説明

カート装置

【課題】執務空間におけるカート装置の設置面積を最小限としつつ、安定性に優れ、執務者の使い勝手を良好とするカート装置を提供する。
【解決手段】カート装置1は、床面F上を走行可能な複数のキャスター21が前後方向に異なる複数の位置で設けられたベース部2と、ベース部2に設けられた支持部3と、支持部3に支持された天板4と、天板4又は支持部3から後方に突設した把持可能な操作ハンドル部5とを備え、キャスター21のうち最前方に位置する最前方キャスター121は、平面視して天板4の最前端より後方に設けられ、キャスター21のうち最後方に位置する最後方キャスター122は、平面視して天板4の最後端より後方に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カート装置、特にオフィス、病院、又は公共施設等における執務空間にて使用されるカートとして好適なカート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス、病院、公共施設等における執務空間においては、執務空間内の様々な場所に移動しながら電子機器を用いて執務を行う場合がある。この場合、カート装置の天板上に電子機器を載置し、執務者がカート装置と共に移動し、随時必要に応じた場所にて執務が行われていた。
ここで、多人数の執務者が、各々のカート装置を用いて執務を行う場合には、カート装置の面積及び台数に応じた収納場所が必要となる。また、カート装置に電子機器を載置した状態で、電子機器への充電を行う場合には、電源周辺に複数のカート装置が集中して配置されるので、電源周辺エリアが煩雑になってしまうという状況があった。
そこで、カート装置の天板下方において、移動方向の前方、左方、及び右方の空間が連続して開放され、その空間部分に前方より後方に向かってテーブル什器の天板の挿入を可能とするカート装置が採用されている(例えば、下記特許文献1、2、3参照)。これにより、カート装置の天板の下方にテーブル什器の天板が重合して配設されるので、全体として設置面積を小さくしつつ、かつ重合した状態で電子機器の使用が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−017929号公報
【特許文献2】特開2009−279414号公報
【特許文献3】特開2010−104573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のカート装置(例えば、特許文献1、2、3参照)では、カート装置の後端部の直下にキャスターが配設され、又カート装置の後端部の直上に操作ハンドル部がそれぞれ配設されている。したがって、操作ハンドル部に執務者による操作力が加わると、カート装置のバランスが崩れ、転倒する恐れがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、前述の従来技術における問題を解決するために、執務空間におけるカート装置の設置面積を最小限としつつ、安定性に優れ、執務者の使い勝手を良好とするカート装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るカート装置は、床面上を走行可能な複数のキャスターが前後方向に異なる複数の位置で設けられたベース部と、該ベース部に設けられた支持部と、該支持部に支持された天板と、該天板又は前記支持部から後方に突設した把持可能な操作ハンドル部とを備え、前記キャスターのうち最前方に位置する最前方キャスターは、平面視して前記天板の最前端より後方に設けられ、前記キャスターのうち最後方に位置する最後方キャスターは、平面視して前記天板の最後端より後方に設けられていることを特徴とする。
【0007】
この構成では、最前方キャスターは平面視して天板の最前端より後方に設けられ、最後方キャスターは平面視して天板の最後端より後方にも設けられている。よって、操作ハンドル部に執務者の操作力が加わっても、最前方キャスターが天板の最前端の直下又は前方に設けられている場合、又は最後方キャスターが天板の最後端の直下又は前方に設けられている場合よりも、カート装置の安定性を向上させ、転倒の恐れがない。
【0008】
また、本発明に係るカート装置は、前記最後方キャスターは前記操作ハンドル部の直下に配設されていることを特徴とする。
【0009】
この構成では、操作ハンドル部の直下に最後方キャスターが配設されているので、最後方キャスターが操作ハンドル部の直下より前方に配設されている場合よりも、カート装置の安定性を向上させ、転倒の恐れがない。特に、操作ハンドル部に下向きの荷重が加わったとしても、操作ハンドル部の直下にある最後方キャスターによって、確実に転倒を防止できる。
【0010】
また、本発明に係るカート装置は、前記最前方キャスターが前記支持部のベース部取付位置より前方に配設されていることを特徴とする。
【0011】
