説明

カードケース

【課題】 収納場所の選択自由度が高く、また寸法や形状が異なる複数枚のカードを同時に収納することもできるカードケースを提供する。
【解決手段】 カードケース100を、複数枚のカードを並列に挿入できるカード挿入部(ケース本体110の底部111と折り返し部112との隙間)と、該カード挿入部の内側でカードを厚さ方向に押さえつけて保持するためのカード押圧材120とを備えたものとして、そのカード押圧材120を、前記カード挿入部の幅方向に亘って並列に配された複数枚の舌状部121により形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード等のカード類を収納するためのカードケースに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル情報を記録するための記録装置として、コンパクトフラッシュ(登録商標)やメモリースティック(登録商標)といった様々な規格のメモリカードが普及しており、これらのメモリカードを収納するためのメモリカードケースも種々のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のカード形カセット(メモリカードに相当)を定位置に維持するための保持構造が収納部に設けられていることを特徴とするカード収納ケースが記載されている(請求項1及び図1)。これにより、複数のカードをコンパクトに整理して保管することができるとされている(考案の効果)。特許文献1には、前記保持構造を挟持片により形成することについても記載されている(請求項4及び図6)。
【0004】
また、特許文献2には、記録媒体(メモリカードに相当)を収納する収納部と前記記録媒体に付された加飾部とを備えてなり、前記収納部が、前記記録媒体を収納するインナーケースと該インナーケースを収納するアウターケースとを備えて、前記アウターケースが、透明なプラスチック素材によって形成されて、前記加飾部が、前記インナーケースの外面又は前記アウターケースの内面に付されていることを特徴とする記録媒体収納ケースが記載されている(請求項1及び図1)。これにより、加飾部に耐久性を持たせることができるとされている(発明の効果)。特許文献2には、前記インナーケースを複数個連結した記録媒体収納ケースも記載されている([0049]、図11及び図12)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−199891号公報
【特許文献2】特開2003−054676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のカード収納ケースや特許文献2の記録媒体収納ケースは、カードを収納する場所がほぼ一義的に定まっており、カードの収納場所の選択自由度が低いものであった。また、収納できるカードの寸法や形状が大幅に制限されており、寸法や形状の異なるカードを同時に収納するものとしては必ずしも適していなかった。カードの収納場所の選択自由度が高く、かつ寸法や形状の異なるカードを同時に収納できるカードケースを設計しようとすると、カードのホールド性を犠牲にしたり、ケースの構造を複雑にしなければならず、また別の問題が浮上するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、カードを収納する場所の選択自由度が高いカードケースを提供するものである。また、寸法や形状が異なる複数枚のカードを同時に収納することができるカードケースを提供することも本発明の目的である。さらに、これらのカードケースを簡素な構造で実現することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、複数枚のカードを並列に挿入できるカード挿入部と、該カード挿入部の内側で前記カードを厚さ方向に押さえつけて保持するためのカード押圧材とを備えてなるカードケースであって、前記カード押圧材が、前記カード挿入部の幅方向に亘って並列に配された複数枚の舌状部からなることを特徴とするカードケースを提供することによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
これにより、カードを収納する場所の選択自由度が高いカードケースを提供することが可能になる。また、寸法や形状が異なる複数枚のカードを同時に収納することもできるカードケースを提供することも可能になる。さらに、これらのカードケースを簡素な構造で実現することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のカードケースの好適な実施態様を、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明のカードケース100を分解した状態を示した斜視図である。図2は、本発明のカードケース100を組み立てた状態を示した斜視図である。図3は、本発明のカードケース100にメモリカード200を挿入した状態を示した斜視図である。図4は、図3におけるA−A断面図である。本実施態様のカードケース100は、図1と図2に示すように、ケース本体110と、カード押圧材120とが備えられたものとなっている。
【0011】
[ケース本体]
まず、ケース本体110について説明する。本実施態様のカードケース100において、ケース本体110は、図1に示すように、底部111と、底部111の一端側を折り返して成形された折り返し部112と、一対の側壁部113,114と、蓋部115とを有するものとなっており、底部111と折り返し部112との隙間がカード挿入部となるようになっている(図3及び図4を参照)。蓋部115は、軸受部116を介して底部111に回動自在に取り付けられている。
【0012】
カード本体110の形状(平面視形状)は、カードケース100の用途や収容枚数やデザイン等によって異なり特に限定されるものではないが、本実施態様のカードケース100では、図1に示すように、略直方形となっている。ケース本体110の材質も、特に限定されるものではなく、各種の金属や樹脂等を採用することができる。カードケース100に収容するカードがメモリカードである場合には、該メモリカードに記録されたデータの消失を防止するために、ケース本体110に帯電防止加工を施してもよい。
【0013】
[カード押圧材]
続いて、カード押圧材120について説明する。本発明のカード押圧材120は、図1に示すように、並列に配された複数枚の舌状部121を有するものとなっている。本実施態様のカードケース100において、カード押圧材120は、各舌状部121の幅が全て等しくその間隔も全て等しい櫛歯状のものとなっている。カード押圧材120は、ケース本体110と一体的に成形されたものであってもよいが、本実施態様のカードケース100においては、ケース本体110と別個に成形されており、ケース本体110に取り付けて使用するものとなっている。カード押圧材120は、カード挿入部(ケース本体110の底部111と折り返し部112との隙間)の内側片面(底部111側)のみに設けている。
【0014】
