説明

カート装置

【課題】物品を載置可能とし、執務者の使い勝手を良好とするカート装置を提供する。
【解決手段】カート装置1は、床面F上を走行可能とされたベース部11と、ベース部11の前後方向略中央より後方から立設された支持基体21と、支持基体21の上端に設けられた天板31と、天板31から後方に突設された操作ハンドル部41と、ベース部11と天板31との間において、支持基体21から前方に突出するように設けられた第一物品載置部61と、ベース部11と天板31との間において、支持基体21から後方に突出するように設けられた第二物品載置部71とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス、病院、公共施設等における執務空間においては、執務空間内の様々な場所に移動しながら電子機器を用いて執務を行う場合がある。この場合、カート装置の天板上に電子機器を載置し、執務者がカート装置と共に移動し、随時必要に応じた場所にて執務が行われていた。
【0003】
カート装置としては、下部に設けられた床面上を走行可能な移動手段又はローラ等と、下部から上方に立設された脚体と、該脚体に設けられた作業用のテーブル板又はデスク(天板と称する。以下同じ。)とを搭載した簡易な構成のものが多く知られている。(下記特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−150022号公報
【特許文献2】特開2009−259243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のカート装置では、執務に必要な物品を載置できるのは天板の上面のみであり、他の部分は物品を載置する機能を備えていないため、物品の収納能力が低いという問題点があった。さらに、天板を筆記等の作業台として使用する際には、カート装置全体で物品を全く載置することができないため、収容能力が著しく低くなるという問題点があった。さらには、多数の物品を載置した状態でカート装置を移動させながら執務を行うことができないため、使い勝手が悪く、作業効率が劣るという問題点もあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、物品を載置可能とし、執務者の使い勝手、執務効率を良好とするカート装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るカート装置は、床面上を走行可能とされたベース部と、該ベース部から立設された支持基体と、該支持基体の上端に設けられた天板と、該天板から後方に突設された操作ハンドル部と、前記ベース部と前記天板との間において、前記支持基体から前方に突出するように設けられた第一物品載置部と、前記ベース部と前記天板との間において、前記支持基体から後方に突出するように設けられた第二物品載置部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成では、物品を第一物品載置部及び第二物品載置部に載置できるため、物品を載置しながらベース部によりカート装置を移動させることができる。よって、執務者は、移動しながら載置した物品を使用して執務を行うことができるため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
また、第一物品載置部及び第二物品載置部の両方に物品を載置することができ多くの物品を載置できるため、物品を運搬しながら執務する際における執務者の執務効率を良好とすることができる。
【0009】
また、本発明に係るカート装置は、前記第一物品載置部は、前記支持基体を中心として左右両側方に延在し、前記第二物品載置部は、前記支持基体を中心として左右両側方に延在していることを特徴とする。
【0010】
この構成では、執務者は、カート装置の後方から、支持基体の前方に配された第一物品載置部にアクセスが可能であるため、第一物品載置部に載置された物品を取り出したり、又は第一物品載置部に物品を載置することができる。同様に、執務者は、カート装置の前方から、支持基体の後方に配された第二物品載置部にアクセスが可能であるため、第二物品載置部に載置された物品を取り出したり、又は第二物品載置部に物品を載置することができる。したがって、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るカート装置は、前記第一物品載置部は、略板状に形成され、前記第二物品載置部は、物品を載置する支持部と、該支持部から上方に立ち上がる側壁部とを備えることを特徴とする。
【0012】
この構成では、操作ハンドル部が天板の後方に突設して設けられているため、執務者は、カート装置の後方に立ち、操作ハンドル部を操作してカート装置を移動させる形態をとることができる。したがって、第二物品載置部に使用頻度の高い物品を載置すれば、第二物品載置部は執務者の位置から近いために、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