この構成では、天板に鉛直方向に作用した荷重を支持部が支持し、支持部に伝達された荷重をベース部が支持し、ベース部に伝達された荷重を複数のキャスターが支持することとなる。ここで、最前方キャスターがベース部取付位置より前方に配設されているので、ベース部に伝達された荷重を前後両側のキャスターで負担することとなるため、カート装置の安定性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係るカート装置は、前記支持部のベース部取付位置は、平面視して前記最前方キャスターと前記最後方キャスターとの前後方向の中間となる位置より前方に配設されていることを特徴とする。
【0013】
この構成では、ベース部取付位置が、平面視して最前方キャスターと最後方キャスターの前後方向中間となる位置より前方に配設されているので、操作ハンドル部に加えられた荷重をカート装置の下部にて安定的に支持することができる。
また、ベース部取付位置が、平面視して最前方キャスターと最後方キャスターの前後方向中間となる位置より前方に配設されているので、カート装置の後方にて執務をする執務者の空間を大きく確保し、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
【0014】
また、本発明に係るカート装置は、前記最前方キャスターの最前端を前記天板の最前端より後方に配設可能であることを特徴とする。
【0015】
この構成では、カート装置を壁に面して設置する場合に、最前方キャスターを天板の最前端より後方に配設することで、壁と天板との間に間隙を有することなく設置することができる。よって、カート装置を壁に沿ってコンパクトに配置できる。
【0016】
また、本発明に係るカート装置は、前記最前方キャスター及び前記最後方キャスターは、平面視して前記天板の左右方向内側に配設されていることを特徴とする。
【0017】
この構成では、カート装置を横並びにして複数台設置する場合に、最前方キャスター及び最後方キャスターは、平面視して天板の左右方向内側に配設されているので、隣接するカート装置との間に間隙を有することなく設置することができる。よって、複数のカート装置をコンパクトに配置できる。
【0018】
また、本発明に係るカート装置は、前記支持部は、前記ベース部から上方に向かって立設された支持基本と、該支持基体に取り付けられ前記天板を支持する天板支持部とを有し、該天板支持部は、前記支持基体に側面視して片持ち状に取り付けられ、該支持基体から上方に向かうに従って後方へと配される第一支持部と、該第一支持部の左右両側でそれぞれ側面視して片持ち状に取り付けられて前方へと配される第二支持部とを有し、前記天板及び前記第二支持部と前記第一支持部とに囲まれるようにして、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成では、天板下方に設けられて前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間に、テーブル什器の天板を配設することができるので、カート装置及びテーブル什器の設置面積を最小限にすることが可能となる。
【0020】
また、本発明に係るカート装置は、前記ベース部は、前記支持基体の下方より前方に向かって取り付けられた左右一対の前部脚杆と、前記支持基体の下方より後方に向かって取り付けられた左右一対の後部脚杆とを備え、前記キャスターが前記前部脚杆と前記後部脚杆のそれぞれの先端に設けられていることを特徴とする。
【0021】
この構成では、左右一対の後部脚杆は、支持基体の下方より後方に向かって取り付けられているので、カート装置の後方にて執務をする執務者の空間を有効に確保し、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
また、左右一対の前部脚杆は、支持基体の下方より前方に向かって取り付けられている。よって、カート装置の天板の下に、テーブル什器の天板を配設する場合に、前部脚杆とテーブル什器の床に面する台座部又は脚部を干渉させることなく配設することが可能である。
【0022】
また、本発明に係るカート装置は、前記左右一対の前部脚杆は、前記支持基体の下方からそれぞれ左右に向かうに従って前方に張り出すように設けられていることを特徴とする。
【0023】
この構成では、カート装置の天板の下に、テーブル什器の天板を配設する場合に、テーブル什器の床に面する台座部の外周面が平面視して円弧状でも、カート装置の最前方キャスター及び前部脚杆とテーブル什器の台座部を干渉させることなく配設することが可能である。