説明

カラーフィルター用緑色組成物及び感光性緑色組成物

【課題】高いコントラストを低下させないで輝度を調整し得るカラーフィルター用緑色組成物及び感光性緑色組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも顔料と分散剤と溶剤とを含むカラーフィルター用緑色組成物であって、該顔料がC.I.ピグメントグリーン58と黄色有機顔料を含み、且つ青色顔料、赤色顔料、紫色顔料及び橙色顔料から選ばれるいずれか1種を含むことを特徴とするカラーフィルター用緑色組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルターに有用な緑色組成物及び感光性緑色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーフィルターを製造する方法としては、分光特性、耐光性、耐熱性等の観点から顔料分散法が主流となっている。
また、液晶表示装置においては、従来のノートパソコン等の用途以外にテレビや大型モニターへの用途展開が進んでおり、高明度化、高色純度化、高コントラスト化がカラーフィルターに求められている。
ところで、カラーフィルターのホワイトバランスをとるため、赤(R),緑(G),青(B)各色の輝度を調整する場合があり、特許文献1においては、C.I.ピグメントグリーン7又は36である銅フタロシアニン系緑色色素に紫色色素、赤色色素又は黒色色素を加えることにより緑の明度を調整する方法が提案されている。
しかしながら、この方法では、コントラストが低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−309537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況下で、高いコントラストを低下させないで輝度を調整し得るカラーフィルター用緑色組成物及び感光性緑色組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、C.I.ピグメントグリーン58と黄色有機顔料を用い、且つ他の顔料と組み合わせることにより上記課題を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]少なくとも顔料と分散剤と溶剤とを含むカラーフィルター用緑色組成物であって、該顔料がC.I.ピグメントグリーン58と黄色有機顔料を含み、且つ青色顔料、赤色顔料、紫色顔料及び橙色顔料から選ばれるいずれか1種を含むことを特徴とするカラーフィルター用緑色組成物、
[2]前記顔料全量中、C.I.ピグメントグリーン58が10〜80質量%、黄色有機顔料が10〜70質量%、並びに青色顔料、赤色顔料、紫色顔料及び橙色顔料から選ばれるいずれか1種が0.1〜5質量%含まれてなる上記[1]に記載のカラーフィルター用緑色組成物、
[3]前記黄色有機顔料が、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー138及び/又はC.I.ピグメントイエロー150からなる上記[1]又は[2]に記載のカラーフィルター用緑色組成物、
[4]前記青色顔料が、C.I.ピグメントブルー15:6である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物、
[5]前記赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物、
[6]前記紫色顔料が、C.I.ピグメントバイオレット23である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物、
[7]前記橙色顔料が、C.I.ピグメントオレンジ38である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物、及び
[8]さらに、バインダー樹脂、光重合性モノマー及び光重合開始剤を含む上記[1]〜[7]のいずれかに記載のカラーフィルター用感光性緑色組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高いコントラストを低下させないで輝度を調整し得るカラーフィルター用緑色組成物及び感光性緑色組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のカラーフィルター用緑色組成物は、少なくとも顔料と分散剤と溶剤とを含む緑色組成物であり、必要に応じて、さらにバインダー樹脂、光重合性モノマー及び光重合開始剤を含む感光性緑色組成物である。
そして、上記顔料がC.I.ピグメントグリーン58と黄色有機顔料を含み、且つ青色顔料、赤色顔料、紫色顔料及び橙色顔料から選ばれるいずれか1種を含むことを特徴とする。ここで、C.I.ピグメントグリーン58は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン系緑色顔料である。
C.I.ピグメントグリーン58と黄色有機顔料からなる緑色組成物は、例えば、C.I.ピグメントグリーン36と黄色有機顔料からなる緑色組成物と比較して輝度とコントラストが高いという特徴があり、コントラストを低下させないでホワイトバランスを確保できれば、高い輝度と高いコントラストとを享受することができる。
【0008】
本発明に用いられる黄色有機顔料は、特に限定されず、種々の黄色有機顔料を用いることができる。具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
本発明において、黄色有機顔料は1種単独で用いても良いし、2種以上を用いても良い。
本発明に用いられる黄色有機顔料としては、上述の内、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、83、138、139、150、180、185等が好ましい。C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー138及びC.I.ピグメントイエロー150はいずれも顔料粒径が小さく、コントラストの低下が少ないので特に好ましい。
