。
【0051】レンズ距離測定回路39は、図示しない複数の接点を備えたコード接片を有している。このコード接片は、各接点が前記コード板のコードに接触するように配置されている。
【0052】マニュアルフォーカスモードに設定されている場合には、レンズ距離測定回路39は、コード板からコード情報を読み取り、撮影光学系3のレンズ繰り出し量、すなわち、撮影距離の情報を検出し、制御手段21へ入力する。制御手段21は、この撮影距離情報により、撮影距離を把握する。
【0053】ストロボ回路20は、制御手段21からストロボ駆動指令信号が入力されると、ストロボ光源42を駆動(発光)させる。また、カメラ1は、CCD駆動回路29、同期信号発生回路28、アドレスコントローラ31、CDS回路(相関二重サンプリング回路)22、映像処理回路23、A/D変換器24、画像メモリーであるフィールドメモリー25、D/A変換器26、LCD駆動回路27、バックライト駆動回路32、バックライト33および情報メモリーであるE2 PROM(不揮発性メモリー)34を有している。
【0054】カメラ1では、CCD5により撮像した画像を、一旦、フィールドメモリー25に記憶し、所定の読み出し領域内の画像(画素)のみをフィールドメモリー25から読み出す。このような映像処理により、電子画像を得、この電子画像をLCD6にて表示する。
【0055】この場合、撮影距離情報に基づいて、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とが一致するように、CCD5により撮像された画像の読み出し領域を設定する。
【0056】以下、フィールドメモリー25からの画像の読み出し、すなわち、カメラ1におけるパララックス補正について説明する。図6は、フィールドメモリー25を模式的に示す図である。この場合、x−y座標系を想定する。x軸方向が前述したCCD5の横方向、y軸方向がCCD5の縦方向に対応する。
【0057】フィールドメモリー25は、1画面(1フィールド)分の画像信号を記憶し得るものであり、フィールドメモリー25の記憶領域は、CCD5の受光領域52に対応している。
【0058】図6に示すように、撮影距離が変わると、CCD5により撮像した画像において、撮影光学系3の光軸30上の点の位置が変わる。この場合、撮影光学系3の光軸30上の点の位置は、x軸方向にはずれないが、y軸方向にずれる。
【0059】例えば、撮影光学系3の光軸30上のA点、B点(撮影距離は、A点よりB点の方が近い)を比べた場合、A点より撮影距離が近いB点は、図6中A点の下側に位置する。
【0060】従って、カメラ1では、撮影距離に応じて、所定の画像の読み出し領域を設定する(y軸方向に移動させる)。例えば、A点を撮影する場合には、A点がLCD6の画面の中央に位置し、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とが一致するように、読み出し領域54を設定する。
【0061】これと同様に、B点を撮影する場合には、B点がLCD6の画面の中央に位置し、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とが一致するように、読み出し領域55を設定する。なお、画像の読み出し領域内のx軸方向およびy軸方向の画素数は、それぞれ、LCD6の横方向および縦方向の有効画素数と一致している。
【0062】ここで、画像の読み出し領域の面積(画像の読み出し領域内のx軸方向およびy軸方向の画素数)は、撮影距離にかかわらず一定なので、読み出し開始位置のアドレス(アドレス開始位置)が定まれば、画像の読み出し領域が定まる。
【0063】このため本実施例では、E2 PROM34には、撮影距離に対応する読み出し領域を示す領域情報として、予め、読み出し開始位置のアドレスを特定する情報、すなわち、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とが一致する、各撮影距離における読み出し開始位置のアドレスがテーブル化されて記憶されている。
【0064】そして、電子画像を出力する際、E2 PROM34から前記情報を読み出し、この情報と、撮影距離情報とに基づいて、読み出し開始位置のアドレス、すなわち、画像の読み出し領域を設定する。