また、第二物品載置部は物品を載置する支持部と、該支持部から上方に立ち上がる側壁部とを備える構成である。よって、執務者は執務をする際に、腰を屈めずに立ったままの姿勢で手探りで物品を取り出したとしても、該物品が側壁部に囲まれていることにより落下することはないため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
一方、第一物品載置部は、略板状に形成されているために多くの物品を載置することができ、カート装置を移動させれば運搬性が向上するため、執務効率を良好とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るカート装置は、前記第一物品載置部の上方に、前方、右方及び左方に開放された取出空間が形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成では、執務者は、第一物品載置部に対して、前方、右方及び左方の三方向に開放された取出空間からアクセスすることができるため、第一物品載置部に載置された物品を三方向から容易に取り出すことができ、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0015】
また、本発明に係るカート装置は、前記天板から上方に設けられるとともに、電子機器を着脱可能に支持する電子機器支持部と、該電子機器支持部に支持された前記電子機器とを備えることを特徴とする。
【0016】
この構成では、第一物品載置部及び第二物品載置部に物品を載置しながらカート装置を移動させることができるとともに、天板の上方に設けられた電子機器を使用して執務をすることができる。ここで、電子機器は天板の上方に設けられた電子機器支持部に支持されているため、電子機器を使用するともに、天板も有効活用することができる。さらに、電子機器支持部は電子機器を着脱可能に支持しているため、電子機器を使用しない場合には電子機器支持部から電子機器を取り外すことができる。したがって、執務者は、一のカート装置により、物品を運搬し、電子機器を使用し、及び天板上で作業することができるため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0017】
また、本発明に係るカート装置は、前記電子機器は、姿勢を変更可能として前記電子機器支持部に支持されていることを特徴とする。
【0018】
この構成では、執務者は、電子機器支持部の姿勢を変更することにより、電子機器の画面の角度を変更することができる。よって、例えば、執務者がカート装置の後方に位置し、電子機器の画面を後方に向けてカート装置を移動させている態様、執務者がカート装置の側方に位置し、電子機器の画面を右方又は左方に向けて執務する態様、又は執務者がカート装置の前方に位置し、電子機器の画面を前方に向けて天板上で作業する態様と、様々な態様をとることができる。したがって、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0019】
また、本発明に係るカート装置は、前記支持基体は、上下方向に伸縮可能であることを特徴とする。
【0020】
この構成では、執務者の身長、執務時の姿勢に合わせて、支持基体を上下方向に伸縮させればカート装置の天板の高さを変更することができるため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るカート装置によれば、物品を載置可能とし、執務者の使い勝手、執務効率を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施形態に係るカート装置の側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るカート装置の平面図である。
【図3】(a)、(b)本発明の第一実施形態に係るカート装置の電子機器の姿勢を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るカート装置1は、床面F上を走行可能とされたベース部11と、ベース部11から立設された支持基体21と、支持基体21の上端に設けられた天板31と、天板31に設けられた操作ハンドル部41と、天板31に設けられるとともに、電子機器Eを支持する電子機器支持部51と、電子機器支持部51に支持された電子機器Eと、支持基体21の前方に配された第一物品載置部61と、支持基体21の後方に配された第二物品載置部71とを備えている。
執務者は、電子機器支持部51に支持された電子機器Eを使用可能であるとともに、操作ハンドル部41を把持して操作力を与えることで床面F上でカート装置1を移動させることが可能となっている。
ここで、執務者が操作ハンドル部41と対向するように位置して操作ハンドル部41を押し引きする方向となる図1の紙面左右方向をカート装置1の前後方向とし、操作ハンドル部41を押す側となる紙面右側をカート装置1の「前側」、操作ハンドル部41を引く側となる紙面左側をカート装置1の「後側」と称する。また、平面視して前後方向と直交する方向となる図2の紙面左右方向をカート装置1の左右方向とし、紙面右側をカート装置1の「右側」、紙面左側をカート装置1の「左側」と称する。