よって、カート装置及びテーブル什器の設置面積を最小限にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るカート装置によれば、執務空間におけるカート装置の設置面積を最小限としつつ、安定性に優れ、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るカート装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカート装置の支持部(第一支持部、第二支持部、第三支持部並びに支持基体)、及び操作ハンドル部の部分を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカート装置のベース部(前部脚杆、後部脚杆、並びにキャスター)及び支持基体の部分を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカート装置の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカート装置の正面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るカート装置とテーブル什器とを組み合わせて使用した際の概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るカート装置とテーブル什器とを組み合わせて使用した際の概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカート装置とテーブル什器とを組み合わせて使用した際の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係るカート装置1について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
図1乃至図3に示すように、本発明に係るカート装置1は、床面F上を走行可能なキャスター21が設けられたベース部2と、ベース部2に設けられた支持部3と、支持部3に支持された天板4と、支持部3に設けられた把持可能な操作ハンドル部5と、を備えている。執務者は、天板4上に載置した電子機器を使用可能であるとともに、操作ハンドル部5を把持して操作力を与えることでキャスター21により床面F上でカート装置1を移動させることが可能となっている。ここで、執務者が操作ハンドル部5と対向するように位置して操作ハンドル部5を押し引きする方向となる図2の紙面上下方向をカート装置1の前後方向Yとし、操作ハンドル部5を押す側となる紙面上側をカート装置1の「前方」、操作ハンドル部5を引く側となる紙面下側をカート装置1の「後方」と称する。また、平面視して前後方向Yと直交する方向となる図2の紙面左右方向をカート装置1の左右方向Xとし、紙面右側をカート装置1の「右側」、紙面左側をカート装置1の「左側」と称する。
以下、各構成の詳細を説明する。
【0027】
(支持部3の構成)
支持部3は、ベース部2に設けられ、上端にて天板4の裏面に固定されている。また、支持部3は、ベース部2から上方に向かって立設された支持基体31と、支持基体31に取り付けられ天板4を支持する天板支持部32と、を備える。
【0028】
(天板支持部32の構成)
天板支持部32は、支持基体31に側面視して片持ち状に取り付けられ、支持基体31から上方に向かうに従って後方へと配される第一支持部131と、第一支持部131の左右両側でそれぞれ側面視して片持ち状に支持されて前方へと配される第二支持部132と、第一支持部131の上端に取り付けられるとともに、上端に第二支持部132が取り付けられた第三支持部133と、を備える。
【0029】
(第一支持部131、第三支持部133の構成)
第一支持部131は、支持基体31の上端より、上方に向かうに従って右側後方へと配される右側第一支持部131Rと、上方に向かうに従って左側後方へと配される左側第一支持部131Lと、を備える。図4に示すように、第一支持部131は、支持基体31の上端より水平方向に対して緩やかな角度で後方に向かうに従って上方に向かうように傾斜して配されている。また、第三支持部133は、右側第一支持部131Rの上端から折れ曲がるようにして立設された右側第三支持部133Rと、左側第一支持部131Lの上端から折れ曲がるようにして立設された左側第三支持部133Lと、を備える。そして、右側第三支持部133R、左側第三支持部133Lは、それぞれ天板4の後側において、左右縁部よりも内側となる位置にて第二支持部132と固定されている。
【0030】
(第二支持部132の構成)
第二支持部132は、平面視して、右側第三支持部133Rの上端から前後方向Yに沿って前方に延設される右側第二支持部132Rと、左側第三支持部133Lの上端から前後方向Yに沿って前方に延設される左側第二支持部132Lと、を備える。そして、右側第二支持部132R及び左側第二支持部132Lは、上面にて天板4を支持している。
【0031】
(天板4の構成)
天板4は、平面視で略矩形をなし、上面は電子機器等の物品の載置が可能であり、下面にて右側第二支持部132R及び左側第二支持部132Lに支持されている。そして、図4に示すように、天板4、右側第二支持部132R、左側第二支持部132L、右側第三支持部133R、左側第三支持部133L、右側第一支持部131R、及び左側第一支持部131Lとに囲まれるようにして、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間9が形成されている。