【0065】例えば、A点を撮影する場合には、読み出し開始位置のアドレス(0,yA )を表すデータが抽出され、このデータに基づき、フィールドメモリー25の読み出し開始位置のアドレス(0,yA )から画像信号の読み出しを開始する。
【0066】この場合、前述したように、撮影距離にかかわらず、画像の読み出し領域内のx軸方向およびy軸方向の画素数は、それぞれ一定であるので、x軸方向およびy軸方向に、それぞれ、一定画素数分の画素信号を読み出して、1画面分の画像信号の読み出しを終了するようになっている。
【0067】これと同様に、B点を撮影する場合には、読み出し開始位置のアドレス(0,yB )を表すデータが抽出され、このデータに基づき、フィールドメモリー25の読み出し開始位置のアドレス(0,yB )から画像信号の読み出しを開始する。そして、x軸方向およびy軸方向に、それぞれ、一定画素数分の画素信号を読み出して、1画面分の画像信号の読み出しを終了する。
【0068】図7は、画像の書き込みおよび読み出しの動作を示すタイミングチャートである。同図に示すように、電子画像を出力する場合、CCD5からフィールドメモリー25へn番目の画像(1画面分の画像)を書き込み、これとほぼ同時にフィールドメモリー25からn−1番目の画像を読み出す。そして、このn−1番目の画像の電子画像をLCD6へ出力する。
【0069】この場合、フィールドメモリー25では、画像の書き込みを画像の読み出しに対して1H分(図6中y軸方向に1画素分)遅らせて行う。すなわち、フィールドメモリー25にn番目の画像のm−1行目の各画素を書き込んでいるときに、フィールドメモリー25からn−1番目の画像のm行目の各画素を読み出す。
【0070】また、フィールドメモリー25へのn番目の画像の書き込みを開始したときから、n+1番目の画像の書き込みを開始するまでの期間に、n番目の画像に対する撮影距離情報に基づいて、そのn番目の画像に対する読み出し開始位置のアドレスデータを抽出し、アドレスコントローラ31へ出力する。
【0071】次に、映像処理により被写体像の電子画像を得、その電子画像を表示する際のカメラ1の動作を説明する。図4に示すように、同期信号発生回路28では、制御手段21から制御信号が入力され、この制御信号に基づいてクロック信号を生成し、このクロック信号に基づいて同期信号(水平同期信号および垂直同期信号等)を生成する。生成されたクロック信号および同期信号は、それぞれ、CCD駆動回路29と、アドレスコントローラ31に入力され、それぞれの動作に利用される。
【0072】CCD駆動回路29は、同期信号発生回路28から入力される同期信号に基づいてCCD5を駆動する。CCD5の各画素には、前述した測光回路43からの被写体の輝度情報に基づき求められた適正露出、すなわち電荷蓄積時間で、被写体像に対応する光量に応じた電荷が蓄積され、この蓄積された電荷は順次転送され、CDS回路22に入力される。
【0073】CDS回路22では、CCD5から出力される画素信号に対し所定の信号処理を行い(サンプリングのタイミングを制御してノイズを除去し)、撮影された被写体像のアナログ映像信号、すなわち、マゼンタ、イエロー、シアンおよびグリーンに関するアナログ映像信号を得る。
【0074】このアナログ映像信号は、映像処理回路23に入力される。映像処理回路23においては、入力されたアナログ映像信号に対し、所定の映像処理(信号処理)を行い、レッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)のアナログ画像信号、すなわち原色のアナログ画像信号を生成する。
【0075】このアナログ画像信号は、A/D変換器24によりデジタル画像信号に変換され、フィールドメモリー25の所定のアドレスに一旦記憶される。この場合、アドレスコントローラ31は、同期信号発生回路28からの同期信号に基づき、内蔵する書き込み用アドレスカウンタを作動させて、フィールドメモリー25の所定のアドレスに、各デジタル画像信号を書き込んでいく。
【0076】また、アドレスコントローラ31は、同期信号発生回路28からのクロック信号に基づき、内蔵する読み出し用アドレスカウンタを作動させて、フィールドメモリー25の所定のアドレスから各デジタル画像信号を読み出していく。なお、このデジタル画像信号の読み出しについては、前述した通りであるので、説明を省略する。