【0009】
本発明に用いられる青色有機顔料も特に限定されず、種々の青色有機顔料を用いることができる。具体例としては、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6等が好ましく挙げられる。これらの内、C.I.ピグメントブルー15:6は顔料粒径が小さく、コントラストの低下が少ないので特に好ましい。
【0010】
本発明に用いられる赤色有機顔料としては特に限定されず、具体例として、C.I.ピグメントレッド254、177、242等が好ましく挙げられる。これらの内、C.I.ピグメントレッド177は顔料粒径が小さく、コントラストの低下が少ないので特に好ましい。
【0011】
本発明に用いられる紫色有機顔料としては特に限定されず、具体例として、C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37等が好ましく挙げられ、C.I.ピグメントバイオレット19、23、37がさらに好ましく、C.I.ピグメントバイオレット23は顔料粒径が小さく、コントラストの低下が少ないので特に好ましい。
【0012】
また、本発明に用いられる橙色有機顔料としては特に限定されず、具体的には、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55,59,61,71,73等が好ましく挙げられ、C.I.ピグメントオレンジ38、71がさらに好ましく、C.I.ピグメントオレンジ38は顔料粒径が小さく、コントラストの低下が少ないので特に好ましい。
【0013】
本発明のカラーフィルター用緑色組成物においては、顔料全量中、C.I.ピグメントグリーン58が10〜80質量%、黄色有機顔料が10〜70質量%、並びに青色顔料、紫色顔料及び橙色顔料から選ばれるいずれか1種が0.1〜5質量%含まれることが好ましい。この範囲であれば、コントラストを低下させないで輝度を調整することができる。
【0014】
本発明のカラーフィルター用緑色組成物に用いられる分散剤としては、市販の分散剤を1種又は2種以上適宜使用すれば良い。具体的には、例えばビックケミー社からDisperbyk161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2096、2150、101、102、103、106、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145等、また、味の素ファインテクノ(株)からアジスパーPB821、PB711、PB822、PB823、PB824、PB827、PN411、PA111、PB817等、また、Cognis社からテキサホールP61、P63、T−964等、また、ルーブリゾール社からSOLSPERSE24000SC、24000GR、26000、28000、32500、33500等、また、エフカ社からEFKA−4046、4047、4060、4300、4330等の商品名で入手して本発明で使用することができる。
上記の分散剤は、耐熱性、電気信頼性、分散性等の点から、好ましくは重量平均分子量が500〜50,000、好ましくは500〜20,000の活性エネルギー線非硬化性樹脂である高分子分散剤が使用される。なお、上記の重量平均分子量はGPCにてポリスチレン換算の分子量として求めた値である。
本発明の緑色組成物においては、顔料全量100質量部に対して、分散剤を5〜50質量部の範囲内で用いることが好ましく、10〜40質量部の範囲内で用いることがさらに好ましい。
【0015】
本発明において用いられる溶剤としては、一般的にカラーフィルター用緑色組成物に使用されているものであれば特に限定されるものではない。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等の(モノあるいはポリ)アルキレングリコール(モノあるいはポリ)アルキルエーテル類、及びこれらのアセテート類;プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のジアセテート類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、n−ブチルアセテート、i−ブチルアセテート、酪酸i−ブチル、酪酸n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノールアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。これらの溶剤のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が溶解性、顔料分散性、塗布性の観点から好ましい。なお、上記溶剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
本発明のカラーフィルター用緑色組成物は、さらに、バインダー樹脂、光重合性モノマー及び光重合開始剤を含むことにより好適なカラーフィルター用感光性緑色組成物となる。
ここで、バインダー樹脂、光重合性モノマー及び光重合開始剤は、従来からカラーフィルター用感光性緑色組成物に用いられているものであればいずれでも良く、特に限定されない。
【0017】
本発明のカラーフィルター用感光性緑色組成物に用いられるバインダー樹脂としては、光硬化性官能基を有するモノマー又はオリゴマーの重合体が好ましく挙げられる。中でも、エチレン性不飽和結合含有単位を含有する重合体がより好ましい。
このエチレン性不飽和二重結合を有する重合体としては、光重合性のアクリル系樹脂が好ましく使用される。上記のアクリル系樹脂としては、例えば、多価アルコールとモノカルボン酸または多塩基酸を縮合反応させて得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物を反応させた後(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート;また、上記のエポキシ樹脂等のエポキシ基と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるヒドロキシル基に酸無水物を反応させたエポキシ(メタ)アクリレートのカルボン酸付加物、スチレン/アクリル酸共重合体等の光重合性のアクリル系樹脂が挙げられる。これらのアクリル系樹脂はカルボキシ基を含有し、アルカリ可溶性であることが好ましい。