【0032】
(操作ハンドル部5の構成)
操作ハンドル部5は、右側第二支持部132Rの右側面、左側第二支持部132Lの左側面に取り付けられて後方へと突出した一対のハンドル支持部51R、51Lと、ハンドル支持部51R、51Lの後端間に左右方向Xに沿って配設された把持部52と、を有する。ハンドル支持部51R、51Lは、後方に向かうに従って下方に向かうように傾斜して配されており、後端に設けられた把持部52は前方視して、天板4の下面との間に上下方向に隙間を有して配されている。また、把持部52は、両端部から中央部に向かうに従って後方に膨らむように湾曲形状を成している。また、把持部52は、円形状の断面に形成されている。
【0033】
(ベース部2の構成)
ベース部2は、支持部3の支持基体31の下方より前方に向かって取り付けられた左右一対の前部脚杆123と、支持基体31の下方より後方に向かって取り付けられた左右一対の後部脚杆124と、上記のキャスター21と、を備えている。キャスター21は、本実施形態では4つ設けられ、左右一対の前部脚杆123及び後部脚杆124のそれぞれ先端に、互いに前後方向Y及び左右方向Xに異なる位置となるようにして設けられている。
また、前部脚杆123、後部脚杆124は、上記のとおりそれぞれ左右に対をなすように設けられており、以下においては右側の脚杆をそれぞれ右側前部脚杆123R、右側後部脚杆124Rと、左側の脚杆をそれぞれ左側前部脚杆123L、左側後部脚杆124Lと称する。
【0034】
(前部脚杆123の構成)
右側前部脚杆123R、左側前部脚杆123Lは、支持基体31の下方からそれぞれ右前方、左前方に張り出すようにして、支持基体31に取り付けられている。また、右側前部脚杆123R及び左側前部脚杆123Lは、平面視して、支持基体31の中心を通り、前後方向Yに沿う直線を対称線として左右対称に配されている。そして、右側前部脚杆123R、左側前部脚杆123Lの先端は、平面視して、天板4の前部よりわずかに内側の位置まで延びている。また、右側前部脚杆123R、支持基体31及び左側前部脚杆123Lの外周面は、平面視して滑らかな凹曲面状に連続している。
【0035】
(後部脚杆124の構成)
右側後部脚杆124R、左側後部脚杆124Lは、支持基体31の下方からそれぞれ右後方、左後方に張り出すようにして、支持基体31に取り付けられている。右側後部脚杆124R及び左側後部脚杆124Lは、平面視して、支持基体31の中心を通り、前後方向Yに沿う直線を対称線として左右対称に配されている。そして、右側後部脚杆124R、左側後部脚杆124Lの先端は、平面視して、天板4の後部よりさらに後方の位置まで延びている。そして、右側後部脚杆124R、支持基体31及び左側後部脚杆124Lの外周面は、平面視して、略V字で、かつ、滑らかな凹曲面状に連続している。
【0036】
(キャスター21の構成)
図4に示すように、キャスター21は、縦断面が円形の車輪21aと、車輪21aを床面Fと平行な中心軸P回りに回転可能に支持する車輪支持部21bと、車輪支持部21bを上下方向に沿う中心軸Q回りに回転可能に支持するとともに、ベース部2に取り付けられた取付部21cと、を有する。このため、取付部21cに対して車輪支持部21b及び車輪21aの向きを左右方向X及び前後方向Yに自在に調整可能であり、これにより、カート装置1は床面F上を自由自在に走行することができる。また、平面視して、取付部21cに対する車輪支持部21bの中心軸Qは、車輪21aの中心位置に対して偏心して設けられている。
また、キャスター21は、車輪21aの中心位置が中心軸Qよりも前方側にある第一の位置A1と車輪の中心位置が中心軸Qよりも後方側になる第二の位置A2との間で両側に180°回転可能である。
【0037】
(最前方キャスター121の構成)
図3に示すように、キャスター21のうち最前方に位置する最前方キャスター121は、平面視して天板4の最前端より後方の位置で、右側前部脚杆123R及び左側前部脚杆123Lに固定されている。また、最前方キャスター121の取付部21cは、平面視してベース部2の取付位置より前方に配設されている。
また、最前方キャスター121を第二の位置A2に配した場合、平面視して最前方キャスター121の最前端を天板4の最前端より後方に配設させることが可能となる。
また、最前方キャスター121を第一の位置A1又は第二の位置A2に配した場合、平面視して最前方キャスター121を天板4の左右方向X内側に配設させることが可能となる。
【0038】
(最後方キャスター122の構成)
キャスター21のうち最後方に位置する最後方キャスター122は、平面視して天板4の最後端より後方の位置で、右側後部脚杆124R及び左側後部脚杆124Lに固定されている。また、図4に示すように、平面視して把持部52の略直下に最後方キャスター122の取付部21cが配設されている。
また、最後方キャスター122を第一の位置A1又は第二の位置A2に配した場合、平面視して最後方キャスター122を天板4の左右方向X内側に配設させることが可能となる。