【0077】読み出されたデジタル画像信号は、D/A変換器26によりアナログ画像信号に変換される。このアナログ画像信号は、LCD駆動回路27に入力され、LCD駆動回路27は、入力されたアナログ画像信号に基づき、LCD6を駆動する。これにより、LCD6に電子画像が表示される。
【0078】制御手段21は、バックライト駆動回路32により、LCD6の駆動に同期させて、バックライト33を駆動(点灯)させ、また、LCD6の駆動停止に同期させて、バックライト33を消灯させる。
【0079】次に、カメラ1の制御手段21の動作を説明する。この場合、オートフォーカスモードに設定されている場合の動作と、マニュアルフォーカスモードに設定されている場合の動作とをそれぞれ説明する。
【0080】図8および図9は、オートフォーカスモードに設定されている場合のカメラ1の制御手段21の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて説明する。
【0081】まず、測光・レリーズスイッチ9の1段目、すなわち、測光スイッチ11がオンか否かを判断する(ステップ100)。ステップ100において、測光スイッチ11がオンと判断した場合には、測距回路45および測光回路43をそれぞれ作動させ、前述したように、測距データ、すなわち撮影距離情報と、測光データ、すなわち輝度情報とを得る(ステップ101)。
【0082】次いで、前記撮影距離情報および輝度情報を、それぞれ制御手段21に内蔵されている図示しないメモリーに記憶する(ステップ102)。次いで、レンズ駆動回路38を作動させる(ステップ103)。すなわち、制御手段21に内蔵されている図示しないメモリーから前記撮影距離情報を読み出し、この撮影距離情報に基づき、レンズ駆動回路38により、撮影光学系3の焦点合わせレンズを駆動し、合焦状態を得る。
【0083】次いで、前述したように、CCD5により撮像し、このCCD5からの画像信号をフィールドメモリー25に記憶する(ステップ104)。次いで、画像出力処理を行う(ステップ105)。
【0084】図10は、画像出力処理における制御手段21の動作を示すフローチャート(サブルーチン)である。同図に示すように、画像出力処理では、前述したように、制御手段21に内蔵されている図示しないメモリーから前記撮影距離情報を読み出し、この撮影距離情報に基づいて、E2 PROM34よりフィールドメモリー25の読み出し開始位置のアドレスデータを抽出する(ステップ201)。
【0085】次いで、アドレスコントローラ31の読み出し用アドレスカウンタに、前記読み出し開始位置のアドレスデータを出力する(ステップ202)。次いで、アドレスコントローラ31の読み出し用アドレスカウンタに、アドレス開始信号を送出し(ステップ203)、リターンする。
【0086】なお、このステップ203により、フィールドメモリー25のアドレス開始位置から画像信号の読み出しが開始される。そして、前述したように、電子画像が得られ、その電子画像がLCD6に出力され、表示される。
【0087】図8に示すように、次いで、測光・レリーズスイッチ9の1段目、すなわち、測光スイッチ11がオンか否かを判断する(ステップ106)。ステップ106において、測光スイッチ11がオンと判断した場合には、測光・レリーズスイッチ9の2段目、すなわち、レリーズスイッチ12がオンか否かを判断する(ステップ107)。
【0088】ステップ107において、レリーズスイッチ12がオフと判断した場合には、ステップ101に戻り、再度、ステップ101以降を実行する。ステップ101〜107が繰り返し実行されることにより、繰り返し(連続的に)電子画像が得られ、LCD6に、この電子画像が出力され、表示される。これにより、被写体像をモニターすることができる。
【0089】また、ステップ106において、測光スイッチ11がオフと判断した場合には、画像出力、すなわちLCD6への電子画像の出力を中止し(ステップ108)、ステップ100に戻り、再度、ステップ100以降を実行する。
【0090】また、ステップ107において、レリーズスイッチ12がオンと判断した場合には、シャッター駆動回路37を作動させる(ステップ110)。すなわち、制御手段21に内蔵されている図示しないメモリーから前記輝度情報を読み出し、この輝度情報に基づき、シャッター駆動回路37により、レンズシャッター62を駆動させる。これにより、レンズシャッター62が、所定期間、所定開度、開いて写真フィルム17への露光がなされる。