以下、各構成の詳細を説明する。
【0024】
図1及び2に示すように、ベース部11は、床面F上を走行可能な複数のキャスター111と、該キャスター111が設けられた脚杆112とを備える。
脚杆112は、支持基体21の下端より、前方及び後方であって、それぞれ左右方向に延びる4本の脚杆112により構成される。
キャスター111は、各脚杆112の先端部の下面に、床面Fに直交する垂直軸周りに旋回可能に設けられている。
【0025】
支持基体21は、ベース部11の前後方向略中央より後方から上下方向に立設されるとともに筒状の外側支柱121と、該外側支柱121の内部に挿入されている内側支柱122とを備える。
外側支柱121は、ベース部11の前後方向の略中央よりも後方よりであって、左右方向の略中央に設けられている。
また、外側支柱121の前部には、前方に張り出す第一支持部123が設けられ、外側支柱121の後部には、後方に張り出す第二支持部124が設けられている。ここで、第一支持部123、第二支持部124は、後述する第一物品載置部61、第二物品載置部71を支持している。
内側支柱122は、外側支柱121に対して上下方向に進退可能に設けられている。また、内側支柱122の内部には図示しないガススプリングが設けられており、天板31の下面に設けられた操作レバー131を操作することによりガススプリングの上下方向の高さを伸縮させる。これにより、内側支柱122は外側支柱121に対して相対的に上下方向に移動するとともに、天板31の高さを昇降させて調節可能としている。
【0026】
天板31は、上面が床面と平行な状態となるとともに略矩形状に形成され、支持基体21に支持されている。そして、上面は薬品等の物品が載置可能であり、又はカルテ等の記載が可能な作業台として使用することができる。
【0027】
操作ハンドル部41は、天板31の後部であって、左右両側から後方に突設された一対のハンドル取付部141と、該ハンドル取付部141を連結する把持部142とを備える。
【0028】
電子機器支持部51は、天板31の後部であって、左右方向の略中央に設けられた天板延設部151と、該天板延設部151の後部から上方に立設された支持軸152と、該支持軸152の上部に設けられた第一ヒンジ部153と、支持軸152の下部に設けられた第二ヒンジ部154と、電子機器Eを取り付ける電子機器取付部155とを備える。
天板延設部151は、支持軸152の下端から下方に延びて、当該下端から天板31の下面に沿って前方へ延設されている。また、天板延設部151は、図示しないネジ等により天板31に固定されている。
支持軸152は、天板延設部151の後部より上方に立設されるとともに、上部には電子機器取付部155が設けられている。また、支持軸152は、平面視して、天板31の後部よりも後方であって、操作ハンドル部41の把持部142よりも前方に位置している。
図3(a)に示すように、第一ヒンジ部153は、支持軸152の上部に設けられるとともに、左右方向に沿う軸Pを中心に電子機器Eを公知の支持構造によって回動可能としている。よって、左右方向に沿う軸Pを中心に電子機器Eを回動すると、電子機器Eの表面Tを上方に向ける位置Gとすることが可能である。
図3(a)、(b)に示すように、第二ヒンジ部154は、支持軸152の下部に設けられるとともに、左右方向に沿う軸R及び上下方向に沿う軸Qを中心に電子機器Eを公知の支持構造によって回動可能としている。よって、左右方向に沿う軸Rを中心に電子機器Eを回動すると、電子機器Eを天板31の上面に沿わせる状態である位置Iとすることが可能である。また、上下方向に沿う軸Qを中心に電子機器Eを回動すると、電子機器Eの表面Tを前方に向ける位置Hとすることが可能である。
電子機器取付部155は、支持軸152の上部に設けられるとともに、電子機器Eの裏面Bを着脱可能に支持している。
【0029】
電子機器Eは、例えばタブレット型のパソコンであり、執務者は電子機器Eの表面Tを手で触れたり、ペンで押圧することにより、操作可能である。また、執務者は、電子機器取付部155により電子機器Eを取り外した場合には、電子機器Eを手にとって操作することができる。
【0030】
第一物品載置部61は、ベース部11と天板31との間に設けられた第一支持部123に支持されるとともに、外側支柱121の前方に配されている。また、第一物品載置部61は、公知の取り付け構造によって、外側支柱121に対する取り付け位置を上下方向に変更可能である。
また、第一物品載置部61は、全体として略板状であり、平面視して略矩形状に形成された底部161と、該底部161の外縁から上方に立ち上がる縁部162とを備える。
底部161は、略矩形状であり、上面が床面に平行な状態に配され、該上面に物品を載置可能としている。
縁部162は、底部161の外縁からわずかに上方に立ち上がるように設けられ、底部161に載置した物品が振動等により落下するのを防止する役割を担っている。