なお、上記の(メタ)アクリレートとはアクリレートおよびメタクリレートの双方を意味する。
本発明の感光性緑色組成物固形成分中の、バインダー樹脂の使用量としては、5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、5質量%〜15質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0018】
上記のアクリル系樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する重量平均分子量が2,000〜15,000、好ましくは8,000〜13,000であり、酸価が30mgKOH/g〜120mgKOH/g、好ましくは50mgKOH/g〜100mgKOH/gであるものが使用される。
重量平均分子量が上記下限以上であれば、露光部塗膜の硬化性が向上し、アルカリ耐性が良好となる。また、重量平均分子量が上記上限以下であれば、得られるカラーフィルターを形成するパターン画素の解像性がより向上する。
また、上記アクリル系樹脂の酸価が、上記下限以上であれば、アルカリ現像性が向上し、酸価が上記上限以下であれば、露光部塗膜のアルカリ耐性が良化し、塗膜表面の荒れが発現しにくい。
【0019】
本発明に用いられるバインダー樹脂は、上述のアクリル系樹脂に加えて、塗膜形成性を改善する等の目的で、所望により、以下のような樹脂を含むことができる。
1)ポリオレフィン系ポリマー
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等
2)ジエン系ポリマー
ポリブタジエン、ポリイソプレン等
3)共役ポリエン構造を有するポリマー
ポリアセチレン系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー等
4)ビニルポリマー
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルフェノール等
5)ポリエーテル
ポリフェニレンエーテル、ポリオキシラン、ポリオキセタン、ポリテトラヒドロフラン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール等
6)フェノール樹脂
ノボラック樹脂、レゾール樹脂等
7)ポリエスエル
ポリエチレンテレフタレート、ポリフェノールフタレインテレフタレート、ポリカーボネート、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等
8)ポリアミド
ナイロン6、ナイロン66、水溶性ナイロン、ポリフェニレンアミド等
9)ポリペプチド
ゼラチン、カゼイン等
10)エポキシ樹脂
ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシアクリレート等
11)その他
ポリウレタン、ポリイミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミダゾール、ポリオキサゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリスルフィド、ポリスルホン、セルロース類等
上述の樹脂の内、水溶性でも親水性でもない樹脂は、組成物中に大量に含有されることにより、本発明の緑色組成物のアルカリ現像性を低下させる。従って、このような樹脂は本発明の性能を損なわない範囲で使用することが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる光重合性モノマーとしては、上記のバインダー樹脂と相溶性のあるエチレン性不飽和二重結合を少なくとも2つ有する化合物が好ましく挙げられる。
上記のエチレン性不飽和二重結合を少なくとも2つ有する化合物としては、二官能(メタ)アクリレート及び三官能以上の(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの内、三官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
【0021】
本発明の感光性緑色組成物固形成分中の、光重合性モノマーの使用量としては、0.5質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましく、2質量%〜60質量%の範囲内であることが特に好ましい。また、バインダー樹脂/光重合性モノマーの質量比は、好ましくは(10/90)〜(90/10)、さらに好ましくは(20/80)〜(80/20)である。
【0022】
上述の二官能以上の(メタ)アクリレートの内、二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
三官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンテトラ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