【0091】次いで、測光・レリーズスイッチ9の2段目、すなわち、レリーズスイッチ12がオンか否かを判断する(ステップ111)。ステップ111において、レリーズスイッチ12がオンと判断した場合には、画像出力、すなわちLCD6への電子画像の出力を継続する(ステップ112)。
【0092】ステップ111および112が繰り返し実行されることにより、写真フィルム17への撮影とほぼ同時にCCD5で撮像された画像が、電子画像としてLCD6により表示される。
【0093】また、ステップ111において、レリーズスイッチ12がオフと判断した場合には、画像出力、すなわちLCD6への前記電子画像の出力を中止する(ステップ113)。
【0094】次いで、測光・レリーズスイッチ9の1段目、すなわち、測光スイッチ11がオンか否かを判断する(ステップ114)。ステップ114において、測光スイッチ11がオンと判断した場合には、ステップ101に戻り、再度、ステップ101以降を実行する。また、ステップ114において、測光スイッチ11がオフと判断した場合には、このプログラムを終了する。
【0095】図11および図12は、マニュアルフォーカスモードに設定されている場合のカメラ1の制御手段21の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて説明する。
【0096】まず、測光・レリーズスイッチ9の1段目、すなわち、測光スイッチ11がオンか否かを判断する(ステップ301)。ステップ301において、測光スイッチ11がオンと判断した場合には、レンズ距離測定回路39および測光回路43をそれぞれ作動させ、前述したように、撮影距離情報と、輝度情報とを得る(ステップ302)。
【0097】次いで、前記撮影距離情報および輝度情報を、それぞれ制御手段21に内蔵されている図示しないメモリーに記憶する(ステップ303)。次いで、前述したように、CCD5により撮像し、このCCD5からの画像信号をフィールドメモリー25に記憶する(ステップ304)。
【0098】次いで、画像出力処理を行う(ステップ305)(図10参照)。なお、この画像出力処理は、オートフォーカスモードに設定されている場合の画像出力処理と同様であるので説明を省略する。次いで、測光・レリーズスイッチ9の1段目、すなわち、測光スイッチ11がオンか否かを判断する(ステップ306)。
【0099】ステップ306において、測光スイッチ11がオンと判断した場合には、測光・レリーズスイッチ9の2段目、すなわち、レリーズスイッチ12がオンか否かを判断する(ステップ307)。
【0100】ステップ307において、レリーズスイッチ12がオフと判断した場合には、ステップ302に戻り、再度、ステップ302以降を実行する。ステップ302〜307が繰り返し実行されることにより、繰り返し(連続的に)電子画像が得られ、LCD6に、この電子画像が出力され、表示される。これにより、被写体像をモニターすることができる。
【0101】また、ステップ306において、測光スイッチ11がオフと判断した場合には、画像出力、すなわちLCD6への電子画像の出力を中止し(ステップ308)、ステップ301に戻り、再度、ステップ301以降を実行する。
【0102】また、ステップ307において、レリーズスイッチ12がオンと判断した場合には、シャッター駆動回路37を作動させる(ステップ309)。すなわち、制御手段21に内蔵されている図示しないメモリーから前記輝度情報を読み出し、この輝度情報に基づき、シャッター駆動回路37により、レンズシャッター62を駆動させる。これにより、レンズシャッター62が、所定期間、所定開度、開いて写真フィルム17への露光がなされる。
【0103】次いで、測光・レリーズスイッチ9の2段目、すなわち、レリーズスイッチ12がオンか否かを判断する(ステップ310)。ステップ310において、レリーズスイッチ12がオンと判断した場合には、画像出力、すなわちLCD6への電子画像の出力を継続する(ステップ311)。
【0104】ステップ310および311が繰り返し実行されることにより、写真フィルム17への撮影とほぼ同時にCCD5で撮像された画像が、電子画像としてLCD6により表示される。
【0105】また、ステップ310において、レリーズスイッチ12がオフと判断した場合には、画像出力、すなわちLCD6への前記電子画像の出力を中止する(ステップ312)。