また、図2に示すように、第一物品載置部61は、外側支柱121を中心として左右両側方に延在するとともに、平面視して、第一物品載置部61の左右方向の端部は、天板31の左右方向より内方に位置している。また、第一物品載置部61の前部は、天板31の前部より後方に位置している。
ここで、第一物品載置部61の上方には、前方、右方及び左方に開放された取出空間81が形成されている。よって、執務者は、前方、右方及び左方のいずれかからアクセスして取出空間81より第一物品載置部61に載置した物品を取り出すことが可能である。
また、本実施形態では、第一物品載置部61は上下方向に間隔をおいて2段設けられるとともに、取出空間81は上下方向に間隔をおいて2つ形成されている。
【0031】
第二物品載置部71は、ベース部11と天板31との間に設けられた第二支持部124に支持されるとともに、外側支柱121の後方に配されている。また、第二物品載置部71は、公知の取り付け構造によって、外側支柱121に対する取り付け位置を上下方向に変更可能である。
また、第二物品載置部71は、平面視して略矩形状に形成された支持部171と、該支持部171の外縁から上方に立ち上がる側壁部172とを備える。
支持部171は、略矩形状で、上面が床面に平行な状態に配され、該上面に物品を載置可能としている。
側壁部172は、支持部171の外縁から上方に立ち上がるように設けられるとともに、該第二物品載置部71に高さのある物品を載置した場合に落下防止する役割を担っている。よって、図1に示すように、第二物品載置部71は、例えば、ボトル等が載置可能としている。
また、図2に示すように、第二物品載置部71は、外側支柱121を中心として左右両側方に延在するとともに、平面視して、第二物品載置部71の左右方向の端部は、天板31の左右方向より内方に位置している。また、第二物品載置部71の後部は、天板31の後部より前方に位置している。
また、本実施形態では、第二物品載置部71は上下方向に間隔をおいて2段設けられている。
【0032】
このように構成されたカート装置1では、第一物品載置部61及び第二物品載置部71に物品を載置することができる。また、床面F上を走行可能な複数のキャスター111がベース部11に設けられているため、カート装置1に設けられた操作ハンドル部41を押し引きすることにより、カート装置1を移動させることができる。したがって、執務者は、カート装置1を移動させながら、第一物品載置部61及び第二物品載置部71に載置した物品を使用して執務を行うことができるため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0033】
また、第一物品載置部61、第二物品載置部71の両方に物品を載置することができるため、多くの物品を載置しカート装置1を移動させることができため、物品の運搬面で執務者の執務効率を向上させることができる。
【0034】
また、第一物品載置部61及び第二物品載置部71は外側支柱121を中心として左右両側方に延在している。よって、執務者は、カート装置1の後方から、第一物品載置部61にアクセスが可能であるため、第一物品載置部61に載置された物品を取り出したり、又は第一物品載置部61に物品を載置することができる。同様に、執務者は、カート装置1の前方から、第二物品載置部71にアクセスが可能であるため、第二物品載置部71に載置された物品を取り出し、又は第二物品載置部71に物品を載置することができる。したがって、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0035】
また、第一物品載置部61は板状に形成されているため、例えば、血圧計やパルスオキシメーターなどの装置を設置することができる。
また、図2に示すように、血圧計や聴診器200等の長尺部材を載置する場合には、第一物品載置部61と第二物品載置部71との両方に渡って載置することができるので好適である。例えば、聴診器200を例に挙げると、聴診器200は患者の体に接触させて心音を取得する心音取得部201と、該心音取得部201に接続されたチューブ202と、該チューブ202の他端に接続されるとともに執務者が心音を聞き取るイヤホン203とを備える。ここで、第一物品載置部61に心音取得部201を載置し、外側支柱121の周辺にチューブ202を沿わせて、第二物品載置部71にイヤホン203を載置することができる。なお、心音取得部201とイヤホン203の載置位置を逆としても構わない。また、血圧計(不図示)にあっては、血圧計は、患者の腕を締付ける布状の締め付け部と、該締め付け部に接続されたチューブと、該チューブの他端に接続されるとともに測定結果を表示する表示部とを備える。ここで、第一物品載置部61に表示部を載置し、外側支柱121の周辺にチューブを沿わせて、第二物品載置部71に締め付け部を載置することができる。したがって、平面視して収容効率良く収容することができるため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
一方、第二物品載置部71に消毒液等の液体の入った容器を載置しても、側壁部172により該容器が転倒するのを防止することができる。
【0036】