カード押圧材120についてさらに詳しく説明する。本実施態様のカードケース100において、カード押圧材120は、図1に示すように、各舌状部121の基端部が一体的に成形されたものとなっており、その中腹部が前記基端部に対して傾斜するように形成されている。各舌状部121の先端部は、図4に示すように、ケース本体110の底部111と折り返し部112との隙間に挿入されるカードを面で押圧することができるように、前記基端部と略平行になるように寝かされて形成されている。各舌状部121の先端部や中腹部の形状は、図1や図4に示すものに限定されず、U字形や逆U字形の湾曲部を有するものや、V字形や逆V字形の屈曲部を有するもの等であってもよい。また、前記湾曲部や前記屈曲部を1箇所のみに有するものであってもよいし、複数個所に有するものであってもよい。
【0015】
さらに、本実施態様のカードケース100において、カード押圧材120は、各舌状部121が帯状(薄板状)に形成されており、各舌状部121の断面形状は、扁平な略矩形となっているが、これに限定されるものではなく、丸形等であってもよい。さらにまた、カード押圧材120の材質は、ケース本体110の底部111と折り返し部112との隙間に挿入されたカードを厚さ方向に押圧できる程度の弾性を有するものであれば特に限定されず、各種の金属や樹脂等を採用することができる。上記のケース本体110と同様の理由で、カード押圧材120に帯電防止加工を施してもよい。
【0016】
[使用状態]
続いて、図1と図2に示すカードケース100の使用状態について説明する。図3に、カードケース100のカード挿入部(ケース本体110の底部111と折り返し部112との隙間)にカード200を挿入した状態を示す。図3の例では、カード200として、厚いカード210(コンパクトフラッシュ(登録商標))と薄いカード220(メモリースティック(登録商標))とを並列に挿入している。各カード200の先端部は、図4に示すように、舌状部121の先端部と折り返し部112とで挟持された状態となっている。このとき、厚いカード210を押圧する舌状部121と薄いカード220を押圧する舌状部121とが同一の(一体的に連動する)ものであると、厚いカード210だけが保持された状態となり、薄いカード220の保持力が弱まるおそれがあるが、本発明のカードケース100では、厚いカード210を押圧する舌状部121と薄いカード220を押圧する舌状部121とが独立している(各舌状部121の先端部が独立して動作するようになっている)ために、厚いカード210と薄いカード220との両方がしっかりと保持された状態となっている。また、複数本の舌状部121が狭いピッチで配されているために、寸法や形状の異なるカード200を同時に収納でき、またその収納場所の選択自由度も高いものとなっている。
【0017】
[カードケースの他の実施態様]
次に、カードケース100の他の実施態様について説明する。図5は、カードケース100の他の実施態様を示した断面図である。図1のカードケース100では、カード押圧材120をカード挿入部の内側片面のみに設けていたのに対して、図5のカードケース100では、カード押圧材120をカード挿入部の内側両面(底部111側と折り返し部112側)に設けている。この場合、一方の舌状部122の隙間に他方の舌状部123を通して、一方の舌状部122と他方の舌状部123とを交差させてもよい。
【0018】
図6は、カードケース100のさらにまた別の実施態様を示した斜視図である。図1のカードケース100では、カード押圧材120の各舌状部121の幅が全て等しくその間隔も全て等しくなっていたのに対して、図5のカード押圧材120は、各舌状部121の幅が異なり、幅狭の舌状部122と幅広の舌状部123とが混在したものとなっている。図6のカード押圧材120では、幅狭の舌状部122と幅広の舌状部123とが一定間隔で周期的に繰り返し配列されている。
【0019】
[用途]
最後に、本発明のカードケース100の用途について説明する。本発明のカードケース100は、名刺やキャッシュカード等を収納するものとして用いてもよいが、なかでも、記憶装置のように衝撃に弱いカードを収納するものとして用いると好適である。特に、コンパクトフラッシュ(登録商標)や、スマートメディア(登録商標)や、SDメモリカードや、メモリースティック(登録商標)や、マルチメディアカード(登録商標)や、エックスデイピクチャーカード(登録商標)や、USBメモリ(USBコネクタに接続して使用する、持ち歩き可能なフラッシュメモリ)等の各種のメモリカード(カード型の記憶装置)を収納するためのメモリカードケースとして用いると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のカードケースを分解した状態を示した斜視図である。
【図2】本発明のカードケースを組み立てた状態を示した斜視図である。
【図3】本発明のカードケースにメモリカードを挿入した状態を示した斜視図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】カードケースの他の実施態様を示した断面図である。
【図6】カードケースのさらにまた別の実施態様を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
100 カードケース
110 ケース本体
111 底部
112 折り返し部
113,114 側壁部
115 蓋部
116 軸受部
120 カード押圧材
121,122,123 舌状部
200 カード
210 厚いカード
220 薄いカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のカードを並列に挿入できるカード挿入部と、該カード挿入部の内側で前記カードを厚さ方向に押さえつけて保持するためのカード押圧材とを備えてなるカードケースであって、前記カード押圧材が、前記カード挿入部の幅方向に亘って並列に配された複数枚の舌状部からなることを特徴とするカードケース。
【請求項2】
前記カード押圧材が、前記カード挿入部の内側片面のみに設けられてなる請求項1記載のカードケース。
【請求項3】
前記カード押圧材が、前記カード挿入部の内側両面に設けられてなる請求項1記載のカードケース。
【請求項4】
前記舌状部の幅が全て等しい請求項1〜3いずれか記載のカードケース。
【請求項5】
前記舌状部の幅が異なり、幅広の舌状部と幅狭の舌状部とが混在してなる請求項1〜3いずれか記載のカードケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−168773(P2006−168773A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362238(P2004−362238)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000106612)サンワサプライ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】