本発明で使用される光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン(4,4'−ビスジメチルアミノベンゾフェノン)、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブチキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、スピードキュアーBMS(ラムソン社製)、イルガキュアー184(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー369(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー379(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー651(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー819(チバスペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアー907(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアーOXE01(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、イルガキュアーOXE02(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、ダロキュアーTPO(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)等の光重合開始剤が挙げられる。本発明では、これらの光重合開始剤を単独で、又は、2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感光性緑色組成物固形成分中の、光重合開始剤の使用量としては、0.5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、2質量%〜20質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0025】
また、上記の光重合開始剤と併用して、必要に応じ、水素供与体として、脂肪族あるいは芳香族の単、多官能チオール化合物や芳香族アミン系化合物を用いることができる。本発明の感光性緑色組成物固形成分中の、上記の水素供与体の使用量としては、0.05質量%〜15質量%、特に0.1質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の感光性緑色組成物には、添加剤として、増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、シランカップリング剤、界面活性剤、消泡剤等が必要に応じて用いられる。
本発明において用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。
【0027】
本発明のカラーフィルター用緑色組成物は、顔料、分散剤及び溶剤を、さらに必要に応じ適量のバインダー樹脂を加え、混合分散機にて混合して、調製することができる。
また、この緑色組成物に残余のバインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、必要に応じ追加される溶剤及び所望により添加される添加剤を混合分散機にて混合して、カラーフィルター用感光性緑色組成物が得られる。但し、上記の顔料、分散剤、バインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤及び溶剤と、所望により添加される添加剤とを一度に混合してカラーフィルター用感光性緑色組成物を調製しても良い。得られた感光性緑色組成物は好ましくは濾過して調製する。
本発明の感光性緑色組成物は通常、紫外線照射や可視光線照射により硬化するが、紫外線照射による硬化が好ましい。
【0028】
上記のように調製された本発明の感光性緑色組成物は、例えば、これを用いて、遮光層がパターン形成されたカラーフィルター用のガラス等の基板に回転塗布(スピンコート)、流延塗布、浸漬塗布、ロール塗布、特にダイコート法等の公知の塗布方法により塗布し、真空度が0.1〜1.0torr程度、例えば0.2torrに到達するまで真空ベイクを行って0.5〜4μm程度(乾燥膜厚)の塗布膜を得る。得られた塗布膜に目的の画素を形成するためのネガ型のフォトマスクを介して高圧水銀灯や超高圧水銀灯等により10〜500mJ/cm2 程度の光量の紫外線を照射し露光する。露光により、光硬化した緑色着色層が基板上に設けられる。この板上に設けられた緑色着色層を公知のアルカリ現像液を使用してスプレイ法や浸漬法にて現像し、未露光部を溶解して目的とする色に相当する画素を得る。必要に応じて、現像後、200〜250℃程度の温度で10〜60分程度、後硬化処理(ポストベイク)することができる。上記の緑の画素を得る工程を、カラーフィルターに必要とされる色の数だけ繰り返すことによって目的とするカラーフィルターが得られる。上記のカラーフィルターは、通常、赤、緑及び青の各画素を遮光層がパターン形成されたカラーフィルター用のガラス等の基板上に配置したものが製造される。
【実施例】
【0029】
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、感光性緑色組成物の輝度及びコントラストは、下記の方法に従って評価した。
<輝度>
オリンパス(株)製 OSP−SP200顕微分光測光装置を用いて、JIS Z8701に準拠して、色度x=0.283、色度y=0.603における、XYZ表色系の三刺激値のY(明るさY)値を輝度として測定した。測定条件は、光源がC光源、照明倍率20倍、ピンボールNo.7(50μm)である。
<コントラスト>
特開2007−122042に記載された方法により測定した。すなわち、厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、NA35)上に、偏光フィルム(日東電工製、NPF−SEG1425DU)を貼り合わせて偏光板を形成した。また、上記ガラス基板上に緑色着色層を形成したものに対して、偏光フィルム側が外側になるように、2枚の上記偏光板A及びBを直交、或いは平行となるように挟んで測定試料とした。この測定試料の構成において、偏光板Aと緑色着色層との距離l1を9.3mm、偏光板Bとガラス基板との距離l2を0mmとした。
この測定試料にバックライトを点灯し、輝度を測定した。偏光板を直交、続いて平行にセットして測定試料を準備し、それぞれの輝度の測定を行った。試料において輝度を測定する位置は、カラーフィルター層において膜厚が均一な位置にした。コントラスト測定における輝度を測定するための装置としては、輝度計(コニカミノルタセンシング製、LS−100)にクローズアップレンズ(No.153)を装着したもの用いた。輝度計の視角は1°を用いた。クローズアップレンズから測定試料までの距離Lは、710mmで行った。以下の式により、コントラストを算出した。