また、操作ハンドル部41が天板31の後方に突設して設けられているため、執務者は、カート装置1の後方に立ち、操作ハンドル部41を操作してカート装置1を移動させる形態をとることができる。よって、第二物品載置部71に使用頻度の高い物品を載置すれば、執務者の位置から近いために、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
また、第二物品載置部71は物品を載置する支持部171と、該支持部171から上方に立ち上がる側壁部172とを備える構成である。よって、執務者は執務する際に、腰を屈めずに立ったままの姿勢で手探りで物品に取り出したとしても、該物品が側壁部172に囲まれていることにより落下することはないため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0037】
また、外側支柱121がベース部11の前後方向の略中央より後方よりに設けられるとともに、第一物品載置部61は略板状に形成されている。よって、第一物品載置部61には多くの物品を載置することができるため、カート装置1を移動させれば運搬性が向上し、執務効率を良好とすることができる。
特に、第二物品載置部71に使用頻度の高い物品を載置し、第一物品載置部61に使用頻度の低い物品を載置するとして使い分けをする際には、第一物品載置部61は収容能力が高いために効果的である。
また、第一物品載置部61は、上面が水平状態に形成された底部161と、該底部161の外縁から上方に立ち上がることにより底部161に載置した物品の振動等による落下を防止する役割を担う縁部162とを備える。よって、執務者は、第一物品載置部61に物品を容易に載置することができるとともに、載置された物品が縁部162により落下してしまうことを防止することができる。
【0038】
また、平面視して、第一物品載置部61の左右方向の端部は、天板31の左右方向より内方に位置し、第一物品載置部61の前部は、天板31の前部より後方に位置している。また、第二物品載置部71の左右方向の端部は、天板31の左右方向より内方に位置し、第二物品載置部71の後部は、天板31の後部より前方に位置している。よって、第一物品載置部61及び第二物品載置部71を、平面視して天板31の内部に配することができるため、カート装置1全体をコンパクトな形状とすることができる。
【0039】
また、第一物品載置部61の上方には前方、右方及び左方の三方向に開放された取出空間81が形成されているため、執務者は、第一物品載置部61に載置された物品を三方向から容易に取り出すことができるとともに、第一物品載置部61に物品を三方向から容易に載置することができる。したがって、例えば、カート装置1をベッド等の側方に設置した状態で、第一物品載置部61に載置した物品を用いて容易に執務をすることができるため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0040】
また、第一物品載置部61及び第二物品載置部71に物品を載置しながらカート装置1を移動させることができるとともに、天板31の上方に設けられた電子機器Eを使用して執務をすることができる。ここで、電子機器Eは天板31の上方に設けられた電子機器支持部51に支持されているため、電子機器Eを使用するとともに、天板31も有効活用することができる。さらに、電子機器支持部51は電子機器Eを着脱可能に支持しているため、電子機器Eを使用しない場合には電子機器支持部51から電子機器Eを取り外すことができる。したがって、執務者は、一のカート装置1により、物品を運搬し、電子機器Eを使用するとともに、天板31上で作業することもできるため、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0041】
また、電子機器支持部51の支持軸152は、平面視して、天板31の後部より後方であって、操作ハンドル部41の把持部142より前方に位置しているため、電子機器支持部51はカート装置1の外縁から突出しないようにすることが可能である。よって、カート装置1を移動させた場合でも、電子機器支持部51と人及び物が衝突することがないため、電子機器支持部51により人が怪我をしたり、物が破損したりする虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0042】
また、天板31の上面に載置した薬品等の液体がこぼれた場合でも、電子機器Eは電子機器支持部51により天板31の上方に設けられているため、電子機器Eに液体がかかる虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0043】
また、執務者は、電子機器支持部51の第一ヒンジ部153を回動することにより電子機器Eの画面(表面T。以下同じ。)の角度を変更することができる。よって、例えば、執務者がカート装置1の後方に位置し、電子機器Eの表面Tを後方に向けてカート装置1を移動させている態様、執務者がカート装置1の側方に位置し、電子機器Eの表面Tを右方又は左方に向けて執務する態様、執務者がカート装置1の前方に位置し、電子機器Eの表面Tを前方に向けて天板31上で作業する態様と、様々な態様をとることができる。したがって、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0044】