【0106】次いで、測光・レリーズスイッチ9の1段目、すなわち、測光スイッチ11がオンか否かを判断する(ステップ313)。ステップ313において、測光スイッチ11がオンと判断した場合には、ステップ302に戻り、再度、ステップ302以降を実行する。また、ステップ313において、測光スイッチ11がオフと判断した場合には、このプログラムを終了する。
【0107】カメラ1によれば、撮影距離に対応した視野のずれを電気的に補正し、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とを一致させることができる。
【0108】これにより、撮影の際、撮影しようとする被写体を正確にモニターすることができ、構図を決定する場合に有利である。そして、カメラ1では、別途、パララックス補正装置を設けたり、光学系を変更する等、機械的手段による補正を行う必要がないので、カメラの構造が複雑化することがなく、また、大型化することがない。
【0109】また、カメラ1では、撮影距離にかかわらず、CCD5により撮像された画像の横方向の領域と、写真フィルム17上の画像の横方向の領域とが一致しており、このため、電子画像を出力する際、CCD5の受光領域を最大限まで使用しているので(CCD5の横方向の受光領域をすべて使用しているので)、有効画素数(電子画像の画素数)が多く、よって、電子画像が鮮明になるという利点を有する。
【0110】また、カメラ1では、レリーズスイッチ12がオンしている限り、撮影画像に対応する静止画の電子画像がLCD6に出力され、表示されるので、撮影画像を正確に即時にモニターすることができる。
【0111】なお、一眼レフカメラの場合には、CCDの受光領域を広くするか、または、ファインダー光学系側に、縮小光学系を設けて像を縮小する必要があるが、前者は、高価になり、後者は、複雑かつ大規模な縮小光学系が必要であるので、カメラが大型化する。
【0112】しかしながら、カメラ1は、撮影光学系3と、ファインダー光学系4とが互いに独立しているので、前記一眼レフカメラのような問題はない。すなわち、写真フィルム17に比べて受光領域の小さいCCD5を用いることができ、これにより安価なカメラが実現し、また、複雑かつ大規模な縮小光学系を必要としないので、カメラを小型化することができる。
【0113】次に、本発明のカメラの第2実施例を説明する。なお、前述した第1実施例のカメラ1との共通点については説明を省略し、相違点を説明する。図13は、本発明のカメラの第2実施例を示す正面図である。
【0114】同図に示すように、カメラ(LCDモニター付カメラ)1aでは、撮影光学系3は、カメラボディー2のほぼ中央に配置され、ファインダー光学系4は、撮影光学系3の図13中左上に配置されている。すなわち、撮影光学系3の光軸30と、ファインダー光学系4の光軸40とを含む面18が、写真フィルム17の搬送方向(横方向)と直交しないように、撮影光学系3と、ファインダー光学系4とが配置されている。
【0115】そして、ファインダー光学系4は、撮影距離にかかわらず、写真フィルム17に撮影された画像全体をCCD5で撮像することができるように設計されている。
【0116】図14は、図13に示すカメラ1aのフィールドメモリー25を模式的に示す図である。この場合、x−y座標系を想定する。x軸方向がCCD5の横方向、y軸方向がCCD5の縦方向に対応する。
【0117】同図に示すように、このカメラ1aでは、撮影距離が変わると、CCD5により撮像した画像において、撮影光学系3の光軸30上の点の位置が、x軸方向およびy軸方向にずれる。
【0118】例えば、撮影光学系3の光軸30上のC点、D点(撮影距離は、C点よりD点の方が近い)を比べた場合、C点より撮影距離が近いD点は、図14中C点の左下に位置する。
【0119】従って、カメラ1aでは、撮影距離に応じて、所定の画像の読み出し領域を設定する(x軸方向およびy軸方向に移動させる)。例えば、C点を撮影する場合には、C点がLCD6の画面の中央に位置し、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とが一致するように、読み出し領域56を設定する。