コントラスト={平行輝度(cd/m2)}/{直交輝度(cd/m2)}
【0030】
実施例1〜5、参考例及び比較例1〜2
表1に示す種類及び質量部の顔料、分散剤及び溶剤を均一に攪拌して分散工程に供した。分散機はダイノミル(商品名、(株)シンマルエンタープライセス製)を用い、メディアである直径0.3mmのジルコニアビーズを容積比で85%充填し、周速10m/s、滞留時間30分で分散を行い、7種類のカラーフィルター用緑色組成物を得た。
次に、7種類のカラーフィルター用緑色組成物について、各緑色組成物10質量部、バインダー樹脂として、メタクリル酸21質量部とベンジルメタクリレート70質量部を共重合させ、さらにグリシジルメタクリレート9質量部をトリエタノールアミン触媒の存在下で、付加させたもの(GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量;12,000、酸価:80mgKOH)を1質量部、光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールペンタアクリレートを5.2質量部、光重合開始剤としてイルガキュアー907{2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノンの商品名、チバスペシャルティケミカルズ社製}を0.5質量部、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノンを1.3質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを82質量部を配合し、ディゾルバー型高速攪拌機で均一攪拌し、7種類のカラーフィルタ用感光性緑色組成物を得た。
次いで、上記7種類のカラーフィルタ用感光性緑色組成物をそれぞれ清浄な表面を有する厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、NA35)上にスピンコーター(ミカサ(株)製、商品名:1H−DX2)を用いて、乾燥膜厚が1.8μmとなるように塗布し、70℃のホットプレートで3分間乾燥させてカラーフィルター用緑色着色層を形成した。これら7種類の緑色着色層の輝度及びコントラストを上記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

(注)
分散剤:商品名「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ株式会社製、分散剤濃度:30質量%)
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0032】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜5の緑色組成物及び感光性緑色組成物は参考例と比較してコントラストを低下させないで輝度を調整する範囲が大幅に広がった。
一方、比較例1〜2の緑色組成物及び感光性緑色組成物は実施例1〜5の緑色組成物及び感光性緑色組成物と同程度の輝度調整をするとコントラストが大幅に低下してしまった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の緑色組成物及び感光性緑色組成物は、カラーフィルターに好適に用いられ、それを有するカラーフィルターは、テレビジョン等に用いられる高精細なカラーフィルター、特に、大型テレビジョン等の液晶表示装置の大型ガラス基板を有するカラーフィルターとして好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料と分散剤と溶剤とを含むカラーフィルター用緑色組成物であって、該顔料がC.I.ピグメントグリーン58と黄色有機顔料を含み、且つ青色顔料、赤色顔料、紫色顔料及び橙色顔料から選ばれるいずれか1種を含むことを特徴とするカラーフィルター用緑色組成物。
【請求項2】
前記顔料全量中、C.I.ピグメントグリーン58が10〜80質量%、黄色有機顔料が10〜70質量%、並びに青色顔料、赤色顔料、紫色顔料及び橙色顔料から選ばれるいずれか1種が0.1〜5質量%含まれてなる請求項1に記載のカラーフィルター用緑色組成物。
【請求項3】
前記黄色有機顔料が、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー138及び/又はC.I.ピグメントイエロー150からなる請求項1又は2に記載のカラーフィルター用緑色組成物。
【請求項4】
前記青色顔料が、C.I.ピグメントブルー15:6である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物。
【請求項5】
前記赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物。
【請求項6】
前記紫色顔料が、C.I.ピグメントバイオレット23である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物。
【請求項7】
前記橙色顔料が、C.I.ピグメントオレンジ38である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色組成物。
【請求項8】
さらに、バインダー樹脂、光重合性モノマー及び光重合開始剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載のカラーフィルター用感光性緑色組成物。

【公開番号】特開2011−118051(P2011−118051A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273697(P2009−273697)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【Fターム(参考)】