【0039】
支持部3のベース部2取付位置は、平面視して最前方キャスター121と最後方キャスター122との前後方向Yの中間となる位置より前方に配設されている。
【0040】
このように構成されたカート装置1では、平面視して天板4の後方に設けられた操作ハンドル部5に執務者の操作力が加わると、操作ハンドル部5から天板4、支持部3、前部脚杆123及び後部脚杆124へと荷重が伝達され、最前方キャスター121及び最後方キャスター122が荷重を負担することとなる。
ここで、最前方キャスター121は、平面視して支持部3のベース部2の取付位置より前方に配設されているので、操作力による荷重を最前方キャスター121及び最後方キャスター122にて前後方向に負担することができ、カート装置1の安定性を向上させることができる。
さらに、最前方キャスター121は平面視して天板4の最前端より後方の位置で、最後方キャスター122は平面視して天板4の最後端より後方の位置で、それぞれ右側前部脚杆123R、左側前部脚杆123L、右側後部脚杆124R、左側後部脚杆124Lの先端部分に固定されている。よって、最前方キャスター121が天板4の最前端の直下若しくは前方に設けられている場合、又は最後方キャスター122が天板4の最後端の直下若しくは前方に設けられている場合よりも、最前方キャスター121及び最後方キャスター122が確実に荷重を負担できるので、カート装置1の安定性を向上させ、転倒の恐れがない。
【0041】
また、最後方キャスター122が、平面視して操作ハンドル部5の直下に配設されているので、最後方キャスター122が操作ハンドル部5の直下より前方に配設されている場合よりも、操作力により荷重を確実に負担することができ、カート装置1の安定性を向上させ、転倒の恐れがない。特に、操作ハンドル部5に下向きの荷重が加わったとしても、操作ハンドル部5の直下にある最後方キャスター122によって、確実に転倒を防止できる。
【0042】
また、支持部3のベース部2の取付位置は、平面視して最前方キャスター121と最後方キャスター122との前後方向Yの中間となる位置より前方に配設されているので、操作力による荷重を最前方キャスター121及び最後方キャスター122にて安定的に支持することができる。特に、操作ハンドル部5に下向きの荷重が加わったとしても、支持部3のベース部2取付位置がより後方に配設されている場合よりも、確実に荷重を負担することができ、転倒を防止できる。
さらに、カート装置1の後方にて執務をする執務者にとっても、支持部3の取付位置がより後方に配設されている場合よりも、下肢空間を大きく確保することができるので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
【0043】
また、平面視して最前方キャスター121の最前端を天板4の最前端より後方に配設させることが可能である。よって、天板4の前方を壁に当接してカート装置1を設置する場合に、壁と天板4との間に間隙を有することなく設置することができるので、壁に対してカート装置1をコンパクトに配置することができる。
さらに、平面視してキャスター21を天板4の左右方向X内側に配設させることが可能である。よって、カート装置1を横並びにして複数台設置する場合に、隣接するカート装置1との間に間隙を有することなく設置することができるので、複数台のカート装置1をコンパクトに配置することができる。
【0044】
また、天板4、右側第二支持部132R、左側第二支持部132L、右側第三支持部133R、左側第三支持部133L、右側第一支持部131R、及び左側第一支持部131Lとに囲まれるようにして、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間9が形成されている。よって、図4に示すように、カート装置1の前部空間9にテーブル什器Tの天板Bを挿入させて、カート装置1とテーブル什器Tを配設することできるので、カート装置1及びテーブル什器Tの設置面積を最小限にすることが可能となる。
さらに、天板支持部32は、支持基体31の上端より水平方向に対して緩やかな傾斜角度で後方に向かうに従って上方に向かうように傾斜して配されている第一支持部131に加えて、第一支持部131の上端から折れ曲がるようにして立設され、その上端に第二支持部132が取り付けられた第三支持部133を有している。よって、前部空間9の奥行き及び高さを大きく確保することができるので、前部空間9にテーブル什器Tの天板Bを奥行き深く挿入させることができ、カート装置1及びテーブル什器Tの設置面積をより一層と小さくすることが可能となる。
【0045】
また、右側前部脚杆123R、支持基体31及び左側前部脚杆123Lの外周面は、平面視して滑らかな凹曲面状に連続している。ここで、図7及び図8に示すように、カート装置1とテーブル什器Tを配設する場合に、テーブル什器Tの床に面する台座部の外周面が平面視して円弧状でも、カート装置1の外周面が滑らかな凹面形状なので、テーブル什器Tの台座部に対応する形状となる。よって、カート装置1の最前方キャスター121、右側前部脚杆123R、及び左側前部脚杆123Lをテーブル什器Tの台座部と干渉させることなく配設することができる。