【0120】これと同様に、D点を撮影する場合には、D点がLCD6の画面の中央に位置し、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とが一致するように、読み出し領域57を設定する。なお、画像の読み出し領域内のx軸方向およびy軸方向の画素数は、それぞれ、LCD6の横方向および縦方向の有効画素数と一致している。
【0121】ここで、画像の読み出し領域の面積(画像の読み出し領域内のx軸方向およびy軸方向の画素数)は、撮影距離にかかわらず一定なので、読み出し開始位置のアドレス(アドレス開始位置)が定まれば、画像の読み出し領域が定まる。
【0122】このため本実施例では、E2 PROM34には、撮影距離に対応する読み出し領域を示す領域情報として、予め、読み出し開始位置のアドレスを特定する情報、すなわち、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とが一致する、各撮影距離における読み出し開始位置のアドレスがテーブル化されて記憶されている。
【0123】そして、電子画像を出力する際、E2 PROM34から前記情報を読み出し、この情報と、撮影距離情報とに基づいて、読み出し開始位置のアドレス、すなわち、画像の読み出し領域を設定する。
【0124】例えば、C点を撮影する場合には、読み出し開始位置のアドレス(xC ,yC)を表すデータが抽出され、このデータに基づき、フィールドメモリー25の読み出し開始位置のアドレス(xC ,yC )から画像信号の読み出しを開始する。
【0125】この場合、前述したように、撮影距離にかかわらず、画像の読み出し領域内のx軸方向およびy軸方向の画素数は、それぞれ一定であるので、x軸方向およびy軸方向に、それぞれ、一定画素数分の画素信号を読み出して、1画面分の画像信号の読み出しを終了するようになっている。
【0126】これと同様に、D点を撮影する場合には、読み出し開始位置のアドレス(xD,yD )を表すデータが抽出され、このデータに基づき、フィールドメモリー25の読み出し開始位置のアドレス(xD ,yD )から画像信号の読み出しを開始する。そして、x軸方向およびy軸方向に、それぞれ、一定画素数分の画素信号を読み出して、1画面分の画像信号の読み出しを終了する。
【0127】なお、カメラ1aのこの他の構成や作用等については、前述したカメラ1と同様であるので説明を省略する。カメラ1aによれば、前述したカメラ1と同様に、撮影距離にかかわらず、写真フィルム17上の画像の領域と、LCD6により表示された電子画像の領域とを一致させることができ、撮影の際、撮影しようとする被写体を正確にモニターすることができる。そして、カメラが大型化することがなく、構造も簡易である。さらに、撮影画像を正確に即時にモニターすることができる。
【0128】以上、本発明のカメラを、図示の構成例に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明のカメラは、第1の光学系の焦点距離を変更して撮影画角の変更を行うズーム手段を有していてもよい。
【0129】この場合、本発明のカメラは、ズーミングによる、第1の光学系と第2の光学系の視野の相違を補正するような構成であってもよく、また、パララックスおよびズーミングによる、第1の光学系と第2の光学系の視野の相違をそれぞれ補正するような構成であってもよい。
【0130】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカメラによれば、撮影距離にかかわらず、写真フィルム上の画像の領域と、表示手段により表示された電子画像の領域とを一致させることができる。これにより、撮影の際、撮影しようとする被写体を正確にモニターすることができる。
【0131】そして、本発明のカメラでは、別途パララックス補正装置を設けたり、光学系を変更する等の機械的手段による補正を行う従来のカメラに比べ、そのような機械的手段の設置を必要とせず、よって、構造が簡易であり、カメラが大型化することもなく、しかも、補正精度も向上する。
【0132】また、第1の光学系の光軸と、第2の光学系の光軸とを含む面が、写真フィルムの搬送方向と直交するように、第1の光学系と、第2の光学系とが配置され、撮像素子の受光領域の長辺/短辺(長短辺比)が、写真フィルム上の画像の長辺/短辺(長短辺比)より小さい場合、特に、撮像素子により撮像された画像の長辺方向の領域と、写真フィルム上の画像の長辺方向の領域とが一致するよう構成されている場合には、有効画素数を多くすることができるので、鮮明な電子画像が得られる。