また、電子機器取付部155は電子機器Eを着脱可能に支持しているため、電子機器Eを使用しない場合は、電子機器Eを電子機器取付部155から取り外すことができる。よって、電子機器Eを使用しない場合は、電子機器Eを電子機器取付部155から取り外すとともに、第二ヒンジ部154により支持軸152を天板31の上面に沿わせる位置まで回動して、体裁よく電子機器支持部51を天板31の上方に納めることができる。また、電子機器Eはタブレット型のパソコンであるため、電子機器支持部51から電子機器Eを取り外した状態でも、執務者は手にとって電子機器Eを操作でき利便性が高い。
【0045】
また、操作レバー131を操作することにより、内側支柱122を外側支柱121に対して相対的に上下方向に移動するとともに、天板31の高さを変更することができる。よって、執務者の身長、執務時の姿勢に合わせて、天板31の高さを変更でき、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0046】
また、図1に二点鎖線で示すように、天板31の高さを変更することにより、カート装置1の天板31の下方に他テーブル什器211の天板212を重合させることが可能となり、カート装置1及びテーブル什器211の設置面積を最小限とすることができる。さらに、図1に実線で示すように、カート装置1の天板31とテーブル什器211の天板212を同一の高さとすることにより、カート装置1の天板31及びテーブル什器211の天板212が同一平面上に連続して配されるため、作業スペースが増大し、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、電子機器支持部51及び電子機器Eが設けられるとともに、支持基体21が上下方向に伸縮可能な構成としているが、上記に限られず、電子機器Eが設けられていない構成等適宜設計変更可能である。
また、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…カート装置
11…ベース部
21…支持基体
31…天板
41…操作ハンドル部
51…電子機器支持部
61…第一物品載置部
71…第二物品載置部
81…取出空間
171…支持部
172…側壁部
E…電子機器
F…床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行可能とされたベース部と、
該ベース部から立設された支持基体と、
該支持基体の上端に設けられた天板と、
該天板から後方に突設された操作ハンドル部と、
前記ベース部と前記天板との間において、前記支持基体から前方に突出するように設けられた第一物品載置部と、
前記ベース部と前記天板との間において、前記支持基体から後方に突出するように設けられた第二物品載置部とを備えることを特徴とするカート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカート装置において、
前記第一物品載置部は、前記支持基体を中心として左右両側方に延在し、
前記第二物品載置部は、前記支持基体を中心として左右両側方に延在していることを特徴とするカート装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカート装置において、
前記第一物品載置部は、略板状に形成され、
前記第二物品載置部は、物品を載置する支持部と、該支持部から上方に立ち上がる側壁部とを備えることを特徴とするカート装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記第一物品載置部の上方に、前方、右方及び左方に開放された取出空間が形成されていることを特徴とするカート装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記天板から上方に設けられるとともに、電子機器を着脱可能に支持する電子機器支持部と、
該電子機器支持部に支持された前記電子機器とを備えることを特徴とするカート装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカート装置において、
前記電子機器は、姿勢を変更可能として前記電子機器支持部に支持されていることを特徴とするカート装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記支持基体は、上下方向に伸縮可能であることを特徴とするカート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−17705(P2013−17705A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154285(P2011−154285)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】