【0046】
右側後部脚杆124R及び左側後部脚杆124Lは、平面視して、支持基体31の中心を通り、前後方向Yに沿う直線を対称線として左右対称に配されている。また、右側後部脚杆124R、左側後部脚杆124Lの先端は、平面視して、天板4の後部よりさらに後方の位置まで延びている。ここで、右側後部脚杆124R、支持基体31及び左側後部脚杆124Lの外周面は、平面視して、略V字で、かつ、滑らかな凹曲面状に連続している。よって、カート装置1の後方にて執務をする執務者にとっても、足先の収容空間を大きく確保することができるので、執務者の使い勝手を良好にすることができる。
【0047】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…カート装置
2…ベース部
3…支持部
4…天板
5…操作ハンドル部
9…前部空間
21…キャスター
31…支持基体
32…天板支持部
121…最前方キャスター
122…最後方キャスター
123…前部脚杆
124…後部脚杆
131…第一支持部
132…第二支持部
F…床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行可能な複数のキャスターが前後方向に異なる複数の位置で設けられたベース部と、
該ベース部に設けられた支持部と、
該支持部に支持された天板と、
該天板又は前記支持部から後方に突設した把持可能な操作ハンドル部とを備え、
前記キャスターのうち最前方に位置する最前方キャスターは、平面視して前記天板の最前端より後方に設けられ、前記キャスターのうち最後方に位置する最後方キャスターは、平面視して前記天板の最後端より後方に設けられていることを特徴とするカート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカート装置において、
前記最後方キャスターは前記操作ハンドル部の直下に配設されていることを特徴とするカート装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカート装置において、
前記最前方キャスターが前記支持部のベース部取付位置より前方に配設されていることを特徴とするカート装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記支持部のベース部取付位置は、平面視して前記最前方キャスターと前記最後方キャスターとの前後方向の中間となる位置より前方に配設されていることを特徴とするカート装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記最前方キャスターの最前端を前記天板の最前端より後方に配設可能であることを特徴とするカート装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記最前方キャスター及び前記最後方キャスターは、平面視して前記天板の左右方向内側に配設されていることを特徴とするカート装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記支持部は、前記ベース部から上方に向かって立設された支持基本と、
該支持基体に取り付けられ前記天板を支持する天板支持部とを有し、
該天板支持部は、前記支持基体に側面視して片持ち状に取り付けられ、該支持基体から上方に向かうに従って後方へと配される第一支持部と、
該第一支持部の左右両側でそれぞれ側面視して片持ち状に取り付けられて前方へと配される第二支持部とを有し、
前記天板及び前記第二支持部と前記第一支持部とに囲まれるようにして、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間が形成されていることを特徴とするカート装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記ベース部は、前記支持基体の下方より前方に向かって取り付けられた左右一対の前部脚杆と、
前記支持基体の下方より後方に向かって取り付けられた左右一対の後部脚杆とを備え、
前記キャスターが前記前部脚杆と前記後部脚杆のそれぞれの先端に設けられていることを特徴とするカート装置。
【請求項9】
請求項8に記載のカート装置において、
前記左右一対の前部脚杆は、前記支持基体の下方からそれぞれ左右に向かうに従って前方に張り出すように設けられていることを特徴とするカート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−17700(P2013−17700A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154280(P2011−154280)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】