【0133】また、撮像素子の受光領域の長辺/短辺(長短辺比)が12/9、写真フィルム上の画像の長辺/短辺(長短辺比)が12/8であり、撮像素子の受光領域と写真フィルム上の画像との差の部分を補正に利用する場合には、市販されている規格の撮像素子を用いることができるので、低コスト化に有利である。
【0134】また、写真フィルムに撮影した画像に対応する静止画の電子画像が表示手段に出力されるよう構成されている場合には、撮影画像を正確に即時にモニターすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカメラの第1実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すカメラを示す正面図である。
【図3】図1に示すカメラの撮影光学系およびファインダー光学系の構成例を示す模式図である。
【図4】図1に示すカメラの回路構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明におけるCCDの受光領域と、写真フィルム上の画像(写真フィルムの1コマ分の露光領域)とを模式的に示す図である。
【図6】本発明におけるフィールドメモリーを模式的に示す図である。
【図7】本発明における画像の書き込みおよび読み出しの動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明において、オートフォーカスモードに設定されている場合の制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明において、オートフォーカスモードに設定されている場合の制御手段の動作を示すフローチャート(図8の続き)である。
【図10】本発明において、画像出力処理における制御手段の動作を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図11】本発明において、マニュアルフォーカスモードに設定されている場合の制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明において、マニュアルフォーカスモードに設定されている場合の制御手段の動作を示すフローチャート(図11の続き)である。
【図13】本発明のカメラの第2実施例を示す正面図である。
【図14】図13に示すカメラのフィールドメモリーを模式的に示す図である。
【図15】従来のカメラの光学系を示す模式図である。
【図16】従来のカメラと、そのカメラのファインダー上の画像(モニター上の電子画像)とを示す図である。
【図17】従来のカメラと、そのカメラのファインダー上の画像(モニター上の電子画像)とを示す図である。
【符号の説明】
1、1a カメラ
2 カメラボディー
3 撮影光学系
30 光軸
4 ファインダー光学系
40 光軸
5 CCD
6 LCD
7 メインスイッチ
8 切換スイッチ
9 測光・レリーズスイッチ
11 測光スイッチ
12 レリーズスイッチ
17 写真フィルム
18 面
21 制御手段
22 CDS回路
23 映像処理回路
24 A/D変換器
25 フィールドメモリー
26 D/A変換器
27 LCD駆動回路
28 同期信号発生回路
29 CCD駆動回路
31 アドレスコントローラ
32 バックライト駆動回路
33 バックライト
34 E2 PROM
35 表示部
36 電源回路
37 シャッター駆動回路
38 レンズ駆動回路
39 レンズ距離測定回路
41 ストロボ回路
42 ストロボ光源
43 測光回路
44 測光センサ
45 測距回路
46 投光部
47 受光部
51 受光面
52 受光領域
53 画像
54〜57 読み出し領域
61 撮影レンズ
62 レンズシャッター
63 対物レンズ群
64 第1レンズ
65 第2レンズ
66 ハーフミラー
67、68 集光レンズ
69 ピント板
71 コンデンサーレンズ
72 ポロプリズム
73 接眼レンズ
100〜108、110〜114 ステップ
201〜203 ステップ
301〜313 ステップ
501、502 カメラ
503 撮影光学系
530 光軸
504 ファインダー光学系
540 光軸
506 画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮像素子と、被写体像を写真フィルムに結像させる第1の光学系と、前記第1の光学系から独立して設けられ、被写体像を前記撮像素子の受光面に結像させる第2の光学系と、前記撮像素子の受光面に結像した被写体像を映像処理し、該被写体像の電子画像を出力する映像処理手段と、前記映像処理手段から出力された電子画像を表示する表示手段と、被写体までの距離情報を検出する検出手段と、前記第1の光学系と前記第2の光学系の視野の相違を補正する補正手段とを有し、前記補正手段は、前記検出手段により検出された被写体までの距離情報に基づいて、前記写真フィルム上の画像の領域と、前記表示手段により表示された電子画像の領域とが一致するように、前記撮像素子により撮像された画像の読み出し領域を設定するよう構成されていることを特徴とするカメラ。
【請求項2】 前記第1の光学系の光軸と、前記第2の光学系の光軸とを含む面が、写真フィルムの搬送方向と直交するように、前記第1の光学系と、前記第2の光学系とが配置されている請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】 前記撮像素子の受光領域の長辺側と短辺側の幅の比が長辺/短辺で示されるとき、前記撮像素子の受光領域の長辺/短辺が、前記写真フィルム上の画像の長辺/短辺より小さい請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】 前記撮像素子の受光領域の長辺側と短辺側の幅の比が長辺/短辺で示されるとき、前記撮像素子の受光領域の長辺/短辺が12/9、前記写真フィルム上の画像の長辺/短辺が12/8であり、前記撮像素子の受光領域における、該受光領域と前記写真フィルム上の画像との差の部分を前記補正に利用する請求項2に記載のカメラ。
【請求項5】 前記撮像素子により撮像された画像の長辺方向の領域と、前記写真フィルム上の画像の長辺方向の領域とが一致するよう構成されている請求項3または4に記載のカメラ。
【請求項6】 前記補正手段は、被写体までの距離に対応する前記読み出し領域を示す領域情報が記憶されている情報メモリーを有し、この情報メモリーから前記領域情報を読み出し、該領域情報と、前記被写体までの距離情報とに基づいて、前記読み出し領域を設定するよう構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載のカメラ。
【請求項7】 前記映像処理手段は、画像を記憶する画像メモリーを有し、前記撮像素子により撮像された画像を前記画像メモリーに一旦記憶し、該画像メモリーから前記補正手段により設定された前記読み出し領域に対応する画像を読み出して電子画像を出力するよう構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載のカメラ。
【請求項8】 前記映像処理手段は、画像を記憶する画像メモリーを有し、前記撮像素子により撮像された画像を前記画像メモリーに一旦記憶し、該画像メモリーから前記補正手段により設定された前記読み出し領域に対応する画像を読み出して電子画像を出力するよう構成され、前記領域情報は、前記画像メモリーの読み出し開始位置のアドレスを特定する情報である請求項6に記載のカメラ。
【請求項9】 前記読み出し開始位置のアドレスの特定は、前記画像メモリーに、次の画像の記憶が開始されるまでになされるよう構成されている請求項8に記載のカメラ。
【請求項10】 前記画像メモリーにn番目の画像を記憶している際に、前記画像メモリーからn−1番目の画像を読み出し、かつ、前記n−1番目の画像の読み出しに対して、前記n番目の画像の記憶を所定画素数分遅らせて行うよう構成されている請求項7ないし9のいずれかに記載のカメラ。
【請求項11】 前記写真フィルムに撮影した画像に対応する静止画の電子画像が前記表示手段に出力されるよう構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図17】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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